業界/資格

システムエンジニアとプログラマーの違いについて徹底解説

date2024年02月06日
システムエンジニアとプログラマーの違いについて徹底解説
タグ:

はじめに

IT業界における業種に「システムエンジニア」と「プログラマー」があります。パッと業種名を聞いて、同じ職業なのでは……? と疑問視される方も多いのではないでしょうか。システムエンジニアとプログラマーは似て非なるものなのか? について、それぞれの違いとともに職業としての将来性などを理解していくことで、就職における道標になれば幸いです。

システムエンジニアとプログラマーの違いとは?

それぞれ一言で大きく言い表すと、システムエンジニアは「システム開発を含む開発工程全体に携わる」ことでプログラマーは「プログラミング言語を使ってシステム開発を行う」という違いでしょう。双方がタッグを組むことによって、初めてひとつの成果物が完成すると言っても過言ではありません。では、システムエンジニアとプログラマーの根本的な違いについて見ていきましょう。

システムエンジニア(SE)

システムエンジニア(略称:SE)の役割は、クライアントの要望をヒアリングし、開発するための仕様書を作成するなど、システム開発を含む開発工程全体に携わることです。「システムエンジニア」という総称は和製英語であり、海外ではシステム工学の専門的なことを指すため、日本でいうシステムエンジニアとはまったく別の意味を持ちます。

プログラマー(PG)

プログラマー(略称:PG)の役割は、システムエンジニアが作成した仕様書をもとに「プログラム言語」で具現化することです。分かりやすく言えば、わたしたちの身近にあるLINEやInstagram、YouTubeなどといったスマホアプリの作動はさまざまなプログラミングによって動作しているのです。

ソフトウェアエンジニアとは違うの?

ソフトウェアエンジニアとプログラマーの違いについて、それぞれソフトウェア開発に関わる点では共通します。ソフトウェアエンジニアもプログラマーと変わりはありませんが、“ソフトウェア”に限定されており、各種機器のアプリケーションなどを制御するソフトウェアにおける設計から開発までの工程を担当します。つまり、プログラマーはあくまでもプログラム(コード)を書くことが専門としており、ソフトウェア開発における工程の一つであると言えます。

それぞれの仕事内容って?

同一視されやすいシステムエンジニアとプログラマーの仕事内容には明確な違いがあります。仕様書作成など、システム開発を含む開発工程全体に携わる工程が「システムエンジニア」の仕事であるのに対し、プログラミング言語を使ってシステム開発を行う工程が「プログラマー」の仕事です。それぞれの仕事内容を理解することで、自分に合うかどうか自己分析に役立てていきましょう。

システム開発工程のイメージ図

システムエンジニアの場合

システムエンジニアは、要件定義から始まり、詳細設計までの流れを担います。つまりシステムにおける開発の一切に携わる仕事です。企業によってはプログラマー関連の仕事を兼任する場合もあります。

 1.要求分析・要件定義

クライアントの業務における環境や要望をヒアリングし、それをもとに予算に合わせた内容を調整して、開発期間とともにシステム開発に必要な範囲などの要件を決定します。

2.基本(外部)設計

上記の要件定義をもとに設計をどのような仕様にするかについて検討し、機能および構成を設計します。

3.詳細(内部)設計

基本(外部)設計で決めた機能や構成を実装するための工程です。プログラマーに引き継ぐため、機能仕様書やデータフロー図といった専門的な設計書を作成します。

プログラマーの場合

プログラマーは、開発から結合テストまでの流れを担います。仕様書をもとにシステムが作動するために具現化することが仕事です。プログラミングがうまく組めない場合、システムエンジニアと連携してシステム上のバグを見つけながら修正することがあります。

1.開発

仕様書をもとにプログラム言語でプログラミングし、開発していきます。使われる言語は主にJava、C言語、PHP、HTML/CSS、Rubyなどがあります。システムの種類によってプログラム言語が使い分けられるので、高度な知識を必要とするのです。

 2.単体テスト

単体テストは別名で「UT工程(Unit Test)」と呼ばれています。開発の工程で構成したメソッドや関数など、個々の小さな単位ごとのプログラムが正常に作動できているかどうかを確認するための工程です。

3.結合テスト

結合テストは別名で「CT工程(Combined Test)」と呼ばれています。複数のモジュール(単位)を組み合わせて行うテストのことを言います。単体テストで確認したシステム同士を組み合わせて、実際に動作するかをチェックする工程です。

気になる将来性(キャリアパス)は?

