20代フリーターが就職するためには?就活方法を解説


はじめに
- 脱フリーターとは正社員の仕事に就くためフリーターから脱出すること
- フリーターの分類には「夢追求型」「やむを得ず型」「ステップアップ型」「モラトリアム型」の4パターンがある
- フリーターの生涯年収は正社員と比較して少ない
- 20代のうちに脱フリーターを考えておかないと就活が難しくなる可能性がある
- 脱フリーター対策には自己発見ノートや企業・業界研究が役立つ
規則や時間に縛られないフリーターを続けていくうちに、気付けばもう30代を過ぎてしまい、「どうしよう」と焦り始める人もいるのではないでしょうか。何から手をつけていいのかが分からず、将来への漠然とした不安を抱くケースも少なくありません。
本記事では、20代でフリーターから脱出するため、現在の情勢や就活対策についてわかりやすく紹介しています。
脱フリーターとは?
フリーター(正式名称:フリーアルバイター)とは正社員以外、いわゆるアルバイトやパートタイム、派遣社員、契約社員などといった雇用形態で働く15~34歳の若者のことです。働く意思がある無職の人もフリーターに含まれます。
「脱フリーター」とはそのような状況から抜け出し、正社員として安定したキャリアを築くことを意味しています。フリーターの定義や分類、フリーランスやニートとの違いについて見ていきましょう。
フリーターの定義と分類
厚生労働省の「平成24年 雇用政策研究会 第1回資料」によれば、「フリーター」とは15~34歳を対象とし、男女ともに卒業者で未婚の者と定義づけられています。詳細は以下の通りです。
- 雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
- 完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
- 非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で、家事・通学等していない者
参考:厚生労働省|平成24年 雇用政策研究会 第1回資料
また、フリーターは4つに分類されます。
- 夢追求型
芸能・職人・フリーランスなど、職種に明確な夢や目標を持ちとことん追求するタイプ
- やむを得ず型
労働市場の経営悪化や看病など家庭の事情によりフリーターを選択せざるを得ないタイプ
- ステップアップ型
資格を取得するため、アルバイトやパートなどのフリーターを続けるタイプ
- モラトリアム型
〇〈離学モラトリアム型〉
将来、何になりたいのかを明確にせず、高校や大学・専門学校を中退・卒業後、フリーターに移行するタイプ
〇〈離職モラトリアム型〉
学校を卒業後、企業に正社員として就くが、人間関係や心身の不調などの理由から離職しそのまま次の目標が定まらないタイプ
さまざまな理由や背景から、フリーター人生を選択するケースがあるようです。
参考:厚生労働省|若年キャリア支援研究会報告書
フリーランス・ニートとの違い
似たような言葉に「フリーランス」「ニート」がありますが、どちらもフリーターとは意味が大きく違います。
まず、「フリーランス」は企業や組織といった環境に属さず、個人で仕事を請け負う働き方を指します。つまり、フリーターの「非正規雇用」という視点では同じですが、どの企業にも雇用されない「個人事業主」であるということです。
また、「ニート」は15~34歳までの引きこもりや就学・就労していない者、もしくは職業訓練を受けていない若を指し、就活するための活動を全くしていない人のことを言います。
日本におけるフリーターの割合
総務省統計局 労働力調査のデータによれば、日本における総人口の約1%がフリーターとされています。2022年時点でフリーター数は132万人、つまり、約100人に1人がフリーターという計算です。また、年齢別に見ていくと、20~24歳のフリーターは19.9%、25~29歳のフリーターは24.2%となっています。
また、前年のフリーター数138万人と比較すると約6万人減少しており、若年層を取り巻く雇用環境には変化が見られます。背景には、人手不足を受けて多くの企業が若年層の採用を強化していることが挙げられます。こうした状況から、20代のうちに就職活動へ積極的に取り組むことで、正社員として就職できるチャンスを高められるでしょう。
参考:厚生労働省|労働力調査(詳細集計)2022年(令和4年)
参考:厚生労働省|令和5年若年者雇用実態調査の概況
20代フリーターが定職に就かない理由
中途採用では即戦力を求める傾向が強いため、30歳を過ぎてから未経験の分野で正社員を目指す場合は、新卒時と比べて就職活動が難しくなる傾向があります。実際、フリーターのまま年齢を重ねることで、正社員としての就職の機会が狭まってしまうことが懸念されています。そのため、国もフリーターの高齢化に警鐘を鳴らしているのです。
