個人事業主 – ルートテック|ビジネスライフとキャリアを応援する情報メディア https://www.seraku.co.jp/tectec-note Wed, 01 Apr 2026 06:55:49 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.2.9 損益通算とは?通算できる所得・できない所得一覧と適用可能なケースを解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-soneki-tsusan-toha/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-soneki-tsusan-toha/#respond Wed, 21 Jan 2026 07:25:37 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=44762 はじめに
  • 損益通算とは、黒字の所得から赤字の所得を差し引いて相殺できる制度のこと
  • 内部通算とは、同一所得のなかで利益と損失を相殺できる制度のこと
  • 損益通算の対象となる所得は4種類ある
  • 損益通算をすると税金が減る場合がある

損益通算とは?

損益通算とは、黒字の所得から赤字の所得を差し引いて相殺できる制度のことです。損益通算を行うことで、所得税の負担が軽減できたり、節税対策に繋がったりするケースがあります。

理由は、日本の所得税が超過累進税率を採用していることと関係しています。
超過累進税率とは、課税対象となる財産や所得が増えるに連れて、段階的に税率が上がる仕組みのことです。逆をいえば、課税所得金額が減ると、段階的に税率が下がります。
このように、損益通算では、超過累進税率の仕組みを利用していることがわかります。

所得の課税方法

所得税は、各種所得を合算して税額を計算する総合課税が原則です。
一方で、一定の所得については、ほかの所得と合算せずに計算する分離課税が採られており、分離課税には申告分離課税と源泉分離課税があります。
以下に、それぞれの特徴を解説します。

確定申告が不要

  • 源泉分離課税:
  • 納税者に代わって支払者が税金を支払う方式
  • 特定の所得に対する税金を所得と完全に分ける

確定申告が必要

  • 1. 総合課税:
  • 納税者の所得を合算して、課税所得を算出する方式
  • 一定の配当等で、総合課税を選ぶと配当控除の対象になり得る
  • 2. 申告分離課税:
  • 確定申告で納税する際にほかの所得と合算しないで、課税所得を算出する方式
  • 申告分離課税の中には、一定の範囲で損益通算が認められるものがある(例:上場株式等の譲渡損失と配当等)※申告分離課税は制度の総称で、損益通算可否は所得の種類で異なるため

内部通算とは?

損益通算と似た言葉に内部通算があります。内部通算とは、同一所得のなかで利益と損失を相殺できる制度のことです。
たとえば、複数不動産所得があったとします。
片方は黒字(仮に不動産Aとする)で片方が赤字(仮に不動産Bとする)の場合は、利益(不動産Aの所得)から損失(不動産Bの所得)を引いた差額に課税されます。

内部通算は上記の例のように、同じ所得区分の中でしか適用されません。従って、不動産所得と配当所得、事業所得と利子所得といった、違う区分の所得同士は相殺できません。

損益通算できる所得

所得税法では、所得を10種類に区分しています。
そのうち、損益通算の対象となる所得は、以下の4つです。

  1. 不動産所得
  2. 事業所得
  3. 譲渡所得
  4. 山林所得

ただし、上記の所得であっても損益通算の対象外となるケースがありますので注意しましょう。
代表的な例は下記の通りです。

例:不動産所得

  1. 別荘のように、趣味・娯楽・保養・鑑賞などの目的で所有する不動産の貸付けに係るもの
  2. 不動産所得の金額を計算する上で、必要経費に入れた土地等の負債の利子

損益通算できない所得

損益通算の対象とならない所得は、以下の6つです。

  1. 利子所得
  2. 退職所得
  3. 給与所得
  4. 配当所得
  5. 一時所得
  6. 雑所得

上記のうち、利子所得と退職所得に関しては、所得金額の計算上、損失が生じることはありません。
給与所得・配当所得・一時所得・雑所得などは計算上損失が生じることはありますが、他の各種所得(損益通算ができない所得のグループ同士)では控除できません。

投資信託や株式投資で生じた損失は、上場株式等と通算可能

株式や投資信託などで損失が生じた場合は、同じ年分の上場株式等の利益等と相殺(損益通算)できます(代表的なものには上場株式等の譲渡損失が挙げられる)。
さらに、確定申告により、一定の要件のもとで、(申告分離課税を選択した)上場株式等の配当等(および一定の利子等)とも損益通算が可能です。
たとえば、投資信託の普通分配金(課税対象となる分配金)や上場株式などは、配当所得に分類されます。

投資信託や株式投資で生じた配当所得は、総合課税か申告分離課税のどちらかを選択できます。総合課税では、配当控除(国内株式等の配当等に関して適用される税額控除)ができ、申告分離課税では、上場株式等の売却損と配当所得の損益通算が可能です。

損益通算で確定申告が必要なケース

以下では、損益通算で確定申告が必要なケースを説明します。

投資信託や株式投資で損失が生じた場合

金融商品取引業者らを通じて生じた損失(上場株式等の売却)は、確定申告することで上場株式等の利益と損益通算が可能です。
また、損益通算しても控除しきれない損失については、確定申告により、翌年以後3年間にわたって上場株式等の利益から繰越控除できます。

繰越控除とは本年分の損失が控除しきれないときに、翌年以降に損失を繰り越せる制度です。繰り越した損失は翌年以降の利益から控除できます。

事業所得や不動産所得で損失が生じた場合

不動産所得・事業所得・山林所得のある方は、要件を満たせば青色申告ができます。
青色申告では、損益通算しても控除しきれない損失(純損失)が生じた場合、各年分の所得金額から控除できます(原則的にその純損失は翌年以後3年間にわたり繰り越せますが、一定の特定非常災害等では5年間に延長される場合があります)。
繰越控除を受けるには、損失が生じた年分を損失申告(確定申告)しましょう。また、翌年以降も控除を受ける場合は、控除を受ける年ごとに、確定申告で繰越額を申告書に記載する必要があります。

損益通算をするとどれくらい税金が減るか?

以下では、損益通算した場合と損益通算しなかった場合を比較して、実際の納税額にどれほど差が出るのかシミュレーションしてみました。

※1今回は、給与所得500万円(給与所得控除後の金額とする)ある方が、不動産所得:-200万円(200万円の赤字)を抱えているケースを例に挙げています。
※2また、式を簡素化するために、所得税の計算では所得控除(基礎控除・社会保険料控除等)を、住民税の計算では復興特別所得税・均等割りなどを考慮しておりません。

損益通算をしなかった場合

まず、損益通算しない場合を見ていきましょう。
その場合、不動産所得の赤字200万円を給与所得に通算しない前提のため、課税所得は500万円となります。

なお、所得税の税率は以下の通りです。

課税所得金額税率控除額
1千円から194万9千円まで5%0円
195万円から329万9千円まで10%97,500円
330万円から694万9千円まで20%427,500円
695万円から899万9千円まで23%636,000円
900万円から1千799万9千円まで33%1,536,000円
1千800万円から3千999万9千円まで40%2,796,000円
4千万円以上45%4,796,000円

所得税の計算:

  • 500万円 × 20% – 427,500 = 57万2500円

住民税の計算:

  • 住民税は、課税所得に対して一律約10%を課されるケースが一般的です(自治体により若干異なります)。
    住民税(課税所得500万円 × 10%):50万円
    → 所得税と住民税の合計納税額:107万2500円

損益通算をした場合

次に、損益通算を適用した場合の課税所得を算出します。

損益通算:

  • 500万円 – 200万円 = 300万円

所得税の計算:

  • 300万円 × 10% – 97,500円 = 20万2500円

住民税の計算

  • 課税所得300万円の場合:
    300万円 × 10% = 30万円
    → 所得税と住民税の合計納税額:50万2500円

損益通算した場合と損益通算しなかった場合の比較

課税所得:

  • 500万円 (損益通算しなかった場合)
    300万円(損益通算した場合)

負担税額:

  • 107万2500円(損益通算しなかった場合)
    50万2500円(損益通算した場合)

節税額:

  • 107万2500円 – 50万2500円 = 57万円

損益通算を適用すると課税所得が減り、税負担も大きく軽減されます。
上記のケースでは、不動産所得の赤字200万円を給与所得から差し引くことで、約57万円の節税効果が得られました。

確定申告で損益通算を行う方法

確定申告で損益通算する方法を解説します。

1. 必要書類の準備

以下に、確定申告で損益通算を行う際に必要な書類や、ケースごとに応じて用意する書類をまとめました。

  • 1. 確定申告書・ケースごとの申告書類
    ・確定申告書
    ・青色申告決算書(青色申告者)
    ・収支内訳書(白色申告者)
  • 2. 損益通算する所得に関する書類
    ・収入の証明書:収支報告書・源泉徴収票など
    ・必要経費の領収書:資産を購入・譲渡した際の領収書・山林の伐採や譲渡にかかる領収書など
    ・その他の証明書:不動産の保有を証明する書類・資産を購入・譲渡した際の契約書・山林の伐採や譲渡に関する契約書
  • 3. 本人確認書類(個人番号と身元確認ができるもの)
    ・マイナンバーカード、もしくはマイナンバーを確認できる書類(通知カード・住民票の写しなど)
    ・身元確認書類(運転免許証・パスポートなど)
  • 4. 各種控除の適用を証明できる書類
  • 5. 損益通算の対象となる損失の計算明細書(赤字の内容を計算した書類)
    ・上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用の付表・特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書など

2. 確定申告書の作成・提出

確定申告書を作成したら、期間内に提出しましょう。
原則として、確定申告書の提出は、毎年2月16日から3月15日(土日祝にかぶる場合は翌営業日)となっています。

確定申告書の提出方法は複数ありますので、下記をご参考になさってください。

  1. 税務署の窓口に提出する
  2. 税務署へ郵送する
  3. e-Taxや国税庁の確定申告書等作成コーナーからオンラインで提出する

損益通算のQ&A

  • Q1. 副業で赤字が出ました。給与所得と損益通算できますか?
    A1. ケースによります。
    副業が事業所得に該当する場合は、給与所得との損益通算は可能です。
    一方で、雑所得の場合はできません。
  • Q2. 投資信託の損失は給与所得と損益通算できますか?
    A2. いいえ、できません。
    投資信託や株式の損失は申告分離課税の対象です。
    一方で、給与所得は総合課税に該当します。両者は所得の合計方法や適用される税率が異なるため、損益通算できません。
  • Q3. NISA口座内の損失は損益通算できますか?
    A3. いいえ、できません。
    NISAは投資で得た収益が非課税になる制度です。従って、税制上は利益や損失がないものとして扱われます。そのため、他の課税口座(特定口座や一般口座)の利益と相殺できません。
    これは、令和5年までのNISAやジュニアNISAにおいても同様です。
  • Q4. 国内株式と米国株式は損益通算できますか?
    A4. はい。対象となる主な金融商品であれば可能です。
    主な金融商品には、国内上場株式・国内上場ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)・海外上場株式・海外上場ETF、REITなどがあります。
    海外株式の場合は為替変動も影響しますので、注意しましょう。
  • Q5. 特定口座(源泉徴収あり)を使っています。損益通算のために確定申告は必要ですか?
    A5. いいえ。原則として確定申告は不要です。
    ただし、特定口座で「源泉徴収あり」や「配当等の受入あり」を選択することが条件です。
    また、複数の金融機関で特定口座を保有している場合は、すべてが自動的に損益通算されませんので、確定申告が必要です。

まとめ

損益通算とは、1年間で生じた黒字の所得(利益)から赤字の所得(損失)を合わせて、相殺できる制度です。すべての所得税が損益通算できるわけではなく、対象外となるものもあります。
また、申告分離課税の対象となる所得と総合課税の対象となる所得といったような、異なるジャンルのものは損益通算できません。

とはいえ、ケースによっては課税所得の減額や節税対策につながりますので、複数の所得がある方にはオススメです。制度を正しく知って、積極的に活用しましょう。

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黒字倒産を防ぐ!資金繰り表の基本と正しい書き方 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-shikinguri-hyo/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-shikinguri-hyo/#respond Tue, 23 Dec 2025 00:47:13 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=43986 はじめに
  • 資金繰り表とは事業のお金の流れを可視化するための表である
  • 黒字倒産を防ぐために資金繰り表は定期的に更新する
  • 売上や支払い、口座情報などの事業に関わる数字を整理してから作成する
  • テンプレートやツールを活用することで、作成の負担を軽減できる

個人事業主として事業を続けていると、「利益は出ているのに資金が足りない」と感じることはありませんか。それは、黒字倒産のサインかもしれません。この記事では、黒字倒産を防ぐための資金繰りの基本と資金繰り表の正しい作り方を解説しています。

資金繰り表とは?なぜ必要?

資金繰り表とは、毎月の入金・出金を整理し、手元にどれくらいお金が残るのかを予測するための表です。利益が出ていたとしても、支払日までにお金が足りなければ黒字倒産につながるリスクがあります。しかし資金繰り表を作成しておけば、資金不足の予兆を事前に把握できるため、支払条件の調整や融資の検討などをスムーズに進めやすくなるでしょう。

キャッシュフロー計算書との違い

キャッシュフロー計算書とは、一定期間にお金がどのように動いたかを振り返るための決算書と呼ばれる書類のひとつです。一方、資金繰り表はこれからお金がどう動くのかを予測するための表です。例えば、家賃や給料の支払日、売掛金の入金日などをあらかじめ入力しておくことで、この先の事業でお金が足りるかどうかを事前に確認できます。

資金繰り表を作成するメリット

資金繰り表とは、これまでも解説してきたように、事業のお金の流れや動きを可視化するための大切な表です。お金の増減が分かるため、事前にトラブルを防ぎやすくなります。また、経営の判断も速くなり、対外的な信用も高まります。ここでは、資金繰り表を作成しておく主なメリットを5つ挙げて、それぞれ解説していきます。

資金ショートを未然に防げる

資金繰り表を作成しておくと、手元のお金が足りなくなるタイミングを早めに把握できます。
支払日の調整や融資の検討を事前に検討することができ、結果として黒字倒産に陥る事態を防ぎやすくなります。

資金計画の精度が上がる

資金繰り表は、毎月の入金や出金をこまかく整理して作成するため、将来のお金の動きをより正確に予測できます。例えば、売上があっても入金は翌月になる場合や、3か月後に税金の支払いがあるとわかっていれば、今から資金を確保しておくなどの準備ができます。
このように、未来のお金の動きを前もって把握できるため、資金計画の精度が上がるでしょう。

経営判断が速くなる

事業のお金の流れが見えてくると、判断すべきポイントが明確になり、事業に関わる次の一手を早く決められるようになります。資金繰り表は、現時点で未来の数字まで先に見せてくれるため、経営における不安や迷いが減り、意思決定のスピードが大幅に向上します。

金融機関・取引先との交渉に強い

資金繰り表があると、資金の見通しをきちんと説明できるとみなされ、金融機関や取引先からの信用度が高まります。入金日や支払い予定を明確に示せる事業者ほど、社会的信用度が上がり、融資も通りやすく、支払い条件の相談もスムーズになるでしょう。

コスト最適化につながる

資金繰り表を作成しておくと、毎月の支出を一覧で確認できるため、お金をどこに使っているのかが一目で分かります。そのため、無駄なコストをすぐに発見でき、コストの最適化につながるでしょう。例えば、月々のサブスクリプション費用や、使っていないサービスの固定費など、資金繰り表上で金額のわりに効果が見えない支出を洗い出しやすくなります。

一時的な大型支出に備えられる

ときには、突然まとまったお金が必要になることもあるでしょう。資金繰り表があれば、未来の大きな支出を前もって表に組み込むことができます。余裕がある時期に資金を積み立てたり、早めに融資を検討したりと、事前に対策を取ることができるため、急な出費にも対応しやすくなります。

資金繰り表を作成する前の準備

資金繰り表を作成する前には、事前準備が必要です。どのような書類が必要で、表の構成はどのようになっているのかをあらかじめ押さえてから作るとスムーズでしょう。

書類を用意する

資金繰り表を作成する際は、過去と未来の入金・出金を確認できる資料をそろえておくことが重要です。用意する書類の例としては、銀行口座の入出金明細や売掛金と買掛金の一覧、クレジットカードの利用明細、請求書や領収書などがあります。
重要なポイントとして、金額だけでなく、入金日・支払い日の日付情報が必要になります。正確な記録のために、これらの資料をしっかりと揃えておきましょう。

資金繰り表の構成を理解する

資金繰り表は、主に次の4つで構成されています。

  1. 期首残高

    その月のはじめに手元にある現金または預金のことです。資金繰りの基準となります。

  2. 入金予定

    売上の入金予定や補助金・借入金など、これから入ってくるお金の予定です。

  3. 支出予定

    仕入や家賃、人件費、借入金の返済など、これから出ていくお金の予定です。固定費・変動費に分けて入力するとお金の動きを把握しやすくなります。

  4. 期末残高

    期首残高に入金予定を足し、支出予定を差し引いて計算した月末時点での残高です。この部分がマイナスになる場合は、事前に対策が必要です。

資金繰り表の構成を把握することは、作成をするうえで重要です。入金や支出の時期、数字の抜け漏れに注意しながら作成・更新していきましょう。

資金繰り表の作り方

資金繰り表は、事業のお金の流れを整理して、資金不足や資金に余裕のあるタイミングを把握するための表です。手順を正確に踏んでいけば初心者でも作成できます。毎月の入出金を可視化しておくと、計画的な資金管理が可能になるでしょう。

1.手元資金を正確に把握する

まずは、今手元にある現金や銀行口座の残高を正確に把握しましょう。現金、普通預金、定期預金など、資金の種類ごとに整理しておくと、資金繰り表の期首残高として正確に入力できます。ここを間違えると、その後の計算も正確に出せなくなるため、最初にしっかり確認することが重要です。

2.入金予定を洗い出す

次に、これから入ってくるお金の予定をすべて表に書き出します。売上の入金予定に加え、補助金や返金、すでに実行が決まっている借入金の入金予定なども含めます。

特に掛け売りの場合は、「〇日締め・翌月末入金」などの入金サイトを確認し、実際にお金が入ってくる日付ベースで整理することが大切です。日付ごとに整理しておくと、どのタイミングで資金が増えるかがひと目で分かります。

3.支出予定を整理する

続いて、これから出ていくお金の予定を整理します。仕入れ代、家賃、光熱費、給与、税金など、すべてを月単位で書き出します。仕入れ代については、仕入れを行った月ではなく、取引先との支払いサイト(例:当月末締め・翌月末払いなど)に合わせて、実際に支払う月に金額を入れることが大切です。

また、取引先への支払いは、先方ごとに支払条件や支払月が異なる場合があるため、各社の支払いサイトを確認したうえで、支払月ごとに整理しましょう。あわせて、借入金の元本返済や利息の支払いも、忘れずに支出予定として記入します。

支払い日や金額を正確に書き出すことで、入金と出金を効率よく可視化できます。支出が多い時期を把握することが、資金不足対策の第一歩です。

4.月ごとに収支と残高を計算する

入金と支出を整理したら、月ごとに差引残高を計算します。月末にどれだけ現金が残るかを確認しましょう。この作業を毎月しっかりと行うことで、資金の増減や余裕のある月、注意が必要な月を可視化できます。この計算を繰り返せば自然と資金の流れがつかめるでしょう。

5.不足月を特定し対策を決める

最後に、全体の計算結果から資金が不足しそうな月を特定します。不足する月があれば、支出を減らす、入金を前倒しにする、融資を検討するなどの対策をしましょう。資金繰り表は作成して終わりではなく、毎月しっかりと確認して対策を考えることで、事業を安定させるための強力な材料になります。

6.定期的な入金・支出以外のイレギュラーな入金・支出も記入する

資金繰り表には、毎月決まって発生する入金・支出だけでなく、イレギュラーなタイミングで発生する資金の動きも反映しておくことが重要です。たとえば、社員へのボーナスは夏・冬など特定の時期に支給されることが多い一方、資金繰りの状況や業績によって支給額・支給有無が変動する場合があります。また、特定の商品が想定以上に売れた場合は、売上の増減だけでなく、入金予定額や入金時期も見直しすることで、より現実に近い資金管理が可能になるでしょう。

よくある失敗と防ぎ方

資金繰り表は、作成しただけで終わってしまうと実際の資金状況とのズレが生じやすくなります。現実離れした数値で作成したり、更新が止まったりしては経営判断材料としては使えない資料になってしまいます。よくある失敗と防ぎ方をあらかじめ把握し、生きた資金繰り表にしていきましょう。

過去実績を反映せず現実味がない

理想だけで数字を入れてしまうと、実際の資金状況と大きくズレが生まれます。入金予測はやや少な目、支出予測はやや多めに見積もるなど、保守的に資金繰り表をつくるとより堅実です。まずは過去数ヶ月の売上や支出を確認し、実際の数字をベースに作成することが重要です。必要に応じて調整していくことで資金繰り表としての精度が上がり、経営判断の材料として機能します。

更新が止まる

資金繰り表は、定期的に更新してはじめて経営判断の材料として機能します。忙しい時期はつい更新が止まってしまいますが、数字の入力を怠ると、実際の資金状況と大きなズレが生じてしまいます。月初めや毎週決まった曜日に更新するなど、日々の業務に組み込んでルーティン化することが重要です。頻繁に更新するとなお未来予測の精度が上がり、気づいたらお金が足りないという黒字倒産のリスクを防ぎます。

公私混同で全体が見えない

公私混同し、口座やカードを分けずに使ってしまうと、事業のお金の流れを正しく把握することが難しくなります。事業専用の口座を用意し、事業関係のお金をすべてそこに集約することで、資金繰り表の精度が格段に上がるでしょう。

便利テンプレートとツール

資金繰り表を作成する際に、初心者でもスムーズに作成・管理できるテンプレートとツールをご紹介します。資金繰り表は更新し続けていくことが重要なので、自分のやりやすい形式を選びながら、負担の少ない方法で運用していきましょう。

日本政策金融公庫の資金繰り表テンプレート(無料)

日本政策金融公庫では、資金繰り表テンプレートが無料で公開されています。Excel形式ですが、関数に詳しくなくても数字を入力していくだけで自動計算されるため初心者の方でも扱いやすいフォーマットです。資金繰り表の記入例もあるため、迷わず作成できるでしょう。また、Excelテンプレートを活用した際には、見直し計算を行うとなお安心です。

参考: 各種書式ダウンロード|日本政策金融公庫

クラウド会計ソフトで自動更新・可視化する

昨今、クラウド型の会計・管理サービスも増えています。銀行口座やクレジットカードなどと連携できるサービスを利用すると、入出金データが自動で取り込まれ、帳簿やレポートに反映されます。

これにより、数字の入力や集計の手間を減らせるだけでなく、手作業による入力ミスや更新漏れも防ぎやすくなります。サービスによっては、取り込んだデータをもとに資金繰り表や資金繰りレポートを自動作成する機能もあるため、日々の資金状況を手軽に可視化できます。

まとめ

資金繰り表は、黒字倒産を防ぎ安心して事業を続けるための大切な経営判断の材料です。手元資金や入金・支出を整理し、現実的な数字で更新を続けることで、将来の経営不安が減り、必要な対策や行動を早めに取れるようになるでしょう。作成や管理は、テンプレートやツールを活用すれば効率化も可能です。日々の業務のひとつとして無理なく更新を続けていくことが、安定した経営への一歩になります。

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フリーランスとは?仕事内容・働き方・会社員との違いを解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-freelance-toha/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-freelance-toha/#respond Wed, 17 Dec 2025 04:58:51 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=43815 はじめに
  • フリーランスとは、自分のスキルや資格を活用して報酬を得る働き方
  • フリーランスが増えた背景には、働き方改革や副業の容認・リモートワークの普及などがある
  • メリットは、雇用契約を結ばず、自分の裁量で仕事や働く時間・場所を自由に選択できる
  • デメリットは、収入の不安定さや社会保険の切り替え、会計処理や納税などすべて自分で行う
  • フリーランスとして働く際の注意点は、偽装フリーランスへの用心やインボイス制度の理解などについて知識を深めておくこと

近年、フリーランスとして働く人たちが増えてきました。フリーランスは企業に雇用されず、自分のスキルを活かして働く形態ですが、具体的な違いを説明するのは難しい場合があります。この記事では、さまざまな角度からフリーランスについてわかりやすく解説します。

フリーランスとは?

フリーランスとは、企業に所属せず、自分の専門スキルや資格を活用して業務を行い、成功報酬や成果物の対価を受け取る契約形態の働き方をいいます。
どのような契約か、個人事業主や会社員との違いは何か、詳しく見ていきます。

フリーランスの働き方と契約形態

フリーランスは、個人で請け負った仕事を、自分の裁量で遂行し、働く時間や場所も自由に選択できます。企業からの仕事は業務委託契約書を取り交わして行うため、その企業に所属するわけではありません。業務委託契約書に提示された業務を期日までに完遂することが求められ、その過程で働き方等の拘束が少ないという特徴があります。

フリーランスと個人事業主、自営業との違い

フリーランスと個人事業主は、どちらも自営業に分類されます。個人事業主は、税法上の呼称で開業届を提出しており、店舗や事務所を設けていたり従業員を雇っていたりする場合があります。一方、フリーランスは働き方を指します。開業届を提出していない場合もあり、従業員を雇わず、個人で活動しているケースが多いのが特徴です。フリーランスと個人事業主に明確な区別がない場合もあります。

フリーランスとフリーター、会社員との違い

フリーターや会社員は、雇用先企業との間に雇用契約が結ばれています。企業からすると労働者に相当し、一定の条件を満たせば社会保険制度や雇用保険にも加入でき、労災等の保証の対象にもなります。

一方、フリーランスには雇用関係にある企業が存在しないため、これらの補償の対象とはなりません。フリーランスとして活動する場合は、個人で国民健康保険や国民年金への加入が必要です。

フリーランスと派遣の違い

フリーランスと派遣の違いは、契約形態や契約を結ぶ相手企業、就労場所にあります。派遣社員は派遣事業者との間に雇用契約を結び、就労場所は派遣先企業です。派遣事業者にとって派遣社員は労働者に相当するため、社会保険制度への加入や労働環境の整備、就労規定の同意などがなされます。
しかし、フリーランスはどことも雇用契約は結ばず、委託先企業と業務委託契約による業務の受託をします。業務内容によっては就労先を指定される場合があり、派遣と混同される要因となります。

フリーランスが増えた背景

「副業・フリーランス人材白書2025」によると、副業やフリーランス経験者の6割以上がフリーランスという働き方に「満足」と回答しており、フリーランスとして働く目的は収入だけでなくキャリアアップを目指している人が多いです。また、フリーランスを継続したいと考える人も6割以上にのぼり、安定した収入や、やりがいを感じている人が多いことが伺えます。

このようなフリーランスが増えた背景には、働き方の多様化があげられます。その一例として、副業の容認やリモートワークの普及が影響を与えています。詳しく見ていきましょう。

参考:パーソルキャリア|「副業・フリーランス人材白書2025」を公開

多様な働き方が可能になった

働き方改革の推進により、時間外労働の上限規制や年5日の年次有給休暇取得の義務化、同一労働同一賃金の導入など、働き方に関するルール整備が進みました。

その結果、就業時間や休暇制度、雇用形態にかかわらず、公正な待遇を目指す動きが広がり、労働者が自分の事情に合った働き方を選びやすくなっています。その中で、指示系統を持たず、独自の資格やスキルを活かした働き方であるフリーランスを選択する人が増えたといえるでしょう。

参考:厚生労働省|働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の概要

副業を認める企業が増えた

厚生労働省が平成30年1月に改定したモデル就業規則において、「労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と示したことで、これに追従する形で副業を認める企業が増えました。副業をしている従業員に対しては、労働時間の管理や健康管理、労災保険、雇用保険、厚生年金等への加入や給付を義務付ける規定があります。これらにより、労働者は副業やフリーランスとして安心して働ける環境が整ったといえます。

参考:厚生労働省|副業・兼業の促進に関するガイドライン 

リモートワークが普及した

コロナ禍を通じてリモートワークは飛躍的に拡大しました。ネット環境を使った副業も増え、このような状況を踏まえて、フリーランスという働き方を選択した人も多いでしょう。リモートワークの普及が、フリーランス人口増加の一因となったといえます。

DX推進によるIT人材の需要増加

DXの推進により、あらゆる業種・業界でITシステムやデジタル技術の活用が進んでいます。これに伴いIT人材の不足は深刻で、どの企業もIT人材の獲得を渇望している状況です。IT関連の仕事はネット環境があれば業務可能なものが多く、フリーランスとの相性が良い業務領域です。そのため、スキルの高い技術者がフリーランスとして活躍するケースも少なくありません。

フリーランスを支援するサービスの充実

フリーランスとして仕事を継続するために重要な、案件獲得を支援するクラウドソーシングサービスや、フリーランスエージェントなどを生業とする企業も増えました。また、フリーランスなど個人事業主向けの資金調達方法であるファクタリングも制度面での後押しが進んでいます。フリーランスという働き方を支援するサービスは今後も増えていくでしょう。

参考:経済産業省|債権法改正により資金調達が円滑になります

フリーランス新法でフリーランスの安全性が向上

フリーランスが安心して働ける法整備も進んでいます。中でも2024年11月に施行されたフリーランス新法は、フリーランスと発注事業者間の取引の適正化と、フリーランスの就業環境の整備を目的とした法律です。書面による取引条件の明示や、報酬の支払期日を発注品目の受取日から60日以内に支払うなど、7項目の義務が定められています。

【フリーランス新法7つの義務】
1. 書面等による取引条件の明示
2. 報酬支払期日の設定・期日内の支払
3. 禁止行為:1か月以上の業務委託時の、受領拒否や報酬の減額等7行為
4. 募集情報の的確表示
5. 育児介護等と業務の両立に対する配慮
6. ハラスメント対策に係る体制整備
7. 中途解除等の事前予告・理由開示

参考:内閣官房・公正取引委員会・厚労省|知っていますか?フリーランスの取引に関する新しい法律「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が2024年11月1日に施行されました。

フリーランスのメリット・デメリット

フリーランスとして働く上でのメリットとデメリットを紹介します。

フリーランスのメリット

まずは、自分に合った仕事で高収入も目指せるフリーランスの魅力的なメリットからみていきます。

時間や働く場所など自由に選択できる

フリーランスは自分の裁量でさまざまなことが決められます。まず働く時間は自分の都合に合わせて調整できますし、働く場所も自宅のほかにコワーキングスペースの活用や、職種によっては野外で活動する場合もあります。さらに、取引先も選ぶことができ、信用のおけない相手と我慢をして仕事をする必要もありません。ただし、自由に甘えて自己管理ができないと、収入の減少につながる可能性があります。

自分に合った仕事ができる

企業に所属している場合、仕事が自分に合っていないと感じても、部署替えや所属替え等を容易に行うことは難しいです。しかしフリーランスなら、自分のできる仕事やしたい仕事、挑戦したい仕事など、自分に合った仕事を選択することも可能です。個人で収入を得るためには、相応の実力が必要になるため、スキルや経験値、資格などをあげていく努力は欠かせません。

高収入を目指せる

フリーランスは、資格取得やスキルアップ、経験を重ねることで高収入も見込めます。質の高い結果を出せれば、取引先の信用を得られ、再契約や関連企業への紹介など業務の継続につながります。さらに、自分の単価を上げることもできるため高収入の維持も可能です。

生涯現役で働ける

フリーランスに定年はありません。健康で業務を続けられる限り継続できます。生涯現役も夢ではありません。そのためには、食事や睡眠、健康診断の実施など健康管理と自己管理も重要なポイントになります。

フリーランスのデメリット

続いて、フリーランスのデメリットです。フリーランスは良いことばかりではありません。デメリットを理解したうえでしっかりとした対策が必要です。

収入が不安定になりやすい

個人で事業を行う場合は、自分が成した業務量に応じた報酬を受け取れます。収入を維持もしくは増加させるためには、新たな案件を獲得し続ける必要があります。営業に注力して継続的に案件を獲得し、業務を遂行しなければ収入は不安定になりやすいでしょう。さらに、怪我や病気で仕事ができない状況になると、収入が途切れてしまう可能性もあります。

社会保険制度の切り替えが必要

会社員は社会保険や厚生年金に加入していますが、フリーランスは国民健康保険と国民年金に自分で切り替える必要があります。将来受け取れる年金額が会社員時代より少なくなる可能性もあるでしょう。また、事業主なので雇用保険は対象とはなりません。

ただし、労災保険に関しては、令和6年11月よりフリーランスも特別加入の対象となりました。一定の要件を満たした場合に自分で申請して保険料を支払うことで、業務中の怪我について労災保険による保障を受けられるようになっています。

参考:厚生労働省|令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました

会計処理や確定申告を自分で行う

フリーランスは、原則として確定申告を行う必要があります。1年間の所得金額が95万円(2025年度分より)以下の場合は非課税となりますが、この場合でも確定申告をしておくことで、次年度以降に収入が増加した場合にメリットが生じます。

確定申告を行うためには、日々の会計処理が重要です。売り上げや経費をこまめに記録し、領収書や請求書を整理しておくことが必要です。とくに青色申告の場合は複式簿記による帳簿付けが必要になるため、専門的な知識が求められます。

社会的な信用度の低下がある

会社員は所属する企業がバックボーンとなり社会的信用度を図られる場合が多いです。しかし、フリーランスは個人としての知名度がなければ信用度が低下する可能性があります。屋号を決め屋号付き口座を開設するなど、事業として活動していることを証明し、事業実績を積み重ねる必要があります。

フリーランスに向く代表的仕事

フリーランスに向いている代表的な職種を紹介します。以下以外にも、さまざまな職種でフリーランスとして活動している人たちがおり、自分のしたい職種は向いていないとあきらめず、工夫次第で多くの仕事にフリーランスとして関わることができます。

IT・エンジニア

各種エンジニア・プログラマー等、通信環境さえあれば業務遂行できる職種はフリーランスに向いているといえます。スキルレベルの証明となる資格やプロジェクトの経験などが、案件獲得につながるカギとなります。変化の激しいIT業界では、情報収集と常にスキルアップを目指すことが重要です。

デザイナー

グラフィックデザイナー・Webデザイナー・CGデザイナー・イラストレーター等、自分の作品を成果物として提供できる職種もフリーランスに向いた仕事です。ポートフォリオ等で自分の実績や強みをわかりやすく示すことが重要です。また、クライアントの話を十分に聞き取り、相手の意図を表現できることが、継続的な依頼へとつながるカギとなります。

コンサルティング

各種コンサルタント・アナリスト等、社会情勢や企業状況などの分析と提案をおこなう職種もフリーランスに向いています。高度な資格と豊富な知識を担保に、クライアントのニーズに答え信頼を得ることが重要です。

通訳や翻訳家

外国語に精通しているのであれば、通訳や翻訳などの職種もフリーランスに向いています。通訳・翻訳の協会や団体等に登録することで案件獲得がしやすく、実績を積むことで案件の幅も広がります。

弁護士・会計士

士業(弁護士・会計士等)もフリーランスとして活動しやすい職種です。元々、個人事務所を開設し活動する人材の多い分野でもあり、事務所がなくてもネット環境を活用した相談や電話相談などもできます。専門性の高さに加え、情報発信や紹介などの工夫次第で顧客の獲得も可能な職種といえます。

フリーランスになるための必要な準備

ここからは、フリーランスになるための準備について紹介します。フリーランスは、多くのことを自分自身で行なう必要があり、さらに仕事が軌道に乗るまでには時間も要します。綿密な準備と知見を身につけておきましょう。

独立資金を蓄える

フリーランスをはじめてすぐに十分な収入が得られるとは限りません。ある程度の収入が見込めるまで、数か月から半年程度の生活費と、独立のために必要な諸経費等の自己資金を蓄えておくと安心です。生活費に余裕がないと、条件の悪い仕事でも受けざるを得ないなど、焦った選択をしがちで、良い結果を導かない可能性が高いです。

納税関係・確定申告に向けた準備をする

フリーランスになると確定申告や消費税等の納税を行う必要があります。そのため領収書等を整理して記帳するなど、日々の会計処理は重要です。個人事業主向けに開発された会計ソフトを導入すれば、日々の仕訳や帳簿作成、申告書類の作成などを効率化できます。また、経理関係が苦手なら、専門家のアドバイスを受けることも視野に入れましょう。

 各種申請関係の手続きを行う

フリーランスとして事業を始めるにあたり、開業届の提出や業種によっては許可申請が必要な場合があります。無許可営業が法令に反する場合もあり、必要な申請についての情報を漏れなく収集して、手続きをしましょう。

仕事を獲得するための手配をする

個人で収入を得るためには、案件獲得が最も重要です。知人友人や縁のある企業からの紹介をはじめ、SNSの活用、クラウドソーシングサービスやフリーランスエージェントへの登録など、案件獲得につながる方法を幅広く検討しましょう。その中から、自分に適した方法を選択していくことをおすすめします。

フリーランスとして働くときの注意点

フリーランスとして活動していくうえで、これまでは必要のなかった情報にも注力する必要があります。トラブル回避や取引先との関係によっては必要となる対応を紹介します。

偽装フリーランスに注意する

フリーランスも業務によっては就労場所を指定される場合があります。その際、就労先で派遣社員と混同され派遣社員のような働き方を強要されたり、フリーランスが負う必要のない責任を負わされたりのトラブルが指摘されています。契約上はフリーランスでも、実際は派遣社員のような扱いをされるなど、派遣とフリーランスの関係を悪用した偽装フリーランスに注意しましょう。

インボイス制度の知見を深める

報酬の内容によっては、適用税率や消費税額等が関わってくる場合があります。また、取引相手からインボイスの発行を求められた場合、所轄税務署長から「適格請求書発行事業者」の登録を受け、インボイスを交付する必要があります。フリーランスとして働くなら、インボイス制度についての知見も深めていきましょう。

参考:国税庁|インボイス制度の概要

参考:国税庁|適格請求書発行事業者の登録通知時期の目安について

まとめ

フリーランスは、自分の裁量で仕事も働く時間や場所も自由に選択できる、とても魅力的な働き方といえます。その反面、すべてのことを自分で考え決断し実行する必要があり、その責任も自分が負うことになります。迅速な行動力と、用心して物事を判断する思慮深さも必要でしょう。
ますますフリーランスが増えていく中で、ご自身に合った働き方を築き、長く活躍されることを願っています。

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見積書の書き方|個人事業主・フリーランス向けに基礎を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp_estimate_howto/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp_estimate_howto/#respond Fri, 12 Dec 2025 00:03:26 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=43617 はじめに
  • 見積書とは、取引前に商品やサービスと価格、諸条件等を明記して共有する書類
  • 見積書の記載内容に法的定めはないが、発注者、受注者間の認識を合わせる内容を記載する
  • 見積書には、発注の検討依頼や受注後のトラブル回避などの目的がある
  • 見積書作成時の注意点は、前提条件の明確化、問い合わせ窓口や有効期限の明示、記載ミスや計算ミスの予防等がある

見積書は、商品やサービスの金額を提示する書類と考える方は多いでしょう。しかし、実際には記載内容に決まりはなく、何をどう書けばよいのか迷うこともあります。この記事では記載すべき内容やその理由から、具体的な記載方法、注意点までわかりやすく解説します。

見積書とは

見積書とは、取引開始前に商品やサービスの金額や諸条件などを明記し、発注者に自社の提案を知ってもらうための重要な書類です。単に、商品やサービスの金額を伝えるだけでなく、自社を信用してもらうためのツールでもあります。基本を押さえ、信頼を獲得するポイントを理解することが大切です。

見積書が必要な理由

まず初めに、なぜ見積書が必要なのか、見積書を渡すことでどのような効果があるのかを見ていきます。

発注を検討してもらう判断材料になる

取引先が発注を検討する際、見積書に記載された単価や納品期間が、重要な判断材料となります。
継続取引の場合は、単価変更や新規商品のアピールにも活用可能です。新規取引では、他社との比較材料として単価や納期の柔軟性が評価される場合があります。

受注後のトラブル回避

たとえば、見積書の発行日と有効期限を記載するのは、「この期間内であれば、この単価や条件で取引します」という意思表示です。取引先が古い見積書の単価と勘違いして発注した場合のトラブル回避ができます。数量欄で「一式」と記載する場合の具体的な内容や、支払い条件の明記など、細部まで配慮することが重要です。

口約束では、万が一トラブル発生した際に対処できません。そのため、受注者、発注者それぞれの認識を合わせるためにも書面に残す必要があります。

取引先からの信用を得る

見積書には、商品名や単価等だけでなく心配りがあると、発注を検討している側に安心感や信頼感を与えられます。たとえば「ご不明点は担当○○までお問い合わせください」といった記載は、担当者を明記することで見積書の説明ができるだけでなく、責任の所在も明らかになります。商取引は優れた商品やサービスだけで成り立つものではなく、信頼関係の構築が重要で、見積書はその信頼の土台をつくる書類のひとつといえます。

見積書の書き方

ここからは見積書の書き方について解説します。一般的には、取引では見積書に発行の義務はなく、記載する内容にも法的定めはありません。発注者と受注者の間で認識の相違が生じないために、以下の基本的な内容は押さえておきましょう。
上記、見積書の見本に沿って見ていきます。

  1. タイトル

    「御見積書」と冒頭に目立つように記載します。見積書と似た形式で記載される納品書や請求書と区別するためです。

  2. 発注者(取引相手)情報

    左側上部に発注者(取引相手)情報を記載します。記載内容は、発注者の社名、担当部署や担当者名と所在地や連絡先などのわかる範囲で記載します。

    • 社名のみの場合は「株式会社○○御中」
    • 担当部署と担当者まで記載する場合は「株式会社○○ 開発課 ○○様」
    御中と様は正しく使い分けましょう。

  3. 受注元(自社)情報

    自社情報は、発注者情報よりも少し下がった右側に記載します。社名・所在地・電話番号のほかに、問い合わせ用のメールアドレスがあると親切です。また、担当者がいる場合は、担当部署と担当者名も記載します。

  4. 見積書発行日

    見積書を作成した日付もしくは発行した日付を記載します。価格変動の大きい業種では、定期的に見積書を発行する場合もあり、どの見積書が最新かを判断するためにも発行日の記載は重要です。

  5. 見積書の管理番号

    自社で見積書を整理管理するための通し番号です。この番号があることで、見積書を探す手間が省けます。

  6. 納期予定期間

    受注から納品までの期間の目安を記載します。「受注後○日で納品」や「スピード対応〇日も可能」等の納期記載があることで、発注者が商品やサービスを受けるタイミングの予定が立てやすくなります。

  7. 支払条件

    支払期限や支払方法、回数などを記載します。例えば「月末締め翌月20日払い」などです。業種によっては受注時に前受け金を受け取る必要があるため、「発注後2日以内に前払金○○万円を申し受けます」など、その旨を明記します。

  8. 見積書の有効期限

    有効期限は業種にもよりますが、一般的には数週間から6か月程度を設定します。有効期限を提示しないと価格が変更になった際に、以前の安い単価で取引する羽目になりかねず、大きな損失やトラブルの原因になります。

  9. 商品・サービスの詳細

    サービス名や商品名・型番、個数、単価等を記載します。セット商品であれば、一式と記載し、その場合は(工賃込み)や(付属品:○○別)等の注意書きも入れましょう。

  10. 見積金額

    各サービスや商品の小計と、消費税額等を合わせた合計額を記載します。この見積書における総額という意図です。

  11. 消費税等

    消費税については、内税・外税が分かるようにしておくことが大切です。

    • 外税の場合は消費税欄に消費税額を記載します
    • 内税の場合は斜線を入れることで、別途請求する消費税がないことを示します
  12. 備考

    備考欄には特記事項等を記載します。

見積書の作成方法

続いて見積書の作成方法です。ExcelやWordの活用や手書きすることで、独自の見積書を作成する方法と、見積書作成ソフトを利用する方法を紹介します。

Excel(エクセル)やWord(ワード)を活用する

ExcelやWordを活用するメリットは、自社オリジナルのひな形が作成できる点です。業種によって記載項目が異なったり、自社商品やサービスのアピールポイントとなる項目を追加したりするケースもあるでしょう。臨機応変な対応ができるうえ、Excelでは合計金額等の計算も自動化でき計算ミスも減らせます。

手書きする

見積書を作成する機会が少ないなら、手書きでも十分に対応できます。必要項目を漏れなく記入して、誤字や計算ミスに注意しながら作成します。印刷書類が常態化した現代では、丁寧に手書きされた見積書に温もりを感じることもあるでしょう。

見積書作成ソフトを利用する

多くの見積書作成ソフトの中から、使いやすいものを選んで利用するのもよいでしょう。見積書だけでなく納品書や請求書と連携できるものもあり、さらに管理番号を自動で振り分けてくれるなど効率化が可能です。個人で事業を行う場合は、やるべきことが多数あるため効率化は重要な課題といえます。

見積書作成時の注意点

見積書を作成する際の注意点を紹介します。明確にすべき内容や配慮する点等を見ていきましょう。

前提条件を明確にする

見積書を作成する際は、まず前提条件を明確にする必要があります。受注後のトラブル回避のためにも重要なポイントです。たとえば、価格交渉時に対応可能な限度額や大口取引用の単価などの価格に関するもの、商品やサービスの提供までの期間的な余裕など、この条件以下では取引しないラインを設定しましょう。これに基づいて、受注後に充分な対応ができる見積書を作成します。

質問や問い合わせを受ける連絡先を明確にする

発注者からの問い合わせに対応できる担当者や補助スタッフに繋がらないと、発注の検討から外れてしまう可能性があります。代表電話番号のみでなく、担当者名やメールアドレスを記載するなど、問い合わせの手段を複数用意するとよいでしょう。

相見積もりの場合は相手の条件を反映させる

見積書の作成では、相見積もりを求められることがあります。相見積もりの場合は、受注者から前もって基本条件を伝えられるのが一般的です。同じ条件下で複数社が競い合うため、提示された条件は反映させるようにしましょう。厳しい条件下でも、自社商品やサービスの魅力とメリットを伝える工夫が重要です。

見積書の有効期限を明確にする

有効期限の記載には2つのメリットがあります。1つ目は、発注者に早期の決断を促す効果があること、2つ目は価格変動による見積書記載価格での損失を防ぐことです。この期間内であれば記載価格での契約が可能であると証明します。

備考欄を有効活用する

備考欄には、次回の価格改定予定や納品時の対応方法など、注意事項や流動的な内容を記載することが多いです。しかし、時候の挨拶や営業の意気込みなどを記載しても問題ありません。備考欄を上手に活用すれば、見積書を魅力的にすることが可能です。発注を検討している担当者に響く工夫ができる場所が備考欄といえます。

記載ミス・計算ミスはWチェックで回避する

数量や単価の記載ミスや計算ミスは大きな損失やトラブルのもとになります。また、取引先情報の特に名前の間違いは、信用を失う原因となるため必ず確認をしましょう。自分だけでなく、他者を交えたWチェックをおすすめします。

インボイス制度導入で見積書に記載することはある?

