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Salesforceのダッシュボードの作り方は? グラフの種類や活用方法も解説

2023年09月01日

  • Salesforce
  • レポート・ダッシュボード

はじめに

セラクCCCのSalesforce推進部のAです。Salesforceに入力したデータを活用できていますか?Salesforceのダッシュボードの使用で、蓄積されたデータを可視化し、データにもとづいた効率的な判断が可能です。経営層や管理職の方が情報を俯瞰的に把握できるようになるだけでなく、営業担当やマーケティング担当の方が業務管理や個別案件の状況を可視化するのにも活用できます。本記事では、ダッシュボードの作成方法や活用する際のポイント、活用例について紹介します。

 

また、ダッシュボードについてよくあるお悩みを解説しているこちらの資料「ダッシュボードのお悩み解決!みんなが抱える あるあるお悩み3選」も併せてご活用ください。

 

Salesforceのダッシュボードとは?

 


<ダッシュボードの例>

 

ダッシュボードとは、もともと自動車や飛行機の「計器盤」を意味し、複数の情報をまとめて、わかりやすく一覧表示する機能またはツールのことをいいます。Salesforceのダッシュボードでは、ユーザのホーム画面やレコード画面に、複数のレポートをもとにしたデータが棒グラフやドーナツグラフ、ゲージなどでグラフィカルに表示されます。

 

ダッシュボードとレポートは違う

Salesforceにはダッシュボードのほかにもレポートという機能があります。この2つには、

 

ダッシュボード:データを視覚的にわかりやすく表示する
レポート:データのグルーピングや集計項目の検索などを行える

 

という違いがあります。データを詳細に分析するために用いられるレポートは、ダッシュボードとは目的が異なっています。

 

ダッシュボードの役割
ダッシュボードでは、レポートのデータを集約して可視化することが可能です。ダッシュボードを作成・保存するには、あらかじめレポートを作成しておく必要がありますが、どのレポートをどのような形式でダッシュボードに表示させるかはユーザが設定できます。設定権限を各ユーザに付与してダッシュボードの表示形式をグループ内で統一すれば、表示される項目がメンバーごとにまちまちで、データの動きを確認しにくいといったことにはなりません。システム管理者はユーザ権限を細かく設定することが可能です。ユーザに共有権限があれば、共有フォルダにダッシュボードを作成・保存することで、ほかのユーザとダッシュボードを共有できます。

 

たとえば、営業進捗・ファネル分析・商談分析の各レポートが表示されるダッシュボードを作成すれば、プロジェクトの進捗状況や解決すべき課題をひと目で確認できるようになります。ただしダッシュボードは、元のレポートが更新されても自動更新されるわけではありません。初期設定のままの場合、最新情報を取得するためにはユーザが手動で更新などを行う必要があります。

 

レポートの役割
レポートは、複数のデータを集計したり、条件に合致したデータを抽出したりするのに便利な機能です。数値だけではわかりにくい情報を整理してくれます。Salesforceには、

 

  • ・情報量の少ないデータを扱う場合に適した「表形式」
  • ・行がグループ化された形式で、グラフなどの作成に適した「サマリー」
  • ・さまざまな項目の値を比較する場合に適した「マトリックス」

 

の3種類のレポート形式が用意され、目的に応じて使い分けられます。また、レポートを作成時のフォーマットとしては、

 

  • ・自由度は高くないものの、簡単にレポートを作成できる「標準レポートタイプ」
  • ・標準レポートタイプでは表現が難しいレポートも作成できる、応用的なフォーマットの「カスタムレポートタイプ」

 

の2種類があります。レポートを作成すると細かな条件で検索・集計・分析でき、チャネル別のパフォーマンスを確認したり、営業目標の達成率を評価したりする際に有効です。

 

ダッシュボードとレポートの適切な使い分けで、業務の生産率向上が期待できます。

 

Salesforceのダッシュボードを商談・活動管理に利用するメリット

ダッシュボードを活用すれば、複数のデータをリアルタイムに集計・抽出し、視覚的にわかりやすいグラフで表示できます。たとえば、チーム全体の情報を確認できるダッシュボードを作成すれば、全員が同じ指標・数字をダッシュボードで確認しながら業務を協力・分担することが可能で、チームとしての作業効率を高められます。「売上管理」や「顧客管理」といった用途別に複数のダッシュボードを作成し、確認したい情報によって使い分けることも可能です。

 

ダッシュボード上で検索条件を設定すれば、個別のレポートを新たに作成する手間をかけずに表示データを絞り込めるため、詳細な分析もすばやく行えます。

 

