【2025年最新】初任給の引き上げ企業一覧とその理由とは?


はじめに
- 物価高や人手不足を背景に、初任給を引き上げる企業が増えている
- 中には10万円といった大幅引き上げを行う企業もある
- 初任給の引き上げを行っているのは大企業が中心である
- 新入社員の給料が先輩社員の給料を上回ることのないよう配慮が必要である
- 非正規従業員の給料についても賃上げを行う企業がある
初任給引き上げの背景
近年、初任給を引き上げる企業が増えています。2025年もその動きは進み、多くの企業が初任給の大幅引き上げに踏み切りました。その背景には何があるのでしょうか。以下に見ていきます。
物価高
食料品や光熱費をはじめ、生活に関係するあらゆる品目の価格が上昇しています。一方で賃金の上昇率は鈍く、物価高に追いついていません。これでは生活が圧迫されてしまいます。実質賃金を上げるためには物価高を上回るだけの給与の引き上げが必要です。
人手不足
日本では少子化に歯止めがかからず人手不足は深刻な問題となっています。採用競争が激化するなか、企業は初任給を引き上げることで優秀な人材を確保しようとしています。学生に自社を選んでもらうメリットとしてわかりやすいのが初任給の高さなのです。
賃上げムードの高まり
政府は経済界、労働界に2025年春闘での賃上げ協力を求め、経団連、労働組合はともに人への投資を起点とする経済の好循環を力強く回していくとしています。30年続く不況からの脱却のために国や企業が一丸となって賃上げに取り組む必要があります。
初任給引き上げ最新事例(2025年最新版)
どのような企業で初任給の引き上げが行われているか、業界別に見ていきます。
商社
丸紅
丸紅は2026年4月に入社する大卒新入社員の初任給を、月30万5,000円から33万円に引き上げます。院卒は36万5,000円となります。引き上げ幅は2万5,000円です。同社が初任給を引き上げるのは2年ぶりのことです。
伊藤忠商事
伊藤忠商事は、2025年より大学卒の初任給を30万5,000円から32万5,000円に引き上げます。引き上げ幅は2万円となります。同社は2024年にも一律5万円引き上げています。
金融
明治安田生命
明治安田生命は、2025年度の大卒初任給を24万円から27万円に引き上げます。全国転勤のある総合職が対象で、固定残業代を含めると33万1,660円となります。初任給の引き上げにより、若手先輩社員の給与が新入社員より低くならないよう、入社5年以内の従業員について平均8%以上の賃上げも行います。
住友生命
住友生命は2026年4月に入社する大卒新入社員の初任給を、26万円から29万円に引き上げることにしました。20時間相当の固定残業代を含めると、月額で33万5,000円となります。海外を含めた全国転勤のある総合キャリア職員が対象です。また、大卒営業職員の初任給も、現在の24万円から28万円に引き上げます。
住友生命の初任給引き上げは3年連続で行われています。先に入社した社員の給与よりも新入社員の給与のほうが高くならないように、入社2年目以降の従業員の給与も引き上げる方向です。
第一生命ホールディングス
第一生命ホールディングスは、2025年4月から、営業職員も含めた国内従業員に対し一律1万円(平均7%)のベースアップを行います。固定残業代も含めると、大卒総合職の初任給は、32万1,410円から33万5,560円に引き上げとなります。同社の賃上げは3年連続で実施されており、初任給の高さは大手生命保険業界の中でもトップクラスです。
りそな銀行
りそな銀行は、2026年4月入社の新卒社員より、10種類ある応募コースのうち、8つの専門コースの初任給を引き上げます。大卒初任給は25万5,000円から28万円となり、引き上げ幅は2万5,000円となります。専門コースでは、能力に応じてさらに高い初任給を適用されることもあり、特に優れた人材の場合、30万円を超えるケースも出てくる可能性があるそうです。
SBIホールディングス
SBIホールディングスは、2025年4月より、新卒初任給を30万円から34万円に引き上げます。引き上げ幅は4万円です。
また、入社3年目までの従業員の給与を一律で10%引き上げるほか、人事評価が高い従業員の給与をすべての年次において平均10%程度引き上げます。
みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループは、2024年の新卒初任給について、20万5,000円から26万円に引き上げます。引き上げ幅は5万5,000円となります。同社が初任給の引き上げを行うのは13年ぶりです。
また、新卒初任給の引き上げにより若手従業員の給与が逆転しないよう、若手を対象とした賃上げも実施します。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は、2025年4月に入社する新卒の初任給を3万円引き上げて33万円としました。平均的な時間外勤務手当も入れると40万円を超える見込みです。同社は2023年4月にも初任給を8万円引き上げており、この3年間でトータル11万円もの引き上げを実施しています。
建設・不動産
大和ハウス工業
大和ハウス工業は、2025年4月の総合職新卒社員の初任給について、一律で10万円引き上げました。
大卒は25万円が35万円に、院卒は26万2,000円から36万2,000円に、高専・専門学校卒も23万2,000円から33万2,000円に、それぞれ引き上げとなります。
