フリーランス・業務委託

BPOとは?フリーランスや個人事業主の業務を効率化する外注活用法を解説

date2025年08月21日
BPOとは?フリーランスや個人事業主の業務を効率化する外注活用法を解説
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はじめに

  • BPOとは業務の一部を外部業者に委託(アウトソーシング)することで、業務改善も依頼できることが大きなメリットだ
  • BPOでノンコア業務を委託することにより社内リソースを他のことに回すことができる
  • BPOに任せきりだと業務のノウハウが貯まらなくなるデメリットもあり得る
  • 委託や業務改善は、BPO企業と足並みをそろえて進め、業務標準化やマニュアルを共有することが効果

BPOとは何か

BPO(Business Process Outsourcing、ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務の一部を外部業者に委託(アウトソーシング)したうえ、業務プロセス改善もおこなう手法を指します。労働人口の減少という社会全体の課題がある中、BPOが注目されています。
この記事ではBPOについて、メリットやデメリット、導入時に注意すべきことを解説します。

BPOとアウトソーシングの違い

アウトソーシングは、単に業務を委託することを指します。一方、BPOはそれに加えて、委託された業務の業務プロセス改善や効率化の提案・実行まで担う点が特徴です。

BPOが注目されている理由

現代日本は加速度的に進む人口激減が喫緊の課題とされています。労働人口の減少はすでに始まっており、求人を出しても求職者が集まらない、後継者不足での倒産の増加など、労働者不足による問題が目立ち始めています。こうした背景から、切り出し可能な業務を委託して負担を軽減できるため、BPOが注目されているのです。
さらに現代は、VUCA時代(未来の予測が難しい激動の時代)に突入しました。これを乗り越えるために、柔軟に業務に対応ができ、業務改善も依頼できるBPOの需要が高まっています。

BPOの代表的な業務内容

BPOとして委託される業務について、以下で解説します。

コア業務とノンコア業務

企業の基本的な業務は、コア業務とノンコア業務の2種類に大別されます。

  • コア業務

    企業の核となる意思決定や企業の収益に直結する業務(例:戦略立案、製品の設計や開発、営業など)

  • ノンコア業務

    収益に直結するわけではないが企業にとって必要な業務(例:人事事務、総務事務、営業事務、カスタマーセンター業務など)

コア業務は、非定型な業務で属人化しやすく、業務を切り出すのが難しいでしょう。一方、ノンコア業務は定型化が進んでいることが多く、明文化・マニュアル化が容易であるため、業務を切り出しやすく、委託が比較的容易です。このため、近年では企業がノンコア業務をBPO企業に依頼するケースが増えています。

よくある委託例

BPOの代表的な委託例を以下に挙げます。

BPOの代表的な委託例
バックオフィス(事務全般)事務業務はノンコア業務で業務を切り出しやすく、外注やBPOに任せることが多い代表的な例といえる。外注する業務は庶務、総務事務、経理事務、人事など多岐にわたる。また、営業事務の外注(受発注業務、納品書/領収書作成、名刺管理など)もある。
コールセンター
カスタマーサポート
電話による業務も切り出しやすく、外注が多い。電話業務の中でも、インバウンド(受電)業務の製品・サービスの問い合わせ対応や修理受付などが外注される。
テレマーケティングテレマーケティングは電話による営業・アウトバウンド(架電)のこと。テレマーケティングは高い専門性が必要であるため、外注されることがある。
営業代行直接顧客に訪問するような営業は本来コア業務に分類されるが、業務を切り出しやすい側面もあるため、外注されることがある。アポ獲得や見込み顧客の掘り起こし、アップセルなど、営業の中でも切り出しやすい業務を依頼することがある。
マーケティング代行マーケティングもコア業務ではあるが、高い専門性が必要であるため、マーケティングに特化した企業に外注することもある。外注される業務内容はマーケティング戦略、ブランド戦略、SNSマーケティングなど。
IT運用・保守
ヘルプデスク
IT運用・保守は企業のシステムを問題なく稼働させるために必要不可欠だが、システムに関する高度な専門知識と業務プロセスの高いレベルでの理解の両方が必要とされるため、BPOとして依頼することが多い業務のひとつである。IT運用や保守は、依頼元の企業に外注社員が常駐する場合も多い。
また、ヘルプデスクは社内向けのシステムに関する問い合わせ対応業務だ。専門的な知識が必要になる場合が多いが、業務として切り出しやすく、外注している企業も多い。
データ入力企業の業務の中でも大変定型的であるため、外注しやすい。とくに大量のデータ入力が必要な場合、外注に頼ることが多いだろう。その場合、OCR・RPAに長けた企業や、大量のパンチャー(データ入力専門員)を抱える企業に外注することになる。

BPOを導入するメリット

BPOを導入するメリットを解説します。

リソースをメインの業務に集中できる

業務の一部をBPOに委託することにより、浮いたリソースを他の業務に充てることが可能です。これは人手不足が進む現代において、効果的な対策になるでしょう。

コスト削減ができる

社内の人材で業務をおこなうときは人件費がかかりますが、BPOに委託することで業務にかかるコストを変動費として扱うことができ、コスト削減につながります。さらにBPOは業務改善を依頼することも可能であるため、さらに業務コストの削減を目指せます。

