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電子帳簿保存法とは?初心者向けに対応を解説!

date2026年08月26日
電子帳簿保存法とは?初心者向けに対応を解説!
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はじめに

  • 電子帳簿保存法とは、国税関係書類の電子保存を認める法律のこと
  • 改正後は、電子取引データの保存が完全に義務化された
  • ほぼすべての事業者が対象で、条件次第では雑所得申告者も含まれる
  • 違反した場合は、青色申告取消や重加算税などの厳しい罰則がある
  • データ紛失防止のため、バックアップは複数箇所に取ることが推奨される

2022年に改正された電子帳簿保存法は、2024年に義務化されるまでの間に内容の緩和や移行期間措置があったため、何をどのように対応するべきか、分かりにくくなっています。

この記事では、フリーランスや個人事業主などの初心者向けに、電子帳簿保存法とは何か、内容や対応方法などを具体的に解説します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や取引書類を電子データで保存できるようにした法律です。帳票類のデータでのやり取りが増えた昨今、ペーパーレス化の推進など環境への配慮と業務効率化を目指して、これまでは紙で保存していた帳簿・帳票類を電子データで保存できるようになりました。2024年1月から電子取引データ保存の義務化が施行されたことで、多くの事業主が対応を迫られています。

参考:国税庁| 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問68
参考:国税庁|電子帳簿・電子書類関係

すべての帳簿や帳票を電子保存する必要があるの?

結論からいうと、すべての帳簿や帳票を電子保存する必要はありません。電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分があります。その中でも、2024年から義務化された区分3の電子取引データ保存は、ほぼすべての事業者が対象です。

区分1の電子帳簿等保存と区分2のスキャナ保存は、経理処理をどこまで電子化しているかによって、必要な対応が異なります。

まずは、2024年の義務化とともに改正された内容を見ていきます。

  1. 電子取引データの保存義務化
  2. 規制緩和で導入のハードルが低下
  3. 罰則規定の強化

1.電子取引データの保存義務化

電子取引データとは、メールやクラウドサービスなど、電子的な取引を行った際の書類(見積書・請求書・領収書・注文書・送り状など)のことです。改正されたことで、電子で取引したデータは、電子データのまま保存することが義務化されました。

たとえば、事務用品をネット通販で購入した場合の請求書や領収書、注文書等が対象です。ネット環境下のみで業務を行っているフリーランスにとっては、取引先とのやり取りの多くの書類が対象となります。

2.規制緩和で導入のハードルが低下

改正前の電子帳簿保存法は、電子保存を行うための要件が厳しく、フリーランスや個人事業主にとってはハードルが高いものでした。そのため改正後の規制緩和により、対応しやすい環境が整備されました。以下は、規制緩和で変化があった例です。

  • 電子帳簿等保存

    「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象帳簿(仕訳帳・総勘定元帳・その他必要な帳簿)について、以前は青色申告に係るすべての帳簿とされていました。しかし改正では、その他必要な帳簿の範囲が記載事項のある帳簿に見直されています。

  • スキャナ保存

    スキャナで読み取った書類と帳簿との間に、相互の関連性を確認できるようにしておく必要がある書類は、国税関係の重要書類に限定されました。契約書・領収書・送り状・納品書など、資金や物の流れに係る書類が対象です。その他一般書類については関連性の確保は不要になります。

  • 電子取引データ保存

    保存した電子取引データは、日付や金額、取引先等の要素ごとに検索できるようにしておく必要があります。範囲指定検索や2つの要素を組み合わせた検索等の措置が必要です。簡易な対応として、表計算ソフトで索引簿を作ったり、ファイル名を日付・金額・取引先の順で表記するなど規則性を持たせたりすることで対応可能としています。

上記のような規制緩和により、多くの事業者がデジタル化を進めやすくなりました。

参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました
参考:国税庁|電子取引データを適切に保存できていますか?

