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給与のデジタル払いが解禁!メリット・デメリットを詳しく解説

date2023年06月13日
給与のデジタル払いが解禁!メリット・デメリットを詳しく解説
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はじめに

2023年4月、給与のデジタル払いが解禁となりました。そもそも給与のデジタル払いによって、個人(従業員)にはどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、企業から給与を受け取る従業員側の視点から、デジタル給与についてわかりやすくお伝えします。

デジタル給与とは

「給与のデジタル払い」あるいは「デジタル給与」とは、従業員への給与を、企業側が電子マネーでも支払うことが可能になる仕組みのことです。

これまで現金および銀行口座の利用が一般的であった給与の振り込みですが、コロナ禍を経た昨今、キャッシュレス決済の普及や各種送金サービスの多様化が拡大しています。そうした流れを受け、給与のやり取りにも電子マネーを利用できるよう、ルールの改正が行われました。

デジタル給与の仕組み

デジタル給与が支払われる仕組みは次のような流れになります。まず、従来の銀行振り込みと同様に給与が確定したあと、スマホ決済アプリなどを運営・提供する資金移動業者のサービスを通して、企業側のアカウントから従業員のアカウントに電子マネーが送金されます。

デジタル給与の利用は強制ではなく、あくまで企業と従業員との同意のもとに行われるものです。したがって、従業員側はこれまで通り銀行口座での給与受け取りを選択することも可能です。

デジタル給与の解禁日はいつ?

デジタル給与の解禁日は2023年4月1日とされていますが、正式には、資金移動業者が厚生労働大臣に「指定申請」を行えるようになった日です。この指定申請のあと、厚生労働省による資金移動業者の審査が行われ、許可(指定)を得た業者だけがデジタル給与の取り扱いができるようになります。ここからさらに企業と従業員間の労使協定締結を経て、はじめて給与のデジタル払いが実現することになるのです。

デジタル給与のメリット

ここからは、デジタル給与が個人にもたらす具体的なメリットを紹介します。

キャッシュレス決済の利便性が上がる

日常的にキャッシュレス決済など電子マネーを利用している人の場合、給与が最初から電子マネーで支払われることによって、従来給与が振り込まれていた銀行口座からのチャージを行う手間がなくなります。また、電子マネーであればスマートフォンアプリなどで決済や管理がしやすくなるのもメリットです。

金銭管理の選択肢が増える

デジタル給与の利用にあたっては、「デジタル給与」として受け取る給与・賞与などの範囲や金額を従業員が指定できます。そのため、たとえば「賞与は銀行口座に貯蓄して、給与は電子マネーで受け取る」「月5万までは電子マネー、残りは銀行口座で受け取る」など、それぞれのライフスタイルに合わせた選択も可能になります。

残高を補償するルールが整備される

万が一個人が不利益を被ることなどを防ぐため、デジタル払いに参加できる指定を受けた資金移動業者には、厚生労働省から取り決めが課せられています。例としては、資金移動業者が破たんした場合などに、給与受け取り口座の残高が全額保証される仕組みを設ける、などです。今後の本格的な導入にあたり、安心して利用できるよう準備が進められています。

デジタル給与のデメリット

次に、デジタル給与を利用するにあたっての注意点を紹介します。

利用できる資金移動業者が限られる

先述の通り、デジタル払いに利用できる資金移動業者は、厚生労働省の許可が下りた業者に限られます。したがって、必ずしも普段から使っている電子マネーで給与を受け取れるとは限りません。現時点では、交通系電子マネーなどのプリペイド式デジタルマネーや、現金化できないポイント、仮想通貨ではデジタル給与を受け取れないことになっています。

口座の残高に上限がある

デジタル給与ではアカウント(口座)に入金できる金額に上限があり、100万円と定められています。そのため、上限を超えて口座に残高を貯めておけません。なお、100万円を超えた場合、余剰の金額は事前登録した銀行口座に自動で移動することになります。他に振り替えたい口座などがある場合、都度残高確認と振替の作業が必要になると想定されます。

セキュリティ上のリスクがある

給与のデジタル化においては、情報セキュリティ上のリスクはどうしても避けて通れません。資金移動業者に対するサイバー攻撃による個人情報流出の危険や、口座アカウントへの不正アクセス・電子マネーの不正利用が行われる可能性などが考えられます。デジタル払いを選択するにあたっては、こうした各種リスクについて事前に認識しておく必要があるでしょう。

まとめ

2023年6月現在において給与のデジタル払いは解禁直後であり、整備途中の段階です。国の詳細なガイドラインや資金移動業者がどこになるのかなど、いまだ不明な点が多く、今後どうなっていくのかを注視する必要があるでしょう。

しかしながら、イノベーションに前向きな企業などをはじめとして、デジタル給与がこれから積極的に導入されていくケースも考えられます。それに伴い、デジタル給与の導入如何が、就職・転職先の選択基準として重要になっていく可能性もあるかもしれません。

最後のチェックポイント

  • デジタル給与とは、従業員への給与を企業が電子マネーで支払う仕組みのこと
  • 2023年4月にデジタル給与が解禁されたが、本格導入はまだ先とみられる
  • 個人へのメリットはキャッシュレス決済や金銭管理の利便性が上がること
  • デメリットは資金移動業者や残高など制約が多いこととセキュリティリスク
  • デジタル給与を導入する企業はこれから増加する可能性も、今後に注目
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