2025.07.23

CAPEXとOPEXとは?コストからみるITシステムのクラウド化

CAPEXとOPEXとは?コストからみるITシステムのクラウド化

はじめに

時代の変化とともに社内インフラをオンプレミスからクラウドへ移行する企業が増えています。特に近年は新型コロナウイルスの感染対策に端を発した働き方の多様化などにより、企業のクラウド化は加速しています。この記事では、企業会計の支出の種類を示す「CAPEX」「OPEX」の違いを通して、クラウド移行のメリットと課題点について解説します。

CAPEXとOPEXの違い

オンプレミスからクラウドへ移行する際、考慮すべき要素としてCAPEXとOPEXがあります。この二つの言葉はどちらも企業会計における支出の種類を示し、予算編成や投資計画、コスト管理などに用いられます。サーバや機械設備などの初期投資を比較する際には、この違いを知っておくことが重要です。

CAPEXとは?

CAPEXとは「Capital Expenditure」の略で、長期的な投資などの「資本的支出」を指します。企業の生産性を向上させ、資産価値を維持・向上するための設備投資に関わる支出で、製造業なら工場や機械などが含まれます。例えばITシステムの導入においては、サーバや回線などの情報システムを自社で構築し、資産として利用する場合は設備投資にあたるためCAPEXとなります。

OPEXとは?

OPEXとは「Operating Expense」の略で、「事業運営費」を指します。企業を運営していくための日常業務に必要な費用で、オフィスの賃貸料・給与・光熱費、ITシステムの導入においては通信費やクラウドサービスの利用料などの合計がOPEXです。

図1:CAPEXとOPEXの違い

ITシステムの導入における財務管理の違い

ITシステムにおいては、導入の方法によってCAPEXとするかOPEXとするかの扱いが異なってきます。ここではオンプレミスとクラウドで財務管理がどのように変わるのかを見てみましょう。

図2:オンプレミスとクラウドの財務管理の違い

CAPEX|オンプレミス導入時の財務管理

サーバは自社の資産として購入するため、資産(有形資産)として計上し、機器に応じた耐用年数に沿って減価償却します。導入時の費用はCAPEXとなります。

CAPEX|オンプレミス導入後の財務管理

土地や建物を買うことと似ていて、資産によっては固定資産税の対象となることもあり、保有している限り税金を支払う義務があります。例えば、サーバなどのIT機器を自社で所有して事業に使用している場合、一般的に償却資産として扱われ、固定資産税が課せられることがあります。サーバを含むIT機器は、その価値や減価償却の計算を正確に行う必要があるため、財務管理の一環として注意深く取り扱う必要があります。

OPEX|クラウド移行時の財務管理

サーバやデータセンターなどはサービス提供会社が保有しているため、移行時にかかる初期費用は一般的に繰延資産として処理し、数年にわたって償却していきます。自社でソフトウェアを構築した場合は無形資産として計上し、利用期間(概ね5年以内)にわたって償却します。一般的に導入時の費用はOPEXとなります。
また、サービスによっては初月(あるいは30日間)費用無料としているものもあり、そういったサービスを利用することで初期費用を抑制することも可能です。無料期間中に、そのサービスが本当に自社に合っているかどうかも見極められるというのもメリットです。

OPEX|クラウド移行後の財務管理

利用するサービスによってかかるコストは変わりますが、その利用料は基本的に費用として計上します。月額利用料という形で、利用期間に応じた支出(従量課金)となるのが強みです。またオンプレミスとは違い固定資産でないため、取得費用回収のために資金繰りを考えたり、固定資産税を支払ったりする必要もありません。

CAPEX、OPEXからみるコストと価値の最適化

CAPEXは長期的な投資となるため、即座にリターンを得ることはほとんどありません。また数年後にどの程度のリターンが得られるかを予測することは難しく、大きな資産的リスクが伴うと考えられます。このリスクを軽減するために、CAPEXをOPEXに移行する企業が増えています。
しかしオンプレミスとクラウドにはそれぞれメリット・デメリットがあるので、自社の状況に応じて最適な選択をすることが大切です。ここからは、オンプレミスとクラウドの具体的なメリットとデメリットについて解説します。

