2022.10.28

A/Bテスト

A/Bテスト

読み方:エービーテスト

A/Bテストとは

A/Bテストは一つの要素に対してAパターンとBパターン2つの比較対象を用意し、一定期間レビューして、どちらがより訴求効果があるか検証する手法です。
A/Bテストで一度に複数の条件を変更すると、どの要素への変更が改善につながったのか判断が難しくなります。そのためCTAボタンやフォームなどの要素は必ず一つずつ検証し、ユーザの興味関心が高いパターンを反映することが重要です。
A/Bテストは時期的要因や流行で訪れるユーザの動向・趣向の移り変わりに影響を受けることを考慮し、継続的に検証と改善を行います。また2パターンを異なる時期に検証してしまうと統計的に信頼できないデータとなってしまうため、必ず同じ時期に行う必要があります。

A/Bテストの目的

A/Bテストの目的はコストを抑えながらパターンを比較し、Webサイトを効果的なものに成長させることです。ここではA/Bテストを行う目的について、利点を交えながら詳しくご説明します。

  • コストを抑えて効率よくCVを獲得する
    A/Bテストはコストを抑えながら効率よくCV(Conversion:コンテンツが問い合わせや資料請求など新規ユーザ獲得につながること)を獲得できます。Webサイトの場合1から構成する必要がないため大規模な予算をかけず低コストで運用できます。また1箇所の要素のみを変更するため少ない作業工数で改善サイクルをまわせる点も利点です。
  • リニューアル時のリスクを回避する
    A/Bテストを行い、比較対象を検証することで改悪のリスクを減らせます。たとえばURLを変更してしまうと、今までアクセスできていたページにユーザが訪問できなくなる可能性があります。これはSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に影響を及ぼすだけでなく、リニューアルがCVR(Conversion Rate:コンバージョン率)を下げる内容だった場合に大きな損害を生むことになります。A/Bテストは検証結果に基づいて改善を行うためリニューアル時に生じるリスクを回避できます。

A/Bテストの対象となる要素の一例

A/Bテストを実施する場合、比較する要素がたくさんあり何から手を付けていいのか分からなくなることがあります。ここではA/Bテストがよく使われる比較箇所についてご説明します。

  • ファーストビュー
    一般的にWebサイトにアクセスして3秒でそのサイトが「自分にとって有益かどうか」を判断するといわれています。離脱を防ぐためにも最初に目にするファーストビューでユーザの興味関心を惹き「自分の知りたい情報だ」と思ってもらうことが重要です。特にアイキャッチ(メインとなる画像やイラストなどの視覚コンテンツ)を変更するだけでCVRやCTR(Click Through Rate:クリック率)に影響が出るため、何が最適かA/Bテストでユーザの反応を検証する必要があります。
  • CTA
    CTAとは「Call To Action」の略語でユーザに行動を促すためのテキストやボタンのことを指します。CV獲得で必要になる要素のため、ユーザの目に付きやすい位置や色、サイズにすることが望ましいです。A/Bテストでユーザがより行動を起こすCTAテキストやCTAボタンはどちらか、どのタイミングが最適なのか検証できます。たとえば「1分で申込み完了」と手軽さを訴求するのか「当日予約も可能」と柔軟性を訴求するのかでCVRに影響が出てきます。
  • フォーム
    フォームは入力のわずらわしさからユーザの離脱が発生しやすい箇所です。しかしフォームまでたどり着いたユーザの興味関心は高いと予想できるため、フォームの改善は今後のCVR向上に期待できます。たとえば不要な項目を削除する、オートコンプリート機能を設定するなどユーザの負担を減らす改善をしていくことが大切です。

A/Bテストの成功事例

  • アメリカ大統領候補の献金サイト
    A/Bテストの成功例にアメリカ大統領候補が自身の公式サイトでA/Bテストを行い、6,000万ドルの選挙資金と多くの支援者(CVはメール会員登録)を獲得した事例があります。具体的には4種類のCTAボタンと6種類のメインビジュアルを組み合わせた24パターンの多変量テストを行いました。

CTAボタンのバリエーション

  • JOIN US NOW(今すぐ参加する)
  • LEARN MORE(もっと詳しく)
  • SIGN UP NOW(今すぐ会員登録)
  • SIGN UP(会員登録)

メインビジュアルのバリエーション

  • 大統領候補の氏名が書かれた旗に囲まれた大統領候補の写真
  • 大統領候補の家族写真
  • あおり気味の正面から撮られた引き締まった表情の大統領候補の写真
  • 大統領候補が視聴者に語りかける動画
  • 大統領候補の演説の一部を抜粋した動画
  • 支援者の様子を映した動画

検証期間中に約31万もの人が公式サイトを訪問し、各パターンは約13,000人に表示されました。その結果1番効果のあった組み合わせは「LEARN MORE(もっと詳しく)」と「大統領候補の家族写真」でした。
A/Bテスト実施により選挙活動中に当初の見込み獲得数より約30%増のメール会員登録を獲得し、大統領候補は寄付金6,000万ドルを得ることに成功しました。
画像をAパターン、動画をBパターンとしたA/Bテストの結果、画像の方が良い結果を出しました。
このように繰り返しA/Bテストを実施することは改善の余地を発見できるだけでなく、のちに大きな効果を生み出す可能性のある施策といえます。

A/Bテストの関連語

  • 多変量テスト
    一部の要素を検証するA/Bテストに対し、多変量テストは複数の異なる要素を組み合わせてより多くのパターンを検証したいときに有効な手法です。A/Bテストでも要素を組み合わせてテストすることは可能ですが、多変量テストは一度に全ての要素を組み合わせてテストできる点がメリットといえます。ただしテストする要素が多いほど、分析するための母数として多くのトラフィック(サイトへのアクセス数やクリック数)を必要とするため、トラフィックの少ないサイトには不向きです。
  • スプリットテスト(スプリットランテスト)
    スプリットテスト(スプリットランテスト)は印刷媒体において、一部の表現を変えた2種類以上の広告を同時期・同じ条件下で出稿し、表現の違いによるユーザの反応を測定する手法です。Web業界では確立した定義がまだありませんが、A/Bテストの別称、あるいはA/Bテストや多変量テストの総称とされています。