夏冬ボーナス/賞与の平均額は? いつ支給? 計算方法は? を解説


はじめに
- ボーナス(賞与)とは、雇用主が労働者へ付与する一時金のこと
- ボーナスの種類や特徴はさまざまである
- ボーナスの手取り額は、総支給額から社会保険料と所得税を引いたもの
- ボーナス支給前後に退職する場合は、就業規則に目を通しておく
ボーナス(賞与)とは

ボーナス(賞与)とは、雇用主が労働者へ付与する一時金のことです。国税庁のサイトでは「定期の給与とは別に支払われる給与等」と規定されています。
日本では、ボーナスの支給時期を夏季と年末(年2回)に設定している企業が多いです。
ボーナスの支給は法律で義務付けられているわけではありませんので、支給対象・支給基準・支給時期・支給の有無などは企業ごとに異なります。ボーナスに関して不明な点や不安がある場合は、就業規則や雇用契約書などを確認しておきましょう。
インセンティブとの違い
ボーナスと似た言葉に「インセンティブ」があります。
先述した通り、ボーナスは一時金(金銭)が支給される報酬です。対して、インセンティブは、必ずしも報酬が金銭とは限りません。
たとえば、昇進や表彰などもインセンティブの1つです。また、従業員へ異動先・転属先・赴任先などの選択権を与えることもインセンティブと呼ばれます。
ほかには、従業員のやる気やモチベーションを維持するための取り組み全般を指すときに用いられるケースもあります。
ボーナスの種類・特徴
ボーナスの種類や特徴はさまざまです。
以下では、民間企業に勤めている方と公務員の方の違いについて解説します。
民間企業に勤めている方の場合
民間企業で支給されているボーナスの種類や特徴について、解説します。
賞与の種類 | 特徴 |
---|---|
1.基本給連動型賞与 | 「基本給×月数」で支給額が決まる賞与のこと。 毎月支給される基本給をベースとしており、多くの民間企業で採用されている |
2.業績連動型賞与 | 企業・部門・個人の業績に合わせて支給額が決定される賞与のこと。業績に連動して賞与額が決まるため、企業の経営が安定しやすい |
3.決算賞与 | 企業の業績がよかったときのみ、支給される賞与のこと。「臨時賞与」「特別賞与」「年度末賞与」などとも呼ばれている。支給の有無や支給額は、決算期の前後に決まる |
公務員の場合
国家公務員・地方公務員のボーナスに関しては、支給日や概要などが法律・条例で定められています。
それぞれの支給日や特徴を以下の表にまとめました。
公務員の種類 | 夏季の支給日 | 冬季の支給日 | 備考 |
---|---|---|---|
国家公務員 | 6月30日 | 12月10日 | 当日が土日祝日の場合は前日・もしくは前々日に支給される |
地方公務員 | 各自治体の条例ごとに定められているが、国家公務員の支給日に合わせて支給する自治体が多い |
ボーナス(賞与)の平均支給額はどれくらい?
民間企業に勤める方と公務員の方では、ボーナスの平均支給額が異なります。
以下では、それぞれについて解説します。
民間企業に勤めている方のボーナス(賞与)の平均支給額
厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」では、夏季賞与の支給状況や年末賞与の支給状況が掲載されています。
民間企業に勤める方の一人当たりの平均賞与額(ボーナス)は、以下の通りです(令和6年度)
- 夏季:約41.4万円
- 年末:約41.3万円
合算すると、一人当たり年間約80万円近く支給されていることになります。
※毎月勤労統計調査では、一人当たりの平均賞与額を算出する際に、ボーナスを受給していない従業員も含めています。
参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等
参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等
公務員のボーナス(賞与)の平均支給額
内閣官房内閣人事局が発表している報道資料(期末・勤勉手当を国家公務員に支給)では「6月期の期末・勤勉手当」と「12月期の期末・勤勉手当」が掲載されています。期末手当と勤勉手当は民間企業でいう夏季ボーナスと年末ボーナスのことです。
国家公務員一人当たりのボーナス支給額は、以下の通りです(令和6年度)。
- 6月期:約65.9万円
- 12月期:約65.2万円
一方、地方公務員の場合は、都道府県や市区町村ごとにボーナス(期末・勤勉手当)の支給額が異なります。
参考:内閣官房内閣人事局|令和6年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給
参考:内閣官房内閣人事局|令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給
ボーナス(賞与)から保険料や税金は引かれる?
ボーナスからは、税金や社会保険料などが天引きされます。
以下では、ボーナスから天引きされる税金や社会保険料の種類と手取り額の計算方法について解説します。
ボーナスから引かれる金額