CAPEX|オンプレミス導入時のメリットとデメリット

メリット
オンプレミス導入では、企業が独自のサーバやネットワーク機器、関連するインフラを購入するために大きな資本を投じる必要があります。これは高額な初期費用を伴いますが、これらの資産を所有することで、長期的には固定資産としての価値を維持できます。その結果、一定期間が経過すると、設備の維持管理にかかるコストが低減される可能性があります。

デメリット
オンプレミス導入は大きな資本的支出を伴い、特に初期投資が重くなるため、資金繰りに影響を与える可能性があります。これは新興企業や中小企業にとって特に大きな負担となることがあります。
さらに、技術の進化に伴い既存設備が古くなるリスクもあります。オンプレミスのハードウェアは購入後も技術の進展に追随するために定期的なアップグレードが必要で、これに伴い追加のCAPEXが発生します。このため、企業は長期的な視点で設備の更新を計画し、適切なタイミングでの投資が求められます。

OPEX|クラウド導入時のメリットとデメリット

メリット
会計的な観点からみると、OPEXは運用費用として即座に収益から差し引かれるため、長期的な返済の必要がありません。クラウドの場合、自社に合ったサービスを必要な期間だけ契約し、利用した分だけ支払うため、固定資産の購入と比較してコストを抑えることができます。また、常に最新のサービスを利用できるほか、契約によっては他社のより安価なサービスに乗り換えることも可能です。これにより、より便利なツールを利用することで生産性が向上し、付加価値が上がるため、価値最適化を図りやすくなるという利点があります。

デメリット
クラウドへの移行では、運営費用が変動費として扱われます。クラウドサービスは使用量に応じて課金されるため、長期的かつ継続的な支出が必要になると、予算管理が複雑になる可能性があります。特に、サービスの使用量が増加すると予想以上に費用が膨らむことがあり、これが企業の財務計画に予期せぬ影響を及ぼすリスクがあります。
また、クラウド移行に伴うOPEXの増加は、運用管理やセキュリティ対策のコストにも影響を及ぼします。クラウド環境では、新たなセキュリティ対策やデータ管理の手法が必要となり、それに伴い専用の人材やソフトウェアの導入が求められることがあります。これもOPEXをさらに増加させる要因となり得ます。

オンプレミス クラウド
メリット 固定資産になる
維持管理コストが低減される可能性がある
導入コストを抑えられる
別サービスへの乗り換えが容易
デメリット 初期投資が大きい
アップグレードに伴い追加のCAPEXが発生する
予算管理が複雑になる可能性がある
運用のための人材確保などでOPEXが増加する

クラウド運用サービスでOPEXの最適化を

クラウド導入における課題に対しては、外部のクラウド運用サービスを活用することで有効な解決策となり得ます。まず、クラウド運用サービスは専門的な知識と経験を持つプロフェッショナルによって提供されるため、企業は自社内で新たに専門知識を習得したり、専任スタッフを雇用したりする必要がなくなります。したがって、運用にかかる人件費や教育費を削減することにつながり、OPEXの増加を抑えることが可能となります。
さらに、クラウド運用サービスは効率的なリソース管理を提供することで、使用量の最適化を図ることができます。これにより、クラウド利用にかかる変動費を管理しやすくし、予期せぬ費用増加のリスクを軽減することができます。
また、外部サービスを利用することで、最新のセキュリティ対策や技術を常に採用することが可能となります。クラウド運用サービス事業者は、日々進化するセキュリティの脅威に対処するための最新技術とノウハウを持っているため、企業はこれらを活用することでセキュリティ関連のコストを抑えつつ、リスクを最小化することができます。

まとめ

今回はCAPEXとOPEXの最適化についてご紹介しました。オンプレミスからクラウドへ移行する場合、通常は全てをクラウド化せず、オンプレミスとクラウドが混在した環境になります。クラウドでの運用管理にはオンプレミスでのノウハウ以外の知識・スキルが必要です。また、クラウド環境では、運営費用が使用量に応じて変動するため、予算の予測が難しくなることがあります。
セラクのマネージドサービスは、オンプレミスとクラウド両方のナレッジを持ち合わせているため、最適な運用管理をご提供できます。盤石なバックアップ体制のもとで最新鋭のITリソースを活用いただけます。24時間365日の監視業務や急な障害対応などに時間を割かずに、担当者はIT戦略や企画などのコア業務に集中できるようになります。また企業においても新たな人材の確保や教育に費やす時間もかからず、コスト最適化を図ることも可能です。
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