業界/資格

メンターとは?役割や求められるスキル、メンタリングの手順を解説

date2024年01月30日
メンターとは?役割や求められるスキル、メンタリングの手順を解説
タグ:

はじめに

慣れない仕事や環境の変化で不安に陥ることも多い新入社員に寄り添い、メンタルサポートを行う存在をメンターといいます。気軽に相談ができる信頼のおけるメンターがいれば、悩みを解消して仕事に打ち込むことができるでしょう。今回はメンターとはどういった役割なのか、関連する用語や類似の制度との違い、メンターの見つけ方などを詳しく解説していきます。

メンターとは?

メンターとは?

英語ではmentorと表記されるメンターとは、信頼できる相談相手や助言者を指します。ビジネスシーンでは新入社員および若手社員への助言や指導を行い、メンタルサポートを担当する人物を意味することが多いです。
厚生労働省では平成24年度に「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を公開しました。男女社員の労働格差解消を目指して企業が自主的かつ積極的に取り組む施策であるポジティブアクションを推進するにあたって、メンター制度の導入を推奨しています。労働者だけでなく企業経営の面でもプラスが期待できるといったメンター制度のメリットや導入のプロセスについて書かれています。

参考:厚生労働省|メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル

メンタリングとメンティー

メンターと関連性の高い単語であるメンタリングとメンティーについて解説をします。以下の単語について知っておけば、メンターの意味について理解を深めることができるでしょう。

メンタリング

メンタリングとは対話を通じて精神面でのサポートを担当し、必要に応じてアドバイスを行って相手の成長を促すことを目的とした支援です。アメリカの自己啓発法としても知られる人材育成の手段のひとつで、基本的には1対1で行われます。教師や上司のように一方的に教える関係ではなく、対等な立場で気持ちに寄り添って、相談者の成長を助けるような関係性であることが理想とされます。

メンティー

メンタリングを受ける側のことをメンティーと呼び、ビジネスシーンでは新入社員や経験の浅い社員のことを指すことが多いです。キャンパスライフをサポートする学生メンター制度を導入している大学や就活に特化したメンター紹介サービスも存在しているため、学生がメンティーとなるシーンもあるでしょう。そのほか、中間管理職層や経営層がメンターを持つケースも増えています。

類似の制度との違い

この項目では、メンターと比較されることも多いポジションや類語について説明をします。メンターとの共通点や違いをチェックして、それぞれどういった役割が求められているのかを学びましょう。

メンター制度の説明図
OJT・チューターの説明図
コーチングの説明図

OJT・チューター

OJTは「On the Job Training」の略称で、職場での実務を通して業務スキルを獲得する人材育成方法のことです。直属の上司や同じ課の先輩がチューター(トレーナーと呼ばれる場合も)となって新人・若手社員へ指導や教育を行います。業務に関するやり取りが中心となること、上下関係があるというのがメンターとチューターの違いです。職務に特化してアドバイスやサポートを担当するチューターに対して、メンターによるメンタリングでは仕事に限らずプライベートも含めた総合的な相談にのり、メンタルのサポートを試みます。

コーチング

コーチングは対話を通じて課題解決のきっかけを与える人材育成方法で、マンツーマンでの対話を行い、相談者へ気付きを促すという部分がメンターと共通しています。上司や同じ課の先輩がコーチを担当するケースが多いですが、双方向に意見を言い合える関係性が望ましいとされています。コーチングでは目標達成に重点が置かれており、内容も実務についての相談が中心となるのがメンターとは異なる点です。

メンターが求められる背景

メンターが求められる背景

メンターが求められる背景には様々な要因が関わっています。価値観や働き方の多様化に伴ってキャリアパスの自由度が増した一方で、理想の将来像を描きにくくなりました。
メンターは上下関係にとらわれない相談相手であると同時に、メンティーのロールモデルとしての役割も求められています。また、ハラスメント問題などで、上司と部下との適切な距離感が難しくなっているというのも理由のひとつでしょう。メンターを通じて円滑なコミュニケーションが取れることによって新入社員が職場になじみやすくなり、早期離職防止や人材育成の効率化も期待できます。

メンターの役割

メンターの役割は、仕事だけでなくプライベートも含めたメンタルサポートを行うことと、メンティーが成長できるよう手助けをすることです。寄せられた悩みを解決へと導ければベストですが、メンティー自身が道筋を見つける過程を大切にしましょう。こうした方がいいとメンターがあれこれと指図してしまっては、成長の芽を摘んでしまうことになります。時に寄り添い、時に見守る適度な距離感でサポートする良き助言者であるのが理想的なメンターといえるでしょう。

