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開業資金の調達方法とは?必要な準備と手順を解説

date2025年05月01日
開業資金の調達方法とは?必要な準備と手順を解説
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はじめに

  • 開業にかかる資金の平均値は985万円、中央値は580万円である
  • 開業資金の調達方法は融資、補助金・助成金、出資、貯金など多岐に渡る
  • 各手段にメリット・デメリットがあるので自分に適した調達方法を検討するのがよい
  • 開業資金を把握し、何に使うか事業計画を具体的に話せるようになっておくのが資金調達を成功させるコツだ

開業資金の平均値は985万円

開業するにあたっては多額の資金が必要となります。たとえば店舗を構える場合は家賃や改装費用、商品を扱う場合は仕入れや設備投資、IT系業種であればパソコンや制作環境の整備費などが発生します。さらに、開業後しばらくの運転資金も必要です。

日本政策金融公庫総合研究所の「2024年新規開業実態調査」によると、開業費用の平均は985万円、中央値は580万円です。
以下は、開業費用の平均と中央値の推移をグラフにしたものです。

以前に比べて開業コストはやや低下傾向にあるといわれていますが、それでもある程度はまとまったお金が必要といえます。

出典:日本政策金融公庫 – 新規開業に関する調査

開業にあてる資金調達の方法

開業したいと考えても、大きな金額をすぐに用意するのは難しい場合もあるでしょう。実は、開業のための資金を調達する方法は複数存在します。
このセクションでは、開業にあてる資金の調達方法をそれぞれ解説します。

開業時の資金調達(1)融資

融資とは、公的な機関や金融機関などからお金を借り受けることです。いわゆる借金・借入ですが、事業のための資金調達という性質上、単なる借入とは違い、開業のために低めの利子設定や審査基準を緩和してもらえるという点が融資の大きな特徴です。
国や自治体による融資制度、民間の金融機関など、開業のための融資をおこなっている団体は多くあります。代表的なものを紹介します。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫とは、中小企業や小規模事業者向けに融資をおこなう国の政策金融機関です。他の融資機関と大きく違うのが、原則、無担保・無保証人で利用でき、金利も比較的低めです。
融資限度額は7,200万円で、若者・女性・シニアや開業に再チャレンジする人などに向けて、有利な条件で融資が利用できる制度もあります。詳しくは日本政策金融公庫の新規開業者に向けた資金融資のページで確認しましょう。

参考:日本政策金融公庫 – 新規開業・スタートアップ支援資金

地方自治体による融資制度

地方自治体でも、それぞれ独自で融資制度があります。自治体ごとに制度が違うので、まずは問い合わせをしましょう。
こちらは信用保証協会と連携し、低金利での融資が可能です。ただし、申請から融資までに時間がかかる点や、限度額が日本政策金融公庫より低い点は注意が必要です。

中小企業の開業や運営支援をする独立行政法人・中小企業基盤整備機構では、「J-Net21」というWebサイトで各自治体の開業における融資制度を紹介しています。こちらで制度を探すのもよいでしょう。

参考:J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト] – 創業者向け補助金・給付金(都道府県別)

民間の銀行や信用金庫による融資

民間金融機関でも開業融資を受けられますが、審査は厳しく金利も高めです
通常、民間の機関が企業に融資するときは、これまでの売上や事業資本などが審査されるため、開業しようとする個人に対しては既存企業以上に審査が厳しくなると考えてよいでしょう。
しかし、融資が承認されれば、銀行の担当者から経営のアドバイスを受けられるなど、民間機関からの融資ならではのメリットもあります。

また、銀行・信用金庫には、使途自由のフリーローンという商品があり、これを開業資金にあてるという手もあります。この方法であれば、資金の用途目的に制限がないため非常に借りやすいです。半面、利子が割高になってしまうことが大きなデメリットです。

開業時の資金調達(2)補助金・助成金

融資とは別に、国や自治体が新規開業する人や団体に補助金・助成金を提供する制度も存在します。融資や借入と違い、返済義務がない点が大きなメリットです。
ただし、申請から助成金・補助金がもらえるまでに相当時間がかかる場合が多いため、今すぐにでも開業資金が欲しいときに頼りにするのはあまり向いていません。

ルートテックでは個人事業主が活用できる補助金制度の解説もおこなっています。

開業時の資金調達(3)出資

個人投資家やベンチャーキャピタルに出資してもらうのも開業資金を集める方法の一つです。とくに、起業して間もないスタートアップを支援する個人投資家はエンジェル投資家と呼ばれ、ビジネスの将来性や成長可能性に着目して出資します。
また、最近はクラウドファンディングを通じて商品のアイデアを紹介し、開発費用を募るという方法も出てきています。どちらの方法もお金をもらう資金調達方法なので、返済義務はありません。
ただし、投資家は将来のもうけのために出資するので、大きな魅力のある事業計画を提示しないと出資してもらうのはかなり難しいでしょう。