ボーナスから天引きされる項目は以下の通りです。
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳以上の方のみ)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
なお、住民税はボーナスから天引きされません。
住民税は、前年の所得をもとに市町村が税額を算出します。算出された住民税は企業が12(12か月)で割り、毎月の給与から徴収しています。ボーナスは住民税の課税対象外ですので、天引きされることはありません。
ボーナスの手取り額を計算する方法
同じ金額のボーナスが支給されても、年齢・扶養家族の有無などの違いにより手取り額は一人ひとり異なります。
以下の計算式は、一般的な計算方法です。
- 支給額(額面)-(税金+社会保険料)=ボーナスの手取り額
次に計算の手順をご紹介します。
-
天引きされる税金(5.所得税)と社会保険料(1~4番)の合計金額を算出する
-
ボーナスの額面金額から1の合計を引く
-
ボーナスの手取り額が算出される
ボーナスが支給されない企業は労働条件が悪い?

厚生労働省が発表した「令和6年度の賞与の支給状況」には、夏季賞与と年末賞与を支給した事業所数の割合が記載されています。
上記のデータによると、夏季賞与を支給した事業所数の割合は全体の73.0%で、年末賞与を支給した事業所数の割合は全体の77.8%でした。
裏を返せば、約3割の企業では、ボーナスの支給を行っていないことになります。
ただし、ボーナスが出ないからといって労働条件が悪いとは限りません。
以下では、ボーナスが出ない企業で働くデメリットと、ボーナスは出ないが労働条件のよい企業を見分ける方法について解説します。
ボーナスが支給されない企業で働くデメリット
以下では、ボーナスが支給されない企業で働くデメリットを解説します。
1.貯金がしにくい
ボーナスが支給されない企業に勤める方は、計画的に貯金ができないこともあります。
一般的に、ボーナスは基本給の2~3ヵ月分です。
たとえば、夏季と年末にボーナス支給のある方は、年2回まとまったお金が入ってきます。
しかし、ボーナスのない方は、基本的に給与以外の金銭が支給されません。従って、両者の生活水準が同じ場合、年収や貯金額に差が出るケースも考えられます。
2.業務のモチベーションが維持できない
ボーナスが支給されないと、業務のモチベーション低下につながるリスクがあります。
成果を出しても評価や報酬(ボーナス)がなければ、意欲や目標を持てなくなり、業務にやりがいを感じなくなるかもしれません。
3. 急な出費に対応できないことがある
先述した通り、ボーナスが支給されない方は貯金がしにくいため、高額な出費や急な出費の際に対応できないことがあります。
たとえば、結婚・出産・住宅購入時などは出費がかさみます。大病を患い、高額な医療費を支払うときも同様です。
普段は贅沢をしていなくても、ライフイベント時や緊急時に、金銭面で負担を感じやすいのがデメリットです。
ボーナスの支給はないが労働条件のよい企業を見分ける方法
以下では、ボーナスの支給がなくても労働条件のよい企業を見分ける方法について解説します。
1.年俸制を採用している
通常、年俸制を取り入れている企業では、ボーナスの支給がありません。ただし、ボーナスが支給されている方と比べて給与が低いとは限りません。
年俸制とは、1年単位で給与の金額が決まる制度のことです。企業は、決定した年収を12ヵ月(1年)に分割して、毎月従業員へ支払います。
年俸制では年齢や勤続年数ではなく、前年の実績に応じて給与額が決まる場合が多いです。事前に1年間の収入を把握できると、ライフプランも立てやすいのがメリットです。
2.基本給を高く設定している
ボーナスを支給しない企業では、基本給を高く設定していることがあります。そのため、このような企業で働く方のなかには、ボーナスが支給されている企業の方よりも年収の高い方がいます。
3.福利厚生が充実している
ボーナスを支給しない代わりに、福利厚生制度の内容を充実させている企業もあります。
たとえば「住宅手当」「家賃補助」「高額療養費・一部負担還元金」などを設けている企業では、従業員の代わりに金銭を一部負担してくれます。
このような制度を上手く活用することで、ライフイベント時や緊急時などの急な出費の際も安心して過ごせるでしょう。
ボーナス(賞与)支給前後に退職する際の注意点

