はじめに
「教育・人材・介護・製造といった業種の異なるグループ会社を10数社抱え、それぞれの就業規則や給与計算ロジックがバラバラ、本社人事として一元的に統制する仕組みが組めない。」
「人事関連で10以上のシステムと紙の書類管理が併存している。システム間のデータ連携が手作業で、法改正のたびにイレギュラー対応に追われる。」「シェアードサービス会社として20名前後の体制で、グループ8社の給与計算と14社の人事情報を回している。これ以上業務を増やす余力はない。」
ホールディングス本社の人事部長や、グループ内シェアードサービス会社の運用責任者の方から、私たちはこんなご相談を頻繁にいただきます。ホールディングス/シェアードサービスは人事システムの観点から見ると、業種・規模・制度の違いを1つの基盤に収める難しさと、少人数で多数を支える効率性を同時に求められる領域です。
こうした業界特有の課題を解決する選択肢として、私たちは統合人事システム『COMPANY®』を中心とした構成をオススメしています。COMPANY®は国内大手企業向けERP市場でトップクラスのシェアを持ち、複数法人を抱えるグループ会社やシェアードサービス会社で長年採用されてきた製品です。私たちセラクは、Works Human Intelligence認定オフィシャルパートナーとして、150名超のエンジニア体制でホールディングス/シェアードサービスを含む大手企業のCOMPANY®導入・運用支援を担い、豊富な支援実績によって業界特有のナレッジを蓄積してきました。その立場から、本記事では業界が直面する3つの構造課題、COMPANY®が満たす5つの要件、選定でつまずくパターン、運用設計のコツを整理します。
目次
ホールディングス/シェアードサービスの人事システムが直面する3つの構造課題
ホールディングス/シェアードサービスの人事システムは、他業界と比較しても複数法人を同時管理する難しさが際立つ領域です。「グループ全体を1つの基盤に収める」要件と「少人数で運用する」要件を同時に満たす必要があるためです。
課題1:業種・規模・制度がバラバラな複数法人を同時管理
ホールディングスの中には、連結子会社8社・非連結子会社7社・関連会社2社といった構成で、人事管理対象が3,000名規模になる場合があります。教育・人材・介護・製造など業種が完全に異なるグループ会社を、本社人事として一元的に統制するのは並大抵ではありません。各社の就業規則・給与計算ロジック・休暇制度・評価制度がそれぞれ独自に進化しているからです。
課題2:複数システムと紙運用が混在し、データが分断
業界には人事関連で10以上のシステムと紙の書類管理を併用している企業が珍しくありません。スクラッチ開発のWebシステム、グループウェア、年末調整は別管理、勤怠は別ベンダといった分断状態では、システム間のデータ連携が手作業になり、法改正のたびにイレギュラー対応が発生するため、専門知識を持つエンジニアと相応の費用が必要になります。
シェアードサービス側でも、雇用形態によってシステムにアクセスできない従業員の存在や、アナログ管理の残存などが原因で、登録更新作業時のミスや漏れリスクが発生しやすいです。
課題3:少人数で多数の従業員を管理する構造
シェアードサービス会社では、20名前後の体制で8社の給与計算と14社の人事情報を回しているような事例も見られます。グループ規模が拡大しても運用人数は簡単に増やせないため、1人あたりの管理従業員数を増やしながら品質を維持する設計が、業界全体の構造的要件になっています。
ERP運用が属人化してブラックボックス化する構造については、より詳しく整理した過去記事もあります。詳しくはこちら(なぜERP導入は失敗するのか|支援事例から読み解く「詰む」判断タイミングと回避策)をご覧ください。
HD/SSCに求められる5つの要件とCOMPANY®が満たす理由
業界の構造課題を踏まえると、人事システムには5つの要件が求められます。COMPANY®がこれらの要件を満たす理由について解説します。
要件1:マルチカンパニー・シングルインスタンス
