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IT関連の法律/基本の9つを紹介

date2024年01月16日
IT関連の法律/基本の9つを紹介
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はじめに

  • デジタル化に対応するため多くの法律が制定、施行されている
  • ふるくなったIT基本法は廃止、デジタル社会形成基本法が施行
  • 法律の名前を聞いて概要を思い出すくらいの知識は必要
  • 今後は暗号通貨など金銭関連の法律に要注目

この「Information Technology(情報技術)」が普及した社会には、それに対応した法律があります。詳細を知っておくのは困難ですが、概要についての知識を持っておく必要はあります。企業に就職して社会に出る前にもう一度確認しておきましょう。

IT関連法律の変化

日本は、高度情報通信ネットワーク社会を実現していくために「IT基本法」を2001年1月に施行しました。内容としては、インターネットや情報技術を、国民の誰もが利用できる環境づくりや法整備をするためのものです。
さらに20年がたち、変化した社会環境に対応するために新しく「デジタル社会形成基本法」を2021年9月1日に施行しました。内容としては、日本におけるデジタル社会の基本方針を定めるというもので、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」というビジョンに沿って、デジタル社会形成していくことをめざしています。この法律施行のタイミングで「IT基本法」は廃止されました。
このように現時点(2024年)では「デジタル社会形成基本法」に従って、基本理念や施策策定の基本方針を決定しています。

基本的なIT関連法

デジタル化の進んだ近年の社会には、それに対応するIT関連法が多くあります。ここでは、その中でも重要な基本9つの法律を紹介し、追加として今後注目されると思われる分野への言及もおこないます。

1 サイバーセキュリティ基本法

ひとつ目は「サイバーセキュリティ基本法」で、日本のサイバーセキュリティ基本理念などを定めた法律です。この法律に基づいて、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」、内閣官房に「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」を設置しています。
どんどん巧妙化・多様化・大規模化するサイバー犯罪に対応する形で、都度改正されています。

2 個人情報保護法

2つ目としては「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」で、個人情報の取り扱いについて定めているという内容の法律です。
また、社会の環境が、同法に規定されている範囲を超えたものになり「改正個人情報保護法」が2017年5月に施行されることになりました。
改正の要点としては個人情報の範囲に「マイナンバー」「指紋」「運転免許証番号」など個人が含まれるようになったことがあげられます。

3 マイナンバー法

3つ目は「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」です。これは行政手続きの効率化や利便性を向上させるために、日本の国民すべてに識別番号(マイナンバー)を付与して管理・利用していくという内容の法律です。
マイナンバーは企業などが漏えいした際の罰則も重く、管理に過失があったと認められた場合には、個人から損害賠償請求を受ける可能性もあります。
2015年10月に施行された法律ですが、2021年9月にデジタル改革関連法が施行されたことによって改正されました。

4 電子署名法

4つ目は「電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)」で、内容としては一定の条件を満たす電子署名が手書きの署名や押印と同等に通常することなどを定めた法律です。
前提条件として、国から認められた認証機関による電子証明書をつける必要があります。この法律では 以下の2点を満たせます。

  1. 「署名したのが本人である」と証明できる
  2. 「文書が改ざんされていない」ことを証明できる

5 迷惑メール防止法

5つ目は「特定電子メールの送信の適正化などに関する法律(迷惑メール防止法)」で、内容としては広告宣伝などを目的に無差別に電子メールを送り付ける行為の防止に関する法律です。
「特定電子メール」とは、いわゆるスパムメールの一種のことで、何度も改正がおこなわれておりその都度対策の強化がおこなわれているのです。迷惑メール防止法の違反者には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
また、法人の場合は3,000万円以下の罰金となっています。

6 不正アクセス禁止法

6つ目は「不正アクセス行為の禁止などに関する法律(不正アクセス禁止法)」で、内容としてはそのまま不正アクセスの禁止についてのものです。以下に記す5点の行為を禁止していますので覚えておきましょう。万が一にも抵触しないようにしてください。

  1. 不正アクセス:情報システムに権限を持たない人間が侵入する
  2. 1を助長すること:他者の識別符号を第三者に提供するなど
  3. 他者の識別符号を不正取得する:他者の識別符号を窃取することなど
  4. 識別符号の入力を不正要求する:フィッシングメールや偽のログイン画面など
  5. 他者の識別符号を不正保管する:自分で窃取したかどうか、は関係ない

7 電子契約法

7つ目は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法)」で、内容は 1電子商取引における消費者の操作ミス救済、2契約の成立時期の転換を定めた法律です。
1については民法第95条で「ミスして誤った契約を締結してしまっても、無効化できない」という項目があるので、それに関して電子商取引は別に扱う、というものになります。
また、2に関しても民法第526条で「隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立する」となっているので、それについても電子商取引では別に扱って「契約成立時期は承諾通知が申し込み者に到達した時点」と法律にしたものです。

8 刑法(サイバー犯罪に関連する条文)

8つ目は「刑法」です。刑法は犯罪と刑罰に関する法律と定義され、中にはサイバー犯罪に関連する条文があり、各々の犯罪行為に応じた罰則や法定刑が決められています。
たとえば「電磁的記録不正作出及び供用罪」「不正指令電磁的記録作成罪(ウイルス作成罪)」「電子計算機損壊等業務妨害罪」「電子計算機使用詐欺罪」などがあり、実際に金銭を不正に他人から窃取した場合には窃盗罪も追加で適応されたりもします。

9 商法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法)

9つ目は「商法」です。商法にもIT関連条文があり、ネット上での情報をわかりやすく表示することが義務付けられています。
「商品の分量」「販売価格」「支払い時期」「支払い方法」「引き渡し時期」「申し込み期間」「申し込みの撤回・解除に関する事項」などの項目について消費者にわかりやすく表示することを義務付けており、また、大げさ・紛らわしいなど、誤認させる表示も禁止されています。

ex:追加の予想される分野

ここまでは「IT関連の法律」で知っておいて欲しい基本の9つを紹介してきましたが、本項では「これから重点的に法律制定・施行が予想される分野」について話しておきましょう。
近ごろではITが普段の生活まで浸透してきていますが、そういった環境の中で暗号通貨など金銭に関連した法律がどんどん制定されています。「資金決済に関する法律(資金決済法)」「犯罪による収益の移転防止法に関する法律(犯罪収益移転防止法)」「金融商品取引法(金商法)」といったさまざまな法律で暗号資産に関する規制が追加・制定されているところです。

まとめ

社会のデジタル化に対応するため多くのIT関連法が制定・施行されてきました。
IT化のスピードは速く、新しい環境に対処していくために基本骨子ともいえる「IT基本法」も廃止され、現在では「デジタル社会形成基本法」が施行されています。

この記事では多くのIT関連法の中でも「社会人として知っておいて欲しい基本知識」として9つの法律を紹介してきましたが、できればこれらの名前と概要を覚えておきましょう。

  1. サイバーセキュリティ基本法
  2. 個人情報保護法
  3. マイナンバー法
  4. 電子署名法
  5. 迷惑メール防止法
  6. 不正アクセス禁止法
  7. 電子契約法
  8. 刑法(サイバー犯罪に関連する条文)
  9. 商法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法)

また、近年は暗号通貨などに関連した法律がどんどん制定・施行されていっていますので要注目です。

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