2022.03.28

UPS(無停電電源装置)

UPS(無停電電源装置)

 読み方:ユーピーエス(ムテイデンデンゲンソウチ)

UPS(無停電電源装置)とは

UPSとは、Uninterruptible Power Supplyの略で、「無停電電源装置」とも呼ばれます。UPS(無停電電源装置)は停電をはじめ、瞬時停電や瞬時電圧低下、電圧変動、サージ、電磁ノイズといったさまざまな電源トラブルが発生したときに、一時的に機器に電力を供給することで業務を継続させる、あるいは安全にシャットダウンするための時間を稼ぐための装置です。電源途絶が大きな問題となるデータセンターや発電所、工場や病院をはじめ、近年ではオフィスでも利用が進んでいます。

UPS(無停電電源装置)の特徴

対応できる停電時間は数分から30分程度のものが多く、単体で予備電源としては機能しません。そこで大きな施設では、発電機と組み合わせて使用することも多くみられます。

UPS(無停電電源装置)の導入例

  • 自動車工場での導入例
    送電線トラブルにより停電などが発生すると、工場では制御装置と生産管理システムをつなぐ無線通信ユニットの電源がリセットされ、通信が遮断されます。それにより生産管理システムでの工程データ欠けが発生し、データ復旧までの間、ラインが停止してしまいます。そこでUPSを導入し電源をバックアップすることで、送電線トラブルによるライン停止を予防しています。

  • 半導体製造工場での導入例
    半導体製造工場での設備保守時、保守作業員が装置停止手順を誤るといった些細なミスから、SECS通信用パソコンが正常終了されないまま電源OFFになることも起こりえます。その場合、重要な通信データが失われ、長期の生産停止に追い込まれてしまう恐れがあります。そこで万一の場合に備え、UPSでSECS通信用のパソコンの電源をバックアップし、不意の電源OFFからのデータ損失や生産停止などの事故を防ぐために導入されています。

  • 薬品製造工場での導入例
    落雷などにより工場で停電が発生した場合、無菌状態の維持が必須の薬品製造装置において、停電によりバルブの制御ができなくなり、無菌状態が失われてしまうことがあります。その場合、正常に戻すまでの長時間、製造が止まってしまう恐れがあります。そこで停電に備え、UPSで制御装置やバルブの電源をバックアップし、長時間の製造停止を防ぐために導入されています。

  • オフィスでの導入例
    オフィスでサーバを導入する時にはUPSもあわせて設置されるケースが増えていますが、ルータなどのネットワーク機器をUPSで保護するケースは多くありません。万一の電源トラブルが起こった場合、サーバは無事でもルータなどのネットワーク機器は影響を受け、外部との通信やインターネットへの接続ができずに業務が滞ってしまう恐れがあります。サーバだけでなく、ルータをはじめとしたネットワーク機器も電源をバックアップすることで、緊急時のネットワーク接続を保護できるため、より容量の大きなUPSが導入されています。

UPS(無停電電源装置)が使われるようになった背景

元来UPSは、データセンターなど停電による影響を大きく受けやすい設備、施設などを中心に利用されていました。しかし2011年の東日本大震災をきっかけに、電力の安定供給への不安を感じる企業が増え、停電リスクを重く捉えた企業がUPSの新規導入や見直しを図り、小規模のオフィスなどでも使用されるようになりました。

UPS(無停電電源装置)の関連語

日本では、無停電電源装置を直流出力と交流出力で区別して、直流出力のものをUPS、交流出力のものをCVCF(Constant Voltage Constant Frequency=定電圧定周波数装置)と呼ぶこともあります。他に似た機器では、瞬間的な電圧低下への対策に機能を絞った「瞬時電圧低下補償装置(瞬低補償装置)」という装置も存在します。