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コンピテンシー面接とは?質問例と対策を徹底解説!

date2024年01月26日
コンピテンシー面接とは?質問例と対策を徹底解説!
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はじめに

公務員面接や転職面接のさいにコンピテンシー面接という言葉を聞くことがあります。このコンピテンシー面接では、実際にどのような質問をされるのか。どう回答したらよいのかなど、不安に感じている方も多いと思われます。

この記事ではコンピテンシー面接がどのような面接方法なのかを詳しく解説し、さらに対策方法までをご紹介します。

面接にまつわるノウハウや対策方法を完全網羅! 面接について困ったときはぜひ以下のリンク先記事を参考にしてみてください。

コンピテンシー面接の目的とは?

コンピテンシー面接の目的とは?

コンピテンシー面接とは、応募者の行動特性や思考性を知り、優れた成果を発揮できる人物の選出方法として用いられています。入社後自社で活躍できる人材を採用するために行われる適性面接と思ってください。

従来の面接とは質問内容も評価の仕方も異なるコンピテンシー面接により、企業は求める人物(人材)像を決め、そこにマッチする適材を適所に採用することができるのです。また、面接官による評価基準の差やミスマッチによる早期退職などを減らすことが可能となります。

通常面接との違いは?

コンピテンシー面接と通常面接の比較図

上記の表でもわかる通り従来の面接では、学歴・職歴・スキルといった表面に表しやすい基準で評価されたり、第一印象や受け答えの雰囲気など面接官によって判断が異なったりと、その応募者が入社後本当にできることを見極めるには困難を極める判断基準でした。

コンピテンシー面接では、会話を重ねることで、応募者の過去の経験から行動特性や考え方・性格などを判断し、客観的事実に基づいた評価がなされます。

なぜ、企業はコンピテンシー面接を行うのか?

なぜ、企業はコンピテンシー面接を行うのか?

厚生労働省発表の令和2年度の新規学卒就職者の3年以内の離職率を見てみると、例年よりも低下の傾向にはありますが、新規高卒就職者で約4割(36.9%)、新規大卒就業者で約3割(31.2%)と決して少ない数字とはいえません。

企業にとっても、ミスマッチによる早期退職は極力無くしたい課題といえます。コンピテンシー面接を導入することで、真に自社で活躍できる人材を採用できる可能性があるなら大きなメリットといえるでしょう。以下では、コンピテンシー面接のメリットについてご紹介します。

参照:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況を公表します 令和3年10月

企業との相性を図りミスマッチを防止する

企業はコンピテンシー面接を行う前に、実際に自社で活躍している社員をモデルとして選抜し採用基準の詳細を決めます。その基準に従って、質問内容や評価基準のポイントを面接評価シートにまとめて面接を行います。

コンピテンシーモデルがあることで、どのような人物を採用すれば自社と相性も良く活躍してくれるかの判断がしやすいのです。さらにミスマッチによる早期退職を防止する効果も期待できるわけです。

面接官による評価が統一される

コンピテンシー面接では、共有のマニュアルに沿って質問を行い、面接評価シートを使って評価を記載する方法で面接を行うため、面接官の印象や先入観にとらわれることなく一律の評価を目指します。

第一印象や学歴・スキル・年齢・性別などに影響されにくく、評価のバラつきを抑えられ統一性をはかる効果が期待できます。

応募者の本質が見極めやすくなる

コンピテンシー面接は、応募者のこれまでの経験談を聞き出して、その出来事で感じたこと、工夫し対処した方法などを会話形式で深堀りしていきます。この中で行動特性や再現性を把握していくことを行います。

通常面接のように用意された言葉ではないので、矛盾しているとさらに質問ができますし、自分をよく見せようと誇張した場合も気づくことができます。正直な事実を聞き出すことで、応募者の本質を見極めることができるのです。

企業側にはデメリットもある?

コンピテンシー面接を行うためには、先述したコンピテンシーモデルも必要になりますし、マニュアル作成やコンピテンシー評価シートなど、さまざまな準備が必要となるためノウハウを持たない企業にとっては困難を極めます。そもそも、モデルがいなければ、自社が求める人材の基準を設定することも難しいのです。

時間と経費をかけて準備をしなくてはならず大きなデメリットといえるでしょう。

コンピテンシー面接で見られる大切なポイント

コンピテンシー面接で見られる大切なポイント

コンピテンシー面接で、面接官がどんな点に注視しているのか、コンピテンシー面接で大切なことは何かのポイントをご紹介します。

応募者の本質や人間性を見る

質問を繰り返し、応募者の語る経験談をどんどん深堀りしていくことで、個人の人間性や本質を見極めようとしています。

論理的な回答ができる人は、物事をよく考えて行動するタイプだと判断されますし、繰り返しの質問にはストレスに対する耐性の有無を判断することもできます。繰り返し質問されても、落ち着いて伝えるべきことを言葉にできるかを見ているのです。

