入金待ちを即解決!ファクタリングの基本と注意点を解説


はじめに
- ファクタリングとは、売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に譲渡・売買して資金調達する方法
- 契約の種類は2社間ファクタリングと3社間ファクタリング、契約形態は買取型と保証型がある
- 急な資金調達が必要な場合、2社間ファクタリングの買取型では即日入金も可能
- ファクタリングは、利用者の財務状況に関係なく申し込め、信用情報への影響もない
- 注意点として、悪徳業者や偽装ファクタリング、違法な給料ファクタリングに警戒する
「ファクタリングはヤバい」などの声も聞かれますが、ファクタリングは法的に認められた資金調達手段です。フリーランスや個人事業主、中小企業の資金調達を円滑にし、経営の安定を図る目的があります。本記事で初心者向けにわかりやすく解説しますので、ファクタリングを活用した資金調達についてご理解いただければ幸いです。
ファクタリングとは
ファクタリングは、売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に譲渡、売却することで資金を調達できる仕組みです。企業間取引では、商品の販売やサービスの提供によって生じた代金は売掛金として計上され、請求後の入金までに1~2か月の時間差が生じることが一般的です。この期間内の資金調達に活用できます。
ファクタリングは、国の制度・解釈整備により活用が促進されている資金調達手段です。
ファクタリングが利用しやすくなった理由
以前は、売掛債権に債権譲渡禁止特約がある場合、譲渡や売却ができませんでした。しかし、2020年4月1日施行の債権法改定により、譲渡禁止特約付き債権でも債権譲渡が可能となり、ファクタリングのような資金調達がより利用しやすい仕組みへと変わりました。
参考:経済産業省|債権法改正により資金調達が円滑になります
ファクタリングの仕組み
まず、ファクタリングの仕組みを理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。詳しく解説します。
ファクタリングの種類
ファクタリングの種類は、ファクタリング利用者(以下利用者とする)である売掛債権の所有者とファクタリング会社の2社間で契約する場合と、そこに売掛先企業が加わり3社間で契約する場合があります。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いを詳しく見ていきます。
2社間ファクタリング

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2社間ファクタリングでは、利用者がファクタリング会社と契約して売掛債権を売却し、手数料を引いた残りの金額を受け取ります。売掛先企業はあくまでも利用者との取引相手となり、ファクタリングの契約に関与しないため、入金までの時間が短く数時間から即日入金も可能です。
ただし、ファクタリング会社からすると売掛先企業の情報を取得できず、回収リスクがあがるため、手数料は高めになります。
- 注意点:
- 利用者は、回収した売掛金をファクタリング会社へ支払う必要があります
- 支払いを怠ると債務不履行として遅延損害金や法的措置の対象となる可能性があります
3社間ファクタリング


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3社間ファクタリングでは、売掛先企業に債権譲渡を承認してもらう必要があり、入金までに数日を要します。しかし、3社の合意が明らかなため、手数料は2社間ファクタリングより低い設定です。
売掛金は期日までに売掛先企業からファクタリング会社へ支払います。
- 注意点:
- 売掛先企業に債権譲渡の承認や支払い口座変更への理解を求める必要があります
ファクタリングの2つの契約型
ファクタリングの契約には、買取型と保証型の2種類があります。一般的には買取型のファクタリングが浸透していますが、目的によっては保証型が有効です。詳しく見ていきましょう。
買取型
買取型は、売掛債権をファクタリング会社が買取り、その額面から手数料を差し引いた金額が支払われる契約です。早期の資金調達を目的に手数料を支払い、即日から数日以内に現金化できます。さまざまな事情で、早急に現金が必要となった場合に便利です。
- 買取型の特徴
- 売掛金の早期現金化が目的
- 手数料が発生する
- 契約後、最短即日入金あり
保証型
保証型とは、売掛先企業の倒産等による売掛金の未回収リスクに備える契約です。ファクタリング会社に保証料を支払い、売掛金が回収できなかった場合に保証金を受けられるものです。保証料はかかりますが、売掛金が回収できないという大きなリスクを回避できます。