両方の気になるキャリアパスについて違いとともにどのような職種なのかを理解していくことで、自分の将来に対するビジョンを描けるでしょう。以下で詳しく説明しますので、見ていきましょう。

システムエンジニアの場合

マネジメント系や専門とするスペシャリストを目指す選択肢があります。IT技術は常にアップデートされていくため、高い目標とともに新技術への学習意欲がある人に適しています。
とくに、責任感のあるプロジェクトを総括するための能力が必要になるでしょう。システムエンジニアからのキャリアパスの例として以下の3つが挙げられます。

1.プロジェクトリーダー

「プロジェクトリーダー」はシステム開発における現場責任者とも言える立ち位置にあります。チームメンバーをまとめたり、急なトラブルに対するフォローをしたりと現場で作業するチームメンバーを管理します。常にリーダーシップや人間性の高さが問われる職種です。

2.プロジェクトマネージャー

「プロジェクトマネージャー」はシステム開発におけるプロジェクト全体の進行管理や予算から納期までの一切の責任を負います。チームを上手に率いるためのリーダーシップやトラブルへの問題解決能力が問われる職種です。

3.ITアーキテクト

「ITアーキテクト」はシステムの骨格を構造するシステム開発にとって、なくてはならない職種です。企業における経営戦略やビジネスプロセスをベースとしたITシステムの設計や構築などの役割を担います。検討・提案、仕組みから運用、保守要件までの仕事を高度な能力で作業します。通称「ITの建築家」とも言える立ち位置です。

プログラマーの場合

プログラミング能力を活かして、プログラマーからシステムエンジニアへの道を選択する人もいるようです。システム開発に携わるには、マネジメント業務に必要なコミュニケーション能力を必要とするでしょう。とくに人と関わるのが好きな人に適していると言えます。プログラマーからのキャリアアップの例として以下の2つが挙げられます。

1.システムエンジニア

5年目以上のキャリアから目指す人も多く、システム開発におけるすべての工程を担当する職種です。技術面で培ってきた経験をもとにプログラマーの工程を理解しているため、システムエンジニアという職種を選択する人もいるようです。

2.フルスタックエンジニア

「フルスタックエンジニア」は特定の職種ではなく、さまざまな能力を兼ね備えたITエンジニアのことを指し、通称「マルチエンジニア」とも呼ばれることがあります。あらゆる分野において精通するようなスペシャリストです。一つの工程に留まらず、さまざまな工程に携わるため、より高い知識と能力で活躍ができる優秀な人材を求められます。

それぞれ求められる能力とは

システムエンジニアとプログラマーには、幅広い分野で精通するようなプログラミング言語知識や、開発プロジェクトを進行するための論理的思考力などが必要不可欠です。またチームを円滑にまとめるコミュニケーション能力とともに、常に新しい知識や業界のトレンドなどアンテナを張っていく姿勢が必要になるでしょう。

システムエンジニアとしての能力と資格

システムエンジニアがより活躍していくためには、共通する能力以外にどのような能力が必要になるのかについて説明します。それとともに必要不可欠な資格について、以下の図を参考にしてみてください。

システムエンジニアが必要な資格
基本情報技術者試験IT技術に必要な基本的知識・技能、かつ実践的なスキルを身につけられる。
システムアーキテクト試験情報システムや組み込みシステムの設計など、上流工程に携わりたい人向け。
応用情報技術者試験基本情報技術者試験のワンランク上の資格。技術に伴い、管理から経営まで幅広い分野を学べる。
ORACLE MASTER基本的なSQLやスキルとともにデータベース知識を学ぶ。ステップアップ型のため、プラチナから順に取得する必要がある。
Linux技術認定試験IT技術者ならではの能力を身につけられ、様々なアプリケーション開発に携わりたい人向け。

1.プロジェクト管理能力

提案から納期までの進捗を管理しながら、クライアントを中心にプロジェクト全体を円滑に進めるための能力です。スケジュール管理も同時に兼ね備える必要があり、状況に応じてクライアントと連携してプロジェクトを進行していく必要があります。直面する問題や課題を解決し、円滑に進行するため、常に「プロジェクト管理能力」が求められます。

 2.文章作成能力

システムエンジニアは技術だけでなく、クライアントのイメージに合わせた要望を的確な文章で伝える必要があります。文章作成に「文才」そのものは必要ありませんが、クライアントがITの知識に疎い場合、IT専門用語などをただ並べて書くだけでは内容が分かりにくいでしょう。常にエンジニアのプロとして、クライアントに寄り添った文章を意識した「文章作成能力」が求められます。

