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データアナリストとは?向いている人や未経験からなるための資格・将来性・データサイエンティストとの違いについて

date2023年06月09日
データアナリストとは?向いている人や未経験からなるための資格・将来性・データサイエンティストとの違いについて
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はじめに

データアナリストと聞いてどんな仕事を思い浮かべますか? 何をしているのかイメージできない、データサイエンティストとの違いは?という方も多いかと思います。
本記事では、データアナリストとはどんな職種か、データアナリストになるための必要なスキル・経験・資格・将来性などを詳しく解説します。

データアナリストとは

データアナリストとは

データアナリストとはその言葉のとおり「データの分析を行う者」を指します。
目的に応じたデータや情報を収集・解析し、得られた結果から顧客の行動やニーズ、将来的な展望などを予測します。自社やクライアント企業の経営課題の解決に向けたコンサルやシステム構築などを行うスペシャリストです。

データアナリストの仕事って?

データアナリストの仕事って?

似通った名前の職種にデータサイエンティストがあります。データアナリストとデータサイエンティストはどう違うのでしょうか?
一般社団法人データサイエンティスト協会によると、データサイエンティストとは次のように定義されています。

データサイエンティストとは、データサイエンス力、データエンジニアリング力を ベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル

データアナリストとデータサイエンティストはビックデータを解析する点は同じです。データアナリストは、データマイニング(大量のデータを統計学や人工知能などの分析手法を用いて「知識」を取り出す手法のこと)を行い、得られた結果をどう活かすかにより、コンサル派生のアナリストとデータエンジニアリング派生のアナリストの2種類に分かれます。一方、データサイエンティストはそれらを全てできる上位職を言います。以下では2種類のアナリストについて、それぞれの特徴を紹介します。

コンサル型データアナリスト

コンサル型データアナリストの業務は、まずクライアントにヒアリングを行い要望や課題を把握し、その課題に対して仮説を立案することから始まります。仮説はビックデータから切り出した情報の加工・解析を通じて検証します。得られた結果をもとに、課題解決に向けた戦略提案や現場施策のコンサルティングを行います。さらに施策後の検証などにも携わります。
論理的思考力や仮説思考、マーケティングに対する知識などコンサルティング寄りのスキルが求められる職種と言えるでしょう。

エンジニア型データアナリスト

エンジニア型データアナリストは、課題解決のためシステムの構築や改善などを行うのがメインの業務になります。その前段階としてコンサル型データアナリストと同様にビックデータの解析を行います。解析にあたっては分析モデルによる統計分析やBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを利用します。また、より高度な解析を行うため機械学習を用いることもあります。よりエンジニア色の強い職種と言えます。

データアナリストとデータサイエンティスト

データアナリストの就業企業

データアナリストはIT系の企業で働いていると思われがちですが、実際はさまざまな業種で活躍しています。以下では、クライアントワーク・インハウスという区分で就業企業について解説します。

クライアントワーク

クライアントの課題解決を行うクライアントワークを業務とする企業での就業です。具体的には、コンサルティングファーム・マーケティング会社・Web制作会社・アドテクノロジー会社などになります。
自前でデータ解析の人材やノウハウを持たないクライアント企業から依頼を受け、問題解決にあたります。
複数クライアントの様々な課題に向き合うため、アナリストとしての経験を積みやすいと言えます。事業内容にこだわらず、多くの案件に携わりたいという人に向いた働き方です。

インハウス

インハウスとは組織内・社内といった意味の英語ですが、自社の商品やサービスについて自前でデータ解析を行っている企業での就業がこれに当たります。例えば、金融・証券・製造・医療・各種研究機関や大学などで、各分野の専門性に沿ったデータアナリストが活躍しています。金融商品の取引に関わるデータ、医療データ、研究データなど、秘匿性の高いデータを保有している場合などでは、組織内のデータアナリストが独自の分析モデルなどを用いた解析を行なっている場合も多々あります。
一つの企業や案件に腰を据えてじっくり向き合いたいという人に向いた働き方です。

データアナリストになるには

データアナリストになるには

さまざまな業務をこなすデータアナリストには、多様なスキル・知識・経験が必要となります。また緻密かつロジカルな思考が求められるため本人の適性も重要となってきます。以下では求められるスキルや知識のほか、取得すると役立つ資格について代表的なものをご紹介します。