また、コミュニケーションを大切にするタイプなのか、自発的に行動するタイプなのかなどを会話の中から判断しています。

どのように行動する人か?を見る

コンピテンシー面接では、過去の実績よりもどのように行動するタイプかを重視します。大きな利益を会社にもたらしたことよりも、その過程の中で起こった諸々の出来事に対して、どのような行動をとったのかが大切なのです。

例えば、トラブルに遭遇した際に何を考えてどのような行動を起こしたか、それによって何が変わったか・変わらなかったかなど、失敗例でも良いのです。失敗から学び次回は違う行動を起こせたとポジティブな方向にむかえた事例なら問題ないでしょう。

自社への適正と貢献能力を見る

コンピテンシー面接でもっとも注視していることは自社との相性です。前述したミスマッチを防ぎ長期就労できる人材を採用したいと考えているからです。

どれほど優れたスキルや実績があっても、応募先企業にそれを活かすポジションが無ければミスマッチとなります。応募先が求める人材に自身が適しているかの判断も大切でしょう。企業研究と自己分析をしっかりと行い自信をもって挑める準備をしましょう。

コンピテンシー面接の進め方

コンピテンシー面接の進め方

ここからは、実際のコンピテンシー面接の進め方についてご紹介します。

1.応募者の行動特性がわかる質問を行う

まずは、応募先企業が求める行動特性を表せる質問からされます。求めるポジションによって質問の内容はさまざまですが、前職を踏まえた内容や学生時代の経験など多方面から例をあげて質問されることがあります。

例えば、営業職経験のある応募者に「お客様から無理な要望をされたことはありますか」などの質問をされた時、応募者は経験があればその時の経験談を、理路整然とわかりやすく説明するとよいでしょう。

2.1の回答内容に対してさらに質問を行う

次に、応募者の経験談の中から気になった点などを深掘りした質問がされます。

例えば、「無理な要望をするお客様をどう思いましたか」「要望に応えられない自分をどう感じましたか」「工夫をして提案した結果、お客様はどのような反応を示しましたか」などなど、経験談の内容によってはさまざまな方向に質問の内容が広がります。

3.回答内容に評価をつける

繰り返し質問することによって再現性や志向性・行動特性をはじめ、コミュニケーション力やマネジメント力など応募者がもつ特性を評価していきます。

面接評価シートには、「〇 △ ×」や「1 2 3」などの数値で記載する場合もありますし、メモ欄などに特徴的な行動パターンをメモすることもあるようです。企業によってシートの形式は異なります。

4.他の行動特性に関する質問を行う

一番重視すべき行動特性の質問が終わった後に、本当に自社にマッチしているかを見るために別角度からの質問がされる場合があります。1から4を何度か繰り返し、さらに応募者の本質を見極めていくためです。こちらもさまざまな内容の質問がありますので、過去の経験で生じたエピソードを思い出しておくことが大切でしょう。

効率化するためにマニュアル化している企業も!

誰が面接官を担当しても、また、面接時の負担を軽減するために、面接で聞く質問内容やそのポイントなどをマニュアル化している企業もあります。

マニュアル化することで、面接官による評価基準の差異が生じることも軽減できますし、コンピテンシー面接のメリットを十分に理解した面接官が面接を行うことで、より正確に応募者の本質を評価できることにつながるからです。

コンピテンシー面接でされる質問とは?

コンピテンシー面接でされる質問とは?

コンピテンシー面接の概要をご説明しましたので、実際にされる質問について見ていきましょう。

よくあるコンピテンシー面接の質問例5選

  • 部署内やチーム内にトラブルが生じた経験はありますか。
  • 期日までにタスクが完了できないときに、どのような対処をしたか教えてください。
  • 新しいことに挑戦した時の状況と、どのような対応をしたのか説明してください。
  • いちばん難しいと感じた決断や判断をした経験は何でしたか。
  • どのようなことにストレスを感じやすいと思いますか。また、その解決策や対応策はありますか。

STARフレームワークを使った質問例

STARフレームワークとは、コンピテンシー面接の質問を考える際の基準となる4つの項目を指し、「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の頭文字をとったものです。

