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雑所得とは?確定申告を行う基準や税額の計算方法も徹底解説

date2025年08月12日
雑所得とは?確定申告を行う基準や税額の計算方法も徹底解説
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はじめに

  • 雑所得とは、10種類の所得税のうち、9種類のいずれにも当てはまらないものをいう
  • 雑所得には公的年金等の所得、副業などによる所得、その他の所得の3種類がある
  • 懸賞や公営ギャンブルで得た所得は一時所得となる
  • 雑所得が一定金額を超えた場合は確定申告が必要である

雑所得とは

雑所得とは、10種類の所得税のうちの1つです。9種類のどれにも当てはまらないものを雑所得といいます。

所得税の10種類について以下で解説します。

所得の種類説明
利子所得預貯金および公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得
配当所得株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配または投資信託および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得
不動産所得・土地や建物などの不動産の貸付や船舶や航空機の貸付
・地上権などの不動産上に在する権利の設定と貸付
事業所得農業・漁業・製造業・小売業・卸売業・サービス業、その他の事業で得る所得
給与所得従業員や役員等が支払を受ける俸給・給料・賃金・歳費・賞与のほか、これらの性質を有する給与
退職所得・勤務先から受け取る退職手当や社会保険制度による一時金
・生命保険会社等から受け取る退職一時金
山林所得山林を伐採または立木のままで譲渡することで得る所得
※取得から5年以内に伐採または譲渡した場合は事業所得か雑所得になる
譲渡所得土地・建物・株式等・ゴルフ会員権・金地金などの資産を譲渡することによって生ずる所得
一時所得・懸賞や宝くじなどの賞金品・競馬や競輪の払戻金
・生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
・法人から贈与された金品
・遺失物拾得者や埋蔵物発見者が受ける報労金
・資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その目的に充てられなかった分
雑所得上記9種類に当てはまらない所得
公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)

雑所得は3つの種類がある

雑所得は3つの種類に分けられます。以下で解説します。

公的年金等の雑所得

公的年金等や恩給などで得た所得は、雑所得となります。該当するものは、次の4つです。

  • (1)国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
  • (2)過去の勤務により会社などから支払われる年金
  • (3)確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金
  • (4)外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するものに基づいて支給を受ける年金

主な例としては、国民年金、厚生年金、企業年金などです。

参考:国税庁 – No.1600 公的年金等の課税関係

業務に係る雑所得(副業など)

副業の業務に係る所得は雑所得となります。
主な例としては、ライターやイラストレーターとしての原稿料、講演会による講演料、シルバー人材センターでの収入、シェアリング・エコノミーに係る所得などです。
ただし、これらの中でも、継続的・反復的に行われている、規模が大きい場合などは、事業所得として扱われる可能性もあります。

参考:国税庁 – 手順2 収入金額等、所得金額等を計算する

その他の雑所得

その他の雑所得とは、公的年金等の雑所得、業務に関わる雑所得以外の雑所得を指します。
主な例としては、生命保険の年金(民間の個人年金保険など)、互助年金、FXや暗号資産取引による収入などです。

参考:国税庁 – 【確定申告書等作成コーナー】–雑所得とは

雑所得とほかの所得との違い

雑所得と混同しがちな、事業所得や一時所得との違いを解説します。

事業所得との違い

国税庁からの通達により、2022年10月から雑所得と事業所得の区別が明確になりました。この通達以降、雑所得になるかどうかの判断基準に、本業か副業かは関与しないことになります。

  • 事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上、事業と称するに至る程度でおこなっているかどうかによる
  • 事業所得と業務に係る雑所得については、その所得を得るための活動の規模によって判定され、当該活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る雑所得に区分される

「事業的規模であるかどうか」については、目安があります。
通達では、判断基準が表で分かりやすく示されています(以下)。

収入金額記帳・帳簿書類の保存あり記帳・帳簿書類の保存なし
300万円超概ね事業所得(注)概ね業務にかかる雑所得
300万円以下業務に関わる雑所得

(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断する。
(1)その所得の収入金額が僅少と認められる場合 (2)その所得を得る活動に営利性が認められない場合

なお、注釈にも記載されている通り、事業所得か雑所得かの判断を個別におこなう場合があります。自分の所得がどちらになるか分からないときは、税務署に問い合わせるのがよいでしょう。

参考:国税庁 – 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

参考:国税庁 – 所得税通達の改正について(PDF)

一時所得との違い

年金で得た所得、副業などの業務による所得、株やFXによる所得は雑所得となります。
一方、懸賞で得た所得や、競馬や競輪といった公営競技で得た所得、生命保険の一時金・損害保険の満期返戻金で得た所得などは一時所得となります。
本業でない営利目的の収入、や生活目的(年金)の収入が雑所得となりますが、一時所得は営利目的での活動で得た収入ではない点がポイントです。

一時所得に該当する収入は次のものです。

  1. 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く)
  2. 競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)
  3. 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等
  4. 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除く)
  5. 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
  6. 資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

