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適格請求書発行事業者とは?登録のメリット・デメリットと登録方法を解説

date2025年08月28日
適格請求書発行事業者とは?登録のメリット・デメリットと登録方法を解説
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はじめに

  • 「適格請求書発行事業者」とは税務署長の承認を得て適格請求書発行登録を行なった者のことである
  • 登録申請には郵送と登録申請(電子申請)の2通りがある
  • 登録通知書の到着までに郵送は約1.5ヵ月・e-Taxでの電子申請は約1ヵ月かかる
  • 「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(次葉)」2枚セットで登録する
  • 適格請求書には税率区分や軽減税率の判定など行う上で記載の手間が発生する

2023年10月より導入されたインボイス制度は聞いたことがあっても、「適格請求書発行事業者」とは何だろう? と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。適格請求書の発行には、消費税法に基づく法的要件を満たすために発行事業者の登録が必要です。つまり、適格請求書発行事業者でしか、適格請求書(インボイス)の発行ができません。また取引先は仕入れにかかる消費税の控除が受けられるため、相互作用となり、より信頼性を高められます。

本記事では、適格請求書発行事業者についてその役割を踏まえ、メリット・デメリットや登録方法を重要ポイントとともに解説していきます。

適格請求書発行事業者とは?

「適格請求書発行事業者」とは、適格請求書発行の登録申請を行ったのち、管轄の税務署にて税務署長の承認を受けることを指します。いわば適格請求書(インボイス)発行の許可を受けた事業者といえる存在です。また、別名「インボイス発行事業者」と呼ばれています。

適格請求書発行事業者になるには

適格請求書発行事業者になるためには、紙媒体による登録または電子申請による登録のいずれかを選択して、登録申請を行う必要があります。
URL:国税庁|申請手続き

申請書を郵送する場合

紙媒体による申請の場合は国税庁のホームページからダウンロードあるいは最寄りの税務署に行き、適格請求書発行事業者の登録申請書を入手しましょう。登録申請書の送付先については国税庁のホームページから、最寄りの「インボイス登録センター」を検索してから郵送してください。インボイス登録センターには受け取り窓口が設置されていないため、直接の届け出はできないので覚えておきましょう。なお、郵送する場合に添付する書類については下記をご覧ください。

  • 【以下の本人確認書類のいずれか1点】
  • マイナンバーカードの写し
  • 【マイナンバーカードがない場合は以下の2点】
  • マイナンバーが確認できる通知カードの写し
  • 身分確認書類(運転免許証など)の写し

e-Taxで登録申請する場合

e-Taxによる申請の場合はe-Tax(要ダウンロード)あるいはe-Taxソフト web版(ダウンロード不要)にて申請を行ってください。パソコン・スマートフォンどちらからインターネットに接続して、国税庁が提供している「e-Tax国税電子申告・納税システム」から登録申請が可能です。ただし、個人事業主と法人それぞれの申請書形式が異なるため、よく説明を読んで登録しましょう。電子申請をする場合に必要なものについては下記をご覧ください。

  • 【以下の本人確認書類】
  • マイナンバーカードなどの電子証明書
  • 【あらかじめe-Taxで取得する】
  • 利用者識別番号(16桁の識別番号)

登録通知書が届くまでの期間

適格請求書発行事業者の登録申請をしてから、登録通知書が届くまでの期間は郵送の場合は約1.5ヵ月、e-Taxでの電子申請の場合は約1ヵ月が一般的です。ただし、通知までの期間を保証されるものではないため、あくまでも目安として考えると良いでしょう。

適格請求書発行事業者の登録申請書の記載例

登録申請には、様式1および様式2(いわゆる次葉)の2枚セットが必要です。以下、それぞれの申請書の記載例について説明していきます。

引用:国税庁|「適格請求書発行事業者の登録申請書の記載例」

適格請求書事業者の登録番号を確認するには

自分の適格請求書発行事業者の登録番号を確認したい場合は、登録した際に交付された登録通知書で確認ができます。しかし、適格請求書を発行する側(売り手)または交付される側(買い手)、それぞれの立場や状況によって異なるため、以下詳しい確認方法について説明します。