10万円という大幅初任給引き上げは業界の内外から注目されています。
大成建設
大成建設は、2025年4月入社の総合職大卒初任給について、28万円から30万円に引き上げました。引き上げ幅は2万円です。同社の初任給の引き上げは4年連続となります。
オープンハウス
オープンハウスは2025年4月入社の新卒の総合職初任給を33万円から36万円に引き上げます。引き上げ幅は3万円です。初任給の引き上げは3年ぶりで、年収は初年度から500万円を超える見込みとなります。
大東建託
大東建託は、2024年4月入社の新卒社員の初任給について一律2万円引き上げました。
大学卒は22万円から24万円に、大学院卒は23万円から25万円に、高専・専門学校卒は20万7,000円から22万7,000円となりました。
積水ハウス
積水ハウスは、2025年4月に入社する大卒新入社員の初任給を24万円から約30万円に引き上げます。この引き上げ率は25%という大幅引き上げです。また、総合職の全社員の月給も平均約18%引き上げます。
清水建設
清水建設は、2025年度の新卒初任給について一律2万円引き上げました。同社のグローバル職の初任給は、大学卒で30万円、修士了で32万円です。これで同社の初任給の引き上げは4年連続となりました。
小売り
ファーストリテイリング
ファーストリテイリングは、2025年3月以降に入社する新卒従業員の初任給を30万円から33万円に引き上げました。引き上げ幅は3万円で、年収は500万円を超える見込みです。
アシックス
アシックスは、2025年の新卒初任給について27万5,000円から30万円に引き上げました。引き上げ幅は2万5,000円です。大学院修士修了も3万円引き上げ32万円とします。
同社では、2024年度にも初任給を5万円以上引き上げており、2年連続の大幅引き上げとなりました。
ノジマ
ノジマは、2025年度の新入社員について、初任給を1万円引き上げ、現場手当も支給します。これにより、家電量販業界の大学卒初任給としては、最高水準の30万円となります。大学院修了は31万3,000円です。
食品
サントリー
サントリーは、2025年4月入社の大卒新入社員の初任給を27万8,000円から29万円に引き上げました。引き上げ幅は1万2,000円です。また同時に、組合員についても一律月1万2,000円の賃上げを行います。
味の素
味の素は、2025年春入社のグローバル型の新卒社員の初任給について、学歴を問わず一律1万6,000円の引き上げを実施しました。これにより、大卒の場合初任給は27万5,000円となります。
モスフードサービス
モスフードサービスは、2025年4月分から新卒社員の初任給を24万7,500円としました。前年に比べ7,500円の引き上げとなります。また、同社の全社員の給与もベースアップを含めて約5%引き上げます。
インフラ系(電力・資源・運輸)
東北電力
東北電力は、2025年度の初任給を最大で約10%引き上げます。
大学卒で16,000円増の24万円、大学院修士修了で19,000円増の26万3,000円、博士了では9,000円増の27万3,000円となります。
初任給の引き上げはこれで2年連続です。
四国電力
四国電力は、2025年度の初任給を、全学歴で一律1万2,000円引き上げます。これにより、大学院卒は25万8,000円、大学卒は23万6,000円、高校卒は18万8,000円となります。初任給の引き上げはこれで2年連続です。
JR東日本
JR東日本では、2025年4月から新入社員の初任給が全学歴一律1万2,000円引き上げられます。これにより総合職の博士卒は32万4,565円、院卒が28万2,315円、大卒が26万2,075円、高専卒が24万4,595円となります。
メーカー
ソニーグループ
ソニーグループは、2025年4月から新卒正社員の初任給を引き上げます。引き上げ後の初任給は大卒で31万3,000円、大学院卒で34万3,000円です。引き上げ幅は大卒で14%と、大幅な増額となります。
三井化学
三井化学は、2025年7月から、新卒総合職の初任給を一律2万4,000円引き上げると発表しました。同年4月入社の新入社員の給与は、7月から同水準に引き上げられます。これにより、学部卒の初任給は28万円、修士は30万2,000円、博士は35万2,000円となります。
エンタメ
オリエンタルランド
オリエンタルランドは、2025年4月より大卒・大学院卒の初任給を一律27万2,000円としました。引き上げ幅は17,000円です。また、パート・アルバイトといった従業員に対しても平均約6%の賃上げを行います。
バンダイ
バンダイは、2025年4月から新入社員の初任給を29万円から30万5,000円に引き上げます。引き上げ幅は1万5,000円となります。
- 【2025年最新】初任給を引き上げた企業の業界別一覧|30万円超えも
https://edenred.jp/article/hr-recruiting/251/#top
(2025年6月12日閲覧) - 2025年の賃上げ企業、大手メーカーも続々【3月19日更新】
https://www.businessinsider.jp/article/299909/
(2025年6月12日閲覧)
まとめ
近年続いてきた物価と賃金のアンバランスを埋めるように初任給の引き上げが相次いでいます。日本経済復調のためにはこの傾向が続くことが望まれます。また、現状ではこの初任給の引き上げは大企業中心となっています。人材の偏りを防ぐために、中小企業にまでこの流れが波及することが必要です。