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見積書の書き方|個人事業主・フリーランス向けに基礎を解説

date2025年12月12日
見積書の書き方|個人事業主・フリーランス向けに基礎を解説
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はじめに

  • 見積書とは、取引前に商品やサービスと価格、諸条件等を明記して共有する書類
  • 見積書の記載内容に法的定めはないが、発注者、受注者間の認識を合わせる内容を記載する
  • 見積書には、発注の検討依頼や受注後のトラブル回避などの目的がある
  • 見積書作成時の注意点は、前提条件の明確化、問い合わせ窓口や有効期限の明示、記載ミスや計算ミスの予防等がある

見積書は、商品やサービスの金額を提示する書類と考える方は多いでしょう。しかし、実際には記載内容に決まりはなく、何をどう書けばよいのか迷うこともあります。この記事では記載すべき内容やその理由から、具体的な記載方法、注意点までわかりやすく解説します。

見積書とは

見積書とは、取引開始前に商品やサービスの金額や諸条件などを明記し、発注者に自社の提案を知ってもらうための重要な書類です。単に、商品やサービスの金額を伝えるだけでなく、自社を信用してもらうためのツールでもあります。基本を押さえ、信頼を獲得するポイントを理解することが大切です。

見積書が必要な理由

まず初めに、なぜ見積書が必要なのか、見積書を渡すことでどのような効果があるのかを見ていきます。

発注を検討してもらう判断材料になる

取引先が発注を検討する際、見積書に記載された単価や納品期間が、重要な判断材料となります。
継続取引の場合は、単価変更や新規商品のアピールにも活用可能です。新規取引では、他社との比較材料として単価や納期の柔軟性が評価される場合があります。

受注後のトラブル回避

たとえば、見積書の発行日と有効期限を記載するのは、「この期間内であれば、この単価や条件で取引します」という意思表示です。取引先が古い見積書の単価と勘違いして発注した場合のトラブル回避ができます。数量欄で「一式」と記載する場合の具体的な内容や、支払い条件の明記など、細部まで配慮することが重要です。

口約束では、万が一トラブル発生した際に対処できません。そのため、受注者、発注者それぞれの認識を合わせるためにも書面に残す必要があります。

取引先からの信用を得る

見積書には、商品名や単価等だけでなく心配りがあると、発注を検討している側に安心感や信頼感を与えられます。たとえば「ご不明点は担当○○までお問い合わせください」といった記載は、担当者を明記することで見積書の説明ができるだけでなく、責任の所在も明らかになります。商取引は優れた商品やサービスだけで成り立つものではなく、信頼関係の構築が重要で、見積書はその信頼の土台をつくる書類のひとつといえます。

見積書の書き方

ここからは見積書の書き方について解説します。一般的には、取引では見積書に発行の義務はなく、記載する内容にも法的定めはありません。発注者と受注者の間で認識の相違が生じないために、以下の基本的な内容は押さえておきましょう。
上記、見積書の見本に沿って見ていきます。

  1. タイトル

    「御見積書」と冒頭に目立つように記載します。見積書と似た形式で記載される納品書や請求書と区別するためです。

  2. 発注者(取引相手)情報

    左側上部に発注者(取引相手)情報を記載します。記載内容は、発注者の社名、担当部署や担当者名と所在地や連絡先などのわかる範囲で記載します。

    • 社名のみの場合は「株式会社○○御中」
    • 担当部署と担当者まで記載する場合は「株式会社○○ 開発課 ○○様」
    御中と様は正しく使い分けましょう。

  3. 受注元(自社)情報

    自社情報は、発注者情報よりも少し下がった右側に記載します。社名・所在地・電話番号のほかに、問い合わせ用のメールアドレスがあると親切です。また、担当者がいる場合は、担当部署と担当者名も記載します。

  4. 見積書発行日

    見積書を作成した日付もしくは発行した日付を記載します。価格変動の大きい業種では、定期的に見積書を発行する場合もあり、どの見積書が最新かを判断するためにも発行日の記載は重要です。

  5. 見積書の管理番号

    自社で見積書を整理管理するための通し番号です。この番号があることで、見積書を探す手間が省けます。

  6. 納期予定期間

    受注から納品までの期間の目安を記載します。「受注後○日で納品」や「スピード対応〇日も可能」等の納期記載があることで、発注者が商品やサービスを受けるタイミングの予定が立てやすくなります。

  7. 支払条件

    支払期限や支払方法、回数などを記載します。例えば「月末締め翌月20日払い」などです。業種によっては受注時に前受け金を受け取る必要があるため、「発注後2日以内に前払金○○万円を申し受けます」など、その旨を明記します。

  8. 見積書の有効期限

    有効期限は業種にもよりますが、一般的には数週間から6か月程度を設定します。有効期限を提示しないと価格が変更になった際に、以前の安い単価で取引する羽目になりかねず、大きな損失やトラブルの原因になります。

