- 雑所得とは、10種類の所得税のうち、9種類のいずれにも当てはまらないものをいう
- 雑所得には公的年金等の所得、副業などによる所得、その他の所得の3種類がある
- 懸賞や公営ギャンブルで得た所得は一時所得となる
- 雑所得が一定金額を超えた場合は確定申告が必要である
雑所得とは、10種類の所得税のうちの1つです。9種類のどれにも当てはまらないものを雑所得といいます。
所得税の10種類について以下で解説します。
所得の種類 | 説明 |
---|---|
利子所得 | 預貯金および公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得 |
配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配または投資信託および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得 |
不動産所得 | ・土地や建物などの不動産の貸付や船舶や航空機の貸付 ・地上権などの不動産上に在する権利の設定と貸付 |
事業所得 | 農業・漁業・製造業・小売業・卸売業・サービス業、その他の事業で得る所得 |
給与所得 | 従業員や役員等が支払を受ける俸給・給料・賃金・歳費・賞与のほか、これらの性質を有する給与 |
退職所得 | ・勤務先から受け取る退職手当や社会保険制度による一時金 ・生命保険会社等から受け取る退職一時金 |
山林所得 | 山林を伐採または立木のままで譲渡することで得る所得 ※取得から5年以内に伐採または譲渡した場合は事業所得か雑所得になる |
譲渡所得 | 土地・建物・株式等・ゴルフ会員権・金地金などの資産を譲渡することによって生ずる所得 |
一時所得 | ・懸賞や宝くじなどの賞金品・競馬や競輪の払戻金 ・生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金 ・法人から贈与された金品 ・遺失物拾得者や埋蔵物発見者が受ける報労金 ・資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その目的に充てられなかった分 |
雑所得 | 上記9種類に当てはまらない所得 公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など) |
雑所得は3つの種類に分けられます。以下で解説します。
公的年金等や恩給などで得た所得は、雑所得となります。該当するものは、次の4つです。
主な例としては、国民年金、厚生年金、企業年金などです。
副業の業務に係る所得は雑所得となります。
主な例としては、ライターやイラストレーターとしての原稿料、講演会による講演料、シルバー人材センターでの収入、シェアリング・エコノミーに係る所得などです。
ただし、これらの中でも、継続的・反復的に行われている、規模が大きい場合などは、事業所得として扱われる可能性もあります。
その他の雑所得とは、公的年金等の雑所得、業務に関わる雑所得以外の雑所得を指します。
主な例としては、生命保険の年金(民間の個人年金保険など)、互助年金、FXや暗号資産取引による収入などです。
雑所得と混同しがちな、事業所得や一時所得との違いを解説します。
国税庁からの通達により、2022年10月から雑所得と事業所得の区別が明確になりました。この通達以降、雑所得になるかどうかの判断基準に、本業か副業かは関与しないことになります。
「事業的規模であるかどうか」については、目安があります。
通達では、判断基準が表で分かりやすく示されています(以下)。
収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
---|---|---|
300万円超 | 概ね事業所得(注) | 概ね業務にかかる雑所得 |
300万円以下 | 業務に関わる雑所得 |
(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断する。
(1)その所得の収入金額が僅少と認められる場合 (2)その所得を得る活動に営利性が認められない場合
なお、注釈にも記載されている通り、事業所得か雑所得かの判断を個別におこなう場合があります。自分の所得がどちらになるか分からないときは、税務署に問い合わせるのがよいでしょう。
参考:国税庁 – 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
年金で得た所得、副業などの業務による所得、株やFXによる所得は雑所得となります。
一方、懸賞で得た所得や、競馬や競輪といった公営競技で得た所得、生命保険の一時金・損害保険の満期返戻金で得た所得などは一時所得となります。
本業でない営利目的の収入、や生活目的(年金)の収入が雑所得となりますが、一時所得は営利目的での活動で得た収入ではない点がポイントです。
一時所得に該当する収入は次のものです。
このセクションでは、雑所得における計算のやり方を解説します。
まずは所得税の税率と控除額を紹介します。次の表をご覧ください。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
年金とそれ以外の雑所得にあたる収入で計算のやり方が違うため、注意しましょう。
ここでは公的年金等の雑所得について、計算のやり方を説明します。
収入金額 – 公的年金などの控除額
※公的年金等控除額は、受給者の年齢・年金の収入金額に応じて、定められている。
(控除額の早見表は国税庁 No.1600のWebページを参照
参考:国税庁 – No.1500 雑所得
参考:国税庁 – No.1600 公的年金等の課税関係
業務に係るものの雑所得について、計算のやり方を説明します。
総収入金額 – 必要経費
その他の雑所得について、計算のやり方を説明します。
総収入金額 – 必要経費
