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クリティカルシンキングとは?基本とトレーニング方法を分かりやすく解説

date2024年01月17日
クリティカルシンキングとは?基本とトレーニング方法を分かりやすく解説
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はじめに

近頃注目を集めているのがクリティカル・シンキングです。ビジネスを前進させる上で多くのメリットを持ち、今や欠かすことのできない思考法と言えます。

この記事では、クリティカル・シンキングの意味や定義から具体的なトレーニング方法まで解説します。正しく身に付ければ多くの場面で役立つため、ぜひ取り入れてみてください。

クリティカル・シンキングとは

クリティカル・シンキングとは

クリティカル・シンキングとは、感情を含めた主観的な視点ではなく客観的な視点でものごとを分析することをさします。 ここでは、具体的にどのような内容なのか、そしてどんなメリットがあるのか、次から見ていきましょう。

意味と定義

クリティカル・シンキングとは「批判的思考」という意味です。しかし決してネガティブな考え方を指すわけではありません。そもそも批判とは欠点や誤りを指摘するだけではなく、物事に対して検討を重ねて判断することを意味します。つまり、鵜呑みにせず適切に疑う思考態度がクリティカル・シンキングなのです。

クリティカル・シンキングでは、思い込みを取り除き、あらゆる角度から別の可能性はないかと考え続けます。ここで大切なのは、批判の対象は自分自身ということです。「なぜなのか」「どうしてこうなのか」「本当に正しいのか」と、多面的に内省しながら正しい結論に導いていきます。

必要性と効果/メリット

ではクリティカル・シンキングはどうして必要なのでしょうか。それは何より、変化のスピードが早い時代において、ビジネスも常に変化し続ける必要があるからです。昨日まで成功していた方法が今日も通用するとは限りません。「これで本当に正しいのか」「今のニーズに合っているか」「将来的な可能性が見込めるか」などを絶えず考えることが大切です。

クリティカル・シンキングを実践すると、物事の本質を見極め、最適な結論にたどり着くことができます。人はどうしても主観を取り除くことが難しいものですが、自分の中で問い続けることで客観的な考えを持つことが可能です。そうすれば自分自身も十分納得して判断を下すことができるでしょう。

ビジネス上のコミュニケーションだけではなく、レポートを作成する際にもクリティカル・シンキングは役立ちます。多角的に考えるプロセスを通じて、効率良く結論に行き着くことができ、説得力のあるレポートをまとめられるはずです。

クリティカル・シンキングとロジカル・シンキングの違い

クリティカル・シンキングと近い言葉としてロジカル・シンキングがあります。ロジカル・シンキングとは「論理的思考」という意味です。複雑な事柄を分解して整理し、筋道立てて組み立てる合理的な思考法を指します。正しい論理展開ができるため、ビジネスパーソンにとって必須のスキルと言っても過言ではありません。

一方、クリティカル・シンキングとは前述の通り「批判的思考」のことです。前提となる条件から疑いを持って検証し、結論を得る思考法です。どちらも正しさを求め論理的に考える態度は共通していますが、ロジカル・シンキングではそもそもの妥当性までは考えないという違いがあります。

このようにクリティカル・シンキングとロジカル・シンキングは相反するものではなく、二つを併用して実践するとより効果的です。その他にもラテラル・シンキングやデザイン・シンキングなど様々な思考法がありますので、場面に応じて適切なものを取り入れましょう。

ロジカル・シンキングが活かせるIT職種を紹介します。データアナリストとは?向いている人や未経験からなるための資格・将来性・データサイエンティストとの違いについて、実際の仕事の中でどのように使われているかを見ることで、もっと身近に感じていただけると思います。

クリティカル・シンキングの基本

クリティカル・シンキングの基本

次にクリティカル・シンキングの基本を見ていきましょう。クリティカル・シンキングを実践する際には、常に心に意識したい3つの姿勢や、MECE、ピラミッド・ストラクチャーといった考え方があります。具体的にどのように実践していけば良いか、それぞれ押さえておいてください。

3つの姿勢

クリティカル・シンキングには、土台とも言える3つの姿勢があります。それは「目的は何かを意識する」「思考のクセに左右されずに考える」「結論に至っても考え続ける」というものです。クリティカル・シンキングを用いて何らかの課題に向き合う際には、この基本姿勢を忘れないようにしましょう。

目的(イシュー)は何かを意識する

一つ目は、目的(イシュー)は何かを意識することです。クリティカル・シンキングでは前提を疑い多面的に検討していくプロセスがあるため、ともすれば本来のゴールを見失いかねません。そこで、目的やイシュー(論点や考えるべきこと)が何かをしっかり定めておくことが重要なのです。

課題のゴールを常に意識しておけば、様々な角度から思考する範囲が広くなっても、迷ったり立ち止まったりせずにすみます。「何のために?」「どこを解決すべきか?」といった視点を忘れずに、最短で正しい結論にたどり着くようにしましょう。

思考のクセに左右されずに考える

二つ目は、思考のクセに左右されずに考えるということです。人は自分の経験などから、必ず思考のクセ・偏りを持っているものです。しかし、偏った価値観や思い込みが無意識にでも反映されてしまうと、適切な結論を導き出すことはできません。また、周りと認識がずれて議論が嚙み合わないこともあるでしょう。

そこでクリティカル・シンキングでは、人は誰しも思考のクセを持っていることを前提として認識します。思い込みや偏見などに左右されないよう、常に「この意見は自分の主観が入っているかもしれない」「判断に好き嫌いや偏見が反映されていないだろうか」と考えることが大切です。

結論に至っても考え続ける

三つ目は、結論に至っても考え続けることです。クリティカル・シンキングにおいては、問題が解決したと思っても、そこで考えを止めずに問い続ける姿勢が欠かせません。その際には以下の3つの問いが役立ちます。

  • So what? (だから何?)
  • Why? (なぜ?)
  • True? (本当に?)

