フリーランス・業務委託

フリーランス新法とは?内容や影響を分かりやすく解説

date2025年12月19日
フリーランス新法とは?内容や影響を分かりやすく解説
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はじめに

  • フリーランス新法とはフリーランスの働く環境を整え、取引の適正化や就業環境整備を図るための法律である
  • フリーランス新法の対象者は、フリーランスと発注事業者である
  • フリーランス新法に定められている7つの義務に沿って業務委託する必要がある
  • 違反をすると行政措置や50万以下の罰則対象になる

フリーランス新法は2024年11月に施行された新しい法律です。働き方の多様化に伴い、個人で受託する人が不利益を被らないよう、発注者側に具体的な義務を課すものです。フリーランス新法がどのように安定的な環境を整えていくのか、背景や具体的な制度内容についてくわしく説明します。

フリーランス新法とは

フリーランス新法(フリーランス保護新法)とは、フリーランスの働く環境をより安心かつ安定的に整え、取引の適正化や就業環境の整備などを図るための法律を指します。2024年11月1日にフリーランス新法がスタートしました。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

フリーランス新法の対象者は?

フリーランス新法の対象は、特定受託事業者・業務委託事業者です。それぞれの定義について説明します。

フリーランス

特定受託事業者とはいわゆる個人で仕事を請け負うフリーランスを指します。フリーランス法におけるフリーランスの定義については、具体的に以下の通りです。
【特定受託事業者】

  1. 個人であって、従業員を使用しないもの
  2. 法人であって、一の代表者以外にほかの役員がなく、かつ、従業員を使用しないもの

業種は問わず、フリーデザイナーやWebライター、カメラマンなどが挙げられます。

発注事業者

発注事業者とはフリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者の総称であり、特定業務委託事業者と業務委託事業者が該当します。
【特定業務委託事業者】

  1. 個人であって、従業員を使用するもの
  2. 法人であって、二以上の役員がいる、または従業員を使用するもの

【業務委託事業者】

  1. フリーランスに業務委託をする事業者

ただし、フリーランスに業務委託を行う事業者は、従業員の有無にかかわらず発注事業者としてフリーランス新法の対象です。

フリーランス新法の対象となる取引

発注事業者がフリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者間(BtoB)の取引が対象です。フリーランス新法の対象となる場合と対象とならない場合について、以下の例図をご覧ください。

事業者間での取引

フリーランスと発注事業者という事業者間での取引が対象です。発注者が消費者の場合は取引の対象にはなりません。例えば、趣味のブログで使用するロゴのデザインを、個人としてフリーランスに依頼するケースは対象外となるので、覚えておきましょう。

業務委託としての取引

対象となるのは、物品の製造、情報成果物の作成、薬務・業務の提供などを、契約に基づき他の事業者へ委託する取引です。なお、雇用契約に基づく労働提供は対象外です。業務委託であっても、働き方の実態が労働者と判断されれば、罰則を受ける可能性もあるため注意が必要です。

フリーランス新法の内容

フリーランス新法には7つの義務が定められており、新法に則ってフリーランスに業務委託する必要があります。義務内容については以下を見ていきましょう。
参考:公正取引委員会|公正取引委員会フリーランス法特設サイト

1.書面などによる取引条件の明示

フリーランスへ業務を委託する場合は、書面あるいはメールやSNSのメッセージなどの電磁的方法で取引条件を明示する義務があります。口頭による明示は双方の認識によるずれが生じるためです。取引条件として明示する事項は9つあります。

  1. 給付の内容
  2. 報酬の額
  3. 支払期日
  4. 業務委託事業者・フリーランスの名称
  5. 業務委託した日
  6. 給付を受領する日/役務の提供を受ける日
  7. 給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所
  8. 検査完了日(検査をする場合)
  9. 報酬の支払い方法に関して必要な事項(現金以外で報酬を支払う場合)

2.報酬支払期日の設定・期日内の支払い

報酬の支払い期日は発注した物品などを受領した日から60日以内のできる限り早い日で定めて、期日までに支払う義務があります。ただし、元のクライアントから受けた案件を、発注者がフリーランスに再委託した場合、元委託業務の支払期日から数えて30日以内で支払期日を定める再委託の例外もあるので、状況に応じて支払期日を決めなければなりません。

3.7つの禁止行為

フリーランスに対し、1カ月以上の期間で業務を委託する場合は7つの禁止行為があるため、注意しておく必要があります。下記の表をご覧ください。

7つの禁止行為
① 受領拒否注文した物品または情報成果物の受領を拒むこと
② 報酬の減額あらかじめ定めた報酬を減額すること
③ 返品受け取った物品を返品すること
④ 買いたたき類似品の価格または市価に比べて、著しく低い報酬を不当に定めること
⑤ 購入・利用強制指定する物・役務を強制的に購入・利用させること
⑥ 不当な経済上の利益の提供要請金銭・労務の提供等をさせること
⑦ 不当な給付内容の変更・やり直し費用を負担せずに注文内容を変更し、または受領後にやり直しをさせること

引用:公正取引委員会|3 7つの禁止行為

4.募集情報の的確表示

広告やSNSなどでフリーランスを募集する情報を提供する際に虚偽の表示あるいは誤解を招くような表示をしてはなりません。また情報内容が古くないよう、常に最新の内容になっているかを定期的にチェックしなければならないため、注意しましょう。