クラウドファンディングもいくつか注意点があります。たとえば「All-or-Nothing方式」の場合、目標金額に達しなければ一切資金を受け取ることができません。加えて、クラウドファンディングの手数料は一般的に20%~30%程度かかるため、手取り額にも注意が必要です。

開業時の資金調達(4)自己資金

自分で貯めたお金を開業資金にあてる方法もあります。開業には大きな金額がかかるため全額自分で賄うことは難しいですが、できるだけ自己資本金を用意することが重要です。
また、金融機関から融資を受ける際には、自己資金の額が融資の限界額決定に影響するため、この点でもできるだけお金を貯めてから開業するのがオススメといえるでしょう。

開業時の資金調達(5)親戚や知人に借りる

開業の資金調達のため、親や親戚、知人からお金を借りるという方法も存在します。しかし、近しい間柄でのお金の貸し借りなので、他の方法と比較してトラブルにつながる可能性が高いといえます。
親戚・知人から開業資金を借りるのであれば、借入したという事実をきちんと書面に残す、つまり契約書を交わすようにしましょう。近しい間柄だからこそあえて正規の方法をとることが、トラブルを未然に防ぐ重要なポイントです。

開業時の資金調達(6)ビジネスコンテストの参加

公的機関や民間団体などが定期的にビジネスコンテストをおこなっている場合があり、これも資金調達の方法のひとつです。新規事業の内容でコンペに参加し、優秀者には出資されるというものです。ただし、必ず入賞できるわけではないので、資金を得られないこともあります。反面、コンテスト出場の過程で他の起業を目指す人々と交流が持てるところは資金調達以外の点で魅力的なポイントでもあります。

開業のための資金調達を成功させるポイント

このセクションでは、開業のための資金調達を成功に導くコツを解説します。

開業届を出す

融資を受けるためには、開業届を出しておくことが必要です。開業する場所の管轄の税務署に開業後1か月までを目安に開業届を提出しておきましょう。

開業資金がいくら必要か理解する

開業資金と一言でいっても、事業形態で必要な資金の額は大きく変わります。たとえば、店舗経営なら、店舗の敷金や家賃、各種備品、商品の仕入れ、人員費など多額が必要になります。一方で、自分1人でスモールスタートが可能な事業であれば、必要なものは仕事道具と仕事の場所程度になり、開業資金の金額は店舗開店と比較するとかなり少なくすむことが多いです。
まずは事業に必要な費用を明確にし、どれだけの自己資本があるのか、外部からどの程度資金調達が必要なのかを洗い出すことが重要です。そのうえで、最適な資金調達の方法を検討するのが、開業の第一歩といえるでしょう。

自己資金を用意する

前述したように、自己資金は可能な限り用意できるほうがよいでしょう。無利子なうえ、返済の必要もないからです。まず何より、今後の事業を続けていくに向けてある程度の元手がないと、もし収入がない時期が続けば、すぐに食べていけなくなってしまいます。
それに加え、銀行・信用金庫の融資額は自己資金の額によって決定されることも、自己資金を可能な限り用意するべき理由のひとつです。企業が財務状況によって銀行からの借入額が左右されるのと同じように、個人が開業しても財務状況や返済能力といった信用を元に、借入の是非が決定されます。
全額自分で賄うのは無理でも、開業のための自己資金は可能な限り用意するのがよいでしょう。

事業計画、開業資金の使い道の計画をよく練っておく

これまでの事業の実態がない以上、融資を受けるためには「これから何をするのか」「何のために融資が必要なのか」「どうしてこの金額が必要なのか」をしっかり説明できるようになっておく必要があります。そのためには事業計画書をしっかりと作りこみ、融資担当者に開業資金をどのように使うかを具体的に説明できるようになっておかなくてはなりません。

返済の能力を証明する

これまで個人でクレジットカードを使ったり、ローンでお金を借りたりした人も多いでしょう。これらお金に関する貸し借りや返済の延滞といった個人の借入履歴は、信用情報として信用機関に登録されています。このため、開業前には信用情報を確認し、延滞などがある場合は改善に努めるのが望ましいでしょう。過去の返済履歴が良好であれば、金融機関に対して返済能力のある人物としての信頼性を示す材料になります。

まとめ

開業にかかる資金の平均値は985万円、中央値は580万円とされています。必要な金額は業種や事業規模によって変わってきますが、ある程度のまとまったお金が必要なのは確かです。
開業資金は自己資金で賄えることに越したことはありません。ですが、大きな金額のため、全額用意するのは難しいことが多いでしょう。
自己資金で賄う以外の資金調達方法は、融資、補助金・助成金、投資家などに出資してもらう、知人や親戚に借りる、クラウドファンディングに挑戦する、ビジネスコンテストに参加するなど、さまざまあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に適した方法を検討するとよいでしょう。ただし、親戚や知人に開業資金を借りる場合はトラブルになりやすいため、きちんと貸し借りを書面に残すよう注意しましょう。

どれだけ開業資金が必要かをきちんと把握し、何に使うか事業計画を具体的に話せるようになっておくのが資金調達をうまくするコツです。

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