- 保証型の特徴
- 売掛金の回収ができないときに備える目的
- 保証料が発生する
- 売掛金の未回収確定後に保証金が入金
ファクタリングの手数料の相場
ファクタリングの手数料は、2社間の場合8~18% 3社間の場合2~9%を設定しているファクタリング会社が多いです。手数料が高額の場合、悪徳業者の可能性があるため注意が必要です。また、保証型の場合は、金額に応じて保証料が異なります。
債権譲渡禁止特約がついているときに、債権譲渡登記をすることで特約を回避できる場合があります。その際は債権譲渡登記費用や印紙税が別途必要になります。
ファクタリングの入金までの時間
買取型では、2社間の場合は数時間から数日、3社間の場合は数日で入金されます。ただし、申し込みにあたって必要な書類がすべて整っているときの目安です。
保証型は売掛金の入金予定日以降、または、貸し倒れが確定した後に入金されます。
ファクタリングの申し込みに必要な書類
ファクタリングの申し込みには、口座の入出金履歴がわかるもの、売掛金に関する書類(請求書や契約書など)、契約者の本人確認書類、決算書等が必要です。これらの書類から、実際に業務を行う実在する会社であることが確認されます。
また、売掛債権に債権譲渡に関する特約が付いている場合、状況によっては債権譲渡登記に関する書類など追加書類が必要です。
ファクタリングが役立つ場面
ファクタリングは、急に資金が必要になったときや、ビジネスチャンスを逃さないための手段として有効です。さらに開業間際は、実績がないために銀行の融資が受けにくいこともあります。銀行の融資よりも割高な手数料を支払ったとしても、ファクタリングが役立つ場面は多いでしょう。
また保証型のファクタリングでは、取引先の信用不安がある場合に備えとして機能します。利用者は事業の継続のため、資金調達の手札を多く持つことが重要です。
- ファクタリングが役立つ場面はこんなとき
- 予定外の支払いが発生したが、運転資金に余裕がないとき
- 大口契約が舞い込んだのに、仕入れ資金が足りないとき
- 取引企業に経営不振のうわさがあり、売掛金が回収できるか心配なとき
- 銀行に融資を申し込んだが、実績がなく審査を通らないとき
ファクタリングのメリット
ファクタリングは即日の資金調達が可能になる他にもメリットがあります。
- ファクタリングのメリット:
- 即日の資金調達が可能
- 財務状況に関係なく申し込める
- 信用情報に影響しない
- 審査が早く、担保や保証人は不要
- 受け取った金額の返還義務がない
ファクタリングサービスを行う企業も増え、オンライン契約も可能になっています。
財務状況に関係なく申し込める
ファクタリング会社にとって売掛債権(売掛金)の回収先は売掛先企業になります。ファクタリングを利用する利用者の財務状況が赤字であっても、税金や社会保険料等の未納があっても利用できます。利用者の資金繰りの改善が目的なので、利用者の状況に左右されることはありません。ただし、契約者の信用度も重視されるため、誠実に事業に取り組んでいることが大切です。
信用情報に影響しない
譲渡売買されるものが売掛金の債権(売掛債権)なので、売掛先企業に売掛金の支払い能力があるかは重要です。しかし、借入契約ではなく譲渡売買契約なので、利用者の信用情報を調査される心配はありません。
ただし、2社間ファクタリングでは、回収した売掛金をファクタリング会社に支払う義務を負うため、契約者の信用性は確認されます。
審査が早く、担保や保証人は不要
ファクタリングの審査では、売掛先企業が信用できるのか、契約者が信用できるのか、さらに、支払期日が通常取引において適切な期間内かなどが確認されます。この審査は大変迅速に行われるため、即刻結果が出ます。また、売掛債権という権利の売買であり、融資を受けるわけではないので、担保や保証人も必要ありません。
受け取った金額の返還義務がない
売掛先企業が倒産した場合でも、売掛債権は譲渡・売買が成立しているため、ファクタリング会社から受け取った金銭の返還義務は生じません。たとえば、2社間の買取型では、回収した売掛金をファクタリング会社に支払う義務を負います。しかし、回収できない限り返済義務はなく、売掛債権の所有者であるファクタリング会社が最終的な債権処理を行います。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングは、大変便利な資金調達方法となりますが良いことばかりではありません。デメリットも理解したうえで、適切な活用方法を選びましょう。
- ファクタリングのデメリット:
- 売掛先企業との関係悪化が危惧される
- 売掛金の金額内のみの利用になる
売掛先企業との関係悪化が危惧される
