コラム詳細

SalesforceでThe Modelを活用する方法は? メリットや注意点も解説

2023年09月01日

  • Salesforce
  • 使い方

はじめに

セラクのSalesforce推進部のAです。The Modelとは、営業プロセスを細分化し、それぞれの部門の担当者が連携することによって、営業効率の向上を図る仕組みです。The Modelの概念の使用で、営業の効率化や組織力の強化が期待できます。今回はSalesforceでThe Modelを実践する方法について紹介します。

 

Salesforceで目指すべき、The Modelとは?

The Modelのフレームワークは、顧客との継続的な関係の構築や維持を行ううえで有効な営業プロセスモデルです。このフレームワークに当てはめてSalesforceを使うことで、営業活動を効率的に管理できます。

 

日本の従来型の営業組織は、顧客の獲得から成約までの一連の流れを、一人の営業が担うのが一般的でした。しかし、この手法では、顧客が増えるほど営業担当者の負担が増え、顧客一人ひとりに合わせた効果的な営業活動が難しくなってきます。さらに、顧客に対するアプローチが必ずしも適切とはいえない場合も出てきます。

 

そこで登場するのがThe Modelです。営業プロセスを、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス(いわゆる営業)、カスタマーサクセスの四つに分け、各部門間で連携させることによって、業務を漏れなくスムーズに進めることができるようになり、効率のよいセールスを実現します。The Modelを効果的に運用するには、SalesforceやCRMといったデジタルツールの活用が有効です。The Modelはいま、目指すべきSalesforceの使い方として注目を集めています。

 


<The Modelの仕組み>

 

The Modelが注目される背景

サブスクリプション型のサービスの普及

近年、サービスや商品を購入して「所有」するのではなく、一定期間「利用」する権利に対して料金を支払う、サブスクリプション型サービスが普及してきました。

 

サブスクリプション型サービスの鍵となるのは「継続的な利用」です。従来であれば、商品やサービスを購入した時点で契約は完了し、販売側の営業活動もそこで終了していました。しかし、サブスクリプション型サービスの場合は、ユーザが継続して利用することが前提になっています。そのため、ユーザがサービスを利用し続けるようにするための新たな戦略や手法が求められます。

 

The Modelでは、契約後のユーザにもアフターフォローを行い、サービス利用の継続率を高める仕組みが導入されています。サブスクリプション型サービスが普及するにつれて、顧客にサービス利用に対する同様の動機付けを行うThe Modelにも注目が集まっています。

 

働き方改革の実現

働き方改革関連法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)として法制化されているように、多様な働き方を実現するための環境作りである「働き方改革」は、厚生労働省を中心に国を挙げて推進されています。労働者が自由に働ける環境を作ることは、現代の企業にとって重要なテーマのひとつです。なかでもとくに注目されているのが、業務負担の軽減や、効率化といった分業です。

 

従来の統合型営業では、新規顧客の獲得からアフターフォローまでの一連の流れを一人の担当者でカバーするのが一般的でした。しかし、このような働き方では、顧客が増えるほど営業担当者の負担が大きくなり、業務時間が増大してしまいます。

 

こうした点からも、業務を細分化して分業することで効率化を図るThe Modelの考え方に注目が集まっています。一人の担当者が顧客に対するすべての業務を行うのではなく、それぞれの専門的な知見をもつ担当者が自分の得意な部分を分業することで、労働時間の短縮や、より専門性の高いサービスの提供が可能です。

 

The Model実践の具体的な3つのメリット

The Modelを実践することによって得られる具体的なメリットとしては、専門性を追求できる、ボトルネックを把握しやすい、顧客に合わせた提案を行える、といったことがあります。

 

専門性を追求できる

四つのプロセス(マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス)を部門別に担当することで、担当者は各部門の業務に集中でき、専門性が向上します。担当者の負担が減って精度も高まるため、新たな顧客の獲得や利益の増加も期待できます。

 

ボトルネックを把握しやすい

各部門でKPIを設けて可視化することによって、ブラックボックス化しやすい営業プロセスのなかで、どこに問題があるのかを把握しやすくなります。どこが問題になっているのかが明確になれば、適切な対応を取れるようになります。

 