3.罰則規定の強化

規制緩和の反面、改正後の罰則規定は強化されており、厳しいペナルティが科されるようになりました。

  1. 帳簿や書類が保存要件を満たしていない場合のペナルティ
  2. 青色申告の承認取り消し(特別控除が受けられなくなる)
  3. 重加算税10%の加重(電子データに不正を働き過少申告をした場合)
  4. 100万円以下の罰金(帳簿や書類が適切に保存されていない場合や不正・改ざんが行われた場合)

上記に挙げた罰則を受けた場合、事業の信用性や財務状況に直接影響を与えることが考えられます。法律の要件を正確に理解し、適切な対応を行うことが必要不可欠です。特に、初めて電子化に取り組む場合は、専門家やツールを活用して違反にならない体制を整えましょう。

電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法では、デジタル化が進む現代の取引や業務に対応するため、特定の書類を電子データで保存することが求められます。ただし、すべての書類が対象となるわけではなく、対象外の書類も存在します。フリーランスや個人事業主が効率的に対応するためには、対象書類を正しく理解することが大切です。

対象書類の保存区分

電子帳簿保存法の対象となる書類は、主に国税関連の帳簿や証憑書類です。具体例は以下の表のとおりです。

国税関係帳簿国税関係書類電子取引
決算関係書類取引関係書類
自己発行の写し相手から受領電子メール・EDI・クラウドサービス・サイトからダウンロードなど
  • 総勘定元帳
  • 補助元帳
  • 売上台帳
  • 固定資産台帳
  • 仕訳帳
  • 現金出納帳
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 棚卸表
  • 見積書
  • 注文書
  • 契約書
  • 納品書
  • 請求書
  • 領収書
  • など
  • 見積書
  • 注文書
  • 契約書
  • 納品書
  • 請求書
  • 領収書
  • など
  • 見積書
  • 注文書
  • 契約書
  • 納品書
  • 請求書
  • 領収書
  • など
一貫して電子上(パソコン等)で作成した手書き紙で受領電子データによる 送付・受領
帳簿書類
区分1:電子帳簿等保存
(任意)
区分2:スキャナ保存
(任意)
区分3:電子取引データ保存
所得税・法人税を申告する
全事業者が対象

参考:マネーフォワード|電子帳簿保存法とは?2024年からの改正内容・対象書類を簡単に解説 参考に自社で作成

電子取引データ保存は義務化されていますが、電子帳簿保存やスキャナ保存は任意です。ただし、自己発行の見積書等の書類に関しては、自己が最初の作成段階から一貫してパソコン等(コンピュータ)で作成している場合は電子帳簿等保存に含まれます。手書きで発行したり紙で受領したりした帳票類は、紙のまま保存することも、要件を満たしてスキャナ保存に切り替えることも可能です。

一方スキャナ保存の要件を満たさなかった書類、法令に基づく保存義務がない書類などは電子帳簿保存法の適用対象外のため、無理に電子化する必要はありません。しかし、必要になった場合を想定し、適切な管理方法で保存しておくことが重要です。

電子帳簿保存法の要件をわかりやすく解説

電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。保存要件は区分ごとに異なるため、該当するルールを理解する必要があります。

区分ごとに求められる保存要件を紹介します。

区分1.電子帳簿等保存の要件:任意

電子帳簿等保存は、パソコンなどで作成した帳簿や書類を電子データのまま保存することを認めた制度です。求められるルールは「優良な電子帳簿」「その他の電子帳簿」「書類」の3つに分けて細かく定められています。

「その他の電子帳簿」が、最低限満たすべきルールを要約しました。

  • システムの仕様書や操作説明書、事務処理マニュアルなどを備え付けること
  • 保存場所で出力可能な状態で、機器と操作マニュアルを備え付けておくこと
  • 税務職員の求めに応じて、必要なデータがダウンロードできるようにしておくこと

「優良な電子帳簿」は、上記ルールに加えて、4つのルールを満たす必要があります。以下にまとめた内容が満たせれば、青色申告特別控除や過少申告加算税の5%軽減措置(要届出)などを受けることが可能です。

  1. 電子帳簿の訂正・削除の履歴が記録できるシステムを使用すること
  2. 通常の業務処理期間が経過してから入力した場合、その事実が確認できること
  3. 電子帳簿の記録内容と関連データの記録内容との相互関連性が確認できること
  4. 取引年月日・取引額・取引先など、一定条件による指定検索ができること

引用:国税庁|はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存
参考:国税庁|優良な電子帳簿の要件

区分2.スキャナ保存の要件:任意

スキャナ保存は、取引相手から紙で受領した書類や手書き作成し相手に渡した書類の写しを、スキャンまたは撮影して保存する制度です。資金や物の流れを示す重要書類のルールを以下に要約しました。

