契約トラブル防止 – ルートテック|ビジネスライフとキャリアを応援する情報メディア https://www.seraku.co.jp/tectec-note Fri, 05 Jun 2026 00:27:59 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.2.9 偽装請負とは?フリーランスが知っておくべき違法リスクと判断基準を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-gisou-ukeoi-freelance-risk/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-gisou-ukeoi-freelance-risk/#respond Tue, 26 Aug 2025 07:38:49 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=40389 はじめに
  • 偽装請負とは、契約上は請負とされているものの、実態は派遣労働と同じように働かされるケースを指す
  • 業務委託契約と労働者派遣契約の違いを正しく理解することが、偽装請負の被害を防ぐ
  • 偽装請負により、請負契約の働き方や労働者の権利侵害、正当な報酬が受け取れない等の問題が生じる
  • 業務の指示や評価、勤務時間や休憩・休日の指示・管理、備品や資材の支給がある場合に偽装請負を疑う
  • 偽装請負は法律で禁止されており、発覚した場合には処罰の対象となる

フリーランスや個人事業主にとって、請負や再委託という働き方は一般的です。しかし、実際の業務で過度に指示や管理を受けたり、契約にない業務を課されたり、報酬が不当に減額されたりする場合は、偽装請負の可能性があります。この記事では偽装請負の詳細と、疑われる際の対処法まで詳しく解説します。

偽装請負とは

厚生労働省のガイドによると、偽装請負は、請負契約を装いながら、実際には注文主が労働者に指示を出している場合を指します。たとえば、フリーランスや再委託労働者が、契約上は請負であるにもかかわらず、実態としては労働者派遣と同様に指揮命令を受けて働いているケースです。このような状況は労働者派遣法違反に該当する可能性があります。

参考:厚生労働省|労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド

業務委託契約と労働者派遣契約の違い

偽装請負は、派遣労働者(派遣社員)や委託契約を結ぶフリーランス等に対して行われる場合が多いため、まずはそれぞれの契約についての理解が必要です。

参考:厚生労働省|労働者派遣・請負を適正に行うためのガイドを参考に自社で作成

労働者派遣契約では、派遣元事業主が派遣労働者を雇用し、派遣先の指示のもと働く形態をとります。派遣元事業主は、社会保険等の福利厚生と給与の支払のほか、派遣社員の権利の保障を担います。
一方、業務委託契約は、注文主が成果物や業務の一部を外部に委託するもので、労働者との直接的な主従関係や指示命令関係は発生しません。フリーランスは請負業者として、または再委託された労働者として成果物の提供や業務の遂行によって報酬を得ます。

偽装請負が問題視される理由

それぞれの契約の特徴を理解したところで、なぜ偽装請負が問題視されるのか詳しく見ていきましょう。以下の図は偽装請負の特徴的な構図です。

参考:厚生労働省|「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」についてを参考に自社で作成

請負契約の働き方や労働者の権利が侵害される

請負契約の働き方は、自分の裁量で契約期間内に業務を完遂、または成果物の提出を行います。しかし、業務手順の指示や業務に関する命令を受けた場合は契約違反が疑われます。

偽装請負の場合、派遣労働者のような働き方にもかかわらず、形式上は請負契約のため、労働時間の上限適用や有給休暇の取得ができないなどの権利の侵害が生じることがあります。

正当な報酬が受け取れない

フリーランスの場合、事業主であるため社会保険等の対象で無く条件によっては契約解除もしやすい点を利用され、形式上は請負契約、働き方は派遣労働者という偽装が行われやすいです。派遣労働者であれば保障される社会保険や残業代・休日出勤等の手当も保障されません。請負契約では、契約時に交わした報酬額のみとなるため、請負を装い派遣された場合、これらの正当な報酬が受け取れないという状態が生じます。

意図的に偽装請負を行う可能性がある

請負契約のまま派遣社員のような働き方をさせることで、残業代や社会保険料等の経費削減ができるため、意図的に偽装請負を行う業者もあります。請負契約を理由にトラブル発生時の責任(賠償責任等)を個人に負わせたり、契約解除しやすかったりするためです。違法業者の中には、中間搾取を目的に偽装請負を行う可能性もあります。

