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損益通算とは?通算できる所得・できない所得一覧と適用可能なケースを解説

date2026年01月21日
損益通算とは?通算できる所得・できない所得一覧と適用可能なケースを解説
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はじめに

  • 損益通算とは、黒字の所得から赤字の所得を差し引いて相殺できる制度のこと
  • 内部通算とは、同一所得のなかで利益と損失を相殺できる制度のこと
  • 損益通算の対象となる所得は4種類ある
  • 損益通算をすると税金が減る場合がある

損益通算とは?

損益通算とは、黒字の所得から赤字の所得を差し引いて相殺できる制度のことです。損益通算を行うことで、所得税の負担が軽減できたり、節税対策に繋がったりするケースがあります。

理由は、日本の所得税が超過累進税率を採用していることと関係しています。
超過累進税率とは、課税対象となる財産や所得が増えるに連れて、段階的に税率が上がる仕組みのことです。逆をいえば、課税所得金額が減ると、段階的に税率が下がります。
このように、損益通算では、超過累進税率の仕組みを利用していることがわかります。

所得の課税方法

所得税は、各種所得を合算して税額を計算する総合課税が原則です。
一方で、一定の所得については、ほかの所得と合算せずに計算する分離課税が採られており、分離課税には申告分離課税と源泉分離課税があります。
以下に、それぞれの特徴を解説します。

確定申告が不要

  • 源泉分離課税:
  • 納税者に代わって支払者が税金を支払う方式
  • 特定の所得に対する税金を所得と完全に分ける

確定申告が必要

  • 1. 総合課税:
  • 納税者の所得を合算して、課税所得を算出する方式
  • 一定の配当等で、総合課税を選ぶと配当控除の対象になり得る
  • 2. 申告分離課税:
  • 確定申告で納税する際にほかの所得と合算しないで、課税所得を算出する方式
  • 申告分離課税の中には、一定の範囲で損益通算が認められるものがある(例:上場株式等の譲渡損失と配当等)※申告分離課税は制度の総称で、損益通算可否は所得の種類で異なるため

内部通算とは?

損益通算と似た言葉に内部通算があります。内部通算とは、同一所得のなかで利益と損失を相殺できる制度のことです。
たとえば、複数不動産所得があったとします。
片方は黒字(仮に不動産Aとする)で片方が赤字(仮に不動産Bとする)の場合は、利益(不動産Aの所得)から損失(不動産Bの所得)を引いた差額に課税されます。

内部通算は上記の例のように、同じ所得区分の中でしか適用されません。従って、不動産所得と配当所得、事業所得と利子所得といった、違う区分の所得同士は相殺できません。

損益通算できる所得

所得税法では、所得を10種類に区分しています。
そのうち、損益通算の対象となる所得は、以下の4つです。

  1. 不動産所得
  2. 事業所得
  3. 譲渡所得
  4. 山林所得

ただし、上記の所得であっても損益通算の対象外となるケースがありますので注意しましょう。
代表的な例は下記の通りです。

例:不動産所得

  1. 別荘のように、趣味・娯楽・保養・鑑賞などの目的で所有する不動産の貸付けに係るもの
  2. 不動産所得の金額を計算する上で、必要経費に入れた土地等の負債の利子

損益通算できない所得

損益通算の対象とならない所得は、以下の6つです。

  1. 利子所得
  2. 退職所得
  3. 給与所得
  4. 配当所得
  5. 一時所得
  6. 雑所得

上記のうち、利子所得と退職所得に関しては、所得金額の計算上、損失が生じることはありません。
給与所得・配当所得・一時所得・雑所得などは計算上損失が生じることはありますが、他の各種所得(損益通算ができない所得のグループ同士)では控除できません。

