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カスタマーサクセスとは何か?基礎知識と事例や注目されている背景について解説

2021年09月22日
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はじめに

カスタマーサクセスとは自社のサービスや製品を顧客に売るだけではなく、利用してもらうなかで、顧客を成長や成功へと導くための概念の事です。カスタマーサクセスの基礎的な知識を得ることで、積極的に顧客にかかわり、サポートする力、ひいては自社の発展にもつながるでしょう。

カスタマーサクセスとはなにか?

カスタマーサクセスとはなにか?

カスタマーサクセスとは、英語表記にすると「Customer Success」直訳すると「顧客の成功」となります。しかし、カスタマーサクセスは顧客の成功や要望を満たすだけのサポートではありません。受動的ではなく能動的に働きかけ、顧客の成功と自社の収益の両立を目指すマーケティングの概念です。
アメリカを中心に爆発的な広がりを見せたカスタマーサクセスは、日本国内にも普及しつつあります。
要約するとカスタマーサクセスには、以下の2つの意味合いがあります。

  1. 顧客に対する価値の提供
  2. 企業の取組や役割・職種

本記事では企業の取組や役割・職種の項目を中心とした解説をおこないます。

意味や目的

前述しましたが、カスタマーサクセスのゴールは、顧客の成功や成長を目指すことです。そのためには顧客の話を聞いてから受動的に動くのではなく、能動的にアドバイスやサポートをおこなうことが重要です。
カスタマーサクセスは、販売・契約をして終わりというものではありません。自社製品やサービスを利用することで顧客が得られる成功や成長を、維持・増幅させられるようにサポートしていく事もその目的になります。
ホスピタリティがあってこそ、カスタマーサクセスは成立します。顧客との関係性の維持や、新たな利益の創出にもつながり、双方にとっての大きなメリットを目指します。

カスタマーサポートとの違い

「カスタマーサクセス」と「カスタマーサポート」この2つの言葉には似た印象があり、混同されている方もあるでしょう。この機会に2つの違いをしっかりと認識しておいてください。
根本的な違いは、自分のとるアクションが受動的であるか能動的であるかです。
カスタマーサクセスは顧客の成功・成長のために、いかに積極的に自分から行動するかがポイントになります。つまり「能動的」なものです。
一方で、カスタマーサポートは顧客から求められることへの対応や問題解決がメインになります。先方からのアクションにレスポンスを返すことです。つまり受動と能動という、相反する行動に起因します。

注目されるようになった経緯

注目されるようになった経緯

カスタマーサクセスが注目されるようになった背景はどのようなものだったのでしょう。
元々カスタマーサクセスはアメリカを中心に広がりましたが、欧米にとどまらず日本国内へも広がりを見せています。2021年現在、日本でのマーケティングモデルとしても重要視されはじめているのです。
注目されるようになった理由には、これら4つがあげられます。

  • 市場の成熟
  • サブスクリプション形態の広がり
  • CRM(顧客管理ツール)の普及
  • 他者サービスとの差別化の必要性

以下で詳しくみていきましょう。

市場の成熟

グローバル化が進み、経済の国際化も飛躍的に進化を遂げてきました。簡単に情報が手に入るようになり、世界中のどこでも同じような製品を作ることができるようになりました。どこで誰が作っても同じであれば、優位性が維持しづらくなることは明白です。
結果、買い手側には多くの選択肢ができたものの、売り手側は競争が増え苦しい思いをすることになりました。なぜなら、新しいものが開発されてもすぐに真似されてしまい個々の差別化が難しくなったためです。だからこそ、商品を販売した後まで続く能動的なサポートが重要となり、カスタマーサクセスという考え方に注目が集まるのでしょう。

サブスクリプション形態の広がり

世の中の商品に対する意識は所有から利用へと変わっています。今までは売り切ることが原則であったビジネスモデルは、決まった料金を支払って一定期間サービスが利用できる定額制サービスといったサブスクリプション型へ変化しつつあります。
いかに解約をされずに継続利用してもらえるかが、サブスクリプションというビジネスモデルの重要ポイントです。カスタマーサクセスの本質的な考え方「販売後も顧客の成功や成長を目指す」とは、ニアリーイコールとなり、使い続けたいという顧客のニーズを保つという面では相性がよいと言えます。