3.コミュニケーション能力

クライアントとの打ち合わせに欠かせないのが「コミュニケーション能力」です。システム開発においてはクライアントが要望する内容を聞き出し、それを実現させるには高いコミュニケーション能力を必要とするでしょう。同時にヒアリングの能力も兼ね備える必要があります。

4.論理的思考力

システム開発を行う上でクライアントの意図をくみ取り、チームに要望を的確に伝えるためには論理的な思考力が必要不可欠です。大規模な開発に携わる際、論理的な思考で構造して行かねば破綻してしまう恐れがあり、エンジニア個人のセンスだけではできないでしょう。物事を整理しながら問題解決への筋道を立てるなど、システムエンジニアは常に「論理的思考力」が求められるのです。

プログラマーとしての能力と資格

プログラマーがより活躍していくためには、どのような能力が必要になるのかについて説明します。それとともに必要不可欠な資格について、以下の図を参考にしてみてください。

プログラマーが必要な資格
基本情報技術者試験IT技術に必要な基本的知識・技能、かつ実践的なスキルを身につけられる。
C言語プログラミング能力認定試験IT技術で最も普及しているC言語を学ぶことができる。この資格を取得することでプログラムの能力が身につく。
PHP技術者認定試験初級と上級に分類されており基礎のPHP開発におけるプロセスを学ぶことができる。上級の試験では実務で必要な知識が問われる。
Oracle Certified Java Programmer初心者向けの資格で未経験からでもチャレンジしやすい試験。Javaアプリケーション開発に関わる基本的知識を身につけられる。
Ruby技術認定試験多くのクライアントが必須とするオブジェクト指向言語をもとに基礎知識と応用力を学ぶ。Rubyベースのシステム開発するのに役立つ。

 1.プログラミング能力

プログラマーはさまざまなプログラミング言語を専門としている職種です。開発するシステムの分野に応じて、求められる能力のレベルも異なります。一定の能力だけではさまざまな分野のシステム開発に携わることは難しいでしょう。活躍の場を広げるために、常にプログラマーのプロとして幅広いプログラミング言語を取得し、さらなる「プログラミング能力」を高めていく必要があります。

2.アルゴリズムを作成する能力

「アルゴリズム」とはプログラミングをする上で、何らかの問題を解決する際の作業手順や計算方法のことを指します。問題は簡単には解決できるわけではありません。「高速である」「汎用性が高い」「可読性が高い」この三拍子がそろってこそ、効率よく、質の高いプログラムを作れるのです。今後、あらゆる場面で複雑な問題や課題に直面する際に、「アルゴリズムを作成する能力」が生産性向上を図ると言っても過言ではありません。

3.優れたデバッグ能力

デバッグとはプログラム上で、バグ(不具合)が発見したときに修正することを指します。プログラマーとして、都度、バグの原因を考えながら、的確に修正点を突き止めていく「デバッグ能力」が求められるでしょう。

4.コミュニケーション能力

黙々とプログラミングするイメージが強いプログラマーは、実はシステムエンジニア同様に「コミュニケーション能力」を必要とします。開発には一人でできるものではなく、他のプログラマーやデザイナーなどプロジェクトに関わるメンバーと連携することがほとんどです。クライアントの要望をもとにスムーズに実装していくため、常に綿密なコミュニケーションで進めていく重要な能力だと言えます。

まとめ

システムエンジニアとプログラマーの違いについて理解いただけたでしょうか? どちらも将来性(キャリアパス)として優劣はなく、かつ幅広い仕事層で活躍が望めます。自分が目指したい分野を自己分析するなど、キャリアデザインをしっかりと練っていく必要があるでしょう。システム開発における要となれるよう、ぜひ、必須な能力や資格を身につけてください。

最後のチェックポイント

  • システムエンジニアは「システム開発を含む開発工程全体に携わる」職業である
  • プログラマーは「プログラミング言語を使ってシステム開発」を行う職業である
  • システムエンジニアは要件定義から詳細設計までの工程を担う
  • プログラマーは開発から結合テストまでの工程を担う
  • システムエンジニアの将来性は主にマネジメント系やスペシャリストがほとんどである
  • プログラマーの将来性は主にプログラミング知識を活かしたシステムエンジニアがほとんどである
IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
【会社選びは、仲間探しだ】IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
株式会社セラク 開く