  • 書類の受領等または業務の処理にかかる通常の期間(最長2か月以内)を経過後、すみやか(概ね7営業日以内)に入力・撮影すること
  • タイムスタンプを付与する場合は、入力期間内に行うこと
  • 一定の解像度(200dpi以上)256階調以上(24ビットカラー)で読み取ること
  • 帳簿との相互関連性を確保すること
  • 必要な機器の用意と操作マニュアルなどを整えること

改正前は必要だったタイムスタンプの付与は、改ざん防止機能を備えたシステム利用で代替可能となり、必須ではなくなりました。ただし、重要書類の場合は帳簿との関連性が確認できる状態に整理しておく必要があります。

引用:国税庁|はじめませんか、書類のスキャナ保存

区分3.電子取引データ保存の要件:義務

電子取引データ保存は、メールやPDF、ECサイトからダウンロードした取引データを保存するもので、2024年から義務化された制度です。ここでは、区分1や2とも共通する要件になりますが、電子的にデータを保存するうえで最も重要な、真実性の確保と可視性の確保について解説します。

  • 真実性の確保:電子データが改ざん・削除されていないことを証明する
    (以下のいずれかを満たすこと)
    • タイムスタンプを付与した電子取引データを発行する
    • 電子取引データを受領後、速やかにタイムスタンプを付与する(最長2ヶ月+7営業日以内)
    • 訂正・削除の記録が残るシステムまたは訂正・削除ができないシステムを利用して電子取引データの授受および保存を行う
    • 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて、規定を順守する
  • 可視性の確保:税務調査時に保存された電子データを必要に応じて視認・検索・提出できる
    • データ保存場所に、PCと周辺機器(ディスプレイ、プリンタ、使用プログラムなど)の操作マニュアルを備え付けておくこと
    • 備え付けたデータは整然かつ明瞭な状態で保存し、画面・書面で速やかに出力できるようにしておくこと
    • システムを利用して保存する場合は、そのシステムの操作マニュアルも備え付けておくこと
    • 保存データは、取引年月日や取引先名、取引金額などから検索ができる状態にしておくこと

これらを踏まえて、電子取引データの保存要件を満たしているのかを、以下のチェックリストで確認してみましょう。

チェックリスト
  • 電子データの取引がある?
  • 電子データで保存する?(紙保存不可)
  • 改ざん防止措置はとっている?(タイムスタンプ・履歴・削除不可等)
  • 検索して見ることや提出ができる?
  • 売上が5,000万円以下ではない?

前々年度の売上高が5,000万円以下または以下の条件を満たす場合は、検索要件のすべてが不要となります。

  • 電子取引データがプリントアウト可能
  • データを取引年月日や取引先ごとに整理し、提示・提出が可能な状態

真実性と可視性を確保した保存をすることで、税務調査時に迷わず円滑に対応できるでしょう。

参考:国税庁|電子取引データを適切に保存できていますか?

猶予措置について

電子取引データの保存方法については、真実性と可視性すべての要件が不要となる猶予措置が設けられています。猶予措置は、以下の条件すべてを満たす場合に適用されます。

  • 一定のルールに沿った電子取引データの保存ができていないことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める事業者
  • 税務調査の際に、電子取引データのダウンロードの求め及びその電子取引データをプリントアウトした書面を提示・提出できる事業者

税務署長に認められる相応の理由については、事業者の状況によって変わります。要件が満たせない可能性がある場合は、所轄税務署に相談・確認してみましょう。

参考:国税庁|電子帳簿保存法の内容が改正されました

保存するときに押さえたいポイント

電子帳簿保存法は3つの区分に分けられており、求められる保存方法や要件が区分ごとに異なります。フリーランスや個人事業主は、自身の取引や経理管理状態に応じて、適切に対応することが重要です。

ここからは、それぞれの区分における具体的な対応方法をご紹介します。

電子帳簿等保存の場合

電子帳簿等保存の対応において最初に確認が必要なことは、国税関係の帳簿や書類を、電子データで作成しているか否かです。電子データで作成していない場合は、紙で保管すればいいので対応は不要です。電子データで作成しており、電子データのまま保存する場合にのみ、求められる要件に合わせた対応が必要となります。

