コラム

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2021/01/06

Salesforce「リード」管理の目的や嵌りやすい落とし穴とは

Salesforce「リード」管理の目的や嵌りやすい落とし穴とは

はじめに

まだ自社との接触がない会社というのは、ひょっとすれば“金の卵”のようなものなのかもしれません。丁寧に育て、自社の売上を支える顧客に成長させましょう。今回は、Salesforceにおいて、“金の卵”である見込み客(リード)を管理する目的や、既存顧客(取引先・取引先責任者)との使い分けなどをご紹介いたします。

Salesforceにおける「リード」と「取引先」「取引先責任者」の違い

Salesforceでは、顧客は大きく見込み客(リード)と既存顧客(取引先・取引先責任者)の2つに分けて管理されています。前者は自社の商品やサービスへ関心は示してくれているものの具体的な商談には至っていない“金の卵”、後者はすでに見積りなどの商談を開始した”孵化”し始めた顧客です。

Salesforceで管理する見込み客(リード)とは

  • (1)営業とマーケティングにおける定義の違い

    営業シーンで使用される「リード」という言葉は、電話や訪問でのアプローチといった、セールス担当が接触を開始した見込み客を指す傾向にあります。一方マーケティングにおける「リード」は、メルマガやセミナーなど、マーケティング活動の結果生み出された顧客が含まれてきます。このため、営業的視点で使われるリードと比べると、購買・問い合わせ意欲の低い顧客も対象となります。
    Salesforceでは、そうした商談化の可能性が低い見込み客(リード)から管理が可能です。

  • (2)ホットリードとコールドリードとは

    見込み客(リード)と一言で言っても、自社の商品・サービスへの興味や関心の度合いは様々で、その状態を示す言葉として「ホットリード」と「コールドリード」という表現があります。ホットリードとは、商品やサービスなどの購入意欲が高い見込み客(リード)を指し、これに対してコールドリードは購入に繋がる可能性が低い見込み客(リード)を指します。

  • (3)見込み客(リード)の状況管理はとても重要

    “金の卵”を無事に孵化させるためには、リード毎の状況把握や見極めが重要で、それぞれに合ったアプローチをとる必要があります。例えばホットリードの場合、セールス担当を付けてテンポよく、相手の関心が冷めないうちに具体的提案を行う必要があります。一方でコールドリードの場合は、過度な接触が逆に印象を悪くしてしまうこともあります。随時見込み客(リード)に関する情報を収集し、過去や他の見込み客(リード)と比較して、自社サービスへの興味や関心がどのように変化しているかを見極めていくことが重要です。

Salesforceで管理する既存顧客(「取引先」「取引先責任者」)とは

  • (4)商談を開始した顧客は既存顧客

    見込み客(リード)がホットリード化し、いよいよセールス担当が個別に接点を持ち始めたとします。Salesforceでは架電や訪問といったアクションをひとつのトリガーとして、その顧客管理を「リード」ではなく、「取引先」や「取引先責任者」といったオブジェクト(情報が集約される箱)で管理するようにします。
    これは、Salesforceでは商談化する前の”金の卵”をマーケティング部門やインサイドセールスなどが適当な頻度とタイミングで接触しながら温め顧客化し、セールス部門はマーケティング部門から引き継がれた受注見込みの高い顧客へと孵化させる、そんな組織体制を背景に構築されたシステムだからです。

  • (5)「リード」の情報は「取引先」「取引先責任者」に引き継がれる

    実際にフィールドセールスへ見込み客(リード)を引き継ぐ際、Salesforce上でどのように情報が展開されるかをご説明しましょう。「リード」オブジェクトには会社と担当者の情報がひとつのオブジェクトで管理されており、「取引の開始」というボタンをクリックすることで、会社情報は「取引先」、担当者の情報は「取引先責任者」へそれぞれ引き継がれます。また同時に、「商談」というオブジェクトでレコード作成が可能になります。
    また、この「取引先」、「取引先責任者」、「商談」といったオブジェクトはそれぞれ関連付けされているため、画面遷移せずに確認が可能です。ちなみに、「商談」では見積りや受注確度、商談進捗といった情報を持たせることで、売上予測など更なる情報蓄積が可能です。

リード管理で嵌りやすい落とし穴

Salesforceを導入している企業でも、この「リード」オブジェクトを活用しきれていない場合があります。その背景には、どのような要因があるのでしょうか。

  • (1)そもそもコールドリードの管理を行っていない

    Salesforceでは、受注確度の低いコールドリードを含めて管理が可能ですが、セールス担当者とやり取りのある顧客だけを管理している場合、「リード」オブジェクトを活用しきれない状態が生まれます。先ずは、フィールドセールスが接触をしていないようなコールドリードであっても、「リード」オブジェクトに登録し、情報を蓄積していきましょう。情報を登録することで、今まで気づけなかった顧客の傾向や動向に気づけるようになるかもしれません。例えば、見込み客(リード)から既存顧客(取引先)に切り替わるきっかけや、変わるまでどの程度の時間を要したかといった情報は、商談化前の情報があってこそ生きてきます。

  • (2)機能名称から、その機能が想像しづらい

    Salesforceの原文は全て英語です。このため、日本語版でも多くのカタカナ表記が使われています。中には、馴染みのないもの、日頃私たちが使っているものとは若干ニュアンスが異なるものがあり、機能がイメージしづらいものがあります。そのような中でも、コールドリードを温め、”金の卵”を無事に孵化させるために是非とも活用していただきたい機能を2つご紹介いたします。

