フリーランス・業務委託

免税事業者とは?消費税の仕組みとメリット・注意点

date2025年10月16日
免税事業者とは?消費税の仕組みとメリット・注意点
タグ:

はじめに

  • 免税事業者は、国に消費税を納める必要がない
  • 課税事業者は、売上で受け取った消費税から仕入れや経費で払った消費税を差し引いて国に納めている
  • 一定要件を超えた場合、免税事業者から自動的に課税事業者となる
  • 免税事業者は事務負担が軽い一方で、取引先からは不利に扱われる可能性がある

事業を開始するにあたって、必ず関わってくるのが消費税です。消費税は国に納める義務があり、その計算方法も複雑なため、申告に戸惑ってしまう方も多いでしょう。ただし、一定の要件を満たすことで、免税事業者として消費税の納税義務が免除される場合があります。
この記事では、免税事業者や消費税の仕組み、免税事業者になるメリット・デメリットや注意点を分かりやすく解説しています。

免税事業者とは

免税事業者とは、消費税の納税義務が免除されている事業者のことです。基準期間中における前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合は、事業者に対して納税義務が発生しません。また、新しく事業を始めた場合も、開業から原則として設立から2期分は免税事業者としての扱いになります。
以下では、課税事業者との違いを解説しています。混同しないように、今一度しっかりと違いを把握しておきましょう。

課税業者との違い

課税事業者と免税事業者の違いは、消費税を国に納める義務があるかどうかです。課税事業者は、売上で受け取った消費税から仕入れや経費で支払った消費税を差し引いた金額を国に納めます。
免税事業者とは、消費税を国に納める義務がない事業者を指します。免税事業者は、売上に含まれる消費税を国に納める必要はありませんが、取引価格を自由に設定できるため、税込み価格で請求することが可能です。本来ならば、課税事業者が国に納めるべき消費税相当額も、免税事業者の場合は納税義務が生じないため、そのまま事業主の収入として手元に残ります。

消費税の仕組み

消費税は、商品の売上に応じて国に納める税金のことです。税金を納める必要のある課税事業者は、売上時に受け取った消費税から、仕入時に支払った消費税を差し引いて納めます。この仕組みを仕入税額控除といいます。

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、課税事業者が売上で受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引く仕組みです。
例えば、フリーランスのITエンジニアが開発用PCを10万円(消費税1万円)で購入したとします。この支払った1万円の消費税は控除対象です。次に、その開発用PCを使って制作したサービスを販売し、売上として受け取った消費税が1万5,000円だったとします。この場合、売上で受け取った1万5,000円の消費税から、PC購入時に支払った1万円を差し引き、国に納める消費税は5,000円となります。
この制度により、二重・三重課税を防ぎ、課税事業者は国に納める消費税の負担を減らすことが可能になります。一方で、免税事業者は消費税を納める必要がないため、仕入税額控除を使うことができません。

免税事業者の判定基準

免税事業者になるためには、2つの判定基準を満たす必要があります。判定基準を知っておくと、今後の役に立つでしょう。

基準を満たせば免税事業者に

免税事業者になるためには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 原則として前々年の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である
  • 新しく事業を開始し、開業から2年間が経過していない

このどちらかに該当する場合、国に消費税を納めなくてもよい免税事業者として扱われます。

免税事業者になるメリット・デメリット、注意点

免税事業者になると、消費税を国に納める義務がなくなり、売上に上乗せした消費税もそのまま手元に残るようになります。しかし、取引先によっては自分が課税事業者ではないばかりに不利になるケースもあります。ここでは、免税事業者のメリット・デメリットや注意点を詳しく解説していますので、ぜひ押さえておきましょう。

免税事業者になるメリット

まず免税事業者のメリットは、国に消費税を納める負担がないことです。売上に上乗せした消費税分もそのまま手元に残るため、会社の資金繰りにも余裕が生まれることでしょう。新しく事業を始めた方や、小規模事業者にとって会社を運営していくうえでの安心感にも繋がります。また、消費税の計算や申告などの手間も少ないため、確定申告や経理作業の負担が軽減する点もメリットと言えます。

免税事業者になるデメリット・注意点

一方、免税事業者になるとデメリットもあります。上記の通り取引先は、免税事業者に支払った消費税を仕入れ控除できません。そのため、取引先は仕入れのコストが高くなってしまいます。その結果、免税事業者は契約の条件が厳しくなってしまうというデメリットもあります。このように課税事業者からみた免税事業者は、取引のハードルが高いとみなされてしまう恐れがあるので、将来的に事業の拡大をしたいと決めている場合は注意が必要です。

免税事業者から課税事業者になる要件は?

免税事業者から課税事業者へ切り替わることは可能です。また、以下いずれかの要件に当てはまる場合は、自動的に課税事業者となります。

  • 1つ目は、原則としての前々年の課税売上高が1,000万円を超えた場合
  • 2つ目は、前年の特定期間(1月~6月)の課税売上高が1,000万円を超えた場合
  • 3つ目は、法人設立時の資本金が1,000万円以上の場合

それぞれ1つずつその要件について解説していきます。

基準期間の売上高が1,000万円を超えたとき

基準期間とは、前々年を指します。例を挙げるならば、2025年に課税事業者になるかどうかは、2年前の2023年の売上で判断されます。
もしも、2023年の課税売上高が1,000万円を超えていたら、2025年は自動的に課税事業者になります。反対に、1,000万円以下ならば免税事業者のままです。つまり、事業の規模が大きくなり、売上が1,000万円を超えた時点で免税事業者とは見なされなくなり、消費税を納める義務が生じるため注意が必要です。

特定期間の売上げ・給与支払額が1,000万円を超えたとき

特定期間とは、前年の1月から6月までの半年間を指します。この期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、翌年は課税事業者となります。ただし、給与の支払いが1,000万円を超えていなければ、免税事業者を選択することも可能です。つまり、売上が急に伸びたり、従業員を増やしたりして人件費が膨らんだ場合に、課税事業者へ切り替わることがあります。

法人設立時の資本金が1,000万円以上のとき

法人を設立したとき、資本金が1,000万円以上ある会社は、開業したてでも最初から課税事業者として扱われます。つまり、売上がまだ少なくても消費税を納める義務が発生してしまいます。資本金が1,000万円以上ある会社は事業規模も大きいとみなされ、免税事業者の対象にはなりません。反対に、資本金が1,000万円未満であれば、原則として設立から2年間は免税事業者となり、消費税を納める必要はありません。

まとめ

免税事業者は、小規模事業者や新たに開業した人が対象で、売上の消費税分を国に納めなくてもよい制度です。課税事業者は売上で受け取った消費税から、仕入れや経費で払った消費税を差し引いて税金を納めますが、免税事業者はその手間がなく、会社の資金繰りの面でも安心感があるでしょう。
一方、取引先から見ると仕入税額控除を適用できないため、契約条件で不利になることがあります。売上や給与、資本金など一定の要件を超えると自動的に課税事業者に変わるため、将来の税負担も常日頃から意識しておくことが重要になるでしょう。

IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
【会社選びは、仲間探しだ】IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
株式会社セラク 開く