データマネジメント試験とは|試験概要・求められる理由など


はじめに
- データマネジメントとは企業が保有する多種多様なデータを戦略的なビジネス資産として活用するために管理するプロセス
- データマネジメント試験は2027年度からIPAが開始予定の資格試験
- データマネジメント活動事例はメタデータ管理、データ品質管理、データモデリング
- データマネジメント組織の役割はデータマネジメント活動の推進支援、教育・育成の仕組みづくり、全社視点でのデータ設計、文化の醸成
- データマネジメント試験でAI活用・DX推進、データスキルの学習、データリテラシーの習得が期待されている
私たちの社会には膨大なデータがあふれており、戦略的に活用できるかどうかがビジネスを優位に進めるための大きな鍵となっています。本記事では、データをマネジメントする新資格試験の知識について解説します。
データマネジメントとは
データマネジメントとは、企業が保有する多種多様なデータを戦略的なビジネス資産として最大限活用するために適切に収集、保管、保護し、必要な時に活用できるように管理するプロセスを指します。データを保存するだけではなく誰が・いつ・どこで・どのような目的で利用できるかを組織的に定義・運用することが核心となります。
データマネジメントは、IT部門だけの課題ではなく、ビジネスを成長させるための基盤戦略です。
新設のデータマネジメント試験
データマネジメント試験は、2027年度から独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が開始予定の資格試験です。
IPAは、2026年3月31日に情報処理技術者試験制度の見直し検討状況(案)を発表し、その中核施策として新設されました。
| 内容(2026年3月時点) | |
|---|---|
| 試験名 | データマネジメント試験(仮称) |
| 主な対象者 | ・一般ビジネスパーソン(特にビジネス部門、DX推進担当など) ・IT初級〜中級者 |
| 試験の目的 | AI活用に不可欠なデータの整備・管理スキルを評価・習得するため |
参考:情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について
データマネジメント試験とCDMPの違い
IPAが新設するデータマネジメント試験(仮称)と国際資格であるCDMP(Certified Data Management Professional)は、どちらもデータマネジメントの知識を問うものですが、以下の違いがあります。
| データマネジメント試験 (仮称) | CDMP | |
|---|---|---|
| 主催者 | IPA (独立行政法人 情報処理推進機構) | DAMA International (Data Management Association International) |
| 資格種類 | 日本の国家試験(予定) | 国際的な民間資格 |
| 使用言語 | 日本語 | 英語 |
| 難易度 | 初級〜中級 | 中級〜上級 |
| 主な対象者 | ビジネスパーソン (初〜中級) | データ専門職(中〜上級) |
データマネジメント試験の概要
データマネジメント試験は、AIを効果的に活用するために不可欠なデータの整備・管理スキルを評価する新しい国家試験区分として注目されており、ビジネスで活用できる力を評価する試験です。予定されている試験概要は以下の通りです。
| 内容 | |
|---|---|
| 資格名称 | データマネジメント試験(仮称) |
| 時期 | 2027年度(令和9年度)夏〜秋頃を予定 |
| 試験方式 | CBT方式(コンピュータを用いた多肢選択式) |
| 試験時間 | 120分(科目A・科目Bの合計) |
データマネジメントへの理解が求められる背景
従来、データの管理は情報システム部門の仕事とされがちでしたが、現在ではビジネス部門(営業・製造・生産管理など)が主体となる必要性が高まっています。実務でデータを扱うビジネス部門がデータマネジメントを理解し、正しく入力・生成することで、初めて活用可能なデータが生まれるのです。優れたAIや分析ツールを導入しても、土台となるデータが不適切であれば十分な効果は得られません。
AIなどの最新ツールを動かすには、ビジネス部門が生成した価値あるデータが不可欠であるということです。
ビジネス部門でのデータマネジメント活動事例
ビジネス部門がとくに深く関与するデータマネジメントの活動を以下に3つ挙げます。
1 メタデータ管理
メタデータとは、データを説明するためのデータ(データの意味・定義・使い方など)で、管理業務では全社員が同じ言語で話せるようにするための共通言語を整備するための辞書づくりといえます。
ビジネス部門がメタデータ管理に深く関与すべき理由は、データの意味(中身)を定義できるのは、実務でデータを利用するビジネス部門であるためです。
- ビジネス用語集の整備
社内で使われている言葉の定義を統一する
- データ辞書のビジネス定義
データベース上の項目が、実業務の何に対応しているかをひも付ける