Salesforceのダッシュボードコンポーネント

Salesforceのダッシュボードコンポーネント(構成する要素)には、グラフ、ゲージ、テーブル、Visualforceページ、カスタムSコントロール、総計値の計6種類があります。このうち画像を表示できるのは、グラフ、ゲージ、テーブル、総計値です。

 

グラフでは棒グラフなど、計7種類のグラフを使用できます。ゲージは任意の範囲で個別値を表示させることが可能で、業績の評価を不可・可・良といった文字で示したり、色分けしたりできます。テーブルはレポートデータを列形式で表示し、Visualforceページは別のコンポーネントでは対応できない情報の表示に使用します。カスタムSコントロールは、ブラウザで表示するコンテンツを指定できます。総計値は表示したいキー値がひとつのときに使用でき、収益目標などに利用することが可能です。

 

最大20のコンポーネントを設定できる
ひとつのダッシュボードには最大20のコンポーネントを設定できます(20を超えるとエラーが発生するので注意してください)。一度作成したコンポーネントを再利用することも可能です。

 

アクセス権がない場合はエラーが出るので注意
ダッシュボードに設定したコンポーネント項目にアクセス権がない場合には、エラーが発生します。ダッシュボードを作成・実行するユーザは、事前にアクセス権を確認してください。

 

ダッシュボードで使用頻度の高いコンポーネントは、グラフとゲージです。ここからは、グラフとゲージの特長を紹介します。

 

グラフでデータを可視化

ダッシュボードのコンポーネントでグラフを追加する場合、以下の7種類を利用できます。

 

  • ・棒グラフ
  • ・縦棒グラフ
  • ・折れ線グラフ
  • ・円グラフ
  • ・ドーナツグラフ
  • ・じょうごグラフ
  • ・散布図

 

それぞれ何のデータの表示に適しているか、種類による違いを紹介します。

 

棒グラフ
横棒グラフです。横軸がデータ量を、幅がデータの大小を表し、距離や時間、売上を比較するのに適しています。たとえば売上の大きな商品区分の順にデータを並べれば、売れ筋の商品区分がひと目でわかります。また、積み上げ棒グラフを使用すれば、複数のデータを比較することも可能です。たとえば顧客に対して、複数の商品に関するアンケート調査を行った結果、良い・悪い・ふつうの各回答があった場合、3つの回答をまとめて1本の棒グラフに表示できます。

 

縦棒グラフ
縦軸がデータ量を、高さがデータの大小を表し、見込み客や売上などを相対的に比較するのに適しています。たとえば、部門別の売上を比べたり、時系列による見込み客数の増減を可視化したりするのにわかりやすいグラフです。

 

折れ線グラフ
縦軸がデータ量を、横軸が時間を表します。同じデータが時系列で変化していく様子を把握するのに適しています。たとえば、商品別の売上の推移や契約者数の推移を時系列で表すのに利用できます。

 

円グラフ
特定のデータの内訳や構成を表すのに適しています。たとえば、地域別の販売額の割合を表したり、契約者の年齢構成を表したりする際に利用できます。

 

ドーナツグラフ
円グラフの真ん中が開いているグラフで、穴の部分に総計を表示できます。円グラフで表現できるのはデータの割合だけですが、ドーナツグラフでは総計も表すことが可能です。たとえば、全体の売上を真ん中に表示して、商品別の売上の割合をドーナツ部分で表現できます。

 

じょうごグラフ
データを降順に並べて、じょうご型に表示します。データが絞り込まれる過程を表現するのに適しています。たとえば、サイトを訪れたユーザが最終的に購入にまで至るステップのなかで、徐々に離脱していく割合を表したりするのに利用できます。

 

散布図
2つの要素で構成されるデータをプロットすることで、横軸と縦軸とのどのあたりの関連性が強い(または弱い)のかを表現するのに適しています。たとえば縦軸に売上を、横軸に問い合わせ数を設定し、売上の増減が問い合わせ数にどのような変化をもたらすのかを確認できます。

 

ゲージで目標の達成度を可視化

ダッシュボードのコンポーネントでゲージを追加するには、グラフの種類を極座標に設定し、値の項目に分析する基準を入れます。平均商談金額などを追加し、Trellis項目でディメンションを設定すると、カテゴリメンバー別で比較できます。ディメンションの値別にゲージを表示させることも可能で、パフォーマンスを順位付けする場合には昇順・降順で並べ替えます。

 

ゲージグラフを色分けすれば、目標までの進捗状況をひと目で把握することが可能です。簡単なゲージグラフを作成してダッシュボードで表示させれば、最小値・最大値・現在地を容易に確認できます。