では、なぜ若者があえてフリーターという働き方を選び、継続するのでしょうか。現代における主な理由を、以下の5つに分けて説明していきます。
参考:厚生労働省|正社員?フリーター?何が違うの?~将来の進路について悩んでいる方へ
1.目標とする将来の夢が見つからないから
学生時代に将来何になりたいか目標が定まらないといったパターンです。
学生時代に「○○の仕事に就いてみたい」「将来は〇〇になりたい」といった将来の夢や憧れがなく、そのまま卒業してしまうことも少なくありません。自分の人生プランがないまま、就職できたとしても「なにか違う」と仕事もうまく長続きせず、退職するケースがあるようです。
このタイプは「モラトリアム型」に当てはまり、方向性や目標が明確に確立できていない人に多く見られます。
2.不採用が続く就職難にはまってしまったから
就活を続けても内定が得られず、やむを得ずフリーターを続けるケースです。
コロナ禍では企業の採用抑制や経営不振により、新卒採用の中止・縮小もありました。その影響から「このままフリーターでもいい」と考える人も出ています。このタイプは「やむを得ず型+モラトリアム型」に当てはまります。
一方で、就職市場は回復傾向にあり、リクルートワークス研究所によれば2024年大卒の有効求人倍率は1.71倍とコロナ前の水準に戻っています。ただし人気業界では競争が依然激しく、オンライン面接やテレワークといった新しい仕組みに対応できない人は不利になることもあります。
参考:リクルートワークス研究所|【大卒求人倍率1.71倍】コロナ前水準へ 中小の採用意欲も回復
3.ライフスタイルに合った自由な働き方に憧れたから
規則や時間に縛られない自由なライフスタイルを貫き、さまざまな仕事を経験しながら働くパターンです。出社・退社時間などシフトを自由に決められ、プライベートの時間を確保できる点は、フリーターならではのスタイルといえるでしょう。また、将来の目標がない場合にさまざまな仕事を体験するために定職に就かず、フリーターを継続するケースもあるようです。このタイプは「モラトリアム型」に当てはまります。また「夢追求型」の中には、アーティストやミュージャン、芸能活動などを目指してフリーターを選ぶ人もいます。
旅行などで長期の休暇を取りやすいといったメリットもあるため、結果的にフリーター生活が長期化してしまう場合もあります。
4.大きな責任を背負いきれないから
正社員雇用の場合、業務上の責任を担い、プロジェクトや重要な仕事を任されることがあります。そうした責任を負う自信が持てず、比較的気軽に働けるフリーターを選ぶケースです。正社員になってみたもののプレッシャーに耐えられずフリーターを選択してしまう人も少なくないでしょう。
正社員は給与や待遇面でのメリットがある反面、相応の責任や業務量を伴うことを理解しておく必要があります。フリーターを卒業し定職に就くには責任を持ち、すべての業務をこなさなければならないという覚悟が要ることを覚えておきましょう。
5.何らかの影響による理由があるから
介護や看病、育児などの事情により、やむを得ずフリーターを選択するパターンです。
フルタイムで働く正社員になりたいけれど生活スタイルと就業時間の折り合いがつかない、介護や育児との両立が難しいなどの理由から、正社員を諦めてしまうなどの例が挙げられます。このタイプは「やむを得ず型」に当てはまるでしょう。
また、上記以外にも国家資格の取得や海外留学など、将来に向けた準備期間としてアルバイトで生計を立てるケースもあります。これは「ステップアップ型」に当てはまり、キャリア形成を目的として一時的にフリーターを選ぶものです。
やばい?フリーター人生の末路を見てみよう
20代のうちにフリーターを卒業しなければ、将来、どのようなフリーター人生の末路が待っているのでしょうか? 20代を過ぎてから、「やばい! どうしよう? こんなはずじゃなかった……」などと頭を抱えることがないよう、まずはフリーター人生の末路について見ていき、今後の将来について一緒に考えていきましょう。
1.貯蓄ができず人生プランを立てられない
結婚して家族を持ったり子どもが生まれたりと、人生におけるイベントには、ときには大きな出費を伴います。毎月決められた給料やボーナスをもらえる正社員に対し、フリーターの生涯年収では貯蓄も難しく、人生プランを立てにくい傾向にあります。フリーターは正社員と違って昇給がないため、まとまった貯蓄がしづらく人生プランの選択肢も狭まってしまいます。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によれば、正社員に対しフリーターを含む正社員以外との年収の差が100万円以上とされています。おおよそ20代後半から年齢を重ねるにつれて収入の差も大きく開いていくでしょう。
