業界/資格

NFTとは?初心者にもわかる仕組みや収益を得る方法を解説

date2024年01月19日
NFTとは?初心者にもわかる仕組みや収益を得る方法を解説
タグ:

はじめに

NFT(Non-Fungible Token)は、非代替性トークンを意味する言葉です。デジタル作品にこれまでにない楽しみ方や価値が生まれたと、アートジャンルやインターネット業界などで話題に上がることも増えています。今回は仮想通貨に続く次世代の投資対象としてもトレンドのNFTについて学んでいきましょう。

NFTとは?わかりやすく簡単に解説

NFTとは?わかりやすく簡単に解説

ブロックチェーン技術を活用した複製されにくくなったデジタルデータをNFTと呼びます。これまで複製や改ざんが簡単に行えるデジタルデータは、オリジナルとなる元データがどれなのか判別が難しい状況にありました。しかし、オリジナルとコピーとの区別がつくようになったことで、唯一無二の証明が可能なデジタル資産として扱われるようになったのです。このページではNFTの特徴やメリット、注目が集まるきっかけとなった事例などについて順を追って説明します。

NFTの特徴を理解しよう

NFTの主な特徴としてあげられるのが、次の3点です。

  • プログラマビリティ
  • 誰でも取引可能
  • 相互運用性

それぞれの特徴について知り、NFTがどんなものなのか理解を深めましょう。

プログラマビリティ

NFTではオリジナルデータの証明を行う際に、ブロックチェーン技術を活用しています。分散型台帳技術とも呼ばれており、暗号技術によってブロック単位でデータを管理して、時系列順に取引情報を蓄積していくシステムです。このシステムを使って、データに付加機能をプログラムすること(プログラマビリティ)も可能となりました。
例えば、NFTを販売した際にロイヤリティーが入るようプログラマビリティを設定すれば、転々流通のたびに製作者へ収益が入るようになります。製作者や所有者、過去の取引といった情報は全てブロックチェーンへと記録されます。証明書としても機能するため個人間取引においても信頼性が保たれ、プログラマビリティが有効に働く証となります。

誰でも取引可能

NFTや関連銘柄を取り扱うマーケットも次々に登場しており、中には数百円から購入できるものも存在します。コインチェックやGMOコインといった国内企業が運営する仮想通貨取引所では無料で新規口座開設ができ、NFTの売買で必要となる場面も多い仮想通貨もスマホひとつで手軽に用意できます。
NFT需要の増加や市場拡大にともない、仮想通貨を持っていない人でもクレジットカード決済で円やドルといった法廷通貨で作品を売買できるサービスも増えてきました。2022年春には楽天グループがNFTに参入予定で、楽天ポイントを使っての購入も可能となります。気軽に始めることができて、誰でも自由に取引可能な点も強みのひとつといえるでしょう。

相互運用性

共通規格として定められている規格に沿って発行するサービスであれば、どこでも取り扱いが可能な相互運用性もメリットとしてあげられます。例えば、オンラインゲーム上で手に入れたアイテムや通貨はサービスが終了してしまうと使えなくなってしまいますが、共通規格のNFTならば他のゲームやサービスに流用可能です。こうした相互運用性を活かして、複数のゲームをまたいだ新感覚のゲーム体験や取得したレアアイテムを出品して稼ぐといった楽しみ方もできます。現在主流なのがERC721という規格で、同じ規格のプラットフォームやウォレットならどこでもトレードを行えます。

なぜ注目が集まっているのか

近年NFTに注目が集まっている理由は、次の3つがポイントとなります。

  • 非代替性(1点もの)
  • 改ざんができない
  • デジタルデータに資産価値と売買市場が形成された

NFTの優位性によってどんな変化がもたらされたのか、以下で詳しく説明します。

非代替性(1点もの)

暗号資産とも呼ばれる仮想通貨とNFTの違いは、トークンの置き換えが可能かどうかです。仮想通貨は同価値となる他の銘柄や現金へと置き換えられます。一方、NFTはシリアルナンバーの入った限定品のようなもので、唯一性が立証できる取り換えのきかない1点物です。データがオリジナルである証明や所有者などの情報のひもづけによって、個々を識別できます。
希少価値があり信頼性も高いことから、アートジャンルでの利用が盛んとなっています。希少価値の高いNFTがオークションに出品され、億単位で落札されたニュースも話題となりました。