適格請求書発行事業者公表サイトで確認する

国税庁が運営している「適格請求書発行事業者公表サイト」のホームページで検索し、確認しましょう。もし、取引先からの適格請求書に記載されている登録番号と名称が正確かを確認したい場合は、以下の検索方法で確認してください。

  • 登録番号(“T”を省く13桁)を入力して、該当の登録事業者を確認する
  • 登録番号(“T”を省く13桁)をまとめて検索し、検索結果一覧で確認する

なお、検索結果一覧では事業者氏名または名称・所在地など、より詳しい情報が確認できます。
参考:国税庁|適格請求書発行事業者公表サイト
参考:国税庁|ご利用方法

法人番号公表サイトで確認する

前段で述べた適格請求書発行事業者公表サイトは、登録番号が分かっている場合にのみ利用できます。法人番号は、国税庁が指定する識別番号に則り、頭文字T+13桁の数字で構成されています。そのため、登録番号を確認したい場合は、まず国税庁が運営している法人番号公表サイトで法人番号を検索すると良いでしょう。そこで調べた法人番号を使って、適格請求書発行事業者の公表サイトで検索すれば、その法人が登録済みかどうかを確認できます。
検索方法について、以下をご覧ください。

  • 商号または名称および所在地などから該当の登録事業者を確認する
  • 法人番号(13桁)から該当の登録事業者を確認する(まとめて検索可能)

さらに検索条件の設定で法人種別や登記記録の閉鎖などが生じた法人を絞れます。
参考:国税庁|法人番号公表サイト
参考:国税庁|ご利用方法(検索・閲覧、ダウンロード機能)について

適格請求書発行事業者になるメリット

適格請求書発行事業者にとって、どのようなメリットが存在するのかについて見ていきましょう。

取引先の確保や新規開拓に有利

インボイスを発行しなければ、課税事業者との取引が確保しにくくなる恐れがあります。買い手側(課税事業者)が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の保存が必要となるためです。その点、適格請求書発行事業者であれば、今後の取引継続や新規取引先の開拓にも有効に働くでしょう。

適格請求書発行事業者になるデメリット

適格請求書発行事業者にとって、どのようなデメリットが存在するのか見ていきましょう。

消費税納税義務が生じて負担が増す

適格請求書を交付できるのは、消費税の課税事業者のみです。免税事業者(消費税の納付が免除されている)が適格請求書を交付する場合は、まず適格請求書発行事業者に登録し、課税事業者へと切り替える必要があります。そうすると、これまで免除された消費税の納税義務が課せられるため、納税額が増える点ではインボイス制度のデメリットのひとつです。ただし、仕入税額控除には2029年9月30日まで経過措置が設けられているので、その点覚えておきましょう。

事務処理の負担が増える可能性がある

実はインボイス制度を導入することで新たに事務作業および管理業務が増加する恐れがあります。理由として、適格請求書には以下の項目を必ず記載する必要があるからです。

  • 発行事業者の氏名と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率対象の有無について)
  • 税率ごとに区分して合計した金額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額
  • 書類の交付先の名称

これらの項目を正確に記載するだけでなく、税率ごとの区分・軽減税率の判定もしなければならなくなるため、従来の作業以上に手間がかかる点はデメリットのひとつでしょう。

インボイス制度は廃止される?

結論、現時点ではインボイス制度の廃止は予定されていません。インボイス制度の導入前から制度への不満や懸念の声が上がっていることから、2022年6月10日に野党4党共同でインボイス制度の廃止などを盛り込んだ議員立法「時限的消費税減税法案」が提出されました。物価上昇により、国民の生活が困難なときに期間限定で消費税を下げるための法案です。政府の方針に変更が生まれる可能性も否めないため、今後の動向には注目が必要でしょう。

まとめ

「適格請求書発行事業者」について、ご理解いただけたでしょうか? 登録には「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(次葉)」の2枚が必要です。また適格請求書発行事業者になると、税率の区分や軽減税率の判定などの手間が増える一方で、取引先との信頼性を強化し、より円滑に事業運営を維持できるという点ではメリットと言えます。

詳細については国税庁ホームページでも説明されておりますので、ぜひ参考にし、登録を進めていきましょう。

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