STARレームワークを使ったSTAR面接は、同じ状況下でも、課題解決のための行動パターンはさまざまで、導き出される結果も異なります。4つの項目を踏まえて質問することで、応募者の行動特性を見極めることができます。

Situation(状況)

Situation(状況)とは、応募者の背景を理解するための質問です。組織の状況から担った役割、どこまでの権限を持っていたかなどを知るための質問を行います。

同じ行動特性を持ち合わせていても、背景にある状況によって行動の意図は変わり、応募者の真の行動特性を判断するためにも、背景(状況)の理解は重要な要素といえます。

  • 質問例
  • 組織の中での、役割やポジションを教えてください。
  • 関わったプロジェクトの規模は何人程度でしたか。
  • そのプロジェクトには、どのくらいの期間関わりましたか。

Task(課題)

Task(課題)では、応募者の課題に対する意識を確認するための質問をします。その課題は自ら設定したものか、与えられたものか、なぜ解決の必要があると感じたのかなどを知るための質問です。

自ら課題を設定するためには、分析力や創造性・問題解決能力などがあると判断できますし、トラブル発生によるものであれば、ストレス耐性やコミュニケーション力・正確性への関心が高いと判断できるでしょう。

  • 質問例
  • Taskは誰が設定しましたか。
  • なぜ、解決の必要があると感じましたか。
  • トラブルの原因は何でしたか。

Action(行動)

Action(行動)では、実際にどのような行動を起こしたのかを知るための質問をします。何を考え、いくつかあるリソースの中からなぜその行動を起こしたのか、Taskで明らかになった課題解決に向けた取り組みの詳細を知ることで、応募者の思考や行動の癖を知ることができます。

  • 質問例
  • 課題解決のために何をしましたか。
  • なぜ、その行動をしょうと考えましたか。
  • 逆に何もしなかった選択はありましたか。

Result(結果)

Result(結果)では、起こした行動に対してどのような成果が生じたかを知るための質問をします。誰に対して、また何に対してどのような成果があったか。もしくはなかったかを明らかにし、その結果に対して何を感じたか、どう思ったかまで知ることで、応募者が自社にマッチするかの判断材料とします。

  • 質問例
  • とった行動はどのような結果を生じましたか。
  • この経験での、反省点や改善点・学んだことは何でしたか。
  • その成果が周囲に与えた影響はありますか。

コンピテンシーレベル5段階で評価する

コンピテンシーレベル5段階で評価する

STARフレームワークにそった回答に対する評価方法には、個々の面接官による差異を減らすために評価基準がもうけられています。コンピテンシーレベルといわれ5段階の行動パターンに分類されます。応募者がどのレベルの行動特性を持つ人材かを判断し、採用したいレベルの応募者を決めます。

コンピテンシーレベルの5段階の説明図

【レベル1】受動行動

受動行動とは、依頼を受けたタスクをこなせる人材です。上司からの指示を待って指示に従って行動するタイプです。自身からは発信をせず目的意識が薄い傾向にあります。

受動的な働き方を求める企業にとっては、マッチした人材といえるでしょう。

【レベル2】通常行動

通常行動とは、与えられた業務をこなすことのできる人材です。受動行動と同様に自身から発信することはありませんが、与えられた業務に対して確実にミスなくやり遂げる意識をもって業務にあたれます。マニュアル通りに正確に業務をこなせる人材を求める企業にとっては、マッチした人材といえるでしょう。

【レベル3】能動行動

能動行動とは、与えられた業務を効率よくこなすために、目標を設定し自ら行動できる人材です。上司の指示が無くても、自分で必要な対策を考え行動できるタイプです。例えば、「新規商品のプレゼンを行う。」と指示があれば、参加者のスケジュール調整・会場設営・資料作成など必要なものを自分で考えて行動ができます。多くの企業ではコンピテンシーレベル3以上の社員を求めているでしょう。

【レベル4】創造、課題解決行動

創造、課題解決行動とは、自分が行動を起こし自分が変わるだけでなく、周囲も巻き込んで状況を変えることのできる人材です。現状に何が足りないのかを考え起こす行動には、先へ行っても足りないものが出ないようにみこした行動ができるタイプです。例えば、社内システムを変更する際に、スタートアップ期間を設け、問題点を洗い出し解決を図り、スムーズなスタートを目指せます。自社にマッチするレベル4の人材は企業にとって最も求める人材といえるでしょう。

【レベル5】パラダイム転換行動

パラダイム転換行動とは、独自のアイデアを持ち組織内のこれまでの常識を覆すパワーあるリーダーシップを発揮できる人材です。企業にとって最も求める人材といえるでしょう。ただ、優れた人材であるがゆえに自社とのマッチングが重要になり、自社で活躍してくれる人材と一致しない場合もあります。また、レベル5の人材と巡り合うことは極めて稀なことともいえるでしょう。