第一の要件が、1つのシステム基盤で複数法人を同時管理できる設計です。各社で別々のシステムを運用すると、データ統合と運用負担が法人数に比例して膨らんでいきます。
COMPANY®は人事給与(CJK)・ワークフロー(CWS)・就労管理(CSR)の3領域を複数法人に同時展開できる構造を持ち、過去には7社を同時導入した事例もあります。グループ会社単位でシステムを増やすのではなく、1つの基盤で全社を支える設計が業界と相性の良い形になります。
要件2:業種業態・制度の違いを標準機能で吸収
教育事業・人材事業・介護事業・製造業など、業種が異なるグループ会社の就業規則・給与計算ロジック・休暇制度を、標準機能の組み合わせで吸収できる柔軟性が求められます。
COMPANY®は「標準機能が充実しているため、特別なカスタマイズが不要で、アップデート時の影響を受けにくく、システム維持管理が簡素化される」設計の製品で、業種混在のグループ展開と相性が良い構造を持ちます。各社固有のルールを設定の組み合わせで吸収していけるため、グループ拡大のたびに大規模改修が不要な点が、長期運用での負担を下げていきます。
COMPANY®の標準機能を最大限活かす考え方については、より詳しい解説記事もあります。詳しくはこちら(統合人事システムCOMPANY®の利用メリットと活用のポイント)をご覧ください。
要件3:本籍ID管理と権限分離
社員がグループ会社間で出向・転籍を繰り返すのは、業界ではよくある人事異動パターンです。COMPANY®には高度なID管理機能が標準搭載されており、本籍IDを維持しつつ一括管理ができます。また、マルチカンパニー運用の権限分離を業務側の都合に合わせて柔軟に組める点も、業界で評価されてきた特徴です。
要件4:データの一元管理と業務フロー改善
複数システムと紙媒体に分散していたデータを1つの基盤で一元管理することは、業界にとって大きな価値があります。私たちが支援した事例でも、新システムの導入後に人事部の残業時間が目に見えて減少/届け出関連の承認フロー高速化/各社間の郵送物削減/データ管理工数削減といった効果が出ています。
さらに、データが1か所に集約されることで「人事データ活用に取り掛かるための基礎構築」が進み、戦略人事への展開が現実的になっていくのです。
要件5:少人数で運用できる効率性
シェアードサービスは構造的に少人数で多数を支える業態です。COMPANY®の標準機能を活かした業務標準化と、運用フロー改善を組み合わせることで、過去に対応したお客様の中には月あたりの課題対応件数が約2倍に高速化した事例もあります。製品と運用支援を両輪で活用することで、属人化を防ぎつつ、少人数でグループ会社を運営できます。
選定でつまずく3つのパターン
私たちが選定の上流段階で関わったケースから、HD/SSCでよくある3つの典型的なつまずきパターンを整理します。
パターン1:単一法人向けで評価し、グループ展開で詰まる
「まずは本社で導入して、後でグループ展開すればいい」と、単一法人前提で製品を選んだ結果、グループ展開フェーズでマルチカンパニー対応の限界が見えるケースです。後付けで他法人を追加していくとデータモデルが歪み、運用負担が膨らんでいきます。導入の段階でグループ全社展開を前提に評価するのが現実的でしょう。
パターン2:紙運用・アナログ管理を残したまま乗り換える
「全部をシステム化するのは無理」とアナログ管理を温存したまま新システムに乗り換えた結果、システム連携不足による登録更新作業時のミスや漏れリスクが常態化するケースです。紙との並行運用は、現場の二重入力と人事部の負担を温存します。乗り換えのタイミングでペーパーレス化を計画的に進める判断が、長期的にコストを下げていきます。
パターン3:データ統合の設計を後回しにする
「まずはシステムを動かしてから、データ統合は後で考える」と進めた結果、人事データ活用フェーズで再度設計をやり直すケースです。マスタ設計やコード体系の統合は、初期構築のときに済ませておくのが結局は近道になります。
HD/SSC特有の運用設計4つのコツ
業界の人事システムを長期的に安定運用する際に、私たちの支援現場で効果的だった4つのコツについて解説します。
コツ1:他社事例をベストプラクティスとして取り込む