偽装請負の典型例

偽装請負の典型例は、以下の4つです。

  1. 請負契約の典型例
  2. 「代表型」

    請負契約でありながら注文主が労働者に直接指示を出す

  3. 「形式だけ責任者型」

    形式的な責任者を置きながらも実際には注文主が業務を管理する

  4. 「使用者不明型」

    再委託を繰り返し本来の雇用主が誰かわからなくする

  5. 「一人請負型」

    注文主と受託者(請負業者)さらに受託者(請負業者)と労働者のそれぞれの関係を請負契約と偽装し、実態は注文主の指示で働く

偽装請負かどうかは、実態をもとに契約内容や労働条件を総合的に判断されます。一つの出来事で判断できるものではない点に注意しましょう。
参考:東京労働局|偽装請負について

偽装請負の判断基準と見分け方

自分がどのような契約の元、業務を行っているのかを把握することが重要です。その上で、自分の業務範囲なのか、契約条件にあっているのかを見極める必要があります。

業務に関する指示・管理・評価

派遣労働者に対して、派遣先から業務に関する指示や管理、評価は行われます。しかし、請負契約の受託者は、自分の裁量で業務を行うため起こりえません。ただし、情報共有の範囲内である判断は難しいです。また、請負という働き方への認識の薄い社員の発言の可能性もあり、改善要求の必要があります。

勤務時間・休憩・休日の指示・管理

派遣労働者として勤務する場合、勤務時間・休憩・休日の管理監督権は派遣元にあります。これらを派遣先が行うことはできません。ただし、「単なる把握」の範囲であれば問題ないとされます。
請負契約の場合、勤務時間や休憩・休日に関する指示や管理を受けることはありません。こうした指示が日常的に行われている場合は、偽装請負が疑われます。

業務に必要な備品・資材・資金の支給

請負契約では、物品の調達は請負側が事業主として行います。しかし偽装請負の場合、扱いが派遣労働者と同様の認識ならば、これらの支給が生じます。さらに、契約上請負だからとその経費を請求されることが起こるかもしれません。

2026年1月に施行された「中小受託取引適正化法」通称:取適法(とりてきほう)にある、委託事業者11の禁止行為の一つに「購入・利用の強制」があります。

【委託事業者11の禁止行為:6.購入・利用の強制
委託事業者が指定する製品、原材料等の購入や保険、リース等の利用を強制し、その対価を負担させる行為。

引用:政府広報オンライン|2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります

この観点からも請負契約で業務を行う際に、指定された物品の支給や代金の支払いを請求される行為は違法となりうる可能性があります。

単なる肉体的な労働力の提供

請負で契約する人材は資格・スキル・技術等の提供ができるため、それを活かせる働き方を選択している人たちです。そのため、本来であれば単純な肉体労働を強いられることはありません。しかし、偽装請負の場合は、労働者側が提供できる業務に関係なく指示されることがあります。

発覚した場合の法的リスク

偽装請負が発覚した場合、労働者の保護の観点から法的措置が取られます。詳しく解説します。

労働者派遣法:無許可で労働者派遣を行った場合

許可を持たない業者が偽装請負を目的に労働者派遣事業を行ったり、無許可業者であることを理解した上で、偽装請負の発注を行ったりした企業や個人に対して課せられる罰則です。
(労働者派遣事業を行うためには、厚生労働省の許可が必要です。)

労働者派遣法
請負業者(派遣元事業主)発注者(労働者の就労先)
違反内容偽装請負を目的に無許可の労働者派遣事業を行った場合就労先の代表者や従業者が偽装請負の行為を行った当事者である場合
罰則1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(労働者派遣法59条)当事者、法人に対し違反内容に該当する法令により
第58条~第61条に応じた罰金刑や禁固刑が科されます。
(労働者派遣法62条)

参考:e-GOV 法令検索|労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

職業安定法:違法な労働者供給事業を行った場合

違法な労働者供給とは、供給元(請負業者)と労働者の間に支配関係が存在したり、供給先(発注者)と労働者の間に雇用関係があったりする場合です。労働者派遣事業とは異なり、労働者供給事業は原則として禁止されています。(一部例外あり)

職業安定法
請負業者(派遣元事業主)発注者(労働者の就労先)
違反
内容
偽装請負が労働者供給により行われた場合
罰則1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(職業安定法64条)
違反
内容
就労先の代表者や従業者が偽装請負の行為を行った当事者である場合
罰則当事者、法人に対し違反内容に該当する法令により
第53条~第66条に応じた罰金刑や禁固刑が科されます。
(職業安定法67条)

参考:e-GOV 法令検索|職業安定法

労働基準法:中間搾取を行った場合

中間搾取とは、労働者と就労先との間に立ち、労働関係への介入や手数料等の名目で労働者の賃金の一部を不当に取得する行為を指します。たとえば、職業紹介時に職業安定法で認められた範囲を超えた手数料徴収や、労働者賃金の一部を着服するなどです。偽装請負ではこれらの行為が行われる可能性が高いです。

労働基準法
請負業者(派遣元事業主)発注者(労働者の就労先)
違反内容労働者供給による偽装請負が、労働基準法違反の中間搾取にあたる場合中間搾取を幇助(ほうじょ)した場合
罰則1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(労働基準法118条)1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(労働基準法118条)

参考:e-GOV 法令検索|労働基準法

その他:法的処罰以外の罰則

法的処罰以外にも、不当な条件や就労環境で労働者を就労させた場合、厚生労働大臣からの助言や行政指導、是正措置勧告などがあります。勧告に従わない場合は社名公表などの罰則が課せられる可能性も生じます。

偽装請負が疑われるときの対策・対処法

フリーランスが偽装請負の被害にあわないための対策と、偽装請負の疑いがあるときの対処法を解説します。

業務委託契約書に記載すべき注意点

必ず業務委託契約書の締結をしましょう。契約書には請負契約であることの明記と、委託者側に指示命令権がないことも記載します。さらに、業務内容についても、仕様書等で詳細まで確認できるようにします。また、再委託についても、条件等の変更がないことや、再委託先へも請負契約者であることが伝わる一文を入れるなどの工夫が必要です。

契約した会社と、実際に働く場所が違う場合

請負契約では、再委託により委託者(注文主)とは異なる発注先で働く場合も多いです。この場合も契約条件に変更がないか確認する必要があります。実際に働く就労先で派遣労働者のような扱いをされた場合は、契約と異なることを伝え、改善がなければ通報も視野に入れる必要があります。

偽装請負の通報先や相談窓口

偽装請負の疑いや可能性がある場合の相談先です。不利益を被らないためにも、契約内容や実際に起こっている内容について、専門家への相談は有効です。

さらに取適法では、偽装請負に限らず、請負契約等の受託業務において、委託事業者の違反行為を通報した際の報復措置に対する対応も充実しました。

【委託事業者11の禁止行為:7.報復措置
中小受託事業者が、委託事業者の違反行為を公正取引委員会、中小企業庁又は事業所管省庁に通報したことを理由に、取引停止・数量の削減などの不利益に取扱う行為。新たに事業所管省庁への通報も可能になった(法改正で追加)

引用:政府広報オンライン|2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります

総合労働相談コーナー 厚生労働省

総合労働相談コーナーは、全国の労働基準監督署や各都道府県労働局などに設置されていて、専門の相談員による面談や電話での相談ができます。
以下のURLより、最寄りの相談窓口を検索できます。
※土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁
参考:厚生労働省|総合労働相談コーナー

労働条件相談「ほっとライン」(厚生労働省委託事業)

労働条件相談「ほっとライン」は、平日夜間、土日、祝日にも、無料で電話相談を受け付けています。労働基準法などに関する質問や相談ができます。
月~金:17:00~22:00
土日・祝日:9:00~21:00
※年末・年始(12月29日~1月3日まで)は除く。
参考:厚生労働省|労働条件相談「ほっとライン」

労働基準関係情報メール窓口

労働基準関係情報メール窓口では、労働基準法などの違反が疑われる事業所や職場などの情報を、メールで受け付けています。
法令等のお問い合わせには対応していないので、情報提供の場となります。
参考:厚生労働省|労働基準関係情報メール窓口

まとめ

偽装請負は、意図して行う場合もありますが、知識が浅いために意図せず権利を侵害してしまうケースもあります。フリーランスや個人事業主は、受託者(請負業者)として業務を受ける際は被害にあわないために、発注者(注文主)として労働者を受け入れる際は偽装請負を疑われないために、正しい知識と認識をもつ必要があります。
この記事が、安全な請負契約の参考となり、安心して業務遂行できることを願っています。


]]>
https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-gisou-ukeoi-freelance-risk/feed/ 0
業務委託契約書とは?フリーランスが知っておくべき重要ポイントと注意点を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-gyomu-itaku-keiyakusho-guide/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-gyomu-itaku-keiyakusho-guide/#respond Wed, 20 Aug 2025 01:04:10 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=39914 はじめに
  • 業務委託契約書は、企業や個人が業務の一部を他者に委託する際に交わす契約書
  • 業務委託契約書には、業務内容・報酬額・契約期間・禁止事項等を記載する
  • 委託者と受託者の双方で認識を合わせ、合意のうえで署名なつ印と割り印を行う
  • 業務委託契約書は、報酬の種類別や職種別のひな型があるため、契約の状況に応じて変更して利用すると便利
  • 業務委託契約書の記載内容は、不利益を被らないために、精査やリーガルチェックが必要

フリーランスや個人事業主にとって業務委託契約書の締結は、安全に業務を遂行するための手段の一つです。委託者側が作成した業務委託契約書を精査できることで、トラブル回避にも役立ちます。この記事では、業務委託契約書について、記載項目と確認すべきポイントを詳しく解説します。

業務委託契約書とは

フリーランスや個人事業主が、企業や個人との業務委託(業務を依頼する)・受託(業務を受ける)にあたり、取り交わすべき契約書といえます。また、企業間でも、業務の一部をほかの企業に依頼する場合に、双方の合意のもと業務の委託を契約したことを証明するために作成する書類です。

業務委託契約書には、業務内容や報酬額、契約期間などの取引条件を記載します。加えて禁止事項や権利の所在などを明示し、双方の認識のずれを防ぎましょう。
署名なつ印と割り印を行い、改ざん防止措置を講じて締結します。

トラブル回避のために締結したほうがよい

企業間では業務委託契約書の作成は常識ですが、フリーランスや個人事業主の場合、業務委託契約書がなくても業務を受託するケースが多いです。
たとえば業務委託契約書の作成は、多くの場合、委託者側が行うため、仕事を依頼される立場の受託者側から、業務委託契約書の作成を依頼しにくい状況も起こります。しかし、後々のトラブルを避けるために締結は必須と考えましょう。

2026年1月より下請法が改正され、「中小受託取引適正化法」通称:取適法(とりてきほう)が施工されました。この中で、委託者には発注内容の書面等での明示が義務付けられています。
また、受託者が自ら作成し提示しても問題ありません。以下は代表的なトラブル例です。

  • 代表的なトラブル
  • 契約期間内での契約解消
  • 契約金の未払い
  • 損害賠償を請求される など

参考:公正取引委員会|中小受託取引適正化法ガイドブック

業務委託契約書には種類がある

業務委託契約書の種類は、業務の内容や条件によって異なります。それぞれの特徴を理解し、適切な契約形態を選びましょう。作成する場合は種類に合わせたひな形を利用すると便利です。

請負契約

請負契約は、受けた業務の完成をもって、報酬の支払いが生じる場合の契約です。(民法632条)
たとえば、システムの開発やコンテンツの作成、家を建てるなどが代表的な例です。

委任契約

委任契約は、受託者が業務遂行にあたり、法的措置を伴う場合の契約です。たとえば、弁護士や税理士などの士業に依頼する場合に交わされる契約になります。

準委任契約

準委任契約は、法的措置を伴わない場合の委任契約になります。一般的業務についてはこちらの契約を交わします。

業務委託契約書に記載する内容と確認すべきポイント

業務委託契約書に記載される内容ごとに、フリーランスや個人事業主が、どこを注意して確認すべきかを紹介します。業務の進め方や職種に応じて異なる特徴がありますので、状況に応じて変えていく必要があります。自分ならこの内容を追加したい必要ない等を考えながら確認しましょう。

業務内容を確認する

業務内容では、実際に行う業務とその範囲まで確認します。範囲の記載がない場合、たとえばシステムの構築なら、運用・保守・管理まで携わる必要が生じるかもしれません。また、成果物の提出なら、何回まで修正に対応するのかなどです。

予定外の業務が追加されると、契約時の報酬額では採算が取れない場合があるため、詳細な内容確認が必要です。仕様書等の作成も検討しましょう。

報酬の支払条件(報酬額と支払時期)を確認する

業務内容によっては、以下の表のように報酬の支払い条件も変わります。自分の受けた業務が報酬額と照らし合わせた場合に、利益を確保できるのかどうかを判断します。さらに支払時期は当月もしくは翌月か、何日かなど、お金にかかわることは特に注意が必要です。取適法では、物品の受領日から60日以内で、できるだけ短い期日を設定すると義務づけています。

報酬の支払い形式とその内容

毎月定額型毎月定額の報酬を受け取る
清掃業務・保守業務・コンサルティング業務など
成果報酬型業務の成果によって報酬が変動する
営業代行など
単発業務型原則、1回のみの業務で報酬を受け取る
建築設計監理・デザインなど
成功報酬型業務が成功した場合に報酬を受け取れる
業務完了がどこなのか明確にする
時給計算型「業務の稼働時間数×時給単価」で報酬額が決まる
業務時間の証明や作業進捗の遅れが契約解除の理由となる

契約期間を確認する

成功報酬型や成果報酬型、単発の業務であっても、いつまでに業務を完了するかは明記します。その契約期間内に業務完了が可能なのかを吟味しましょう。また、毎月定額型のように長期にわたる契約の場合も、「1年ごとに再契約」などの条件が付く場合もあり注意が必要です。

再委託を確認する

契約先以外で業務を行う再委託については、受託者が業務を第三者に再委託することを禁止するか、条件付きで許可するかが記載されます。同条件での受託が難しい、または不安を感じる場合があります。そのような場合に備えて、「相談の上」等の一文があると安心です。

成果物(知的財産)の帰属について確認する

委託された業務中に作成した成果物等の著作権や知的財産権について、委託者・受託者のどちらに帰属するかを明記します。作成者である受託者が権利を有しますが、この権利を委託者に譲渡するなら、著作権譲渡条項の記載が必要です。デザイン関連だけでなく、アプリ開発・ライティング・画像・映像・建築物など、知的財産となりうる成果物は多数存在します。

禁止事項を確認する

委託業務の遂行にあたり、委託者に損害を与える可能性のある行為や作業方法などの禁止事項が記載されます。この項目の違反等が発覚した場合、契約解除だけでなく損害賠償や訴訟の対象となりますので、注意が必要です。業務中に想定される、禁止事項になり得る内容を想像して、トラブルの回避に務めましょう。

秘密保持について確認する

委託された業務の中で知り得た情報等の秘密保持について記載されます。個人情報はもちろんのこと、企業にとって重要な開発やマーケティング情報など、些細な内容でも秘密が漏えいすることを禁じています。
疑問がある場合は、しっかりと確認を行い細部まで認識合わせをしましょう。

契約の解除について確認する

委託者・受託者のどちらか一方に契約違反があった場合の契約解除について記載されます。どちらも一方的かつ正当な理由がなく契約解除はできません。内容を吟味して、自分にだけ不利な条項がないことを確認しましょう。

損害賠償について確認する

契約違反や業務遂行の過程で、どちらかが相手に損害を与えた場合の対処について定めます。どちらか一方に有利や不利な内容がないことを確認します。制限や上限の定めがない場合、請求される損害賠償が非常に高額になる可能性がありますので、重要な確認項目といえるでしょう。

反社会的勢力の排除を確認する

業務委託契約書を結ぶどちらかが反社会的勢力との関わりが認められた場合、契約を解除できる内容を記載します。現在では、業務委託契約書に限らず、契約時には記載されることが通常になった事項です。

合意管轄条項(裁判所の指定)を確認する

業務委託契約書を締結した両者間で、裁判トラブルが生じた場合、審理を求める裁判所をどこにするかを定めておきます。ネット環境下で業務遂行が可能になった現代では、遠方同士で業務委託契約を結ぶ場合も多く、両者が出廷しやすい裁判所を選択する場合もあります。

著作者人格権について確認する

著作物を作成する業務委託契約では、受託者が作成した成果物を委託者が変更できるようにするために、定めを設けていない場合もあります。自分が作成物の権利を有し、許可なく変更しないことを明確にする必要があります。そのために著作者人格権の中でも、同一性保持権(作成物を著作者に無断で修正されない権利)についての定めは特に注意が必要です。

収入印紙の金額と必要な契約書について

基本的に業務委託契約書の作成もしくは元本を保持する側が印紙税を負担します。「印紙税法では作成者に負担義務がある」としているためです。元本にのみ印紙を貼り、控えに貼らなくても問題はありません。また、印紙の再利用防止のために割り印も行いましょう。

印紙税の額は請負契約の場合、取引で生じた金額(報酬等)に応じて異なります。ただし、業務委託契約書の契約期間が3ヵ月を超え、かつ更新の定めがある継続的取引では1通につき4,000円の印紙税が必要です。どちらでもない場合は不要となります。

契約金額と印紙税

記載された契約金額税額
1万円未満のもの非課税
1万円以上100万円以下のもの200円
100万円を超え200万円以下のもの400円
200万円を超え300万円以下のもの1,000円
300万円を超え500万円以下のもの2,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円
5,000万円を超え1億円以下のもの6万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

(注)印紙税は、契約書に記載された内容により取り扱いが異なりますのでご注意ください。

引用:国税庁|No.7102 請負に関する契約書
参考:国税庁|No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断

消費税の記載について

業務委託契約書に記載された報酬額に、消費税が含まれるのか含まれないのかを記載します。とくに成果物に対する報酬には注意が必要です。また、インボイスに登録している場合も、消費税額が明確に記載されているほうが安心です。曖昧な記載の場合は、「含む」「外税」などの明確な表記を求めましょう。

業務委託契約書のテンプレート

業務委託契約書のテンプレートは、厚生労働省や経済産業省などの官庁のWebサイトに、さまざまな種類が公開されています。そのまま使うのではなく、業務内容や職種に応じて追記や削除等を加えて利用しましょう。
以下は在宅ワーカーにライティング業務を依頼する場合のひな形です。

参考:厚生労働省|契約書の参考例
参考:経済産業省|改正民法に対応した「情報システム・モデル取引・契約書」
参考:法務省|業務委託契約書

業務内容からみた業務委託契約書

業務委託契約書には、業種に応じた種類があります。それぞれの業務の特徴に合わせて記載する内容が異なるため、業種別テンプレートの活用は便利です。テンプレートはそのまま利用するのではなく、自分の業務の進め方や条件に合わせて変更しましょう。
職種別テンプレートのある職種

保守・コンサルティング・営業代行・広告出稿・運送
製造・建築設計・研修代行・デザイン・Webサイト制作 など

不安要素がある場合は専門家に相談する

フリーランスや個人事業主にとって、委託側が作成した業務委託契約書のリーガルチェックは重要です。法律的な内容や記載された文言の解釈などに不安を感じるのであれば、専門家に相談することをおすすめします。
弁護士や行政書士と懇意にすることは、トラブルが発生した時だけでなく、トラブル回避のためにも有効な手段といえます。

まとめ

フリーランスや個人事業主にとって、業務委託契約書を締結することは、安心して業務を行うための重要な契約であるとご理解いただけましたか。自分が作成する場合も、相手の作成した契約書を精査する場合も、概要を理解している必要があります。この記事が役立ち、トラブルを回避しながら事業を継続できることを願っています。

]]>
https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-gyomu-itaku-keiyakusho-guide/feed/ 0
偽装フリーランスの問題点とは?労働者との違いや、リスクについて解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/recruit_fakefreelancer/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/recruit_fakefreelancer/#respond Thu, 04 Jan 2024 00:41:00 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=22789 はじめに
  • 偽装フリーランスとは、フリーランスでありながら労働者と同様の条件で働く状態のこと
  • 勤務時間や業務の手順などに企業から細かく指定され、自由な働き方ができない
  • 偽装フリーランスは、働き方が規制されるだけでなく、労働者なら受けられる労災や労働基準法の保護は対象外となる
  • 施行されたフリーランス新法のガイドラインやフリーランスを保護する施策の確認が大切
  • もしもの時はフリーランス・トラブル110番で弁護士に相談ができる

偽装フリーランスとは?

偽装フリーランスとは、契約上はフリーランスの業務請負でありながら、企業に雇用される労働者と同様の条件で働く状態のことです。就労実態は雇用契約を交わす労働者とほぼ同じにもかかわらず、フリーランスであるかのように表面上を偽装することから、こうした呼び名が付きました。

また、企業に雇用されている労働者と変わりない条件で業務委託を請け負うことを、偽装請負といいます。偽装請負により企業の指示で動かざるを得ない状況に陥ると、フリーランスのメリットである自由な働き方が難しくなるだけでなく、さまざまなリスクを負うことになります。

まずは、フリーランス、個人事業主、労働者の働き方の違いや、受けられる公的保障について解説します。

フリーランスとは?

フリーランスとは、特定の企業に所属せず、案件ごとに契約を交わして業務を請け負う働き方を指します。勤務時間や勤務地、業務量を自分で決められるため、働き方の自由度が高いところがメリットです。

ただし、フリーランスは自分で案件を確保する必要があります。安定して業務を請け負えるまでは、会社員に比べて収入は不安定になりやすく、労働基準法は適用外となり、さらに労災の特別加入には条件があります。

働き方が自由な反面、公的保障は薄く自分が負う責任が大きいことが特徴です。

個人事業主とは?

個人事業主とは、税務署に開業届を提出し、法人を設立せずに個人で事業を営む人のことです。開業届を提出することで、税法上の事業主となり個人事業主と称されます。

一方フリーランスは開業届提出の有無に関わらず、企業に所属せず業務を請け負う働き方です。言い換えれば個人事業主は、開業届を提出したフリーランスのような働き方をする人といえるため、フリーランス同様に偽装フリーランスの被害を受ける可能性があります。

労働者とは?

労働者とは、企業と雇用契約を結び勤務する人を指します。正社員のみではなく、有期契約社員や派遣社員、パート、アルバイトも労働者です。フリーランスとの最大の違いは、企業に雇用されて賃金を得ている点です。

さらに労働者は、業務に関する事由で怪我や病気をした際に労災を受けられ、労働基準法に基づいて労働時間の規定があるなど複数の法律で権利が守られています。

労働者のように働くのに、保障や労働法上の保護を受けにくい

偽装フリーランスの大きな問題点は、就労実態が雇用契約する労働者とほぼ変わらない状態でありながら、表面上はフリーランスの業務委託契約であることです。働き方が制限されるためフリーランスのメリットが得られない、感じられないという状況や状態に陥りやすくなります。以下で詳しく解説します。

勤務時間などを細かく指定され、自由度が低い

勤務時間や業務量を自分で自由に決められるのがフリーランスのメリットです。しかし偽装フリーランスの状態では、企業の指示に従って業務を遂行しなければならず、自由に業務を進めることができません。

勤務時間や就労場所、業務手順に詳細な指定があり、働き方が労働者と変わりないと感じる場合は、偽装フリーランスの可能性を疑った方がいいかもしれません。

契約上はフリーランス(業務委託)なので保護されない

労働者であれば、労災を利用して治療費や休業保障の給付を受けられ、怪我や病気で勤務できない間も不当解雇から法律で保護されています。しかし、フリーランスは基本的に労災の対象外で、自分で労災の特別加入に入る必要があります。

さらに、雇用契約を結んでいないため基本的に労働者に該当せず、労働基準法の保護は受けられません。たとえば、残業代や労働時間、休日の保障はなく、報酬を実労時間で計算した結果、都道府県の最低賃金を下回っていたとしても保障の対象外です。

企業は負担軽減できるメリットがある

労働者を雇用している場合、企業は社会保険料の半分を賄ったり、労働基準法に従い労働条件や労働環境を整備したりが必要です。しかしフリーランスは、個人で国民健康保険や国民年金に加入し支払いをするため企業負担はありません。さらに、自由な働き方を優先するフリーランスに対して、業務委託契約書記載外の配慮も必要なく、企業の負担は少ないといえます。

自由な働き方が制限され、法的保護が受けられないという、弱い立場に置かれてしまうことが偽装フリーランスの最大の問題点です。

偽装フリーランスにならないために

フリーランスとして駆け出しの時期は、案件を確保するために多少不利な条件であっても業務を請け負ってしまう可能性があります。その場合、気づかないうちに偽装フリーランスとして働いてしまう危険性があります。

偽装フリーランスにならないためには、契約時に以下のような条件が盛り込まれていないかのチェックが大切です。

  • 契約時のチェック項目
  • 勤務時間や勤務場所について詳細な指定がある
  • 業務の手順や進め方について詳細な指定がある
  • 労務・勤怠管理や出社が求められている
  • 就業規則や服務規程などの遵守が求められている
  • 取引条件の明示項目が足りない(フリーランス新法に沿った明示がされていない)

契約時に気づかなくても、業務開始後に違和感をもつことがあります。フリーランスとして契約したはずが、勤務時間や業務の進め方を細かく指定されたり、就業規則などの遵守を求められたりする場合は要注意です。

以下で解説するフリーランス新法をはじめとした権利を知り、双方納得のいく業務委託契約を結べるよう努めましょう。

政府の対応

偽装フリーランスに関するトラブルが相次いでいる中、政府はどのような対策を講じているのでしょうか。

フリーランス新法の施行や労災の特別加入が導入され、フリーランスを守る施策が施されました。さらにフリーランス・トラブル110番の設置により多くの問題点が浮き彫りになりました。そこで2026年には取適法の改正施行により、委託側事業者にも義務と禁止行為が科され、フリーランスを含む受託側中小事業者の利益保護が強化されています。これら代表的な4つの対応を紹介します。

フリーランス新法の施行

フリーランス新法とは「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」の通称です。2024年11月1日に施行されました。この法律は、業務委託を受けるフリーランスと企業などの発注事業者との間の取引適正化と、フリーランスの就業環境の整備を図ることを目的としています。

また、発注事業者が満たす要件に応じて、フリーランスに対する義務の項目と具体的な内容は、ガイドラインとして制定されました。

  1. ガイドラインの例
  2. 契約時に業務内容や報酬額を書面あるいはメールなどで明示すること
  3. 報酬支払期日の設定・期日内の支払
  4. もし違反があれば国の行政機関へ申告ができる

不平等な契約を結んでしまい、偽装フリーランスとなり泣き寝入りしないためにも、どういった内容が盛り込まれているのか目を通しておきましょう。

参考:厚生労働省|フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

参考:中小企業庁|フリーランスの取引に関する新しい法律

特定フリーランス事業の労災について

2024年11月1日から、特定フリーランス事業に該当するフリーランスは、業種・職種を問わず労災保険に特別加入することが可能になりました。加入することで、業務中や通勤中のケガや病気、死亡に対する補償が受けられます。

特定フリーランス事業の対象は、以下のように定められています。

  • フリーランスが委託事業者等から受けて行う「業務委託」が対象
  • 業務委託とは、企業等がその事業のために他の事業者に、業務の一部もしくは全部を委託すること
  • フリーランスが委託事業者等から業務委託を受けて行う「事業者間の委託取引」が対象
  • 企業等から業務委託を受けて事業を行うフリーランスが、当該事業と同種の事業を消費者から委託を受けて行う場合のケガ等も補償の対象

特別加入を希望する場合は、加入手続きを行っている特定フリーランス事業の特別加入団体に申し込む必要があります。居住地域に関係なく申し込むことが可能です。

詳細な団体名や所在地、問い合わせ先については、厚生労働省のサイトをご確認ください。

参考:厚生労働省|令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました

フリーランス・トラブル110番の設置

フリーランス・トラブル110番は、フリーランスをはじめとする企業との雇用関係によらない働き方をしている人が、弁護士に無料で相談できるフリーダイヤルです。
第二東京弁護士会が運営をしており、内閣官房等のフリーランスに関わる関連省庁と連携を行っています。

匿名での相談も可能で、弁護士にワンストップで悩みを打ち明けられます。自分が偽装フリーランスに該当するか知りたい、契約先とのトラブルについて相談したいという方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:第二東京弁護士会|フリーランス・トラブル110番【厚生労働省委託事業・第二東京弁護士会運営】

下請法が改正され取適法施行

下請法(名称変更:「中小受託取引適正化法」 通称:取適法(とりてきほう))が2026年1月に改正施行されました。これにより中小受託取引の公正化と受託側中小事業者の利益保護が強化されます。フリーランスも受託側中小事業者として対象となりますが、同一の違反行為が両法に抵触する場合は、原則としてフリーランス新法が優先されるため注意しましょう。

以下では委託側事業者に科せられる4つの義務と11の禁止行為を紹介します。

  1. 4つの義務
  2. 発注内容を明示する義務
  3. 取引記録の作成・保存の義務
  4. 支払期日を設定する義務
  5. 遅延利息の支払い義務
11の禁止行為
1)受領拒否
2)製造委託等代金の支払遅延
3)製造委託等代金の減額
4)返品
5)買いたたき
6)購入・利用の強制
7)報復措置
8)有償支給原材料等の対価の早期決済
9)不当な経済上の利益の提供要請
10)不当な給付内容の変更・やり直し
11)協議に応じない一方的な代金決定

参考:政府広報オンライン|2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります

まとめ

フリーランスの働き方は自由度が高く魅力的ですが、偽装フリーランスには注意が必要です。企業の指示に従わざるを得ない状況や法的保護を受けられないリスクを把握し、不利な条件の契約を結ばないよう努めましょう。そのためには、労働者とは異なる特徴をきちんと認識しておく必要があります。

業務契約のトラブルやフリーランス新法といったフリーランスを保護する制度を知り、自分に合った働き方を選択してください。

]]>
https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/recruit_fakefreelancer/feed/ 0