データアナリストに求められるスキルや知識

IT全般の知識を持ち合わせていることはデータアナリストにとっては基本です。その上で、統計学・データベース・プログラミング言語・分析ツール・論理的思考力といった知識やスキルが求められます。

統計学の基礎

データの分析を行うために第一に必要な知識は統計学の基礎です。
例えば、UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善、顧客の分類・ターゲティング、KPI(重要業績評価指標)設計、広告配信の最適化など、あらゆる場面でデータの解析が行われますが、それに使われる分析モデルは、アソシエーション分析・クラスター分析・回帰分析といった統計の手法です。そのため統計学を学ぶ上で欠かせない確率・統計・微分積分・線形代数は必須といえるでしょう
また、データ集計や可視化、検定手法、サンプルの抽出方法判定などのスキルも統計学を学ぶことで習得できます。

データベース

データアナリストにとってデータベースは切っても切れない存在です。膨大かつ多種多様なデータはデータベースで管理され、データアナリストはそこからデータを抽出し解析に用います。リレーショナルデータベースで扱う構造化データの理解やレプリケーション(複製(レプリカ)を作ること)などの知識はもちろん、データベース操作言語であるSQLは必ず使えるようにしておきましょう。

プログラミング言語

データアナリストはプログラマーのようにプログラムを書くことがメインの職種ではありません。しかし統計解析や機械学習・ディープラーニング(深層学習)で使用されるプログラミング言語については押さえておく必要があります。
PythonとRが代表的な言語です。いずれもデータ解析に使えるライブラリ・パッケージが豊富に含まれています。

分析ツール

データの分析にはデータの抽出と可視化が必要です。Webサイト上のデータを手軽に抽出できるWebスクレイピングツールを使いこなせると良いでしょう。PythonやRubyといった言語でプログラミングすることなくWebスクレイピングが容易に行えます。
TableauなどのBIツールがデータ可視化ツールになります。データを可視化することをデータビジュアライゼーションと呼びますが、数字や文字列のデータをグラフィカルに表現することを指します。具体的にはグラフ・チャートやマップなどです。
いずれも効率よくビッグデータを分析するには欠かせないツールです。

論理的思考力(ロジカルシンキング)

データの分析を行う目的は課題解決です。そのため物事を論理的に考える論理的思考力(ロジカルシンキング)はデータアナリストにとって非常に重要となる能力です。ロジカルシンキングには確立されたトレーニング方法もありますので、苦手に感じる人は試してみましょう。
また、ロジカルシンキングはビジネスパーソンにとっても重要なスキルのため、活用できるフレームワーク(枠組み・考え方)がいくつもあります。ロジックツリー・PEST分析・3C分析など、その対象に応じて最適なフレームワークを利用できるようにしておくのも良いでしょう。

取得すると役立つ資格

データアナリストになるために必要な資格はありません。ただ、コンサル型・エンジニア型いずれの場合もビッグデータの解析は必ず行うため、統計学やデータベースに関する知識は必須です。知識があることの証明のため、またはより上位の業務へのステップアップのために資格の取得は有効でしょう。以下ではデータアナリストに役立つ資格について具体的に紹介します。

統計検定

統計学をどう学べばよいか悩む人は多いでしょう。そこで役立つのが「統計検定」です。統計に関する知識や活用力が評価される全国統一の試験です。基礎から学ぶ4級から、より専門的な1級まであります。
データアナリストには、多種多様なデータについて解析し課題解決のための方策を導き出す力が必要ですが、そのベースには統計が大きく関与します。まずは基礎学習から進め、大学基礎課程レベルの2級取得を目指すと良いでしょう。

OSS-DB技術者認定資格

「オープンソースデータベース(OSS-DB)技術者認定資格」は、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが主催するオープンソースデータベースに関する知識・技能を認定する民間資格です。SilverとGoldの二つのレベルがあります。
基準のRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)を「PostgreSQL(略称:ポスグレ)」とし、オープンソースデータベースに関する知識・運用管理・性能監視・チューニング・障害対応について問われます。
近年データベースは、オラクルなどの有償のデータベースではなく、無償で利用可能なオープンソースのデータベースを導入するケースが増えています。そうした状況に即した実用性の高い資格と言えます。