これらを繰り返し考え続けることで、物事の本質がより明確になり、適切な解決策にたどり着くことができます。日頃からこれらの疑問の言葉を意識しておくと、思考力や考える習慣が身に付くでしょう。

MECE

ロジカル・シンキングの基本的な考え方「MECE(ミッシー/ミーシー)」はクリティカル・シンキングでも役立ちます。MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、日本語に訳すと「モレなく、ダブりなく」という意味になります。

ビジネスにおいて課題を解決するためには、全体像を正しく把握する必要があります。考える要素に漏れやダブりがあれば適切な判断もできません。だからこそ既存のフレームワークを用いて、MECEの状態であることが求められます。

クリティカル・シンキングにおいては、様々な検討を重ねた後、網羅性と重複を確認するためにMECEの考え方を活用しましょう。

ピラミッド・ストラクチャー

ピラミッド・ストラクチャーとは、結論(主張)とその根拠をピラミッド状に図式化する、論理的に考えるためのツールです。一つの結論にはそれを正しいと証明するために複数の根拠が必要であり、それらを階層状に並べると自然とピラミッドのような形になるため、ピラミッド・ストラクチャーと呼ばれています。

この方法を用いると、自分が考えたことを整理し、妥当性や完成度を視覚的に確認することができます。上述のMECEとあわせて実践してください。

ピラミッド・ストラクチャーを使うメリット

ピラミッド・ストラクチャーにはいくつかのメリットがあります。まず一つは、考えを分解して課題部分を特定してから原因や解決策を考えることで、適切な対処ができることです。問いを繰り返して検証を尽くすクリティカル・シンキングでは、とても有効なツールと言えるでしょう。

あるいはビジネス以外においても、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 「今の仕事は何のためにしているんだろう?」と悩んだ時にも活用できる
  • 無意識の思考のクセを理解し、自分と上手に向き合えるようになる
  • 自分の強みや課題に気づき、前向きになれる

ピラミッド・ストラクチャーは色々な場面で活用することができるため、様々なテーマで慣れておくことをおすすめします。

クリティカル・シンキングはマネジメント業務に大変役立つ考え方です。以下の記事を合わせて読むことで理解が深まるでしょう。マネジメントの意味とは?必要な能力(スキル)とその学び方について、こちらも参考にしてください。

トレーニング方法

トレーニング方法

クリティカル・シンキングを身に付けるには、具体的にどのようにトレーニングをすれば良いのでしょうか。例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 普段から身の回りの事柄に疑問を持ち、深掘りする習慣をつける
  • 主張への反論を考え、自分なりの批判的意見を構築する
  • フレームワークを用いて客観的に分析し、仮説を立てて検証する
  • 本を参考にして様々な考え方や概念を学ぶ

日頃から問いの姿勢を持ち、当たり前の事柄に対しても「だから?」「なぜ?」「本当に?」と深堀りすることは有効です。何かの課題に直面した時は、あらゆる角度から反論を検討し、自分なりの批判的意見を持つことも良いトレーニングになります。

様々なフレームワークを活用して物事を客観的に分析することにも取り組んでみてください。仮説・検証を繰り返す中で考える力がついていくはずです。また、より知識やスキルを身に付けたいなら本を読むのも良いでしょう。経営や人材育成で有名なグロービスからクリティカル・シンキングについての本も出ているので、読んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

クリティカル・シンキングとは「批判的思考」を意味し、健全な問いと検証を重ねて最適な結論を導き出すための思考法です。変化のスピードが早い今の時代、昨日と同じやり方が今日も通用するとは限りません。前提から深く掘り下げて考え続けるクリティカル・シンキングは、ビジネスにおいて欠かせないスキルと言えるでしょう。

一朝一夕で身に付くものではありませんが、基本の3つの姿勢を忘れずに、日頃から思考のトレーニングをしてみてください。ビジネス以外の面でも広く役立つ考え方を身に付けられるはずです。

最後のチェックポイント

  • クリティカル・シンキングとは「批判的思考」のこと
  • 実践すると、物事の本質を見極め最適な結論にたどり着つける
  • ロジカル・シンキングとは「論理的思考」を指し、併用すると効果的
  • 「目的は何かを意識する」「思考のクセに左右されずに考える」「結論に至っても考え続ける」という3つの姿勢がある
  • MECEやピラミッド・ストラクチャーをあわせて実践すると良い
  • 日頃から深堀りする習慣をつける、フレームワークを用いる
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