コンピテンシー面接の対策7選

コンピテンシー面接の対策7選

コンピテンシー面接の進め方や評価方法を理解したところで、実際の対策についてご紹介します。

1.これまでの業績をSTARに沿って答えられるようにしておく

コンピテンシー面接では、過去の経験をシチュエーションごとにストーリーとして答えられることが求められます。自分の過去の経験を複数思い出して、シチュエーションごとにまとめておきましょう。

コツは、「どのような状況に置かれていて、どのような課題があり、その行動を起こした結果、何を得てどうなったか」を順序立てて回答できるようにしましょう。

成功体験や自慢話ではなく、失敗から重要なことを学んだことも評価につながります。誇張や見栄を張らずに正直に回答することも大切です。

2.応募企業が求める人物像や能力を把握する

コンピテンシー面接を行う企業は、自社が求める理想の人物像を決めている場合が多いです。また、職種やポジションによっても求められるスキルは異なります。しっかりと企業研究を行い、志望企業が求める職種やポジションに自分がマッチするかを見極める必要があります。

自己分析も重要で、まずは、自身を知り相手を知ることから第一歩が始まるでしょう。

3.面接官になったつもりで質問を考える

自己分析を徹底して行い、想定外の質問にも冷静に答えられる準備をすることも大切なポイントです。準備をすると大きな出来事や経験ばかりを用意しがちですが、小さな出来事や普段の生活の中で起こった出来事の中にこそ、想定外の質問をされた時にピッタリあう経験が見つかることもあります。

また、応募するポジションについて必要とされるスキル・行動特性・価値観などを設定しておくことも大切です。多くのパターンが準備できていれば、どのような質問をされても慌てることはないでしょう。

4.正直に回答する

誇張や噓・見栄を張っても、コンピテンシー面接では意味を成しません。面接官と対話形式で何度も質問を繰り返される中で矛盾は浮き彫りにされます。コンピテンシー面接は応募者の本質・核となる部分に迫る面接手法といえるので、実際の経験に基づいて、正直に答えることが望ましいです。

見栄を張っても結果的に評価を落としてしまいかねないので気をつけましょう。

5.ポジティブな特性をアピールする

困難な出来事に立ち向かい、ポジティブな結果を生んだことがアピールできれば理想的ですが、それほど上手くいくことばかりではありません。失敗から成長できることも多いのです。単に「良い結果になりました」や「評価されました」で終わるのではなく、その経験から反省したこと、学んだこと、身についたことからポジションになれた自分をアピールすることが大切でしょう。

6.簡潔明瞭に話す

自身の経験談を話す際、より理解してもらおうと長々と話してしまった経験はありませんか。コンピテンシー面接では、面接官がSTARに沿って質問を終えた時点で、筋の通ったストーリーが完成していればよいのです。状況から結果までを前のめりに話しすぎないように注意しましょう。

質問された内容を正確に理解して簡潔にまとめてから回答すると良いでしょう。

7.マニュアル本を読む

コンピテンシー面接で内定を取るためには、「独自の工夫を加えた行動」や「状況を変化・打破させようとした行動」がとれる人材であると、面接官に認めてもらう必要があります。どうしても不安を感じる方はマニュアル本を購入して学ぶのもよいでしょう。企業向けのモノもありますが、企業のみならず応募者にとって役立つ情報もあります。文章が苦手な方には漫画もありますので参考にされてはいかがでしょう。

まとめ

コンピテンシー面接は、応募者の本質・核を見抜くための面接だと言われると、少し怖い気がする方もいるかもしれません。しかし、従来の面接で学歴や職歴等ばかりで判断され、本当はこういうところが得意な自分を受け入れてもらえなかった方にとっては朗報といえるでしょう。企業も本当の意味で自社とマッチする人材を探しています。

コンピテンシー面接がどのようなものかをしっかりと理解し、対策をしたうえで挑むことをお勧めします。

この記事がお役に立てると幸いです。

最後のチェックポイント

  • コンピテンシー面接は、企業がミスマッチなどによる早期退職防止を目的に始まった
  • コンピテンシー面接で見られるポイントは応募者の行動特性
  • コンピテンシー面接は、面接官と会話形式でだされる質問に答える
  • 質問は応募者の一つの経験を深堀する形で進められる
  • 質問はSTARフレームワークに沿って進められる
  • コンピテンシー面接は、コンピテンシーレベルにより5段階で評価される
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