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Webディレクターとは?仕事内容や将来性と必要スキルや知識、向いている人の特徴など徹底解説

date2023年06月09日
Webディレクターとは?仕事内容や将来性と必要スキルや知識、向いている人の特徴など徹底解説
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はじめに

Web制作に関わるさまざまな職種のひとつにWebディレクターがあります。その仕事内容はどのようなものでしょうか。向いている人の特徴、どういった知識・スキルが必要か、あると便利な資格などについて解説します。

Webディレクターとは

Webディレクターとは

WebディレクターはWebの制作・運営において、プロジェクトを管理・進行する役割を担う職種です。
いらないのではないか?なくなるのではないか?といった声もありますが、決してそんなことはありません。クライアントの窓口となり、制作現場の責任者としてチームをまとめ進行管理をしていく、大変ではありますが無くてはならない仕事です。
なお、Webディレクターは和製英語のため、英語表記はWeb masterとするのが適当です。

Webディレクターの仕事内容

制作現場の総監督とも言えるWebディレクターですが、大きく二つの種類に分かれます。開発ディレクターと運用ディレクターです。
開発ディレクターは、新規サイト構築時にどのようなサイトにするかを決め、本番リリースまでを担います。一方運用ディレクターは、リリースされた後のサイトの改善や継続運用を行います。一般的に開発ディレクターの方が競合調査やサイト設計が必要となるため、より広域かつ専門的な知識が必要となってきます。
以下では両者を包括してその仕事内容を紹介します。

企画・提案

Webディレクターの仕事はまずクライアントの要望や意向をきちっと把握することから始まります。そしてヒアリングの結果を踏まえ内容を精査し提案を行います。提案にあたっては課題解決がキーとなります。ECサイトの改修を例にすると、単純に売り上げを伸ばしたいのか、新規顧客を獲得したいのか、その目指すところによって提案内容は変わってきます。サイトの訪問者に対してどのように情報を見せていくか、ワイヤーフレームの作成を通じて情報設計をするのもWebディレクターの仕事です。

プロジェクト管理

制作するWebサイトの仕様が固まった段階でリリースに向けた精緻なスケジュールを引きます。WBS(Work Breakdown Structure) やガントチャートなどのタスク管理ツールを使い作成するのが一般的です。デザインやコーディングといったタスクをプロジェクトメンバー(デザイナーやコーダー)に振り分け、遅滞なく制作が進むようスケジュール管理を行います。スケジュールには顧客サイドのタスク(素材や原稿の提供、プレビューなど)も盛り込みそごがないように握って(合意して)おくことが肝要です。
ある程度のバッファは見つつ、ここまでに間に合わなければリリースに遅延が生じるといったデッドラインを設けます。何かトラブルが生じた際には関係者と綿密にやりとりをして、解決を図り円滑な進行を目指します。

運用・更新

Webディレクターは制作したサイトの日々の更新や集客のための施策を行います。
定例の更新については、顧客から掲載内容が届きステージングサイトに掲載・確認の後、指定された期日・時間に本番公開します。一方集客のための施策については、Webで提供しているサービスに、より多くの訪問者を集め利用・購入を促進するための活動であるWebマーケティングを担います。実現すべきゴールに対してKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定しPDCAを回して、サイトをブラッシュアップしていくといったような作業もあります。

Webディレクターの年収

Webディレクターの年収は30代の平均で462万円、全年齢での平均年収は442万円となっています。ただ実際にはスキルや経験に応じて年収が決まるため、年齢に関係なく人によって大きく開きがあります。フリーランスとして複数社の案件を受け持ち稼ぐ人もいます。大手エージェントがフリーランス向けに紹介している1案件あたりの相場は、人月50〜80万円ほどです。大規模サイトのWebディレクターを担えるほどの実績や経験があれば1000万程度稼ぐ人もいます。

Webディレクターはなくなる?