 

ただし、上述した簡単に作成できるゲージグラフでは、相対値でしきい値を設定したり、目標値を一括流し込みしたりすることはできません。ゲージの色別に相対値を設定できるようにするには、動的ゲージグラフを利用します。動的ゲージグラフではしきい値を%で指定できるため、数値が固定されず、目標値が変わったときに入力しなおす手間が省けます。また、ゲージグラフの目標値をレコードから取得できるようになるため、目標を一括で修正することも可能です。

 

Salesforceのダッシュボードの作成方法

Salesforceのダッシュボードを構成する[コンポーネント]を作成するためには、元となるレポートが必要です。ダッシュボードを作成する事前の準備として、レポートを作成しておきましょう。

 

1.レポートを作成する

Salesforceのレポートは、[取引先]や[商談]といったオブジェクトを指定条件で絞り込んでリスト化したものです。レポートではさまざまな視点からの情報をまとめられるので、最終的に「ダッシュボードにどのような情報を表示したいのか」をしっかりとイメージしてから、レポートの作成に取り掛かることが大切です。ひとつのダッシュボードに配置できるコンポーネント数が最大20個であることも意識しておきましょう。

 

2.ダッシュボードを作成する

 


<新規ダッシュボードの選択>

 

ダッシュボード作成は画面左上にある[新規ダッシュボード]を選択し、ダッシュボードエディタを使って行います。

 


<コンポーネント配置の例>

 

[コンポーネント]をクリックすると作成したレポートの一覧が表示されるので、使いたいレポートを選んで[レポートの表示形式]を選択します。次に[コンポーネントの追加]という画面が表示されます。[表示グラフ][表示単位][カスタムリンク][表示する最大グループ数]などを必要に応じて設定して[追加]すれば、ダッシュボード上にコンポーネントが配置される仕組みです。この作業を繰り返して、必要なコンポーネントを配置し終えたら[保存]をクリックします。ダッシュボードの作成はこれで完了です。

 

作成したダッシュボードを編集するには、ダッシュボード一覧画面に表示されたダッシュボード名をクリックします。管理画面では不要なダッシュボードを削除することも可能です。

 

ダッシュボードの更新方法・自動更新とは?

レポートとは異なり、ダッシュボードで最新の情報を確認するには、ダッシュボードを閲覧する際に[更新]ボタンをクリックするか、事前に[更新]タブで自動更新のスケジュールを設定しておく必要があります。自動更新の設定時には、あわせて[通知設定]をしておくと便利です。通知設定をすれば、指定したSalesforceユーザにHTML版のダッシュボードを含むメールが自動送信されます。この機能を活用すれば、ホーム画面に設定している以外のダッシュボードデータを定期的に自動更新し、メールで情報を受け取れるようになります。

 

Salesforceのダッシュボード活用のポイント

ダッシュボードを利用する際には、ユーザごとに使いやすいダッシュボードデザインを検討し、使い方に適した機能拡張を行うことが重要です。

 

利用者のポジションごとに必要なデータは異なる

ダッシュボードで確認したいデータは、それぞれのユーザで異なります。以下では、ユーザのポジションごとに、ダッシュボードに設定する情報の例を紹介します。ダッシュボードを効果的に活用するためにも、それぞれのユーザに適したダッシュボードデザインを考えましょう。

 

経営層のユーザ

  • ・部署ごとの予実管理や売上予測
  • ・顧客別売上一覧

 

営業部長のようにチーム全体を管理するユーザ

  • ・チームの予実管理
  • ・チームメンバー個人の業務成績
  • ・顧客情報や商談の進捗状況

 

マーケティングや営業などの現場で活躍するユーザ

  • ・自身の目標達成度
  • ・停滞している案件やアプローチできていない見込み客の情報

 

データを見やすくデザインする


<達成状況の確認向けのゲージ>

 

多様な[表示グラフ]を使いこなすことも、ダッシュボード活用のポイントです。たとえば、ゲージを使えば、設定した目標と達成度とがわかるため、ユーザはゴールまでの道のりをはっきりとイメージできます。どの形式のグラフが最適なのかはケースバイケースです。「データを直感的に把握しにくい」と感じたら、表現方法を変えてみてください。くわしくは「意思決定に役立つSalesforceダッシュボード機能の紹介」でも説明していますので、ぜひご覧ください。

 