前述した「優良な電子帳簿」の要件を満たすためには、以下の手順で対応を進めましょう。

  1. 使用している会計ソフトやシステムが「優良な電子帳簿」の要件を満たしているか確認する
  2. 満たしていない場合は、必要なシステムの導入または入れ替えを行う
    ※要件を満たしている場合は、正しく保存できているか確認する
  3. 保存する機器の近くに関係書類や操作マニュアルなどを備え付ける

要件で重要視されるポイントは、データの改ざん防止措置がとられ、検索しやすく整理されていることです。そのため、訂正・削除履歴を記録できるシステムの利用が推奨されます。要件を満たす会計ソフトやシステムの導入によって、法令遵守はもちろん、業務効率化や税務調査への対応がスムーズに行えます。

スキャナ保存の場合

スキャナ保存の制度は、紙の書類を必ずしもスキャンや撮影を行って電子データで保存しなければならないという法律ではありません。電子データで保存するかどうかは任意ですので、電子データ化せず従来通り、紙の書類で保管する場合は対応不要です。

スキャナ保存する場合は、以下の手順で対応しましょう。

  1. 使用しているシステム・機器が、スキャナ保存の要件を満たしているか確認する
  2. 要件を満たすために必要なシステム・機器の導入または入れ替えを行う
  3. 要件を満たすために必要な社内体制の整備を行う

スキャナ保存では、一定の解像度(200dpi以上)や、原則カラー画像での保存が必要です。改正前は必須だったタイムスタンプの付与は、改ざん防止機能を備えたシステム利用で代替可能となりました。求められる要件を満たすためには、対応できる体制を整えておくことも重要です。

電子取引データ保存の場合

電子取引データ保存は、他の区分と違って完全に義務化されています。そのため、電子的にやりとりを行った請求書や領収書などのデータが1件でもあった場合は、必ず電子データのまま保存しなければなりません。電子取引データがある場合は、フリーランスや個人事業主も対応する必要があるため、勘違いしないよう注意が必要です。

要件を満たすシステムとして、訂正や削除履歴が残せる(または訂正や削除ができない)システムの選択・導入が重要です。また、検索機能を備えた保存方法を整備することも必要な場合があります。専用の保存ツールやクラウドサービスがありますので、事業に合わせて選択しましょう。

電子帳簿保存法の注意点

電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データ保存に対応させる法律ですが、適切な対応を行わないと罰則や業務上の問題が発生する可能性があります。初心者が対応する際には、注意すべきポイントをしっかり押さえることが重要です。

税務調査で見せられる状態にしておく

各保存方法の要件を満たすことで、税務調査時に帳簿や帳票間の関連性が明確にできます。画面での視認やプリントアウトした帳票類を提出できることが重要です。パソコンやモニター、プリンタ、使用しているシステム等、各機器の取扱説明書等を1か所にまとめておくことで、スムーズに対応できます。

データは必ずバックアップを取っておこう

電子帳簿保存法ではデータの改ざん防止や検索性が求められますが、最も重要なことは、データの紛失や破損を防ぐためのバックアップです。万が一、データが消失した場合は税務調査時に必要な書類を提出できなくなる可能性があります。そのため、クラウドサービスや外付けハードディスクを活用して、データを複数の場所に保管しておくことが推奨されます。また、定期的にバックアップの状況を確認して、システム障害や災害に備えたリスク管理を行うことで、安全に対応できるでしょう。

紙での一元管理は難しい可能性がある

電子帳簿保存法に対応する場合、従来通りの紙媒体の帳簿や書類管理は難しくなる可能性があります。特に、電子取引が増加している現代では、紙と電子データの両方を管理するのは業務を増やすことにもつながるため、非効率的といえます。また、電子取引データ保存が義務化されているため、紙媒体での管理体制から、電子データをメインとした管理体制への移行を検討する必要があるでしょう。

まとめ

電子帳簿保存法は、帳簿や取引書類を電子データで保存することを認める法律で、2022年に大きく改正され、2024年から電子取引データ保存が完全義務化されました。この法律は、電子取引データのあるすべての事業者が対象で、条件によっては雑所得を申告する副業者も対象となります。違反時には罰則が課される可能性があるため、区分ごとの要件をしっかりと確認し、データの改ざん防止や検索性の確保のため、正しく対応を行うことが求められます。また、システム障害や災害などに備えて、バックアップやリスク管理体制の整備を意識することも重要です。

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