インボイス制度は、請求時に対応が必要ですが、見積書では基本的に対応の必要はありません。しかしインボイス制度対応の企業では、個人事業主がインボイスに対応できるのか確認したい場合があります。
備考欄に「適格請求書発行事業者登録番号:TXXXXXXXXXXXX」や「インボイス(適格請求書)発行可能」などと記載することで、企業側は安心感を得られ、請求時の処理もスムーズに進むでしょう。

発注者の要望に従い、納品書をインボイスとして扱う際に、納品書だけではインボイスの記載要件を満たせない場合、元となる見積書と合わせてインボイスに対応する必要もでてきます。
見積書を、インボイスとして請求書・納品書などと組み合わせるのは処理が煩雑になります。どの書類をインボイスとして扱うかを事前に取り決めておくことで対処しましょう。例えば、インボイスを請求書に統一できると事務処理の手間を減らせます。

見積書に保存期間の定めはある?

見積書も請求書や領収書と同様に証憑書類にあたるため、保存期間の定めがあります。個人事業主の場合、自社発行・取引先発行に関わらず5年間の保存が必要です。また、消費税の課税事業者である場合は、7年間の保存が義務付けられています。ただし、発注に至らなかったものは保存の義務はありません。また、電子帳簿保存法の施行により、電子データでの保存も可能です。

参考:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間

まとめ

見積書は、商品やサービスの価格や諸条件を明記する重要な書類であり、個人事業主やフリーランスにとっては、案件が獲得できるか否かの役割を担う書類になります。適切な気配りや配慮で好感度を高める一方で、伝えるべきことを曖昧にするとトラブルの原因にもなります。この記事を参考に、伝えるべきことは正しく伝え、信頼を築く見積書の作成にお役立ていただければ幸いです。

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黒字倒産はフリーランスも要注意|資金繰りと回避策を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kuroji-tosan/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kuroji-tosan/#respond Thu, 20 Nov 2025 06:31:31 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=43028 はじめに
  • 黒字倒産とは、黒字経営であるにも関わらず倒産に追い込まれてしまうこと
  • 半年間で不渡りを2回以上出すと事実上の黒字倒産となる
  • 黒字倒産の回避に備えて、キャッシュフローや資金繰りを把握しておく
  • 黒字倒産とよく似た言葉に黒字廃業や赤字倒産などがある

利益が出ている(黒字)にも関わらず、倒産に至ることがあります。
なぜ、黒字なのに倒産してしまうのでしょうか。

黒字倒産を回避するには、キャッシュフローや資金繰りの把握が欠かせません。
この記事では、黒字倒産が起こる原因と対策および、回避方法などを解説します。

黒字倒産とは?なぜ起こる?

黒字とは、決算時に作成する損益計算書内で、収益>支出(収益が支出を上回ること)になることです。事業に必要な費用などを差し引いても、利益が出ている状態を指します。

一方、黒字倒産とは、損益計算書では黒字であるにも関わらず、企業が倒産に至ることです。
黒字倒産に至る原因はさまざまですが、背景には銀行取引停止処分が下ったり、過剰在庫を抱え過ぎたりしているケースが多いです。

黒字廃業との違い

黒字倒産とよく似た言葉に黒字廃業があります。黒字廃業とは、損益計算書では黒字であるにも関わらず事業が継続できなくなり、廃業を選択することです。
黒字倒産と異なり、黒字廃業の背景には事業承継者不足の問題が絡んでいます。そのため、少子高齢化が進んでいる近年の日本では、今後多くの経営者が直面する課題ともいわれています。

黒字廃業を回避する対策の1つには、しばしばM&A(第三者への引き継ぎ)が挙げられています。M&Aとは親族や従業員へ承継せずに、第三者へ事業を引き継いでもらうことです。M&Aを選択することにより、事業承継者の問題が解決するだけでなく、売却した株式の譲渡対価を受け取ることも可能となります。

赤字倒産との違い

赤字とは収益<支出のこと(支出が収益を上回り経営が悪化すること)です。赤字倒産とは赤字経営から、倒産に至ることです。
赤字決算や債務超過(負債額が資産額を上回る状態)になると金融機関からは融資を受けにくくなります。

一方で、赤字経営企業には、法人税の支払い免除および還付などの救済措置が設けられています。そのため、必ずしも赤字経営が倒産に直結するとは限りません。
赤字経営であるか否かよりも、資金不足や承継者不足の問題の方が、倒産リスクを高めるという見解もあります。

黒字倒産に至る5つの原因とそれぞれの対策

以下では、黒字倒産の原因と対策について解説します。

原因:半年間で2回以上不渡りを出す

取引額が大きくなる事業者間取引(BtoB)では、小切手や約束手形を用いるケースがあります(※紙の手形・小切手は全面的な電子化が進んでおり、2027年3月末までに利用できなくなる可能性もあります)。
その際に、不渡りを6か月間で2回以上出すと振出人の信用問題に関わります。不渡りとは、小切手や約束手形を振り出す際に、振出人の当座口座から引き落せない状態のことです。

不渡りの種類は以下の3つに分類されます。

種類特徴原因
0号不渡り不渡り扱いにならない
振出人の信用問題とは関係ない不渡りのこと
呈示期間(手形や小切手を受け取れる)が過ぎてしまった・手形や小切手の形式に不備があったなど
1号不渡り不渡り扱いになる
振出人の信用問題に関わる不渡りのこと
振出人の当座預金の残高不足・口座解約など
2号不渡り不渡届は作成されるが異議を申し立てられる
0号不渡りにも1号不渡りにも該当しない不渡りのこと
盗まれたり騙されたりして振り出した手形や小切手がある場合(「不渡届」は作成されるが、当座預金の残高不足が原因ではないため異議を申し立てられる)

黒字倒産を引き起こす原因となる不渡りは、一般的に1号不渡りを指します。
6か月間で2回以上1号不渡りを出すと、銀行取引停止処分が下ります。同時に、金融機関からの融資が受けられなくなるため、経営難は免れません。また、世間からも事実上の黒字倒産と見なされてしまいます。

対策1:手形のジャンプや過振りを交渉する

取引先に代金を支払えない場合は、手形のジャンプや過振りなどの交渉を視野にいれましょう。手形のジャンプとは、振出側が受取側に約束手形の支払期日の延長を交渉することです。
手形のジャンプの交渉は、取引間で行われるため、金融機関に知られることはありません。
交渉成立後は、手形を返却してもらい、別の期日に書き換えた約束手形を新たに振り出しましょう。

一方、過振りとは、当座預金の残高が不足している際に、銀行が支払代金を一時的に立て替えることです。手形のジャンプや過振りは、必ずしも取引先や銀行が対応してくれるとは限りませんが、万が一に備えて知っておくと安心です。

対策2:決済用の当座預金口座と資産運用用口座は金融機関を分けておく

決済用の当座預金口座と資産運用口座は、それぞれ別の金融機関に分けておくと安心です。不渡りを発生させた場合、銀行は貸し倒れが発生しないように他の口座を凍結することがあります。

また、同一銀行内の資産運用口座(貯蓄口座)を、融資の担保にしていた場合は、融資を打ち切られてしまいます。

原因:多額の買掛金や売掛金の未回収がある

買掛金とは、後日に支払う商品やサービスの代金(掛金)のことであり、売掛金とは、後日に受け取る商品やサービスの代金(掛金)のことです。掛金が大きくなるほど、買手にも売手にも黒字倒産のリスクは高まります。

先述した通り、1号不渡りを半年間で2回以上発生させてしまうと、振出人は銀行から取引停止処分を受けてしまいます。一方、未回収の金額が嵩むほど、受取人は経営が苦しくなりがちです。両者の立場は真逆ですが、どちらの企業も経営の悪化につながります。

対策1:回収サイトや支払サイトの期日を交渉する

資金繰りを悪化させないためには、回収サイトを短くして支払サイトは長くするように工夫しましょう。
回収サイトは、商品やサービスの代金が支払われるまでの期間を指し、支払サイトは商品やサービスの代金を支払うまでの期間を指します。
ただし、支払側と受取側の希望は相反するため、両者がそれぞれの期間の目安を把握したうえで交渉するようにしましょう。

以下に、一般的な回収サイトと支払サイトの目安を解説します。

  • 回収サイトの目安:15~30日
  • 支払サイトの目安:60日以内

対策2:他の取引で相殺できないかを確認する

支払日までに代金を用意できない場合は、他の取引で相殺できないかを確認しましょう。

たとえば、A社(買手)がB社(売手)に支払わなければならない買掛金500万円があったとします。しかし、A社は期日までに代金を用意できそうにありません。こちらを仮に取引1とします。
取引1のあとに、B社(買手)がA社(売手)に対して600万円を支払わないといけない取引2が発生したとします。
この場合、取引1と取引2の代金を相殺して、A社はB社から100万円だけ受け取ることも可能です。
ただし、取引先の同意を得ずに、代金を相殺することは避けましょう。

原因:過剰在庫を抱えている

過剰在庫の抱え過ぎは、黒字倒産を引き起こす原因につながります。
過剰在庫とは、必要以上に在庫を保管・所持していることです。過剰在庫は経営不振に陥る原因にもなります。

過剰在庫は主に、発注ミスや需要予測の誤りなどから発生します。いずれにせよ、倉庫代や人件費などのコストに直結するため、注意が必要です。

対策1:在庫を見える化する

過剰在庫を抱え込まないためにも、日頃から在庫の見える化を意識しましょう。
見える化とは、モノや情報などを誰もが即座に確認・把握できる状態を指します。在庫を見える化する際は、現物と情報を分けて整理していくことが大切です。ここでの現物とは商品そのもののことで、情報とは在庫数や商品の移動先など、データとして管理できるものを指します。

現物の見える化では、いつ・どこに・どの商品を保管するかというルールを決めるだけでなく、関係者全員の協力が不可欠です。また、情報の見える化では商品にバーコード・ICタグ・GPSなどをつけることでトラッキングが可能となり、正確な在庫数や場所などが把握できるようになります。

対策2:処分する

過剰在庫を抱えすぎる前に、処分することも検討しましょう。

処分方法には、以下のような方法があります。

  1. 廃棄する
  2. 当初の価格よりも値下げして販売(セール・アウトレット)する
  3. 買取り業者に売却する
  4. 取引先や知人などに売却する
  5. 販売サイトやSNSなどで個人に直接売却する

原因:設備への過剰投資

事業拡大に伴い、設備投資を行うこともあるでしょう。
しかし、極端な投資は経営難を招き、黒字倒産へとつながります。

また、その際に融資を受けると債務や支払利息にも追われてしまいます。いずれにせよ、事業の拡大は慎重に進めていきましょう。

対策1:事業規模に見合った投資額・借入金額を先に設定しておく

事業拡大の前には、事業規模に見合った投資額・借入金額を先に設定しておきましょう。
その際は、今後の売上見込額だけを予測するのではなく、売上高に対する利益の割合(利益率)まで意識しておくことが大切です。

また、国や地方自治体からは、事業の支援に関する補助金・助成金・給付金などが支給されることもあります。種類や申請方法に関しては、国や地方自治体のサイトをチェックしておきましょう。

対策2:資金の調達先を複数確保しておく

金融機関から融資を受ける際は、審査に時間がかかります。申し込みの手続きは早めに行っておきましょう。また、融資を謝絶されることもありますので、資金の調達先は複数確保しておくことが大切です。

融資が通らなかった場合は、代替手段としてファクタリング(債権買取)や手形割引なども検討しましょう。ファクタリングとは簡潔にいうと、売掛先企業の支払い代金を、ファクタリング会社が債権譲渡・買収して、自社に振り込んでくれるサービスのことです。

一方、手形割引とは受け取った手形を支払期日前に現金化できるサービスのことです。買い手が振り出した手形を売り手が受け取ったあと、銀行や手形割引業者に買取依頼することで支払期日よりも前に現金化できます。

手数料はどちらも発生しますが、回収日よりも前に売上金を現金化できるというメリットがあります。

原因:借入金の返済に追われている

借入金の返済に追われて、黒字倒産に陥ることがあります。借入金とは返済義務があるお金のことであり、いわゆる借金のことです。
基本的に借入金は、利益償還(利益から借入金を返済していくこと)ですので、業績が悪化したり売掛金の回収までに時間がかかったりすると、完済までに時間がかかってしまいます。

対策1:経費の削減や資金計画の見直しを行う

借入金は計画的に返済していくことが大切です。
そのためには、定期的に経費の削減に取り組んだり、資金計画を見直したりしましょう。

たとえば、資金繰り表やキャッシュフロー計算表を作成すると、収入と支出の流れ(キャッシュの流れ)が明確になります。

対策2:M&Aを視野に入れる

あらゆる措置を講じても経営が悪化していく場合は、M&A(他社に合併や買収してもらうこと)も視野に入れましょう。

M&Aのメリットは、取引先や金融機関との関係を維持できることです。
また、従業員の雇用も基本的には継続が約束されます。

黒字倒産を回避するために知っておきたいこと

キャッシュフローや資金繰りをきちんと把握することで、黒字倒産を免れるケースもあります。
以下では、それぞれについて解説します。

キャッシュフローを把握しておく

黒字倒産を回避するためには、キャッシュフローの見直しが不可欠です。
キャッシュフローとは、直訳すると「現金の流れ」です。ビジネスでは、事業における収入と支出のタイミングを把握するための指標として用いられます。
また、キャッシュフロー計算書とは過去の決算から財務分析を行うときに用いる表を指します。入出金の流れ(キャッシュフロー)を把握することで財務状況が明確になります。

たとえば、事業者間取引では以下のようなケースがしばしば起こり得ます。

  1. 同じ事業者でも買掛金を支払うこともあれば、売掛金を受け取ることもある
  2. 回収サイトと支払いサイトの差から、買掛金を支払えない場合がある

上記2のようなケースは、どのようなときに起こりやすいのでしょうか。以下に具体例を交えて解説します。

具体例:売掛金の回収を翌々月に設定しているA社が翌月末日の買掛金を抱えている場合

  1. A社の資金は全部で50万円とする
  2. 11月1日にB社へ200万円の売掛金が生じた(回収サイトは翌年の1月末日)
  3. 11月10日にC社へ100万円の買掛金が生じた(支払サイトは12月末日)
  4. 2・3以外の取引はない

上記の場合、12月末には手元に50万円しかありませんので、C社へ買掛金の100万円を支払うことは不可能です。
日頃からキャッシュフローを把握しておくことで、現金不足や不渡りの回避につながります。

資金繰りを把握しておく

資金繰りを把握して、黒字倒産回避に努めましょう。
資金繰りとは、収入と支出を管理・調整したうえで資金の過不足を調整することです。また、資金繰り表とは将来の資金繰りを予測するために用いる表です。

以下に、資金繰り表でとくに重要なポイントを3つまとめました。

  1. 自由資本比率(事業主が自由に使える現金の指標)
  2. 自己資本比率(返済が不要の資産の指標)
  3. 当座比率(短期負債への支払い能力の有無を判断するための指標)

また、それぞれの比率は以下の式で表せます。

自由資金率:正常範囲の目安は40%以上

  • 式:自由資金比率(%) = フリーキャッシュフロー ÷ 利益剰余金(自己資本)増加額 × 100
  • フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー

自己資本比率:中小企業の場合、健全経営の目安は15%程度・優良企業の目安は50%超

  • 式:自己資本比率(%) = 純資産 ÷ 総資産 × 100

当座比率:健全経営の目安は130%

  • 式:当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

自由資金率・当座比率
参考:資金調達ジャーナル|黒字倒産とは?原因や資金不足を回避する対策をわかりやすく解説 – 資金調達ジャーナル ~お任せ資金調達~

自己資本比率
参考:doda|自己資本比率とは?業種別では何%くらいが目安なの?

黒字倒産した企業の事例

以下では、過去に黒字倒産した不動産会社アーバンコーポレイションと江守ホールディングス株式会社の事例をご紹介します。

アーバンコーポレイション株式会社の事例

アーバンコーポレイションは1990年に広島で設立された不動産会社です。
アーバンコーポレイションが黒字倒産した主な原因は、過剰在庫(土地)の抱えすぎといわれています。
倒産に至る数年前まで、アーバンコーポレイションの損益計算書は黒字でした。その一方で、キャッシュフローでは赤字が続いていました。

損益計算書では、売上に関する在庫のことを棚卸資産と呼びます。従って、実際のキャッシュフローが赤字でも、損益計算書では「在庫=会社が所有する資産」となり、世間的には黒字経営だと見なされてしまいます。
また、アーバンコーポレイションの場合は、在庫膨張に加えて信用収縮で資金調達が途絶えたことも決定打となり、2008年には黒字倒産へと追い込まれてしまいました。

江守ホールディングス株式会社の事例

江守ホールディングス株式会社は1906年に創業された卸売業です。また、中国にも事業進出を行い、取引規模を拡大していました。順調に見えた江守ホールディングス株式会社ですが、中国現地の子会社の架空取引が原因で黒字倒産に追い込まれてしまいました。

架空取引が発覚したきっかけは、中国現地の子会社の取引先(仮にA社とする)の経営破綻から江守ホールディングス株式会社が取引信用保険(取引先の売掛金が回収できない際に、被保険者へ保険金が支払われる)の保険申請を行ったことによります。保険会社が保有していた情報から、不審な取引が発覚し、調査を進めるなかで、現地子会社やA社の不正取引が発覚しました。江守ホールディングス株式会社の失敗は、取引先に与信枠を設定していたのにも関わらず、きちんと遵守していなかったことです。また、社内決裁も取得されていなかったといわれています。
管理体制やモニタリング体制の不足も、不正取引を助長させる一因であったといわれています。

黒字倒産寸前から回復した企業の事例

以下では、黒字倒産寸前から、事業の回復に成功した食品製造・加工業once in株式会社の事例をご紹介します。

once in株式会社の事例

once in株式会社は食品製造・加工業です。2004年に飲食店を創業以来、ネットや通販事業やECショップ運営などにも注力しています。
once in株式会社社は、長年資金繰りと経営管理に課題を抱えていたが、中小企業・小規模事業者向けの独立行政法人を頼り、事業回復に成功しています。

once in株式会社が黒字倒産に陥りそうになったときの状況と解決に至るまでの過程を以下の表にまとめました。

課題解決方法
1集金のタイミングはECサイトごとに異なる。また、商品によっては季節ごとに売上額が変動してしまう。
このような背景から、どの時期にどれくらいキャッシュが必要になるか把握できていなかった
資金不足を回避するために、複数の金融機関と折衝した。折衝に必要な資料も同時に用意した
2経営に課題を抱えている一方で、資金繰り表による経営管理は行っていなかった資金繰りや限界利益を表にまとめて経営状態を見える化した

まとめ

黒字倒産はどこの事業者でも起こり得ます。
この記事でもお伝えした通り、損益計算書では黒字でも、キャッシュフローがプラスだとは限りません。

経営難に陥らないためにも、日頃からキャッシュフローを把握しておき、対策は都度立てるようにしましょう。
また、必ずしも金融機関から融資を受けられるとは限りませんので、資金の調達先は複数確保しておくと安心です。

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医療費控除の範囲はここまで!対象費用と注意点まとめ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-medical-expense-scope/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-medical-expense-scope/#respond Thu, 13 Nov 2025 01:01:47 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=42650 はじめに
  • 医療費控除は確定申告で申告できる控除で、申告することで節税対策や還付金の受け取りが可能
  • 医療費控除の対象者は、フリーランスや個人事業主、給与所得者および生計を一にする家族
  • 対象となる費用には、診療費、治療費、入院費、医薬品費、医療機器費、通院費等がある
  • 対象外の費用には、美容目的や健康増進目的のもの、健康診断や予防接種、タクシー料金などがある
  • 医療費控除を申告する際の領収書や補てん金額の明細書等は、5年間自宅保管の義務がある

医療費控除を申告する際、何が対象となる費用なのか、対象とならない費用にはどのようなものがあるのか疑問に思う方は多いでしょう。この記事では、いくらから医療費控除の対象になるのか、対象費用と対象外費用について詳しく解説します。

医療費控除とは

医療費控除とは、確定申告において申告できる控除の種類です。1年間に支払った医療費を申告することで、規定額より超過した分が控除対象になり、節税や還付が可能になります。

医療費控除の対象

医療費控除は、フリーランスや個人事業主、給与所得者など、申告納税者が利用できる制度で、確定申告や還付申告によって適用されます。対象となる人や所得金額、計算方法について見ていきましょう。

医療費控除の対象者

医療費控除の対象者は、納税者本人および生計を一にする家族です。同居家族以外にも、別居している子供の学費や生活費を援助していたり、別居している高齢家族に毎月仕送りをしたりする場合は、生計を一にする対象となります。
ただし、別居家族の主たる生活費がバイト代や年金でまかなわれ、食品や雑費等の一部を援助する場合は、生計を一にするとは認められません。

医療費控除を申告する際の所得額と控除額の計算

医療費控除の計算をする際に必要なものは、医療費等の領収書や、健康保険組合等から送付される「医療費のお知らせ」に記載される金額です。また、疾病によっては保険金や高額療養費等を受け取れる場合があり、この金額を証明する書類も必要になります。
支払った医療費の合計と受け取った保険金等の合計を以下の計算式にあてはめます。

差し引く基準額は、所得金額200万円以上は10万円、200万円未満は所得額の5%の金額となり、こちらも計算式にあてはめます。

以下の計算例は、各所得金額に応じた差引額と控除額の求め方、さらに所得額に応じた税率を掛けて還付額まで求める過程を表しました。

【所得金額200万円以上の計算式】
  • 例:所得金額320万円・支払った医療費80万円・保険金等受取金額37万円

  • 1年間に支払った医療費-受け取った保険金等-10万円

    800,000-370,000-100,000=330,000(控除額)

  • 所得金額320万円の税率:10%

    330,000(控除額)×10%=33,000(還付額)

【所得金額200万円未満の計算式】
  • 例:所得金額190万円・支払った医療費80万円・保険金等受取金額37万円

  • 1年間に支払った医療費-受け取った保険金等-所得金額の5%(190万円×5%)

    800,000-370,000-95,000=335,000(控除額)

  • 所得金額190万円の税率:5%

    335,000(控除額)×5%=16,750(還付額)

所得税の税率に関しては、以下の国税庁ホームページを参照しました。
参考:国税庁|No.2260 所得税の税率

医療費控除の対象となる費用

ここからは、実際に医療費控除の対象となる費用について詳しく解説します。

対象となる費用としては、以下があげられます。

・診療費・治療費・通院費にかかる交通費
・入院費・妊娠・出産費用
・歯科治療費・療養上の世話や付添い費用
・眼科治療費・介護保険制度により提供される施設・居宅サービス利用料
・リハビリテーションやマッサージ費用・おむつ利用料
・市販薬や医薬品の購入費・海外で支払った医療費
・医療機器の購入費やレンタル料・コロナ感染によるPCR検査費用

診療や治療に関する費用

医師の診療や治療を受けた際の費用です。ただし、同じ医療行為でも美容目的や健康増進目的等の場合は対象外です。保険診療の対象となった金額は、健康保険組合等から送付される「医療費のお知らせ」に記載されます。

診療費・治療費

けがや病気等で、医師の診療を受け治療目的の処置を受けた際の費用です。風邪をひいて医師の診察や検査等の診療を受け、治療目的の処置や処方箋を書いてもらうなどはよくある例でしょう。

参考:国税庁|No.1122 医療費控除の対象となる医療費

入院費

入院費と入院中の部屋代や食費が対象です。個人都合の個室代など差額ベッド代や、パジャマや歯ブラシ等の備品の購入代は含みません。また、親族以外に付添人を依頼した際の付添い料も対象です。
高額療養費や入院給付金等を受け取った場合は、医療費控除の額を計算する際に、対象となる疾病の医療費から差し引きます。

参考:国税庁|No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例

歯科治療費

歯科医師による診療や治療で、一般的な水準を著しく超えない範囲の費用が対象です。自由診療による高額な医療費も、一般的に使用されている金やポーセレンを治療材料とした場合は対象となります。
また、発育段階にある子供の不正咬合(こうごう)治療用の歯列矯正や、子供の通院のために付添う親の交通費も対象になります。ただし、美容目的の歯列矯正は対象外です。

高額治療費のローンなどは、その年度に支払った分が対象となり、未払い分は支払った年度に申告します。

参考:国税庁|No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

眼科治療費

眼科医師による診療や治療費は対象です。眼鏡については、手術後の機能回復用に短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させる等の治療目的の場合は対象となります。また、治療のために装着する特殊なコンタクトレンズの費用なども対象です。
ただし、近視や遠視などを矯正する日常用の眼鏡やコンタクトレンズは対象とはなりません。

参考:国税庁|No.1122 医療費控除の対象となる医療費

リハビリテーションやマッサージ費用

医師の処方や治療目的のリハビリや、あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による施術は対象です。ただし、疲れを癒すためや体調を整える等の目的は対象とはなりません。

医薬品や医療機器に関する費用

処方薬や市販薬、医療機器の購入やレンタル料も対象となります。詳しく見ていきましょう。

市販薬や医薬品の購入費

治療や療養を目的とした処方薬や、市販の風邪薬・胃腸薬・痛み止め等の購入費は対象です。第2類医薬品、第3類医薬品ともに治療目的のものは対象になります。
医師の処方によるビタミン剤等は対象となる場合があります。

参考:国税庁|No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

医療機器の購入費やレンタル料

コルセット・義手・義足・松葉づえ・補聴器・義歯・眼鏡等の、治療目的の医療機器の購入やレンタル料は対象です。ただし、一般使いの眼鏡や美容目的のコルセット等は対象にはなりません。

通院や妊娠に伴う費用

妊娠出産に伴う費用や、医療費以外の通院費や付添い費用も対象となるものがあります。

通院にかかる交通費

通院のために公共交通機関を使った利用料は対象です。公共交通機関を利用した際の領収書がない場合も、家計簿に記載したり、医療費の領収書等に裏書したりすることで、通院のために利用したことの証明ができます。ただし、自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外です。

また、幼児や児童の通院に親が同行した場合や、一人で通院できず付き添いが通常必要と認められる事情があり親族が同行した場合の、同行者の交通費も自家用車利用以外は対象です。

妊娠・出産費用

妊婦定期検診や検査費用、通院費、入院費、入院時の食事代は対象です。また、出産のために病院へ行く際は、公共交通機関を利用できないことを考慮し、タクシー料金も対象となります。
健康保険組合等から、出産育児一時金や家族出産育児一時金または、出産費や配偶者出産費などが支給された場合、その金額は医療費控除の計算をする際に医療費から差し引きます。

参考:国税庁|No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例

療養上の世話や付添い費用

看護師、准看護師、介護福祉士、家政婦等による療養上の世話や業務として行う付添い費用は対象です。ただし、実際にかかった費用のみで、謝礼金などは対象外となります。
また、家族や親戚縁者が行う私的な付添い費用は対象とはなりません。

介護や在宅医療に関する費用

続いて、介護や在宅医療に関する費用です。こちらも医療費控除の対象となるものがあります。

介護保険制度により提供される施設・居宅サービス利用料

デイサービスの利用料や在宅での入浴サービスなど、介護保険制度により提供されるサービス利用料の、自己負担額は対象です。補助金等で補てんされた金額は差し引きます。

おむつ利用料

6ヶ月以上の寝たきり状態で、医師の治療を受けている場合のおむつ代は対象です。医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要となります。また、介護保険法の要介護認定を受けている場合、市町村長が交付する「おむつ使用の確認書」があれば、「おむつ使用証明書」に代用できます。

参考:国税庁|質疑応答事例 所得税目次一覧

その他の対象となる費用

他にも意外と知られていない費用も対象となるものがあります。

海外で支払った医療費

海外旅行中の怪我や病気で、現地の医師に支払った医療費も対象です。海外では、日本のような保健医療制度がないため、高額の医療費を支払うことになります。
その際、治療費を外国通貨で支払った場合は、支払った日付の外国為替の電信売相場と電信買相場の仲値(TTM)を円換算した金額を算出します。この金額を医療費として控除額の計算を行います。

コロナ感染によるPCR検査費用

コロナ等の症状を疑い病院を受診した際、医師の判断で検査が必要と認めた場合のPCR検査は対象です。しかし、個人的にコロナに感染しているか確認するために行うPCR検査は適用外となります。ただし、個人的に行ったPCR検査で、陽性の結果が出て治療を行った場合は対象となります。この場合、個人負担分が対象金額となり、公的資金分は含みません。

参考:国税庁|No.1122 医療費控除の対象となる医療費 タックスアンサー

医療費控除の対象にならない費用

ここからは、医療費控除の対象にならない費用について解説します。正しく区別して計上しない場合、領収書の提示や再申告を求められるなど、手間が生じ確定までの時間が伸びる可能性があります。
対象外の費用としては、以下があげられます。

・健康診断や人間ドック・家族や親類縁者の付添費用
・ビタミン剤やサプリメント購入費・診断書発行費用
・インフルエンザ等の予防接種費用・医師等への謝礼金
・タクシー料金や自家用車利用料

健康診断や人間ドック

健康診断や人間ドックなど、健康の維持や促進を目的としたものは対象外です。ただし、疾病が発見され治療へとつながった場合は、診療の一環とみなされ対象となります。

ビタミン剤やサプリメント購入費

ビタミン剤やサプリメントなど、病気の予防や健康の維持を目的としたものは対象とはなりません。医療費控除の対象となる医薬品は、疾病の治療を目的とするもののみです。

インフルエンザ等の予防接種費用

インフルエンザ等の予防接種など、ワクチン接種も対象にはなりません。病気の予防が目的のため、対象となるワクチンはありません。

タクシー料金や自家用車利用料

通院時のタクシー料金や自家用車を利用した際のガソリン代、駐車場代も対象にはなりません。公共交通機関を利用できない特段の事情がある場合に限り、タクシー料金が対象となる場合があります。

家族や親類縁者の付添費用

医療従事者や介護福祉士、家政婦等へ付添いを依頼した場合の依頼料については認められますが、謝礼金は認められません。また、家族や親戚縁者の付添いに支払った手数料や謝礼金も対象にはなりません。

診断書発行費用

保険金の請求等に利用するための診断書費用など、一般的な診断書費用は対象とはなりません。ただし、たとえば、A病院での治療をB病院へ引き継ぐための「診療情報提供料」にあたる診断書費用は対象となります。

参考:国税庁|別紙 診療情報提供書に係る診療情報提供料の自己負担額の医療費控除の取扱いについて

医師等への謝礼金

医師や看護師等に謝礼として渡した金品の費用は対象とはなりません。疾病の治療目的とは異なるためです。医療費控除は疾病の治療を目的とした費用に限られます。

医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)とは

セルフメディケーション税制とは医療費控除の特例として、平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に、薬局やコンビニ等で購入した医薬品について控除が受けられる税制です。条件は以下の通りです。
対象医薬品についての詳細は厚生労働省のホームページを確認してください。

【セルフメディケーション税制の要件】
  • 健康診断等による健康維持活動を行っている
  • 購入費用が年間12,000円を超える(控除額の上限88,000円)
  • 通常の医療費控除との併用はできない
  • 対応医薬品を確認する

参考:国税庁|No.1132 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費
参考:厚生労働省|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について

医療費控除を申告する際の注意点

医療費控除を申告する際の注意点を見ていきましょう。対象期間から節税対策のコツ、領収書等の保存義務などがあります。

医療費控除の対象期間を確認する

医療費控除の対象はその年の1月1日~12月31日までに支払った医療費です。未払い分は実際に支払った年分の控除の対象となりますので注意しましょう。また、申告は確定申告と同時に2月16日~3月15日の間に行います。還付申告の場合は確定申告期間外でも申告でき、さらに5年間さかのぼっての申告も可能です。

高額の医療費を支払った際に節税対策を検討する

医療費控除は生計を一にする家族全員の分をまとめて申告できます。たとえば、夫婦共働きで家族の高額医療費を支払った場合、夫婦のどちらか所得の多い方がまとめて控除を申告することもできます。または、夫婦それぞれが1年分の医療費を分けて申告することも可能です。控除は所得の多いほうが税率も高く多くの控除が受けられるため、工夫することでより多くの控除を受けることもできます。

医療費のお知らせや領収書等は5年間保存する

医療費控除の申告の根拠となった、領収書や医療費のお知らせ、保険金の受取明細書等は自宅で5年間の保存が義務付けられています。添付や提出の義務はありませんが、税務署から提示を求められた際は速やかに提出する必要があります。

まとめ

医療費は、高額の医療費を支払ったときはもちろん、細々と1年間に支払った医療費の積み重ねが規定額を超えている場合は多々あります。対象となる費用の範囲が広いこともご理解いただけたでしょう。医療費控除の対象となる家族が、対象となる費用を漏れなく整理集計することが重要です。風邪薬の領収書も捨てずに保管しましょう。
この記事を参考に、医療費控除の対象になる費用をまとめ、スムーズな申告の一助になれば幸いです。

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医療費控除とは?いくらから対象?確定申告のやり方と計算 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-medical-expense-deduction/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-medical-expense-deduction/#respond Wed, 22 Oct 2025 03:17:27 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=42077 はじめに
  • 医療費控除とは、確定申告によって申告できる控除で、節税や還付金が期待できる
  • 控除額は、1年間に支払った医療費が10万円以上もしくは所得金額の5%以上が目安の金額となる
  • 控除対象となる医療費は医療目的のものなど規定がある
  • 生命保険で受け取った金額や高額療養費の対象となった金額は、支払った医療費から差し引く
  • 医療費控除を受けるには、医療費控除の明細書と確定申告書を一緒にe-Taxや書面で申告する

急な怪我や病気で高額の医療費を支払ったとき、いくらから医療費控除が受けられるのか疑問に思ったことはありませんか?10万円と聞いて、そこまで支払っていないから無理かと諦めずに、この記事を一読ください。医療費控除の対象となる範囲や金額から、確定申告の仕方まで、わかりやすく解説します。

医療費控除と確定申告の基礎知識

医療費控除は確定申告において申告できる控除のひとつです。確定申告は1年間に得た収入や経費・各種控除を申告し納税する制度で、申告義務のある人が行います。確定申告の申告納税期間は、毎年2月16日~3月15日の期間内となります。
還付金は、給与所得者や年金受給者、副業をしている場合に、必要に応じて確定申告すると受け取ることが可能です。

医療費控除とは?概要と目的

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日に支払った医療費が、規定額以上の場合に超過分が控除される制度です。
確定申告を行うことで、給与所得者は還付金が受け取れる可能性があり、フリーランスや個人事業主には節税効果が生じます。

対象となる人・条件

医療費控除は、所得税の課税対象となる所得がある人が申告し、還付や減税対策を行うものです。対象となる人は納税者本人と生計を一にする家族となります。給与所得者、年金受給者、フリーランスや個人事業主、それぞれが医療費控除の対象となる条件をまとめました。

  • 給与所得者:

    年末調整では医療費控除が対象にならないため、確定申告で還付申告を行う

  • 年金受給者:

    年金収入が400万円以下またはその他の所得が20万円以下の場合は、原則確定申告は不要
    医療費控除を受けたいときは還付申告を提出する

  • フリーランスや個人事業主:

    所得が48万円を超える場合確定申告が必要となり、医療費控除の申告で節税できる
    (所得金額48万円以下では還付申告が可能)

参考:国税庁|No.1600 公的年金等の課税関係
参考:日本年金機構保険組合|医療費でも税金の控除が受けられる

いくらから申告できる?控除が受けられる金額の目安

医療費控除を申告できる医療費は、
・所得金額が200万円以上の場合:支払った医療費が10万円を超えた分が控除対象
・所得金額が200万円未満の場合:所得金額の5%を超えた分が控除対象

つまり10万円もしくは所得金額の5%にあたる金額を、支払った医療費の総額から差し引き、残った金額が目安です。

さらに、保険金を受け取ったり高額療養費の対象になったりした金額は差し引きます。残りの金額が上記の基準を超えた場合に、超過分(上限200万円)が控除対象となります。

控除の対象となる医療費の範囲

確定申告で医療費控除の対象となる費用には規定があります。対象となる医療費と対象外の費用、家族分の範囲や交通費の扱いなど詳しく見ていきましょう。

対象になる医療費:病院・薬代・通院交通費など

医療費控除の対象となる費用は、医療に関連する治療目的のもののみです。ただし、公共交通機関を利用した通院のための交通費や入院時の食費は対象となります。以下に詳細をまとめましたので、参考にしてください。

医療費控除の対象となる費用

  • 入院・通院
    • 病気やけがの診察代・治療代・入院代
    • 入院時の部屋代・食事代
    • 治療目的のリハビリやマッサージ代
  • 医薬品・医療機器
    • 医師が処方した薬代
    • 治療目的の松葉つえ・メガネ・補聴器・コルセットなどの医療機器
  • 歯科治療
    • 歯の治療 (保険適応外も含まれるものがある)
    • 治療目的のインプラントや歯列矯正器具代
  • 妊娠出産費用
    • 妊娠に伴う定期健診・検査・出産費用
    • 入院費や入院時の食事代・通院時の交通費
    • 不妊治療費
  • 市販薬の購入費
    • 薬局等で購入した風邪薬や胃腸薬等の薬代
  • 通院交通費
    • 通院時の公共交通機関利用料

参考:国税庁|医療費を支払ったとき
参考:国税庁|No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例
参考:国税庁|No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例
参考:国税庁|No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

対象外の費用:美容目的や健康食品など

たとえ医療行為であっても治療目的でないもの(美容目的や健康維持目的)や、疾病や感染予防(健康診断や予防接種)の費用は対象外です。さらに、特段の事情が無いタクシー代や自家用車のガソリン代・駐車場代も認められません。

医療費控除の対象とならない費用

  • 美容目的や健康増進目的の入院・手術・サプリメント代等
  • 自家用車利用料:通院時のガソリン代や駐車場代
  • 人間ドックや健康診断費用。ただし、病気が見つかり治療につながった場合は控除対象となる
  • 予防接種等は、治療目的でないため対象外
  • タクシー代は、緊急を要するもしくはやむを得ない理由があるとき以外は対象外
  • 治療目的外のメガネやコンタクトレンズ
  • 入院時に個室希望などの自己都合による差額ベッド代

控除対象かそうでないものかをしっかりと区別して計上する必要があります。

家族分も申告できる?生計を一にする家族の範囲

医療費控除は納税者本人だけでなく生計を一にする家族分も含めて申告できます。別居家族でも、生活費や学費等を支援している場合は生計を一にするに含みます。ただし、施設入所する高齢家族の主な経費は年金で賄い、衣類や雑費等の一部を援助する場合は、生計を一にするとは認められません。

医療費控除の計算方法

ここからは医療費控除の計算の仕方を解説します。合計した医療費と差し引きの必要な費用を、基本的な計算式に当てはめて計算します。具体例から計算過程のイメージと還付金がいくらになるのかを見ていきましょう。

控除額の基本計算式

医療費控除の計算は、フリーランスや個人事業主は収入から経費を引いた所得金額を、給与所得者(会社員等)の場合は、源泉徴収票記載の課税所得額をもとに行います。また、生命保険などで支給される入院給付金と、健康保険などで支給される高額療養費や家族療養費、出産育児一時金などを受け取った場合は、その金額を差し引きます。それぞれの合計を以下の計算式に当てはめて計算しましょう。

参考:国税庁|No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

生命保険や高額療養費との関係・差し引き方

生命保険や高額療養費は、一つの疾病に対して入院や手術等にかかった費用の一部を補てんしてくれるものです。そのため、一年間に支払った医療費全額から差し引くのではなく、対象となる疾病に対して支払った金額から差し引きます。
たとえば、病気で入院して手術をした際に支払った費用が36万円、高額療養費27万円と生命保険給付金9万円を受給した場合の差引は0円になります。

  • 36万円-(27万円+9万円)=0円

この場合、医療費部分の自己負担は残らず、医療費控除の対象にはなりません。いずれも、支払った医療費と受け取った金額を証明する書類の準備が必要です。

具体例で見る計算シミュレーション

具体例を使って医療費控除の計算をします。算出された金額が控除額となります。

例1:所得金額230万円 総支払医療費25万円 受取った保険金等13万円とする

10万円を差し引く場合(所得金額200万円以上)

250,000 - 130,000 - 100,000 = 20,000 (控除額)

例2:所得金額190万円 総支払医療費25万円 受取った保険金等13万円とする

所得金額の5%を差し引く場合(所得金額200万円未満)

250,000 - 130,000 -(1,900,000×5%)= 25,000(控除額)
※ 190万円の5%は95,000円

上記例から所得金額200万円未満に厚い控除枠が設定されています。一年間に支払った医療費を漏れなくまとめておくことが肝要です。

還付金はいくらになる?