投資信託や株式投資で生じた損失は、上場株式等と通算可能

株式や投資信託などで損失が生じた場合は、同じ年分の上場株式等の利益等と相殺(損益通算)できます(代表的なものには上場株式等の譲渡損失が挙げられる)。
さらに、確定申告により、一定の要件のもとで、(申告分離課税を選択した)上場株式等の配当等(および一定の利子等)とも損益通算が可能です。
たとえば、投資信託の普通分配金(課税対象となる分配金)や上場株式などは、配当所得に分類されます。

投資信託や株式投資で生じた配当所得は、総合課税か申告分離課税のどちらかを選択できます。総合課税では、配当控除(国内株式等の配当等に関して適用される税額控除)ができ、申告分離課税では、上場株式等の売却損と配当所得の損益通算が可能です。

損益通算で確定申告が必要なケース

以下では、損益通算で確定申告が必要なケースを説明します。

投資信託や株式投資で損失が生じた場合

金融商品取引業者らを通じて生じた損失(上場株式等の売却)は、確定申告することで上場株式等の利益と損益通算が可能です。
また、損益通算しても控除しきれない損失については、確定申告により、翌年以後3年間にわたって上場株式等の利益から繰越控除できます。

繰越控除とは本年分の損失が控除しきれないときに、翌年以降に損失を繰り越せる制度です。繰り越した損失は翌年以降の利益から控除できます。

事業所得や不動産所得で損失が生じた場合

不動産所得・事業所得・山林所得のある方は、要件を満たせば青色申告ができます。
青色申告では、損益通算しても控除しきれない損失(純損失)が生じた場合、各年分の所得金額から控除できます(原則的にその純損失は翌年以後3年間にわたり繰り越せますが、一定の特定非常災害等では5年間に延長される場合があります)。
繰越控除を受けるには、損失が生じた年分を損失申告(確定申告)しましょう。また、翌年以降も控除を受ける場合は、控除を受ける年ごとに、確定申告で繰越額を申告書に記載する必要があります。

損益通算をするとどれくらい税金が減るか?

以下では、損益通算した場合と損益通算しなかった場合を比較して、実際の納税額にどれほど差が出るのかシミュレーションしてみました。

※1今回は、給与所得500万円(給与所得控除後の金額とする)ある方が、不動産所得:-200万円(200万円の赤字)を抱えているケースを例に挙げています。
※2また、式を簡素化するために、所得税の計算では所得控除(基礎控除・社会保険料控除等)を、住民税の計算では復興特別所得税・均等割りなどを考慮しておりません。

損益通算をしなかった場合

まず、損益通算しない場合を見ていきましょう。
その場合、不動産所得の赤字200万円を給与所得に通算しない前提のため、課税所得は500万円となります。

なお、所得税の税率は以下の通りです。

課税所得金額税率控除額
1千円から194万9千円まで5%0円
195万円から329万9千円まで10%97,500円
330万円から694万9千円まで20%427,500円
695万円から899万9千円まで23%636,000円
900万円から1千799万9千円まで33%1,536,000円
1千800万円から3千999万9千円まで40%2,796,000円
4千万円以上45%4,796,000円

所得税の計算:

  • 500万円 × 20% – 427,500 = 57万2500円

住民税の計算:

  • 住民税は、課税所得に対して一律約10%を課されるケースが一般的です(自治体により若干異なります)。
    住民税(課税所得500万円 × 10%):50万円
    → 所得税と住民税の合計納税額:107万2500円

損益通算をした場合

次に、損益通算を適用した場合の課税所得を算出します。

損益通算:

  • 500万円 – 200万円 = 300万円

所得税の計算:

  • 300万円 × 10% – 97,500円 = 20万2500円

住民税の計算

  • 課税所得300万円の場合:
    300万円 × 10% = 30万円
    → 所得税と住民税の合計納税額:50万2500円

損益通算した場合と損益通算しなかった場合の比較

課税所得:

  • 500万円 (損益通算しなかった場合)
    300万円(損益通算した場合)

負担税額:

  • 107万2500円(損益通算しなかった場合)
    50万2500円(損益通算した場合)

節税額:

