面接で志望動機を伝えるときのコツ(内容・長さ)とは【回答例あり】


はじめに
就職活動や転職活動の面接で、必ずと言って良いほど聞かれることになる「志望動機」。「どうしてその企業に入りたいのか」を短い時間で明確に伝えるのは意外と難しく、苦労している人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は志望動機を答える際に意識すべきコツについて紹介します。適正な時間から、状況別の注意点、職種別の志望動機例文まで詳しく解説していくので、志望動機の受け答えに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
長さは何分が適切?

最初に押さえておきたい面接で志望動機を話す際のコツは、適切な時間は「1分」程度ということ。いくら内容が良くて、話すべきポイントを満たしていたとしても、話が長すぎると印象が悪くなってしまいます。
「だらだらと話す人だな」と思われてしまっては、面接全体を通じてマイナスです。自分が伝えたいことを1分にまとめられるように練習しておくと良いでしょう。
では、反対に短い場合はどうでしょうか。確かに面接官を飽きさせたり、だらだらと話すという印象を与えたりすることは避けられます。しかしこの場合は、志望動機を話す上で面接官に伝えなくてはならないポイントを漏らさず伝えることが、難しくなってしまいます。
内容が薄いと、「この人は、それほどうちで働きたいとは思っていないのではないか」と熱意不足と判断されかねません。
以下の点を注意して準備をしましょう。
- 「この会社で働きたいんだ」という気持ちをしっかり示すこと
- 無駄に長くなって、面接官に飽きられないこと
上記を両立するためには1分程度がベストな時間配分なのです。面接の練習をするときから、志望動機を1分で伝える練習をしておきましょう。ちなみに、1分で話す場合の文字数は300字前後と言われているので、事前練習の目安にしてください。
ただし、面接官側から「30秒で」「2分程度で」などと時間を指定された場合は、その指示に従いましょう。こうしたケースでも焦りは厳禁です。もともと用意してある1分間の話のどこを削れば短くなるか、どこを膨らませれば長くなるかを練習から意識しておくことをオススメします。
この記事では面接時の志望動機の伝え方について特集していますが、面接当日のマナーを特集した、就職転職活動の面接マナー/服装/持ち物/から受付~退室まで全網羅(WEB電話面接にも対応)という記事もあります。参考にしてください。
志望動機のコツは終わり方にあり!ベストな言い方・答え方

話の内容は、どう締めくくるかによって大きく変わります。もちろん、志望動機を話すときもそれは同様です。締めくくりに綺麗なオチを用意する必要はありませんが、面接官に熱意を伝えられるような終わり方は意識しておきましょう。
面接官の印象が良くなる志望動機の終わり方は、自信を持って言い切ることです。あいまいな表現ではなく、しっかりと言い切ることで自信ややる気が伝わり、存在感を強く示すことができます。
特に、「~をしていきます!」「~になります!」と、入社後にやりたいことや目標で締めくくると好印象に繋がりやすいです。
反対にあまりオススメしない話の終わり方は、次の2つです。
- あいまいな表現
- 採用の嘆願
「~だと思います」といったあいまいな終わり方をすると、面接官にもあまり自信がないと思われてしまうので、多少不安でもしっかりと言い切りましょう。また多くの人が失敗してしまいがちなのが、「どうか採用してください」といったような内容を伝えること。志望動機で伝えるべき内容は、その企業を選ぶ理由や入社後にやりたい仕事です。
採用してほしいという気持ちを伝えたところであまり意味がありません。それどころか、かえって悪い印象を与えることもあります。
要注意!志望動機の書き方を状況別で解説