ダッシュボードを他の機能と組み合わせる

応用的な使い方として、ダッシュボードをSalesforceのほかの機能と組み合わせれば、データ活用の幅を広げられます。たとえばSalesforceモバイルアプリケーションを使用すれば、外出先でもダッシュボードのデータを確認できるようになります。そのほかにもChatterへのスナップショット投稿機能を組み合わせれば、ダッシュボードのグラフをChatterで共有できます。

 

Salesforceのダッシュボード活用例

 


<営業担当者向けのダッシュボードデザインの例>

 

ここでは、例として「営業担当者が自身の営業活動を効率化するためのダッシュボードデザイン」を紹介します。

 

まず、自分の目標と達成度とを把握しやすいように、目に入りやすい位置(画面左上)に予実管理を配置します。その右側にある中央上のグラフには、長期的な成果を伸ばすために、今期の商談状況の数値を可視化しています。左から見ていくと、目標達成率の状況から[最終交渉]や[見積]の件数が自然と目に入ってきます。右上には、一定期間動きのない案件や既存顧客をリスト形式で表示されています。左と中央のグラフを確認して[提案]の件数が足りないと感じたら、右側のリストを見れば、アプローチすべき案件や顧客がわかります。

 

予実管理の下側には、目標と達成度との差を埋めるために「どの確度の商談を成立させればいいのか?」といった情報がひと目でわかるように[売り上げ予測]を棒グラフで表示しています。

 

このように、使いやすいダッシュボードデザインには、個々のグラフの見やすさだけでなく、「データをどこに配置すれば、思考の順序に沿った使いやすいものになるか?」といった視点も必要です。

 

Salesforceのダッシュボードを活用する際の注意点

Salesforceのダッシュボードを利用する際に、やみくもにはじめるとかえって作業量が増えるリスクがあります。ダッシュボードを活用するには定期的に更新し、運用環境を見なおす必要があります。以下の点に気をつけて、蓄積したデータを有効活用してください。

 

データの更新が必要

Salesforceのダッシュボードは、レポートと違って最新のデータが反映されません。手動で更新するか、自動更新を設定する必要があります。ダッシュボードの自動更新を設定する場合は、ダッシュボードのページで登録の項目を選択し、編集ウィンドウで更新スケジュールを設定します。更新頻度は条件を細かく設定することが可能です。上述したように、自動更新時にメールで通知を受けることもできます。

 

ダッシュボードの更新が遅い

ダッシュボードの更新時には、コンポーネントのソースレポートが実行され、ウィジェットへと変換されます。ソースレポートが複雑なほど、更新に時間がかかります。情報量によっては膨大な時間を要することがあるので、自動更新で作業に支障のない時間帯に更新されるように設定します。更新時間自体を短縮させたい場合は、レコード数を制限する検索条件を適用します。検索条件を細かく設定するほど、より少ないレコードで返され、短時間で実行できるようになります

 

リソースを確保する

Selesforceの設定ができる人員を用意し、こまめに設定を最適化することが大切です。自社の運用環境に問題はないかを調査し、改善策を練る必要があります。設定時には最適な状態でも、社内の状況が変われば問題が生じることもあります。PDCAサイクルを回し、スペックに過不足がないかを見直してください。Salesforce Optimizer(オプティマイザ)を使うと、使用頻度の低いレポートやダッシュボード、セキュリティ対策が必要なものなどを確認できます。無料で利用できる機能なので、四半期に一度は実行することをオススメします。社内で対応できる人がいない場合は、外注して専門家を頼るのもひとつの手です。社内の課題を見つけて、必要な対策方法を提案してくれます。

 

まとめ

商談や営業管理などにSalesforceのダッシュボードを活用すれば、蓄積されたデータから、最適な判断をスムーズに行えるようになります。そのためには、Salesforceに十分な情報を蓄積したり、事前準備としてレポートを作成したり、各ユーザに適したダッシュボードデザインを検討したりすることが必要です。

また、ダッシュボードについてよくあるお悩みを解説しているこちらの資料「ダッシュボードのお悩み解決!みんなが抱える あるあるお悩み3選」も併せてご活用ください。

 

ダッシュボード作成や活用のために「立場や部署ごとに使いやすいダッシュボードデザインについて相談したい」「いろいろなダッシュボードを作るために、実用的なレポート作成をプロに頼みたい」といった要望があれば、ぜひセラクCCCカスタマーサクセスチームの無料相談 からお問い合わせください。当社はセールスフォース社認定のコンサルティングパートナーとして300名(23年5月時点)を超える経験豊富なコンサルタントが在籍しており、お客様の視点に立ってSalesforceの定着・活用支援サービスを行っています。

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