はじめに

IT・Web業界の選考ではポートフォリオを求める企業が増えています。自分の強みを生かし、応募先に合ったポートフォリオを作成するのが重要です。この記事では、ポートフォリオの意味から基本の内容や作り方を説明していきます。面接時にポートフォリオを活用する方法も紹介していますので参考にしていただければ幸いです。

ポートフォリオとは

ポートフォリオは、これまで学んできたことや業務で携わってきた作品を一覧にしてまとめたものです。ポートフォリオにまとめられた作品により、企業側は入社志望者の作品を通じて制作実績や技術力を把握します。一覧に載せる作品は、企業にとって何ができる人なのか、自社に合う人材かどうかの判断基準となります。

ポートフォリオがあるとよい職業

IT・Web業界に属している職業の選考では、ポートフォリオの用意があるとよいでしょう。制作物のクオリティや発想力、実務スキルを示せる有効なツールとなります。Webデザイナーやイラストレーター、エンジニアといった作品制作が業務内容となっている職業では、求められる可能性が高いです。

ポートフォリオを提出するタイミング

ポートフォリオは選考を受ける企業が指定するタイミングで提出しましょう。履歴書と同じタイミングで提出を求める企業が多いです。物理的な作品がある場合は、ポートフォリオの概要・仕様書を添付しましょう。

ポートフォリオ基本の内容

ポートフォリオはわかりやすく自分の作品の傾向やスキルを企業に伝える資料です。情報は「必要最低限」「一目でわかること」が大切です。しかし、最低限を意識しすぎて情報が足りなくなったり 、反対にすべてを説明しようとして長くなり要約ができなくなったりしないように気をつけましょう。基本的な構成は以下の5項目です。

1. 目次
2. 自己紹介
3. スキル
4. 将来の展望
5. 作品

１.目次

まずはデータや紙資料のどこに欲しい情報があるか、一目でわかるように目次をつけましょう。面接でポートフォリオを利用する場合にも、目次があると説明しやすくなります。

２.自己紹介

自己紹介は氏名・生年月日・顔写真を最初に記載します。作品に関連するSNSやポートフォリオサイトがあれば掲載しましょう。もしなければ新たに作るのもよいでしょう。今までの実績や受賞歴があれば記載します。経験業務やポジションも簡潔にまとめましょう。

３.スキル

作品に使用したツールや言語をはじめ、現在扱えるツールやアプリケーション、言語を記載します。ポートフォリオ用で新たに作品を作る場合は、得意分野を強調できる作品に仕上げて掲載すると効果的です。

４.将来の展望

入社後どのような仕事をしたいか、将来的にどのポジションを目指すかを明記し、意欲をアピールします。応募企業が求める人物像をチェックし、応募職種で働くことによって自分がどのように成長できるかを考えてみましょう。

５.作品

作品ごとに、タイトル（URL）・作品・制作年月日・コンセプトなどの基本情報を記載します。チーム作成の場合は、ポジションや担当も明記しましょう。1項目ごとに簡潔にまとめ、長文化を避けます。

ポートフォリオ基本の作り方

ポートフォリオは、紙とWeb媒体の両方で用意することが好ましいです。エンジニア類でプログラムの実装が可能な場合は、実機で動作を確認できる形で準備すると、よりわかりやすくなります。ここではポートフォリオ基本の作り方を紹介してきます。

1. ポートフォリオに記載する作品の作成
2. 提出テーマを決める
3. 自分の強みを強調する
4. ユーザ視点で構成する

１.ポートフォリオに記載する作品の作成

ポートフォリオに載せる作品が手元にない場合は、周囲の友人や知人にクライアントになってもらい、新たに作品を作成しても構いません。クライアントがいない作品でも提出は可能ですので、丁寧に作ることを心掛けましょう。

2.提出テーマを決める

ポートフォリオを提出する企業にはさまざまな特色や特徴があります。自分のポートフォリオを受ける企業に合わせて、どのようなテーマで作成していくか決めましょう。デザインや使用する技術を企業に合わせて考えるとよいでしょう。

3.自分の強みを強調する

企業はポートフォリオを通じて、応募者の技術力や、どのような視点で作品をつくるのかをくみ取ろうとします。強みが伝わる作品をピックアップして、自己アピールにつなげましょう。