顧客に合わせて最適な提案ができる

The Modelにおける分業制は、新規顧客の獲得から継続的なアフターフォローまでのそれぞれの業務を専門の担当者にまかせるものです。各担当者はまかされた領域に集中でき、担当している領域で顧客にどのようなニーズがあるのかを深く理解できます。

 

顧客がどのような状況にあり、何を求めているのかを理解できれば、状況やニーズに応じた最適なソリューションやサービスを提案でき、顧客満足度の向上にもつながります。さらに、契約してソリューションやサービスを提供したあとも、顧客の立場に立ってアフターフォローを行えるようになります。万が一「使い方がわからない」「うまく使いこなすことができない」といった声が顧客から上がったとしても、迅速に対応することが可能で、サービス利用の継続率向上につながります。

 

SalesforceのThe Modelを活用した営業プロセス

標準オブジェクトを活用する

Salesforceを活用してThe Modelが推奨する分業化を実践しましょう。Salesforceの標準オブジェクトをどのように活用すればよいのかを活用例として紹介します。まず、営業のプロセスを四つの段階に区分します。

 

  • (1)マーケティング ― 見込み客の数値化
  • (2)インサイドセールス ― 案件の獲得
  • (3)フィールドセールス ― 受注の獲得
  • (4)カスタマーサクセス ― 定着支援・契約継続

 

さらにそれぞれの部門で、以下の三つの明確なKPIを設定する必要があります。

 

  • ・母数
  • ・成功率
  • ・ゴール

 

各プロセスのゴールとして設定されたKPIが、次の段階の母数となる仕組みです。ここで重要なのは、KPIが連携していることです。ひとつの部門だけの独立した成果ではなく、全体が連動した結果として、成果がもたらされる構造になっています。

 

マーケティング ― 見込み客の数値化

The Modelを実践するための最初の入り口となる重要な部門です。サービスや商品のLP(ランディングページ)への訪問、資料のダウンロード、セミナーへの参加など、リード獲得のための施策を行います。それらによって流入してきた潜在的な顧客をリードオブジェクトで管理し、見込み客の数値化や施策効果の計測をします。

 


<マーケティング>

 

KPIは、母数である来訪者数に、成功率である獲得率を掛けた数値が、ゴールである見込み客数となります。ここでのゴール(見込み客数)が、次のインサイドセールスのスタート(母数)として引き継がれます。

 

Salesforce標準オブジェクト活用例

  • ・キャンペーンオブジェクト(施策管理)
  • ・リードオブジェクト(見込み客管理)

 

インサイドセールス ― 案件の獲得

インサイドセールスを直訳すると「内勤営業」となるように、電話やメールなどでのアプローチを主体とし、実際の顧客訪問を行わない部門を意味します。マーケティングで獲得した見込み客に対してアプローチし、案件化につなげるために育成(ナーチャリング)していきます。具体的にはキャンペーンなどのイベント履歴の紐付けや見込み客の電話フォロー、課題感などの登録を行います。

 


<インサイドセールス>

 

KPIは、母数である見込み客数に、成功率である案件化率を掛けた数値が、ゴールである案件数となります。ここでのゴール(案件数)が、次のフィールドセールスのスタート(母数)として引き継がれます。

 

Salesforce標準オブジェクト活用例

  • ・キャンペーンオブジェクト(施策管理)
  • ・リードオブジェクト(見込み客管理)
  • ・活動オブジェクト(業務記録)
  • ・商談オブジェクト(商談管理)
  • ・取引先/取引先責任者オブジェクト(取引先管理)

 

フィールドセールス ― 受注の獲得

外勤営業ともいわれる部門です。インサイドセールスで獲得した、顕在化した案件を引き継ぎ、より具体的なアプローチを行っていきます。顧客へのヒアリング、提案、見積り、成約までの一連の商談を担うのがフィールドセールスです。ここでは名刺情報、商談の詳細、訪問/活動履歴などの登録を行います。

 


<フィールドセールス>

 

KPIは、母数である案件数に、成功率である受注率を掛けた数値が、ゴールである受注数となります。ここでのゴール(受注数)が、次のカスタマーサクセスのスタート(母数)として引き継がれます。

 