業務改善ができる

BPOは業務の委託だけでなく、委託している業務要件の見直し、業務プロセスの改善、最適化も可能です。社内だけでは停滞していた業務改善を、BPOの活用を機に社外の目を入れながら進めることができます。ただし、これを成功させるためには、依頼企業とBPO企業が業務改善という目的に向かって足並みをそろえることが必要です。

具体的には、会議を重ね何がボトルネックなのか検討したり、成果物の検収やクオリティチェックの結果から改善点を洗い出したり、といった協力体制が必要です。

もし、委託業務をBPO企業に任せきりにすると、業務プロセスがブラックボックス化してしまうことも実際にあり得ます。BPO企業を業務改善のパートナーとして意識しながら業務改善に取り組みましょう。

BPOを導入するデメリット

メリットが多いBPOですが、デメリットもいくつかあります。以下で解説します。

導入費用や運用コストがかかる

BPOに業務を委託するにあたり、導入費用が発生します。さらに、運用を続けるには導入費用とは別にランニングコストもかかります。業務を委託するメリットと支払う金額が釣り合っていない場合、これはデメリットといえます。

社内にナレッジが貯まりにくい

業務を委託すると、その業務のナレッジ(知識)やノウハウが社内に貯まりにくくなります。これは大きなデメリットといえます。もし後になってBPOを取りやめて業務を戻すことになったとしても、そのときには業務に精通した人が社内におらず、業務の難易度が大幅に上がる可能性があります。
回避策としては、BPO企業と普段から会議を重ねてナレッジを共有したり、業務フローの標準化を意識し業務フロー図やマニュアルを策定したりしておくことです。

導入時の注意点

BPO導入時の注意点を解説します。

業務を整理し、課題を明確にする

BPOは単なる業務委託ではなく、業務の最適化も含みます。
つまり、BPO委託側の担当者も、業務要件の定義や業務プロセスの理解・把握をしておかなければなりません。そしてBPO企業と二人三脚で業務改善・業務の最適化に取り組む意識が必要かつ重要となります。
単に委託するだけでは、無駄な業務プロセスが残ったり、または増えたりしてしまい、委託費用の増加やミスの頻発といったことが起きる可能性があります。まずは、今ある業務プロセスは本当に必要なものか、要点を整理し、課題を明確にしましょう。また、自社で業務をおこなっていたときには気づかなかった点も、BPO企業なら改善点に気づく可能性があります。業務改善のプロとともに取り組むことで、業務最適化を目指せます。

BPO企業を適切に選ぶ

BPO企業には得意な分野があります。たとえば同じ経理業務系のBPO企業でも、業務を大量にこなすのが得意だったり、専門分野に特化していたり、業務改善に力を入れていたりと、特徴は企業によってさまざまです。BPOを導入するにあたって、何を重視するかをしっかりと見極め、それに見合った業者を選定することが重要です。

委託先のセキュリティ体制を確認する

業務を社外に委託する以上、どうしても情報漏えいなどのセキュリティリスクはつきまといます。リスクを低減させるためには、依頼先企業の情報セキュリティに対する姿勢を確認しましょう。プライバシーマークを取得していたり、情報取り扱いのポリシーのあり方を確認したりするのはよい方法です。さらに、契約時に情報セキュリティに関する条項を盛り込むのも重要です。

運用後の効果測定も視野に入れる

BPOで業務を委託した後は、業務がきちんとおこなわれているか、業務内容や提出物のクオリティが一定の水準を保っているかを調べるための効果測定が必要になります。BPO導入時に、この効果測定のやり方は考えておく必要があります。

フリーランスや個人事業主でもBPOを活用できる

法人しかBPOを利用できない、と思う人もいるかもしれませんが、基本的には契約を締結し費用を支払えば個人事業主でもBPOを利用することは可能です。たとえば事業規模が大きくなってきて経理処理に手が回らない場合、業務を切り出してBPOに依頼するなどといった使い方が考えられます。

まとめ

BPO(Business Process Outsourcing、ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務の一部を外部業者に委託(アウトソーシング)することをいいます。労働人口の減少や、世界的な社会環境の激動で先が見えない世の中で、BPOという業務形態が注目されています。
ノンコア業務(基幹業務以外の業務)を委託することにより、社内リソースを他のことに回すことができるのがBPOのメリットです。さらに、BPOは単に業務を委託するだけでなく、業務改善も依頼できることが大きな魅力です。ただし、業務をBPO企業に任せきりにしてしまうと、社内に業務のノウハウ・ナレッジが貯まらずに、自社業務なのに誰も中身がわからない、といった事態もありえます。
業務委託・業務改善はBPO企業に任せきりにするのではなく、足並みをそろえておこなうのが肝要です。業務の進捗を定期的な会議で共有したり、業務要件やプロセス標準化の内容や、マニュアルの作成と更新をBPO企業としっかり共有したりすることが、BPOを成功させるコツです。

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