参考:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|雇用形態別
2.生涯年収が周りと比較して少ない
フリーターの年収は地域と業種によって異なりますが、東京都の最低平均時給額1,226円(令和7年10月3日~)で昇給・ボーナスがない場合、60歳までの生涯年収はおおよそ6,000万円とされています。
それに対し、正社員の多くは月給制いわゆる固定給で、毎年の査定によって昇給する機会があるため、平均月収はピンからキリまで差があるものの、正社員の生涯年収は60歳まででおおよそ、2億5000万円以上という計算です。
つまり、フリーターと正社員との生涯年収の差が約2億円と大きく開いてしまいます。30代を過ぎてから周りと比較して生涯年収が少ないことを痛感するでしょう。
参考:厚生労働省|令和7年度地域別最低賃金改定状況
3.フリーター歴が長いほど就活が難しくなる
フリーターの期間が長ければ長いほど、年齢制限などで求人の選択肢の幅が狭まり、就活が難しくなる可能性が考えられます。いくつかアルバイトの職歴があるとしても、面接では職歴として認められず評価されにくい側面があるのです。したがって、20代のうちに脱フリーターを考えておかないと、段階的に就活も厳しくなっていくのが実情と言えます。
4.将来もらう老後の年金額が少ない
フリーターとして国民年金を支払う場合、将来の年金受給金額は約6万5千円程度になります。一方、正社員や公務員で厚生年金に加入している人は、標準的に月額14万6千円を受給するデータがあります。制度上、加入区分によって将来の受給額に差が生じるため、長期的な生活設計を考えるうえで就業形態は重要な要素といえるでしょう。
参考:ナビナビ保険|私は年金いくらもらえる?平均年金受給額や種類別の計算方法、今からできる老後資金の積み立て方法
5.年下の上司や同僚に差をつけられる
30代以降で正社員として働き始めると、自分よりも年下の上司や同僚と仕事を進める場面も出てきます。また、係長以上のクラスに昇格されるなど立ち位置を越されたり、スキル面や報酬面でも大きく差をつけられたりと劣等感を抱くケースがあります。結婚や出産などでまわりに後れを取り、なおかつ話題にもついていけないなど、職場でも仕事がやりづらくなる場合もあるでしょう。
脱フリーターを目指すための対策方法
早い段階で脱フリーターを目指したいけど、どういうふうに行動を起こしたらいいのか思い悩む人も少なくないでしょう。就活に向けて正しい情報を得て、フリーターから脱出するための対策方法について理解しておきましょう。
自己発見ノートの活用
就活を始める際にまず必要なのは「自己分析」です。面接では「何ができるか」「どのような人材なのか」を判断されるため、必須の準備となります。自分自身のことをノートにアウトプット(書き出す)することで、自分自身の隠れていた欲求や別の新たな思考などの発見につながります。
自分の長所や短所を発見するだけでなく、これまでの自身のエピソードを具体的に述べられるようにすると効果的でしょう。上記の方法で自己発見ができると、自分の描かれる将来のビジョンを見出すことが可能になり企業選びの指標にもできるのです。
就活プランをしっかり立てよう
自己発見ノートの活用で自己分析した後は、就活を始めるにあたってどのようにプランを立てていくのかについて理解する必要があります。「とりあえず応募してみる」といった無計画な進め方では、本来自分がやりたい方向を見失ってしまうでしょう。
履歴書の作成や面接対策も含め、段階的に取り組むことが大切です。
1.就活のスケジュールを立てる
いつまでにフリーターから脱出するのか目標を定め、逆算して準備期間を設定しましょう。履歴書や職務経歴書などは、作成する時間を多くとるため、あらかじめ決めておいた期限から逆算すれば、就活の計画も立てやすくなります。無計画では就活もうまく行かず、やる気を下げてしまいかねません。就活のスケジュールを立てることはモチベーション低下を防ぐ効果もあります。
2.自己分析で自己PRを考える
面接時の応募書類に必要な自己PRの作成には「自己分析」が必要不可欠です。自己分析に役立つ自己発見ノートに加え、「SWOT分析」も有効です。SWOT分析による自己分析ではまず、自身のこれまでのエピソードをもとに、興味があることや得意・不得意なことなどを見つめ直すことから始めてみましょう。自身の強み・弱み・機会・脅威になる要因を把握することで、同時に将来のビジョンを描き、希望する企業でどうなっていたいかを考える機会にできるでしょう。自己分析は効率よく就活を進められ、かつ就活成功率の効果を高められるのです。
3.企業/業界研究で分析する
