フリーランス・業務委託

フリーランスに領収書は必要?管理方法と経費精算のポイントを解説

date2025年05月07日
フリーランスに領収書は必要?管理方法と経費精算のポイントを解説
タグ:

はじめに

  • 領収書は、発行側・受領側どちらも保管が必要
  • 領収書は、経費処理時の証明書でもある
  • 保管方法には、アナログとデジタルがある
  • 一定要件を満たせば、領収書の電子保存が可能
  • 経費精算を効率化するためには、ポイントを押さえて管理する

領収書の役割

領収書とは、金銭やその他の支払いが生じたことを証明する書類です。領収書を「領収証」と記載するケースもありますが、どちらも意味は同じです。

領収書の役割は、発行側と受領側で異なります。
発行側にとっては代金を受け取ったことの証明となり、受領側にとっては支払ったことの証明になりますので、二重請求や過払い防止の役割も果たします。従って、どちらの立場でも領収書の保管は必要です。

フリーランスが領収書を保管することの重要性

領収書は重要な書類ですので、きちんと管理をしておきましょう。

とくに、フリーランスの場合は、確定申告時に「経費として扱ったもの」を証明するのに役立ちます。
確定申告時に領収書の提出義務はありませんが、手元に領収書がないと経費として認められないこともあるため、注意が必要です。
また、納品書やレシートなども領収書と同様に扱われるため、捨てずに保管しておきましょう。

【アナログ】フリーランスが経費精算を効率化するための領収書保管方法・ツール

経費精算を効率化するには、領収書の保管方法や使用ツールも大切です。
アナログで管理する場合は、紙の領収書を定期的に整理しましょう。整理することで、現在必要な領収書が管理しやすくなります。

以下では、領収書のアナログ保管方法・ツールなどについてご紹介します。

ノートやスクラップブックなどに領収書を貼る

アナログで領収書を保管する方法の1つに、ノートやスクラップブックへ領収書を貼る方法があります。
こちらの方法は手軽ですが、デメリットもあるため、あわせて覚えておきましょう。

たとえば、感熱紙(とくにレシート)は熱や湿気に弱いため、夏場や梅雨時期の保管には気を付けましょう。また、感熱紙はのりの溶剤成分との相性も悪く、化学反応を起こして変色することがあります。
ほかには、印字面にセロハンテープを貼ると文字が消えることもあるため、注意が必要です。

封筒に領収書をまとめる

領収書のアナログ管理方法には、封筒にまとめる方法があります。とくに、領収書の数が少ない場合は、月や費目ごとに専用の封筒を用意して、その中に収納するのがオススメです。

反対に、事業規模が大きくなるにつれて、領収書の数は増えがちです。
その場合は「現金・振込等の支払い手段別」「勘定科目別」「取引先別」などに、分別してもよいでしょう。

クリアファイルやドキュメントファイルに領収書をまとめる

クリアファイルに領収書をまとめても便利です。
最近では、領収書や小物などを整理しやすいクリアファイルも販売されているため、そちらを活用してもいいでしょう。ファイルに収納する際は、インデックスを付けると、より管理がしやすくなります。

また、クリアファイル以外では、12仕切(13ポケット)のドキュメントファイルの活用もオススメです。
ドキュメントファイルとは、資料を入れるための見開きフォルダのことです。12仕切以上のドキュメントファイルを活用することで、1年間の領収書を月単位で収納できます。

デジタル】フリーランスが経費精算を効率化するための領収書保管方法・ツール

以下では、領収書のデジタル保管方法・ツールなどについてご紹介します。

クラウドサービスを活用して領収書を保管する

領収書の保管には、クラウドサービスの活用がオススメです。クラウド型ソフトのメリットは、業務効率化や作業のシームレス化につながることです。

最近では「領収書」「見積書」「納品書」「請求書」などに対応した、クラウド型のソフトが普及しています。
なかには、別のクラウド型請求サービスと連携可能だったり、領収書の作成から電子送付まで同じアプリ内で完結したりするものも存在しますので、大変便利です。

また、2022年に「電子帳簿保存制度」が見直されたことを契機に、一定要件を満たした「国税関係帳簿」や「国税関係書類」は、電子上で保存できるようになりました。領収書も国税関係書類の一種ですので、デジタル保存が可能です。
なお、電子帳簿保存制度は3つに区分されています。
以下では、領収書のデジタル管理方法やツールについてご紹介します。

紙の領収書をスキャナで読み取りデータで保管する

電子帳簿等保存制度では、紙で受け取った書類や紙で渡した書類の写しを、スマホやスキャナで読み取り、電子データとして保存できます。
この方法のメリットは、紙の領収書のファイリング作業や、物理的な保存スペースの確保が不要になることです。

スキャナ保存ができるものは、決算関係書類を除く国税関係書類です。国税関係書類は、「重要書類」と「一般書類」に大別されます。
重要書類と一般書類は、それぞれ以下の通りです。

  • 重要書類:契約書・納品書・請求書・領収書など
  • 一般書類:見積書・注文書・検収書など

重要書類と一般書類では、スキャナ保存を行う際のルールが一部異なります。

たとえば、領収書は重要書類に該当するため、帳簿との相互関連性の確保が必要です。
具体的には、スキャンした領収書のデータとそれに関連する帳簿との間で、相互に関連性を確認できるようにする必要があります。