  • 【チャネル】

    ここでいうチャネルとはリードの流入経路を指します。見込み客(リード)は、電話、自社サイトの問い合わせフォームやメールなど様々な方法でコンタクトを取ってきます。特にお勧めしたいのは、問い合わせフォームやメールから得た顧客情報を、新規リードに自動作成してくれるWeb-to-リードや、Mail-to-リードの機能を活用することです。これまで手入力で行っていた登録作業を最小限にとどめることが可能になります。

  • 【キャンペーン】

    日本語でキャンペーンときくと、セール(安売り)などのイメージがありますが、Salesforceでは宣伝や広告、施策といった意味合いで用いられます。キャンペーン機能を使うと、展示会などのイベント開催日程、費用や各種目標値(獲得リード数、商談化数、受注額等)の設定をすることで、その後の目標と実績推移を比較することが可能になります。これは経営層としては費用対効果の把握が出来る他、セールス担当者も、商談成立にむけた進捗管理として活用ができます。

Salesforceでリードを管理するメリット

改めて、Salesforceでリード管理をすることのメリットを見ていきましょう。

  • (1)組織的な情報連携が可能に

    Salesforceでは顧客情報や案件情報を一元管理が可能なため、チーム全体で同じ情報を共有できます。そうすると、担当者が異動や退職などで変更になる際も、これまで行ったメールの記録や対応履歴をすぐに確認できますので、何十件にもなる顧客の引き継ぎで手間取ることはありません。
    また、クレームに繋がりそうな事案がないかを適宜確認できるほか、実際に問題が発生した際もより迅速な対処をとることができます。つまり、これまで各担当者に属人化してしまっていた顧客管理をチームで共有することにより、より組織的な対応や判断を円滑に行うことが出来ます。

  • (2)施策の効果測定や比較が可能に

    Salesforceでは先ほど紹介した「チャネル」や「キャンペーン」機能の情報を、「リード」や「商談」といった他のオブジェクトと関連付けられているため、リード別、キャンペーン別、チャネル別のデータの分析が可能になるだけではなく、リードとキャンペーン、リードとチャネルといった複数の情報を組み合わせたレポートを作成することが可能になります。

活用事例

Salesforceのリード活用の事例を2つご紹介します。

  • 活用方法1:Web-to-リードを活用したケース

    福祉系ソフトウェア開発会社
    社員数50名、フィールドセールス6名

    課題
    ―WEBサイトの問い合わせページからの引き合いが主要チャネル
    ―登録項目が多く、1名の事務担当が都度Salesforceのリードへ反映
    ―属人化により、担当が休むと登録作業が進まず、資料発送など一連の作業が滞る状態
    提案ソリューション
    ―「Web-to-リード」機能を使って、問い合わせフォームからの情報を自動的にリードへ
    登録させるよう設定しました。これにより、入力の手間を大幅に削減しました。
    ※reCAPTCHAとの連携により、ロボットによるスパム投稿を排除可能です。
    ―登録されたデータを使って、直ぐにお礼メールなどを送信するよう設定しました。
    これにより、ファーストコンタクトの時間を大幅に短縮しました。
  • 活用方法2:「リード」✕「キャンペーン」を使った、戦略的アプローチへ

    医療機器メーカ
    社員数400名、フィールドセールス25名

    課題
    ―展示会への出展やセミナーを開催しているが、費用対効果が見えない
    ―商談開始後はSalesforceで顧客管理をしているが、商談以前は各セールスが管理し、見込み客(リード)の数や状態が組織として見えない
    提案ソリューション
    ―各セールスが持っていた顧客情報をリードブジェクトへ登録していただきました。
    ―G suite(会社メールとして利用)とSalesforceを連携し、見込み客(リード)とのやり取りをSalesforceの「リード」や「取引先責任者」へ反映されるよう設定しました。これにより、担当者以外も見込み客(リード)とのやり取りがいつでも確認できるようになりました。
    -展示会やセミナー情報を都度「キャンペーン」へ登録し、費用や各種目標を設定しました。これにより、紐づけられた見込み客(リード)の案件化状況などから費用や目標に対する成果が可視化されました。
    -イベント開催地周辺の見込み客(リード)に対し、キャンペーン情報を紐づけ、一斉に案内メールを送付。開封状況を確認し、未開封リードに再度案内を送付、開封済みのうち、予約が未だの顧客に導入事例をまとめた会社案内を送付し予約を促しました。
    -イベント開催後、キャンペーン毎に商談化件数等、目標と実績を比較し、費用対効果を測定することが可能になりました。

見込み客(リード)管理が円滑にできるようになると、メールの開封状況の把握、リアクションのない顧客に対しリマインドメールを送付するといった、より戦略的な対応を検討できます。

低評価リード(コールドリード)を高評価リード(ホットリード)の”金の卵”に育てていくことは、Salesforceのリード管理の重要な目的です。スコアリングが低いリードを切り捨てるのではなく、購買・問合せ意欲を刺激して孵化を促していきましょう。

まとめ

Salesforceでは、孵化するまでには時間を要する”金の卵”から管理が可能です。適切な温度、期間で卵を温めることで孵化を促すことが出来ます。いよいよ孵化が見えてきた卵は、これまでの情報と共にスムーズにセールスへ引き継ぎましょう。
そして、蓄積したデータをもとに、商談開始前の顧客傾向や商談化に至るまでに平均的にどのくらい時間が掛かるのかといった分析をもとに、次の営業施策に活かしましょう。情報は会社の資産です。しっかりと活用していきましょう。