  9. 商品・サービスの詳細

    サービス名や商品名・型番、個数、単価等を記載します。セット商品であれば、一式と記載し、その場合は(工賃込み)や(付属品:○○別)等の注意書きも入れましょう。

  10. 見積金額

    各サービスや商品の小計と、消費税額等を合わせた合計額を記載します。この見積書における総額という意図です。

  11. 消費税等

    消費税については、内税・外税が分かるようにしておくことが大切です。

    • 外税の場合は消費税欄に消費税額を記載します
    • 内税の場合は斜線を入れることで、別途請求する消費税がないことを示します
  12. 備考

    備考欄には特記事項等を記載します。

見積書の作成方法

続いて見積書の作成方法です。ExcelやWordの活用や手書きすることで、独自の見積書を作成する方法と、見積書作成ソフトを利用する方法を紹介します。

Excel(エクセル)やWord(ワード)を活用する

ExcelやWordを活用するメリットは、自社オリジナルのひな形が作成できる点です。業種によって記載項目が異なったり、自社商品やサービスのアピールポイントとなる項目を追加したりするケースもあるでしょう。臨機応変な対応ができるうえ、Excelでは合計金額等の計算も自動化でき計算ミスも減らせます。

手書きする

見積書を作成する機会が少ないなら、手書きでも十分に対応できます。必要項目を漏れなく記入して、誤字や計算ミスに注意しながら作成します。印刷書類が常態化した現代では、丁寧に手書きされた見積書に温もりを感じることもあるでしょう。

見積書作成ソフトを利用する

多くの見積書作成ソフトの中から、使いやすいものを選んで利用するのもよいでしょう。見積書だけでなく納品書や請求書と連携できるものもあり、さらに管理番号を自動で振り分けてくれるなど効率化が可能です。個人で事業を行う場合は、やるべきことが多数あるため効率化は重要な課題といえます。

見積書作成時の注意点

見積書を作成する際の注意点を紹介します。明確にすべき内容や配慮する点等を見ていきましょう。

前提条件を明確にする

見積書を作成する際は、まず前提条件を明確にする必要があります。受注後のトラブル回避のためにも重要なポイントです。たとえば、価格交渉時に対応可能な限度額や大口取引用の単価などの価格に関するもの、商品やサービスの提供までの期間的な余裕など、この条件以下では取引しないラインを設定しましょう。これに基づいて、受注後に充分な対応ができる見積書を作成します。

質問や問い合わせを受ける連絡先を明確にする

発注者からの問い合わせに対応できる担当者や補助スタッフに繋がらないと、発注の検討から外れてしまう可能性があります。代表電話番号のみでなく、担当者名やメールアドレスを記載するなど、問い合わせの手段を複数用意するとよいでしょう。

相見積もりの場合は相手の条件を反映させる

見積書の作成では、相見積もりを求められることがあります。相見積もりの場合は、受注者から前もって基本条件を伝えられるのが一般的です。同じ条件下で複数社が競い合うため、提示された条件は反映させるようにしましょう。厳しい条件下でも、自社商品やサービスの魅力とメリットを伝える工夫が重要です。

見積書の有効期限を明確にする

有効期限の記載には2つのメリットがあります。1つ目は、発注者に早期の決断を促す効果があること、2つ目は価格変動による見積書記載価格での損失を防ぐことです。この期間内であれば記載価格での契約が可能であると証明します。

備考欄を有効活用する

備考欄には、次回の価格改定予定や納品時の対応方法など、注意事項や流動的な内容を記載することが多いです。しかし、時候の挨拶や営業の意気込みなどを記載しても問題ありません。備考欄を上手に活用すれば、見積書を魅力的にすることが可能です。発注を検討している担当者に響く工夫ができる場所が備考欄といえます。

記載ミス・計算ミスはWチェックで回避する

数量や単価の記載ミスや計算ミスは大きな損失やトラブルのもとになります。また、取引先情報の特に名前の間違いは、信用を失う原因となるため必ず確認をしましょう。自分だけでなく、他者を交えたWチェックをおすすめします。

インボイス制度導入で見積書に記載することはある?

インボイス制度は、請求時に対応が必要ですが、見積書では基本的に対応の必要はありません。しかしインボイス制度対応の企業では、個人事業主がインボイスに対応できるのか確認したい場合があります。
備考欄に「適格請求書発行事業者登録番号:TXXXXXXXXXXXX」や「インボイス(適格請求書)発行可能」などと記載することで、企業側は安心感を得られ、請求時の処理もスムーズに進むでしょう。

発注者の要望に従い、納品書をインボイスとして扱う際に、納品書だけではインボイスの記載要件を満たせない場合、元となる見積書と合わせてインボイスに対応する必要もでてきます。
見積書を、インボイスとして請求書・納品書などと組み合わせるのは処理が煩雑になります。どの書類をインボイスとして扱うかを事前に取り決めておくことで対処しましょう。例えば、インボイスを請求書に統一できると事務処理の手間を減らせます。

見積書に保存期間の定めはある?

見積書も請求書や領収書と同様に証憑書類にあたるため、保存期間の定めがあります。個人事業主の場合、自社発行・取引先発行に関わらず5年間の保存が必要です。また、消費税の課税事業者である場合は、7年間の保存が義務付けられています。ただし、発注に至らなかったものは保存の義務はありません。また、電子帳簿保存法の施行により、電子データでの保存も可能です。

参考:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間

まとめ

見積書は、商品やサービスの価格や諸条件を明記する重要な書類であり、個人事業主やフリーランスにとっては、案件が獲得できるか否かの役割を担う書類になります。適切な気配りや配慮で好感度を高める一方で、伝えるべきことを曖昧にするとトラブルの原因にもなります。この記事を参考に、伝えるべきことは正しく伝え、信頼を築く見積書の作成にお役立ていただければ幸いです。

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