3社間ファクタリングでは、売掛先企業に売掛債権の譲渡を承認してもらう必要があります。この際、利用者の資金繰りが厳しいなどの風評被害が生じる可能性があります。ファクタリングが一般に浸透していないことと、悪徳業者が存在することも理由となるでしょう。しっかりと相談して理解を求める必要があります。
次に紹介する法務省の見解は、理解を求めるための後押しになります。政府主導のもと進められる、中小企業等の倒産防止対策の一つといえるでしょう。
法務省の見解:
ファクタリング等で債権が譲渡されても、資金調達の目的であれば売掛先企業との契約の解除や損害賠償の理由とならない
参考:法務省 経済産業省|債権法改正により資金調達が円滑になります
売掛金の金額内のみの利用になる
ファクタリングで利用できる金額は、売掛金(売掛債権)の額面から手数料を引いた金額になります。銀行融資のように必要な金額を申し込めるわけではなく、売掛金の金額内のみです。複数の売掛金をファクタリングで譲渡売買したり、銀行の融資を申し込んだりと、資金調達は長期・短期の両面から準備することをおすすめします。
利用する際の注意点
ファクタリングを利用する際に注意すべきことを紹介します。悪徳業者が存在することも事実です。偽装ファクタリングに合わないため確認すべき点を押さえておきましょう。
償還請求権がある契約は買取型ではない
償還請求権とは、たとえばファクタリング会社が買い取った売掛債権について、売掛先の倒産等により回収ができない場合に、この売掛債権を売った者(ファクタリング契約をした利用者)に対して代金の返還を求められる権利をいいます。リコースと呼ばれる償還請求権のある債権を、買取型のファクタリング契約と装う偽装ファクタリングも存在します。償還請求権のある債権の扱いには十分注意が必要です。
契約書の内容を確認する
契約書は2部作成して、1部は必ず自身で保管します。内容は債権譲渡契約(売買契約)と定めがあることを確認しましょう。詳細についても、償還請求権の記載の有無や利用者に不利な条件等がないか確認する必要があります。疑問や不信感を感じた場合は、契約前に相互ですり合わせをしたり、持ち帰り専門家に相談したりと用心が必要です。
悪徳業者に注意する
ファクタリングと称して、貸付け(債権担保貸付け)を行ったり、手数料が高額であったりした場合は悪徳業者を疑いましょう。ファクタリング会社は債権の譲渡・売買を生業とするため金融業の登録は必要ありませんが、債権担保貸付は金銭の貸し付けにあたるため金融業の登録が必要です。ファクタリングと称した貸付は違法性が疑われます。
また、契約書に債権譲渡契約(売買契約)と記載されていても、売掛金が回収できなかったときに、契約者に債権の買戻しを求めるなどの項目があり返還を強要される可能性があります。悪徳業者を利用しないよう注意が必要です。
参考:金融庁|ファクタリングの利用に関する注意喚起
参考:消費者庁|違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください!
違法の給料ファクタリングは利用しない
給料ファクタリングとは、個人が就労先から受け取る賃金(賃金債権)を、担保もしくは買い取ることで金銭の貸付けを行う行為です。その回収も個人が行うことを指します。これはファクタリングではなく貸金業にあたるため、副業をしている個人は要注意です。受け取った賃金額に利息を上乗せして返済する羽目になりかねません。副業の運転資金を得るために、本業の賃金を担保にしたのでは本末転倒です。
ファクタリングとほかの資金調達手段を比較
資金調達の手段には、金融機関からの融資や各種補助金の利用などがあります。ファクタリングと比較し、状況に合わせて活用しましょう。
銀行からの融資
銀行の融資では、申込金額に定めもなく、金利もファクタリングの手数料と比較したら安いです。ただし、信用調査が行われ、融資が確定するまでに数週間必要になったり、申込金額が全額融資されなかったりする可能性があります。実績の有無・必要な資金額・時間的猶予等を考慮して、適切なタイミングでの利用が有効です。
補助金の申請
補助金には、通年利用できるものや一定の期間内に利用できるものなど、さまざまな種類があります。申請から交付までに数か月を要する場合もあり、利用者が資金調達したいタイミングに目的に合った補助金を申し込めない可能性もあります。近日中に資金調達が必要なときに申請するよりも、前もって情報収集を行い、適切な補助金を申請するほうがよいでしょう。
まとめ
ファクタリングは、法律に則って活用すれば、極めて有効な資金調達手段です。フリーランスや個人事業主、中小企業の資金調達に苦労している方におすすめです。
悪徳業者が知名度をあげてしまったため良い印象がないかもしれませんが、銀行関連や政府認定など優良なファクタリング会社は多いです。この記事を参考に、ファクタリングを資金調達手段の一つに加えていただき、継続的な企業活動にお役立てください。











