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事業開始等申告書とは?開業届との違いと提出方法を解説

date2025年05月16日
事業開始等申告書とは?開業届との違いと提出方法を解説
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はじめに

  • 事業開始等申告書は、個人事業主が新規事業を開始する際に必要な書類
  • 地方税である個人事業税に関係している
  • 提出先は各都道府県の税事務所
  • 未提出でも罰則やペナルティは特にないが、なるべく提出しよう
  • 開業時に提出が必要な書類を整理しておこう

事業開始等申告書とは?

事業開始等申告書とは、個人事業主が新しく事業を始める際に地方自治体へ提出する書類です。
国や自治体が新しく始まる事業について正確に把握して、税金や法令を管理するためにこの手続きが必要となります。提出期限は事業所の所在地によって違うため、いつまでに提出しなければいけないのかきちんと調べておきましょう。
また、事業所得が290万円を超えると、個人事業税の納税義務が発生します。毎年、前年の所得について、3月15日までに各都道府県の税務署へ申告が必要です。
ただし、所得税の確定申告をする場合には、個人事業税のために別途申告をする必要はありません。「事業税に関する事項」の欄に必要事項を記入して、確定申告書を提出しましょう。

開業届との違い

開業届と事業開始等申告書の主な違いは以下の通りです。

開業届事業開始等申告書
税金の種類国税地方税
書類の提出先税務署各都道府県税事務所
提出期限開業日から1か月以内都道府県によって異なる

開業届は国税である所得税に関する書類で税務署に提出するのに対し、事業開始等申告書は地方税である個人事業税に関する書類で、提出先は各都道府県税事務所です。

個人事業税は個人事業主が得た収入に対してかかる税金で、地域のインフラや公共サービスの維持に使われます。

開業届は所得税法第229条で、事業開始から一か月以内に提出しなければならないと定められています。もし開業届を出し忘れてしまった場合でも、古い日付に遡って提出が可能です。

事業開始等申告書の書き方

ここでは東京都の事業開始等申告書を元に、書き方を解説します。
都道府県ごとに申告書のレイアウトは違いますが、基本的には事業所や事業主の情報、開始年月日などを記入します。各都道府県の税事務所ホームページにある申告書記載例も確認してみましょう。

出典:東京都主税局|事業を始めたとき・廃止したとき

事務所・事業所の所在地

事業を行う場所の住所と電話番号を記載します。市区町村や番地、建物名などは省略せずに正確に書きましょう。

名称・屋号

事業を行う際に使用する名称および屋号を記載します。ない場合は空欄でも問題ありません。

事業の種類

事業の内容や業種を記載します。
たとえば飲食店の場合は「飲食店業」、生花店の場合は「花・植木小売業」となります。

事業主の住所・氏名

事業を行う本人の住所と氏名を記載します。
自宅で事業を行う場合は、事業所の住所と同じになるので「同上」と書きます。

開始・廃止・変更等の年月日

開業した日付を記載します。開業日は個人事業税の課税期間や納税額に関係してくるので、正確に書きましょう。

事由等

申告書を提出する理由に丸をつけます。開業する場合は「開始」を丸で囲みましょう。

申告日・申告者氏名

提出日を記入し、署名と捺印をします。
提出日は申告書を持参する日、もしくは郵送する日です。

宛先の税事務所

事業開始等申告書の提出先となる税事務所名を記入します。

事業開始等申告書の提出方法・期限

事業開始等申告書の提出方法や期限について解説します。

提出期限

事業開始等申告書の提出期限は、都道府県ごとに異なります。
たとえば東京都の場合は、個人事業を始めた日から原則15日以内が提出期限です。一方、大阪府では開業した日か事務所・事業所を設けた日から2か月以内の提出と決められています。
提出期限を知りたい場合は、自治体に問い合わせるか、各自治体のホームページを確認してみましょう。「事業開始等申告書 ○○県(都道府県名)」と検索すると情報が出てきます。

提出方法

所轄の税事務所へ届け出ます。税事務所窓口で手続きするほか、郵送での受付や電子申請を行っている場合もあります。

事業開始等申告書を提出しないとどうなる?

事業開始等申告書には提出期限が定められているものの、期限を超過したり提出をしなかったりしても、特に罰則やペナルティはありません。
ただし、個人事業税の課税対象となった場合は、事業開始等申告書提出の有無に関係なく、都道府県から納税通知書が届くため、内容を確認し期限内に納付を行ってください。課税対象となるのは、地方税法で定められている法定業種70種に該当している事業で、事業所得や不動産所得など290万円を超える所得があった場合です。

事業開始時に必要な書類

開業時に提出を求められる書類は、事業開始等申告書のほかにも複数あります。事業規模や事業内容によって提出すべき書類が変わるので、事前に確認しておきましょう。

開業届

前述の通り、事業開始時に届け出が必要な書類のひとつです。開業届を提出すると事業者名義の銀行口座を開設したり、確定申告で青色申告を選べたりと、メリットも複数あります。

青色申告承認申請書

税金計算上で有利になる青色申告制度を利用したい場合、こちらの申請も忘れずに行いましょう。要件を満たすと最大65万円の控除を受けられ、節税になります。青色申告制度では、事業で発生した赤字を翌年以降の利益から差し引いて節税できる「損失の繰越控除」や、一定の条件を満たした家族への給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」など、さまざまなメリットがあります。

青色事業専従者給与に関する届出書

事業を手伝う配偶者や親族に支払う給与を経費に計上したい場合、青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要です。家族への給与が経費になることで節税になるほか、収支が明確になり財務管理をしやすくなるメリットがあります。ただし、青色事業専従者給与は扶養控除や配偶者控除と併用できない点に注意しましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

役員や従業員を雇用する際に必要な書類です。開業時に従業員がおらず、後から雇い入れることになった場合にも提出が求められます。提出期限は役員や従業員を雇用する日から一か月以内です。期限を過ぎてもペナルティはありませんが、忘れずに提出しておきたい書類のひとつです。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税は、給与を受け取る際に天引きされる所得税です。企業や個人事業主が給与から事前に差し引いて、従業員本人に代わって納付をします。
原則毎月納付となりますが、従業員常時10人未満の場合には半年ごとにまとめての納付が特例として可能となります。この申請をすると納付回数が少なく済むため、事務負担を軽減できるのがメリットです。

適格請求書発行事業者の登録申請書

インボイス制度は、複数税率があっても事業者が消費税を正確に納められるように、消費税の金額などを記載した請求書や領収書(インボイス)を基に計算する仕組みのことです。
適格請求書発行事業者の登録申請書を提出すると、仕入税額控除を受ける際に必要となるインボイスの交付が可能となります。多くの事業者がインボイスの発行を求めるため、登録することで取引の機会が増える可能性があります。

まとめ

事業開始等申告書は、新たに事業を開始する際に必要な書類のひとつです。提出を忘れてしまっても特にペナルティは発生しませんが、税務処理を滞りなく進めるためにも、期限内に申告するのが望ましいです。期限や書類のレイアウトが都道府県ごとに異なるため、所轄の税事務所のホームページなどで確認しておきましょう。

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