ボーナス支給前後の退職は注意が必要です。
ボーナス支給前後の退職では、企業ごとに支給要件が異なります。不安な方は就業規則や雇用契約書を確認しておきましょう。
以下では、ボーナス支給前後に退職する際の注意点について解説します。
ボーナス支給前に退職する場合の注意点
先述したとおり、ボーナスの支給要件は、企業ごとに異なります。
就業規則・雇用契約書などで労働契約を確認する際は、以下の3点をチェックしておきましょう。
- ボーナスの算定期間(ボーナスの支給額を決定するために、企業が従業員の実績・勤務態度などを評価する期間)は、いつからいつまでか
- ボーナスの支給日
- 支給日在籍要件(支給日に在籍している者にしかボーナスを支給しないという規定)が定められていないかどうか
なお、退職日まで有休を取得した場合(ボーナス支給日も含めて有休取得している場合)は、在籍と見なされるため、原則ボーナスの支給対象と見なされます。
ただし、退職予定者のボーナスを減額する企業もあるため、退職日は慎重に検討しましょう。
ボーナス支給後に退職する場合の注意点
ボーナス支給後の退職を検討している方は、以下の3点をチェックしておきましょう。
- ボーナス支給日は企業に在籍していること
- ボーナス支給前に企業へ退職の旨を知らせないこと
- 退職届を提出する際は、ボーナス支給直後を避けること
退職届を提出する具体的なタイミングは、ボーナス支給日の1~2週間後がオススメです。
加えて、後任への引継ぎも必要ですので、退職までは1ヶ月ほどの期間を設けておきましょう。
オススメのボーナス(賞与)活用法

以下では、ボーナスの活用方法について解説します。
ボーナスの使い道に決まりはありませんが、迷われている方はご参考になさってください。
自己投資に使う
ボーナスの一部を、自己投資へ活用する方法があります。
たとえば、知識を得るために書籍を購入したり資格試験の受験費用に充てたりするのもオススメです。
また、体調管理にボーナスを活用するのも自己投資の一環です。ヘルスケアグッズやサプリメントの購入、スポーツジムへの入会金などにボーナスを充ててもよいでしょう。
自分の娯楽や周囲へのお礼に使う
ボーナスは、自分のほしいものや食べたいものを購入したり、旅行などの資金に補填したりしてもよいでしょう。また、周囲の人へ感謝の気持ちを伝えるためにボーナスを活用する方もいます。
自分や周囲のためにボーナスを使うことで、心や体が満たされます。
心や体が満たされると、業務に対してもプラスの感情が湧いてきやすいです。
ボーナスを使いすぎてしまわないか心配な方は、使い道や予算をあらかじめ決めておくと安心です。
まとめ
ボーナス(賞与)とは、給与と別に支給される一時金のことです。日本では約7割の企業が従業員へボーナスを支給しています。
ボーナスの規定に関しては、企業ごとに異なります。通常、就業規則や雇用契約書に書かれていますので、気になる方は確認しておきましょう。
ボーナスが支給されない企業だからといって、一概に年収や待遇が悪いとは言い切れません。
ボーナスの有無ではなく、自分の適性やライフスタイルにあった企業で働くことが大切です。