- データの機密性と品質基準の定義
そのデータがどれくらい重要で、どの程度の正確さが必要かを判断する
2 データ品質管理
データ品質管理とは、データを業務や意思決定に使える状態へと保つ活動のことです。間違いがないだけでなく、活用可能・信頼できる状態を維持することが目的です。
IT部門はデータがシステムに正しく格納されているかを監視することはできますが、その内容がビジネスの現実に即して正しいかを判断できるのは、実務を知るビジネス部門だけです。
3 データモデリング
データモデリングとは、業務で扱う情報(顧客・商品・契約など)とその関係を整理し、構造化することで、どんなデータが必要か・それらがどうつながるかを設計する活動です。
ビジネス部門が不在のままIT部門だけでモデリングをおこなうと、実際の業務の流れ・例外パターン・現場の使い方がわからず、ズレが生じてしまう可能性があります。
データマネジメント組織の役割
ビジネス部門におけるデータマネジメント専門組織のおもな役割を4つ解説します。
1 データマネジメント活動の推進支援
データマネジメント組織は、各部門のデータ活用・管理の取り組みを実際に動かすための支援役という一面があり、データマネジメントを実行できるように方向づけ・具体化・支援をおこなっています。
データマネジメントは、強制力(ガバナンス)だけでは長続きしません。指示だけでなく、こうやればできるという専門性、困ったら助けるという支援を提供することで、初めて組織全体に定着するのです。
2 教育・育成の仕組みづくり
データマネジメント組織は、データマネジメントに対する社員の学習意欲に応えるため、専門研修や育成プログラムを整備し、継続的に専門研修や人材育成を実施できる仕組みを構築しておく必要があります。
学びたい人を受け止め継続的に成長させることで、データマネジメントを組織に定着させる仕組みができるのです。
3 全社視点でのデータ設計
全社視点でのデータ設計とは、部門ごとではなく会社全体で一貫して使えるようにデータの構造・定義・ルールを設計することです。全社設計がない状態では、以下のような障害が発生する可能性があります。
- 1人の顧客に複数のIDがある
同一人物の情報が分散し、顧客ごとの取引履歴や対応コストを正確に把握できない
- 二重・三重の入力作業
入力のミス・コストが増大する
- 分析結果が一致しない
会議で出てくる数字がバラバラになり意思決定が遅れる
データマネジメント組織は、個別部門ごとの最適化ではなく全社最適化の観点で、データの構造・定義・関係性を統一して組織全体で活用できるようにする役割があるのです。
4 文化の醸成
データマネジメント組織は、文化の醸成をおこなうという役割があります。データを整理・統一・きれいに保つことが、結果として自分たちの業務効率化につながるという成功体験を、組織全体に根付かせることが重要です。
一過性の取り組みで終わらせない土壌をつくることが求められます。
- 意識づけ・啓発
データの重要性を伝える
- 成功体験の創出
データ活用の成果を見せる
- 行動の習慣化
日常業務に組み込む
- 評価・制度への反映
行動を評価する
データマネジメント試験への期待
2027年度に予定されているデータマネジメント試験(仮称)は、新資格というよりデジタル人材の評価軸そのものを変える改革の重要な制度として位置付けられています。新設される理由としては、以下の3点が期待されています。
- AI活用・DX推進
社会全体へのDXやAIの推進・活用
- データスキルの学習
AIを使いこなすためにデータを収集・整理・活用する技術の学習
- データリテラシーの習得
ビジネス・非ビジネス部門のデータリテラシー習得
まとめ
データマネジメントとは、企業が保有する多種多様なデータを、戦略的なビジネス資産として最大限に活用するため適切に収集、保管、保護し、必要な時に活用できるように管理するプロセスを指します。
新設のデータマネジメント試験は、2027年度から独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が開始予定の資格試験です。
データマネジメント理解が求められる背景は、AIなどの最新ツールを動かすにはビジネス部門が生成した価値あるデータが不可欠であるためです。
データマネジメント活動事例を3つ解説しました。
- メタデータ管理
- データ品質管理
- データモデリング
データマネジメント組織の役割を4つ解説しました。
- データマネジメント活動の推進支援
- 教育・育成の仕組みづくり
- 全社視点でのデータ設計
- 文化の醸成
データマネジメント試験への期待として3つ解説しました。
- AI活用・DX推進
- データスキルの学習
- データリテラシーの習得
データマネジメントは、データを使用可能な資産にするための管理活動です。データは適切な管理を行うことで、意思決定の迅速化やAI活用による新たな価値創造を可能にします。
この記事を参考にして、2027年度に新設予定のデータマネジメント試験に挑戦することを検討してみてはいかがでしょうか。