志望動機が必要になるのは、面接のときだけではありません。履歴書やES(エントリーシート)などでも、多くの場合に志望動機を記入することになります。口頭で伝える面接よりも記入する文章の方が細部までこだわることができますが、それだけに何を書けば良いのか、ミスをしていないかと心配になる人も多いはず。
そこでここでは、「新卒」「中途採用・転職」「未経験」「高校生(高卒)」の4つの状況別に、志望動機を書く際の注意点を解説していきます。
新卒(大学生・専門学生)の志望動機
新卒枠で就職活動を行う大学生が意識するべきことは、なぜその企業を志望するのか明確に伝えることです。
新卒の場合は様々なジャンル・業界の企業を受ける人が多く、企業側も「なぜこの業界なのか」、「なぜうちの会社なのか」を気にする傾向があります。そのため、志望動機を書く際は以下のポイントに注意しましょう。
- 他の企業や業界でも良いのではと突っ込まれないようにする
応募先企業で働きたい理由を書いているつもりで、他の企業でも実現可能なものばかりになってしまうことも少なくありません。
例えば、給与や福利厚生などを志望理由にしてしまうと、「条件が同じなら他の企業でも良いのでは?」と思われてしまいます。
その企業でやりたい仕事や達成したい目標などどうしても応募先企業で働きたいことが伝わる説明ができれば、その企業を志望した必然性が示せます。 - 具体的に書く
社風や商品、社員に惹かれたなどという理由では抽象的過ぎます。社風を志望理由に挙げる場合でも、特にどういう部分に魅力を感じたのか、その部分を魅力に感じる理由は何なのかなどと掘り下げていくようにしましょう。 - 自分と企業を結び付ける
企業の魅力や入りたい理由だけをただ書いても、説得力に欠ける志望動機が出来上がってしまいます。
自分の人柄や資質、能力などを企業の特徴に関連付けて説明できるようにしましょう。
さらに、入社後に自分がその企業でどんな活躍ができるのかという展望まで語れるとベストです。 - 志望動機では「貴社」を使う
面接で志望動機を話すときには「御社」、書面上では「貴社」を使います。社会人となっても、口頭では御社、メールや文書では「貴社」を使い分けるので、覚えておくと良いでしょう。
細かい使い分けですが、就活生にとっても間違えれば評価が下がってしまうこともあり得ます。
会話で「貴社」を使うと、「記者」や「帰社」などの同音異義語と聞き間違えやすいからという理由を知っていれば、間違えることもないはずです。
中途採用・転職の場合の志望動機
中途採用や転職の場合でも志望動機を書く際に気をつけるべきことは、基本的には新卒の方と同様です。そのため、先ほど挙げたポイントには注意を払いましょう。
それ以外に中途採用や転職だからこそ気をつけるポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 自分のスキルや実績を志望動機に挙げる
新卒の方と違い、社会人としての経験がある中途採用・転職者には即戦力となれるだけのスキルや経験が求められるケースが多いです。そのため、自分のスキルや前職での経験、実績などを交えて、志望動機に繋がるように意識しましょう。 - なぜ転職するのかをしっかり説明する
新卒者が気をつけるべき、「他の企業ではダメなのか」という点に加えて、「今働いている企業ではダメなのか」という点に対する明確な説明が必要になります。
志望する企業の「どんな部分に魅力を感じて転職したいと感じたのか」を明確に説明できるようにしておきましょう。
転職の場合、転職理由の説明は必須要件です。マイナスをプラスになど良い印象を与えるポイントを紹介する、転職回数3回以上は必見。面接で理由を伝えるときのポイントこちらの記事も参考にしてください。
未経験の場合の志望動機
未経験の場合も、志望理由を明確かつ具体的に書くという基本は変わりませんが、それらに加えて次のような点にも注意しましょう。
- 未経験であることを補えるアピールをする
転職後を見据えて勉強していること、資格取得を目指していることなどを伝え、経験のなさを補えるだけのやる気や熱意があることを示しましょう。また、前職で得たスキルや経験などを転職後の業種でどう活かせるのかを考えてアピールすると高評価に繋がります。 - 未経験を採用する企業の求める人物像を意識する
未経験の人を採用する企業が求めるのは、新しいことを学ぼうとする意欲や挑戦する気持ち、業種を問わず有用なスキルなどです。こうした点を意識して、自分のどういった側面をアピールすれば良いのか考えましょう。
高卒(高校生)の場合
高卒の方が志望理由を書く際には、以下のポイントを意識してください。
- 高卒を強みに変える
高卒の方は、大卒の方に比べると就職活動や転職活動において多少不利になります。
そのため、高卒という弱みを乗り越え努力するという姿勢を見せたり、高卒でありながら結果が出せたエピソードを話したりと、強みに転換することが求められます。
- 高卒=早く社会に出た
高卒をマイナスに捉えるだけでなく、プラスに捉えることも重要です。
高校卒業後すぐに働きだした方は、大学に通った方より4年間も早く社会人として仕事をしています。そのため同じ年齢の大卒者と比べると、社会人としての経験が4年も長いのです。
その分、仕事でしか身に着けられないスキルや経験で勝る部分もあるでしょう。志望動機では、こうした経験の長さをアピールするのもオススメですよ。
最近は、Web面接を実施する企業も増えました。Web面接のマナー対策(服装・髪型・メイク・カンペ)などの注意点という記事では、Web面接のマナーについてご紹介しています。面接にはさまざまな前準備が必要です。ぜひ参考にしてください。
職種別例文