また、紙の領収書をデータ化する際には、毎回帳簿や会計ソフトへ記帳・入力してから、保管するようにしましょう。
前回分の領収書を、どこまで入力したか確認する手間が省けたり、入力漏れを防げたりするのがメリットです。

電子上で作成した領収書をデータで保管する

電子帳簿等保存制度では、電子上(メールやチャットツールなど)で自身が作成した領収書を、パソコンやタブレット内に保管することが可能です。印刷する必要はありません。

ただし、保存時は指定の要件を満たす必要があります。
保存時の要件には、システム関係書類等を備え付けることや、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の条件から指定して検索できるようにするなどが挙げられます。システム関係書類等とは「システム概要書」「システム仕様書」「操作説明書」「事務処理マニュアル」などのことです。

なお、電子上で作成した領収書のデータ保管が任意であるのに対して、法人・個人事業者が電子上で送付・受領した領収書の保存(電子取引データ)は法律で義務付けられています。
これは、自社で作成した書類の控えとは異なり、外部と電子上で取引したデータは、改ざんリスクが高いためです。
以下の見出しでは、電子上で送付・受領した領収書の保管の重要性や保管方法について解説します。

電子上で取引した領収書にはデータの保管義務がある

2024年以降は、改ざん防止を目的として、電子上(メールやチャットツールなど)で送付・受領した領収書の保管が義務付けられました。
電子取引データをデータ保存する際は「可視性の確保」や「真実性の確保」を満たす必要があるためです。可視性とは「目に見える事実」を指し、真実性とは「真実と認められる事柄」を指します。従って、電子上で取引したデータは、誰が見ても正しい内容であることが重要です。

電子取引に関するルールには、一例として以下の項目が挙げられます。

  1. 改ざん防止措置をとること
  2. 保存データを確認するためにディスプレイやプリンタを設置すること
  3. 「日付」「金額」「取引先」の3つの要素で検索できるように設定すること(Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトで対応可能)

また、2025年度の税制改正では 、電子取引データの保存要件が見直されました。
今回の改正で、帳簿類の隠匿・破棄などの不正行為や期限後申告などがあった電子取引に対しては、10%の重加算税が加重されることとなりました。
一方、2027年からは、特定電磁的記録(保存要件にしたがって保存される電子取引データのこと)でかつ、財務省が掲げる要件を満たしている場合は、上記の罰則(重加算税の加重措置)が適用されない予定です。

従って、今後デジタル保管を選択する場合は、より電子帳簿保存法に準拠したシステムの導入が必要だといえます。

迷った場合はデジタル保管がオススメ

アナログ保管かデジタル保管か迷った場合は、デジタル保管をオススメします。
理由は、デジタル保管の方が、ファイルの管理やセキュリティ対策がしやすいためです。

たとえば、ファイル名に宛名や日付を設定すると、検索時に指定のファイルを見つけやすくなります。また、ファイルにパスワードを設定することで、情報流出の防止にも役立ちます。

フリーランスの領収書保管期間

領収書の保管期間は、申告者の立場ごとに異なります。

以下では、「青色申告者」「白色申告者」の保管期間の違いや、両者が「適格請求書発行事業者」の場合の保管期間や、適格請求書を保管する重要性について解説します。

青色申告者・白色申告者・適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)など立場ごとに異なる

領収書の保管期間は、青色申告者と白色申告者で異なります。
青色申告者の領収書保管期間は、通常7年です。

青色申告者とは、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」が発生する業務を行う人で、かつ「青色申告承認申請書」を提出した方のことです。
ただし、以下の条件に該当する青色申告者は保管期間が5年間と定められています。

  • 前々年分の事業所得および、不動産所得の金額が300万円以下の方
  • 雑所得が発生する業務を行う方で、前々年分の業務の収入金額が300万円を超える方

一方、白色申告者とは、青色申告以外の方法で確定申告する方を指します。
白色申告者の領収書の保管期間は通常5年です。

また、青色申告者・白色申告者を問わず、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)も兼ねている場合は、領収書の保管期間が7年と定められています。
以下では、インボイス発行事業者が領収書を保管することの重要性について解説します。

適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)が領収書を保管することの重要性

2023年10月より開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための仕組みです。
適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)が、仕入税額控除の適用を受けるには、帳簿および適格請求書(インボイス)等を保存しておく必要があります。「請求書」「納品書」「領収書」などがインボイスに該当します。

インボイス発行事業者(売手)が買手に交付したインボイスの写しや、インボイスに関連する電磁的記録(デジタルデータ)の保管期間は7年です。また、交付されたインボイスを買手側が保存する期間も同様に7年です。

なお、上記インボイスの写しは、記載事項が確認できれば正式な書類のコピー以外でも構いません。
たとえば、納品書やレジのジャーナル(顧客に出力するときの名称はレシート)など簡易なものでもOKです。

まとめ

領収書は、金銭の授受を証明する重要な書類であり、発行側も受領側も保管が必要です。
確定申告時に慌てないためにも、フリーランスの方は、普段から領収書の保管方法を決めておきましょう。

管理方法には、アナログ保管やデジタル保管があります。
自分に合った方法で領収書を管理して、経費精算を効率化しましょう。

IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
【会社選びは、仲間探しだ】IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
株式会社セラク 開く