情報処理技術者試験

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催しているのが「情報処理技術者試験」です。種類やレベルが分かれていますが、いずれも国家資格になります。
IPAでは基本情報処理技術者試験をレベル:基本とし、その上の応用的知識と技能の習得を測る試験として応用情報技術者試験をレベル:応用と位置付けています。
いずれもエンジニアの登竜門と言える試験ですので、まずは基本情報処理技術者試験に合格し、次に応用情報技術者試験へと進み、データアナリストを目指す場合は、次に挙げるデータベーススペシャリストを取得すると良いでしょう。

データベーススペシャリスト

「データベーススペシャリスト試験」は、IPAの主催する情報処理技術者試験のレベルにおいて「高度」に分類される試験です。
データアナリストはその業務において必ずデータベースを操作します。高品質のデータベースを企画し、要件定義・開発、運用・保守するための知識・実践能力を問われる本試験は、データアナリストにとって最適な試験と言えます。

ORACLE-MASTER

「ORACLE MASTER」はオラクル社の「Oracle Database」の管理スキルを証明する資格です。Bronze・Silver・Gold・Platinumと4つのレベルがあります。Silver以上は世界共通の資格となります。
データベースに関しては、無料で利用可能なオープンソースのソフトウェアが数多くありますが、オラクル社の製品はまだまだ市場で大きなシェアを占めています。多くの企業で導入されていることもあり、同製品を扱える資格を持ち合わせていることはアドバンテージとなるでしょう。

未経験から目指すには、転職は厳しい?

ITに関する基本知識はもちろん、多様な経験やデータ解析の技術やスキルなど、身につけるべきものが非常に多いのがデータアナリストの特徴です。そのため未経験者可の求人でも若い人材を求める傾向にあります。エンジニアから経験を積みキャリアチェンジすることが望ましいでしょう。
コンサル型データアナリストであればロジカルシンキングや提案力といったスキルを身につける。エンジニア型データアナリストであれば、PythonやRを使って機械学習・ディープラーニング(深層学習)の実装経験を積むなど、ステップアップに向け努めるのが得策です。

新卒から挑戦するために必要なこと

新卒で即データアナリストになるのは非常に難しいです。とはいえ、大学でデータ分析を行なっていたなどの専門性があれば可能性も無くはありません。
そのためには学生のうちに、上述したようなスキル・知識を身につけていくことが大切です。理数系であれば、統計やプログラム言語・情報処理技術について学び、確かな知識を身につけておくことで、就職活動にも有利に働くと言えます。

データアナリストに向いている人とは

データアナリストは比較的向き不向きが如実に現れる職種と言えます。求められるスキルや知識にもあるとおり、数学や統計学といった分野に深い興味があることがまず素地となります。その上で、緻密な作業が早く正確にできることが望まれます。どのようなデータを組み合わせるか、統計モデルの選択などの場面では、気づきやひらめきといった資質も重要になってきます。
すべてがそろった人材はなかなかいないとは思いますが、以上のようなタイプの人はデータアナリストに適性があると言えるでしょう。

データアナリストの将来性

データアナリストの将来性

DX化が叫ばれる中、IT人材、特に高度AI人材の不足が大いに懸念されています。そんな中データアナリストの需要も今後ますます増えることが予想されます。その背景には、世の中のさまざまなモノがデータとして扱われ、それらがコストをかけず容易に収集しやすくなったこと、機械学習をはじめとした最先端の解析が行えるようになったことが挙げられます。
年収についても個人の能力次第で上を目指せるため、データアナリストの将来性は非常に明るいと言えるでしょう。

まとめ

データアナリストを目指す場合は、どんな企業に就業するか?どの領域のデータアナリストになりたいか?を自分の持つスキルや経験などに照らし合わせて考えてみましょう。優秀なデータアナリストになれば破格の収入も見込めるなど、経済面でも大変魅力的な職種です。数年の下積みを覚悟すれば、未経験者や新卒者にもデータアナリストになる望みはあります。
需要もますます増え続ける将来性の高いデータアナリストは、まさに挑戦する価値のある職種と言えます。

最後のチェックポイント

  • データアナリストはデータを収集・解析し、課題の解決に向けたコンサルやシステム構築などを行う専門家
  • コンサル型とエンジニア型の2種類に分けられる
  • 統計学/データベース/プログラミング言語などの知識が求められる
  • 緻密な作業を早く正確に行えるなど適性も問われる
  • 将来性もあり、高収入も見込める魅力的な職種
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