メンターの見つけ方

メンタリングを受けてみたいけれど所属企業ではメンター制度を導入していないという方へ、メンターの見つけ方について記載します。メンターは上下関係を伴わない関係性の相談相手ですので、信用のおける人物であれば社外の人間でも構いません。前職の上司や学生時代の先輩にお願いするのもよいでしょう。身近に相応しい人物がいない場合は、知人に紹介してもらう、メンターのマッチングサービスを利用するといった方法もあります。

メンターのメリット

メンターのメリット

この項目では、メンター制度を導入した際のメリットとデメリットについて解説します。メンター制度は若手の定着支援やキャリア開発として注目を集めています。企業・メンター・メンティーの3つの観点からそれぞれどのような影響があるのかを知り、適切な運用ができるよう特徴をとらえましょう。

企業側のメリット・デメリット

企業側の大きなメリットは、メンタルサポートがなされることによって不安が解消された新入社員の戦力化や早期離職の低減が期待できることです。メンター制度を通じて横のつながりができることで、企業の組織力も強化されるでしょう。デメリットは、メンターの選出や、メンターとメンティーの組み合わせが難しいという点です。また、メンター担当者が業務と無理なく両立できるよう、労働環境の整備が必要となります。

メンター側のメリット・デメリット

メンター側のメリットは、メンター経験を通じてコミュニケーション能力やマネジメントスキルを磨くことができ、スキルアップが望めることです。管理職を目指す方にとって良い経験が積めますし、転職でもアピールできる武器となります。責任感や達成感を得られ、業務へのモチベーションも上がるでしょう。そのほか、メンタリングで他人の意見や価値観に触れることで、キャリアを見つめ直すきっかけにもなります。反面、業務との両立で負担が増えるというデメリットも考えられます。

メンティー側のメリット・デメリット

メンティー側のメリットは、相談相手が社内にいることで安心感が得られ、職場になじみやすくなることがあげられます。直属の上司や同じ課の先輩とは違った距離感の社員と接することで視野も広がり、キャリアプランの参考になるでしょう。デメリットは、メンターによってサポート度合にばらつきが出る点です。人によってはメンターと信頼関係を築くのに時間がかかったり、相性が合わなかったりといったことも考えられるでしょう。

メンターに適した人材とは

メンターに適した人材とは

メンターになるにはどのようなスキルが求められるのか、適した人材の傾向について解説します。公的な資格はないので誰でもなることができますが、次の3点を兼ね備えた人物はメンターに向いているといえるでしょう。以下で詳しく説明します。

  • 総合的なコミュニケーション能力
  • 人材育成への意欲や責任感
  • ある程度の業務実績や経験値

総合的なコミュニケーション能力

安心して悩みを打ち明けられる存在となれるよう信頼関係を築くコミュニケーション能力は、メンターにとって不可欠といえる要素でしょう。傾聴力に加えて、相談しやすい場の雰囲気づくりや、視線や仕草など言外のメッセージを読み取る力といったスキルも求められます。メンティーの置かれた状況や悩みを正しく認識し、共感や肯定することで不安を取り除いて適切なアドバイスをするためには、総合的なコミュニケーション能力を発揮して向き合う必要があります。

人材育成への意欲や責任感

相談相手であると同時にロールモデルともなるメンターの存在は、メンティーのキャリア形成に少なからず影響を与えます。メンターの重要性を理解して責任感を持ち、人材育成へ前向きに取り組む姿勢は適性要素のひとつといえるでしょう。メンタリングはマネジメントスキル習得にもつながると、与えられた役割を意欲的に考えられる人はメンターに向いています。また、メンティーの個人情報や業務内容など、メンタリングで知り得た内容を口外しないといった情報の取り扱いについての意識も重要です。

ある程度の業務実績や経験値

メンティーの不安を理解してアドバイスをするうえで、業務実績や経験値は説得力に大きく関わってきます。例えば、メンティーの担当業務を経験したことのある人と全く違った経歴を歩んできた人では、前者の方がメンティーに寄り添ったアドバイスができる可能性が高いでしょう。メンターは別部署から選出されることが多いですが、ある程度メンティーと共通点を持った人物との組み合わせが望ましいです。

良いメンターとなるためのポイント

良いメンターとは、安心して悩みを打ち明けられるような信頼関係を築ける人物のことでしょう。ここではメンティーと良好な関係性であるために心掛けておきたい3つのポイントについてまとめました。