業界の特殊性は高いものの、先行する他社で蓄積されたベストプラクティスを取り込むことで、ゼロから設計する必要がなくなります。改善改修時の設計方針を固める際に他社事例を参照することは、運用品質を底上げする近道です。
コツ2:業務フロー改善をアジャイル的に回す
業務改善は一度に大きく変えるのではなく、アジャイル的なアプローチで小さく回すのが効果的です。月次の改善サイクルや四半期の振り返り、年次の大きな見直しなどを実施することで、運用負担を軽減しながら品質を向上できます。
コツ3:社内担当者の上流工程シフトを計画する
シェアードサービスの構造的な目標は、社内担当者を作業要員から上流工程の判断者へシフトさせることです。日常的な運用作業を効率化し、社内担当者が「上流工程に注力できる時間を確保」し、戦略的な業務に集中できる体制を組んでいきます。社内担当者の成長機会を意識的に作る設計は、長期的な組織力の底上げにつながります。
属人化解消と標準化の進め方については、より詳しい解説記事もあります。詳しくはこちら(COMPANY®で属人化を解消!活用標準化の支援事例について解説)をご覧ください。
コツ4:エビデンス管理で変更履歴を残す
複数法人を1つの基盤で管理するからこそ、「いつ、誰が、どのような設定変更を行ったか」を詳細に記録するエビデンス管理が有効です。振り返りや引き継ぎがスムーズになり、グループ規模が大きくなるほど真価を発揮していくのです。
自社で進めるか、外部支援を入れるかの判断
選定と運用を自社のみで進めるか、外部の支援を受けるかは、3つの判断軸で見極めるのが現実的です。
判断軸1:HD/SSCの支援実績がある外部支援者がいるか
ホールディングス/シェアードサービス特有の難しさは、同業界の支援経験を持つパートナーでないと見通しにくい領域です。組織力の点で抜きん出ている支援者を選ぶことで、グループ規模が拡大しても安定した支援が継続できます。
判断軸2:業務フロー改善の方法論を持つか
製品を入れて終わりではなく、業務フロー改善をアジャイル的に回せる方法論を持つ支援者を選ぶと、運用フェーズの成果が大きく変わってきます。他社事例の引き出しと、自社業務の理解を組み合わせられる伴走者が理想です。
判断軸3:内製とアウトソースを柔軟に組み合わせたいか
「全部内製化」か「全部アウトソース」かの二択ではなく、上位レイヤを社内人材、下位レイヤを外部支援といった役割分担で進めるケースは少なくありません。私たちセラクは、内製化を目指すクライアントにも、アウトソースしたいクライアントにも、ご要望に応じて伴走するスタンスをとっています。
支援会社選びの観点については、より詳しく整理した過去記事もあります。詳しくはこちら(COMPANY®導入・運用支援 支援会社を選ぶ時のポイント6選)をご覧ください。
まとめ
ホールディングス/シェアードサービスの人事システム選定では、業種・規模・制度が異なる複数法人を1つの基盤で支える製品と、HD/SSCの知見を持つ伴走パートナーを組み合わせて検討することが重要です。私たちは、5つの要件を体系的に満たす製品としてCOMPANY®を中心とした構成を業界の現実解としてオススメします。3つの失敗パターンを避け、4つの運用設計のコツを定着させることで、少人数でグループ全社を支える基盤を構築できます。
「グループ全社の人事を一元化したい」「シェアードサービスの効率を上げたい」「業界に詳しい外部パートナーを探している」どれか1つでも当てはまるなら、外部の専門家と話してみる段階だと私たちは考えています。
私たちセラクは、Works Human Intelligence認定オフィシャルパートナーとして、ホールディングス/シェアードサービスを含む複数法人体制の企業のCOMPANY®導入・運用を伴走してきました。過去の支援で蓄積した業界ナレッジを活かし、お客様の選定と運用を組織として支えています。サービスの全体像をまとめた資料をご用意しています。社内で検討材料として共有いただける形にしていますので、まずはお気軽にお取り寄せください。
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