5.育児介護等と業務の両立に対する配慮

フリーランスが6カ月以上の業務を委託している場合、申し出に応じて育児や介護と仕事を両立できるよう、必要な措置を取ることが求められます。6ヶ月未満の業務委託の場合も同様で状況に応じて、配慮する努力義務があります。
【配慮の例】

  • 妊婦検診がある日は、ミーティング時間を調整・就業時間の短縮をしておくなどの配慮をする
  • 育児や介護などで負担がかからないよう、オンラインで業務ができるように配慮をする

6.ハラスメント対策に関する体制整備

フリーランスに対し、ハラスメントが理由で就業環境を著しく害してしまうことがないように対策をしなければなりません。たとえば、相談窓口の設置あるいは従業員に対して、ハラスメント防止研修の実施を行うなどといった措置が挙げられます。

7.中途解除等の事前予告・理由開示

6カ月以上の業務委託をしているフリーランスに対して、業務委託の契約を解除するまたは更新しない場合は下記の方法で30日前までに、解除理由とともに事前予告をしなければなりません。

  1. 書面での予告
  2. FAXでの予告
  3. 電子メールでの予告日

ただし、以下の例外事由に該当する場合は、予告が不要です。
【事前予告の例外事由】

  1. 災害などのやむを得ない事由により予告が困難な場合
  2. フリーランスに再委託している場合で、上流の事業者の契約解除などにより直ちに解除せざるを得ない場合
  3. 業務委託の期間が30日以下など短期間である場合
  4. フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合
  5. 基本契約がある場合で、フリーランスの事情で相当な期間、個別契約が締結されていない場合

参考:公正取引委員会|ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法

フリーランス新法が作られた背景と目的

フリーランス新法が作られたのは、フリーランス人口における増加に伴い、取引先とのトラブルの増加が背景としてあります。こうした問題からフリーランスとして働く人たちの権利や立場を守るという目的で、フリーランス新法が制定されたのです。

フリーランス人口が増加しているため

内閣府が実施する調査では、2020年時点でフリーランスとして働く人はおおよそ462万人とされています。システム設計やプログラマーなどのITエンジニア系や様々な分野のフリーランスが活躍しています。今や働き方は多様化の時代になり、多くの企業で副業解禁の流れから、フリーランス人口の増加に結びつけているのが実情です。フリーランス人口の増加により取引上の不当なトラブルが背景とされていることから、そうした問題を解決するためにフリーランス新法が制定されています。
参考:内閣府|第1節 多様な働き方の広がりと課題

フリーランスの就業環境整備を進めるため

フリーランスは発注側との取引で、報酬の支払遅延や業務範囲・納期の認識のずれなどのトラブルが生じやすいです。雇用労働者と異なり、委託を受ける立場では交渉力が対等になりにくく、その点がトラブルの要因を招きかねません。

フリーランス新法への対策

業務委託する事業者がフリーランス新法において違反をすると、行政措置や50万円以下の罰則が課されます。また、発注事業者の従業員が法令違反となる行為を行った場合には、行為者本人だけでなく事業主である法人も罰則の対象になり得るため、社内全体で法律の内容を共有し、コンプライアンス意識を徹底することが重要です。

契約内容を見直す

フリーランス新法に則り、契約書には、業務内容・報酬額・支払期日・支払方法などの記載がされているかを確認しましょう。契約内容に曖昧な記載がされていた場合、双方による理解の不一致でトラブルを招きかねません。こうしたトラブルを未然に防ぐため、契約内容を見直しておくことが重要だといえます。

支払いスケジュールを改善する

「○月○日 支払い」「毎月○日 締め 翌月○日 支払い」など、明確に具体的な日付が記載されているかを確認する必要があります。また、再委託する場合は元委託者の名称や業務対価に対する支払期日を記載した上で、支払日から30日以内で支払期日の設定が可能です。

募集情報を精査する

募集情報の的確表示義務(第12条)に基づき、広告・求人サイト・SNS等の内容は虚偽・誤認表示の禁止と最新性の確保が必要です。

募集する業務内容と実際の業務内容が剥離しているといったトラブル防止のための条項です。フリーランス人材を募集する際に不特定多数の人が閲覧する求人サイトのような媒体では募集情報を常に精査する必要があります。
参考:e-Gov法令検索|特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律

ハラスメント防止策を設ける

フリーランス新法が制定されてからは、特定業務委託事業者側でハラスメント相談窓口設置や育児・介護との両立への配慮が義務つけられています。双方のトラブルを避けるためには、契約書にその旨を明記する必要があるといえます。

まとめ

フリーランス新法についてご理解いただけたでしょうか?フリーランスがより安心かつ安定的に働ける環境を整えるために、フリーランス新法が生まれました。取引の適正化や就業環境の整備を目的に、7つのルールを定めています。これらを理解し遵守することで、フリーランスが不利益を被る事態を防げます。フリーランス新法に対し、違反をしてしまうと罰則が課される上に個人でなく企業も責任を負わなければなりません。対策をきちんととり、特定受託事業者と業務受託事業者の双方にとって公正で円滑な取引を実現しましょう。

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