NFTと暗号資産の比較図

改ざんができない

NFTで使用されているブロックチェーン技術では、ブロック単位でデータを管理し、時系列順に取引情報を蓄積していくシステムになっています。各ブロックは鎖のように連結していて相互関係にあり、データは複数個所に分割保存されています。たとえ改ざんを行ってもハッシュ値や電子署名などの暗号技術で検出され、他ブロックの取引情報と一致しないため、すぐに見抜かれてしまいます。また、取引履歴が改ざんされた場合後続するすべてのブロックに影響が及ぶので、取引が発生するたびに延々と修正し続けるといった現実的ではない処理が必要になります。こうした理由から、NFTは証明書の役目を果たしています。

デジタルデータに資産価値と売買市場が形成された

これまでのデジタルデータは、コピーが容易に行えることから実在する作品と比べると価値が低いものとみなされていました。しかし、NFTの登場によってふたつとないオリジナルのデータだと立証可能になり、扱いが大きく変わりました。不正コピーや改ざんを防止する技術の確立によって、デジタル資産を売買する際にも信頼が担保されることも売買市場が形成された理由のひとつです。偽造されにくく証明書としても機能するNFTは、今後不動産や金融といった分野での活躍も期待されています。

NFTの問題点は

NFTの問題点は

魅力的な点も多いNFTですが、登場から歴史が浅く、懸念すべき点もいくつかあります。代表的なものとして次の2つがあげられます。

  • ガス代と呼ばれる手数料が不安定
  • 法整備が追い付いていない

想定よりも出費がかさんでしまう、法的トラブルの発生といったリスクも考えられます。詳しくみていきましょう。

ガス代と呼ばれる手数料が不安定

イーサリアムなどのブロックチェーン・プラットフォーム上で手続きする際にかかる取引手数料のことをガス(Gas)代といいます。ガス代はリアルタイムで変動していて、同時刻での利用者数が多いほど価格も上昇する仕組みです。そのため、混雑するタイミングで取引を行うと、ガス代の高騰によって思わぬ出費のリスクが発生してしまいます。中には1回の取引に10万円単位のガス代がかかってしまうケースも出てきました。NFTユーザーの増加はビジネスチャンスが望める反面、こうした不確定要素があることに注意しなければなりません。

法整備が追い付いていない

NFTは、登場から数年とまだ新しい技術のため法整備が追い付いていないという問題点もあります。例えば、NFTを購入するとオリジナルデータを所持できますが、著作権は購入者に移行せず、製作者が保持したままとなります。また、現時点の民法では実在する物や土地が対象となる所有権は、NFTをはじめとしたデジタルデータは要件を満たしていません。NFT購入者が亡くなった場合、相続の対象となるかどうかについても現在の法律では個別の対応となり、扱いが非常に難しいのが現状です。

NFTで起こったこと

NFTで起こったこと

イラストなどのアート作品だけでなく、意外なものがデジタル資産と認められ、高額で落札されるケースもあります。今回は話題となったNFT関連のニュースについて、海外と日本の事例を2つずつ紹介します。

海外の事例から

まずは海外の事例から紹介します。決済や引き渡しがオンライン上で行えるため、国境にとらわれず自由に売買できるのもNFTのメリットです。人気のオークションでは世界中から入札があり、億単位の値がつくこともあります。

ツイートが3億円!

米Twitter社の共同創設者兼CEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、自身の初ツイートをNFTオークションで出品しました。文面は「just setting up my twttr」(自分のツイッターを設定中)。日本円にして約3億円で落札され、売上はビットコインに変換後、アフリカ地域支援の非営利団体GiveDirectlyへ全額寄付されました。

デジタルアートに75億円

イギリス出身アーティストであるBeeple(ビープル)の作品「Everydays: The First 5000 Days」は、日本円にして約75億円(約6935万ドル)というNFTアート史上最高額をたたき出しました。2007年5月から毎日1つイラストを描き、5000日分の作品をまとめたデジタルアートです。

日本の事例から

続いて、日本で話題となったNFTの事例について紹介します。現在、コインチェックやGMOといった国内企業もマーケットプレイスを公開しています。芸能人や有名クリエイターがNFTアートを出品するケースも増えていて、ますます目が離せません。

【日本初】ウォールアートが約340万円

楽座マーケットプレイス・ギャラリーラボTOKYOでは、かつてアニメ制作で使用されていたセル画や原画を実際に見て、デジタル上で購入することが可能です。2022年1月には書道家である青柳美扇さんとマンガライブペインターの内田慎之介さんによる合作ライブペイントが行われ、作成されたウォールアートは340万円という高額で落札されました。

約340万円で落札されたウォールアートの画像

著者名 青柳美扇、内田慎之介
ウェブページのタイトル PR TIMES
URL https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000081425.html
最終アクセスの年月日 2022年3月29日