命令や説教、決めつけをしない

メンタリングでは対話を通じて相手に解決へのきっかけを与えることが大切です。悩みを解決したいと結論を急ぐあまり、メンティーの意思や感情を二の次にして、自分の主張を押し付けるようなことは避けましょう。また、一方的な決めつけや説教・命令も、メンティーが萎縮してしまい本心を打ち明けづらくなってしまうため好ましくありません。メンターとメンティーは対等の立場であるということを心掛け、リラックスして話をしてもらえるような信頼関係の構築に努めましょう。

個人差を理解して相手を尊重する

価値観や考え方、成長スピードには個人差があることを理解し、相手を尊重することが良いメンタリングの第一歩となります。アドバイスを受けてすぐに結果につなげられる人もいれば、実を結ぶまでに時間がかかる人もいるでしょう。焦らずに長い目で見守り、メンティーの成長を信じて待つことが大切です。行動を急かしたり、「○○さんはできていたのに」と他の社員を引き合いに出して比べたりするのは避けましょう。

守秘義務を徹底する

相談時に知り得た情報はメンティーの同意なしに他言せず、守秘義務を徹底しましょう。業務に関わることで上長に情報共有が必要だと判断した場合でも、必ずメンティーに確認を取ることが大切です。相談内容が自分の意図しないかたちで他人へ知られているとわかれば、メンターの信頼は大きく損なわれるでしょう。他の人には話しにくいことを打ち明けてくれた信頼を受け止め、秘密を守ることがメンティーへの誠意となります。

メンタリングの手順

メンタリングの手順

メンタリングは以下の手順で進めていくとよいでしょう。

  1. メンティーの話をよく聞く
  2. ポジティブな言い換えをする
  3. メンティーの話した内容を簡潔にまとめて繰り返す
  4. 対話を通じてメンティーへ気づきを促す

1.メンティーの話をよく聞く

まずはメンティーの話に耳を傾けましょう。途中で話を遮ったり考えや意見を否定したりせず、受け止めて肯定することが信頼関係の構築や安心感へとつながります。また、話すトーンやスピード、視線など、精神状態が表れるポイントは会話内容以外にも数多くあります。メンティーのサインを見逃さないように注意深く観察しましょう。

2.ポジティブな言い換えをする

「心配性」は「慎重で思慮深い」といったようにネガティブな捉え方をポジティブな言い換えにして、違った見方もあることを気付かせましょう。悩みを抱えているときは視野が狭まり、マイナス思考に陥ってしまいがちです。言葉を置き換えることでメンティーの意見を否定せずに受け止め、肯定的なアドバイスへつなげることができるでしょう。

3.メンティーの話した内容を簡潔にまとめて繰り返す

相談内容を整理し、メンティーが不安に思っていることや悩みを簡潔にまとめて繰り返します。メンターの主観が混じらないよう、客観的な事実を主軸に情報を整理するのがポイントです。聞き返すことによってメンティーは自分が話した内容を客観的な視点で受け取ることができますし、きちんと話を聞いて理解してくれていると安心します。

4.対話を通じてメンティーへ気づきを促す

メンタリングの最終目標はメンティー自身が解決への道筋に気付いて成長することです。課題の解決を急ぐあまり考えを押し付けてしまわないように注意して、ヒントを与える程度に留めましょう。考える余地を残すことでメンティーが課題に向き合い、自発性を促して成長するきっかけとなります。

まとめ

入社したばかりで不安も多い時期に、悩みを安心して話せるメンターがいれば非常に心強いでしょう。メンタリングを通じて社員間に信頼関係が構築されることで若手社員の早期離職を防げる、メンター担当者もマネジメントスキルを磨けるなど、メンター制度導入によって様々なメリットが得られます。メンターに選ばれた際は、メンティーの気持ちに寄り添って傾聴し、安心して話をしてもらえるような関係になることがポイントです。

最後のチェックポイント

  • メンターはメンタルサポートを担当する信頼のおける相談役のこと
  • メンターは直属の上司や先輩でなくともよい
  • 価値観や働き方が多様化し、公平な相談役となるメンターが求められている
  • メンターにはコミュニケーション能力や責任感、業務実績が必要
  • 決めつけや命令を避け、相手を尊重し守秘義務を徹底することが大切
  • メンティーの話をよく聞き、前向きな言い換えをして気付きを促す

IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
【会社選びは、仲間探しだ】IT業界に挑戦したい23年卒の方、私たちの仲間になりませんか?
株式会社セラク 開く