ここからは、職種別に志望動機の例文をご紹介します。面接で答える際は、「貴社」の部分を「御社」に言い換えるようにしましょう。
ITエンジニア
新卒×ITエンジニアの志望動機の例文です。
例文:ITエンジニア
私が貴社を志望した理由は、「農業」と「ITテクノロジー」を掛け合わせた新しいサービスを開発している点にあります。自給率の低さや農家の高齢化などが問題視されている日本において、ITテクノロジーを活かした効率的な農業は、大きな役割を担うと考えています。私は、自分の作ったもので人々の豊かな暮らしに貢献したいと強く感じています。貴社であれば、日本全体の食の根幹を支えるプロジェクトに関わり、多くの人の生活を豊かにする一助となれます。貴社で日本の農業を変える仕事に、エンジニアとして携わりたいです。
事務
前職と同じ事務での転職を考えているケースの志望動機の例文です。
例文:事務
私は、前職では一般事務としてMicrosoft officeソフトを使用した書類作成や売り上げ管理などを行っていました。営業部の方をはじめ積極的なコミュニケーションを図り、ほかの社員の皆さんがご自身の業務により集中できる環境を用意することを意識しておりました。こうした前職での経験を、貴社でも活かせるのではないかと思い、今回の求人に応募させていただきました。
看護師
より専門性を高めスキルアップを目指す看護師の志望動機の例文です。
例文:看護師
私は、新卒以来小児科で約7年間勤務してまいりました。もともと小児医療に関心があり、今でも強いやりがいを感じております。今後、さらに小児看護の分野のスキルや経験を伸ばし、スペシャリストとして貢献できる看護師となるために、最先端の小児医療に取り組んでいる貴院を志望しました。
製造業
未経験×製造業の志望動機です。
例文:製造業
私は、日曜大工が趣味の父の影響もあり幼少期よりものづくりに熱中しました。自分の手で作り上げるのはもちろん、自分が作ったもので周りの人が喜んでくれるのが非常に嬉しかったと記憶しています。そのため、世界的にも高い評価を受けている貴社の◯◯の製作に携わりたいと思い志望しました。未経験ではありますが、細かい作業は得意で必要な技術も比較的早く習得できるものと思います。
履歴書やES(エントリーシート)と違っても大丈夫?

面接の際の志望動機と履歴書やESの志望動機は違っても問題ありません。むしろ、全く同じ内容ではアピールの機会を1度逃していることになります。もちろん、志望動機の核となる部分は同じになって当たり前ですが、それを支える根拠やエピソードは変えた方が良いでしょう。面接官に対して「より自分のことを知ってもらうチャンスだ」と捉えることをオススメします。
もし志望動機を聞かれなかったら

面接で志望動機が聞かれない理由として考えられるものには、主に次のようなものがあります。
- 志望動機をそもそも聞く予定がなかった
志望動機は、履歴書やES、次以降の面接で確かめる予定で、志望動機が質問事項に入っていないというケースもあります。
- 他の質問に時間を割きすぎた
志望動機以外の質問に時間を使いすぎて、志望動機まで手が回らなかったというケースです。一つ一つの質問にだらだらと答えていたら問題ですが、話が盛り上がった結果ならばむしろ面接を通過している可能性は高いでしょう。
- 早い段階で不採用が決まった
残念ながら、面接の早い段階で不採用が決まった場合は、志望動機などのお決まりの質問がされないケースがあります。
志望動機が聞かれなかったとしても、気落ちする必要はありません。志望動機を聞かない背景には様々な事情がありますし、そもそも企業側も志望動機だけで合否を決めているわけではないのです。それでも気になってしまうという方は、他の質問の回答をする際にも、その企業に入りたいという熱意が伝わるように工夫すると良いでしょう。
まとめ
志望動機は面接における頻出の問題です。多くの場合で聞かれることになるため、その受け答えを準備しておいて損はありません。今回紹介した状況別の注意点や職種別の例文、そしてどのケースにも共通するコツを参考にして、対策をしましょう。
その企業を志望する理由を具体的な根拠と自分の性質に関連付けて明確に説明できれば、面接通過の可能性も格段にアップするはずです。
最後のチェックポイント
- 志望動機は1分で簡潔に答える
- どうして他の企業ではダメなのかを明確にする
- あいまいな表現は避け、自信を持って言い切る
- 履歴書やESの内容と意識的にエピソードを変えよう
- 志望動機を聞かれなくても落ち込まない