4.ユーザ視点で構成する

仕事として作品を作る以上、ユーザが存在することを意識しましょう。ユーザが利用しやすい・見やすい作品は重宝されます。利用する人や見る人に対して、どのように作品を作れば利用しやすいのか細部まで気を配りましょう。

ポートフォリオ注意点

ポートフォリオの基本の内容や作り方を説明してきました。ここからはわかっているとより丁寧にポートフォリオの作成ができる注意点を説明していきます。この3つの注意点はポートフォリオだけでなく、さまざまな資料を作成するときにも心掛けておくとよいポイントですので、覚えておくと便利でしょう。

• 著作権
• 個人情報
• 文章の構成

著作権

ポートフォリオに使用する素材や作品が著作権に違反していないか確認をしましょう。クライアントに作品著作権がある、公開前の作品であるといった場合は先方への確認が必要です。フリー素材を使用する際は、利用規約を確認し、遵守しましょう。

個人情報

ポートフォリオに使用する素材や作品が、個人情報保護のルールに沿っているかを確認しましょう。クライアントの企業秘密や機密情報の開示は厳禁です。

文章の構成

ポートフォリオは「一目でわかる」構成を意識しましょう。伝えたいことは、短く簡潔にまとめると、採用担当者に好印象を与えられます。短文・箇条書きで簡潔にまとめるよう意識しましょう。すべてを説明しようとすると冗長になり、読みにくくなるため注意が必要です。

各職業の重要ポイント

IT・Web業界のポートフォリオとひとことで表現しても、業種ごとに求められるセンスや技術は異なります。ここでは、業種ごとにポートフォリオを作成する際の重要ポイントを紹介します。

Webデザイナー

Webデザイナーのポートフォリオの作り方において重要なことは、コンセプトの設計や完成された作品が具体的で求められていることに応えていることです。キャリアアップとしてWebディレクターを考えている方は、今までのポジショニングと共にチームにおいての自分の役割を通して、チーム全体の動きを記載しましょう。

イラストレーター

イラストレーターのポートフォリオは、作品制作のプロセスがわかりやすいことやグラフィックの明瞭さが重要です。動画や静止画のポートフォリオでは編集を行う際に映像や画像すべてを使おうとせず、ポイントとなる部分をいかに要約できるかが重要となります。チーム制作を行った作品の場合は、全体の流れと自分の役割を記載しましょう。

エンジニア

エンジニアのポートフォリオにおいて重要なことは、作品の制作意図がはっきりしていて、オリジナル性が高いことです。またユーザが利用しやすく、出来上がりや制作過程がシンプルであると企業に好印象を与えられます。プログラミングのコード処理がシンプルであることも求められる可能性が高いです。

面接でポートフォリオを活用する方法

ポートフォリオは作成して、企業に渡して終わりではありません。面接時に自分をPRする武器としても活用できます。ここでは面接でポートフォリオの活用方法を説明します。
この方法は面接時だけでなく入社後にも活用できますので、覚えておくと便利でしょう。

• 見やすい資料づくり
• 要点をまとめる
• 相手の質問を想像する

見やすい資料づくり

ポートフォリオの作品一覧は見やすい大きさや量にします。レイアウトに統一感を持たせて、全体のバランスを整えましょう。見やすい資料は面接時に説明がしやすく、採用担当者にも好印象を与えやすくなります。

要点をまとめる

ポートフォリオではすべてを説明しようとせずに、伝えたいポイントを絞ることが大切です。作品の説明や自己アピールに必要な部分の要点をあらかじめ整理しておきましょう。

相手の質問を想像する

面接時には採用担当者から、作品について質問をされる可能性が高いです。作品のコンセプトや制作意図、ツールの選定理由といった、よく聞かれる質問を想定して準備しておきましょう。事前に質問に備えておけば、スムーズな受け答えができます。

まとめ

ポートフォリオが完成したら、周りの人に意見を求めて改良を重ねてみましょう。第三者の視点は、新たな改善点の発見につながります。悩んだときは他の人のポートフォリオ作品例を参考にして、自分の強みを探してみてください。改良を重ねて、要点を押さえた自分らしさが伝わるポートフォリオを作りましょう。