イラストレーターのNFTアート作品が約600万円

NFTアート市場で大きな反響を呼んだのが、ポケモンカードゲームの公式イラストレーターとして知られるさいとうなおきさんのイラストです。この作品は約600万円で落札されました。さいとうなおきさんはツイッターで、NFTは作品の販売後も著作権は製作者にあること、2次流通後も収益が還元される仕組みなど、「全ての表現者が、自分らしく伸び伸びと表現できる世界」を実現する手助けになると語っています。

約600万円で落札されたNFTアート作品の画像

著者名 さいとうなおき
ウェブページのタイトル Foundation
URL  https://foundation.app/@NaokiSaito/foundation/98535
最終アクセスの年月日  2022年3月29日

NFTを使った収益を得るには

NFTを使った収益を得るには

この項目では、NFTを使って収益を得る方法を紹介します。マーケットプレイスや取引所によっては仮想通貨がないと取引ができないところもあります。複数のサービスを見比べて、自分に合ったところを見つけましょう。

自分のコンテンツをNFTに公開する

イラストや楽曲などの自分で制作したデジタルコンテンツを、NFTマーケットプレイスに公開して収益を得ることができます。NFTの販売方法には自分で値段を決められる定価販売、入札によって価格が変動するオークション形式、他の商品とセットで販売することでお得感をアピールできるバンドル販売などがあります。出品する際はブロックチェーン利用手数料となるガス代やマーケットプレイスのサービス手数料が別途かかることに注意しましょう。代表的なマーケットプレイスとして、海外ではOpenSeaやRarible、国内ではAdam byGMOやユニマなどが存在します。

NFTの売買による差額で利益を得る

NFTマーケットでデジタル資産を売買し、生じた差益を獲得するという方法もあります。例えば、まだ名の知られていないアーティストのNFTを購入し、ブレイク後に高値で転売するというやり方があげられます。そのほかには、NFTを譲渡証書として利用して、メタバース空間で不動産を売買するバーチャル不動産投資も可能です。現実世界と同様に人が集まるエリアは価値が高く、一区画が数万ドルで取引されるケースも珍しくありません。

NFT関連銘柄への投資

外貨や株式のように、NFT関連の銘柄へ投資して収益を得ることも可能です。エンジンコイン(Enjin/ENJ)は国内の取引所でも取り扱いがある銘柄で、サムスンやマイクロソフトといった大手企業との提携が発表されたことでも話題となりました。1億人以上に遊ばれている人気オンラインゲームのマインクラフトでも使用可能な仮想通貨ということもあり、多くのユーザーが存在して需要が見込めるため、価格上昇にも期待ができます。テゾス(Tezos/XTZ)も国内で上場している銘柄で、独自の検証メカニズムや自己修正機能があって安全性が高いという特徴を持っています。送金スピードの速さやガス代が安価である点など、他のプラットフォームにない魅力で長期的な成長が予想されています。

NFTの今後の展望

NFTの今後の展望

NFTはデジタルアート以外にもさまざまな分野の出現が望めます。マンガやアニメは日本国内だけでなく海外でも高い人気を誇っていますが、一方で海賊版と呼ばれる違法なコピーや無断アップロードの横行も問題となっています。唯一性を証明する・コピーされにくいといったNFTの特性を利用すれば、デジタル限定コンテンツの希少性を高めることが可能です。ゲームや音楽のデジタルジャケットでの限定版など、新たなコレクターズアイテムの登場も期待できるでしょう。2021年11月には、イベントチケットをNFT化して自分が参加したイベントの半券をコレクションできるDigitama Stubsというサービスも展開されています。

まとめ

NFTの出現でデジタルデータにも信頼性が担保されたことで、新たなコレクターズアイテムや投資など、さまざまな活用方法が提案されています。行政がNFTを活用するケースも増えてきており、今後私たちの暮らしに身近な存在となるかもしれません。誰でも始められるNFTは多くの可能性を秘めていますが、登場したばかりの技術ということもあって、法整備が追い付いていないといった問題もはらんでいます。しっかりと情報収集して、理解した上で始めましょう。

最後のチェックポイント

  • NFTはブロックチェーン技術を用いたコピーするのが難しいデジタルデータ
  • プログラマビリティを設定でき、誰でも取引可能で相互運用性があるのが特徴
  • 非代替性の証明などによりデジタルデータに資産価値と売買市場が形成された
  • NFTは国内外で注目されていて、中には億単位の値がつくケースも存在する
  • ガス代高騰や法整備不足などの不安もある
  • NFTの出品や投資で収益を得ることも可能
IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
【会社選びは、仲間探しだ】IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
株式会社セラク 開く