CRM(顧客管理ツール)の普及

1990年代前半に誕生し、1990年代後半にはマーケティング手法のCRM(Customer Relationship Management)が登場しました。顧客対応の重要性をOne to One(マスマーケティングと対極をなす考え方で、顧客一人ひとりを意識したマーケディング手法が必要とされ、One to Oneマーケティングとも称される)へシフトし、集めた顧客データを元に顧客の満足度の向上を目指し、きめ細かい対応をおこなえる環境が整い出したのです。
2000年代後半にはIT技術の目覚ましい進歩によりCRMの統合システム化が実現しました。CRMと同様に発展を遂げてきた営業支援システムSFA(Sales Force Automation)と連携し、営業から顧客管理までの一元管理ができる新たなCRMツールの誕生です。
2010年代後半には最先端技術となるAIを活用し、購買行動などさまざまなデータから顧客視点の獲得・顧客の行動予測までもが可能となりました。モバイル端末で利用可能なCRMシステムなども登場し、場所や時間にとらわれずフレキシブルな顧客対応が可能になる環境を実現しました。
CRMはめざましいITの進化とともに日々進化を続けているのです。
市場の成熟によって、今の世の中にはありとあらゆるモノがあふれています。このような状況下で品質だけで差別化をはかることは難しいでしょう。だからこそ、CRMを使用して、顧客との関係性を最大限に高め、維持することが重要視されます。

他社サービスとの差別化の必要性

豊かになった日本の社会にはモノがあふれ、さまざまなモノが手に入るようになりました。その結果、所有(物理的価値)から、所有することで得られる満足感や喜びといった経験(心理的価値)に魅力は変化し、新たな価値を見出しはじめています。グローバル化し成熟していく市場は競争が激化しています。勝ち抜く・生き残るためには、他社サービスとの差別化が必要不可欠です。
他社のサービスとの差別化をはかるには、カスタマーサクセスにより把握した顧客情報からニーズの分析をおこない、顧客が抱えている自社商品利用に関する課題や不満を把握します。把握した内容から、一人ひとりに適したアドバイスや情報を提供することでCX(Customer Experience/顧客体験)を高めます。最新のCRMから導き出した情報を元に、より良いCXが提供できれば、利用の継続の可能性も高まるでしょう。

仕事内容とは

仕事内容とは

カスタマーサクセスの具体的な仕事内容をご存じでしょうか。カスタマーサクセスの仕事を進める上で以下3点の重要なポイントがあります。

  • 購入・導入の促進
  • 継続受注・利用の獲得
  • 主なKPI(重要業績評価指標)

それぞれの詳細や果たすべき役割を、カスタマーサクセスを実際に導入した事例を交えて紹介します。

購入・導入の促進

最初の段階となる導入をオンボーディングと呼びます。オンボーディングとは、船や飛行機に乗っているという意味の「on-board」から派生した言葉です。利用者になったばかりの顧客を乗組員に見立て、サービス・製品を使いこなせる状態にするまでのプロセスを示している言葉です。
どのようなサービス・製品でも顧客によってはさまざまな障害が出てくる可能性があります。そのような中、いかに使いやすいと顧客に感じてもらえるかが、利用開始後のスムーズな運用へとつながる大切な支援になります。
まずは、顧客の導入規模に応じたサポートを考えることからスタートしましょう。購入前の顧客先へ足を運び説明会の開催や、数人のユーザーを交えて勉強会をおこなうことで、早い段階から問題点が取り除けるよう導入のサポートをしていきます。

継続受注・利用の獲得

オンボーディング(導入)が済むと、今度は継続利用・受注のために、利用開始後のフォローがはじまります。
サービス・製品を利用する上で、わからないことや疑問に感じることがないかを顧客へこまめに聞き取り調査します。同時に、顧客がうまく機能を利用できているかなどの確認も忘れずにおこないましょう。
自社が提供する商品やサービスを利用して、顧客が仕事を受注できるようにサポートを行うと考えるとわかりやすいかもしれません。成果につながるように支援することが最重要課題になります。

主なKPI

KPI(重要業績評価指標)とは、設定した目標に対しどの程度達成まで進めているかの度合いをはかるための指標を意味します。英語表記にすると「Key Performance Indicator」で、「重要経営指標」や「重要業績指標」などと訳されます。
大きな目標を達成するためには段階的に成功を重ねていくことが大切です。工程数に応じ複数のKPIが設定されていることも珍しくありません。業界のちがいや、最終的な目標によってはKPIの種類が異なります。
主要KPIには、以下の3つがあります。

  • 解約率/継続率/離脱率
  • LTV(顧客生涯価値)
  • NPS(顧客推奨度)