還付金は、上記計算式で求めた控除額に、課税所得額に応じて定められた税率をかけて求めます。自分の税率がどのくらいなのかを確認しましょう。表は、課税所得額別の税率を表していますので、参考にしてください。

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

参考:国税庁|No.2260 所得税の税率

医療費控除の申告に必要な書類

医療費控除の申告は、必要書類を整えることからはじめます。1つ目は支払った医療費の領収書もしくは健康保険組合等から送付される医療費通知書です。2つ目は保険金の給付や高額療養費について、対象となった疾病ごとに差し引いた残りを医療費として計上できますので、給付額のわかる明細書も準備します。
また、給与所得者は源泉徴収票に記載の所得額が必要になります。さらに、薬局で購入した医薬品の領収等、少額の領収書も漏れなく準備しましょう。
これらを準備したら、確定申告書と医療費控除の明細書を作成します。

医療費控除の明細書の作り方

医療費控除の明細書は、支払った医療費の詳細や受け取った給付金等の金額を整理して記載する書類です。国税庁のホームページからダウンロードできます。
明細書の作成手順

  1. ①の枠内

    医療費通知書記載金額の合計額・年内に支払った医療費の合計額・還付や補助金の合計額をそれぞれ記載する(注:未払いの医療費は支払いが生じた年の医療費控除の対象となる)

  2. ②の枠内

    医療費通知書記載以外に支払った金額を、医療を受けた人別または病院等別に合計額を記載する
    (注:領収書1枚ごとではなく合算で可)

  3. ③の枠内

    ①、②で記載した金額を、示される記号ごとに合計や転記を行う
    所得金額の合計を確認して、控除額を計算する(控除限度額は200万円)

領収書の保存と提出ルール

医療費控除では、領収書の提出・提示は原則不要ですが、税務署から求められた際に提示できるよう保存が必要です。明細書に記載した根拠書類(領収書・支給明細・医療費通知など)は、申告期限の翌日から5年間の保存義務があります。

マイナポータル連携で取り込んだ医療費情報も、必要に応じて出所が確認できる状態で保存してください。

豆知識

マイナポータルとは、マイナンバーカードを使って自分の行政情報を確認できるサービスです。一例として保険証等を登録しておけば、マイナンバーカードに登録されている医療費情報等を呼び出し、確定申告書のオンライン申請を簡略化できます

マイナンバー・本人確認書類の準備

確定申告時の本人確認書類は、マイナンバーカードがあればこれ1枚で済みます。マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーのわかるもの(マイナンバー通知カードや住民票の写し)と本人確認書類(運転免許証やパスポート)の2点が必要です。

確定申告のやり方【e-Tax対応】

ここからは医療費控除を確定申告する方法を紹介します。e-Taxを使ったオンライン申請では、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも申告できます。また、書面での申告方法や注意点についても詳しく見ていきましょう。

国税庁サイト(e-Tax)を使ったオンライン申告手順

e-Taxを使った申告は、国税庁のホームページから、「確定申告書作成コーナー」にアクセスし、ガイダンスに従って入力していきます。本人確認はマイナンバーカード方式等を利用します。作成後、そのままe-Taxで送信すれば申告可能です。

参考:国税庁|スマホとマイナンバーカードでe-Tax!
参考:国税庁|確定申告書等作成コーナー 令和6年分

紙で提出する場合の手順

上記の「確定申告書作成コーナー」で作成した申告書を印刷して、紙で提出することも可能です。また、税務署から確定申告書を取り寄せ手書きしたものを提出する方法もあります。時間や手間はかかりますが、税務署に持参することで不明点等を相談できるメリットがあります。
確定申告書の書き方は、以下確定申告書の画像を参考に「所得から差し引かれる金額」欄の「医療費控除」に、明細書で計算した控除額を転記します。

参考:国税庁|申告書の記載例

申告時期と提出期限の注意点

医療費控除の対象となる期間は、その年の1月1日~12月31日の間に支払った医療費です。未払い医療費は、支払った年度の医療費控除の対象となるため注意が必要です。

確定申告の提出・納付は原則として毎年2月16日~3月15日ですが、医療費控除のための還付申告は翌年1月1日から5年以内であればこの期間外でも申告できます。以前に高額の医療費を支払った場合は、還付金を受け取れる可能性がありますので確認してみましょう。

申告後に還付を受ける流れ

確定申告が終わったら、還付の時期と進捗の確認方法を押さえておきましょう。ここでは、振り込まれるまでの期間やe-Tax等での確認方法を解説します。

還付金が振り込まれるまでの期間

国税庁では、還付金の支払い手続きには概ね1か月から1か月半程度の期間を要するとしています。またe-Taxでの還付申告では、3週間程度で処理するとしているため、早めに還付が受けられます。ただし、この目安は申告内容に不備等がない場合です。記載漏れや計算ミス、申告内容に医療費控除の対象外の費用が含まれている場合は、再申告や領収書の提示などが必要となるためこの限りではありません。
参考:国税庁|【税金の還付】

還付状況の確認方法:e-Tax・マイページなど

還付金の処理状況は、e-Taxで申告している場合「マイページ」から、「本人情報設定内の還付・納税関係」へ進み、「還付先金融機関内の還付金処理状況を確認する」から確認できます。希望すればe-Taxで「還付金の振込通知」を受け取ることも可能です。
書面で申告した場合も、e-Taxの利用者識別番号を持っている場合は、マイページで一部の状況確認ができます。ほかにも、書面申告では「国税還付金振込通知書」が送付されますので確認しましょう。

申告の注意点と節税のポイント

医療費控除を申告する際の注意点と、医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)を紹介します。上手に医療費控除を活用することは大きな節税効果につながります。

申告漏れ・計算ミスを防ぐチェックリスト

申告漏れや計算ミスにつながる申告時の失敗例をまとめました。これらを事前に確認しておくと、申告がスムーズになり、照会対応などの手間を減らせます。対策を参考に、間違いのない申告書の作成と提出に努めましょう。

よくある失敗例と対策

  • 控除対象外の費用の計上:

    美容・予防目的など対象外費用を合算しないよう、対象となる費用を把握する。
    迷ったときは税務署へ問い合わせる

  • 保険金等の給付額等の差し引き漏れ:

    支払通知書等を領収書と一緒に保管して、必ず差し引きを反映させる

  • 領収書が多数ある際の計算ミス:

    家族別・月別に領収書を整理して、集計表を作成する

  • 「医療費控除の明細書」の添付漏れ:

    領収書をそのまま提出するのではなく、明細書に整理してまとめたものを提出する

  • マイナンバー等の記載漏れやミス:

    作成した申告書はダブルチェックし、ミスや間違いがないことを確認する

セルフメディケーション税制との併用は可能?

セルフメディケーション税制は、定期健康診断等を受診するなど健康維持に配慮したうえで、市販の医薬品(特定一般用医薬品)を12,000円以上(上限88,000円)購入した場合に対象となります。医薬品の内容には規定があるため、詳細は以下の国税庁のホームページを確認しましょう。
医療費の支払額が10万円未満でも、セルフメディケーション税制を使って医療費の控除が可能です。ただし、医療費控除との併用はできないため、どちらかを選択する必要があります。
参考:国税庁|医療費を支払ったとき
参考:国税庁|No.1132 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費

フリーランス・個人事業主が節税につなげるコツ

フリーランスや個人事業主は、確定申告で医療費控除をはじめとした、各種控除をもれなく活用することで節税対策になります。所得税の減額だけでなく住民税も減税できるため、大きな節税効果が期待できます。経費だけでなく控除ももれなく活用しましょう。

給与所得者である会社員も、年末調整で控除できない医療費を還付申告することで、住民税の減額になります。可視化される還付額だけで判断せず、翌年度の住民税への波及も踏まえて申告しましょう。

まとめ

医療費控除を申告するためには、1年分の医療に支払った領収書などをまとめておき、整理集計する必要があります。生計を一にする家族が多ければ皆の分をまとめるため、1度に行うのは大変です。普段から医療費にかかわる書類を別枠でまとめておく癖をつけましょう。計算してみたら思った以上に多くの金額を医療費に使っているかもしれません。この記事を参考に、上手に節税対策をしてください。

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免税事業者とは?消費税の仕組みとメリット・注意点 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-menzei-jigyousha-freelance/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-menzei-jigyousha-freelance/#respond Thu, 16 Oct 2025 05:31:24 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=41980 はじめに
  • 免税事業者は、国に消費税を納める必要がない
  • 課税事業者は、売上で受け取った消費税から仕入れや経費で払った消費税を差し引いて国に納めている
  • 一定要件を超えた場合、免税事業者から自動的に課税事業者となる
  • 免税事業者は事務負担が軽い一方で、取引先からは不利に扱われる可能性がある

事業を開始するにあたって、必ず関わってくるのが消費税です。消費税は国に納める義務があり、その計算方法も複雑なため、申告に戸惑ってしまう方も多いでしょう。ただし、一定の要件を満たすことで、免税事業者として消費税の納税義務が免除される場合があります。
この記事では、免税事業者や消費税の仕組み、免税事業者になるメリット・デメリットや注意点を分かりやすく解説しています。

免税事業者とは

免税事業者とは、消費税の納税義務が免除されている事業者のことです。基準期間中における前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合は、事業者に対して納税義務が発生しません。また、新しく事業を始めた場合も、開業から原則として設立から2期分は免税事業者としての扱いになります。
以下では、課税事業者との違いを解説しています。混同しないように、今一度しっかりと違いを把握しておきましょう。

課税業者との違い

課税事業者と免税事業者の違いは、消費税を国に納める義務があるかどうかです。課税事業者は、売上で受け取った消費税から仕入れや経費で支払った消費税を差し引いた金額を国に納めます。
免税事業者とは、消費税を国に納める義務がない事業者を指します。免税事業者は、売上に含まれる消費税を国に納める必要はありませんが、取引価格を自由に設定できるため、税込み価格で請求することが可能です。本来ならば、課税事業者が国に納めるべき消費税相当額も、免税事業者の場合は納税義務が生じないため、そのまま事業主の収入として手元に残ります。

消費税の仕組み

消費税は、商品の売上に応じて国に納める税金のことです。税金を納める必要のある課税事業者は、売上時に受け取った消費税から、仕入時に支払った消費税を差し引いて納めます。この仕組みを仕入税額控除といいます。

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、課税事業者が売上で受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引く仕組みです。
例えば、フリーランスのITエンジニアが開発用PCを10万円(消費税1万円)で購入したとします。この支払った1万円の消費税は控除対象です。次に、その開発用PCを使って制作したサービスを販売し、売上として受け取った消費税が1万5,000円だったとします。この場合、売上で受け取った1万5,000円の消費税から、PC購入時に支払った1万円を差し引き、国に納める消費税は5,000円となります。
この制度により、二重・三重課税を防ぎ、課税事業者は国に納める消費税の負担を減らすことが可能になります。一方で、免税事業者は消費税を納める必要がないため、仕入税額控除を使うことができません。

免税事業者の判定基準

免税事業者になるためには、2つの判定基準を満たす必要があります。判定基準を知っておくと、今後の役に立つでしょう。

基準を満たせば免税事業者に

免税事業者になるためには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 原則として前々年の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である
  • 新しく事業を開始し、開業から2年間が経過していない

このどちらかに該当する場合、国に消費税を納めなくてもよい免税事業者として扱われます。

免税事業者になるメリット・デメリット、注意点

免税事業者になると、消費税を国に納める義務がなくなり、売上に上乗せした消費税もそのまま手元に残るようになります。しかし、取引先によっては自分が課税事業者ではないばかりに不利になるケースもあります。ここでは、免税事業者のメリット・デメリットや注意点を詳しく解説していますので、ぜひ押さえておきましょう。

免税事業者になるメリット

まず免税事業者のメリットは、国に消費税を納める負担がないことです。売上に上乗せした消費税分もそのまま手元に残るため、会社の資金繰りにも余裕が生まれることでしょう。新しく事業を始めた方や、小規模事業者にとって会社を運営していくうえでの安心感にも繋がります。また、消費税の計算や申告などの手間も少ないため、確定申告や経理作業の負担が軽減する点もメリットと言えます。

免税事業者になるデメリット・注意点

一方、免税事業者になるとデメリットもあります。上記の通り取引先は、免税事業者に支払った消費税を仕入れ控除できません。そのため、取引先は仕入れのコストが高くなってしまいます。その結果、免税事業者は契約の条件が厳しくなってしまうというデメリットもあります。このように課税事業者からみた免税事業者は、取引のハードルが高いとみなされてしまう恐れがあるので、将来的に事業の拡大をしたいと決めている場合は注意が必要です。

免税事業者から課税事業者になる要件は?

免税事業者から課税事業者へ切り替わることは可能です。また、以下いずれかの要件に当てはまる場合は、自動的に課税事業者となります。

  • 1つ目は、原則としての前々年の課税売上高が1,000万円を超えた場合
  • 2つ目は、前年の特定期間(1月~6月)の課税売上高が1,000万円を超えた場合
  • 3つ目は、法人設立時の資本金が1,000万円以上の場合

それぞれ1つずつその要件について解説していきます。

基準期間の売上高が1,000万円を超えたとき

基準期間とは、前々年を指します。例を挙げるならば、2025年に課税事業者になるかどうかは、2年前の2023年の売上で判断されます。
もしも、2023年の課税売上高が1,000万円を超えていたら、2025年は自動的に課税事業者になります。反対に、1,000万円以下ならば免税事業者のままです。つまり、事業の規模が大きくなり、売上が1,000万円を超えた時点で免税事業者とは見なされなくなり、消費税を納める義務が生じるため注意が必要です。

特定期間の売上げ・給与支払額が1,000万円を超えたとき

特定期間とは、前年の1月から6月までの半年間を指します。この期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、翌年は課税事業者となります。ただし、給与の支払いが1,000万円を超えていなければ、免税事業者を選択することも可能です。つまり、売上が急に伸びたり、従業員を増やしたりして人件費が膨らんだ場合に、課税事業者へ切り替わることがあります。

法人設立時の資本金が1,000万円以上のとき

法人を設立したとき、資本金が1,000万円以上ある会社は、開業したてでも最初から課税事業者として扱われます。つまり、売上がまだ少なくても消費税を納める義務が発生してしまいます。資本金が1,000万円以上ある会社は事業規模も大きいとみなされ、免税事業者の対象にはなりません。反対に、資本金が1,000万円未満であれば、原則として設立から2年間は免税事業者となり、消費税を納める必要はありません。

まとめ

免税事業者は、小規模事業者や新たに開業した人が対象で、売上の消費税分を国に納めなくてもよい制度です。課税事業者は売上で受け取った消費税から、仕入れや経費で払った消費税を差し引いて税金を納めますが、免税事業者はその手間がなく、会社の資金繰りの面でも安心感があるでしょう。
一方、取引先から見ると仕入税額控除を適用できないため、契約条件で不利になることがあります。売上や給与、資本金など一定の要件を超えると自動的に課税事業者に変わるため、将来の税負担も常日頃から意識しておくことが重要になるでしょう。

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【2025年版】フリーランスにおすすめの会計ソフト8選|初心者向けに比較・選び方解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaikeisoft-freelance/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaikeisoft-freelance/#respond Thu, 18 Sep 2025 07:46:54 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=40815 はじめに
  • 会計ソフトは、帳簿作成や仕訳管理などの経理業務を効率化できるツール
  • 簿記などの専門知識がなくても導入・利用が可能
  • 会計ソフトの導入は、経理作業の負担軽減や時間節約のメリットがある
  • クラウド型の会計ソフトは、データの自動取込・仕訳機能のあるものが多い
  • 使用目的や必要機能を明確にして、会計ソフトを選ぶことが重要

会計ソフトを導入しようとして、どう選んだらいいか、悩むフリーランスの人も多いのではないでしょうか。会計ソフトで何ができるのか、知識がなくても使えるのか、不安に思う人もいるかもしれません。
この記事では、会計ソフトの特徴やメリットについてご紹介します。おすすめの会計ソフトや、選び方のポイントも併せてご紹介しますので、参考になれば幸いです。

会計ソフトとは

会計ソフトとは、企業や個人事業主が経理業務を効率化するために使用するツールです。主に帳簿作成や仕訳管理、税務申告書の作成などが可能で、紙やExcelでの手作業よりも正確かつ効率的な管理が可能です。初心者でも簡単に使える設計のものが多く、簿記などの経理知識が少ない場合でも、導入できます。
また、会計ソフトを導入することで、データの一元管理も可能です。銀行口座・クレジット明細などと連携することで、仕訳の自動化が実現できるでしょう。

フリーランスが導入するべき理由

会計ソフトの導入は、経理作業の効率化やミスの軽減、時間の節約を可能にします。
手作業では煩雑になりがちな仕訳や帳簿作成が自動化されるため、本業に集中できる環境を整えられます。また、本業に必要な資格の勉強にも時間が充てられるでしょう。
税務申告の際に必要な書類を用意するためには、会計知識が求められます。しかし会計ソフトを利用すれば、知識がなくとも入力でき、簡単に帳簿や必要書類が作成できます。インボイス制度や電子帳簿保存法に対応していれば、申告トラブルのリスクも回避できますので、会計ソフトの導入はフリーランスにとって大きなメリットと言えるでしょう。

【タイプ別】会計ソフトの特徴

タイプごとに特徴があるため、フリーランス・個人事業主は事業状況や予算、用意可能な環境に合わせて選ぶといいでしょう。
ここからは会計ソフトのタイプ別に、特徴やおすすめの理由、デメリットをご紹介します。

会計ソフトは、利用形態や求める機能によって3種類に分けられます。

  1. クラウド型(インターネットを活用した利便性)
  2. インストール型(ローカル環境での安定性)
  3. オンプレミス型(高度なカスタマイズ性)

タイプごとに特徴があるため、フリーランス・個人事業主は事業状況や予算、用意可能な環境に合わせて選ぶといいでしょう。
ここからは会計ソフトのタイプ別に、特徴やおすすめの理由、デメリットをご紹介します。

クラウド型

クラウド型は、インターネットを介して利用する会計ソフトで、場所を問わずアクセスできる利便性があります。データをクラウド上で管理するため、PCが故障しても問題ありませんが、セキュリティ上のリスクに注意が必要です。

特徴・インターネットに接続できれば、場所に関係なく、どこでも利用可能
・法改正の対応や、機能追加の自動アップデートがある
・税理士などの外部と、リアルタイムのデータ共有が容易
おすすめの
理由
・初期費用が低い
・月額課金制が多く、導入しやすい
・自動アップデートで、常に最新バージョンが利用可能
・簿記や経理の知識が少なくても直感的な操作が可能
・スマホやタブレットに対応しており、移動中も利用可能
デメリット・インターネットの接続環境によっては使いにくくなる
・データをクラウド上に保存するため、セキュリティ上のリスクがある
・月額制は、年額制と比べてコストが高くなる場合がある

インストール型

インストール型は、PCにソフトウェアを直接インストールして利用する会計ソフトです。インターネットの無い、オフライン環境でも利用可能なため、ネット接続が不安定な場合でも処理速度が速く、動作に安定性があります。一括購入型が多く、初期費用がクラウド型より高くなりやすい反面、追加費用が少なく済む傾向にあります。

特徴・オフラインでも利用可能
・一括購入型が多く、購入後の追加費用が少なく済む
・PCに直接インストールするため、処理速度が速く、動作の安定性がある
おすすめの
理由
・一括購入のため、長期的なコストが抑えられる
・ネット環境が不安定な場所でも利用可能
・充実した専用機能により、経理作業の細かな点を効率化しやすい
デメリット ・ソフトウェア更新が手動のため、更新を見落としやすい
・法改正への対応遅れなどの影響が出る可能性がある
・PCの故障で、データが消失するリスクがある
・複数のデバイスで利用したい場合は、ライセンスの追加課金が必要

オンプレミス型

オンプレミス型は、企業内に専用のサーバを設置して運用する会計ソフトです。データの管理を完全に自社内で行えるため、高いセキュリティ性を維持できます。カスタマイズ性が高い特徴があるものの、初期費用が非常に高額であり、サーバの設置・運用には専門的な知識が必要です。

特徴 ・データ管理が完全自社内で行えるため、非常に高いセキュリティが構築できる
・カスタマイズ性が高く、事業のニーズに合わせて柔軟に設定できる
・インターネット環境に依存しないサーバで管理できるため、動作が安定しやすい
おすすめの
理由
・高いセキュリティが維持しやすいため、外部へのデータ流出対策が可能
・高度なカスタマイズが可能なため、特定の業務に合わせた機能を利用・構築可能
デメリット ・必要機器にかかる初期費用が非常に高額で、サーバ設置やメンテナンスのコストも高め
・運用が煩雑になりやすく、技術的な知識が必須
・個人規模では機能が過剰で、使いこなすのが難しい

会計ソフトを導入するメリット

会計ソフトの導入は、経理業務の効率化に大きな効果があります。手作業ではミスが発生しやすく時間的コストもかかる作業も、会計ソフトを導入すれば正確かつ短時間で処理できるようになります。確定申告や税務処理の負担軽減にもつながるため、本業に集中しやすい環境を整えることも可能です。
ここからは、主なメリットを3つ、ご紹介します。

経理作業の負担軽減と作業の時短ができる

会計ソフトの自動取込・仕訳機能などを活用すれば、経理作業の多くが自動化され、手作業で行うよりも簡単に帳簿作成が行えます。たとえば、銀行口座やクレジットカードを連携させることで、取引データが自動で取込・仕訳されるため、手入力する必要がありません。請求書や領収書の作成機能を備えた会計ソフトを選べば、書類作成の手間も軽減可能です。
経理にかける時間を大幅に削減できるため、フリーランスにとって貴重な、本業に集中する時間が確保できます。また、他の業務や勉強に時間を充てることも可能なため、大きなメリットと言えるでしょう。

確定申告の負担を軽減できる

確定申告は、フリーランスや個人事業主にとって欠かせない業務です。会計ソフトを導入することで、青色申告または白色申告に必要な書類作成や仕訳作業を効率化でき、作業時間と負担を大幅に減らせます。多くの会計ソフトはe-Taxに対応していますので、電子申告をスムーズに行うことも可能です。また、税制改正や法改正などにも対応しており、税務知識のない初心者でも安心して利用できます。

入力や集計ミスを減らせる

前述したように、会計ソフトは自動取込・仕訳機能を備えています。多くの会計ソフトには領収書作成が可能な集計・計算機能も備わっており、手作業と比べて入力や集計ミスを大幅に減らすことも可能です。フリーランスの場合、複数の取引を手入力で処理する際にミスが発生しやすく、修正に手間がかかる場合があります。
会計ソフトを使用すれば、取引データは自動で取込・仕訳されるため、自動計算によってミスの未然防止が可能です。エラーチェック機能もあり、申告トラブルの防止にもつながるため、安全で正確な帳簿作成ができます。

フリーランスにおすすめの会計ソフト8選

会計ソフトと一口に言っても、どれを選んだらいいか悩む人もいるかもしれません。
ここからは、フリーランス・個人事業主におすすめできる会計ソフトを、クラウド型・インストール型それぞれご紹介します。
オンプレミス型は中堅~大企業向けであり、フリーランスや個人事業主にはコストが高額になりやすいため、今回の記事では省略します。

【クラウド型】やよいの青色申告 オンライン

初心者にも使いやすい機能やデザインで、入力作業の自動化や会計業務の効率化も可能なため、知識がなくても確定申告ができます。請求書の証憑(しょうひょう:証拠書類のこと)を保存する「スマート証憑管理」も利用することで、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も安心です。

料金対応OS(PC)申告対応電子申告
10,300円/年~
(初年度無料プラン有り)
Windows /
mac OS
青色申告
白色申告
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法

参考:やよいの青色申告オンライン

【クラウド型】マネーフォワード クラウド確定申告

初めての確定申告であっても、必要な書類を自動作成してくれるため、難しい知識や計算をする必要なく、経理業務の効率化ができます。また、チェックリスト機能を活用すれば作業の可視化ができるため、ミスや漏れなく確定申告が進められます。

月額料金対応OS(PC)申告対応電子申告
1,280円/月~
(または10,800円/年~)
Windows /
mac OS
青色申告
白色申告
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法

参考:マネーフォワード クラウド確定申告

【クラウド型】freee会計

○×形式の質問に答えることで、確定申告に必要な書類が作成できます。スマホに対応しており、確定申告がスマホアプリで完結できるため、初心者にも忙しい人にも優しい仕様です。自動取込されたデータは、いつでもレポートで確認できます。

月額料金対応OS(PC)申告対応電子申告
1,780円/月~
(または11,760円/年~)
Windows /
mac OS
青色申告
白色申告
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法

参考:freee会計

【クラウド型】円簿青色申告

インターネット環境とメールアドレスがあれば、IDを作成しなくても、すぐに利用できる会計ソフトです。無料期間中でもすべての機能が利用でき、データにも保持期間の縛りがなく、3期分のデータが保存可能です。無料期間が終了しても、有料プランに移行することで確認可能になります。

料金対応OS(PC)申告対応電子申告
無料トライアル1年
9,500円/年~
Windows /
mac OS
青色申告×
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法

参考:円簿青色申告

【クラウド型】タックスナップ

経理や確定申告を、スマートフォンだけでスムーズに進められる会計ソフトアプリです。ネット経由の支払い画面はスクショがあればデータ取込が可能で、キャッシュレス決済と連携したデータ取込も可能です。仕訳をタックスナップに丸投げ可能で、税理士監修のチェック機能もあり、安心かつ効率的に確定申告を完結させられます。

月額料金対応OS(PC)申告対応電子申告
1,780円/月~
(または11,760円/年~)
Android /
iOS
青色申告
白色申告
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法

※この表では、10月1日に改定される内容で記載しています。

参考:タックスナップ

【インストール型】弥生会計

簿記知識のない初心者でも、帳簿付けや試算表の作成はもちろん、経営分析や予算管理ができる会計ソフトです。住居兼事務所などの場合でも、家事・経費分を科目ごとに割り振れます。PCへのインストールが必要ですが、同じ弥生製品のクラウドサービスと連携できるため、自動入力やデータ共有も簡単に行えます。

購入料金対応OS(PC)申告対応電子申告
50,000円
※IT導入補助金の利用可能
Windows青色申告
白色申告
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法

参考:弥生会計

【インストール型】JDL IBEX出納帳Major

直感的な帳簿作成や明細データの取込、試算表・決算書などの財務諸表作成まで、あらゆる会計処理が完結可能な会計ソフトです。インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しており、会計事務所との連携機能で簡単・安全にデータの受け渡しができます。
基本的に無料で使用できますが、確定申告や電子申告を行うには別途有料プランへの加入が必要です。

料金対応OS(PC)申告対応電子申告
無料
(別途有料プラン有)
Windows有料プラン加入が必須
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法
有料プラン加入が必須

参考:【無料】JDL IBEX出納帳Major
   【有料】JDL IBEXクラウド組曲Major

【インストール型】フリーウェイ経理Lite

会計ソフトの比較検討で選択肢に迷ってしまい、なかなか決められない人向けの会計ソフトです。フリープランでも、入力したデータから各種帳票を作成・出力できるため、起業直後の費用を抑えて会計ソフトを利用できます。確定申告や電子申告には対応していませんが、インボイス制度には対応していますので、トライアル(お試し)として利用することも可能です。

料金対応OS(PC)申告対応電子申告
無料
(別途有料プラン有)
Windows財務諸表の出力のみ
確定申告帳票作成自動取込・
自動仕訳
インボイス・
電子帳簿保存法
×
(インボイスのみ)

参考:フリーウェイ経理Lite

会計ソフトを選ぶ時のポイント

会計ソフトは、自分の業務形態やニーズに合っているかを確認して、選ぶことが重要です。特に、初心者の場合は、操作性やサポートの必要な機能や使いやすさを考慮し、最適なソフトを見極める必要があります。
ここからは、会計ソフトを選ぶ時のポイントを5つ、ご紹介します。

  1. クラウド型か、インストール型か
  2. 使用目的に合った機能や拡張性があるか
  3. 法改正やセキュリティ対策への対応は
  4. 導入後のサポート体制は
  5. 外部システムと連携可能か

クラウド型とインストール型を比較しよう

フリーランスにおすすめできる会計ソフトには、クラウド型とインストール型の二種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分の働き方や事業で使用するデバイスに合わせて選ぶことが重要です。
クラウド型はインターネット環境があればどこでも利用可能で、自動アップデートによる利便性が高い特徴があります。一方、インストール型はオフライン環境でも利用でき、動作が安定しているのが特徴です。ただし、クラウド型は月額制の場合が多く、インストール型は初期費用が高い傾向があります。特徴だけでなく、費用や機能を比較して選びましょう。

使用目的に合った機能や拡張性を確認しよう

会計ソフトを選ぶ際には、使用目的に合っているか、必要な機能があるかを確認・比較することが大切です。たとえば、青色申告を行う場合には対応している機能があるか、時短効果を得たい場合は自動仕訳機能や電子申告機能があるかを確認するといいでしょう。
また、事業規模や将来的な拡張性なども考慮し、スマホ対応やアプリ連携などの柔軟性、長期的に使い続けられるかも判断材料にすることをおすすめします。目的や必要機能を明確にして選ぶことで、効果的に利用できるでしょう。

法改正やセキュリティ対策への対応を確認しよう

会計ソフトが、法改正やセキュリティアップデートなどの対策・対応ができるかどうかを確認することが重要です。特に税制改正は、対応できなかった場合に不正申告と見なされる可能性があり、最新の制度に合わせて迅速に対応できるソフトを選ぶことが求められます。
また、クラウド型のソフトを使用する場合は、データをインターネット上で管理することになりますので、強固なセキュリティ対策が行われているか確認することも重要です。データ漏えいや不正アクセスを防ぐためにも、セキュリティ面を重視するといいでしょう。

導入後のサポート体制を確認しよう

初心者が会計ソフトを導入する場合は、サポート体制が充実しているかの確認は必須です。電話やチャットでのサポートが利用できるソフトを選ぶと、操作に不慣れな場合でも安心して利用できます。使い方に関するマニュアルや、動画解説が充実しているソフトを確認しておくと、より具体的に理解しやすくなります。
また、税務や申告に関する専門家による相談が可能なサービスが付いている場合は、トラブル時にすぐ対応してもらえるため安心です。導入後のサポートが充実したソフトを選ぶことで、長期的に安心して利用できるでしょう。

外部システムと連携可能か確認しよう

会計ソフトを選ぶ際には、外部システムとの連携が可能かどうかの確認も重要です。
たとえば、銀行口座やクレジットカードなどと連携できるソフトは、取引データを自動で取り込むことができるため、経理作業が効率化できます。クラウドストレージやプロジェクト管理ツールとも連携できれば、業務全体をまとめて管理可能です。税理士や担当者とのデータ共有も行いやすくなるでしょう。

まとめ

会計ソフトは経理業務を効率化するツールで、専門的な知識がなくても帳簿作成や仕訳管理、税務申告書の作成が可能です。フリーランスや個人事業主が会計ソフトを導入することで、経理作業の負担軽減や時間節約、本業への集中などのメリットが得られます。
会計ソフトにはクラウド型・インストール型・オンプレミス型の3種類があり、それぞれに特化した特徴があります。選ぶ際には使用目的や必要機能、法改正への対応やサポート体制、外部システムとの連携可能性を確認することが重要です。

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個人事業主が年収を聞かれた時の正しい答え方|確定申告書の見方を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-jigyounushi-nenshu/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-jigyounushi-nenshu/#respond Thu, 18 Sep 2025 01:06:30 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=41305 はじめに
  • 個人事業主の年収は、売上から必要経費を差し引いた金額を指す
  • 所得金額は、確定申告書の「所得金額等の欄」の合計金額を確認する
  • 青色申告の場合は、所得金額に「青色申告特別控除額」を加える
  • 年収には、税込み年収(所得金額)と手取り年収(納税・納付を済ませた金額)の2つがある
  • 年収を虚偽申告した場合は、罰則等のリスクがある

個人事業主が年収を聞かれた場合、売上から必要経費を差し引いた所得金額を答えるのが最適解となります。では、なぜ売上高ではなく所得なのか?会社員の年収の考え方とは異なる個人事業主の特徴と、年収を聞かれた場合の対処法を解説します。年収を聞かれた際の正しい答え方の参考にしてください。

個人事業主の年収の確認方法

個人事業主の年収は、売上高(年間の売上の合計)から経費(仕入金額や諸費用等)を差し引いた所得金額を指すことが多いです。同じ売上高の場合でも経費が多ければ年収は少ない金額や赤字になるため、実際の所得(個人事業主が使える金額)を正しく伝える必要があります。

  • 経費によって変わる所得金額の例
  • 売上高1,500万円-必要経費1,000万円=所得金額500万円
  • 売上高1,500万円-必要経費700万円=所得金額800万円

確定申告書から確認する方法

確定申告書の「所得金額等(水色縦書き表示)」の「合計」欄に記載された金額が年収です。これは売上高から仕入原価や必要経費を差し引いた「営業等」の金額に記載されたものと、事業に関わる利息や配当金などの収入を合算したものです。下図を参考に確認してください。

厳密な意味での年収ではなく売上高を尋ねられる場合もあるでしょう。そのときは「総売り上げは○○円です」と明示し、所得金額との違いを区別して伝えることが大切です。場面によっては虚偽等のトラブルの原因になる可能性があります。

青色申告をしている場合の注意点

青色申告の場合は、青色申告特別控除額(65万円・55万円・10万円のいずれか)が差し引かれた金額が所得金額になるため、「所得金額等」の合計に青色申告特別控除額を足した金額が年収になります。確定申告書の下図に示す「その他(桃色縦書き表示)」の「青色申告特別控除額」を確認しましょう。

個人事業主が年収を聞かれたらどう答える?

個人事業主が年収を聞かれたときは、確定申告書の所得金額を答えるのが基本です。ただし、融資や補助金申請など実際に自由に使える金額が求められる場面もあります。その場合は、税金や社会保険料を差し引いた手取り年収を答えるのが適切です。
こうした違いを理解するために、まず税込年収と手取り年収の違いを整理しておきましょう。

税込年収と手取り年収の違い

確定申告の所得金額(=税込年収)からは、税金や社会保険料がまだ差し引かれていません。これらを控除した後に残る金額が「手取り年収」であり、実際に自由に使える金額です。

  • 【主な控除項目】
  • 所得税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 住民税
  • 国民健康保険料

税込年収・手取り年収の計算方法

税込年収と手取り年収の計算方法は以下の通りです。

  • 税込年収=売上高-(仕入価格+必要経費)
  • 手取り年収=税込み年収-(所得税+住民税+個人事業税+国民健康保険料+国民年金保険料+消費税(課税事業者の場合))

個人事業主が年収として回答する金額は、状況に応じていくつかあります。税込みなのか手取りなのかを一言添えると誤解を招きません。

個人事業主と会社員の年収の違いは?

会社員の場合、年収は会社から支給される給与や賞与の合計額を指します。そこから社会保険料や所得税などがあらかじめ差し引かれるため、実際に手元に残る金額は少なくなります。
一方、個人事業主の年収は、売上から経費を差し引いた「所得金額」として確定申告書に記載される金額です。ここからさらに税金や社会保険料を支払う必要があり、会社員とは年収の考え方に大きな違いがあります。

個人事業主が年収を聞かれる場面

個人事業主が年収を聞かれる機会はさまざまありますが、中でも正確な金額を伝えることが重要な例を紹介します。

クレジットカードの申込時

クレジットカードを申し込む際は年収の申告が求められ、年収を判断材料に審査が行われます。そのため確定申告書の写しを提出する場合があります。とくにキャッシング枠を利用するときは、年収を証明する書類の提出を求められます。さらに、年収よりも収入の安定性が重視される場合があり、月々の収支がわかる書類の準備が必要なこともあるでしょう。

賃貸物件等の入居審査時

借家や駐車場などの賃貸物件の契約の際にも、月々の賃料の支払い能力を確認するため、所得証明の提出が求められます。とくに個人事業主の場合は、安定した収入があることを証明できる確定申告書と、納税証明書の写し等を求められることがあるため、準備しておきましょう。

給付金等の申請時

給付金や各種制度を利用する際も年収を聞かれます。特に就学金や児童手当では、収入額を基準に判断される制度のため年収が重要です。
個人事業主が年収を正確に伝えるためには、日々の事務作業と書類管理が必要で、控除を有効活用し正しい確定申告をすることで、給付金や制度の利用に活かせます。

個人事業主が年収を偽った時のリスク

個人事業主が年収を偽って申告した場合、信用を失い事業へ影響が出るだけではありません。融資の際は虚偽申告による罰則(詐欺罪など)や、借入金の返済が滞った場合の民事訴訟、刑事告訴の可能性も生じます。
個人事業主は、きちんと帳簿管理や確定申告を行い、正確な年収を提示することが大切です。信用の維持が、事業継続の重要な要素になります。

まとめ

個人事業主が年収を聞かれた際、確定申告書記載の所得金額を答えるのが一般的です。売上高や手取り金額を答える場合は、その金額の意図を明確に付け加える必要があります。また、年収を正確に答えるためには、日ごろから収入や経費を適切に管理し、確定申告を正しく行うことが欠かせません。個人事業主にとって、年収を正しく答えることは信用につながります。事業継続のためにも正しい申告を心がけましょう。

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https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-jigyounushi-nenshu/feed/ 0
適格請求書発行事業者とは?登録のメリット・デメリットと登録方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-qualified-invoice-business/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-qualified-invoice-business/#respond Thu, 28 Aug 2025 04:05:09 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=40617 はじめに
  • 「適格請求書発行事業者」とは税務署長の承認を得て適格請求書発行登録を行なった者のことである
  • 登録申請には郵送と電子申請の2通りがある
  • 登録通知書の到着までに郵送は約1.5ヵ月・e-Taxでの電子申請は約1ヵ月かかる
  • 「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(次葉)」2枚セットで登録する
  • 適格請求書には税率区分や軽減税率の判定など行う上で記載の手間が発生する

2023年10月より導入されたインボイス制度は聞いたことがあっても、「適格請求書発行事業者」とは何だろう? と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。適格請求書の発行には、消費税法に基づく法的要件を満たすために発行事業者の登録が必要です。つまり、適格請求書発行事業者でしか、適格請求書(インボイス)の発行ができません。また取引先は仕入れにかかる消費税の控除が受けられるため、相互作用となり、より信頼性を高められます。

本記事では、適格請求書発行事業者についてその役割を踏まえ、メリット・デメリットや登録方法を重要ポイントとともに解説していきます。

適格請求書発行事業者とは?

「適格請求書発行事業者」とは、適格請求書発行の登録申請を行ったのち、管轄の税務署にて税務署長の承認を受けることを指します。いわば適格請求書(インボイス)発行の許可を受けた事業者といえる存在です。また、別名「インボイス発行事業者」と呼ばれています。

適格請求書発行事業者になるには

適格請求書発行事業者になるためには、紙媒体による登録または電子申請による登録のいずれかを選択して、登録申請を行う必要があります。
URL:国税庁|申請手続き

申請書を郵送する場合

紙媒体による申請の場合は国税庁のホームページからダウンロードあるいは最寄りの税務署に行き、適格請求書発行事業者の登録申請書を入手しましょう。登録申請書の送付先については国税庁のホームページから、最寄りの「インボイス登録センター」を検索してから郵送してください。インボイス登録センターには受け取り窓口が設置されていないため、直接の届け出はできないので覚えておきましょう。なお、郵送する場合に添付する書類については下記をご覧ください。

  • 【以下の本人確認書類のいずれか1点】
  • マイナンバーカードの写し
  • 【マイナンバーカードがない場合は以下の2点】
  • マイナンバーが確認できる通知カードの写し
  • 身分確認書類(運転免許証など)の写し

e-Taxで登録申請する場合

e-Taxによる申請の場合はe-Tax(要ダウンロード)あるいはe-Taxソフト web版(ダウンロード不要)にて申請を行ってください。パソコン・スマートフォンどちらからインターネットに接続して、国税庁が提供している「e-Tax国税電子申告・納税システム」から登録申請が可能です。ただし、個人事業主と法人それぞれの申請書形式が異なるため、よく説明を読んで登録しましょう。電子申請をする場合に必要なものについては下記をご覧ください。

  • 【以下の本人確認書類】
  • マイナンバーカードなどの電子証明書
  • 【あらかじめe-Taxで取得する】
  • 利用者識別番号(16桁の識別番号)

登録通知書が届くまでの期間

適格請求書発行事業者の登録申請をしてから、登録通知書が届くまでの期間は郵送の場合は約1.5ヵ月、e-Taxでの電子申請の場合は約1ヵ月が一般的です。ただし、通知までの期間を保証されるものではないため、あくまでも目安として考えると良いでしょう。

適格請求書発行事業者の登録申請書の記載例

登録申請には、様式1および様式2(いわゆる次葉)の2枚セットが必要です。以下、それぞれの申請書の記載例について説明していきます。

引用:国税庁|「適格請求書発行事業者の登録申請書の記載例」

適格請求書事業者の登録番号を確認するには

自分の適格請求書発行事業者の登録番号を確認したい場合は、登録した際に交付された登録通知書で確認ができます。しかし、適格請求書を発行する側(売り手)または交付される側(買い手)、それぞれの立場や状況によって異なるため、以下詳しい確認方法について説明します。

適格請求書発行事業者公表サイトで確認する

国税庁が運営している「適格請求書発行事業者公表サイト」のホームページで検索し、確認しましょう。もし、取引先からの適格請求書に記載されている登録番号と名称が正確かを確認したい場合は、以下の検索方法で確認してください。

  • 登録番号(“T”を省く13桁)を入力して、該当の登録事業者を確認する
  • 登録番号(“T”を省く13桁)をまとめて検索し、検索結果一覧で確認する

なお、検索結果一覧では事業者氏名または名称・所在地など、より詳しい情報が確認できます。
参考:国税庁|適格請求書発行事業者公表サイト
参考:国税庁|ご利用方法

法人番号公表サイトで確認する

前段で述べた適格請求書発行事業者公表サイトは、登録番号が分かっている場合にのみ利用できます。法人番号は、国税庁が指定する識別番号に則り、頭文字T+13桁の数字で構成されています。そのため、登録番号を確認したい場合は、まず国税庁が運営している法人番号公表サイトで法人番号を検索すると良いでしょう。そこで調べた法人番号を使って、適格請求書発行事業者の公表サイトで検索すれば、その法人が登録済みかどうかを確認できます。
検索方法について、以下をご覧ください。

  • 商号または名称および所在地などから該当の登録事業者を確認する
  • 法人番号(13桁)から該当の登録事業者を確認する(まとめて検索可能)

さらに検索条件の設定で法人種別や登記記録の閉鎖などが生じた法人を絞れます。
参考:国税庁|法人番号公表サイト
参考:国税庁|ご利用方法(検索・閲覧、ダウンロード機能)について

適格請求書発行事業者になるメリット

適格請求書発行事業者にとって、どのようなメリットが存在するのかについて見ていきましょう。

取引先の確保や新規開拓に有利

インボイスを発行しなければ、課税事業者との取引が確保しにくくなる恐れがあります。買い手側(課税事業者)が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の保存が必要となるためです。その点、適格請求書発行事業者であれば、今後の取引継続や新規取引先の開拓にも有効に働くでしょう。

適格請求書発行事業者になるデメリット

適格請求書発行事業者にとって、どのようなデメリットが存在するのか見ていきましょう。

消費税納税義務が生じて負担が増す

適格請求書を交付できるのは、消費税の課税事業者のみです。免税事業者(消費税の納付が免除されている)が適格請求書を交付する場合は、まず適格請求書発行事業者に登録し、課税事業者へと切り替える必要があります。そうすると、これまで免除された消費税の納税義務が課せられるため、納税額が増える点ではインボイス制度のデメリットのひとつです。ただし、仕入税額控除には2029年9月30日まで経過措置が設けられているので、その点覚えておきましょう。

事務処理の負担が増える可能性がある

実はインボイス制度を導入することで新たに事務作業および管理業務が増加する恐れがあります。理由として、適格請求書には以下の項目を必ず記載する必要があるからです。

  • 発行事業者の氏名と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率対象の有無について)
  • 税率ごとに区分して合計した金額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額
  • 書類の交付先の名称

これらの項目を正確に記載するだけでなく、税率ごとの区分・軽減税率の判定もしなければならなくなるため、従来の作業以上に手間がかかる点はデメリットのひとつでしょう。

インボイス制度は廃止される?

結論、現時点ではインボイス制度の廃止は予定されていません。インボイス制度の導入前から制度への不満や懸念の声が上がっていることから、2022年6月10日に野党4党共同でインボイス制度の廃止などを盛り込んだ議員立法「時限的消費税減税法案」が提出されました。物価上昇により、国民の生活が困難なときに期間限定で消費税を下げるための法案です。政府の方針に変更が生まれる可能性も否めないため、今後の動向には注目が必要でしょう。

まとめ

「適格請求書発行事業者」について、ご理解いただけたでしょうか? 登録には「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(次葉)」の2枚が必要です。また適格請求書発行事業者になると、税率の区分や軽減税率の判定などの手間が増える一方で、取引先との信頼性を強化し、より円滑に事業運営を維持できるという点ではメリットと言えます。

詳細については国税庁ホームページでも説明されておりますので、ぜひ参考にし、登録を進めていきましょう。

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https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-qualified-invoice-business/feed/ 0
個人事業主は失業保険をもらえる?条件や申請方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyou-shitsugyohoken/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyou-shitsugyohoken/#respond Mon, 25 Aug 2025 03:47:50 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=40027 はじめに
  • 個人事業主も一定の条件を満たせば失業保険を受けられる
  • 失業保険の受給には失業状態であることが必要
  • 開業する場合は再就職手当が受けられる
  • 開業準備の段階からハローワークに報告が必要
  • 不正受給とみなされないよう正しい申告が必須

本稿では、個人事業主が失業保険を受給するための条件や手続きにフォーカスして、制度の概要とポイントを解説します。また必要な書類や申請の流れ、注意点についても紹介します。

失業保険とは

失業保険(雇用保険における失業手当・失業給付金)とは、離職後の生活を守り、スムーズな就職を支援する手当の給付制度です。失業保険を受給するには雇用保険の加入が必要です。

離職者の区分には自己都合退職(一般受給者)・特定理由離職者(自己都合退職であっても正当な理由がある者)・特定受給資格者(倒産・解雇等による退職者)があり、給付に必要な雇用保険の加入期間や給付開始までの待機期間(給付制限)などが異なります。

参考|厚生労働省 ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

個人事業主として失業保険をもらうには

失業保険をもらうには失業状態にあることが必要とされます。つまり離職直後に開業した場合は、失業保険がもらえなくなることに注意が必要です。以下の項目では、満たすべき受給要件と、その内容について詳しく解説します。

満たすべき受給要件

個人事業主が失業保険を受給するための要件を以下の表にまとめました。

個人事業主が失業保険を受給するための要件
失業の状態にあるハローワークに求職申請を行っており、就職への意欲・能力・活動があるにもかかわらず、職業に就けない(就業がない)状態。開業もしくは、その準備にある場合も就業とみなされる点に注意が必要
必要な雇用保険被保険者期間を満たしている離職日以前の2年間に12か月以上の加入期間が必要(倒産や解雇による離職の場合は、離職日以前1年間に6か月以上の加入期間があれば受給可能)
求職活動実績があるハローワークを通じた求人への応募、ハローワークや許可・届出のある民間事業者等が実施する職業相談や職業紹介、公的機関が実施する職業相談や企業説明会等、再就職に資する各種国家試験、資格や検定等の試験受験など
受給期間内の廃業離職後すぐに開業した場合であっても受給期間内に廃業した場合は失業保険の給付が受けられる。受給期間は原則1年だが個人事業の開業者には延長特例がある(後述)

参考|厚生労働省 東京ハローワーク 求職者給付に関するQ&A

受給金額と受給のタイミング

失業保険における1日あたりの給付金は基本手当日額といいます。基本手当日額は離職前6か月の給与合計を180で割った金額(賃金日額)のおよそ45~80%です。この割合は賃金の低い人ほど高くなります。年齢の区分ごとに上限があり、以下のように定められています。

基本手当日額の上限(2025年8月1日現在)
30歳未満7,255円
30歳以上45歳未満8,055円
45歳以上60歳未満8,870円
60歳以上65歳未満7,623円

受給要件を満たした状態でハローワークの手続きを進め、待機期間の7日と、制限期間(1か月から3か月、一般受給者の場合)の後に受給開始となります。

参考|厚生労働省 離職されたみなさまへ

給付日数と受給期間

失業保険の基本手当の所定給付日数(手当を受け取れる日数)は、離職日の年齢や雇用保険の被保険者期間、離職理由などから決定され、90日から360日の範囲で定められています。

自己都合退職の給付日数
被保険者期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分全年齢90日※90日120日150日

※特定理由離職者の場合、被保険者期間が6か月以上あれば受給資格が得られます

特定受給資格者および一部の特定理由離職者の給付日数
被保険者期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分
30歳未満90日90日120日180日 ――
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

参考|厚生労働省 ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数

失業保険の受給期間(給付が受けられる期間)は、離職日翌日から1年以内です。

受給期間に関する特例

失業保険の受給期間(給付が受けられる期間)は離職日翌日から1年以内ですが、2022年の7月から雇用保険受給期間に関する特例により、個人事業主の場合には最大3年間、失業保険の給付期間が延長されました。

この特例により個人事業主の場合、開業後の3年間に1年の受給期間が加わり、失業保険の対象期間は最大4年間となります。この手続きは事業開始の翌日から2か月以内の申請が必要です。

参考|厚生労働省 雇用保険受給期間の特例を申請できます(PDF)

個人事業主として再就職手当を受給するには

再就職手当は、失業保険の対象者が早期就職を果たした際に受け取れる手当です。この手当は個人事業主として開業した場合にも受け取れます。

給付額は、支給残日数×基本手当日額×給付率で計算されます。給付率は支給残日数が3分の2以上ある場合は70%、3分の1以上3分の2未満の場合は60%とされ、3分の1を下回っていた場合は支給されません。以下の項目では再就職手当の受給要件や受給のタイミングについて解説します。

再就職手当を受給する要件

再就職手当を受給するためには、以下の要件すべてを満たす必要があります。

  • 7日間の待機期間が終了した後に事業を開始すること
  • 過去3年間以内に再就職手当を受け取っていないこと
  • 退職前の企業で一定期間雇用保険に加入していること
  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 1年以上事業を継続できると認められること(開業する場合)

受給のタイミング

再就職手当の受給には申請から2か月程度かかります。

上記の要件をすべて満たしたうえで、事業の開業に伴う再就職手当の支給申請を行う必要があり、1から2か月程度の審査を経て発行される再就職手当の決定通知書が届いてから、おおむね1週間以内とされています。

個人事業主として失業保険・再就職手当を受給する手続き

この項目では、個人事業主として失業保険および再就職手当を受給する手続きについて解説します。

失業保険の手続き

この項目では、失業保険の受給に必要な書類と手続きをまとめました。

失業保険の受給に必要な書類
  1. 雇用保険被保険者離職票(1と2)
  2. 写真付きの本人確認書類
  3. マイナンバーの確認書類
  4. 預金通帳またはキャッシュカード
  5. 証明写真(正面、上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)
失業保険の受給に必要な手続き
  1. ハローワークで失業手当の手続きを行う
  2. 雇用保険受給者初回説明会に参加する
  3. 求職活動を行う

必要書類をそろえて手続きを行うことで失業認定日が決まります。以降4週間に1回のペースで迎える認定日ごとに、2回以上の求職活動実績を報告することで、失業保険(失業給付金)を受給できます。

参考|厚生労働省 兵庫労働局 失業給付金を受給するまでの流れ(PDF)

再就職手当の手続き

再就職手当を受給するには、失業保険の手続き後さらに追加の手続きがあります。以下に必要な書類と手続きをまとめました。

再就職手当の受給に必要な書類
  1. 再就職手当支給申請書
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. 個人事業を証明する書類(開業届や事業計画書など)
  4. マイナンバーの確認書類
  5. 写真付きの本人確認書類
  6. 印鑑(手続き時に必要になることがあるため)
再就職手当の受給に必要な手続き
  1. 開業のための書類を用意する
  2. 最寄りの税務署に開業届を提出する
  3. ハローワークで再就職手当を申請する

繰り返しの説明になりますが、再就職手当は申請から受給までに、おおむね2か月程度を要します。

参考|厚生労働省 岡山労働局 自営開始を予定している方へ(PDF

不正受給に関する注意点

失業保険を受給する際に不正行為が行われた場合、受給額の返還だけでなく、さらに最大2倍に相当する額の納付(いわゆる3倍返し)が命ぜられるため、注意が必要です。以下の項目では、不正行為とみなされる代表的な例を3点紹介します。

参考|厚生労働省 大阪労働局 不正受給について(事例等)

給付中の収入を申告しなかった場合

失業保険は、失業状態を満たしていることが受給条件となるため、受給中にあった収入を申告しなかった場合、不正受給とみなされます。したがって個人事業主はアルバイト収入や事業収入などが発生した場合、必ず申告しなければなりません。

虚偽の求職活動を申告した場合

失業保険には、就業への積極的な姿勢も受給条件に含まれています。このため活動実績のない就職活動の申告も、虚偽申請による不正受給とみなされることがあります。この報告は制度の根幹をなすものですので、正しく活動と報告を行ってください。

開業準備の事実を申告しなかった場合

雇用保険法では、個人事業は開業準備の段階から就労とみなされます。そのため失業保険を受給する個人事業主は、自営開始を予定する段階からハローワークに、その事実を申告・相談する必要があります。これは開業のタイミングにも影響するため、注意が必要です。

まとめ

個人事業主も、失業状態にあることを含む一定の条件を満たすことで、失業保険の受給対象になります。離職後すぐに開業する場合は失業保険の対象になりませんが、正しく申告・手続きを行うことで、失業保険受給期間の延長特例や再就職手当といった支援が受けられます。

但し、開業する際には準備の段階から就労とみなされるため、ハローワークへの報告・相談が必須です。制度とともに申請方法や満たすべき要件を理解し、適切に手続きを進めましょう。不安な場合はハローワークや専門家に相談し、最適な選択を検討してください。本稿が雇用保険活用の一助となれば幸いです。

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白色申告とは?フリーランス初心者におすすめの申告方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-shiroiro-shinkoku-guide/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-shiroiro-shinkoku-guide/#respond Mon, 04 Aug 2025 00:13:49 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=39332 はじめに
  • 白色申告とは、所得税や法人税の申告方法の1つ
  • 白色申告の記帳方法はシンプルなものでよい
  • 手続きや申請方法は簡単だが、受けられる控除は少ない
  • 白色申告の必要書類は、直近の確定申告書(第一表・第二表)と収支内訳書
  • 確定申告ではオンライン申告が便利

白色申告とは?

白色申告とは、所得税や法人税の申告方法の1つです。フリーランスや個人事業主は、年に一度確定申告をする必要があります。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、必要書類・帳簿の記帳方法・受けられる控除の種類などが異なります。
白色申告の対象者は、青色申告書の承認を受けていない納税者です。

本記事では、フリーランス初心者に向けて白色申告の概要や申告方法を解説します。

白色申告と青色申告との違い

白色申告と青色申告の違いを以下の表にまとめました。

白色申告青色申告
(特別控除が10万円の場合)
青色申告
(特別控除が55万円の場合)
青色申告
(特別控除が65万円の場合)
開業届提出の要否必要(未提出でも申告可)必要
確定申告前の事前申請手続き不要所得税の青色申告承認申請書の提出が必要
記帳方法単式簿記単式簿記複式簿記
作成書類収支内訳書損益計算書のみでも可損益計算書・
貸借対照表
赤字所得の繰越不可可(3年)
事業専従者への特例の適用配偶者は最高 86 万円、15 歳以上のその他の親族は最高 50 万円まで所得控除できる(事業専従者控除)全額可:全額経費にできる(青色事業専従者給与)
少額減価償却資産の特例の適用適用不可適用可(30万円未満の場合は、購入年に全額を経費にできる)
電子申告または電子帳簿保存不要不要必要

上記の表からおわかりいただける通り、青色申告は白色申告と比べて手続きや帳簿の記帳方法が複雑です。一方で、税制面では白色申告よりも優遇措置が取られています。

白色申告のメリット

以下では、白色申告のメリットをご紹介します。

記帳方法はシンプルなものでよい

白色申告の帳簿の様式・種類については、明確なルールが定まっていません。そのため、帳簿への記帳もシンプルな方法で構いません。

また、国税庁のホームページでは、簡易な記帳方法(単式簿記での記帳)を推奨しています。
単式簿記とは簿記の手法の1つであり、主に収益や費用の発生を記録することが目的です。
身近なものでは、家計簿やお小遣い帳などが単式簿記に該当します。

単式簿記(収入項目)複式簿記
収入項目金額借方(左側)貸方(右側)金額
売上300,000現金売上300,000
光熱費現金20,000
水道代現金15,000
単式簿記(支出項目)保険代現金25,000
支出項目金額通信費現金10,000
光熱費20,000
水道代15,000
保険代25,000
通信費10,000

開業届の提出や確定申告前の手続きはしなくてよい

白色申告時は、開業届の提出や確定申告前の事前申請手続き(所得税の青色申告承認申請書の提出)が不要です。
そのため、青色申告制度をよく理解できていない方にとっても手続きのハードルが低いです。

白色申告のデメリット

以下では、白色申告のデメリットをご紹介します。

受けられる控除が少ない

白色申告には特別控除がありませんので、青色申告よりも節税効果を感じにくいのが特徴です。ここでの控除とは、税負担を軽減するために所得から一定金額を差し引くことです。

一方、青色申告では、青色申告特別控除が適用できます。青色申告特別控除とは、所得金額から一定の金額を差し引ける制度です。控除額には65万円・55万円・10万円の3種類があり、適用される条件はそれぞれ異なります。また、青色申告では、青色事業専従者給与が全額経費にできます。

事業専従者控除は、白色申告でも一部適用されますが、配偶者は最高 86 万円、15 歳以上のその他の親族は最高 50 万円までしか控除できません。

純損失の繰越しや繰戻しが適用されない

白色申告では、純損失の繰越しや繰戻しが適用されません。
純損失の繰越しとは、本年の事業が赤字だったときに損失額を翌年から最長3年間繰り越せる(本年の赤字を翌年以降の黒字と相殺する)制度です。

一方、繰り戻しとは、本年の事業が赤字だったときに損失額を前年の黒字と相殺して税負担の軽減措置を施す(差額が返納される)制度です。そのため、事業が赤字の年は資金繰りが悪化する恐れもあります。

貸倒引当金の一部が計上できない

白色申告では、貸倒引当金の一部が計上できません。
貸倒引当金とは、何らかの理由で取引先から売上金を回収できなかった場合に備えて、積み立てておくお金です。

貸倒引当金には、個別貸倒引当金と一括貸倒引当金の2種類があります。
青色申告ではどちらの貸倒引当金も計上できますが、白色申告では一括貸倒引当金の計上ができません。

少額減価償却資産の特例が適用されない

白色申告では、少額減価償却資産の特例が適用されません。
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の減価償却資産(経年劣化により価値が減る資産)を取得した際、その年に全額を必要経費として計上できる制度です。

白色申告ではこの特例を受けられないため青色申告者よりも税負担が大きくなります。

白色申告に必要な書類と保管のルール

以下では、白色申告の手続きに必要な書類・作成方法・保管期間などをご紹介します。

必要書類・作成方法

白色申告に必要な書類は、直近の確定申告書(第一表・第二表)と、収支内訳書です。確定申告書の第一表と第二表は全ての申告者が提出する書類です。
確定申告書の第一表には、収入・所得・控除など事業主の基本情報(13項目)をまとめて、第二表には所得の内訳・保険料控除等に関する項目(13項目)を記入します。
以下では、白色申告者ととくに関係が深い収支内訳書について解説します。

  1. 申告者の情報

    氏名・住所・電話番号など、申告者の情報を記入する

  2. 日付や会計期間の記入・所得の選択を行う

    日付を記入する
    事業所得または雑所得を選択する(どちらかの「業」の文字を丸で囲む)
    会計期間(自○月○日 至○月○日)には通常、年始から年末(1月1日から12月31日)を記入する。ただし、年の途中で開業した場合は開業日から12月31日とする

  3. 収入金額

    本年中の売上(収入)金額や家事消費などを記入して合計額を算出する
    家事消費とは、家事のために消費・贈与した商品の通常販売価格のこと

  4. 売上原価(仕入れを行った場合のみ記入する)・差引金額

    期首・期末商品(製品)の棚卸高や仕入金額などを記入する。差引原価(⑦-⑧の合計額)を算出する。
    差引金額には④-⑨の合計額を算出して記入する

  5. 経費

    必要経費の各科目を記入する

  6. 専従者控除の所得金額・専従者控除・所得金額

    専従者控除の所得金額・専従者控除・所得金額をそれぞれ算出する

  7. 給与賃金の内訳

    給与や賞与を支払っている従業員の氏名・所得合計・所得税の源泉徴収税額などを記入する

  8. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳

    本年中に、税理士・弁護士・公認会計士などへ支払いが確定した報酬や料金を記入する

  9. 事業専従者の氏名等

    事業専従者とは、白色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族(15歳以上)のこと。
    本年中、事業専従者が6か月を超えて事業に従事している場合は一部の金額を必要経費にできる。

  1. 売上(収入)・仕入金額の明細

    主な売上(仕入)先の会社名やその所在地、売上(仕入)金額を記入する
    なお、登録番号を記入した売上(仕入)先については、会社名および所在地の記入を省略しても問題ない
    (合計金額欄)を記入後に、消費税の軽減税率の対象金額を記入する(省略可)

  2. 本年中における特殊事情

    前期までと異なる処理があった場合や事業が赤字になった場合など、特殊な事情があるときに記入する

  3. 減価償却費の計算

    平成19年(2007年)3月31日以前に取得した減価償却資産と、平成19年(2007年)4月1日以後に取得した減価償却資産では、定額法や定率法が異なる

  4. 利子割引料の内訳

    金融機関以外からの借入金の利子がある場合に記入する

  5. 地代家賃の内訳

    支払先の住所・氏名や貸借物件や貸借物件にかかる費用などを記入する

参考:国税庁|令和6年分 収支内訳書(一般用)の書き方

保管期間

白色申告でも、青色申告と同様に記帳制度や記録保存制度が設けられています。
以下の表では、保管が必要なものと保管期間をまとめました。

保管が必要なもの保管期間
法定帳簿(収入金額や必要経費などを記入した帳簿)7年
任意帳簿(業務に関して作成した法定帳簿以外の帳簿)5年
決算に関して作成した棚卸表・その他の書類5年
業務に関して作成(もしくは受領)した請求書・納品書・送り状・領収書などの書類5年

白色申告で確定申告する際の提出期限

以下では、白色申告で確定申告する際の提出期限をご紹介します。

確定申告の期間中に申告する

原則として、確定申告は毎年2月16日から3月15日の期間中に提出しなければなりません。
ただし、初日や最終日が土曜日・日曜日・祝日などであれば、初日や最終日は翌営業日に繰り越されます。

また、確定申告の期限を過ぎてから申告した場合は、期限後申告扱いとなります。期限後申告では、無申告加算税や延滞税が課されることもあるため、注意しましょう。

白色申告で確定申告する際の提出方法

オンラインから確定申告する場合でも、方法や選択肢はさまざまです。
オンライン経由での確定申告では、会計ソフトを使用して作成・提出できます。
会計ソフトは、民間企業が提供するものから国税庁が提供するものまでさまざまです。また、ほとんどのツールが、e-Taxと連携が可能です。

以下では、確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成後にe-Taxへ連携して送信する手順をご紹介します。

e-Taxソフト(Web版)から提出する

以下では、e-Taxソフト(Web版)から確定申告を行う方法・手順をご紹介します。
なお、e-Taxソフト(Web版)から確定申告できるのは、個人の利用者のみです。e-Taxを利用するにあたり、利用規約への同意が必要ですので、事前に必ず確認しましょう。
また、作成中は、データをこまめにダウンロードして保存しておくことが大切です。

  1. 申請や端末や方法に応じて以下のものを準備する

    スマートフォンから確定申告する場合は、マイナンバーカードを準備しましょう。パソコンから申請する場合は、マイナンバーカードに加えてICカードリーダライタとスマートフォンが必要です。
    また、必要に応じて利用者識別番号を準備しましょう。

  2. 確定申告書を作成する

    パソコンから国税庁の「確定申告書作成コーナー」を開く→申告書等を作成するから「作成開始」をクリックする→画面に従って作成する
    ※なお、保存データは「保存データを利用して作成」から再読み込みが可能

  3. e-Taxに連携して確定申告を送信する

郵送で提出する

確定申告書は郵送でも提出できます。
宛先は、所轄の税務署や所轄の業務センターです。業務センターとは、複数の税務署の内部事務を集約処理する施設のことです。

税務上の申告書・申請書・届出書は信書に該当します。郵送時は、第一種郵便物・もしくは信書便物として送付しましょう。

確定申告書の郵送時に必要な書類は以下の通りです。

  1. 確定申告書(第一表・第二表)
  2. マイナンバーカードの写し(マイナンバーカードがない方はマイナンバーが確認できる書類および身元確認書類の写し)
  3. 各種帳簿(白色申告者の場合は収支内訳書)
  4. 各種控除証明書類
  5. 添付書類(給与所得者や公的年金受給者などは源泉徴収票が必要)

昨今では、DXの推進により国税書類においても電子化・ペーパーレス化が進められています。そのため、2025年1月より収受日付印の押印が廃止されました。
ただし、収受日付印の代わりとして、希望者には日付・税務署名を記入したリーフレットの配布を行っています。

税務署の窓口で提出する

税務署の窓口で確定申告書を直接提出する際は、以下の持ち物を用意しましょう。

  1. 確定申告書(第一表・第二表)
  2. マイナンバーカードの写し(マイナンバーカードがない方はマイナンバーが確認できる書類および身元確認書類の写し)
  3. 各種帳簿(白色申告者の場合は収支内訳書)
  4. 各種控除証明書類
  5. 添付書類(給与所得者や公的年金受給者などは源泉徴収票が必要)

2021年より税務関係書類の押印義務が廃止されました。そのため、近年では記入ミスを訂正する際の訂正印は不要とされています。

白色申告の相談先

確定申告や帳簿への記帳方法などで不明点があるときは、以下の相談先・対処法をご参考になさってください。

確定申告の相談先

  • 税務署へ相談する(窓口・電話のどちらも相談可能)
  • 確定申告相談会の会場へ相談する(税務署主催)
  • 国税庁のホームページのチャットボットから相談する
  • 税理士へ相談する
  • 市区町村の役場へ相談する

帳簿への記帳方法がわからないときの相談先・対処法

  • 納税協会へ相談する
  • 商工会議所・商工会へ相談する
  • 税務署で記帳指導を受ける(個人課税部門の記帳指導担当者へ連絡する)
  • 国税庁のホームページの「記帳練習帳」を参照する

まとめ

青色申告と比べて、白色申告は手続きや申請が簡単です。そのため、青色申告が不安な方や、事業の規模が小さい場合は白色申告でも問題ありません。
一方、白色申告は青色申告よりも受けられる控除の種類が少ないです。そのため、節税を意識したい方には青色申告の検討をオススメします。

また、確定申告や帳簿への記帳方法などがわからないときは、勝手に判断せずに国の機関や専門家へ相談しましょう。

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青色申告とは?フリーランス・個人事業主向けに制度とメリットを解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-aoiro-shinkoku-guide/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-aoiro-shinkoku-guide/#respond Fri, 04 Jul 2025 07:30:00 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=38591 はじめに
  • 青色申告は確定申告の一種である
  • 青色申告には最大65万円の控除などの特典ある
  • 青色申告をおこなうには事前申請と複式記帳が必要である
  • 記帳が難しい場合は会計ソフトを利用するか税理士に依頼する方法がある
  • 青色申告の疑問点は放置せず税務署窓口などに相談しよう

青色申告とは

青色申告とは、確定申告の方法のひとつです。確定申告は、1年の所得金額を確定し、そこから所得税を算出する手続きです。青色申告は個人事業主やフリーランス、法人が選択できる確定申告の方法であり、最大65万円の控除などの特典をうけることができます。
ただし、青色申告をするための事前申請が必要だったり、複式記帳をおこなう必要があったりと、手間も発生します。
この記事では青色申告のやり方やメリット・デメリットについてくわしく解説します。

青色申告と白色申告の違い

確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。それぞれの違いは以下の通りです。

  • 白色申告

    白色申告は、帳簿の付け方が簡単だがあまり節税効果がない確定申告の方法だ。青色申告をしない場合、白色申告で確定申告をすることになる。

  • 青色申告

    個人事業主や法人が選択できる確定申告の方法が青色申告だ。ただし、青色申告をする場合は事前の申請が必要である。青色申告をするためには、1年の収支記帳と決算を複式記帳という複雑な方法でおこなわなければいけないが、最大65万円の控除を受けられたり、その他にも特典があったり、節税効果が大きい確定申告の方法である。

青色申告は、前述の通り帳簿のつけ方が複雑になって白色申告よりも難易度があがります。帳簿ソフトを利用して記帳したり 、仕事に関わるレシートや領収書をすべて保管したりする必要がでてきます。収支が大きかったり複雑すぎたりするような場合は、税理士への依頼が必要になることもあり得るでしょう。しかし手間がかかる分、大きな節税効果があります。

青色申告できる条件

青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある個人が対象です。たとえば、個人事業主・フリーランスで事業所得がある人や、所有している不動産によって所得がある人です。給与所得や雑所得のみでは青色申告対象者とならない(白色申告となる)ので注意しましょう。

青色申告が向いている人

青色申告に向いている人は以下の通りです。

  • フリーランス・個人事業主で白色申告をしている人
  • これから事業を始めようとしている人
  • 事業が赤字になりそうな人

それぞれ解説します。

フリーランス・個人事業主で白色申告をしている人

フリーランス・個人事業主で今まで白色申告をしていた人は、青色申告にした方が大きく節税できるでしょう。

なお、これまで白色申告において記帳は必要なかったのですが、2014年1月より、白色申告でも簡易記帳の義務が生じました。したがって現状は、白色申告でも青色申告でも確定申告の手間は以前より減っている状況です。このため、似たような手間がかかるのであれば、青色申告をした方が節税できるのでオススメといえます。

これから事業を始めようとしている人

青色申告で確定申告をおこなうためには、税務署に事前の届け出が必要になります。このため、税務署で開業届の提出をするとき、同時に青色申告の申請も済ませてしまうと大変便利です。

事業が赤字になりそうな人

青色申告で確定申告をすると、決算時の赤字を3年間繰り越せるため、白色申告よりも節税効果があがります。とくに事業の開始直後は赤字になることが予想されるため、開業と同時に青色申告をはじめるのはやはりオススメといえます。

会社員で副業している場合は?

会社員で副業をしている場合、確定申告は、副業分を雑所得として白色申告で申請するパターンがほとんどです。しかしながら、事業規模や事業金額によっては青色申告ができることもあるため、青色申告が可能かどうか迷ったときは、税務署で相談するとよいでしょう。

青色申告のメリット

青色申告で確定申告をおこなう主なメリットは、以下の5つです。

  • 青色申告特別控除が受けられる(最大65万円)
  • 家族の給与(青色事業専従者給与)を経費扱いできる
  • 赤字を3年間繰越ができる
  • 減価償却の特例を受けられる
  • 貸倒引当金を計上できる

それぞれ詳しく解説します。

青色申告特別控除が受けられる(最大65万円)

青色申告では、一定の要件を満たしたときに、65万円、55万円、10万円の特別控除を受けることができます。

まず、最大の控除額である65万円の青色申告特別控除を受けるには、次の要件をすべて満たすことが必要です。

  1. 不動産所得または事業所得があること
  2. 複式簿記で帳簿をつけていること
  3. 帳簿をもとにした貸借対照表を確定申告書に添付する
  4. e-Taxで青色申告をおこなうか、もしくは2の帳簿を電子保管する

55万円の控除は、この要件のうち1~3までを満たすと受けられます。
65万円・55万円の要件を満たさなかったとき、または確定申告の期限までに提出が間に合わなかったときは、10万円の控除になります。

まとめると、次の通りです。

青色申告特別控除を受けるための要件
65万円控除次の条件をすべて満たすことが必要である

・不動産所得または事業所得があること
・複式簿記で帳簿をつけていること
・帳簿をもとにした貸借対照表を確定申告書に添付する
・e-taxで青色申告をおこなうか、もしくは帳簿を電子保管する
55万円控除次の条件をすべて満たすことが必要である

・不動産所得または事業所得があること
・複式簿記で帳簿をつけていること
・帳簿をもとにした貸借対照表を確定申告書に添付する
10万円控除65万円・55万円の要件をみたしていないときや、確定申告の提出期限日に間に合わなかった場合、最大10万円の控除となる。

参考:国税庁|No.2072 青色申告特別控除

なお、実際の所得税の計算方法はルートテックでも詳細に解説しています。

家族の給与(青色事業専従者給与)を経費扱いできる

青色申告では、配偶者や家族に支払った給料を経費扱いにすることが可能です。ただし経費扱いにするためには、事前に管轄の税務署に青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要です。なお、事前に届けた給与額より大きい額の給与は経費とすることができないので注意しましょう。

参考:国税庁|No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

赤字を3年間繰り越せる

青色申告では、3年間にわたって赤字の繰り越しができます。つまり、決算で赤字が出た翌年以降に黒字が出た場合、そこで赤字の清算ができるということです。

参考:国税庁|No.2070 青色申告制度

減価償却の特例を受けられる

減価償却とは、固定資産の購入費用を使用期間にわたり分割して費用として計上する処理のことです。
青色申告では、通常分割して計上する減価償却を取得価格が30万円未満であれば一括して計上することが可能です。分割計上しなくてよくなるため、節税できる範囲が広がります。

参考:No.2100 減価償却のあらまし

貸倒引当金を計上できる

青色申告では、貸倒引当金を計上できます。貸倒引当金とは、取引先の倒産などで売掛金が回収不可となるリスクを見越して、あらかじめ計上しておく勘定科目のことです。
つまり、貸倒引当金を計上することで、将来の貸し倒れリスクに備えつつ、所得の圧縮が可能です。

なお、金額の設定には上限があり、年末時点における売掛金などの債権残高の5.5%以下(金融業では3.3%以下)を貸倒引当金繰越として計上できます。

参考:国税庁|No.2070 青色申告制度

青色申告のデメリット

確定申告を青色申告でおこなうデメリットとしては、以下のものが挙げられます。

  1. 事前申請が必要
  2. 複式簿記で帳簿をつける必要がある
  3. 65万円の控除を受けるにあたりe-Taxによる電子申請が必須

それぞれ解説します。

事前申請が必要

確定申告で青色申告をおこなうためには、事前に「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出する必要があります。なお、白色申告をおこなうための申請はとくにないため、比較してデメリットといえるでしょう。
なお、青色申告をしたくても、青色申告承認申請書の提出をしていなければ、白色申告しかできません。

複式記帳をおこなう必要がある

青色申告をおこない65万円・55万円の控除をうけるためには、1年の収支について、複式記帳をおこなわなければなりません。複式記帳は二重で記帳する複雑な記帳方法であるため、かなり手間がかかります。これは青色申告でよくいわれるデメリットです。
対策としては、会計ソフトを利用して確定申告する、税理士に依頼するといった方法があります。

65万円の控除を受けるにあたりe-Taxによる電子申請が必須

青色申告で65万円の控除を受けるには、e-Taxによる電子申請か、または、複式記帳の帳簿を電子保管する必要があります。デジタルが苦手な人やPCを所有していない人には、大きなデメリットといえるでしょう。

青色申告の方法と期限

確定申告での青色申告は、以下の順番でおこないます。

  1. 事前に税務署に申請をする
  2. 申告に必要な書類を準備する
  3. 確定申告書を作る
  4. 確定申告をおこなう

なお、確定申告できる期間は決まっており、確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。ただし、初日や最終日が土日祝日の場合は、翌平日になります。青色申告の提出が最終日に間に合わない場合、ペナルティとして控除額が減る可能性があります。期間中に余裕をもって提出できるようにしましょう。

1.事前に税務署に申請をする

前項で解説した通り、青色申告をおこなうためには、事前に青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出する必要があります。申請期限は、青色申告をしようとする年の3月15日まで(ただしその年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをしたりした場合には、その事業開始等の日から2か月以内)です。提出を忘れた場合、その年は白色申告しかできません。

参考:国税庁|A1-8  所得税の青色申告承認申請手続

2.申告に必要な書類を準備する

申請を終えて、確定申告の期日が近づいてきたら、青色申告に必要な書類を準備します。必要な書類は以下の通りです。

  • 青色申告決算書
  • 確定申告書
  • 添付資料

帳簿による決算書を作成し、付随する資料があれば添付します。これらをもとに、確定申告のための所定の用紙である「確定申告書」を記入することになります。

青色申告決算書

1年間の事業収支を表す重要な書類です。複式記帳による決算書を作成するには簿記の知識が必要ですが、近年では有料の会計ソフトに収支を入力するだけで自動的に複式記帳をしてくれるサービスが登場しています。個人事業主の方は、有料でもこちらを利用すると容易に青色申告できるのでオススメです。

添付資料

青色申告決算書の収支を証明する資料を添付します。

例:レシートや領収書、生命保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの控除証明書・掛金払込証明書、ふるさと納税の受領証明書など

確定申告書

確定申告には専用の用紙があります。以前は白色申告と青色申告は別の用紙でしたが、今は同一の様式に統一されています。電子申請(e-Tax)の場合は紙の申告書は必要ありませんが、記入したものを郵送する場合は、紙の申告書で提出することになります。事前に税務署などで確定申告用の申告書用紙を入手するか、国税庁のサイトからテンプレートをダウンロードして印刷しておきましょう。

参考:国税庁|所得税の確定申告

3.確定申告書を作る

決算書をもとに、確定申告書の作成をします。確定申告書の作成方法は複数あります。

  1. e-Tax(確定申告書作成コーナー)
  2. 会計ソフトによる出力または申告
  3. 手書き

e-Taxは、確定申告書作成コーナーというインターネットのWebページにアクセスして、オンラインで確定申告する方法です。
会計ソフトや確定申告ソフトは、複式記帳を自動でおこなってくれますし、e-Taxと連携してオンラインで確定申告がおこなえるものも多いので大変便利です。
手書きの場合は、確定申告用の用紙を使って記入します。

4.確定申告をおこなう

確定申告書が完成したら、確定申告をおこないましょう。申請方法は複数あります。

  1. 電子申請(e-Tax)
  2. 税務署の確定申告書作成コーナーで作成する
  3. 手書きの確定申告書を持参して税務署に提出する
  4. 手書きの確定申告書を税務署に郵送する

なお、郵送の場合は、消印の日付が提出日となります。

青色申告の際の注意点

確定申告を青色申告でおこなう際に注意すべきポイントを解説します。

保管が数年必要な書類がある

確定申告の際につけた帳簿やレシートなどの書類は、数年間の保管義務があります。白色申告と青色申告でそれぞれ保管期間が決められています。
青色申告の場合は次の通りです。

  • 帳簿

    保管期間:7年

  • 決済関係書類

    貸借対照表、損益計算書といった決算関係書類のこと。保管期間:7年

  • その他関係書類

    現金などのやり取りが記載されたレシート・領収書や生命保険の控除証明書など、通帳のコピーなどといった関連書類のこと。保管期間は原則7年だが、前々年分の事業所得・不動産所得が300万円以下のときは5年。

参考:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告

遅延や不正はペナルティがある

確定申告の遅延や不正は、追徴課税や青色申告承認の取り消しといったペナルティを受けることがあり得ます。
主な例は以下の通りです。

  • 確定申告をしなかった場合、無申告加算税が課され、通常より納税金額が増える
  • 期限後に確定申告をした場合は延滞税が課される
  • 故意に所得を隠した場合、重加算税が課される場合がある
  • 脱税や隠ぺいなどの行為をおこなった場合、青色申告の承認取り消し、さらには刑事罰(罰金・懲役)を受けることがある
  • 2事業年度連続で期限内に申告が行われなかった場合、青色申告の承認が取り消しになることがある

参考:国税庁|法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)

疑問点がある場合は相談を

疑問点がある場合はそのままにせず、税務署や税理士による無料相談などの相談可能な窓口に相談しましょう。確定申告の内容が不正確な場合には追徴課税がかかることもあり、本来の金額より大きな金額が後から課される可能性もあるからです。
なお、相談窓口は複数あり、特に確定申告期間中は出張相談などが増えます。疑問点がある場合は積極的に利用を検討するとよいでしょう。
相談できる主な窓口や、参考になるWebサイトは以下の通りです。

  • 所轄の税務署窓口(対面または電話)
  • 青色申告会(相談するには有料会員になる必要があるので注意)
  • 利用中の会計ソフトサポートサービス
  • 税理士による無料相談会(確定申告期間中に商工会議所などでおこなわれる)
  • インターネットのQ&Aサイト

まとめ

個人事業主やフリーランスは毎年確定申告をおこない、所得税を確定させる必要があります。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、個人事業主やフリーランスは青色申告が可能です。
青色申告では、最大65万円の控除を受けられるほか、家族の給与を経費として計上できる、赤字の清算や減価償却の特例が利用できるなど、数多くのメリットがあります。ただし、青色申告にはデメリットもあり、手間がかかる複式記帳をおこなう必要があったり、青色申告をするための事前申請をしなければいけなかったりというデメリットもあります。
記帳が手間である場合は会計ソフトを利用する方法がオススメです。事業規模が大きかったり会計処理が複雑だったりという場合は、有料で税理士に依頼する方法もあります。
また、青色申告で不正や遅延をした場合はペナルティが課されます。そのため、疑問点は放置せず税務署窓口や税理士による無料相談会で相談したり、インターネットのQ&Aサイトを参考したりして正しく申告をおこなうようにしましょう。

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個人事業主が経費にできるものとは?節税につながる勘定科目一覧 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-keihi/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-keihi/#respond Tue, 17 Jun 2025 01:07:23 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=38032 はじめに
  • 個人事業主の経費とは、事業活動に伴って必要となる支出のこと
  • 適切な経費の計上は、節税効果が期待できる
  • 経費は領収書等を整理して、勘定科目ごとに金額をまとめる
  • 個人事業主が経費にできないものは、事業とは関係のない個人的な費用や支出である
  • 自宅兼事務所利用の場合は、個人と共有する費用の家事按分(かじあんぶん)が必要になる

確定申告で何が経費として計上できるのか、必要なものや対応する勘定科目は何かから、計上できないものや、個人事業主ならではの判断に迷う経費について詳しく解説します。経費計上は節税対策につながりますが、計上しすぎるとリスクも伴います。どのように経費を計上すればよいか、上手な経費計上の方法をお伝えします。

個人事業主の経費とは

個人事業主の経費とは、事業活動に伴って支払った費用のことを指します。個人事業主の場合、個人的な費用と混同されがちなので、しっかりと区別する必要があります。経費を正しく認識し管理することで、適切な節税効果を得られます。

個人事業主の経費はどこまで計上できる?

計上できる経費に上限はありません。事業に関連する経費であれば、いくらでも計上することが可能です。しかし、収入と経費のバランスが悪いと税務署に不信感を抱かせる要因となります。たとえば、収入よりも多額の経費が続いたり、個人の費用を計上したりが疑われる場合です。経費は事業で生じたものであることを明確に示す必要があります。

経費計上が節税になる?

確定申告で納税額算出の基本となる課税所得金額の求め方は以下の通りです。

課税所得金額の求め方
課税所得金額=収入-経費-所得控除額

※課税所得金額とは、確定申告で納税額を求める基本となる金額

この計算式からもわかるように、経費を漏れなく計上することで、節税効果が期待できます。

経費と認められる判断基準は?

個人事業主の経費を認められるための判断基準は以下の3つです。

  • その支出が事業と関連しているか
  • 事業にとって必要なものか
  • 支払額が一般的判断で妥当な範囲内か

認められない例には、完全在宅のWebライターが通勤用として自家用車の使用している場合や、実際に利用していない自宅の一室を事務所として申告している場合があります。

経費率に目安はある?

経費率の目安は業種や事業規模によってさまざまで、一概に提示することは難しいのが実情です。しかし、以下のみなし仕入れ率を参考にすることは可能です。

消費税の簡易課税制度における「みなし仕入れ率」
  • 第1種事業:90%(卸売業)
  • 第2種事業:80%(小売業、飲食料品の譲渡に係る林業・農業・漁業)
  • 第3種事業:70%(第2種事業を除く林業・農業・漁業や製造業・建築業)
  • 第4種事業:60%(飲食業など)
  • 第5種事業:50%(サービス業・金融・保険など)
  • 第6種事業:40%(不動産業)

参考:国税庁|No.6509 簡易課税制度の事業区分

個人事業主が経費にできるもの一覧

個人事業主が経費にできる経費項目は、事業形態や事業内容に応じて異なる場合があります。以下の経費一覧は、主な勘定科目をまとめたものです。

経費にできるもの

地代家賃

地代家賃は、事業用の土地や建物を借りる際の費用を計上する項目です。事務所や店舗を借りている場合の家賃・管理費・共益費や、社用車の駐車場代、新規に借りる際の契約に関する費用等が計上できます。ただし、自宅用の駐車場代等には利用できません。

交際費

交際費は、取引先との打ち合わせやミーティング等にかかった食費や、ゴルフ等の接待にかかった経費を計上する項目です。家族や友人など個人的な会食には利用できません。

消耗品費

消耗品費は、法定耐用年数が1年未満で、固定資産にならない10万円未満の事務用品や電化製品等を計上する項目です。文房具やコピー用紙、名刺、パソコン周辺機器など少額物品も含まれるため、領収書を保管し経費計上することが重要です。

旅費交通費

旅費交通費は、事業に必要な移動に係る電車・バス・タクシー等の交通費や、出張時の宿泊・交通費・日当、高速道路料金(ETC利用料)やガソリン代等を計上する項目です。出張時の食事代は基本的には含めませんが、食事付きの宿泊プランでの食費は経費に含められます。

水道光熱費

水道光熱費は、店舗や事務所運営に必要な、電気・ガス・水道等の公共料金を計上する項目です。事務所兼自宅の場合は、事務所として利用している分を家事按分して計上します。家事按分については、以下で詳しく解説します。

通信費

通信費は、インターネットの回線使用料・電話代・切手代・ファックス代等の、事業で利用する通信費用を計上する項目です。こちらも事務所兼自宅の場合は、家事按分が必要です。

広告宣伝費

広告宣伝費は、事業や商品を宣伝する費用を計上する項目です。Webサイトやチラシ、看板の製作費や広告の原稿料等が含まれます。少額の来店記念品代も計上できます。

租税公課

租税公課は、事業に関連する税金や公的な負担金を計上する項目です。個人事業税・印紙税・固定資産税・社用車の自動車税等が含まれます。個人に係る税金は計上できません。

支払保険料

支払保険料は、従業員や事業に関わる財産の保護を目的とした保険料を計上する項目です。事故や火災等の損害保険料・自動車保険料・自賠責保険料などがあげられます。個人事業主本人に関わる生命保険料や年金型保険料等は対象外です。

人件費

人件費は、従業員に支払う給与や手当、雇用する際にかかる費用を計上する項目です。生計を一にする家族を雇っている場合、基本的に経費計上できません。しかし、青色申告で専従者給与特別控除の申請をしている場合は経費計上できます。

福利厚生費

福利厚生費は、従業員の健康診断費用や慶弔費、社員旅行や忘新年会の費用等、従業員の福利厚生のために支出した費用を計上する項目です。

法定福利費

法定福利費は、従業員を雇っている場合に係る健康保険料や厚生年金保険料等の、社会保険料の企業負担額を計上する項目です。

雑費

雑費は、勘定科目を設けるほど使用頻度のないものや、ほかの経費にあてはまらないものを計上する項目です。たとえば、支払手数料の勘定科目がないときの銀行の振込手数や、新聞図書購読費の勘定科目がないときの書籍代等の少額の経費をまとめて計上できます。
勘定科目は一度設定したら、毎年同じ項目に同じ経費を計上する必要があります。

仕入は経費とは別の勘定科目になる

商品や原材料の仕入れにかかった費用は、事業にかかった経費として計上することが可能です。ただし、経費とは別扱いで「仕入」や「商品」の勘定科目を使って処理します。確定申告でも仕入金額は「売上原価」として、経費とは別に記載します。

また、まだ販売していない仕入れにかかった費用は、その期の費用として計上せずに、在庫として資産に計上する必要があります。

個人事業主が経費にできないもの

個人事業主が経費にできないものは、事業とは関わりのない個人的なものや、株式会社では適用されても、個人事業主であるがゆえに適用されないものなどがあります。

私的な交際費や旅費交通費

事業と関わりのない費用は経費として認められません。たとえば、家族や友人との食事や飲み会、旅行などは私的に利用されたものになります。個人事業主の場合、明確に区別する必要があります。

個人事業主本人の福利厚生費

福利厚生費は従業員の保険・医療・慰安等に適用される経費です。個人事業主は従業員ではなく事業主なので、本人の福利厚生費は経費には適用されません。

個人事業主本人の健康診断費用

従業員の健康維持のため、定期的に健康診断を行う企業は多いです。従業員の健康診断費用は経費計上できますが、事業主本人は福利厚生費同様に適用されません。自己負担で実施しましょう。

個人事業主個人に課せられた税金

事業運営に関わる税金や公的負担金は租税公課として計上可能です。しかし、個人事業主が自分で支払う所得税や住民税など、個人に課せられた税金は経費とは認められません。

10万円以上の物品購入

10万円未満の物品は、消耗品費として一括で経費計上できます。しかし、10万円以上の物品は固定資産として扱われるため、減価償却が必要になります。減価償却資産については、後ほど詳しく解説します。

事業主や家庭のための支払い

個人事業主が個人的に支払ったものや家族のために購入したものなどは、事業活動と関係ないものなので経費計上できません。たとえば、子供が塾に通うための交通費や個人的な友人におくった慶弔費、家族のための買い物などは、税務署に疑問を抱かせないためにも明確に分ける必要があります。

家事按分で個人と共有するものの経費を明確にわける

事務所兼自宅の場合、水道光熱費や通信費、事業として占有する面積分の家賃、自家用車を事業に利用する場合などは経費割合を定める必要があります。使用時間や使用面積、走行距離(車の場合)等の、合理的な基準に基づいて按分しなければ税務署に否認されるリスクもあります。

家事按分とは事務用とプライベート用を使用比率で分けること

白色申告では「事業で利用する割合がおおむね50%超の家事関連費」が対象となっています。しかし、「所得税法 法令解釈通達45-2」では、50%以下でも必要性が明らかであれば経費算入できるとも記しています。明確な合理性の証明が必要ということです。
参考:国税庁|法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》関係

減価償却費の扱いに注意する

10万円以上30万円未満の減価償却資産は、一括で全額を経費計上することができません。各資産の法定耐用年数に応じて分割で経費計上します。
しかし、青色申告を行っている場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産で、年間の取得価額の合計額が300万円までの範囲内であれば、「少額減価償却資産の特例」を利用して一括で経費計上することも可能です。
参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

個人事業主の経費計上のやり方

経費計上のやり方と注意点を解説します。

必要な書類

経費を証明する書類には、いつ・誰が・どこで・何を・いくらで購入したかが記載された領収書が一般的に利用されます。取引の都度、領収書を受け取り保管しましょう。領収書以外では、レシート・クレジットカードの明細書・出金伝票・電子データも利用できます。以下に注意点をまとめましたので、参考にしてください。

経費を証明する書類に記載される内容
  • いつ(日付)
  • 誰が(購入者)
  • どこで(購入先)
  • 何を(購入品目)
  • いくらで(金額)
  • 領収書:最も利用される書類

    但し書きがあることで購入品目や購入目的が理解できる

  • レシート:領収書に代わる証明書類となる

    裏面に購入者や購入目的などのメモを記載するとよい

  • クレジットカードの明細書:領収書に代わる証明書類となる

    事業専用のクレジットカードを利用するとよい。購入目的などメモするとさらによい

  • 出金伝票:証明書類がない場合に利用できる

    自動販売機の飲み物や電車・バスの乗車料金など領収書がないときに利用できる

  • 電子データの領収書:ネット注文で購入した物品の領収書や納品書も証明書類となる

    電子領収書は電子データのまま保存する

参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました

青色申告の場合

青色申告では、正規簿記による書類の作成が必要になるため、青色申告決算書の損益計算書に勘定科目ごとに合計した金額を記入します。
青色申告は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるほか、青色専従者給与の経費計上、赤字の3年間繰越計上等の経費にできる項目が多く、節税効果を最大化できる可能性があります。

白色申告の場合

白色申告では簡易簿記で対応できるため、収支内訳書の経費の項目に、勘定科目ごとに合計した金額を記入し、確定申告書とともに提出します。青色申告に比べ簡易ですが、正確な計上が求められます。

経費計上が多すぎるとリスクにつながる

多くの経費を計上することで、節税対策になるため適切な経費計上が必要です。しかし、多過ぎる場合は、以下のようなリスクもあります。

税務調査の対象になる

経費計上が多すぎると、税務署から脱税を疑われ、税務調査の対象となる可能性があります。とくに赤字が続く場合は注意が必要です。税務調査で脱税と判断された場合の罰則は大変厳しいものになります。適切な経費管理が求められます。

銀行からの融資が受けられない

事業拡大のために銀行から融資を受ける場合、決算書や収支内訳書の提出が求められます。このとき、経費が多すぎて利益が極端に少ない、または赤字となっていると、融資が受けられない場合があります。
そればかりか、経営改善が優先だと苦言を受けるかもしれません。経費計上は慎重に行うことが重要です。

まとめ

事業を行ううえで、節税効果のある経費は重要な要素です。漏れなく正確に計上する必要があり、多すぎても少なすぎてもよいことはありません。日々の業務においては、細かい金額でも領収書を受け取り保管しましょう。さらに、個人事業主は事業者と個人の区別を明確にすることが、節税への近道となります。

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個人事業主必見!メールアドレスの作り方と参考例【信頼性を高める秘訣】 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-mailaddress/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-mailaddress/#respond Fri, 13 Jun 2025 05:26:45 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=38202 はじめに
  • メールアドレスは、仕事用とプライベート用で使い分けるのがおすすめ
  • 用途別に複数のメールアドレスを持つと、メール内容の整理がしやすい
  • 複数のメールアドレスを管理することは、セキュリティ強化にも効果的
  • 独自ドメインのメールアドレスは、信頼性やブランドイメージの向上につながる
  • メールアドレスは短くシンプルで、分かりやすくすること

個人事業主が使用するメールアドレスは、普段使用しているメールアドレスでいいのか、仕事用に新しく作成するべきか、悩む人も多いのではないでしょうか。また、独自ドメインとフリーメールの違いがわからず、作成方法に悩むこともあるでしょう。
この記事では、メールアドレスの使い分け理由やメリット、独自ドメインとフリーメールの違い、メールアドレスの取得方法などについてご紹介します。

個人事業主のメールアドレスは使い分けが大事!

個人事業主が仕事をするためには、仕事用とプライベート用でメールアドレスを使い分けることが大切です。使い分けずにメールでのやり取りを行った場合、業務上で重要な連絡や情報などを見逃す可能性があります。開業当初など、仕事が少ないうちは使い分けなくても対応できるかもしれませんが、忙しくなってからの作成は難しいため、あらかじめ作成しておくことがおすすめです。

仕事用メールアドレスを持つメリット

仕事用とプライベート用のメールアドレスを別に持つことで、さまざまなメリットが得られます。大きなメリットは、以下の4つです。

  • 複数のメールアドレスが取得可能になる

    ビジネス用にドメインを取得することで、事業の成長や用途に応じて新しいアドレスを追加できるため、複数のメールアドレスを柔軟に使い分けて対応できる。メールアドレスを用途別に分けられ、業務中に集中力を維持しやすくなる。

  • プライベートと仕事用を分けてメール内容を管理しやすい

    プライベート用と業務用を使い分けることでメール内容の整理がしやすくなり、重要な情報の見逃し防止や、管理業務の効率化が図れる。業務メールの間にプライベートな内容のメールが挟まらず、作業がスムーズに進められる。

  • セキュリティの安全性を強化しやすい

    複数のメールアドレスを使い分けて管理することで、特定のメールアドレスが漏えいした場合でも、他のアドレスへの影響を最小限に抑えられる。メールアドレスごとに個別セキュリティ設定を適用することで、スパムやフィッシングメール対策のフィルタリングを強化できる。

  • ブランドイメージや信頼性の向上につなげやすい

    独自ドメインのメールアドレスを使用することで、専門性を強調できるため、取引先にプロフェッショナルな印象を与えられる。ブランドイメージの向上にもつなげやすく、取引先との信頼関係の構築・強化ができる。

ビジネスに適したメールアドレスの選び方とは?

個人事業主にとって、メールアドレスはビジネスにおいて重要なコミュニケーションツールであり、事業の展開を左右する重要な要素の一つです。適切なメールアドレスを選ぶことは非常に大切で、顧客との関係構築やブランドイメージの向上に直結するため、どのように選べばいいか、迷う人もいるでしょう。
ここからは独自ドメインとフリーメールの違いや、個人事業主におすすめの選択肢についてご紹介します。

独自ドメインとフリーメールの違い

独自ドメインとフリーメールには、取引先からの信頼性やセキュリティ面、コスト面などに大きな違いがあります。大きな違いを以下の表にまとめました。

独自ドメインフリーメール
取引先からの信頼性信頼を得やすく、仕事も得やすくなる信頼性が下がりやすく、仕事が得にくくなる
セキュリティ・サポートセキュリティやサポートの充実性が高いサポートが限定的で、セキュリティ面に不安がある
ドメイン“~@”以降のドメインを好きな文字列で設定できる“~@gmail.com”など、
選択したフリーメールのドメインのみ利用できる
利用コスト利用する機能やサポートに合わせて使用料を払う基本的に無料で使用できる
機能面プラン内であれば、あらゆる機能が使用できる簡単に設定できるが機能は限定的で、広告が入る場合がある
ブランディング事業の専門性やブランドイメージを強調できる事業内容などのイメージが伝えにくい
複数のメールアドレス新しいメールアドレスが必要になった時、すぐに作成できる新しくアカウントを作る必要があり、アドレス管理が煩雑になりやすい

ビジネス用のメールアドレスを独自ドメインにすることは、個人事業主としての専門性や信頼性を強調できるポイントです。フリーメールの利用が禁止されている訳ではありませんが、取引先によっては信頼性が低くなり、仕事が得にくくなる可能性があるため、選択する際には注意した方がいいでしょう。

個人事業主のメールアドレスは独自ドメインがおすすめ

個人事業主が事業用のメールアドレスを作成する時は、独自ドメインで作成することをおすすめします。仕事を得るためには、取引先との信頼性や事業イメージが重要です。独自ドメインであれば信頼性やイメージの向上に加え、情報漏えい対策のセキュリティや必要に応じたメールアドレスの作成・管理が行えます。また、ドメインに業種や事業名、屋号などを入れて作成できるため、取引先が判断しやすくなり好印象にもつながるでしょう。

Gmailなどのフリーメールをおすすめしない理由

GmailやYahoo!メールなどのフリーメールは、初期費用がかからず手軽に利用できるため、起業したばかりの時には魅力的に見えるでしょう。しかし、誰でも取得可能なフリーメールは、信頼性に欠けるとみなされることが多く、取引先との関係構築に悪影響となる可能性があります。また、フリーメールでは広告が表示されることもあるため、セキュリティ面の脆弱性(ぜいじゃくせい)に懸念が残ります。事業の安定や信頼獲得、セキュリティ強化を進めるのであれば、独自ドメインのメールアドレスを使用するといいでしょう。

個人事業主が独自ドメインのメールアドレスを作成する方法

個人事業主が事業のために独自ドメインのメールアドレスを作成することは、安定かつ長期的なビジネスのために非常に重要です。独自ドメインのメールアドレスは、事業への信頼性やプロフェッショナルな印象、ブランドイメージの向上に大きな影響があります。
ここからは、独自ドメインのメールアドレスを作成するためのステップをご紹介します。

1.独自ドメインを取得する

まずは、ビジネスの内容に適したドメイン名を選び、独自ドメインを取得します。ドメイン名を決める際には、事業名や活動内容を簡潔に示せるものがおすすめです。職種やご自分の名前、屋号などを入れてみてもいいでしょう。

メールアドレスの構造を説明する図

ドメイン取得する際は、信頼できるドメインレジストラ(ドメインを登録し、データベースを管理する業者のこと)を利用することが大切です。初心者でも簡単に取得手続きができ、サポートも充実している点では「Namecheap」や「GoDaddy」などのサービスをおすすめします。ドメインは年間契約が一般的となっており、長期間契約することで割引が受けられる場合もあります。ドメイン取得後は所有権をしっかりと確認し、必要に応じてプライバシー保護のオプションを検討するといいでしょう。

2.メールサーバを契約する

独自ドメインを取得したら、次はメールサーバの契約に進みます。メールサーバは、メールの送受信を管理するために必要なサービスです。さまざまなプロバイダから多様なサービスが提供されており、豊富な選択肢があります。契約する前にはプロバイダが提供しているサービスを確認し、信頼性とサポートの質が高いものを選びましょう。
選ぶ際のポイントは、ご自身のビジネスに必要な機能や容量を事前に確認しておき、ニーズに合ったプランを見つけることです。例を挙げると「Gmail for Business」や「Microsoft 365」は、信頼性が高くビジネス向け機能が充実しており、おすすめです。

メールサーバの選び方

メールサーバを決める方法はレンタルサーバやクラウドサービス、独自サーバの設置の三種類があります。それぞれの特徴をメリット・デメリットとともにご紹介します。

  • レンタルサーバの利用

    レンタルサーバは初期費用が低く、コスト効率は高く利用できる点は大きなメリット。多くのレンタルサーバは簡単に導入できるよう設計されており、導入や運用に関するサポートも受けられるため、初心者でも利用しやすい特徴がある。ただし、機能やセキュリティ面では制限がかかりやすいデメリットがある。

  • クラウドサービスの導入

    クラウドサービスは、ビジネスの成長に合わせて必要な容量や機能を増やせる柔軟性が大きな特徴。定期的な更新やパッチ運用を自動で行うため、セキュリティ対策が充実している点はメリットと言える。サービスの多くは従量制の料金体系が一般的で、使用量が増えると維持費などのコストも増える点に注意。

  • 独自サーバの設置

    独自サーバはハードウェアやソフトウェアを自由にカスタマイズでき、自身のニーズに合わせて完全なカスタマイズ設定が可能。セキュリティ対策も独自強化できるため、機密情報保護のために高いセキュリティを構築できる。ただし、物理的なハードウェアに依存するため、容量や性能に制限がかかる場合がある。初期費用も高く、高度な専門知識がないと管理しにくいデメリットがある。

3.独自ドメインとサーバを紐付ける

独自ドメインとメールサーバの紐付けを行うことを、DNS設定と呼びます。この設定はメールアドレスを正常に機能させるために必要不可欠です。DNS設定が完了すると、ビジネス用のメールアドレスとして利用可能になります。
DNS設定の手順は以下の2ステップです。

  • 契約したメールサーバの管理画面にアクセスする
  • 管理画面から必要なDNSレコードを設定する

上記の手順を行うことで、メールの送受信ルートが適切に設定されます。通常、プロバイダからガイドが提供されるため、ガイドに従って設定を行うとスムーズに進められるでしょう。

4.サーバでメールアドレスを発行する

独自ドメインとメールサーバの紐付けが完了したら、いよいよメールアドレスの発行です。メールサーバの管理画面から、新しいメールアドレスが作成できます。

  • メールアドレス例
  • info@seraku.com
  • support@seraku.com

発行する際は、ビジネス内容や役割など、用途に応じて設定すると業務の効率化が図れます。また、メールアドレスの発行と同時に、パスワードの設定やセキュリティ設定も行い、アカウントの安全性を確保するといいでしょう。

独自ドメインのメールアドレスを作成する際のポイント

ビジネスにおいて、独自ドメインのメールアドレスは信頼性の構築に重要なツールです。個人事業主が取引先にプロフェッショナル、または専門的な印象を与えるためには、適切なメールアドレスの作成が必要です。ここからは、独自ドメインのメールアドレスを作成するために重要なポイントをご紹介します。

職種・名前・屋号を入れる

メールアドレスに職種・名前・屋号を入れることで、あなたが誰か、どのようなビジネスをしているかを瞬時に伝えられます。

  • メールアドレス例
  • hanako.yamada@seraku.it.com(名前+ビジネス名)
  • sales.yamada@seraku.com(名前+職種)

組織内での役割を入れるのも、何を担当しているかを伝えられるため、おすすめです。分かりやすいメールアドレスは、顧客や取引先が誰に連絡を取るべきかが理解しやすく、コミュニケーション効率の向上につながるでしょう。

サービス名を入れる

メールアドレスにサービス名を入れると、提供しているサービスや商品を明確に伝えることが可能です。複数のサービスを展開している場合、非常に便利です。

  • メールアドレス例
  • support@seraku.com
  • info@seraku.com

上記のような形式にすることで、メールの内容がどのサービスに関連しているのか一目で理解しやすく、受取人がメール内容を迅速に把握して対応できます。また、サービス名を含めることでブランド認知度を高め、ビジネスの専門性を強調することにもつながるでしょう。

短くわかりやすくシンプルにする

メールアドレスは短く、わかりやすく、シンプルであることが重要です。長すぎるアドレスは入力ミスを招きやすく、覚えにくいため、受取人にとって不便と言えます。

  • 覚えやすいメールアドレス例
  • k-yamada@seraku.com
  • it-support@seraku.com

上記のような短くシンプルなアドレスは覚えやすく、誤入力のリスクを減らすと同時に、プロフェッショナルな印象を与えます。また、アドレスに記号や数字を多用すると、スパムフィルタに引っかかる可能性があるため、避けた方がいいでしょう。
ビジネスの信頼性を高めるためには、簡潔かつ明瞭なメールアドレスが大切です。

商標や類似名称をチェックする

メールアドレスを作成する際には、商標の事前チェックが重要です。特に、ビジネス名やサービス名を含める場合、他社の登録商標を侵害しないよう細心の注意が必要です。もし商標を侵害してしまうと法的な問題に発展し、ブランドイメージを損なう可能性があります。
商標侵害を避けるには、特許庁のホームページや商標データベースで検索することが重要です。また、法的リスク回避のためには専門家による確認を通じて、使用予定の名称が保護されていないか、類似の商標が存在していないかをチェックもしておくと安心です。

まとめ

個人事業主はメールアドレスを仕事用とプライベート用で使い分けることで、重要な業務連絡を見逃すリスクを減らし、効率的な管理を可能にします。仕事用のメールアドレスに独自ドメインを使用すれば、取引先への信頼性を高めて専門性をアピールできます。フリーメールは信頼性やセキュリティ面で懸念があり、複数のメールアドレスを管理することも難しいため、独自ドメインの利用がおすすめと言えるでしょう。独自ドメインでメールアドレスを作成する際は、職種や名前を入れて短くシンプルにまとめるよう意識することがポイントです。

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個人事業主がiDeCoを始めるメリットデメリットを解説! https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-ideco/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-ideco/#respond Fri, 06 Jun 2025 07:41:44 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=37652 はじめに
  • iDeCoは老後の資金を毎月コツコツ積み立てながら資産形成する制度
  • 掛け金は所得税控除の対象になり、運用益も非課税になる
  • 60歳まで途中引き出し・解約は原則不可能
  • iDeCoの運用には手数料がかかり、元本割れのリスクもある
  • 無理なく長期運用できるように負担のない掛け金にすることが重要

20歳から65歳までの方なら職業問わず、誰でも加入できるiDeCo。個人事業主は将来受け取れる年金が少ないため、iDeCoの加入を考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、個人事業主がiDeCoを利用する際のメリット・デメリット、iDeCoの上限額や気になる節税対策についてもあわせて詳しく解説していきます。

「個人型確定拠出年金」iDeCoとは

iDeCoとは、自分でコツコツと掛け金を積み立て、60歳以降に老後資金として受け取ることができる私的年金制度です。公的年金だけでは将来の生活が不安な個人事業主にとって、iDeCoは有力な選択肢のひとつです。

個人事業主で公的年金だけでは将来が不安な方は、iDeCoについて詳しく知っておくと視野が広がることでしょう。以下で、iDeCoの特徴を押えておくと安心です。

iDeCoの特徴

iDeCoの特徴として節税効果が期待できます。掛け金を支払うと、所得税・住民税の負担が減りますし、運用益はすべて非課税です。そして受取時は、控除制度を利用でき所得税を軽減できるという特徴があります。以下では更に詳しくiDeCoのメリットやデメリットについて解説しています。

iDeCoの個人事業主の上限額は月額6.8万円

2025年5月時点で、個人事業主のiDeCoの掛け金額の上限は、月額68,000円と他の職種よりも高めに設定されています。しかし、国民年金基金や国民年金付加保険料と合算されているため、iDeCoの掛け金とあわせて月額68,000円を超えないように注意が必要になります。なお、年1回までなら現在の掛け金を変更することが可能です。無理のない範囲での運用を心がけましょう。

加入区分掛金の月額上限
第一号被保険者 自営業者月額6.8万円
第二号被保険者 会社員・公務員
会社に企業年金がないケース月額2.3万円
企業型確定拠出年金に加入しているケース月額2万円
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入しているケース
確定給付企業年金にのみ加入しているケース
公務員等
第三号被保険 主婦・主夫月額2.3万円

参考元:iDeCoの拠出限度額について

個人事業主のiDeCoのメリットや節税対策とは?

個人事業主は会社員と異なり、退職金や企業年金といった制度がないため、自分で老後の資金を積み立てて準備しておく必要性があります。更に個人事業主は他の職業と比べて上限額も高く設定されているため、より多くの資産形成が可能になるでしょう。

ここではiDeCoを利用開始するとどのようなメリットや節税効果があるのか解説しています。iDeCoの運用開始前にメリットをしっかりと把握しておくことをおすすめします。

  • 運用利益は非課税になる
  • 掛け金は所得税控除の対象になる
  • 受取時に税制の優遇措置が受けられる

運用利益は非課税になる

iDeCoは国の年金制度の一環として位置づけられています。一般的に投資信託を運用した場合は、利益に対して約20%の税金がかかってしまいますが、iDeCoは非課税になります。なぜなら、長期的な資産形成が目的なので運用益に対して課税されないという特例が設けられているためです。

掛け金は所得税控除の対象になる

国の税制優遇措置の一環により、iDeCoに投資した掛け金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、住民税や所得税が軽減されます。小規模企業共済等掛金控除とは、年金の上乗せを目的に自分で積み立てた掛け金を、課税所得から差し引けるという仕組みです。これにより、課税所得が減り、税負担の軽減が図れます。

受取時に税制の優遇措置が受けられる

iDeCoの受取時に税制優遇措置があるのは、老後の資金をできるだけ手元に残せるようにするためです。一時金で受け取りたい場合は退職所得控除、年金で受け取りたい場合は公的年金等控除が適用されます。これにより、受取時の税負担も抑えられます。

個人事業主iDeCoのデメリットや注意点とは

メリットばかりにもみえるiDeCoですが、デメリットや注意点もあります。これらも事前に把握しておくと安心です。

  • 途中引き出し、途中解約は原則不可能
  • 価格変動リスクがある
  • 手数料がかかる
  • 毎月の掛け金が負担になることも

途中引き出し、途中解約は原則不可能

iDeCoは長期的な老後の資金形成を目的とした制度であるため、原則60歳まで引き出しや解約ができません。iDeCo利用中に事業不振になり、実生活が厳しくなったとしても途中引き出しや途中解約はできませんので、あらかじめ注意しておきましょう。
ですので、iDeCoだけに頼らず、流動性の高い資産の形成もあわせて行うことが重要です。

価格変動リスクがある

iDeCoは、価格変動のある投資信託などの金融商品を用いて資産を運用します。タイミングにより運用益が増えたり減ったりし、積み立てた金額よりも少なくなる元本割れが起こることもあります。このように価格変動のリスクがあるので注意が必要です。元本確保型の商品も選べますが、利回りは低めです。

手数料がかかる

iDeCoには加入時手数料・毎月の口座管理料・信託報酬・給付手数料・還付手数料など手数料がかかります。iDeCoを長期間運用するほどコストが積み重なり、運用益を圧迫してしまうことがデメリットです。老後資金を貯蓄する制度ですが、利用するにあたり一定の手数料がかかることを、あらかじめ押さえておくと安心です。

毎月の掛け金が負担になることも

iDeCoは毎月決まった額を積み立てていくため、事業の収入が不安定な時期には掛け金が負担に感じてしまうことがあるでしょう。それに加えて途中引き出しや、途中解約もできないため、事業の資金繰りが厳しいときに頼れないこともデメリットと言えます。しかし、毎月無理のない金額で運用できれば、将来心強い味方になってくれることでしょう。

iDeCoと小規模企業共済を併用しての運用はできる?

iDeCoは、小規模企業共済と併用が可能で、どちらも掛け金が全額所得控除の対象となるため、節税効果も期待できます。今後、iDeCoと小規模企業共済を併用して運用をしようと考えている方はあらかじめポイントを押さえておきましょう。

併用時のメリットと注意すべきポイントとは

iDeCoは投資で資産を増やすことができ、小規模企業共済は将来の退職金として受け取ることができます。併用して運用することで、節税しながらバランスよく将来の貯蓄を準備できます。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出しができず、小規模企業共済も原則として廃業や退職など一定の事由がない限り途中解約が難しいため、流動性には注意が必要です。 iDeCoと小規模企業共済は運用方法やリスクの性質が異なるため、併用することで資産全体のリスクを分散することができます。iDeCoでの運用成果が振るわない場合でも、小規模企業共済による安定的な貯蓄効果が期待できる点は、安心材料といえるでしょう。

まとめ

iDeCoとは、自分で老後の資金を毎月積み立てていく制度です。iDeCoの掛け金は全額所得控除になり、運用益も非課税です。長期で運用した場合、この非課税のメリットは大きく、老後資金の形成に効果的です。しかし、途中引き出しや途中解約ができず、急な事業不振の資金繰りには当てられません。また、手数料もかかるため毎月の掛け金も無理のない範囲で決めておくことが重要です。ですが、iDeCoを無理なく運用していければ、節税をしながらもしっかりと自分の老後の資産形成ができる、心強い制度です。

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個人事業主が法人化するメリット・デメリットは?最適なタイミングも解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-houjin-ka/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojin-houjin-ka/#respond Mon, 26 May 2025 06:56:19 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=37569 はじめに
  • 法人化することで個人事業主よりも信用力が高まるメリットがある
  • 個人事業主の法人化には維持管理の複雑化とコスト増加のデメリットも伴う
  • インボイス制度により消費税の免税期間が失われる可能性もあるため要注意
  • 法人化するタイミングはメリットとデメリットを比較してよく見極める必要がある
  • 法人化には法令遵守の取り組みや長期の事業計画策定といった継続的な努力が必要

本稿ではフリーランスをはじめとした個人事業主が、事業を拡大するために法人を設立する法人化について、メリット・デメリット、手続きの流れや最適なタイミングについて詳しく解説します。

個人事業主の法人化とは?

ここで述べる法人化とは、個人事業主から事業形態を法人に変更することを指します。法人とは個人と同様の独立した人格を持つ組織であり、例としては株式会社や合同会社、社団法人やNPO法人などがあります。

個人事業主の法人化では、事業は個人の所有から独立した法人に継承して運営され、法律上の権利と義務が法人に伴います。これにより事業の信用力が向上し、対外的なイメージの向上も期待できます。

個人事業主が法人化するメリット

法人には個人事業にはない、さまざまなメリットが存在します。以下の項目では、代表的な3つのメリットについて解説します。

信用力とイメージの向上につながる

法人は法律によって倒産時などの責任を、出資額を限度とした責任とする有限責任で守られるため、無限責任である個人事業主よりも信用力が高くなります。これは取引先や金融機関との関係構築において大きなメリットです。法人名義の契約を結ぶことで、ビジネスの信頼性や事業に対するイメージを高められます。

節税効果が期待できる

個人所得と法人所得では税率が異なるため、法人化によって所得税の負担を軽減できる可能性があります。法人の方が個人よりも所得税率が低くなる場合があるため、所得額によっては節税効果が期待できます。また、経費として認められる範囲も広がるため、経費計上の幅にも余裕ができます。

資金調達の手段が増える

法人化により、資金調達の手段が増えます。株式や社債の発行による資金調達が可能となり、融資を受ける際の融通性も期待できるため、事業拡大に必要な資金を集めやすくなります。

個人事業主が法人化するデメリット

法人化にはデメリットも存在します。以下の項目では、代表的な3つのデメリットについて解説します。

手続きと管理の負担が伴う

法人化には複雑な手続きが伴います。設立登記や定款作成など、初期段階での手続きが複雑で大きな負担が伴います。また法人としての管理業務も増えるため、事業の内容や形態によっては専門的な知識が要求されることもあります。

事業の維持費が増加する

法人を維持するためには個人事業よりも多くの費用がかかります。例えば、法人税や社会保険料、会計監査費用など、事業の規模に比例して多くの支出が発生します。

経理業務が複雑になる

法人化すると、経理業務がより複雑になります。毎月の給与管理業務をはじめ、出入金の管理も複雑化するため、事業規模によっては専門の担当者が必要です。また定期的な決算報告や税務申告が必要となるため、これらの作業には専門的な知識が求められます。

法人化する手続きの流れ

法人化の手続きでは、複数の役所に専門的な書類を提出するため、手続きの完了には2~3週間ほどかかります。表内の流れが手続きの手順です。

  1. 会社形態の選択

    株式会社や合同会社など、適切な会社形態を選ぶ

  2. 定款の作成

    会社の基本ルールを定めた定款を作成する

  3. 設立登記

    法務局で設立登記を行い、法人としての認定を受ける

  4. 税務署への届出

    法人としての税務手続きを税務署に届け出る

  5. 社会保険への加入

    従業員を雇う場合は社会保険に加入する義務がある

これに伴い、個人事業として開業している場合には廃業の手続きが、法人に引き継ぐ資産がある場合には引き継ぎや名義変更の手続きが必要になります。複雑な手続きになりますので行政書士や司法書士、税理士との連携も視野に入れると、より確実です。

法人化の最適なタイミング

法人化の最適なタイミングは、事業の成長に応じて判断します。具体的には事業拡大を計画するタイミングや、所得税が高くなり始める頃が適していますが、消費税の課税に関するタイミングも目安になります。以下の項目で詳しく見ていきましょう。

事業拡大や資金調達を検討するとき

事業が成長し、人材採用や設備投資が必要なタイミングは法人化の好機です。法人化することで、採用や事業に対する支援や助成が受けられるようになります。資金面でも社債や株式を使った資金調達ができますし、個人に比べて社会的信用も高まるため、銀行からの融資も受けやすくなります。

事業所得が900万円を超えるとき

個人の所得税率は累進課税のため、課税所得695万円以上で23%、900万円以上で33%に上がりますが、法人の所得税率は800万円を境目に15~23.2%です。そのため事業所得が900万円を超える際は、法人化による節税が期待できます。

ほかにも法人であれば役員報酬による所得の分散や、生命保険・退職金といった経費の幅が広がることで、一層の節税対策が期待できます。そのため事業所得が900万円を超えるタイミングが法人化の好機と言えるでしょう。

参考:国税庁|タックスアンサー No.2260 所得税の税率
参考:国税庁|タックスアンサー No.5759 法人税の税率

事業売上が1000万円を超えるとき

個人事業で事業売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の納税義務が生じます。一方、新設法人で資本金1,000万円未満かつインボイス発行事業者でない場合は※、最長で2年間消費税が免除されるため、その直前の法人化は節税上有利なタイミングと言えます。

※但しインボイス発行事業者となる場合は、申請時点で消費税の課税事業者となり、免税期間がなくなるため注意が必要です。

個人事業主が法人化を検討する際の注意点

法人化を検討する際は手続きやメリット・デメリットの理解のほかにも、注意すべきことがあります。以下で代表的なものを簡単にまとめました。

  • 専門家との連携

    事業の内容や規模によっては、税理士や弁護士といった専門家との連携が必要になる

  • 長期的な事業計画の策定

    法人化後の資金調達や経営戦略といった、長期的な事業計画が必要となる

  • 法令遵守への取り組み

    法人化後は企業の法的な義務を理解するとともに、適切な取り組みを継続する必要が伴う

  • 個人事業主に戻ることが難しい

    法人から個人事業主に戻るには登記簿から法人格を消し、残った純資産を株主へ返金する手間がかかる

まとめ

個人事業主の法人化には、信用力の向上や節税効果への期待といった多くのメリットがあります。一方で法人化には、手続きの負担や事業管理コストの増加といったデメリットも伴います。法人化を検討する際は、これらをよく比較して最適なタイミングを見極めましょう。

法人化の前後には事業規模の拡大とともに複雑な手続きが伴いますので、これを一人で行うことが難しければ、専門家との連携を視野に入れるとより確実です。本稿が後悔のない選択と法人化を成功させる一助となることを願っています。

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事業開始等申告書とは?開業届との違いと提出方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-jigyoukaishitoshinkokusho/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-jigyoukaishitoshinkokusho/#respond Fri, 16 May 2025 00:00:05 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=37084 はじめに
  • 事業開始等申告書は、個人事業主が新規事業を開始する際に必要な書類
  • 地方税である個人事業税に関係している
  • 提出先は各都道府県の税事務所
  • 未提出でも罰則やペナルティは特にないが、なるべく提出しよう
  • 開業時に提出が必要な書類を整理しておこう

事業開始等申告書とは?

事業開始等申告書とは、個人事業主が新しく事業を始める際に地方自治体へ提出する書類です。
国や自治体が新しく始まる事業について正確に把握して、税金や法令を管理するためにこの手続きが必要となります。提出期限は事業所の所在地によって違うため、いつまでに提出しなければいけないのかきちんと調べておきましょう。
また、事業所得が290万円を超えると、個人事業税の納税義務が発生します。毎年、前年の所得について、3月15日までに各都道府県の税務署へ申告が必要です。
ただし、所得税の確定申告をする場合には、個人事業税のために別途申告をする必要はありません。「事業税に関する事項」の欄に必要事項を記入して、確定申告書を提出しましょう。

開業届との違い

開業届と事業開始等申告書の主な違いは以下の通りです。

開業届事業開始等申告書
税金の種類国税地方税
書類の提出先税務署各都道府県税事務所
提出期限開業日から1か月以内都道府県によって異なる

開業届は国税である所得税に関する書類で税務署に提出するのに対し、事業開始等申告書は地方税である個人事業税に関する書類で、提出先は各都道府県税事務所です。

個人事業税は個人事業主が得た収入に対してかかる税金で、地域のインフラや公共サービスの維持に使われます。

開業届は所得税法第229条で、事業開始から一か月以内に提出しなければならないと定められています。もし開業届を出し忘れてしまった場合でも、古い日付に遡って提出が可能です。

事業開始等申告書の書き方

ここでは東京都の事業開始等申告書を元に、書き方を解説します。
都道府県ごとに申告書のレイアウトは違いますが、基本的には事業所や事業主の情報、開始年月日などを記入します。各都道府県の税事務所ホームページにある申告書記載例も確認してみましょう。

出典:東京都主税局|事業を始めたとき・廃止したとき

事務所・事業所の所在地

事業を行う場所の住所と電話番号を記載します。市区町村や番地、建物名などは省略せずに正確に書きましょう。

名称・屋号

事業を行う際に使用する名称および屋号を記載します。ない場合は空欄でも問題ありません。

事業の種類

事業の内容や業種を記載します。
たとえば飲食店の場合は「飲食店業」、生花店の場合は「花・植木小売業」となります。

事業主の住所・氏名

事業を行う本人の住所と氏名を記載します。
自宅で事業を行う場合は、事業所の住所と同じになるので「同上」と書きます。

開始・廃止・変更等の年月日

開業した日付を記載します。開業日は個人事業税の課税期間や納税額に関係してくるので、正確に書きましょう。

事由等

申告書を提出する理由に丸をつけます。開業する場合は「開始」を丸で囲みましょう。

申告日・申告者氏名

提出日を記入し、署名と捺印をします。
提出日は申告書を持参する日、もしくは郵送する日です。

宛先の税事務所

事業開始等申告書の提出先となる税事務所名を記入します。

事業開始等申告書の提出方法・期限

事業開始等申告書の提出方法や期限について解説します。

提出期限

事業開始等申告書の提出期限は、都道府県ごとに異なります。
たとえば東京都の場合は、個人事業を始めた日から原則15日以内が提出期限です。一方、大阪府では開業した日か事務所・事業所を設けた日から2か月以内の提出と決められています。
提出期限を知りたい場合は、自治体に問い合わせるか、各自治体のホームページを確認してみましょう。「事業開始等申告書 ○○県(都道府県名)」と検索すると情報が出てきます。

提出方法

所轄の税事務所へ届け出ます。税事務所窓口で手続きするほか、郵送での受付や電子申請を行っている場合もあります。

事業開始等申告書を提出しないとどうなる?

事業開始等申告書には提出期限が定められているものの、期限を超過したり提出をしなかったりしても、特に罰則やペナルティはありません。
ただし、個人事業税の課税対象となった場合は、事業開始等申告書提出の有無に関係なく、都道府県から納税通知書が届くため、内容を確認し期限内に納付を行ってください。課税対象となるのは、地方税法で定められている法定業種70種に該当している事業で、事業所得や不動産所得など290万円を超える所得があった場合です。

事業開始時に必要な書類

開業時に提出を求められる書類は、事業開始等申告書のほかにも複数あります。事業規模や事業内容によって提出すべき書類が変わるので、事前に確認しておきましょう。

開業届

前述の通り、事業開始時に届け出が必要な書類のひとつです。開業届を提出すると事業者名義の銀行口座を開設したり、確定申告で青色申告を選べたりと、メリットも複数あります。

青色申告承認申請書

税金計算上で有利になる青色申告制度を利用したい場合、こちらの申請も忘れずに行いましょう。要件を満たすと最大65万円の控除を受けられ、節税になります。青色申告制度では、事業で発生した赤字を翌年以降の利益から差し引いて節税できる「損失の繰越控除」や、一定の条件を満たした家族への給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」など、さまざまなメリットがあります。

青色事業専従者給与に関する届出書

事業を手伝う配偶者や親族に支払う給与を経費に計上したい場合、青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要です。家族への給与が経費になることで節税になるほか、収支が明確になり財務管理をしやすくなるメリットがあります。ただし、青色事業専従者給与は扶養控除や配偶者控除と併用できない点に注意しましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

役員や従業員を雇用する際に必要な書類です。開業時に従業員がおらず、後から雇い入れることになった場合にも提出が求められます。提出期限は役員や従業員を雇用する日から一か月以内です。期限を過ぎてもペナルティはありませんが、忘れずに提出しておきたい書類のひとつです。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税は、給与を受け取る際に天引きされる所得税です。企業や個人事業主が給与から事前に差し引いて、従業員本人に代わって納付をします。
原則毎月納付となりますが、従業員常時10人未満の場合には半年ごとにまとめての納付が特例として可能となります。この申請をすると納付回数が少なく済むため、事務負担を軽減できるのがメリットです。

適格請求書発行事業者の登録申請書

インボイス制度は、複数税率があっても事業者が消費税を正確に納められるように、消費税の金額などを記載した請求書や領収書(インボイス)を基に計算する仕組みのことです。
適格請求書発行事業者の登録申請書を提出すると、仕入税額控除を受ける際に必要となるインボイスの交付が可能となります。多くの事業者がインボイスの発行を求めるため、登録することで取引の機会が増える可能性があります。

まとめ

事業開始等申告書は、新たに事業を開始する際に必要な書類のひとつです。提出を忘れてしまっても特にペナルティは発生しませんが、税務処理を滞りなく進めるためにも、期限内に申告するのが望ましいです。期限や書類のレイアウトが都道府県ごとに異なるため、所轄の税事務所のホームページなどで確認しておきましょう。

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開業届をオンラインで提出するには?必要な準備とポイント https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-online/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-online/#respond Thu, 15 May 2025 08:24:24 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=37106 はじめに
  • 開業届はオンライン提出が可能
  • オンライン提出のメリットは、時間や手間が省けること
  • e-Taxや無料のWebサービスからオンライン提出できる
  • オンライン提出時は、ICカードリーダやスマートフォンが必要
  • オンライン申請には、マイナンバー情報が必要

開業届はオンライン提出できる?

開業届とは、個人事業主として事業を開始するときに、税務署へ提出する書類のことです。開業届はオンラインから提出が可能です。
開業届をオンライン提出する際は、主に「国税庁のオンラインサービス」を利用します。
昨今では、開業届の作成・提出を支援するWebサービスの提供を無償で行っている企業も増えています。

開業届をオンラインで提出するメリット

以下では、開業届をオンライン提出するメリットについて解説します。

時間や手間が省ける

オンラインから開業届を提出するメリットは、他の手段と比べて時間や手間が省けることです。これは、開業届の作成から提出までが、すべてオンライン(パソコン・スマートフォン)のみで完結するためです。

一方、郵送で開業届を提出する場合は、書類の作成・封入作業のあとに、郵便局へ行ったりポストに投函したりしなければなりません。また、税務署の窓口で手続きを行う場合は、書類の作成・記入にかかる時間だけでなく、待ち時間も考慮しておく必要があります。

24時間365日いつでも提出が可能

自分の都合がつく日時に開業届を作成・提出できるのが、オンラインのメリットです。時間や場所にとらわれず、いつでも開業届を提出できます。

郵送や税務署の窓口で手続きする場合、税務署や郵便局の開庁時間に自分の都合を合わせなければなりません。また、税務署や郵便局の窓口の受付時間は、基本的に平日の日中のみですので、限られた方しか来庁できないのがデメリットです。

履歴が残る

オンラインで開業届を提出した場合、開業届の控えは発行されません。
ただし、オンラインでは、提出履歴が残るため、それを控えの代わりとして活用できます。

たとえば、e-Taxでは、開業届の提出後に受理したことを知らせるメッセージが届きます。メッセージには、開業届の受理日や提出書類の状況などが記載されているため、きちんと保存しておきましょう。

開業届のオンライン提出時に準備が必要なもの

以下では、開業届のオンライン提出時に必要なものや準備について解説します。

マイナンバーカード

オンラインから開業届を提出する際は、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードとは、マイナンバー(個人番号)が記載されている顔写真付きの身分証明書のことです。

また、マイナンバーカードにはICチップが内蔵されており、なかには個人情報が記録されています。オンラインから開業届を提出する際は、ICチップ内の個人情報をWebへ読み込む必要があります。
マイナンバーカードがない方は開業届のオンライン申請ができませんので、注意しましょう。

ICカードリーダまたはスマホ

先述した通り、開業届のオンライン申請時にはマイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードの情報を読み込むには、ICカードリーダ・スマートフォンなどの専用機器や端末を準備しましょう。

ICカードリーダとは、ICカードに記録された電子情報を読み取る機器のことです。ICカードリーダは、パソコンへ接続して使用する機器のため、スマートフォンから手続きを行う方には必要ありません。

オンラインで開業届を提出する方法

オンラインから開業届を提出する際は、国税庁のサービス(e-Tax)や無料のWebサービスを利用できます。
以下では、それぞれの方法について解説します。

e-Taxで申請する場合

e-Taxとは、国税庁の電子手続きシステムのことです。e-Taxから開業届を提出する際は、マイナンバーカードの用意や利用者識別番号・電子証明書の取得が必要です。

事前に取得・インストールしておくもの

e-Taxから開業届を提出する前に、利用者識別番号や電子証明書の取得およびe-Taxソフトのインストールが必要です。すべて、パソコンやスマートフォンから取得・インストールができます。

  • 利用者識別番号とは

    利用者識別番号とは、e-Taxの申告時に使用する16桁の番号のことです。
    利用者識別番号をすでに取得している方が再取得すると、以前の番号は使えなくなります。古い利用者識別番号に関する情報(メッセージボックスや通知書等一覧の内容など)は確認できなくなるため、注意しましょう。利用者識別番号の取得は以下のサイトから行えます。
    参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|作成・送信する開始(変更等)届出書の選択

  • 電子証明とは

    電子証明書とは、オンライン申請時に用いる身分証明書のことです。
    取得にはマイナンバーカードが必要ですので、持っていない方は以下のサイトから申請しましょう。
    参考:マイナンバーカード総合サイト|申請・受取方法/申請状況確認

    パソコンから電子証明書を取得する場合はe-Taxソフトのインストールが必要です。また、ほかの民間認証局等が発行する電子証明書のなかにはe-Taxで利用できるものもあります。各認証局に関しては、以下のサイトをご参照ください。
    ※1:政府共用認証局が作成する電子証明書および、地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)の認証局が作成する電子証明書は、個人利用不可
    ※2:商業登記認証局が発行する電子証明書は個人事業主の利用不可。
    参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|電子証明書の取得

    スマートフォンから電子証明書を取得する場合は、マイナポータルアプリから手順に従って申請します。
    ※マイナポータルアプリから電子証明書を取得できるスマートフォンは、2025年4月現在Android機種のみ
    参考:マイナポータル|スマホ用電子証明書に対応しているスマートフォンを教えてください。

  • e-Taxソフトのインストール

    e-Taxソフトは、国税庁のホームページからインストールできます。
    ※OSはMicrosoft Windowsのみ対応(Macは非対応)
    参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|e-Taxソフトのダウンロードコーナー

e-Taxから開業届を提出する手順

e-Taxから開業届を提出する手順を解説します。

  1. e-Taxを起動する
  2. メニューボタンの「作成」をクリックする
  3. 「申告・申請等」をクリックする
  4. 右下にある「新規作成」をクリックする
  5. 手続きの種類は「申請・届出」を選択、作成する申告・申請等の税目は「所得税」を選択する
  6. 「個人事業の開業・廃業等届出書」にチェックを入れる
  7. 申告・申請等名を記入する
  8. 利用者識別番号・個人番号などを入力する(マイナンバーカードを読み取る) 提出先の税務署を設定する
  9. 基本情報の入力が完了したら「OK」をクリックする
  10. 「作成」→「申告・申請等」→「個人事業の開業・廃業等届出書」→「帳票編集」をクリックする
  11. 所定の項目を記入して「作成完了」をクリックする

無料のWebサービスから提出する場合

無料のWebサービスからも開業届の提出が可能です。

無料のWebサービスを利用する場合も利用者識別番号と電子証明書の取得は必要ですので、マイナンバーカードは忘れずに準備しておきましょう。

開業届のオンライン提出におけるポイント・注意点

以下では、開業届をオンライン提出する際のポイントと注意点について解説します。

ネット環境やセキュリティ対策を整える

オンラインから開業届を提出する際は、ネット環境の整備やセキュリティ対策を講じる必要があります。

また、ネット環境次第では、ソフトのインストールや開業届の手続きなどが、スムーズに進まない可能性もあります。
不測の事態に対応できるよう、事前にバッファ(余裕時間)を設けておくと安心です。

マイナンバーカードやICカードリーダが必要

オンラインで開業届を提出する際は、マイナンバーカードやスマートフォン・ICカードリーダなどが必要です。持っていない方は事前に準備しておきましょう。

とくに、マイナンバーカードの取得には時間を要することがあります。開業届の提出日が迫っている方は、早めに行動しましょう。

オンライン以外で開業届を提出する方法

開業届は郵送や税務署の窓口でも提出できます。
以下では、オンライン以外で開業届を提出する方法について解説します。

郵送で開業届を提出する方法

開業届は、所轄の税務署(納税者の納税地を管轄する税務署)宛に郵送で提出できます。

郵送で開業届を提出する際に封入するもの
  1. 個人事業の開業・廃業等届出書の原本

    国税庁のホームページからダウンロードが可能

  2. 切手を貼付した返信用封筒

    日付や税務署名を記載したリーフレットの送付を希望できる。リーフレットの希望者のみ、切手を貼付した返信用封筒を同封する

  3. 本人確認書類の写し

    「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」などのコピー

  4. 個人番号(マイナンバー)がわかる書類

    マイナンバーカード以外の身分証を提出する場合は、マイナンバーを確認できる書類が別途必要(マイナンバーカードの場合は、マイナンバーの確認と本人確認が同時に行えるため不要)

  5. 青色申告承認申請書(任意)

    青色申告を希望する方のみ必要

郵送時には追跡や記録が残る配送方法をオススメします。
その際は「第一種郵便物」または「信書便物」として送付しましょう。宅配便では信書(差出人の意思や事実を受取人に伝える文書)が送れないため注意が必要です。

税務署の窓口で開業届を提出する方法

開業届は、所轄の税務署の窓口でも提出できます。

税務署の窓口で手続きする際に持参・用意するもの
  1. 個人事業の開業・廃業等届出書の原本

    税務署にある用紙を使用可能

  2. 本人確認書類

    「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」など

  3. 個人番号(マイナンバー)がわかる書類

    マイナンバーカード以外の身分証を提出する場合は、マイナンバーを確認できる書類が別途必要(マイナンバーカードの場合は、マイナンバーの確認と本人確認が同時に行えるため不要)

  4. 印鑑(認印でOK)

    訂正が必要な場合にあると便利

  5. 青色申告承認申請書(任意)

    青色申告を希望する方のみ必要

まとめ

開業届はオンラインから提出可能です。オンラインで提出する際は、国税庁や民間企業が提供しているサービスを利用できます。
オンラインのメリットは、自分の都合にあわせて開業届を提出できることです。そのため、近年ではオンラインから開業届を提出する人が増えています。

ただし、オンライン提出時は、マイナンバーカードやマイナンバーカードを読み取るための機器が必要です。
また、マイナンバーカードは取得に時間がかかります。準備や申請方法などに関しては、事前に調べておきましょう。

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個人事業主が作るべき印鑑とおすすめの種類を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-inkan/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-inkan/#respond Thu, 15 May 2025 00:02:17 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=37042 はじめに
  • 個人事業主の印鑑は実印、銀行印、認印を最低限用意しておけば問題ない
  • 個人用の印鑑と併用可能だがセキュリティの観点から分けて印鑑を作るのがオススメだ
  • 請求書など書類の信頼度をあげるために事業用の角印を作り運用するのもよい方法だ
  • ペンネームや屋号をもつ場合はその名称で事業用の印鑑を作るのも一つの手だ
  • 税務署に提出する開業届や確定申告といった書類に印鑑を押す必要はない

個人事業主に印鑑は必要?

個人事業主は重要な契約を結ぶときや、銀行口座の開設などにおいて印鑑が必要になります。この記事では、個人事業主に印鑑はなぜ必要か、最低限持つべき印鑑はどれか、持っていると便利な印鑑などを解説します。

印鑑の種類

印鑑にはいくつか種類があります。

  • 実印
  • 銀行印
  • 認印
  • 角印
  • 丸印
  • 住所印(ゴム印)
  • 電子印鑑

このセクションでは印鑑の種類と特徴や役割を解説します。

実印

実印とは、住民登録をしている自治体で印鑑登録を行い、公的に証明される印鑑です。賃貸契約や不動産購入、車の購入といった正式な契約をかわすときには、実印の使用とともに印鑑登録証明書が必要になることがほとんどです。
なお、実印の作成には、チタンや牛角といった壊れにくい高級素材がよく使用されます。実印登録のあとに印鑑が欠けてしまって使えなくなると、再登録が必要になるため、破損しにくい丈夫な素材を選ぶとよいでしょう。

銀行印

銀行印は、新規口座の開設や小切手・手形の手続きといった、銀行・金融機関の手続きに必要な印鑑のことです。
個人の銀行印は苗字またはフルネームで、認印よりやや大きめの丸印で作成するのが一般的です。個人事業主の場合は、名前に屋号を加えて作成する方も見受けられます。ただし、屋号入りの印鑑が個人事業主用の銀行口座の開設に使えるかどうかは、銀行によって違いがあるため、注意しましょう。
お金に関する重要な印鑑であるため、セキュリティの観点から、普段使う印鑑や実印とは別に銀行印を作るのが基本の考え方です。また、銀行印と口座の通帳は別々に保管することも非常に大切です。この2つが盗難にあうと、銀行窓口で預金を引き出されてしまうトラブルがあり得ます。

認印

認印とは、簡易的な印鑑のことです。宅配便の受取や社内回覧の確認印などといった、日常での簡易的な手続きで頻繁に使用されるので、見たことがある人、普段使っている人が最も多い印鑑といえるでしょう。100円ショップやはんこ屋などで販売されている三文判やシヤチハタのようなスタンプタイプの印鑑が認印として使われることが多いです。
ただし、認印は実印や銀行印に比べて法的効力が低いため、重要な契約などには別途、実印や銀行印を用意することがほとんどです。

角印

角印とは、社印のことです。法人で使われる角印は、印影が正方形の印鑑で、社名が彫られているのが大きな特徴です。見積書や納品書、請求書、領収書といったお金に関する書類によく使われます。
個人事業主にとって角印は必ずしも必要な印鑑ではありませんが、とくに屋号がある個人事業主は、公私混同を避けるために屋号で角印を作っておくとよいかもしれません。

丸印

丸印とは、法人では代表者印を指しますが、個人事業主の場合は実印のことです。

住所印(ゴム印)

個人事業主の氏名や屋号、住所、電話番号をスタンプで押せるゴム印は、事業をするにあたって必須ではないものの、意外と重宝するシーンがあります。
たとえば複数の取引先に請求書を送るときや、大量のDMを送付するときに、郵送物の差出人住所の記入を省略できるため、事務作業にかかる時間が大幅に短縮されます。ゴム印注文時にメールアドレスやURLなどを入れることも可能です。ひとつもっていると便利な印鑑です。

電子印鑑

電子書類やオンライン決済の普及によって、電子的に押印できる印鑑が登場しました。重要書類に使用する場合はオンライン上でのセキュリティ面に気を付けましょう。

個人事業主が最低限持つべき印鑑は?

個人事業主が法人と同じ印鑑をそろえなくてはいけない、ということはありません。では、最低限用意しておくべき印鑑はどれなのか、と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
このセクションでは、個人事業主が最低限用意すべき印鑑とその理由を解説します。

実印、銀行印、認印を用意しておけばOK

結論からいうと、個人事業主が持つべき最低限の印鑑は、実印・銀行印・認印の3つで問題ありません。個人事業主は日常的な書類や請求書などには認印を使ってもとくに問題はなく、実印、銀行印も個人名で作成したもので問題はありません。
税務署に提出する確定申告などの書類も、個人事業主については基本的に押印が不要になりました。税務署に提出する開業届にも押印は不要です。詳しくは国税庁のページをご覧ください。

参考:税務署窓口における押印の取扱いについて|国税庁

個人事業主が印鑑を使う場面とは

個人事業主が印鑑を使うのは、次のような場面です。

  • 銀行口座の開設(銀行印)
  • 融資の申し込み(実印)
  • 不動産契約(実印)
  • 日常の書類、請求書、領収書の処理(認印、角印)

これらの印鑑は個人のものと併用も可能ですが、セキュリティの観点から銀行印と実印は事業用に分けて、新しく作ることをオススメします。

個人事業主が印鑑を作るメリット

前述のとおり、個人事業主には事業用の印鑑が必ずしも必要というわけではありません。
しかし、個人事業主でも角印を作って使用している方は少なくありません。
では、個人事業主が事業専用の印鑑を作るメリットはなにがあるのでしょうか。このセクションでは、個人事業主が印鑑を作る理由やメリットについて解説します。

顧客や取引先からの信用度が上がる

顧客や取引先からみたとき、見積書や納品書に格式のある角印が押されているのと、三文判のような簡易な印鑑が押されているのでは信用度が大きく異なることがあります。格式のある印鑑が押されている書類は、確認をしたという事業者側からの意思表明になるため、書類の信用度を上げる効力をもちます。
そのため、個人事業主であっても、あえて事業専用の角印を作るのもよいでしょう。書類の格式を上げるほか、公私混同を避ける効果もあります。なお、個人事業主が角印を使用するにあたって、実務・法律面ともに問題はとくにありません。

相手に本名を知られずにすむ

漫画家やイラストレーターなどのクリエイター系職種では、ペンネームで活動している個人事業主も少なくありません。そのような場合は、ペンネームや屋号で印鑑を作っておけば、不必要に本名を知られるリスクを回避できます。

個人事業主としての意識が強まる

形式的なことではありますが、事業用のアイテムをきちんと用意しておくことで、事業に対するモチベーションがアップする効果が見込まれます。その一環として事業用の印鑑を用意しておくのもよいでしょう。

まとめ

個人事業主の印鑑は、実印、銀行印、認印を最低限用意しておけば問題ありません。これらの印鑑は、個人用の印鑑と併用可能ではありますが、セキュリティの観点から実印と銀行印については、個人用と別に印鑑を作るのがよいでしょう。
最低限必要な印鑑は先ほど挙げた3種類ですが、請求書などの書類の信頼性を高めたい場合は、事業用の角印を作成して活用するのも効果的です。また、ペンネームや屋号で活動している場合は、それらの名称で印鑑を作成することで、本名が不用意に知られるリスクを回避できます。

個人事業主は、重要な契約を結ぶときや銀行口座開設、融資を受けるために、認印以外の印鑑を使う機会が増えます。印鑑の作成および管理には注意を払い、適切な場面で使用できるようにしておきましょう。

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個人事業主になれない人の特徴とは?開業が難しい理由と対策を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-narenai/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-narenai/#respond Wed, 14 May 2025 01:50:41 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36967 はじめに
  • 開業届を税務署に提出すれば誰でも個人事業主になれる
  • 副業禁止の企業に勤めている場合は、上司への相談が必要不可欠
  • 法律に触れている場合は、個人事業主になるための要件確認から行う
  • 公務員は基本的に副業禁止のため、個人事業主にはなれない
  • ただし、非営利活動なら副業と見なされず許可される場合もある

原則として誰でも個人事業主になれますが、この働き方が自分に向いているかどうかの判断は、慎重に行う必要があります。
この記事では、個人事業主になれないケースや、向いている人・向いていない人の特徴などをご紹介します。個人事業主になることを検討する際に、ぜひご参考ください。

個人事業主とは

個人事業主とは法人を設立することなく個人で事業を営む個人のことです。個人事業主になるための要件は特にないため、税務署に開業届を提出することで、原則誰でも個人事業主になれます。従業員を雇用していたとしても、法人でなければ個人事業主と見なされます。
個人事業主は事業者であり労働者には基本的に該当しないため、労災保険と雇用保険へ加入できず、労働法による保護が受けられない点は、大きな特徴です。

個人事業主になれないケースとは?

前述したように、開業届を提出すれば誰でも法的に個人事業主になることが可能です。しかし、以下の条件に当てはまる場合、個人事業主になれないケースがあります。

  • 副業禁止の企業に勤めている
  • なんらかの法律に触れている
  • 本業が公務員である

特に、公務員は信用失墜行為の禁止・守秘義務・職務専念義務の三原則を守る必要があるため、副業は国家・地方公務員法で禁止されています。個人事業主になるということは、公務員でありながら事業を起こすことでもあるため、基本的に認められません。

【理由別】個人事業主になれない場合の注意点

個人事業主になれないケースでは、起業するためには一定の要件を満たす必要や、条件付きの許可を得る必要があります。どちらも満たすことなく起業した場合、法律違反となる可能性があるため、注意が必要です。
ここからは、理由別の注意点をご紹介します。

勤め先の企業が副業を禁じている

企業に勤めている場合、その企業の就業規則で副業が禁止されていることがあります。就業規則での副業禁止は、厳密に言えば法的な拘束力はありません。しかし、企業の機密情報を副業に利用したり情報漏えいの原因となったり、本業への悪影響があった場合は別です。企業内の処罰だけでなく、法律でも厳しく罰せられるでしょう。
どうしても本業と併せて副業を行いたい場合は、副業可の企業へ転職する方法もあります。ただし、副業が本業に悪影響を及ぼす場合には不可とされますので、注意しましょう。

法律の定めに触れている

国や自治体で定められた法律に該当する場合も、個人事業主になれないケースの一つです。ただし、絶対になれないわけではありません。それぞれのケースに該当する要件を満たすことが求められます。

対象者内容・注意点
18歳未満未成年でも個人事業主になれるが、契約を締結する際には親や親族など、法定代理人による同意書が必要。協力が得られなければ開業できない。
親が法定代理人であることを証明するために、戸籍謄本の提出が求められる場合もある。
成年被後見人・被保佐人・被補助人精神上の障害などによって判断能力が欠如しており、法律行為を適切に行うことが困難と見なされた場合、個人事業主になることを制限される可能性がある。
個人事業主になるには、法的な能力を補うために、適切な法定代理人が必要となる。
破産者自己破産の経験がある人は信用情報機関に事故情報が登録されるため、金融機関から融資を受けることが難しく、資金調達が困難になる。一定の要件を満たせば事業の再開は可能だが、財務状況の改善策を講じることが求められる。
禁錮以上の刑に処された人社会的な信用が低く起業も営業も困難になる可能性が高いが、一定の要件を満たせば個人事業主になれる。個人事業主を目指すのであれば、法的な制約内容を理解し、信用回復に努めることが重要。

上記にまとめた内容・注意点をおさえることで、個人事業主になれる可能性があるでしょう。ただし、要件を満たすためには本人の適性や能力だけではなく、家族や知人などの協力といった、社会的な状況も必要不可欠です。

本業が公務員である

前述したように、公務員は信用失墜行為の禁止・守秘義務・職務専念義務の三原則を守る必要があります。副業が国家・地方公務員法で禁止されていることから個人事業主にはなれません。
ただし、営利目的でなければ副業と見なされず、許可がもらえるケースもあるようです。以下の表に、副業例としてまとめました。

副業例内容・注意点
投資(株式・FX・仮想通貨など)株やFXなどの資産運用は副業に該当しないため、基本的には自由に行うことが可能だが、業務と重複した時間に投資を行うことはできない。三原則の範囲内で行うことが大前提。
ただし、業務で知り得た未公開情報をもとに株式売買を行って利益を得る行為は、インサイダー取引に当たり法律違反となるため、取引方法には要注意。
不動産不動産は、売却目当ての投資は不可。あくまでも家賃収入を得る目的で、以下条件にあてはまる不動産賃貸業のみが認められる。
・家屋の賃貸は、物件の数が5棟未満かつ10室未満であること
・土地の賃貸の場合は、10件未満であること
・賃貸する不動産が娯楽・遊戯目的または宿泊目的に使われていないこと(劇場・映画館・ゴルフ練習場・旅館・ホテルなど)
・駐車場の賃貸は、駐車台数が10台未満かつ平面で、機械設備を設けていないこと
・賃貸料収入の年収が500万円未満であること
講演・執筆活動講演や執筆活動は、単発で発生する講演や執筆の場合には許可が必要ないとされている。ただし、定期的または継続的に行う場合は、申請をした上で許可を得る必要がある。活動時間は、他の副業と同様に公務員としての業務時間と重複しないことが重要で、本業に支障がある場合は活動不可となる。
講演における謝礼金は、営利目的でない場合のみ受け取れる。
農業(小規模・家庭菜園)農業をはじめとした牧畜・酪農・果樹栽培などは、自給自足を目的とした小規模農業であれば兼業として認められる。一定の規模を超える場合は承認を得る必要があるため、自己判断せずに勤務先に確認することが重要。
農業が盛んな地域では、公務員と農業の兼業も珍しくないことから、規模が大きい農業でも承認が得られやすい傾向にある。
家業手伝い家業の手伝いは無報酬であれば可能。しかし、国家公務員は非営利団体で自営に該当する副業は基本的に制限されており、地方公務員も自治体の制度や家業の内容などによって可否が異なる。自己判断で進めずに、勤務先の承認を得る必要がある。
やはり、三原則の範囲内であることが大前提。
フリマアプリなどの処分売却不用品を売るだけであれば問題ないが、転売・せどり目的であれば禁止行為に当たる。趣味のハンドメイド品を販売する場合も、作ったが使わない不用品であり、販売価格が原価程度であれば問題ないが、販売頻度が高い場合は禁止行為に当たる可能性がある。
本業に支障をきたさない範囲で行うこと。

一部の自治体では副業解禁に向けた動きがあります。本業に支障がなく社会貢献性があるなどの基準・条件がしっかりと定められた場合は、地方公務員の副業が可能となるかもしれません。

個人事業主に向いている人の特徴

開業届を提出すれば個人事業主になれるとはいえ、どういった人が向いているのか、自分の向き不向きが気になる人もいるのではないでしょうか。
ここからは、個人事業主に向いている人の特徴を5つ、ご紹介します。

責任感・責任を負う覚悟がある

個人事業主は、事業に関わるすべての責任を負う必要があります。企業勤めの頃は上司や会社が責任を負っていたことにも、自分で対処し責任をとらなければならないため、相応の責任感や覚悟がなければ務まりません。事業の成功・失敗のすべてが自分次第です。困難な状況下であっても、積極的に改善しようと行動できる人は、個人事業主に向いていると言えます。
責任感をもって仕事に取り組むことで、顧客や取引先とのスムーズな信頼構築につながり、人脈によって事業の発展にもつなげられるでしょう。

向上心・チャレンジ精神がある

個人事業主は、常に目まぐるしく変化する社会情勢や市場動向、顧客のニーズなどに臨機応変に対応する必要があります。そのためには新しいスキルや知識を積極的に学び続ける姿勢も重要となり、向上心やチャレンジ精神がある人には有利です。事業の競争力の維持や継続的な成長にもつなげられます。
さらに、新しいプロジェクトやアイデアに挑戦することで、事業の幅を広げることが可能です。失敗を恐れずに挑戦することで、成功への道を切り開くことができるでしょう。

営業・交渉スキルがある

自分で案件を獲得する個人事業主にとって、営業や交渉のスキルは必要不可欠です。
営業スキルが高い人は顧客のニーズを的確に把握して最適な提案ができ、交渉スキルがある人は取引条件を有利に進められます。営業・交渉スキルがある人は、顧客を獲得しつつ取引を成功へ導けるため、利益を最大化させることが可能です。スキルを磨きながら案件を受けることで、個人事業主としての信頼性が向上し、長期的な成功を収められるでしょう。

自分の裁量で業務を進めたい

自分の裁量で業務を進めたいという意欲は、業務の進行を自分のペースで管理しつつ効率的に成果を上げられるため、個人事業主にとって重要な要素です。裁量権を持つことで、創造的なアイデアを自由に試みることができ、事業の継続性や革新につながります。また、自分の裁量で業務を進めることでストレスを軽減し、充実した仕事環境を築くことが可能となるでしょう。

しっかり自己管理ができる

個人事業主にとって、自己管理能力は欠かせない要素です。自己管理ができる人は、目標に向かって計画的に行動し、時間を有効に使うことが可能です。スケジュール管理やタスクの優先順位付けを行うことで、効率的な業務の遂行や、成果につなげられます。これにより、事業の安定性を維持し、継続的な成長を実現します。また、自己管理能力が高い人は健康管理やストレス対策もしっかりと行えるため、個人事業主としての事業運営を長期的にセルフサポートできるでしょう。

個人事業主に向いていない人の特徴

個人事業主には、さまざまな変化への迅速な対応や、自ら事業を切り開く力が求められます。必要とされるビジネススキルの有無以外に、個人事業主に向いていない人の特徴を4つ、ご紹介します。

主体性・決断力がない

個人事業主が円滑に事業を運営するには、迅速かつ的確な判断が求められます。主体性と決断力が欠けていると、問題の解決に手間取ったり、新しいビジネスチャンスへの対応が遅れたり、重要な場面での選択に迷って機会を逃してしまう可能性があります。
主体性を高めるためには、自らの考えを明確にして、積極的に意見を発信する練習が効果的です。日々の小さな決断を積み重ねて、自信や決断力を養っていくといいでしょう。

コミュニケーションが不得意

コミュニケーション能力が低い場合、個人事業主としての活動に大きな支障をきたします。コミュニケーションが取れないだけでも顧客や取引先などの関係構築が難しく、信頼を得にくくなります。その結果、ビジネスチャンスを逃したり、顧客満足度を低下させたりする可能性があるでしょう。
コミュニケーションが不得意な人は、まず基本的な会話スキルを向上させることが重要です。具体的なポイントは以下の3点です。

  • 相手の話をしっかり聞く
  • 明確な言葉で自分の意見を伝える
  • フィードバックを受け入れる姿勢を持つ

人と関わる機会を積極的に増やし、実践を通じてスキルを向上させると良いでしょう。

保守的・安定性を求める

保守的で安定性を求める人は、挑戦に消極的な傾向にあるため、個人事業主に向いていると言えません。新しい市場やビジネスモデルに対するリスクを恐れて、現状維持を選んでいては競争の激しいビジネス環境での適応が難しく、成長の機会を逃す可能性があります。安定性を求めること自体は悪いことではありませんが、事業を拡大させるためにはある程度のリスクを取ることも必要です。
対策として、リスク管理のスキルを身につけ、小さなリスクから徐々に挑戦していくことでリスクへの耐性を高めるといいでしょう。情報収集も怠らず、市場の変化に対応するための柔軟性が持てると、挑戦にもつなげやすくなります。

自己管理ができない

自己管理ができない人は、個人事業主として成功するのが難しいです。スケジュール管理が甘いと納期を守れず、顧客の信頼を失う恐れがあります。業務の優先順位がつけられなければ、効率的な仕事ができず、結果として事業の成長が妨げられます。
自己管理能力を高めるためには、まず目標設定を明確にし、それに基づいた計画を立てることが重要です。時間管理ツールやアプリを活用して日々のタスクを可視化したり、定期的に自分の進捗を確認したり、必要に応じて計画を見直していくといいでしょう。

まとめ

個人事業主は開業届を提出することで誰でもなれますが、副業禁止の企業に勤める人や法律に触れている人、公務員などは制約があります。特に公務員は副業が法律で禁止されており、個人事業主になることは基本的に認められません。個人事業主にも向き不向きがあり、責任への覚悟を持っていて、向上心やチャレンジ精神、営業・交渉スキルがある人には向いていると言えるでしょう。反対に、主体性や決断力の欠如、コミュニケーションが不得意で保守的な人には向いていないでしょう。

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開業届の書き方は?初心者にもわかりやすく解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-how-to-fill-kaigyo-todoke/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-how-to-fill-kaigyo-todoke/#respond Tue, 13 May 2025 06:18:12 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36930 はじめに
  • 開業届とは、個人事業主が事業を始めた際に、所轄する納税地の税務署へ提出する届出書
  • 記入の前に、マイナンバーカードや本人確認書類などを準備する
  • 開業届に記載する住所は、納税地住所とその他の住所がある
  • 開業届の提出は、開業から1か月以内のため注意が必要
  • 開業に伴う届出書や、給与の支払状況に応じた源泉所得税の納期など、関連する提出書類の確認が必要

個人事業主が新たに事業を始めたとき、税務署に開業届を提出しなければなりません。どのような内容を記入するのか、必要書類は何か、さらに官庁への提出書類にありがちな独特の表現などに戸惑うことも多いでしょう。この記事では、開業届の書き方を、見本とともにわかりやすく解説します。

開業届とは

開業届とは、個人事業を開業した際、所轄する税務署に提出する届出書です。これにより納税や申告の意思を正式に示します。所得税法第229条において開業届の提出は義務付けられています。ただし、事業所得を得ていないフリーランスや副業の場合はこの限りではありません。
参考:国税庁|No.2090 新たに事業を始めたときの届出など

開業届の入手方法と準備するもの

開業届の入手方法と、開業届の記入前に準備しておくものを解説します。この章では、基本的な準備について紹介しますが、記事後半の節税対策や従業員の有無など、開業届の記載内容によって他に提出する書類等もあります。最後までお読みいただくことで、開業に必要な手続をスムーズに進められるでしょう。

開業届の入手方法

開業届の入手方法は、最寄りの税務署に直接もらいに行く、もしくは、国税庁のホームページからダウンロードして印刷できます。手書きのほかにネット申請できるe-Taxなどを利用してWeb上で作成することも可能です。
参考:国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書・控え
参考:国税庁|A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

入手前に準備しておいたほうがよいもの

開業届には、マイナンバーの記入が必要になるため、マイナンバーカードなど個人番号が確認できるものが必須です。また、住所の番地や丁目などを略さずに記入するためには、本人確認書類があると便利でしょう。さらに、事業所の住所や屋号、職業などの基本情報を整理しておくとスムーズに書き進められます。

開業届の見本と書き方

開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい各項目に正確な情報を記入することが求められます。開業届の書き方を、以下の書き方例(見本)にそって解説します。

①提出先税務署名と提出日

所轄する(納税地の税務署)税務署名と提出日を記入します。提出日は和暦・西暦どちらでも構いません。ただし、提出期限が開業から1か月以内なので開業日からの期限を守ることが重要です。
納税地の税務署は国税庁のホームページから確認できます。
参考:国税庁|国税局・税務署を調べる

②-1納税地

納税地とは、個人事業主の場合、原則として自宅のある「住所地」となります。住民票に記載された住所ということです。ただし、納税地の特例として、店舗や事務所のある住所「事業所等」や「居所地」を納税地にすることも可能です。税務署からのお知らせは、この納税地の住所に届きますので正確に記入しましょう。

【住所地・居所地・事業所等の違い】

住所地住民票に記載の住所
居所地一時的に居住している住所で、ここで生活が営まれている客観的な根拠が必要
事業所等店舗や事務所等の事業所のある住所

参考:国税庁|No.2029 確定申告書の提出先(納税地)

②-2.上記以外の住所地・事業所等

上記以外とは、たとえば納税地に事業所等や居所地を選んだ場合、こちらには自宅の住所地を記入します。また、海外在住で日本国内に事務所等を開設して事業を開始する場合、納税地は日本国内の店舗あるいは事務所等の住所となり、こちらに自宅住所地を記入します。この項目は、事業運営の実態に合わせて正確に記入しましょう。

【納税地別の記入例】

例1:納税地を自宅にしたが、他に店舗がある2-1納税地:自宅住所(住所地)
2-2上記以外の住所地、事業所等:店舗のある住所
例2:納税地を事務所の住所にしたい2-1納税地:事業所等の住所
2-2上記以外の住所地、事業所等:自宅住所(住所地)
例3:自宅と事務所を兼ねている2-1納税地:自宅住所(住所地)
2-2上記以外の住所地、事業所等:記載不要
例4:海外在住で、日本国内に事務所がある2-1納税地:事業所等の住所(日本国内の住所)
2-2上記以外の住所地、事業所等:自宅住所(住所地)

③氏名/生年月日

事業を開始した本人の氏名と生年月日を記入します。氏名にはふりがなを忘れずに記入し、生年月日の和暦は、あてはまる箇所にチェックを入れましょう。

④個人番号

マイナンバーカードに記載された12桁の個人番号を記入します。この番号は、税務上の識別に使用されるため、正確な記入が必要です。間違いの無いように注意しましょう。

⑤職業

職業は誰が見てもわかるような職業名を記入します。記載にルールはありませんが、業種によっては個人事業税(地方税)の課税対象や、税率が変わる可能性もあるため注意が必要です。
個人事業税に関わる個人事業等の開始申告書は地方によって提出期限が異なりますので、お住まいの都道府県税事務所に確認しましょう。

⑥屋号

屋号がある場合に記入します。屋号を設定することで、屋号つき銀行口座の開設が可能です。さらに、事業の内容やイメージを明確に伝えることができ、ブランディングにもつながります。商標登録されていないか確認し、屋号を決めるのもよいでしょう。

⑦届出の区分

「開業」の項目にチェックを入れます。廃業の場合も同じ書式を使うので、記入漏れの無いように気を付けましょう。また、事業を引き継いで開業する場合は、元の事業者の住所、氏名を記入します。

⑧所得の種類

所得の種類は、「不動産所得」「山林所得」「事業(農業)所得」のうち、該当する所得にチェックを入れます。副業の場合も、その副業で得る所得の種類にチェックを入れましょう。

【所得とその内容】

事業(農業)所得農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得
不動産所得土地や建物など不動産の貸付けや、借地権など不動産に関する権利の設定および貸付け、船舶や航空機の貸付けなどから生ずる所得
山林所得山林を伐採して譲渡や、立木のままで譲渡することによって生ずる所得

⑨開業・廃業等日

開業日には特に決まったルールがないため、事務所の開設日や店舗のオープン日、または仕入れや広告制作などの準備を始めた日などを開業日として設定することがあります。ただし、この開業日から1か月以内に開業届の提出が必要なので計画的に準備をしましょう。

⑩事業所等を新増設、移転、廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

基本的に新規開業の場合は、記入する必要はありません。

⑪開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

開業に伴って、「青色申告承認申請書」や「消費税の課税事業者選択届出書」を提出する場合は、それぞれの段の「有」にチェックを入れます。
開業した年から、青色申告や課税事業者を希望する場合は、「青色申告承認申請書」や「課税事業者選択届出書」を一緒に提出できます。なお、インボイス制度に対応するため「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出しているなら、課税事業者選択届出書を提出しなくても課税事業者になることが可能なため、「無」にチェックを入れましょう。

【同時提出を検討したほうがよい書類】

  • 青色事業専従者の給与に関する届出・変更届出書:

    青色申告では、専従者給与を経費計上できるため、専従者があり青色申告を受ける際には一緒に提出できます

  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書:

    給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設・移転・廃止した場合に提出する届出書です
    開業時に事務所等を開設した場合は開業届と一緒に提出できます

参考:国税庁|D1-4 消費税課税事業者選択届出手続

⑫事業の概要

職業欄に記載した事業の内容を詳しく記入します。たとえば、エンジニアなら、「システムの開発、設計、保守点検」など、飲食業なら、「ラーメン等の調理、販売」などのように、実際に行う業務内容を具体的に記入しましょう。

⑬給与等の支払の状況

家族「専従者」や家族以外の従業員「使用人」を雇用する場合、それぞれの人数と給与の支払方法(例:日給・月給)および、源泉徴収の有無を記入します。給与の支払が生じる場合、基本的に源泉徴収を行う必要があるため「有」にチェックを入れます。

【給与等の支払状況記入時のポイント】

従業員数専従者:生計を一にする家族の従業員
使用人:家族以外で雇用した従業員
それぞれの人数と合計人数を記入する
給与の定め方「時給」 「日給」 「月給」 「月給+ボーナス」などの給与の支払方法を記入する
税額の有無源泉徴収する場合は、「有」にチェック しない場合は「無」にチェック
※給与の支払が生ずる場合、基本的には源泉徴収を行うため「有」になります。

⑭源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書の提出の有無

源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期です。しかし、給与の支給人員が常時10人未満であれば、年2回にまとめて納める特例を申請できます。これを申請する場合は「有」にチェックをして、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書」も一緒に提出します。
参考:国税庁|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

⑮給与支払を開始する年月日

給与の支払が生ずる場合に記入します。新たに給与支払いを始める場合はその予定年月日を、すでに支払っている場合は開始した年月日を記入しましょう。
ここで注意することは、支払開始から源泉所得税の納期の特例(⑭参照)を受けたい場合は、給与の支払開始日の前月末までに申請書を提出する必要があります。
すでに給与を支払っている場合は、申請書を提出した翌月から特例の適用となります。これ以前に支払った給与に関しては、通常の納期限までに源泉所得税を納付しなければなりません。

【給与の支払状況別、記入例と注意点】

給与の支払予定がある:支払い始める年月日を記入する
すでに給与を支払っている:支払を開始した年月日を記入する
※)開業当初から源泉所得税の納期の特例(⑭記載)を受けたい場合は、支払開始月の前月末までに、 開業届と共に申告書を提出する必要がある
※)すでに給与を支払っている場合は、申告書を提出した翌月からの適用になる

まとめ

開業届に限らず、官公庁への提出書類の文言は、難しい表現や誤解を生じやすい表現もあり、戸惑うことも多いでしょう。この記事では、開業届の記入における注意点と文言の意味についてわかりやすく解説しました。開業届の記入の際に、お役立ていただければ幸いです。

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https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-how-to-fill-kaigyo-todoke/feed/ 0
開業届に必要なものとは?準備すべき書類や提出方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-hitsuyounamono/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-hitsuyounamono/#respond Wed, 07 May 2025 04:02:42 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36766 はじめに
  • 開業届は個人事業主が開業したことを税務署に知らせる書類のこと
  • 事業開始後1か月以内に提出が必要、しかし未提出でも罰則はない
  • 提出にはマイナンバーカード、本人確認書類、印鑑が必要
  • 提出すると青色申告で特別控除が受けられ、屋号名義で銀行口座が作成できる
  • 提出すると扶養から外れることや、失業保険が受けられないケースもある

個人事業主として活動をしていくにあたり、開業届を提出する必要があります。けれども、初めて開業手続きをするという方は、提出に必要なものや状況に応じて必要な書類などがたくさんあり、どうすればいいのか分からないという方もいることでしょう。今回は、その必要な書類や状況に応じて必要な書類、開業届を提出するメリット・デメリットについても解説していきます。

開業届とは

開業届とは、個人事業主が開業したことを税務署に届け出るための書類です。個人事業主として事業を行うと売上や経費が発生し、それに基づいて所得税の確定申告を行う必要があります。税務署は開業届をもとに納税管理を行い、個々に必要な申告書類の送付がされますので、それらに従い確定申告を行いましょう。

開業届は必ず提出が必要?

原則、事業開始後1か月以内に開業届を提出する必要があります。しかし、開業届を提出しなくても特に罰則や罰金などはありません。確定申告を正しく行っていれば問題ないと言えます。

開業届の提出時に必要なものは?

開業届を提出するにあたり必要なものがあります。提出時に忘れてしまうことがないように、あらかじめ用意しておきましょう。

  • マイナンバーカード
  • 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類(マイナンバーカードがない場合)
  • 印鑑(訂正印で使用する為)

マイナンバーカードまたは本人確認書類

開業届を提出する際に必要なものは、開業届とマイナンバーカードです。マイナンバーカードが無ければ、個人番号通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しと運転免許証またはパスポートなどの本人確認書類が別途必要になります。
また、税務署に持ち込みで開業届を提出する場合、印鑑を持っておくと修正にもすぐに対応できるため安心です。

状況に応じて必要な書類

開業届の他にも、自身の状況に応じて別途必要な書類もあります。今一度自身の現状を確かめて必要であれば準備をしておくと、スムーズに開業手続きが行えることでしょう。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書とは、開業から2か月以内に提出することが望ましい書類です。
また、開業してから2か月を過ぎてしまった場合には、青色申告をする年の3月15日までに提出すれば問題ありません。

青色事業専従者給与に関する届出書

青色事業専従者給与に関する届出書とは、青色申告を行っている個人事業主が、家族・親族に支払った給与を必要経費にできる届出書のことです。家族・親族への給与の支払いを必要経費とすれば、所得が分散され節税効果が期待できます。

給与支払事務所等の開設届出

給与支払事務所等の開設届出書とは、個人事業主が従業員を雇用する際に税務署へ提出する届出書のことです。個人事業主は従業員の給与から所得税を天引きして、従業員に代わって納税をする「源泉徴収」を行う義務があります。従業員を雇った日から1か月以内に届出書を出しましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

通常、従業員から天引きした源泉徴収税は、原則として翌月の10日までに納付しなければなりません。しかし、給与を支払う従業員が10人未満であれば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、源泉徴収税を年2回にまとめて納付できます。

適格請求書発行事業者の登録申請書

適格請求書発行事業者の登録申請書とは、適格請求書(インボイス)を発行するために事業者が「適格請求書発行事業者」として税務署に登録するための書類です。事業者がインボイスに対応していないと、取引先は支払った消費税額の控除が受けられなくなります。
この登録申請書には期限はありませんが、登録日以降でなければインボイスの発行はできません。ただし、インボイス制度開始から2029年9月30日までは免税事業者との取引についても段階的に控除が認められる経過措置が設けられています。

事業開始等申告書

事業開始等申告書とは、各都道府県の税事務所に開業を申告する書類です。各都道府県によって提出期限や提出先がさまざまのため、事前の確認が必要です。しかし事業開始等申告書を提出しなくても、罰則には当たりません。開業届とは目的・提出先も違うため、混同しないように注意しましょう。

開業届を提出するメリット

開業届を提出すると主に以下のメリットが得られます。

  • 青色申告で特別控除が受けられる
  • 屋号名義で銀行口座を開設できる

青色申告で特別控除が受けられる

開業届と青色申告承認申請書を同時に提出した場合、最大65万円の特別控除が受けられます。個人事業主としてスタートしたばかりのころは、初期費用がかさんでしまうため赤字になってしまうこともあるでしょう。青色申告を行うメリットである特別控除や赤字繰り越しなどを活用して節税対策をするのがおすすめです。

屋号名義で銀行口座を開設できる

開業届を提出すると、自身の屋号名義で銀行の口座を開設できます。プライベートと事業のお金を区別でき、事業のお金の流れを把握することが可能です。また、開業届を提出することで、きちんと事業を行っているという証明書の代わりにもなり、顧客や取引先の方からの信用度もアップするでしょう。

開業届を提出するデメリット・注意点

一方で、開業届を提出するデメリット・注意点もあります。

  • 扶養から外れてしまう場合もある
  • 失業保険が受けられない

扶養から外れてしまう場合もある

現在、扶養に入っている方が開業届を提出するときは注意が必要です。開業届を提出することによって、たとえ収入が少なくても扶養から外されてしまうケースがあります。企業の健康保険組合の規定によりさまざまなので、一度健康保険組合のホームページを確認しておくと安心です。

失業保険が受けられない

一度、開業届を提出するとハローワークから「就職した」と判断され、失業保険の給付がストップする可能性があります。そのため、失業保険の受給を優先したい場合は、開業届を提出するタイミングに注意しましょう。

まとめ

今回は開業届を提出するにあたり、必要な書類や状況に応じて必要な書類などについて解説してきました。開業届は、マイナンバーカードと開業届さえあればすぐに提出できますが、自身の状況により他にも提出が必要になる書類もあります。また、開業届を提出すると青色申告などの税制上のメリットが受けられるほか、屋号名義付き銀行口座が開設でき顧客や取引先の信頼度もアップするでしょう。しかし、一度開業届を提出してしまうと、扶養から外れてしまうケースや、失業保険が給付されないというケースもあります。自身の状況を今一度よく確認し、メリット・デメリットをよく把握した上で開業届を提出しましょう。

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https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-hitsuyounamono/feed/ 0
開業資金の調達方法とは?必要な準備と手順を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyo-shikinchotatsu/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyo-shikinchotatsu/#respond Thu, 01 May 2025 06:56:28 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36647 はじめに
  • 開業にかかる資金の平均値は985万円、中央値は580万円である
  • 開業資金の調達方法は融資、補助金・助成金、出資、貯金など多岐に渡る
  • 各手段にメリット・デメリットがあるので自分に適した調達方法を検討するのがよい
  • 開業資金を把握し、何に使うか事業計画を具体的に話せるようになっておくのが資金調達を成功させるコツだ

開業資金の平均値は985万円

開業するにあたっては多額の資金が必要となります。たとえば店舗を構える場合は家賃や改装費用、商品を扱う場合は仕入れや設備投資、IT系業種であればパソコンや制作環境の整備費などが発生します。さらに、開業後しばらくの運転資金も必要です。

日本政策金融公庫総合研究所の「2024年新規開業実態調査」によると、開業費用の平均は985万円、中央値は580万円です。
以下は、開業費用の平均と中央値の推移をグラフにしたものです。

以前に比べて開業コストはやや低下傾向にあるといわれていますが、それでもある程度はまとまったお金が必要といえます。

出典:日本政策金融公庫 – 新規開業に関する調査

開業にあてる資金調達の方法

開業したいと考えても、大きな金額をすぐに用意するのは難しい場合もあるでしょう。実は、開業のための資金を調達する方法は複数存在します。
このセクションでは、開業にあてる資金の調達方法をそれぞれ解説します。

開業時の資金調達(1)融資

融資とは、公的な機関や金融機関などからお金を借り受けることです。いわゆる借金・借入ですが、事業のための資金調達という性質上、単なる借入とは違い、開業のために低めの利子設定や審査基準を緩和してもらえるという点が融資の大きな特徴です。
国や自治体による融資制度、民間の金融機関など、開業のための融資をおこなっている団体は多くあります。代表的なものを紹介します。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫とは、中小企業や小規模事業者向けに融資をおこなう国の政策金融機関です。他の融資機関と大きく違うのが、原則、無担保・無保証人で利用でき、金利も比較的低めです。
融資限度額は7,200万円で、若者・女性・シニアや開業に再チャレンジする人などに向けて、有利な条件で融資が利用できる制度もあります。詳しくは日本政策金融公庫の新規開業者に向けた資金融資のページで確認しましょう。

参考:日本政策金融公庫 – 新規開業・スタートアップ支援資金

地方自治体による融資制度

地方自治体でも、それぞれ独自で融資制度があります。自治体ごとに制度が違うので、まずは問い合わせをしましょう。
こちらは信用保証協会と連携し、低金利での融資が可能です。ただし、申請から融資までに時間がかかる点や、限度額が日本政策金融公庫より低い点は注意が必要です。

中小企業の開業や運営支援をする独立行政法人・中小企業基盤整備機構では、「J-Net21」というWebサイトで各自治体の開業における融資制度を紹介しています。こちらで制度を探すのもよいでしょう。

参考:J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト] – 創業者向け補助金・給付金(都道府県別)

民間の銀行や信用金庫による融資

民間金融機関でも開業融資を受けられますが、審査は厳しく金利も高めです
通常、民間の機関が企業に融資するときは、これまでの売上や事業資本などが審査されるため、開業しようとする個人に対しては既存企業以上に審査が厳しくなると考えてよいでしょう。
しかし、融資が承認されれば、銀行の担当者から経営のアドバイスを受けられるなど、民間機関からの融資ならではのメリットもあります。

また、銀行・信用金庫には、使途自由のフリーローンという商品があり、これを開業資金にあてるという手もあります。この方法であれば、資金の用途目的に制限がないため非常に借りやすいです。半面、利子が割高になってしまうことが大きなデメリットです。

開業時の資金調達(2)補助金・助成金

融資とは別に、国や自治体が新規開業する人や団体に補助金・助成金を提供する制度も存在します。融資や借入と違い、返済義務がない点が大きなメリットです。
ただし、申請から助成金・補助金がもらえるまでに相当時間がかかる場合が多いため、今すぐにでも開業資金が欲しいときに頼りにするのはあまり向いていません。

ルートテックでは個人事業主が活用できる補助金制度の解説もおこなっています。

開業時の資金調達(3)出資

個人投資家やベンチャーキャピタルに出資してもらうのも開業資金を集める方法の一つです。とくに、起業して間もないスタートアップを支援する個人投資家はエンジェル投資家と呼ばれ、ビジネスの将来性や成長可能性に着目して出資します。
また、最近はクラウドファンディングを通じて商品のアイデアを紹介し、開発費用を募るという方法も出てきています。どちらの方法もお金をもらう資金調達方法なので、返済義務はありません。
ただし、投資家は将来のもうけのために出資するので、大きな魅力のある事業計画を提示しないと出資してもらうのはかなり難しいでしょう。

クラウドファンディングもいくつか注意点があります。たとえば「All-or-Nothing方式」の場合、目標金額に達しなければ一切資金を受け取ることができません。加えて、クラウドファンディングの手数料は一般的に20%~30%程度かかるため、手取り額にも注意が必要です。

開業時の資金調達(4)自己資金

自分で貯めたお金を開業資金にあてる方法もあります。開業には大きな金額がかかるため全額自分で賄うことは難しいですが、できるだけ自己資本金を用意することが重要です。
また、金融機関から融資を受ける際には、自己資金の額が融資の限界額決定に影響するため、この点でもできるだけお金を貯めてから開業するのがオススメといえるでしょう。

開業時の資金調達(5)親戚や知人に借りる

開業の資金調達のため、親や親戚、知人からお金を借りるという方法も存在します。しかし、近しい間柄でのお金の貸し借りなので、他の方法と比較してトラブルにつながる可能性が高いといえます。
親戚・知人から開業資金を借りるのであれば、借入したという事実をきちんと書面に残す、つまり契約書を交わすようにしましょう。近しい間柄だからこそあえて正規の方法をとることが、トラブルを未然に防ぐ重要なポイントです。

開業時の資金調達(6)ビジネスコンテストの参加

公的機関や民間団体などが定期的にビジネスコンテストをおこなっている場合があり、これも資金調達の方法のひとつです。新規事業の内容でコンペに参加し、優秀者には出資されるというものです。ただし、必ず入賞できるわけではないので、資金を得られないこともあります。反面、コンテスト出場の過程で他の起業を目指す人々と交流が持てるところは資金調達以外の点で魅力的なポイントでもあります。

開業のための資金調達を成功させるポイント

このセクションでは、開業のための資金調達を成功に導くコツを解説します。

開業届を出す

融資を受けるためには、開業届を出しておくことが必要です。開業する場所の管轄の税務署に開業後1か月までを目安に開業届を提出しておきましょう。

開業資金がいくら必要か理解する

開業資金と一言でいっても、事業形態で必要な資金の額は大きく変わります。たとえば、店舗経営なら、店舗の敷金や家賃、各種備品、商品の仕入れ、人員費など多額が必要になります。一方で、自分1人でスモールスタートが可能な事業であれば、必要なものは仕事道具と仕事の場所程度になり、開業資金の金額は店舗開店と比較するとかなり少なくすむことが多いです。
まずは事業に必要な費用を明確にし、どれだけの自己資本があるのか、外部からどの程度資金調達が必要なのかを洗い出すことが重要です。そのうえで、最適な資金調達の方法を検討するのが、開業の第一歩といえるでしょう。

自己資金を用意する

前述したように、自己資金は可能な限り用意できるほうがよいでしょう。無利子なうえ、返済の必要もないからです。まず何より、今後の事業を続けていくに向けてある程度の元手がないと、もし収入がない時期が続けば、すぐに食べていけなくなってしまいます。
それに加え、銀行・信用金庫の融資額は自己資金の額によって決定されることも、自己資金を可能な限り用意するべき理由のひとつです。企業が財務状況によって銀行からの借入額が左右されるのと同じように、個人が開業しても財務状況や返済能力といった信用を元に、借入の是非が決定されます。
全額自分で賄うのは無理でも、開業のための自己資金は可能な限り用意するのがよいでしょう。

事業計画、開業資金の使い道の計画をよく練っておく

これまでの事業の実態がない以上、融資を受けるためには「これから何をするのか」「何のために融資が必要なのか」「どうしてこの金額が必要なのか」をしっかり説明できるようになっておく必要があります。そのためには事業計画書をしっかりと作りこみ、融資担当者に開業資金をどのように使うかを具体的に説明できるようになっておかなくてはなりません。

返済の能力を証明する

これまで個人でクレジットカードを使ったり、ローンでお金を借りたりした人も多いでしょう。これらお金に関する貸し借りや返済の延滞といった個人の借入履歴は、信用情報として信用機関に登録されています。このため、開業前には信用情報を確認し、延滞などがある場合は改善に努めるのが望ましいでしょう。過去の返済履歴が良好であれば、金融機関に対して返済能力のある人物としての信頼性を示す材料になります。

まとめ

開業にかかる資金の平均値は985万円、中央値は580万円とされています。必要な金額は業種や事業規模によって変わってきますが、ある程度のまとまったお金が必要なのは確かです。
開業資金は自己資金で賄えることに越したことはありません。ですが、大きな金額のため、全額用意するのは難しいことが多いでしょう。
自己資金で賄う以外の資金調達方法は、融資、補助金・助成金、投資家などに出資してもらう、知人や親戚に借りる、クラウドファンディングに挑戦する、ビジネスコンテストに参加するなど、さまざまあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に適した方法を検討するとよいでしょう。ただし、親戚や知人に開業資金を借りる場合はトラブルになりやすいため、きちんと貸し借りを書面に残すよう注意しましょう。

どれだけ開業資金が必要かをきちんと把握し、何に使うか事業計画を具体的に話せるようになっておくのが資金調達をうまくするコツです。

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開業届の職業欄はどう書く?適切な記入例と注意点を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-shokugyouran/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-shokugyouran/#respond Fri, 25 Apr 2025 08:58:58 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36573 はじめに
  • 開業届は、事業を開始してから1か月以内に税務署に提出する
  • 職業欄および事業の概要欄は、具体的かつ正しく、明確に記入する
  • 職業欄の記入内容は個人事業税の税率に影響する
  • 複数の事業がある場合は、最も高い収入の業種を職業欄に記入する
  • 事業変更した場合は、確定申告書の職業欄を正確に記入する必要がある

開業届の職業欄および事業の概要欄について、どのように記入すればいいのかよくわからない、という方が見受けられます。
この記事では、記入方法や記入例、注意点などをご紹介します。

開業届には職業欄・事業の概要欄の記入が必要

新しく事業を始める場合は、納税地を管轄する税務署へ開業届を提出する必要があります。
原則として、開業から1か月以内に、事業所が存在する場所の税務署へ開業届を提出します。遅れたとしても罰則はありません。ただし、青色申告の承認を受けるには、原則として開業日から2か月以内に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。青色申告を利用する場合は、開業届を早めに提出しましょう。
とくに記入方法の決まりはないものの、後述する個人事業税の税率に関わってくるため、何の事業をしているのかしっかり記入するのがポイントです。なお、開業届の用紙は税務署の窓口でもらえるほか、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。

参考:国税庁 | A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

職業欄には具体的な職業を記入する

開業届の職業欄は「フリーランス」「個人事業主」といった書き方ではなく、具体的にどのような職業を営んでいるかわかるように記入しましょう。たとえば「システムエンジニア」「個人小売店店主」などです。
なお、職業欄の書き方に迷った場合は、総務省が公開している「日本標準産業分類」という分類表を参考にするのもよい方法です。

参考:総務省 |統計基準等 日本標準産業分類

事業の概要欄は明確に記入する

開業届における事業の概要欄は、職業欄の業務内容を詳しく記入する場所です。職業欄よりも詳しく、実際の仕事内容や事業内容を記入しましょう。
たとえば、Webライターであれば「Webメディア記事の構成作成および記事執筆」と、海外ブランド服のセレクトショップを営んでいるなら「インポート輸入服販売」のように記入します。

開業届の職業欄・事業の概要欄の具体的な記入例

開業届の職業欄・事業の概要欄の基本的な書き方がわかっても、具体的にどのように記入すればいいのか、戸惑う方も多いでしょう。
ここからは、いくつかの職業を例に挙げて、具体的な記入例をご紹介します。書き方に困った際の参考にしてください。

開業届:職業欄・事業の概要欄の例文

開業届の職業欄・事業の概要欄について、職業ごとの記入例を簡単にまとめました。

  • システムエンジニア

    職業:システムエンジニア
    事業の概要:ソフトウェアの設計・開発・プログラミング、およびシステムの保守

  • 商店街の個人商店店主

    職業:文房具店運営
    事業の概要:学生向けの筆記用具を中心とした文房具の販売、社会人向けの万年筆の販売

  • Webデザイナー

    職業:Webデザイナー
    事業の概要:Webサイトのデザイン制作、LPのデザイン制作、コーディング

  • ラーメン店経営

    職業:飲食店
    事業の内容:ラーメン店の経営、ラーメンやサイドメニューの提供、メニューの開発

  • YouTuber

    職業:インターネット関連サービス業
    事業の概要:YouTubeの企画・動画作成および編集、動画公開と管理、YouTubeコミュニティ管理

開業届作成・提出における注意点

先にもご紹介したように、自営業者やフリーランス・個人事業主などは労働形態であって「職業」ではありません。複数の職業がある場合は、正しい業種を確認して、開業届に記入しましょう。
上記以外にも、開業届の作成・提出で注意しておくべきポイントがあります。ポイントを押さえて、明確に記入することが大切です。

複数の事業から収入を得ている場合

新しく事業を始める際に、最初から複数の事業を並行して開始するケースもあるでしょう。
この場合の開業届は、収入を最も多く得ている業種を、代表として職業欄に記入します。
並行している事業がある場合は、事業の概要欄に詳細を記入してください。
ただし、確定申告書ではしっかりと事実を記入する必要があります。複数の事業を抱えている場合は事実関係が複雑になりやすいため、実際にどのような事業をおこなったのかを、確定申告書の職業欄で正確に記入することが重要です。

提出後の事業内容に変更があった場合

事業を新しく始めたものの軌道に乗らず、別の事業を起こしたところ本業よりも売上が伸びた、といった方もいるでしょう。開業届の提出時に記入した職業と現在の主な職業が異なる場合でも、開業届を再提出する必要はありません。
ただし、確定申告で「職業の詳細」を記入する際は、現在の職業と所得などを正確に記入する必要があります。記入漏れのないよう、十分注意しましょう。

オンライン提出が可能

開業届は、e-TaxなどのWebサービスからオンライン提出することが可能です。紙の書類で提出に行く余裕がない場合でも、オンラインであれば場所を問わず、提出できます。オンライン提出を行う場合はマイナンバーカードやICカードリーダなどの用意が必要になります。持っていない人は、事前に準備しておくといいでしょう。
記入の際の注意点は、先にご紹介した内容と同じです。記入漏れや正しく記入できているかを確認して、提出を行うことが大切です。

開業届の職業欄は個人事業税に影響する

個人事業税とは、個人が営む事業に対してかかる地方税の一種で、地方税法によって定められています。個人事業税は、開業届に記入された職業欄の業種によって税率が異なるため、職業欄には正確な記入をおこなうことが重要です。

業種によって個人事業税の税率が異なる

個人事業税とは、所得税や住民税などと同様に、個人事業主が納める税金のことです。個人が営む事業のうち、地方税法などの法律で定められた事業(法定業種)を行っている場合に、事務所・事業所を置いている都道府県に納めます。法定業種は70種類あり、ほとんどの事業が該当します。
個人事業税の税率は業種によって3~5%で定められており、具体的な法定業種と税率は以下の通りです。

区分税率事業の種類
第1種事業
(37業種)
5%物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業
第2種事業
(3業種)
4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5%医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業

参考:東京都主税局|個人事業税

個人事業税がかからない業種もある

前項で紹介した法定業種に当てはまらない場合、または事業所得290万円以下の場合は個人事業税の対象外となり、個人事業税は非課税となります。
具体例を挙げると、以下のような業種が該当します。

  • 漫画家、作曲家、作詞家、小説家などクリエイティブ関連の職業
  • システムエンジニア、プログラマーなどIT関連職
  • 林業や鉱物採掘業務
  • プロスポーツ選手
  • 翻訳や通訳

ただし、上記に該当する業種であっても、業務の実態が「請負業」などの法定業種と判断された場合は個人事業税がかかる可能性があります。

「請負業」と判断される具体例

業種:プログラマー・翻訳家・イラストレーターなど
実態:単純作業の代行ではなく、成果物を納品して報酬を得る契約

確定申告書に記入された職業・事業内容が税率の根拠となります。開業届を出した当初と事業内容が変わっている方は、正確に記入して提出しましょう。

まとめ

開業届は、新しく事業を開始してから1か月以内に管轄の税務署に届け出をしなければなりません。開業届の職業欄と事業の概要欄の書き方にルールはとくにありませんが、具体的な内容でわかりやすいように記入する必要があります。職業欄は個人事業税の税率にかかわるので、きちんと記入しましょう。また、複数の事業をおこなう場合は一番収入が高いものを職業欄に記入すれば問題ありません。事業内容が変わった場合でも、開業届の再提出は不要です。ただし、個人事業税にかかわるため、確定申告書の職業欄は正確に記入する必要があります。
はじめての開業で戸惑うこともあるかもしれませんが、適切に届け出や申告をおこない、事業を成功に導きましょう。

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個人事業主とは?その定義と開業のメリットを解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-towa/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-towa/#respond Thu, 17 Apr 2025 05:36:13 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36469 はじめに
  • 個人事業主は法人設立せず個人で事業を営む人のこと
  • フリーランスと個人事業主の違いは、開業届を提出しているかどうか
  • 法人と個人事業主の違いは、法人格の有無と信用の得やすさ
  • 税務署に開業届を提出すれば、誰でも個人事業主になれる
  • 必要経費の計上や青色申告の利用により、節税が可能になる

個人で事業を営み、企業や団体などに所属せずに利益を上げる人は「個人事業主」「フリーランス」など、いくつかの呼称があります。自身で事業を起こすと考えた際、自分がどのスタイルに合っているのか、どれを選べばよいのか困惑した人も多いのではないでしょうか。
本記事では、複数ある呼称のうち「個人事業主」についてご紹介します。

個人事業主とは

個人事業主とは、法人を設立することなく個人で事業を営む人のことを指します。従業員を雇用していても、法人を設立していない場合は個人事業主と見なされます。原則として個人事業主になるための要件はなく、税務署に開業届を提出することで誰でも個人事業主になることが可能です。

フリーランスとの違い

フリーランスとは働き方の一つであり、自身の経験や知識、スキルなどを活用し、個人で収入を得ている人たちを指します。一方、個人事業主はフリーランスの働き方のうち、税務署に開業届を提出して収入を得ている人たちのことを指します。
フリーランスは働き方を示す呼称で、個人事業主は税法上の事業主を示す呼称です。しかし、多くの場合でフリーランスは個人事業主を指しているため、開業届を提出しているか否かが大きな違いと言えるでしょう。

法人との違い

個人事業主は法人を設立せず個人で事業を営む人のことを指すのに対し、法人は法人格(法律で個人と同様の権利・義務をもつ資格が与えられる)をもった組織や団体を指します。個人事業主と比べて、法人は信用を得やすく一定以上の利益に対する税率が低いというメリットがある反面、会計・事務処理などの細かな業務が多くなるデメリットもあります。
個人事業主から法人化することは可能ですが、事業内容や利益率によってはメリット・デメリットが異なるため、事前確認が重要です。

個人事業主になるメリット

個人事業主になることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。大きなメリットを3点紹介します。

自由な働き方が選べる

雇用契約を結ぶ正社員・契約社員などの働き方と比べると、雇用契約を結ばない個人事業主は働き方を自由に選択できます。勤務地・勤務時間はもちろん、業務の順番やペース配分など、すべて自身でコントロールが可能です。受ける仕事の取捨選択も判断できますし、店舗を運営する場合も営業時間や定休日の決定権があります。

必要な経費を計上できる

事業を運営・維持するためにかかる費用は必要経費と呼ばれます。必要経費は、個人事業主として申告を行う際に計上することで支払う税金額が抑えられ、節税が可能になります。
青色申告時には、材料の仕入れや人件費、業務に必要な道具・機器代や打ち合わせ時の飲食代などを必要経費として計上可能です。また、自宅の一部で事業を営んでいる場合は、家事関連費用の一部も計上できます。

青色申告特別控除が受けられる

上記で軽く触れた「青色申告」を行うことで、個人事業主は青色申告特別控除を受けられます。申告するためには、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出することが必要です。税務署に必要書類を提出した後、貸借対照表および損益計算書をあわせて確定申告を行うことで、青色申告特別控除が受けられます。e-Tax(国税電子申告・納税システム)や電子帳簿保存による申告の場合は、最大65万の控除が受けられます。ただし、期限を過ぎてしまうと青色申告特別控除が受けられなくなるため、確定申告は期限内に済ませることが重要です。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

個人事業主に向いている人とは?

個人事業主として事業を営むうえで、受けた仕事を投げ出すことなく完遂できる、責任感が求められます。未知の分野にもかかわる場合も考えられるため、向上心やチャレンジ精神、しっかりとした自己管理が行える人は、個人事業主に向いていると言えるでしょう。
また、個人事業主として仕事を請けるためには、自身で営業や交渉を担う必要もあります。営業・交渉スキルがあり、自分の裁量で業務を進めたいと考えている人にとって、個人事業主という働き方が向いている可能性もあるでしょう。

個人事業主になるための4ステップ

個人事業主になるには、何から始めたらいいのか疑問に思う人もいるでしょう。ここからは、個人事業主になるために必要な4つのステップをご紹介します。

1.どの事業で生計を立てるか決める

個人事業主になるには、事業を始める必要があります。しかし、明確な開業理由や動機がないまま、無計画に事業を起こしていては大きな損害を出してしまう可能性があります。開業する前に、事業を起こす目的・理由・動機などを定め、どのように生計を立てていくかを決めることが重要です。
勤めていた企業を辞めて開業する場合、ワークライフバランスが大きく変化する可能性もあります。個人事業主になるメリットはさまざまにありますが、開業することで自身にどのような影響があるか、販路や資金の維持ができるか、といったことも想定しながら事業計画を立てましょう。

2.税務署に開業届を提出する

どの事業で開業するか定まったら、開業してから1ヵ月以内に、「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を税務署に提出します。開業届の提出がない場合、青色申告が行えなかったり、補助金や助成金の申請ができなかったりといったデメリットがあります。
併せて、居住地域の自治体に「事業開始等申告書」の提出も行うといいでしょう。これは都道府県に個人事業の開始を知らせる書類で、自治体によって「個人事業開業届出書」「事業開始届」など名称が異なる場合があります。提出先が自治体によって変わる場合もありますので、提出期限と共に各自治体のWebページで確認してから進めることをおすすめします。

3.青色申告承認申請書を提出する

開業届の提出に続いて「青色申告承認申請書」を税務署に提出することで、青色申告の承認が受けられ、最大65万円の特別控除を受けられるようになります。控除が受けられれば、事業の初期段階で財務面から準備が整えられるでしょう。
申請書の提出期限は、以下のように定められています。

青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。 なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。

引用元:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

期限を過ぎた場合は、青色申告できるのが翌年からになるため、提出期限に注意しましょう。

4.国民健康保険・国民年金への切り替え手続きをする

正社員から個人事業主に転身した場合は、国民健康保険・国民年金への切り替え手続きを行います。手続きは居住地域の役所で行います。切り替え手続きに必要な書類を準備し、窓口での手続きを迅速に進めることで、個人事業主としての活動に専念するための基盤が迅速に整えられるでしょう。
企業に雇用されていても、国民健康保険と国民年金に加入していた場合は、この手続きは不要です。

個人事業主として開業するためのポイント

個人事業主として事業を起こすには、資金調達や事務作業など、相応の準備が必要です。滞りなく開業するために、押さえておくといいポイントをご紹介します。

事業用の銀行口座を用意しておこう

個人事業主として活動する際には、プライベート用と別に、事業用の銀行口座を用意しておくことが重要です。事業用の口座があれば、個人の資金と事業の資金を明確に分けられるため、経理の透明性を確保できます。同時に収入と支出を一目で把握できるため、税務署や取引先に対して事業の信頼性を示す手段にできます。口座開設時には事業名義での開設を求められることもあるため、必要書類を準備しておくといいでしょう。

利用できる補助金・助成金を確認しておこう

個人事業主としての活動するために、利用可能な補助金・助成金制度を確認しておくことが重要なポイントです。利用できる制度があれば、新規事業の立ち上げや事業拡大の際に、資金面のサポートが得られます。補助金・助成金制度は地方自治体や国から提供されており、事業の種類や地域によってサポート内容が異なります。積極的に情報収集を行い、自分の事業に合ったものを探すことと、申請時に求められることが多い事業計画書や財務計画書の準備を進めるといいでしょう。

経費にできるもの・できないものを確認しておこう

個人事業主の経費に上限はありません。事業の継続や拡大などに必要不可欠なものであれば、原則として、どのような費用も経費として認められます。しかし、健全に事業を営むためには、個人事業主が経費として計上できるもの、できないものを正確に把握することが重要です。

  • 経費にできるもの
  • 事業に直接関連する支出(材料費・交通費・通信費など)
  • 家賃や光熱費の一部(自宅の一部を事業に利用している場合)
  • 経費にできないもの
  • 個人的な支出(趣味・事業と無関係の交通費など)
  • 売上に見合わない多額の支出

経費の適正な管理は、税務調査の際に重要なポイントとなります。売上が少ないにもかかわらず多額の経費を計上した場合、税務署から確認が入り、経費とは認められずに赤字となる可能性もあります。常に売上とのバランスを意識して、領収書や請求書の保存・記帳と、経費の証拠をしっかり確保しておくことがポイントです。

まとめ

個人事業主とは、法人を設立せず個人で事業を行う形態のことを指し、開業届の有無や法人格の有無で、フリーランス・法人との違いを分けています。個人事業主には、自由な働き方や必要経費の計上による節税効果、青色申告特別控除が利用可能など、さまざまなメリットがあります。開業には事業選択、開業届・青色申告承認申請書の提出、保険・年金の切り替え手続きが必要です。健全な事業運営のためには、事業用の銀行口座の開設や補助金・助成金制度の確認、しっかりとした経費管理が重要になるでしょう。

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開業届は郵送で提出できる?必要書類と手続き方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-yuuso/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-yuuso/#respond Wed, 09 Apr 2025 02:37:25 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36340 はじめに
  • 開業届は郵送で提出可能
  • 郵送は税務署が遠方にある場合や、提出期限が迫っていたり、開庁時間内に行けなかったりするときに便利
  • 開業から1か月以内に、届出書を記入し、必要書類をそろえて同封する
  • 郵送時は、税務署の住所を確認し、不備がないかチェックして信書便扱いで送る
  • 開業届の控えは、コピーして必ず取っておく

開業直後はやることが多数あり、税務署に出向く時間の確保が難しいかもしれません。そのようなときに便利なのが開業届の郵送による提出です。この記事では、開業届の郵送方法から注意点、一緒に同封できる届出書を紹介します。

開業届とは

開業届とは、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人事業主やフリーランスが事業を開業または廃止した際に税務署に提出する必要がある書類です。

開業届の提出方法は3種類

開業届は以下の方法で提出できます。

  • 郵送
  • 税務署へ直接持参
  • e-Taxによるオンライン提出

忙しい開業当初には、税務署へ行く時間がとれなかったり、慣れないe-Taxの設定に時間がかかったりすると、煩わしさを感じるかもしれません。そのようなとき、郵送は時間や労力を省ける便利な提出方法といえます。

開業届を郵送した方がよい場合

開業届を郵送した方がよい場合は、次の通りです。

管轄する税務署が遠方にある

都市部以外では、税務署の管轄範囲が複数の市区町村にわたる場合があります。税務署まで数時間かかる場合もあり、移動時間が大きな負担と感じることもあるでしょう。郵送なら最寄りの郵便局から投かんするだけなので、時間を節約し、移動の手間を省けます。

税務署の開庁時間内に行けない

税務署の開庁時間は、年末年始を除く平日の8時30分~17時です。開業当初の忙しいとき、この時間内に税務署に出向くことが難しい場合もあります。また、時間外収受箱に入れる方法もありますが、税務署が遠方にある場合、持参するのが困難になることもあるでしょう。

提出期限が迫っている

通常、税務署に提出する書類の収受日は、税務署に届出書を提出した日付となります。しかし、郵送の場合は例外的に、郵便局の預かり日(発送日)が収受日として扱われます。提出期限が迫っていて、税務署に行く時間もとれないときは、郵送することで提出期限に間に合わせることも可能です。

開業届の郵送の仕方

ここからは、開業届を郵送する手順にそって解説します。不備が出ないよう、入念に準備を行うことが大切です。

開業届を取得し記載する

開業届「個人事業の開業・廃業等届出書」は税務署でもらうか、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。記載内容は、屋号、所在地、連絡先、代表者名のほか、所得の種類や給与支払状況などがあります。必要項目に記載漏れがないように注意しましょう。

参考:国税庁|A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業届の提出期限を確認する

開業届の提出期限は開業から1か月以内です。遅延による罰則はありませんが、青色申告の申請や銀行口座の開設など、諸手続きへの影響も生じるため速やかに行いましょう。

参考:国税庁|税務手続に関する書類の提出時期

郵送一覧

開業届の送付書類は以下の通りです。

  • 開業届 1通
  • マイナンバーカードの写し、またはマイナンバー通知書の写し
  • 身分証明書の写し
  • 返信用封筒(必要な場合)

マイナンバーの記載があるためマイナンバーのわかる写しと、運転免許証などの本人確認書類の写しが必要です。
また、返信用封筒は、開業届を収受した日付や税務署名が記載されたリーフレットを受け取る場合に必要になります。リーフレットは、開業届の控えではないので、返信用封筒を入れ忘れても問題ありません。

郵送先税務署の住所を確認する

開業届を郵送する宛先は、 個人事業主の場合、原則自宅のある住所地を管轄する税務署になります。事業を行う事務所所在地と自宅が異なる場合は注意が必要です。
自宅住所地を管轄する税務署の住所は国税局のホームページから確認できます。

参考:国税庁|税務署の所在地などを知りたい方

郵送時の封筒サイズと宛名の書き方

郵送時の封筒サイズに決まりはなく、折りたたんで封入しても問題ありません。
宛名の書き方は以下の図を参考に、税務署名の下には「御中」と記入します。税務署内で部署仕分けがしやすいように、左側に「個人事業の開業・廃業等届出書 在中」と記載しましょう。
裏面には、自分の住所、氏名、郵便番号を記入し送付者を明確にします。また、切手代不足などの場合、裏面住所に返送されることがあります。

【開業届送付用封筒の書き方】

開業届送付用封筒の書き方

【同封する返信用封筒の書き方】

返信用封筒の表面には、自分の住所、氏名、郵便番号をと記入します。氏名の下には、「様」ではなく「行」と記入することを、ビジネスマナーとして覚えておいてください。さらに郵便切手も忘れずに貼りましょう。

同封する返信用封筒の書き方

開業届を郵送する際の注意点

開業届を郵送する際は、書類に不備がなく、確実に税務署に届く方法を選ぶ必要があります。そのポイントを詳しく解説します。

郵送は信書扱いにする

開業届のような税務に関する書類には、個人情報の記載があるため、「郵便物」または「信書便物」として送付する必要があります。信書とは、特定の受取人に対し、差出人の意思や事実を通知する文書のことです。確実に税務署へ届けるため、追跡可能なレターパックなどの利用が安心です。また、宅急便での発送は、法律で禁止されているので注意しましょう。

参考:国税庁|申告書の税務署への送付

控えを取っておく

これまでは、開業届を2部作成し提出することで、そのうちの1部に収受日付印と税務署名が押印されて開業届の控えとして返送されました。しかし、令和7年1月から押印がなくなり、申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したリーフレット(開業届の控え扱いが確立するまでの対処として)が返送されるようになりました。そのため、開業届のコピーを取っておき、リーフレットを受け取るための返信用封筒を同封します。

参考:国税庁|申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A

書類に不備がないようにする

開業届の記載内容に不明点があったり、添付書類に不備があったりした場合、問い合わせや差し戻されることがあります。その度に確認や再提出するための、無駄な時間と労力が必要です。忙しいときだからこそ落ち着いて、必要項目の記載と必要書類を確認し不備のない準備が重要です。

開業届と同時提出がオススメの申請書類

開業すると所得税の確定申告が必要になります。付随する届出書や申告書を提出しなければならず、それぞれ提出期限が異なるため、その都度届け出るのは大変です。そこで、開業届と同時に提出できるその他の申請書類を紹介します。

所得税の青色申告承認申請書

青色申告を希望する場合、「青色申告承認申請書」を提出し承認を受ける必要があります。開業したその年から青色申告を受けるためには、開業日が1月1日~1月15日なら3月15日まで、1月16日以後の開業なら開業日から2か月以内に提出しなければいけません。開業届と同封することで、期限内に提出でき、一度の手間で完了できます。青色申告には大きな節税効果があるためぜひ活用しましょう。

青色専従者給与に関する届出書

青色申告では、家族が事業に参加し給与の支給を受ける場合、この専従者給与を経費として計上できます。提出期限は青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで、もしくは、1月16日以後に開業した場合や、新たに専従者がいることとなった場合は、その事実から2か月以内です。開業当初から専従者がいる場合は青色申告承認申請書と一緒に提出しましょう。

参考:国税庁|A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員を雇い、給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した場合、その旨を所轄税務署長に届け出る必要があります。提出期限は事務所等開設日から1か月以内です。こちらも開業届と一緒に提出できます。

参考:国税庁|A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっています。ただし、給与の支給人員が常時10人未満の場合は、半年分ずつ年2回にまとめて納付できる特例制度を受けられます。この制度を受けるための申請書も開業届と一緒に提出が可能です。開業当初の資金繰りの厳しい時期に、従業員を雇った場合には、活用したい制度といえます。

参考:国税庁|A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請 

まとめ

開業届は、税制面や補助金の受け取り、社会的な信用度の向上など、新規に事業を始める方にとって多くのメリットがあります。提出期限を遅延しても罰則はありませんが、新規事業を開始する際には、早めに活用しましょう。開業当初の忙しい時期でも必要な手続きなので、時間と労力を抑えられる郵送での提出がオススメです。提出期限や郵送方法、注意点など、この記事を確認し、スムーズな開業準備にお役立てください。

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業務委託と個人事業主の違いとは?メリット・デメリットを徹底解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-outsourcing-business-owner-difference/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-outsourcing-business-owner-difference/#respond Wed, 09 Apr 2025 02:11:40 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36397 はじめに
  • 個人事業主とは法人をつくらず個人で事業を営む者を指す
  • 業務委託とは個人事業主が業務を請け負うときのひとつの契約形態である
  • 業務委託は成果物に、準委任契約では業務遂行のための作業に報酬が発生する
  • 個人事業主は契約・報酬・税金・社会保障などさまざまな面で会社員と違いがある
  • 業務委託で働くときは契約内容をよく確認し、成果物の著作権の所在を確認しよう

業務委託と個人事業主の違い

業務委託とは、個人あるいは企業が仕事を請け負う際の契約形態のひとつです。
個人事業主は個人が独立して事業をおこなう形態のひとつです。それぞれ解説します。

業務委託とは

業務委託とは、企業や個人が、業務の一部またはすべてを外部委託することを指します。業務委託は契約形態の一呼称です。したがって、企業の業務を個人が請け負うこともあれば、企業間で業務委託を請け負うこともあります。また、個人の業務を別の個人が請け負うことも業務委託にあたります。
業務委託を個人が請け負う場合、会社員のような雇用契約ではなく、業務委託契約を締結します。業務委託契約はおもに2つの形態があります。

  • 請負契約

    成果物に対して報酬が発生する形で委託者と受託者が結ぶ業務契約を指す。

  • (準)委任契約

    業務の遂行を目的に、作業に対して報酬が発生する契約形態である。委任契約、または準委任契約と呼ばれる。

    • → 委任契約

      弁護士や税理士など法律に抵触する業務をおこなう者に業務を委託し、受託者が遂行する

    • → 準委任契約

      法律に抵触しない業務を委託、受託者が遂行する。たとえば、ITの業務請負は準委任契約となる。

個人事業主とは

個人事業主とは、法人をつくらずに個人で事業を営む人のことです。税務署に開業届を提出することで個人事業主となります。
個人事業主の職業の例としては、飲食店や服飾店などの店舗経営、弁護士や税理士といった士業、開業医、独立して仕事を請け負うコンサル業やエンジニア、漫画家やイラストレーターといったクリエイターなどです。成果物や商品を納品して報酬を得るため、働き方については自分で自由に決められます。

個人事業主と会社員の違い

この項では個人事業主と会社員との違いを詳しく解説します。

報酬の違い

会社員は、企業と雇用契約を結んで業務に従事する働き方です。企業の業務指示に従って働き、賃金が定期的に支払われます。契約で決められた時間に働き、残業をする場合には労働基準法で決められた割増賃金が支払われます。
個人事業主は、企業に提供した成果に対して報酬を得ます。能力が高ければ、会社員と比較してかなりの高収入を得られる可能性があります。

税金の違い

個人事業主は、税金の面で会社員とは違いがあります。

  • 所得税の納税方法が違う

    個人事業主は、会社員と違って年末調整や所得税天引きの仕組みはない。したがって、個人事業主は毎年自ら確定申告をおこない、所得税を支払う必要がある。

社会保障における違い

社会保障の面においても、会社員と比較して個人事業主は大きな違いがあります。

  • 社会保障面

    社会保険とは、会社員に加入義務がある健康保険(および介護保険)・厚生年金・労働保険・雇用保険のこと。ただし、個人事業主として生計を立てている場合は一部の社会保険に加入できない。

    1. 健康保険

      日本では国民皆保険制度をとっており、国民はいずれかの健康保険に加入しなければならない。
      会社員は、所属企業が運営する組合健保、または中小企業のために運営される協会けんぽという健康保険のどちらかに加入する。個人事業主は国民健康保険に加入する。
      また、会社員と個人事業主では、健康保険の保険料にも違いがある。会社員の保険料は所属企業と本人との折半となるが、個人事業主は全額負担である。

    2. 年金

      年金制度は、いわゆる2階建てのつくりになっている。国民全員が加入する国民基礎年金と、会社員が国民基礎年金に加えて加入する厚生年金のふたつが運用されている。
      つまり、個人事業主は国民基礎年金のみに加入するが、会社員は、国民基礎年金と厚生年金の両方に加入することになる。このため会社員は、納める年金の額は大きいが、その分将来のもらえる年金の金額も増える仕組みだ。
      厚生年金に加入している会社員と比較して、国民基礎年金のみの個人事業主では将来もらえる金額がかなり少なくなるので注意しよう。

    3. 雇用保険

      雇用保険は、労働者が失業し収入がなくなったときに、失業手当をもらえる国の制度だ。
      会社員は、一定の基準を満たすと雇用保険への加入義務が生じる。加入期間が通算12か月以上あれば、失業時に失業手当がもらえる。しかし、個人事業主は、雇用保険に加入できないため、もし失業しても失業手当はもらえない。

    4. 労災保険

      労災保険は、労働者が通勤または業務中に怪我・病気などをした際に保険金が給付される制度で、会社員は加入必須である。一方、個人事業主は原則として労災保険に加入できないが、労働者と同様に保護されるべき立場として、一人親方など一部の個人事業主には、特別加入制度による任意加入が認められている。さらに、2024年11月からは「フリーランス新法」の施行により、特定のフリーランスも特別加入の対象に加わった。

参考:厚生労働省 – 令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました

  • 法律面

    個人事業主は労働基準法の適用外となる。なぜなら、労働基準法は会社員を守るための法律だからだ。つまり、個人事業主には最低賃金や残業の概念は適用されず、6時間以上の労働には休憩が義務付けられることもない。 また、なかには悪質な企業(委託者)も存在し、なかなか報酬が支払われないなどのトラブルも頻発している。しかし、こういったトラブルの解消を目的に2024年11月からフリーランス新法という法律が施行された。詳しくは厚生労働省のページを確認しよう。

参考:厚生労働省 – フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

業務委託の注意点

業務委託で仕事を請け負う際、注意すべきポイントを解説します。

偽装請負に気を付ける

準委任契約は、委託者と受託者の契約であるため、会社員のように上司の指示に従って動く必要はありません。
しかしながら、実際の現場では、委託者である企業から、仕事のやり方をまるで部下のように指示されるケースがあります。これはいわゆる偽装請負にあたり、違法行為となります。このような働き方をするのであれば、会社と雇用契約を結ばなければいけません。

法律では実際の業務形態を重視するため、契約書上は準委任契約となっていても実態が上司の指示に従うような働き方であれば法律違反とされます。

業務内容をよく確認する

業務委託を請け負う場合、どこからどこまでが自分の業務範囲かは、契約書に記載されている内容に準じます。この点をあいまいにすると、自分の仕事の範囲がどこまでかがわからず、トラブルにもつながりかねません。
業務範囲はきちんと相談の上で決定し、契約書にも業務内容の範囲を明確に記入することが大変重要です。

2024年11月に施行されたフリーランス新法を確認しておきましょう。

参考:公正取引委員会 – 公正取引委員会フリーランス法特設サイト

著作権が誰に帰属するか必ず確認をする

著作権とは、その作品をつくった人が持つ権利です。著作権を持たない者は、その作品を勝手に使用したり、販売して報酬を得たりすることはできません。これらの行為をおこなうためには、著作権者の承諾が必要です。

業務請負は完成した成果物として納品し、対価に報酬をもらいますが、この成果物について著作権はどちらものものかという問題があります。
結論からいうと、業務請負の場合は、契約により、依頼した企業(委託者)に成果物の著作権が帰属することが多いようです。しかし、双方相談の上、制作者(受託者)に著作権が帰属する契約にすることも可能です。

とくにクリエイター系フリーランスの間では、著作権物の問題でよくトラブルになっています。著作権について認識があいまいな場合は、成果物の著作権が誰に帰属するのか、契約締結のときに契約内容をよく確認するようにしましょう。

まとめ

個人事業主とは、法人をつくらずに個人で事業を営む人のことです。業務委託とは、企業や個人が、業務の一部またはすべてを外部委託することを指します。
つまり、個人事業主が業務を請け負うときの契約形態のひとつが業務委託です。

個人事業主は、会社員と比較して、報酬面、税金面、社会保障面でさまざまな違いがあります。会社員は毎月安定した収入を得られ、手厚い社会保障があります。対して個人事業主は、契約単位で報酬が発生するため月々の収入は不安定になりやすく、社会保障も薄いです。ただし、個人事業主の権利を保護する目的で、2024年11月にフリーランス新法という法律が施行されました。

個人事業主は、トラブルが起きても自分ですべて対応しなければならないため、契約書の内容をきちんと把握しておくことは非常に重要です。とくに業務委託契約では、偽装請負という違法な労働形態に陥る可能性があるので、契約書の業務内容はよく確認しておきましょう。

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個人事業主が活用できる補助金とは?種類や申請方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-hojokin/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kojinjigyoushu-hojokin/#respond Tue, 01 Apr 2025 07:00:14 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36171 はじめに
  • 補助金とは、国や地方自治体が企業・個人事業主に支給する資金のこと
  • 社会問題の解消や、経済活性化を推進することが目的
  • 補助金にはさまざまな種類があり、対象者・受給要件・申請方法などが異なる
  • 国だけでなく、地方自治体ごとにも補助金制度が実施されている
  • 申請したからといって、必ずしも採択されるとは限らない

補助金とは?

補助金とは、国や地方自治体が、企業や個人事業主を支援するために支給する資金のことです。補助金の支給により、社会問題や環境問題の解消・経済活性化を推進することが目的です。

多くの補助金は、申請・審査を経て採択された場合のみ受給できます。採択件数や金額などは、はじめから決まっている場合が多いため、申請しても受給できるとは限りません。
また、多くの補助金は所得税・法人税などの課税対象となるため、基本的には確定申告を行う必要があります。

助成金・給付金との違いは?

助成金と補助金は、意味も目的もほぼ同じです。
助成金は補助金と同じく、国や地方公共団体が企業や個人事業主などに支給する資金のことです。
社会問題や環境問題の解消・経済活性化の推進を目的としています。
補助金と異なる点は、基本的に、要件を満たせば受給できることです。

一方、給付金とは、国・地方公共団体が個人・世帯に対して支給する資金のことです。
主に、貧困家庭への生活支援や災害時の救済措置など、特定の条件を満たす場合に支給されます。
給付金は、事業活動を支援する補助金・助成金とは異なり、一時的な救済措置として給付されるケースが一般的です。

個人事業主も利用できる代表的な補助金

以下では、個人事業主も利用できる代表的な補助金を6つ紹介します。

1.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)とは、小規模事業者・個人事業主などが販路開拓に必要な経費の一部を国が補助する制度のことです。
通常枠と特別枠(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠)があり、いずれか1つの枠のみ申請できます。

通常枠とは、自らが作成した経営計画に沿って、販路開拓や事業拡大の取り組みを行う小規模事業者への支援枠のことです。通常枠の補助上限額は50万円ですが、インボイス特例の要件を満たせば、補助上限額に50万円を上乗せして申請できます。

2.IT導入補助金

「IT導入補助金」とは、中小企業・小規模事業者・個人事業主などが、ITツール(ソフトウェア・サービスなど)を導入する際に国が補助する制度です。主に、業務の効率化やDX推進を目的として設立されました。

IT導入補助金のなかでも、「インボイス枠(インボイス対応類型)」は、パソコン・タブレット・ハードウェアなどの導入にも利用できるため、人気があります。
ただし、ITツールの導入もセットで行うことが条件ですので、申請を検討している方は覚えておきましょう。

補助金を申請する際には、IT導入支援事業者とパートナーシップを組む必要があります。IT導入支援事業者とは、生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者等へ、ITツールの導入を支援する事業者のことです。
また、補助金対象のITツールは、事前にIT導入補助金事務局のホームページに公開されているものに限ります。

3.中小企業省力化投資補助金

「中小企業省力化投資補助金」とは、中小企業・小規模企業・個人事業者などが、省力化製品(IoT・ロボットなど)を導入する際に国が補助する制度です。省力化製品を活用して、人材不足の解消につなげることを目的としています。

中小企業省力化投資補助金には「カタログ注文型」と、2025年から新設された「一般型」があります。
カタログ注文型とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページにあるカタログに登録された省力化製品のなかから、自社に合った製品を選び、販売事業者と共同申請する方式です。

一方、一般型は、カタログに登録されていない省力化製品やオーダーメイド製品などを活用できる点が特徴です。

4.事業再構築補助金

「事業再構築補助金」とは、コロナ後に事業の再構築を目指す、中小企業・小規模企業・個人事業者などを支援する国の補助制度です。
「事前着手制度」が廃止されてからは、補助金交付決定前に支出した経費は補助対象外となりましたので、注意が必要です。

事業再構築補助金を利用するための基本要件には、事業再構築指針の定義に該当する事業を行うことや、事業計画について金融機関や認定経営革新支援機関等の確認を受けることなどがあります。
事業再構築指針の定義は、「新市場進出」や「事業転換」「業種転換」などです。
たとえば、飲食業であれば、自社商品のテイクアウト販売を行うスペースの設置や、デリバリーサービス事業の立ち上げなどが該当します。
また、航空機の部品を製造する企業が、ロボットや医療機器の部品開発事業に乗り出した例もあります。

事業再構築補助金の申請手続きには、GビズIDの取得が必要です。
GビズIDの取得には一定期間を要するため、手続きは早めに行いましょう。

5.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは、中小企業・小規模事業者・個人事業主などが、今後直面する制度(働き方改革・賃上げ・インボイス導入など)へ対応できるように、国が補助する制度です。
また、日本国内に本社及び補助事業を行う場所(工場・店舗など)があることも条件の1つです。

補助対象事業には、以下の2つの事業枠があります。

  • 製品・サービス高付加価値化枠:

    新製品や新サービスの開発に、必要な設備・システム投資などを支援する事業枠

  • グローバル枠:

    海外事業を実施している企業の支援枠。主に、必要な設備・システム投資などを構築して、国内事業と海外事業の双方を強化し、国内の生産性向上に努める企業が対象

6.中小企業新事業進出補助金

2025年に新設されたばかりの制度に「中小企業新事業進出補助金」があります。
中小企業新事業進出補助金とは、既存事業とは別に、新市場・高付加価値事業への進出を行う企業や事業主に対して、設備投資等にかかる費用を国が補助する制度です。中小企業・小規模事業者だけでなく、個人事業主も対象となります。
企業や事業主の生産性向上だけでなく、賃上げを促進させることも目的の1つです。

また、同じく2025年に新設された補助金に「中小企業成長加速化補助金」があります。
こちらの補助金は、売上高100億円を目指す中小企業に対して国が補助する制度ですので、比較的事業規模が大きい事業者や企業でなければ対象にはなりません。

補助金の申請方法・流れ

補助金の申請方法や流れは補助金ごとに異なります。申請する際は、その都度要綱を確認しましょう。
以下では、補助対象者の申請方法・流れを解説します。

一般的な補助金の申請方法・流れ

以下の表では、一般的な流れをご説明しています。

  1. 事前準備

    各補助金サイトから公募要領を確認する。郵送、またはネットのどちらから申請するかを決める
    ネットから申請する場合は、法人・個人事業主向けの共通認証システムアカウント(GビズID)を取得すると便利

  2. 公募申請

    公募要領・申請書を確認のうえ、必要書類一式を事務局に提出する
    提出書類:応募申請書・事業計画書・経費明細書・事業要請書など

  3. 交付申請・交付決定 → 補助事業の開始

    採択後は交付申請(補助金を受け取るための手続き)を行う。申請が認可されたら交付決定(補助事業の開始)となる
    受取書類:選定結果通知書・補助金交付規程・交付申請書・交付決定通知書など
    提出書類:交付申請書・経費の相見積もりなど

  4. 変更申請手続き

    交付決定にあたり、事業内容を変更する都合があれば、計画変更申請手続きを行う
    提出書類:計画変更申請(必要な場合のみ)

  5. 報告書の提出・補助金交付

    事業内容や経費を報告して補助金を受け取る。補助金の対象となる経費に関しては、領収書や証拠書類など、すべて保管しておく
    提出書類:実績報告書・経費エビデンス・請求書など
    受取書類:補助金額確定通知書・請求書様式など

補助金の公募期間は一か月前後であることが多いため、期間内に所定の書類を揃える必要があります。
その際に、きちんと補助金の必要性をアピールできないと採択されないため、注意しましょう。

補助金を受け取るためのポイント・注意点

以下では、補助金を受けるためのポイント・注意点を8つ解説します。

1.申請する補助金が個人事業主も対象かどうかを確認する

補助金を申請する前には、自社が対象となるかを確認しておきましょう。
補助金のなかには「個人事業者向け」と記載されていないケースもあり、自社が適用されるかどうかがわかりにくいこともあります。
そのため、補助金ごとの詳細要件を確認する前に、前提条件が当てはまるかを大まかに確認しておきましょう。

具体的には、以下の4項目の確認をオススメします。

  1. 補助対象者かどうか(事業規模・法人格・改行年数・開業実績など)
  2. 補助対象事業かどうか(補助金の趣旨にあった事業を展開しているかどうか)
  3. 補助対象経費のものを購入・投資予定か
  4. 補助対象期間に事業を実施しているか(支出した経費を含む)

2.補助金を受け取るまでは資金計画を立てておく

補助金を申請して採択された場合でも、受け取るまでの期間は、資金計画を立てておく必要があります。理由は、多くの補助金が後払い制であるためです。

たとえば、総額100万円の機械導入に1/2の補助が適用される場合でも、最初に自社で100万円を用意する必要があります。
50万円だけ自社で用意しておき、購入時に残りの50万円を補助金で支払うことはできませんので注意しましょう。

3.補助金を受け取る際の提出書類はきちんとチェックしておく

補助金を受け取る際に提出する書類(報告書・支払証憑類など)はきちんとチェックしておきましょう。提出書類の内容が適当であったり、目的外のモノに経費を支出していたりした場合、支払いを拒否されることがあります。

過去の例では、試作品をつくるために導入した機械に対する補助金が支払われなかったケースもあります。こちらは、試作段階で量産用の機械を購入したとして補助金の支払いが拒否されました。

4.補助事業開始前に支出しないよう気を付ける

 一般的に、補助金は補助事業期間内のものに適用されます。そのため、補助事業開始前に支出した経費は補助金の対象外となるケースが多いです。

結果として、補助が受けられない事態を避けるためにも、支出時期には気を付けましょう。
たとえば、事業期間が6月1日から2月28日までの場合、5月31日や3月1日に支出したものは補助を受けられない可能性が高いです。
また、事業期間の最終日に関しては、年度末よりも少し早めに設定されているケースが多いため、こちらも注意が必要です。

5.国だけでなく地方自治体からの補助金の情報もチェックしておく

補助金の支給は国からだけではありません。
地方自治体でも実施していますので、各自治体の情報もチェックしておきましょう。

たとえば、大阪府では、「中小事業者高効率空調機導入支援事業補助金」を実施しています。
中小事業者に補助金を支給して、脱炭素化や電気料金の削減を促したり、経営力強化を促進させたりすることが目的です。

また、神奈川県では、「ロボット導入支援補助金」を実施していました。こちらは、「ロボットと共生する社会」を実現していくことを目的として設立されました。主に「さがみロボット産業特区」で商品化したロボットを導入する事業者への補助金です。※令和6年度の募集は2025年2月で終了しています。

両者ともに、企業だけでなく、個人事業主も補助対象です。

6.補助金の対象となる領収書・証拠書類などは指定期間保管しておく

補助金の対象となる領収書・証拠書類などは、補助事業終了後、5年間は保管しておく必要があります。
また、「補助金等交付申請書等」には、補助対象外経費も含めて記載する必要があるため、事業期間に発生した補助対象外費用の領収書・証拠書類なども残しておきましょう。

さらに、補助金が支払われた企業は会計検査院の検査を受ける可能性が高いため、必要書類の保管だけでなく、事務処理手続きも正確に行うことが重要です。

7.補助金の不正行為・不正受給が発覚した場合は処罰されるリスクがある

補助金の不正行為・不正受給が発覚した場合、処罰される可能性が高いです。
たとえば、虚偽の申請を行って補助金を受給したり、補助金を目的外に使用したり、補助金の受給額を不当に釣り上げて関係者へ報酬を配賦したりするなどの行為が不正に該当します。

これらの行為が判明した場合、交付決定取消・補助金の返還だけでなく「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づき、処罰されるリスクがあります。

8.補助金の申請・活用などに迷ったら国が認定する相談機関を活用する

補助金の申請・活用に迷った際は、国が認定する相談機関の活用をオススメします。
国が認定する支援機関は、主に「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」と「よろず支援拠点」です。両者は個人事業主も利用できます。

認定支援機関では、中小企業を支援するうえで、一定以上の専門知識や実務経験がある税理士・公認会計士・金融機関などの支援機関が、相談に応じてくれます。
一方、よろず支援拠点とは、国が設置した無料の経営相談所です。経営上のあらゆる相談に対して何度でも無料で相談を受けられます。

まとめ

補助金の対象者は、受給要件に該当する企業・事業者・個人事業主などです。
補助金にはさまざまな種類があり、対象者・受給要件・申請方法なども異なります。なかには、個人事業主が利用できないものもあるため、事前に受給要件を確認しておきましょう。

また、国だけでなく地方自治体が実施している補助金もありますので、日頃からあらゆる情報をチェックしておくことが大切です。

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開業届の屋号は必要?決め方と記入方法を解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-yagou/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-kaigyotodoke-yagou/#respond Fri, 21 Mar 2025 06:07:56 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=36079 はじめに
  • 屋号とは、個人事業主が使用する商業上の名前のこと
  • 屋号は開業届に必須ではない
  • 「○○会社」「○○保険」などは使用できない
  • 頻繁に変更すると、顧客や取引先の信頼を失うリスクがある
  • 屋号は、ブランディングを確立するのにも役立つ

屋号とは

屋号とは、個人事業主が使用する商業上の名前のことです。
屋号を申請する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)に記入しましょう。
また、屋号は1つだけでなく、複数取得したり使い分けたりすることもできます。

商号・雅号との違い

屋号と似た言葉に「商号」「雅号」があります。
それぞれの特徴や違いを以下の表にまとめました。

項目屋号商号雅号
定義個人事業主がビジネスで使用する事務所や商店などの名称法人がビジネスで使用する名称。企業名の正式名称芸術家や文筆家が本名以外につける別名
対象者個人事業主法人・個人事業主個人(芸術家・著述家・芸能関係者など)
法務局への登記任意(開業届に記載可能)・個人事業主は任意
・法人は必須(法務局で登記が必要)
不要
使用制限・制約など自由に使用・変更できる使用・変更の際に一定の制約がある自由に使用・変更できる
銀行口座開設銀行によっては、屋号付き口座(個人口座)が開設できる。法人口座は開設できない法人口座名義に企業の商号名を使える雅号を屋号(商号)の一部として、口座名義に設定できる

たとえば、イラストレーターの方が個人事業主の場合、事業名につけるのが屋号で、活動名として使用するのが雅号になります。
また、屋号と商号は、どちらも事業を行う際に事業名・企業名として使用できます。
両者の違いは、登記方法や法的拘束力の範囲です。

開業届に屋号は必要?

個人事業主として開業する際は、税務署に開業届を提出する必要があります。
屋号を使用するタイミングは自分で決められますので、開業届提出後すぐに名乗らないといけないわけではありません。
また、屋号の記載は任意のため、空欄のままでも提出可能です。あとから設定・変更・抹消なども自由にできます。

屋号をつけるメリット・デメリット

開業にあたり、屋号を設定する場合は、開業届の屋号記載欄に記入しましょう。
以下では、屋号をつけることのメリット・デメリットを解説します。

屋号をつけるメリット

以下では、屋号をつけることのメリットを解説します。

  • 顧客に事業をアピールできる

    屋号をつけることによって、事業イメージが定着しやすくなり、集客や仕事の受注につながります。

  • 法人化する際に使っている屋号を商号として引き継げる

    法人化の際には、使っている屋号をそのまま商号として引き継げます。
    これまで積み上げてきた実績や信用などを失わずに、法人化できるのがメリットです。

  • 屋号付き銀行口座を開設できる場合がある

    屋号をつけることで、屋号付き銀行口座を開設できる場合があります。
    屋号付き銀行口座は、個人名義の口座よりも社会的信頼性が高く、顧客・取引先にも安心して利用してもらえます。
    また、口座開設時には屋号記載済みの開業届の控えを提示する必要があります。詳細は銀行ごとに異なるので、都度確認しましょう。

屋号をつけるデメリット

以下では、屋号をつけることのデメリットを解説します。

  • 屋号を選定する際に手間がかかる

    とくに、法人・企業に商号専用権・商標権を侵害したと見なされた場合、訴えられるリスクがあるため、被らないように注意しましょう。
    他の個人事業主と同一名称の屋号をつけることは、法的に問題ありませんが、トラブルに発展するおそれがあるため、重複は避けた方が無難です。

  • 屋号を途中で変更する場合は手間がかかる

    途中で屋号を変更する場合も手間がかかります。
    たとえば、取引先への通知や、金融機関での口座名義変更手続きが必要です。また、名刺を刷りなおしたりホームページを更新したりしなければならず、煩雑な作業が発生する可能性があります。

  • 屋号が単一・少数だと事業のイメージが限定されやすい

    屋号をつける目的は、自社がどのような事業を行っているかを、顧客・取引先に伝えるためです。
    ただし、屋号から想起できない事業を行っている場合、その事業は認識されにくいのがデメリットです。従って、仕事の受注が来ないケースも考えられます。

屋号の手続き・後日申請・変更・抹消方法

以下では、屋号の手続き・後日申請・変更・抹消方法について解説します。

手続き方法

開業届に屋号を記載して税務署に提出すると、屋号の手続き登録が完了します。

開業届に、屋号の記載は義務づけられていないため、決まっていない場合や記載したくない場合は、空欄で提出しても問題ありません。
また、複数事業を行っている場合、それぞれの事業に対して個別に屋号を取得できます。

後日申請・変更方法

屋号は開業届を提出したあとからでも申請できます。また、何度でも変更可能です。
確定申告書・決算書などを提出するときに、新しい屋号をそれらに記載して提出します。

屋号を新たに申請・変更する場合、開業届を再提出する必要はありません。
ただし、変更したことを記録として残しておきたい方は、再度開業届を提出しても問題ありません。
屋号付き口座を開設している場合は、銀行の名義変更手続きで新たな屋号に変更することも忘れないようにしましょう。

抹消方法

使用している屋号を抹消する場合、手続きはとくに必要ありません。屋号をなくしたい場合は、次回の確定申告や決算時に屋号を記入しないようにしましょう。

また、屋号の抹消時に、とくに留意すべき点はありません。

開業届に記載する屋号の決め方

以下では、屋号の決め方について解説します。

使える文字や決める際のポイント

基本的に、屋号は自由に決められます。屋号に使える文字や記号は以下の通りです。

  • ひらがな
  • カタカナ
  • 漢字
  • 数字
  • アルファベット
  • 6種類の記号(「,」「.」「-」「&」「・」「’」)

屋号を決める際は、わかりやすく、覚えやすいものでかつ、オリジナリティのあるものにしましょう。

屋号を決める際の注意点

以下では、屋号を決める際の注意点について解説します。

使用できない言葉を確認する

屋号には「会社」「法人」などの文字が含められません。理由は、企業以外の者が企業と誤認されるおそれのある名称を使用できないように、法律で定められているためです(会社法・第7条より)。

また、「○○保険」「○○銀行」「○○証券」「○○金庫」なども該当する事業と無関係であれば使用が禁止されています。
さらに、公序良俗に反するような文言(性的・差別的・反社会的な文言)なども避けるべきです。

会社法|e-Gov 法令検索

他の企業名や屋号と同一・類似しているものは避ける

屋号に法的効力はありません。
しかし、トラブルを避けるためにも他の個人事業主と同一または類似の屋号をつけることは避けましょう。

また、つけた屋号が法人・企業に商号専用権・商標権などを侵害したと見なされた場合、訴えられるリスクがあります。
そのため、屋号をつける前に、他社の屋号・商号と重複しないかどうかを調査しておきましょう。
手軽に調査したい場合は、インターネットの活用が有効です。

たとえば、検索エンジンで登録したい屋号を検索したり、法務省のホームページにある「オンライン登記情報検索サービス」を利用したりする方法があります。オンライン登記情報検索サービスは、無料会員登録後に利用可能となります。
以下に、法務省のリンクを載せて置きますので、ご参考になさってください。

法務省|オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について

屋号の変更は慎重に行う

屋号の変更は慎重に行いましょう。
屋号変更に伴い、手間や労力がかかります。

たとえば、名刺の刷りなおし・ホームページの情報更新・銀行口座の名義変更手続きなど、通常業務に加えて、煩雑な処理に追われるリスクがあります。また、顧客や取引先にも混乱や不信感を与えかねません。
屋号の変更回数に制限はありませんが、特別な理由がない限り、なるべく変更は避けましょう。

屋号をうまく活用しよう

屋号を活用してブランディングを確立したり、集客戦略を立てたりすることが大切です。
以下では、屋号の活用方法について解説します。

インパクトのある屋号をつける

屋号を活用したブランディング戦略の1つに、インパクトのある屋号をつけるという方法があります。インパクトのある屋号は、顧客や取引先の記憶に残りやすいという利点があります。

ただし、屋号をつける際はユーザ目線を意識することが大切です。
複雑なもの・読み方が難解なもの・長すぎるものなどは、避けるようにしましょう。

ネット検索で上位に表示されやすい屋号をつける

ネットやSNSから集客したり、検索エンジンで上位表示を目指したりする場合は、シンプルでわかりやすい屋号をつけるように意識しましょう。

また、Webサイトを開設する際には、屋号と同じドメインが取得できるかどうかを確認することも大切です。
ドメインとは、URLの「https://www.◯◯◯.com」の「◯◯◯」に該当する部分です。
ドメインを屋号と同じに設定することで、ホームページの認知度や信頼性が高まります。

屋号と店名は統一する

取引先や顧客の混乱を避けるためにも、屋号と店名は統一しましょう。

また、屋号には事業内容との関連性を持たせることが大切です。
たとえば、「○○ベーカリー」「○○デザイン」などは、一目で何の事業を行っているかわかりやすいため、ブランディングの確立や多くの集客にも期待できます。

まとめ

屋号とは、個人事業主が使用する商業上の名前であり、申請には開業届が必要です。
屋号はブランディングの確立や集客にも役立ち、基本的には、自由に決められます。

一方「○○会社」「○○保険」など企業を想起させる単語は使用できないため、注意が必要です。
また、頻繁に変更すると、煩雑な手続きが増えたり、顧客・取引先の信頼を失ったりするリスクがあります。

屋号をつけるかどうか迷った際には、メリット・デメリットを考慮して自分に合った方を選択しましょう。

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フリーランスと個人事業主の違いとは?メリット・デメリットを解説 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-freelance-business-owner-difference/ https://www.seraku.co.jp/tectec-note/freelance/bp-freelance-business-owner-difference/#respond Thu, 13 Mar 2025 08:51:02 +0000 https://www.seraku.co.jp/tectec-note/?p=35916 はじめに
  • 両者とも業務委託契約を結ぶのが一般的
  • 両者ともライフスタイルに合わせた働き方ができる
  • 個人事業主として働くには、開業届が必要
  • 事業所得を得ている場合、開業届の提出は義務
  • 税金・社会保障はどちらも同一

フリーランス・個人事業主は雇用契約と異なり、勤務時間・勤務場所などが自由に選べます。両者共に発注者との間で業務委託契約を結ぶのが一般的です。
また、業務委託契約では、業務の完遂または成果物の完成をもって報酬が支払われます。

フリーランスと個人事業主の違い

フリーランスと個人事業主の違いは、税務署に開業届を提出しているか否かです。

以下では、フリーランスと個人事業主の違いをご説明します。

フリーランスとは

フリーランス個人事業主違い


フリーランスとは、働き方の1つです。自身の経験・知識・スキルなどを活用して個人で収入を得ている方々を指します。
フリーランスは、税務署に開業届を提出しなくてもなれますが、公的な支援を受けるには届出が必要です。

個人事業主とは

個人事業主とは、税法上、法人格をもたない事業主のことです。具体的には、税務署に開業届(個人事業の開廃業届出書)を提出して働いているフリーランスを指します。

個人事業主の事業の定義とは、反復性・継続性・独立性のすべてを満たす必要があります。また、法人格を取得していないことが条件です。

従って、個人事業主は事業を繰り返し継続して行う個人とも言い換えられます。
ただし、従業員やアルバイトは雇えますので、一人で事業を行うとは限りません。

開業届を出すメリット

事業所得を得ている場合、原則として開業届の提出は義務付けられています。
未提出でも罰則はとくにありませんが、開業届を提出することで受けられる恩恵もあります。
以下に、メリットをご紹介します。

  • 青色申告特別控除が受けられる(節税になる)
  • 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することで、対象者の給与を経費にできる
  • 最長3年間赤字を繰り越せる(繰り越した損失で利益を相殺して、課税所得を減らせる)
  • 屋号(法人でいう企業名・店舗名)を設定できる
  • 小規模企業共済に加入できる(掛金に応じて共済金が受け取れる)

反面、開業届提出後は、帳簿の記載義務・保存義務が発生します。
フリーランスと個人事業主のどちらで働くか迷った場合は、自分に合った方を選択しましょう。

フリーランス・個人事業主になるメリットとデメリット

以下では、フリーランス・個人事業主になるメリット・デメリットを解説します。

フリーランス・個人事業主になるメリット

以下に、フリーランス・個人事業主になるメリットを5つご紹介します。

  1. ライフスタイルに合わせた働き方ができる
  2. スキルや能力に見合った報酬が得られる
  3. 幅広い経験を積むことでスキルアップできる
  4. 定年がない
  5. 開業届を提出することで節税対策になる

フリーランス・個人事業主になるデメリット

以下に、フリーランス・個人事業主になるデメリットを5つご紹介します。

  1. 収入が不安定
  2. 交渉・契約・クレーム対応など、すべての雑務を1人で行う必要がある
  3. スキルや能力が低いと案件を受注できない
  4. ローンやクレジットカードの審査が通りにくい場合もある
  5. 年末調整がないため、確定申告が必要

フリーランス・個人事業主の税金・社会保障

フリーランス・個人事業主の税金・社会保障はどちらも同じです。
以下では、フリーランス・個人事業主の税金と社会保障について解説します。

支払う税金・受け取れる年金

フリーランス・個人事業主が支払う税金は、主に「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」の4つです。

また、フリーランス・個人事業主は、国民年金のみに加入します。厚生年金の加入者よりも将来受け取れる年金額が少ないため、あわせて他の年金制度への加入をオススメします。

社会保障

前職で、協会けんぽや組合保険などに加入していた方は、国民健康保険への切り替えが必要です。
退職後も任意継続できる健康保険はありますが、保険料は自己負担となるため、注意しましょう。

フリーランス・個人事業主が受けられる補助金・助成金

フリーランス・個人事業主が受けられる補助金・助成金はどちらも同一です。
以下では、フリーランス・個人事業主が受けられる補助金や助成金について解説します。

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)とは、販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者等を、支援する制度です。自社の経営を見直したり、持続的な経営に向けた経営計画を作成したりした事業者が利用できます。
補助対象となる経費は以下の11項目です。

  1. 機械装置等費
  2. 広報費
  3. ウェブサイト関連費
  4. 展示会等出展費
  5. 旅費
  6. 開発費
  7. 資料購入費
  8. 雑役務費
  9. 借料
  10. 設備処分費
  11. 委託・外注費

持続化補助金は、汎用性が高く目的外の使用ができるモノ(車・自転車・文房具・パソコンなど)は、補助対象外ですので注意が必要です。

ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)とは、国内外のニーズに対応した新事業を創出するための制度です。新サービスや新商品の開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等の補助として支給されます。

補助対象事業枠には、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠(海外事業を実施している企業)」があります。
製品・サービス高付加価値化枠は従業員数に応じて補助上限額が決まり、グローバル枠の補助上限額は、一律3,000万円です。

自治体による補助金

自治体ごとに支給形態や内容が異なる補助金や、社会情勢や災害などにより急遽支給される補助金があります。

たとえば、新型コロナウイルスが蔓延した2020年には、事業資金の資金繰り支援として「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」が施行されました。
こちらは、業況が悪化したフリーランス・個人事業主に対して、日本政策金融公庫・沖縄公庫などが、無利子・無担保で融資を行う制度です。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済的な理由で事業縮小や雇用調整が必要となった事業主に対して、費用を助成する制度です。主に、雇用維持を目的とした休業・教育訓練・出向に要した費用などが助成対象となります。
従業員を雇っているフリーランス・個人事業主も、要件に当てはまれば雇用調整助成金を受給できます。

受給対象者は、雇用保険に加盟している事業者や、事業活動を示す指標(売上高・生産量など)の3か月間の月平均値が、前年同期と比べて10%以上減少している事業者などです。

フリーランス・個人事業主を目指す前に知っておくこと

フリーランス・個人事業主として働く際には、自身を守るための法律を知っておきましょう。

日本フリーランスリーグ(フリーランスの課題を調査する当事者団体)の調査によると、約3人に1人が「クライアントから正当な報酬を得ていない」と回答しています。
他にも、契約内容が曖昧であったり、報酬の未払いや遅れがあったりするなどの問題が生じていることがわかりました。

こうした背景から、2024年11月に「フリーランス新法」が設立されました。
フリーランス新法とは、フリーランスで働く人々を保護する法律のことです。トラブルに巻き込まれた際は、以下のサイトから相談窓口につながりますので、ご参考になさってください。

厚生労働省委託事業・第二東京弁護士会運営|フリーランス・トラブル110番

偽装フリーランス問題について知っておく

近年では、偽装フリーランスが問題視されています。基本的に、フリーランスは労働基準法の適用外です。
にもかかわらず、フリーランスが実質労働者と同じ雇用形態で働かされる事例が発生しています。これを、偽装フリーランスといいます。

偽装フリーランスの問題点は、フリーランスが労働者に近い働き方をしている割に、労働基準法が適用されないことです。企業から補償が出なかったり、負担を強いられたりする事例も発生しています。

自分の働き方に疑問を感じた場合は、厚生労働省のリーフレットにある「働き方の自己診断チェックリスト」をご参考になさってください。

厚生労働省|フリーランスとして働く皆さまへ あなたの働き方をチェックしてみましょう

まとめ

個人事業主はフリーランスの一部です。フリーランスが税務署に開業届を提出することで個人事業主となり、公的な支援が受けられます。

また、「フリーランス新法」が施行されたことにより、今後は働きやすくなる見通しです。
とはいえ、偽装フリーランスや報酬の未払い問題など、すぐには解決できない課題もあります。

フリーランス・個人事業主のメリット・デメリットを知ったうえで、どのような働き方を選ぶかを考えましょう。

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