参考:国税庁 – No.1490 一時所得

雑所得の計算方法

このセクションでは、雑所得における計算のやり方を解説します。
まずは所得税の税率と控除額を紹介します。次の表をご覧ください。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

参考:国税庁 – No.2260 所得税の税率

公的年金等の計算方法

年金とそれ以外の雑所得にあたる収入で計算のやり方が違うため、注意しましょう。
ここでは公的年金等の雑所得について、計算のやり方を説明します。

  • 公的年金等の雑所得

    収入金額 – 公的年金などの控除額

※公的年金等控除額は、受給者の年齢・年金の収入金額に応じて、定められている。
(控除額の早見表は国税庁 No.1600のWebページを参照

参考:国税庁 – No.1500 雑所得
参考:国税庁 – No.1600 公的年金等の課税関係

業務に係るもの(副業など)の計算方法

業務に係るものの雑所得について、計算のやり方を説明します。

  • 業務に係るもの(副業など)の雑所得

    総収入金額 – 必要経費

参考:国税庁 – No.1500 雑所得

その他の計算方法

その他の雑所得について、計算のやり方を説明します。

  • その他の雑所得

    総収入金額 – 必要経費

参考:国税庁 – No.1500 雑所得

所得税の計算例

雑所得を算出したら、次は所得税を計算します。所得税の計算のやり方は以下の通りです。

  • 所得税の計算について

    総所得額 – 所得控除額 = 課税所得金額
    課税所得額 × 税率 = 所得税額
    所得税額 – 税額控除額 = 納税額

会社に勤めながら、副業で年間300万円の収入を得ている場合の計算例を紹介します。なお、年末調整の結果、会社員としての所得は150万円、副業の必要経費は0万円、独身で扶養する家族はおらず、他の控除はとくになしとします。

まず、雑所得を出します。
副業の収入3,000,000(円)-必要経費0(円) = 雑所得3,000,000(円)

次に、総所得額から所得控除額を引き算し、課税所得金額を出します。例の場合は、基礎控除額である48万円を引きます。
雑所得3,000,000(円) – 所得控除額480,000(円) = 副業の課税所得金額2,520,000(円)
給与所得1,500,000(円)+副業の所得2,520,000(円)=課税所得金額4,020,000(円)

そして、課税される所得金額の表から、税率を割り出します。
課税所得金額2,520,000円は、「雑所得の計算方法」で紹介した税率表によると、税率20%、控除額427,500円になります。
課税所得金額4,020,000(円)× 税率20% – 控除額427,500(円)= 納税すべき所得額376,500(円)

よって、納めるべき所得税は376,500円です。

参考:国税庁 – No.1000 所得税のしくみ

確定申告が必要な雑所得の金額

雑所得は、確定申告が不要な場合と必要な場合に分かれます。確定申告が必要になる条件の目安は収入金額です。給与所得がある方と他の方で考え方が違うため、以下で解説します。

給与所得がある人(会社員)は20万円を超えたとき

会社員で副業などの収入が20万円を超えた場合、副業の収入を雑所得として確定申告をおこなう必要があります。副業の収入が20万円を超えない場合、確定申告をおこなう必要はありません。

なお、給与所得がある人は、年末調整後に源泉徴収票をもらいます。副業の収入で確定申告するときに、給与所得も記入する必要があるため、源泉徴収票が必要です。源泉徴収票はきちんと保管し、確定申告のときにすぐ取り出せるようにしておくと便利です。

参考:国税庁 – 確定申告が必要な方

給与所得がない人は48万円を超えたとき

給与所得がある人以外の人については、雑所得が48万円を超えたときに確定申告をおこなう必要があります。これは、確定申告において、基礎控除である48万円が収入から引かれるためです。
たとえば、収入が48万円を超えない場合、基礎控除額48万円を差し引いた所得が0円となるため、確定申告をおこなう必要はありません。48万円を超えた場合は、課税対象となる所得が生じるため、 確定申告をおこなう必要がでてきます。

なお、年金所得者は特例があるので、そちらに従うことになります。

参考:国税庁 – No.1199 基礎控除

年金所得者に係る確定申告不要制度

年金所得者は原則、確定申告をおこなわなければなりません。しかし、年金受給者の負担を減らすために、年金所得者に係る確定申告不要制度があります。

  • 年金所得者で以下のいずれにも当てはまる場合、確定申告は不要

    (1) 公的年金等の収入金額が、400万円以下(ただし、公的年金がすべて源泉徴収の対象であること)
    (2) 公的年金等にかかわる雑所得以外の所得金額が、20万円以下

参考:国税庁 – 確定申告が必要な方

まとめ

雑所得とは、法律で定義されている10種類の所得税のうち、9種類のいずれにも当てはまらないものをいいます。雑所得には3種類あり、公的年金等の所得・(副業などの)業務に係る所得・その他の所得に分かれます。また、公営ギャンブルや懸賞で得た所得は一時所得に分類され、雑所得とは区別されます。
雑所得が一定額を超えたときは確定申告をおこなう必要があります。事前に確認しておくとよいでしょう。

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