まず、企業一覧表や会社四季報などでどのような業界に興味があるのかを確認することから始めましょう。次に2W1Hの思考法を取り入れ、興味を持った企業になぜ入りたいのか、どのような働き方をしたいかなど、ビジネスモデルを考えていきます。そうすれば、自分が求めるビジョンの一致・相違点が明確に見えていくでしょう。企業研究や業界研究で分析を行うことによって志望動機や自己PRなどの強みを作れるだけでなく、将来就きたい業界の視野が広がるのです。また企業の景気などの動向を把握できるだけでなく、内定後や入社後のミスマッチ防止にもつながります。
4.基本的な面接マナーをマスターする
面接官は履歴書や職務経歴書の内容だけでなく、社会人にとって必要不可欠なビジネスマナーが身についているかどうかを判断します。面接におけるビジネスマナーは一朝一夕で身につけられるものでなく、日ごろから面接マナーの対策や練習を重ねてこそ身につき、かつ自然体で面接に臨めます。就活成功率を高めるには、早い段階から服装のマナーや面接の流れなどしっかりマスターすることが肝要です。
資格取得でキャリアを広げる
資格取得は必須ではありませんが、応募企業の業務に関連する資格があれば「うちに必要な人材だ」と好印象を与えられる可能性があります。志望業界に直結する資格を優先しましょう。資格は努力や学習意欲の証明にもなり、面接での説得力を高めます。就職活動の武器として計画的に取り入れましょう。
正社員登用があるアルバイトからはじめてみる
アルバイトから正社員登用を目指す道もあります。実際の職場環境を体験しながら、働きぶりを評価してもらえるため、内定につながりやすい方法といえるでしょう。実際に働いてみて社風や職場環境を知ることで、入社後ギャップによる早期離職を防げるメリットもあります。ただし、登用実績が少ない企業もあるため、情報収集を入念に行いましょう。登用制度を足がかりにすれば、スムーズに正社員へのキャリア転換ができる可能性が高まります。
ハローワークや就職エージェントの活用
就職活動にはハローワーク(公共職業安定所)や就職エージェントの利用をおすすめします。厚生労働省が設置しているハローワークは全国を拠点とし、中小企業の求人が豊富です。窓口では求人案内のほか、応募書類の添削や面接対策のサポートも受けられます。
就職エージェントは専任アドバイザーが付き、模擬面接など就活対策全般をプロの視点で支援してくれるサービスです。非公開求人を紹介してくれる場合もあります。両方を活用することで効率的に就職活動を進められるでしょう。
正社員に登用されやすい業種
年々、日本における少子高齢化が20代の若手人材不足を引き起こしています。現在多くの企業が「第二新卒」や「既卒」を中心に、正社員登用制度や正規雇用の求人を出している状況です。つまり、正社員になれるチャンスはまだ残されており、受け入れ体制の対象はフリーターにとっても例外ではないと言うことなのです。
では、実際にフリーター歴の長い人でも正社員に登用されやすい業種について、以下の2つに分けて見ていきましょう。
介護関連業界
介護業界は人手不足で深刻な問題を抱えています。公益財団法人介護労働安定センターによる従業員の過不足についての調査では、人手不足とする事業所の割合は65.2%でした。少子高齢化問題という背景があり、多くの介護関連業界では若手人材を中心に求人を出しているところが増えているのです。
主に「人をサポートすることが好き」もしくは「人とのコミュニケーションを取るのが得意」という人材が求められており、未経験からスタートして働きながら資格取得を推進しているところもあります。フリーターでも未経験から経験を積めば、晴れて正社員登用される可能性があり、脱フリーターも夢ではありません。
参考:公益財団法人介護労働安定センター|令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について
IT関連業界
2030年にはIT人材が79万人不足すると予想されています。今後、IT全般におけるエンジニアの需要も高まっていくため、正社員に登用されやすい傾向にあります。未経験からでもスタートができる職種としてその求人数は実に豊富です。また、IT技術に対する知識を少しでも持っていれば、IT業界の職種などの選択肢が幅広くなります。IT関連業界は常にアップデートしていき、かつ進化されていくため、新しい変化を取り込みたい人にこそ向いていると言えます。働きながら資格取得できる企業が増えていることから、未経験者歓迎の求人を探してみると良いでしょう。
参考:経済産業省|IT分野について
まとめ
フリーターは日本で約100人に1人存在します。年齢を重ねるにつれ正社員就職は難しくなるため、20代のうちに脱フリーターを目指して就活準備を始めることが重要です。自己発見ノートで自分の強みや価値観を整理し、就活プランを立て、必要に応じて資格取得や登用制度を活用しましょう。安定したキャリアを築くために、できることから始めてみましょう。