Salesforce標準オブジェクト活用例

  • ・キャンペーンオブジェクト(施策管理)
  • ・リードオブジェクト(見込み客管理)
  • ・活動オブジェクト(業務記録)
  • ・商談オブジェクト(商談管理)
  • ・注文オブジェクト(受注管理)
  • ・見積オブジェクト(見積管理)
  • ・取引先/取引先責任者(取引先管理)

 

カスタマーサクセス ― 定着支援・契約継続

フィールドセールスで獲得し、受注した顧客がサービスに定着してくれるよう支援する部門です。物販よりはSaaSなどのサービス販売において重要視される機能です。購入後の顧客への適切なアフターフォローを行うことで、契約の継続や新たな受注の拡大を目指します。

 


<カスタマーサクセス>

 

KPIは、母数である受注数に、成功率である更新率を掛けた数値が、ゴールである継続数となります。

 

Salesforce標準オブジェクト活用例

  • ・活動オブジェクト(業務記録)
  • ・商談オブジェクト(商談管理)
  • ・注文オブジェクト(受注管理)
  • ・取引先/取引先責任者オブジェクト(取引先管理)

 

The Modelを活用したマネジメントの3つのフレームワーク

The Modelを成功させるためには「市場戦略」「リソースマネジメント」「パフォーマンスマネジメント」の各フレームワークを押さえておく必要があります。

 

市場戦略とは、市場の規模や成長性、あるいは同業他社との競合状況を把握したうえで、自社にとって最も効果的な戦略を選ぶことです。適切な市場戦略を選択することにより、最適なビジネスモデルを採用したり、ターゲット市場を明確化したりすることが可能になります。

 

リソースマネジメントは、企業がもつさまざまな経営リソースを効率的に活用するための管理手法です。リソースマネジメントには、自社のリソースの限界を正確に把握し、必要なリソースを配分するための管理・調整が含まれます。

 

パフォーマンスマネジメントは、各部署の業績を定量的に評価・管理することです。パフォーマンスマネジメントを正確に行うことにより、どこにボトルネックが存在しているのかが明らかになり、ボトルネックの解消につながります。パフォーマンスマネジメントによって、業績を悪化させている本当の原因を見つけ、改善策を実行できるようになります。

 

SalesforceでThe Modelを成功させるためのポイント

明確なKPIを設定する

成功のポイントの一つ目が、明確なKPIを設定することです。不明確な状態でKPIが設定されていると、成果の数値を計測したとしても、何をもって目標が達成できたとするのかがわからなくなってしまう可能性があります。

 

KPIを設定する目的は、何がボトルネックになっているのかを特定し、パフォーマンスを改善する指標とすることです。KPIを設定する際には、自社の目標に合わせて、計測すべき数値が何なのかを明確にすることが重要です。もし、設定したKPIが適切でなかったり、不明確だったりすると、業績を正しく把握することは難しく、改善策を見つけることもできません。自社のビジネスモデルや市場環境、経営目標に合わせて、具体的かつ明確なKPIを設定する必要があります。

 

ボトルネックを特定する

二つ目のポイントが、営業プロセスにおけるボトルネックを特定するということです。たとえば、インサイドセールス部門の成果が予想通りには出ていない場合、架電数が足りないのか、トークスクリプトに不備があるのか、マーケティング部門から供給されるリードの質がよくないのかといった、ボトルネックとなっている理由によって、打つべき施策は変わってきます。仮にマーケティング部門からの供給リードに問題があるのであれば、スコアリングの基準の改善や、マーケティング予算のアロケーション(適切な配分)といった施策が必要になります。

 

ボトルネックを特定する作業を行うことなく、やみくもに架電数を増やしたとしても、成果を上げることは難しいといわざるを得ません。The Modelの効果を最大限に引き出すために重要なのは、特定したボトルネックに対して適切な対策を講じることです。

 

スコアリングに囚われず、質のよいリードを獲得できる仕組みを整える

三つ目のポイントは、リードの適切な管理方法です。通常、訪問回数や資料ダウンロード回数など、ユーザの行ったアクションをスコアリングし、スコアが高いものをホットリード(即時商談可能な見込み客)と判断します。しかし、競合他社の担当者や決定権を持たない人物が資料請求を行う場合もあるため、スコアが高いリードを機械的にホットリードとみなしていては、適切な評価が行えません。Webサイトへ頻繁に来訪したり、資料請求を複数回行ったりしたユーザであっても、見込み顧客でなければ意味がありません。ホットリードであれば必ず見るであろうと思われるページを設定し、当該ページに対する閲覧のスコアを大きくするなど、質のよいリードを抽出できる仕組みを整えることが重要です。