Webディレクターはサイトの方向性やプロジェクト管理を行うという重要な役割を担っています。その将来性に不安を抱く方もいらっしゃいますが、こうした仕事は決して無くなりません。
とは言え、クライアントからの問い合わせに明瞭に回答ができない、連絡が滞るようではWebディレクターとしては失格です。ただの伝言係は不要ですので、相手方に「直接担当者と話がしたい」と言われてしまうのが関の山でしょう。そうならないためには最新の技術動向をキャッチし、知識・スキルを高めるなど、常に学ぶ姿勢を忘れないよう努めることが必要です。

Webディレクターになるには

Webディレクターになるには

未経験からWebディレクターとして活躍することは可能です。ただWebに関する広範な知識が必要で、かつプロジェクトを管理進行していくという業務の特性上、新卒に対する求人はあまり期待できません。
Web業界で長い実務経験がある人のキャリアパスのひとつ、あるいはWeb業界以外でプロジェクトリーダーやマネージャー経験がある人が転職してWebディレクターになるといった道筋が順当と言えそうです。

必要なスキル・知識

Webディレクターに必須のスキル・知識について、Web・UI/UX・マーケティング・管理・コミュニケーションという切り口で紹介します。

Webに関する知識

Webディレクターの主な業務はディレクションや進行管理になります。そのため自ら手を動かして、デザインしたりコーディングをしたりすることは通常ありません。とはいえ、Webサイトを作るための基本的な技術に関する知識がないと、デザイナーやコーダーに対して依頼しディレクションすることは不可能です。Webに関する幅広い知識・知見がWebディレクターには必要だと認識しておきましょう。

UI/UXに関する知識

UI(ユーザーインターフェース)デザインにはサイトの用途により求められるものが異なりますし、またトレンドもあります。ただしその基本はユーザーにとっての使い易さであり、UX(ユーザーエクスペリエンス)を高めるための要素です。どのような感情を喚起させるかはサイトの目的とも直結します。
サイトの情報設計を担うのはWebディレクターの仕事です。設計を行う上で、ユーザーに効果的に情報を届けるためのUI/UXに関する知識は欠かすことはできないものと言えます。

マーケティングの知識

Webサイトをユーザーとの大きな接点・チャネルにする企業にとって、サイトへの集客手段は大変重要なものです。
集客のためにどのような要素を組み込む必要があるか、どのように分析し手立てを打っていくかといったWebマーケティングの知識がWebディレクターには求められます。

管理スキル

Webサイトには顧客サイド・制作サイドと多くの人が関与します。インフラは別の会社が管理をしていたり、制作サイドでも外部の会社に再委託したりする場合は尚更です。
関係する人が複数人に及ぶなか、無理なく納期に向けたスケジュールを管理・調整するのは想像以上に大変です。Webディレクターは、こうした人、データ類、そして何よりスケジュールの管理を担います。
管理スキルはWebディレクターの根幹となるスキルです。

コミュニケーションスキル

Webディレクターはその仕事柄、関係各署との調整・交渉が頻繁に発生します。どのような仕事にもコミュニケーションスキルは欠かせませんが、Webディレクターには取り分け重要なスキルとなります。顧客満足度の高い成果物を生み出すためには、顧客との円滑なコミュニケーションがポイントです。
やりとりする内容から判断し、メール・チャットなど適切なツールを使用することも肝要です。ビジネスでは言った言わないといった出来事が生じることも少なくありません。テキストとしてエビデンスをきちっと残すこともコミュニケーションスキルのひとつです。

あると便利な資格

Webディレクターとなるための資格は特にありません。以下では、仕事をしていくうえで必要な知識を体系的に学ぶのに有効なおすすめの資格を紹介します。

Webディレクター試験

Webディレクションの業務については個々人の経験やスキルが問われますが、その一方で、指標となる基準を設け評価しようという意図のもと生まれたのがWebディレクター試験です。
Web制作におけるWebディレクターの役割である、分析・企画から、情報設計、集客施策、そして進行管理まで幅広くその知識を問われる試験となっています。

難易度初心者からでも合格可能
合格率65.6%(2021年3月31日現在)
受験者数2,895名(2021年3月31日現在)
費用11,000円(税込)
※教育機関や団体受験の割引あり
試験日随時
学習方法公式テキスト、公式問題集、動画配信
合格基準正解率70%以上
オンライン受験の可否可(CBT方式)
学習時間の目安30~50時間程度
資格有効期限2年間
公式サイトhttps://webken.jp/direction/
運営団体株式会社ボーンデジタル

