はじめに
6月は、多くの企業が新年度の立ち上がりを終え、一段落する時期です。一方で、4月・5月に入社や異動、体制変更などが集中した結果、従業員のモチベーションやチームの一体感に揺らぎが生じやすいのも特徴です。特に近年は、テレワークの定着により、上司や同僚とのコミュニケーション機会が減り、組織の状況が見えにくくなっています。そのため、6月は「企業の状態を把握し、働きがいを見直す」ための絶好のタイミングと言えます。そこで注目されているのが、HR Tech(Human Resources Technology)を活用したエンゲージメントの可視化と改善支援です。本記事ではHR Techの活用術を解説します。
エンゲージメントとは?なぜ今注目されるのか
エンゲージメントとは、従業員が自分の仕事や企業に対して持つ「情熱・関与・貢献意欲」を指します。満足度とは異なり、「この会社の一員として成果を出したい」「自分の成長を通じて企業に貢献したい」という主体的な姿勢を表しているのが特徴です。調査によると、エンゲージメントの高い企業ほど、以下の成果が得られています。
- ・生産性の向上:仕事への没入度が高く、パフォーマンスが向上する
- ・離職率の低下:従業員の定着率が上がり、採用・教育コストを削減する
- ・イノベーションの促進:心理的安全性が高まり、新しい発想や挑戦が生まれやすくなる
特に2023年以降、「人的資本経営」の重要性が高まり、企業には人をどのように活かし成長させるかが問われるようになりました。この流れの中で、エンゲージメントは人的資本を測る重要な指標の一つとして位置づけられています。
HR Techでエンゲージメントを「可視化」する
従来の従業員のモチベーションや企業の雰囲気は、上司の感覚や定性的な会話に頼ることが多く、課題の早期発見が難しいものでした。HR Techの発展により、データを用いて企業の健康状態を把握できるようになりました。ここでは、HR Techを用いた手法の一例を解説します。
1.パルスサーベイによる定期的な温度測定
従業員の満足度やエンゲージメント、組織の状況を高頻度・短時間で実施するパルスサーベイで定期的に温度測定を行います。1分程度で回答できる簡易アンケートを月次・週次で実施し、従業員の感情変化を継続的に把握します。匿名性を確保することで、本音ベースの意見の収集が可能です。「仕事のやりがい」「上司との関係」「チームの雰囲気」など、項目を細分化することで具体的な改善ポイントが見えてきます。
2.リアルタイム分析とダッシュボード化
サーベイ結果を自動集計し、部門別・年代別・職種別にグラフ表示します。AIが過去データとの比較から離職リスクが高い層やモチベーション低下傾向を自動検出するツールも登場しています。これにより、人事やマネージャーは「直感ではなくデータに基づくマネジメント」が可能になります。
3.コミュニケーションプラットフォームとの連携
チャットツールや社内SNSといったコミュニケーションプラットフォームと連携し、メッセージのやりとりや反応傾向からエンゲージメント指標を算出する仕組みも進化しています。デジタル上の行動データから、企業のつながり度を定量化することが可能です。
エンゲージメントを「高める」HR Techの活用術
エンゲージメントの可視化に加え、HR Techは行動変容を促す仕組みづくりにも効果を発揮します。主な活用術については以下の通りです。
1.フィードバック文化の醸成
サーベイ結果をもとに、上司と部下が1on1面談で率直に対話する機会を設けることで、信頼関係が深まり、心理的安全性が高まります。HR Techは面談内容の記録・分析だけでなく、企業全体でナレッジを共有するプラットフォームとしても機能します。1on1の効果についてより詳しくはこちら(1on1ミーティング・面談の目的は?得られる効果や実施時の注意点 )を参照ください。
2.リスキリングとの連携
学習管理システム(LMS)と連携することで、従業員が感じる成長実感の可視化が可能です。
キャリア目標に沿った学習計画を自動提案し、学びを通じたエンゲージメント向上を支援します。
3.報酬・評価制度との統合
エンゲージメントデータを基に、評価や報酬の仕組みに反映することで、「働きがい」と「働きやすさ」の両立が可能です。従業員の努力や成長が正当に評価される文化を育めます。
6月は「変化のサイン」を見逃さない月
梅雨の時期は、気候の変化や業務繁忙、チーム再編などで、知らず知らずのうちにモチベーションが下がりやすいタイミングです。人事やマネジメント層に求められるのは、「変化のサイン」を早期に察知し、適切なアクションにつなげることです。HR Techを活用すれば、アンケート・面談・行動データなどを総合的に分析し、企業の健康診断を自動で行えます。
6月の段階で課題を把握できれば、夏以降の離職やパフォーマンス低下を防ぐ有効な手立てとなります。
まとめ
6月は、企業の温度を測り、働きがいを見直す良い機会です。人事部門がHR Techを活用して従業員の声を拾い上げ、経営と現場をつなぐ架け橋となることが、企業の持続的成長の鍵となります。当社は統合人事システム「COMPANY®」の導入・定着サポートから、データ活用による業務効率化など、お客様のごとの課題やニーズに応じた柔軟なソリューションをご提供しております。人事システム運用の最適化、工数削減、費用効率化を目指したサポートをさせていただきます。COMPANY®を活用したDX支援もご相談ください。