 

部門間で互いのKPIを意識する

四つ目のポイントは、「部門間で互いのKPIを意識する」です。The Modelでは各部門でのゴールとスタートとがつながっており、部門間での引き継ぎがポイントになります。各部門からアウトプットされた情報が、他部門の行動につながるという意識を持たなければなりません。それぞれの部門で多くの母数を獲得するためには、各プロセスで立てた目標をクリアすることが大切です。部門間で互いのKPIを意識することで、組織の営業力を高められます。

 

The Modelをさらに効果的に運用したいと考えており、使用している環境がまだSalesforce Classicであるならば、Lightning Experienceに移行することをオススメします。Salesforce Classicより優れたUXで、柔軟な画面遷移に対応し、ストレスなく作業を行えます。引き継ぎもスムーズになり、部門間での連携をよりスムーズなものにします。営業活動に集中できる環境が整うことにより、組織全体での生産性の向上が期待できます。

 

The Modelについてのよくある質問(Q&A)

The Modelを導入するにあたって、よくある質問と回答をまとめます。

 

The Model型とは?従来の営業とはどう違う?

The Model型は、営業プロセスを細分化し、各プロセスを別々の部門で担当する新しい営業モデルです。従来の営業モデルでは、一人あるいはひとつのチームが顧客の新規開拓からアフターサポートまでを一貫して担当することが多かったのに対し、The Model型ではそれぞれのスペシャリストが担当するプロセスを効率的に進めることで、全体としての営業力を高めます。

 

The Modelのレベニューモデルとは?どのように分業する?

The Modelでは、認知の拡大から商談、さらにはカスタマーサポートまでを一連の流れと捉え、それぞれを異なる専門の部門が分業して行いますが、こうした枠組みを「レベニューモデル」と呼びます。レベニューモデルのポイントは、獲得したリードを育成していくことです。結果的に受注に至らなかったリードに対しても「リサイクル」というステージを設け、継続的にアプローチをしていきます。リサイクルによって、顧客が商品やサービスを必要としたタイミングであらためて営業を行えるようになり、受注へつなげられます。

 

The Modelを導入している企業は?

多くの企業がThe Modelの導入によって成果を上げています。たとえば、属人化してしまっていた顧客リストを社内で共有したり、ノウハウを共有したりして、ナーチャリング改革を実施した結果、新規の取引を大幅に増やすことができた企業や、営業機会が増加した場合でも、営業プロセスの再現性を維持できるように分業化を進めて、それぞれの部門でKPIを達成している企業が存在します。セラクCCCがSalesforceの導入や活用を支援している企業は350社以上ありますが、多くの企業でThe Model型の営業が活用されています。

 

The Modelの問題点は?

分業化によって組織が細分化されると、部門間のコミュニケーションが円滑に進まなくなったり、部門間での分断が発生したりする懸念があります。組織の分断化を防ぐには、企業全体の目標を各部門・各担当者で共有し、意識的に他部門ともコミュニケーションを図っていくことが重要です。

 

まとめ

顧客に対する貢献度やサービス利用の継続率が重要視される場合、The Modelはベストプラクティスモデルです。Salesforceの標準オブジェクトを活用して、ぜひ、The Modelを実践してください。組織全体での連携が取れ、より効率的な営業活動を行えるようになります。セラクCCCでは、セールスフォース社認定のコンサルティングパートナーとして300名(23年5月時点)を超える経験豊富なコンサルタントが在籍しており、お客様の視点に立ってSalesforceの定着・活用支援サービスを行っています。Salesforceの最も有効的な使い方や、The Modelを実践した効率的な営業の分業化について課題を感じている場合は、セラクCCCカスタマーサクセスチームの無料相談からお問い合わせください。

Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください

  • TOP
  • コラム一覧
  • SalesforceでThe Modelを活用する方法は? メリットや注意点も解説

Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください