フリーランス・業務委託

アウトソーシングとは?意味や派遣との違い、メリット・デメリットを解説

date2025年09月10日
アウトソーシングとは?意味や派遣との違い、メリット・デメリットを解説
タグ:

はじめに

  • アウトソーシングとは社内業務の一部を外部に委託する手法、または委託そのものを指す
  • 労働人口の減少が見込まれる現代では注目されている手法
  • アウトソーシングにはITO、BPO、KPOなどの種類がありそれぞれ得意分野が異なる
  • いわゆるノンコア業務がアウトソーシングしやすいが、一部コア業務も可能である
  • 依頼元企業が委託先と歩調を合わせて委託業務を把握することが重要

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、社内業務の一部を外部に委託すること、またはその手法を指します。人材不足の背景から注目されている手法です。
概要やメリットやデメリットをこの記事で解説します。

取り入れられる理由

アウトソーシングという手法が取り入れられている理由は複数あります。
大きな理由のひとつは、現代の人材不足の拡大です。加えて、DXやIT技術の発展に伴って業務工程が増加し、多くの企業に大きな負荷が生じています。
しかし今、アウトソーシング企業の多様化により、専門知識やノウハウ不足を補いやすくなっています。人材不足とIT技術の発展により、今後も活用の拡大が見込まれます。

派遣との違い

アウトソーシングに似た形態として派遣が挙げられますが、アウトソーシングと派遣は仕組みが異なります。以下で説明します。主な違いは次の通りです。

  • 派遣

    人材派遣会社に雇用されている派遣スタッフが、依頼元企業に派遣される。派遣スタッフは、依頼元企業の指揮のもとで業務をおこなう。人材(労働力)の提供であり”業務の完成”を委ねる請負・委託とは法的性質が異なる。

  • アウトソーシング

    特定の業務そのものを外部に委託する。 派遣との大きな違いは、指揮命令関係にある。業務遂行は委託先の責任でおこなわれ、依頼元が直接指揮することはない。

アウトソーシングの種類

アウトソーシングは、その形態によりいくつか種類があります。

ITO

ITO(Information Technology Outsourcing、インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)とは、IT業務の一部、またはほぼすべてを外部業者に委託することを指します。IT業務には高度な専門知識が必要不可欠です。しかし、ITOを取り入れることで、IT業務を自社でこなすための教育コストを抑えられます。

BPO

BPO(Business Process Outsourcing、ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、定型業務(例:経理事務、コールセンターなど)の一部を外部業者に委託することを指します。単なるアウトソーシングと違い、業務代行を進めながら業務改善も依頼できます。そのため、人材不足が深刻化する現代において注目されています。

KPO

KPO(Knowledge Process Outsourcing、ナレッジ・プロセス・アウトソーシング)とは、専門分野のデータ収集・分析とレポーティング業務に特化した、知的業務のアウトソーシング形態です。
デジタル化が進んだ今、データ量が膨大になり、金融や医療などの専門性の高い分野では業務負荷が増大しすぎているのです。ここを切り出し、業界の専門家やデータサイエンティストなどにアウトソーシングして、企業の負担を減らすことができます。

アウトソーシングを依頼しやすい業務例

アウトソーシングの種類について理解したところで、次によくあるアウトソーシングの具体的な業務例をみていきましょう。

各種事務

経理事務、人事事務、法務事務、営業事務、一般事務などの事務作業全般は定型業務がほとんどであり、比較的マニュアル化もしやすい業務といえます。また、事務業務は手続きが煩雑になっていく傾向もあるため、BPOで業務最適化をおこなう効果が大きい業務です。

IT運用保守

ITOの典型例で、専門性が高いため専門企業へ委託するケースが一般的です。導入したITシステムの運用保守は、アウトソーシングの中でも代表的な例です。運用保守をアウトソーシングすることで、社内人材のIT教育コストや社内リソースを抑えられます。

コールセンター・ヘルプデスク

コールセンターの業務は顧客からの問い合わせ対応で、ヘルプデスクの業務は社内のシステムに関する問い合わせ対応です。これらはよくある質問をまとめたマニュアル化が比較的容易であるため、業務を切り出してアウトソーシングがしやすいといえます。コールセンター・ヘルプデスク業務も新商品や新サービスがリリースされるごとに質問が増えていくため、BPOで業務最適化をする効果が大きい業務といえます。

SNS運用代行

近年一般化した委託例として、SNS運用代行があります。マーケティングやSNSに詳しい専門家が業務を代行します。新しい分野の業務であるため、市場調査やマーケティング手法の開発を自社でおこなうにはコストがかかりますが、専門企業にアウトソーシングすることで社内リソースの確保と専門性による効果が期待できるでしょう。

採用代行

採用活動は、大きなリソースがかかる代表的な業務ですが、採用代行をおこなうアウトソーシング企業もあります。採用のプロに採用業務の代行を委託することで、採用コストを抑えられるだけでなく、採用の質の向上も期待できます。

アウトソーシングを導入するメリット

アウトソーシングを導入するメリットについて解説します。

社内のリソースをコア業務に集中させられる

企業の業務は、経営方針の決定に関わるコア業務と、それに付随するノンコア業務に大別されます。

  • コア業務

    企業の核となる意思決定や企業の収益に直結する業務(例・戦略立案、製品の設計や開発、営業など)。非定型な業務がほとんどで、属人化しやすい。

  • ノンコア業務

    収益に直結するわけではないが、企業にとって必要な業務(例・人事全般、問い合わせ対応など)。定型業務が多いため、業務プロセスを明文化しやすい。

アウトソーシングでは主にノンコア業務を外部に委託します。その結果、社内リソースをコア業務に集中させることが可能になります。人材不足の今、これは大きなメリットといえるでしょう。

人件費の削減が可能

アウトソーシングを活用することで、従業員の採用・教育コスト、設備投資や社会保険料などの人件費やコストを抑えることが可能になります。こちらもリソースという観点では大きなメリットです。

ノウハウを持たずとも業務を遂行できる

たとえば、SNSで商品をアピールしたいけれどSNSの知識が不足している場合、SNS運用代行業者にアウトソーシングする方法があります。つまり、企業内にSNS運用の知識がなくても、SNSでの商品アピールをすぐにでもはじめることができるのです。このように、経験や知識がない状態からでも業務を開始できる点はアウトソーシングのメリットです。

アウトソーシングを導入するデメリット

アウトソーシングには多くのメリットがありますが、導入するには注意すべきデメリットも存在します。

社内に業務のナレッジが貯まっていかない

業務を外部に委託しているため、社内に業務知識(ナレッジ)が貯まっていきません。これは、もし、将来的に業務の外部依頼をとりやめて社内対応に切り替える際、最初から学び直しになりかねないということです。これはアウトソーシングの大きなデメリットといえるでしょう。

情報漏えいのリスクがある

業務を外部に委託する以上、必ずついてまわるのが情報漏えいのリスクです。
リスクを回避するコツとしては、依頼先の情報プライバシーに対する姿勢を確認することです。PマークやISMS(ISO/IEC 27001)の有無、再委託方針、アクセス権管理、暗号化、監査体制、事故時の報告義務なども確認しましょう。
ただし、情報漏えいを完全に防ぐことは難しいため、契約締結時には、情報漏えいに関する条項を設けることも重要な対策です。

業務の管理を完璧にはできない

業務を外部に委託すると、業務管理は基本的に委託先が担います。
依頼元企業として進捗やクオリティを把握したければ、定期会議やマニュアル共有を通じて、コミュニケーションを強化するのがポイントとなります。ほかにも、提出物のKPI/SLAを設定し、定期的に効果測定をすることも有効です。

アウトソーシングの導入方法

アウトソーシングの導入方法について解説します。

1.業務の要件を定義し、言語化・マニュアル化する

社内で業務をおこなっているうちは、業務の目的や結果の分析、業務フローのマニュアル化が不足しがちです。
しかし、業務をアウトソーシングする際、すべてを丸投げするわけにはいきません。業務の定義、業務プロセスをまずは社内でしっかり把握することが重要です。

  • 委託する業務の業務要件をしっかりと定義する(何のための業務か、何を目的としているか)
  • この業務プロセスはアウトソーシングに適しているか
  • 業務プロセスの課題を洗い出す
  • 言語化・マニュアル化して業務をおこなう方法を依頼先に説明できるようにしておく

また、アウトソーシング委託後は、委託内容のクオリティを確認するために、効果測定が必要です。その方法も事前に決めておくとよいでしょう。

2.アウトソーシング業者の選定

アウトソーシングしたい業務の目的に見合った業者を選定するのも重要な工程といえます。アウトソーシング業者ごとに、大量に業務をさばく業者や、高水準のクオリティを重視する業者など、特徴が異なるからです。
業務の要件・プロセス・課題抽出をしっかりやっておくと、業者選定時の指標となるでしょう。

3.契約締結・導入

契約の締結後、実際に委託先の現場で業務を導入し、委託業務を開始してもらう段階です。
初期導入はアウトソーシングでもっとも肝心なポイントです。やり方に間違いがあったり、業務理解が足りなかったりする場合は、会議やコミュニケーションをしっかりおこない、早めに軌道を修正しましょう。
業務の本質を双方が共通して認識することが重要です。委託業務ではありますが、初期導入は特に、双方で目的・成果指標を共有し、緊密に連携しましょう。

アウトソーシングの導入成功例

アウトソーシングを導入して成功した事例を紹介します。

セラクのITアウトソーシング

セラクではITアウトソーシングを請け負っています。

  • 通販サイト運営企業の運用改善・ヘルプデスク請負

    事業拡大のため業務が煩雑になったため、セラクにインフラ運用改善の依頼があった。オンサイトとリモートマネージドを組み合わせ、運用コスト軽減と品質向上の両方を達成した。さらにヘルプデスク業務も請け負って、更なる人的コストの削減にも貢献した。

  • 自治体向けシステム構築

    150台ものサーバ老朽化でリプレイスを依頼された。30名体制でインフラ構築支援を実施し、お客様の管理負担を最小限に抑えてリプレイスした。

  • 大手食品メーカーECサイトサービス運用

    自社ECサイトの運用保守をセラクに委託。委託運用開始時、サービス最適化のためクラウドシステムの大幅な設計見直しをおこない、24時間365日の監視運用で安定したサービス運用を実現した。

参考:総合ITソリューションのセラク – | SERVICE |オンサイトとリモートを組み合わせ、社内システムの運用改善と低コスト化を実現

セラクのSalesforce導入・活用支援

セラクではSalesforce定着・活用支援サービスをおこなっています。

  • 不動産リノベーション企業のDX推進

    業務プロセスの煩雑化やデータ分散の改善を目指してSalesforce定着・活用支援サービスを依頼。業務理解度の高いSalesforce活用コンサルタントの加入で、Salesforceを実際の業務に落とし込むことに成功。複雑なフローやデータの一元化で、業務最適化を成功させた。

  • 地方銀行のDX推進

    能動的なデータ活用に取り組みたく、Salesforce定着・活用支援サービスを依頼。現場のニーズをくみ取った提案をもとにSalesforceのシステム構築をおこなった結果、属人化を解消し、データドリブンな営業活動を実現する環境基盤を構築することに成功した。

参考:株式会社セラクCCC – Salesforceを最大活用 お客様のSalesforce定着・活用、改善、運用、導入を人材常駐・リモートで支援

アウトソーシング活用のポイント

アウトソーシングの活用を成功させるためのポイントを解説します。

業務要件とプロセスを把握し、課題を洗い出す

社内の定型業務は、本来すべて把握しておくべきですが、実際には現場でのミスのフォローやイレギュラー処理などにより、業務を回している例が多くあります。その結果、業務の回数を重ねるごとに無駄が増えたり、本来のプロセスにはないフローが追加されていたりすることは珍しくありません。

アウトソーシングの導入は、業務プロセスを見直し、最適化を図る絶好の機会です。第三者の視点を取り入れると、ムダの洗い出しに有効です。さらに、BPOのように業務改善が得意な業者に委託すると、より高品質な業務をおこなうための改善提案を受けられる点もアウトソーシングのメリットです。

委託先企業と密なコミュニケーションをとる

アウトソーシングでよくある失敗が、委託した業務のブラックボックス化です。自社業務を委託したのに、委託先企業の中で最適化された場合、業務プロセスに不明点が発生してしまうことがあります。依頼元企業からみれば、これは望ましくない状態といえるでしょう。
ブラックボックス化を避けるためには、委託先企業に対して、依頼元企業が積極的に働きかける必要があります。委託業務の成果物に対する効果測定を実施してクオリティチェックをおこなったり、委託先企業との定例会議を積極的に設けて課題の共有をしたりすることが重要です。
企業間で足並みをそろえるため、コミュニケーションを頻繁におこなうのが成功の決め手です。

まとめ

アウトソーシングとは社内業務の一部を外注する手法、または委託そのものを指します。労働人口の減少が見込まれる現代では注目されている手法です。

委託をするには、委託予定の業務について業務要件や業務プロセスから見直すことからはじめましょう。適したアウトソーシング業者を探すための重要なポイントです。また、外部に業務委託する以上は情報漏えいのリスクを避けられないため、委託先の情報ポリシーをよく確認し、契約締結時に情報の取り扱いに関する条項を盛り込むこともポイントです。
導入初期には、依頼したい業務と委託先のやり方や意識にズレが生じる可能性があります。その際は、早期にコミュニケーションを図り、業務の目的や役割について双方の認識を一致させることが望ましいでしょう。アウトソーシングのデメリットとして、委託先で業務がブラックボックス化しやすいことが挙げられますが、コミュニケーションを密にすることで回避できます。

依頼元企業は、業務のアウトソーシングと最適化が適切に進められるよう、委託先企業と歩調を合わせましょう。

IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
【会社選びは、仲間探しだ】IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
株式会社セラク 開く