Webリテラシー試験

「Webアソシエイト」の資格を取得することができるのがWebリテラシー試験です。
Webに関わる仕事を担うデザイナー・ディレクター・プロデューサーという主要な3職種に重要な知識が問われる試験です。

難易度基礎知識のある人向け
合格率61.6%(2021年3月31日時点)
受験者数8,660名(2021年3月31日時点)
費用11,000円(税込)
試験日随時
学習方法公式テキスト、公式問題集
合格基準正解率70%以上
オンライン受験の可否可(CBT方式)
資格有効期限2年間
学習時間の目安15~20時間程度
公式サイトhttps://webken.jp/literacy/
運営団体株式会社ボーンデジタル

ネットマーケティング検定

ネットマーケティング検定は、インターネットマーケティングや関連する知識が問われる民間資格です。マーケティングを行う側に立った、体系的・網羅的な知識を取得するための検定です。

難易度初心者からでも合格可能
合格率85.9%
受験者数8,084名(2021年3月31日時点)
費用6,000円(税込)
試験日年2回(8月、2月)
学習方法公式テキスト、過去問題集
合格基準得点率70%以上
オンライン受験の可否
学習時間の目安15時間程度
公式サイトhttps://www.sikaku.gr.jp/nm/
運営団体株式会社サーティファイ

Webディレクターに向いている人の特徴

Webディレクターに向いている人の特徴

自身がWebディレクターに適性があるか、それとも向いていないか、判断するためのポイントを4つ紹介します。

問題解決能力が高い

Web制作においては必ずと言って良いほど何がしか問題が発生します。スケジュールの遅延、仕様のそご、追加要件など、それらが重なって発生することもあります。感情的になったり、落ち込んだりする人も散見されるような場面です。そうした際には、冷静で論理的な思考が重要となります。何を優先すべきか、どう交渉すべきか、課題解決の方法を考え提案をおこなうことが好きな人はWebディレクターに向いていると言えるでしょう。

気が付く人

Webディレクターには非常にさまざまな仕事が舞い込みます。そのなかには細かなチェックなど神経を使う仕事も少なくありません。そうした作業を面倒がらずに行える人はWebディレクターに向いています。また制作スタッフの監督者という立場でもあるため、他者のタスクを管理することにもなります。メンバーの様子がなんだか普段と違う、些細なミスが多いなど、ちょっとした変化に敏感な人も適性があると言えそうです。

新しいものを利用することが好き

IT業界は日進月歩の世界です。Webに関してもその例にもれません。2~3年前のトレンドがもう古い状態になることも十分あります。最新のトレンドを取り入れることが重要なわけではありませんが、以前は実現が難しかったことができるようになり、そのことが顧客への提案につながることも考えられます。
日々最新の情報をキャッチアップし、その理解や習得に前向きに取り組める人はWebディレクター向きです。

新しい発想を生み出すことが出来る

Webディレクターにとって発想力はその人の特徴、抜きん出た力と成り得ます。発想は人とのコミュニケーションのなかから生まれるケースも多々あります。コミュニケーション能力を問われるWebディレクターですが、さらにそこから新しい企画やアイディアを生み出すことのできる人は、適性が高い人と言えそうです。

まとめ

Web制作・運営において、Webディレクター無くしてプロジェクトの円滑な進行は成り立ちません。経験豊富で柔軟な応対ができるWebディレクターは、どんなプロジェクトでも重宝され引く手あまたです。
DX化が進展するなかWeb制作の需要は増すばかりです。相応の知識とスキルは求められますが、能力次第で高収入も狙えるWebディレクターはこの先も有望な職種と言えるでしょう。

最後のチェックポイント

  • WebディレクターはWeb制作・運営において管理・進行を担う職種
  • 開発ディレクターと運用ディレクターの2つに大別される
  • Webに関する広い知識に加え顧客窓口としてのコミュニケーション力も必要
  • よく気が付き、新しいもの・発想が好きな、問題解決能力がある人が向いている
  • スキルや経験に応じて年収が決まるので高収入を狙うこともできる
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