これらKPIの詳細について紹介していきましょう。

解約率/継続率/離脱率

カスタマーサクセスの指標として重要になるのは、解約率・継続率・離脱率です。
解約率(チャーンレート)はサブスクリプションモデルビジネスにおいて最も重要になります。この指標は事業や利益の拡大・縮小に大きな影響を及ぼします。
次に重要となるのは、継続率(リテンションレート)です。「既存顧客維持率」とも呼ばれており、契約数に対してどれだけ継続利用してもらえているかの割合を指します。カスタマーサクセスを導入するメリットとして、自社のサービス・製品の解約を予防したり、継続率を上げたりすることがあり、解約率同様に重要な指標として扱われています。
離脱率はいくつかの指標で用いられる言葉です。解約率と同じ意味をもつ「顧客離脱率」や「契約離脱率」などをはじめ、逆に顧客の成功体験から収益が増える逆離脱率(ネガティブチャーン)としても使われています。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは、顧客の生涯価値をはかる指標です。
顧客生涯とは、購入したサービス・製品の使用を、開始してから解約するまでに自社にもたらされた利益の総額をあらわす指標と考えてください。単純な計算式にすると、サービス・製品にかかるコスト×平均利用年数になります。サブスクリプション型のサービスが提供されていく上で、顧客が長く利用してくれるかを追求する事は不可欠です。カスタマーサクセスの仕事にはLTVの導入が強く推奨されます。

NPS(顧客推奨度)

NPS(Net Promoter Score/ネット・プロモータースコア)とは、顧客推奨度を意味します。
NPSは、2003年にコンサルティング会社「ベイン&カンパニー」が考案した指標です。これを使用すれば、顧客に対して長くなりがちな質問調査をする必要がなくなるため重宝されています。シンプルな調査方法で顧客のロイヤリティを測定しますが、業績と強い相関関係が得られるため、KPIとしてカスタマーサクセスの切り札にもなります。
実施する簡単なアンケートは、各設問に対して0~10点の11段階で評価をしてもらうだけのシンプルなものです。

  • 推奨者(9~10点)
  • 中立者(8~7点)
  • 批判者(6~0点)

算出された結果を元に、上記3つの回答者ごとに顧客をグループにわけ、数値化したものがNPSの指標になります。

カスタマーサクセス事例

カスタマーサクセスについてさまざまな角度から紹介してきました。最後のまとめとして、実際のカスタマーサクセスの事例について紹介しましょう。セールスフォース(Salesforce)と呼ばれるツールがCRMを利用し、顧客企業のカスタマーサクセスの実現に成功した事例です。ぜひ参考にしてみてください。

SALESFORCE.COM:CRM

「Salesforce」を導入したのは、創業から業績を伸ばし続けているとある会社でした。
Salesforceというツールを導入したことで、各部署に分散し蓄積されたデータが、社内の誰もが共有できるようになりました。また担当者が変わっても速やかに見積もりの作成や管理ができるようになったのです。
導入前は、顧客情報の伝達が滞り、担当が変わるたびに仕様が違ったり、再確認したりが必要でした。現在では顧客ごとの見積書を作成しただけで、刷新されたデータが蓄積されます。その結果、社内の正確な情報を把握できるようになりました。
CRM機能がこの会社のニーズを的確に読み取ったわかりやすい事例ではないでしょうか。「Salesforce」を使い続けることで、膨大なデータが自動的に管理されていき、円滑な企業活動が望めるでしょう。 社員がすべてを共有でき、可視化され透明化された経営は、社員の向上心を引出すことに一役買っているようです。

まとめ

物質的に豊かになったことで、顧客は形あるモノへの欲求から、利用したいときに利用できるサービスや、体験への欲求に大きくかじを切ることとなりました。結果、サブスクリプションビジネスはさらに加熱していくことでしょう。周囲との差別化をはかるために、カスタマーサクセスは今後欠かせない営業ツールとなっていくはずです。
さまざまなサービス・製品があふれかえるなか、顧客のニーズも多様化しています。新規顧客の獲得や契約離脱してしまった顧客を取り戻すことは難しいです。だからこそカスタマーサクセスを導入して、今までよりも深くまで顧客のことを理解する努力をしましょう。顧客の成長・成功を目指して、顧客目線に立った提案と課題解決が求められています。

最後のチェックポイント

  • カスタマーサクセスとは顧客の成功と成長を導き出すマーケティング概念
  • 顧客に対し「能動的」である点がカスタマーサポートとの違い
  • 顧客の成長や成功を導き出した上で、自社の収益の両立を目指すことがカスタマーサクセス
  • サブスクリプション形態の広がりがカスタマーサクセスを求める背景にある
  • 販売したサービス・商品を売りっぱなしにせず積極的にサポートをしていく
  • 顧客が成長・成功するために必要なニーズを的確に読み取ることがカスタマーサクセス成功の鍵
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