  • 107万2500円 – 50万2500円 = 57万円

損益通算を適用すると課税所得が減り、税負担も大きく軽減されます。
上記のケースでは、不動産所得の赤字200万円を給与所得から差し引くことで、約57万円の節税効果が得られました。

確定申告で損益通算を行う方法

確定申告で損益通算する方法を解説します。

1. 必要書類の準備

以下に、確定申告で損益通算を行う際に必要な書類や、ケースごとに応じて用意する書類をまとめました。

  • 1. 確定申告書・ケースごとの申告書類
    ・確定申告書
    ・青色申告決算書(青色申告者)
    ・収支内訳書(白色申告者)
  • 2. 損益通算する所得に関する書類
    ・収入の証明書:収支報告書・源泉徴収票など
    ・必要経費の領収書:資産を購入・譲渡した際の領収書・山林の伐採や譲渡にかかる領収書など
    ・その他の証明書:不動産の保有を証明する書類・資産を購入・譲渡した際の契約書・山林の伐採や譲渡に関する契約書
  • 3. 本人確認書類(個人番号と身元確認ができるもの)
    ・マイナンバーカード、もしくはマイナンバーを確認できる書類(通知カード・住民票の写しなど)
    ・身元確認書類(運転免許証・パスポートなど)
  • 4. 各種控除の適用を証明できる書類
  • 5. 損益通算の対象となる損失の計算明細書(赤字の内容を計算した書類)
    ・上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用の付表・特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書など

2. 確定申告書の作成・提出

確定申告書を作成したら、期間内に提出しましょう。
原則として、確定申告書の提出は、毎年2月16日から3月15日(土日祝にかぶる場合は翌営業日)となっています。

確定申告書の提出方法は複数ありますので、下記をご参考になさってください。

  1. 税務署の窓口に提出する
  2. 税務署へ郵送する
  3. e-Taxや国税庁の確定申告書等作成コーナーからオンラインで提出する

損益通算のQ&A

  • Q1. 副業で赤字が出ました。給与所得と損益通算できますか?
    A1. ケースによります。
    副業が事業所得に該当する場合は、給与所得との損益通算は可能です。
    一方で、雑所得の場合はできません。
  • Q2. 投資信託の損失は給与所得と損益通算できますか?
    A2. いいえ、できません。
    投資信託や株式の損失は申告分離課税の対象です。
    一方で、給与所得は総合課税に該当します。両者は所得の合計方法や適用される税率が異なるため、損益通算できません。
  • Q3. NISA口座内の損失は損益通算できますか?
    A3. いいえ、できません。
    NISAは投資で得た収益が非課税になる制度です。従って、税制上は利益や損失がないものとして扱われます。そのため、他の課税口座(特定口座や一般口座)の利益と相殺できません。
    これは、令和5年までのNISAやジュニアNISAにおいても同様です。
  • Q4. 国内株式と米国株式は損益通算できますか?
    A4. はい。対象となる主な金融商品であれば可能です。
    主な金融商品には、国内上場株式・国内上場ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)・海外上場株式・海外上場ETF、REITなどがあります。
    海外株式の場合は為替変動も影響しますので、注意しましょう。
  • Q5. 特定口座(源泉徴収あり)を使っています。損益通算のために確定申告は必要ですか?
    A5. いいえ。原則として確定申告は不要です。
    ただし、特定口座で「源泉徴収あり」や「配当等の受入あり」を選択することが条件です。
    また、複数の金融機関で特定口座を保有している場合は、すべてが自動的に損益通算されませんので、確定申告が必要です。

まとめ

損益通算とは、1年間で生じた黒字の所得(利益)から赤字の所得(損失)を合わせて、相殺できる制度です。すべての所得税が損益通算できるわけではなく、対象外となるものもあります。
また、申告分離課税の対象となる所得と総合課税の対象となる所得といったような、異なるジャンルのものは損益通算できません。

とはいえ、ケースによっては課税所得の減額や節税対策につながりますので、複数の所得がある方にはオススメです。制度を正しく知って、積極的に活用しましょう。

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