雑所得を算出したら、次は所得税を計算します。所得税の計算のやり方は以下の通りです。
総所得額 – 所得控除額 = 課税所得金額
課税所得額 × 税率 = 所得税額
所得税額 – 税額控除額 = 納税額
会社に勤めながら、副業で年間300万円の収入を得ている場合の計算例を紹介します。なお、年末調整の結果、会社員としての所得は150万円、副業の必要経費は0万円、独身で扶養する家族はおらず、他の控除はとくになしとします。
まず、雑所得を出します。
副業の収入3,000,000(円)-必要経費0(円) = 雑所得3,000,000(円)
次に、総所得額から所得控除額を引き算し、課税所得金額を出します。例の場合は、基礎控除額である48万円を引きます。
雑所得3,000,000(円) – 所得控除額480,000(円) = 副業の課税所得金額2,520,000(円)
給与所得1,500,000(円)+副業の所得2,520,000(円)=課税所得金額4,020,000(円)
そして、課税される所得金額の表から、税率を割り出します。
課税所得金額2,520,000円は、「雑所得の計算方法」で紹介した税率表によると、税率20%、控除額427,500円になります。
課税所得金額4,020,000(円)× 税率20% – 控除額427,500(円)= 納税すべき所得額376,500(円)
よって、納めるべき所得税は376,500円です。
雑所得は、確定申告が不要な場合と必要な場合に分かれます。確定申告が必要になる条件の目安は収入金額です。給与所得がある方と他の方で考え方が違うため、以下で解説します。
会社員で副業などの収入が20万円を超えた場合、副業の収入を雑所得として確定申告をおこなう必要があります。副業の収入が20万円を超えない場合、確定申告をおこなう必要はありません。
なお、給与所得がある人は、年末調整後に源泉徴収票をもらいます。副業の収入で確定申告するときに、給与所得も記入する必要があるため、源泉徴収票が必要です。源泉徴収票はきちんと保管し、確定申告のときにすぐ取り出せるようにしておくと便利です。
給与所得がある人以外の人については、雑所得が48万円を超えたときに確定申告をおこなう必要があります。これは、確定申告において、基礎控除である48万円が収入から引かれるためです。
たとえば、収入が48万円を超えない場合、基礎控除額48万円を差し引いた所得が0円となるため、確定申告をおこなう必要はありません。48万円を超えた場合は、課税対象となる所得が生じるため、 確定申告をおこなう必要がでてきます。
なお、年金所得者は特例があるので、そちらに従うことになります。
年金所得者は原則、確定申告をおこなわなければなりません。しかし、年金受給者の負担を減らすために、年金所得者に係る確定申告不要制度があります。
(1) 公的年金等の収入金額が、400万円以下(ただし、公的年金がすべて源泉徴収の対象であること)
(2) 公的年金等にかかわる雑所得以外の所得金額が、20万円以下
雑所得とは、法律で定義されている10種類の所得税のうち、9種類のいずれにも当てはまらないものをいいます。雑所得には3種類あり、公的年金等の所得・(副業などの)業務に係る所得・その他の所得に分かれます。また、公営ギャンブルや懸賞で得た所得は一時所得に分類され、雑所得とは区別されます。
雑所得が一定額を超えたときは確定申告をおこなう必要があります。事前に確認しておくとよいでしょう。
簡単なプルダウンリストの作成方法を習得された方向けに、応用編では、Excelでプルダウンの項目に連動してリストが変化する設定方法を解説します。
Excel(エクセル)のプルダウンとはプルダウンリスト(プルダウンメニュー)の省略語です。ドロップダウンリストとも呼ばれています。この記事では、プルダウンリストの応用的な作成方法と使い方までご紹介します。
プルダウンリストの基本操作に慣れたら、応用編にも挑戦してみましょう。
以下からは、複数項目が連動するプルダウンリストを作成する方法として、「INDIRECT関数」を使用する方法と「VLOOKUP関数」を使用する方法を紹介します。さらにプルダウンリストを作らなくても入力できるショートカットキーもご紹介します。
1つ目は「INDIRECT関数」を使用する方法です。
元となるデータに従って、段階的にリストの選択ができます。
※クリックで画像を拡大できます
上記例は、項目(肉・魚・野菜)をプルダウンから選択することで、その項目に含まれる内容が種類のプルダウンに表示され選択することができます。
以下で設定方法を解説します。
2つ目は「VLOOKUP関数」を使用する方法です。
定めたルールに従って、主となる項目を選ぶと、関連する項目が連動して選択できます。
上記例は、「分類」のプルダウンから項目を選択すると、その項目に関連する「旬と単価」が自動挿入されます。
以下で設定方法を解説します。
エラーメッセージを消す方法
プルダウンリストを表示する表の「分類」列が空白の場合、旬と単価の列にエラーメッセージ(#N/A)が表示される場合があります。このエラーメッセージは、分類の列に記載がない場合に旬と単価の列に対応する情報が見つからないことを示すものです。エラーメッセージを回避するには、IF関数を用いて、分類が空白のときに空欄を返すように設定します。
以下で方法を紹介します。
①セル番地の数式バーを確認する
(H4は②のセル番地、C4:E8は③のセル範囲、2は旬の列が2列目にあることを示す)
下の数式バー見本のように「=IF(H4=””,””,VLOOKUP(H4,C4:E8,2,FALSE))」 と記入する(H4は②のセル番地)
①の対応範囲(旬の列)にフィルコピーする。単価の列についても同様の手順でIF関数を挿入する
きれいに整ったプルダウンリストに仕上がります
入力項目が少ない場合は、プルダウンリストを作らずに「履歴」から入力することも可能です。
Windowsでは「Alt+↓」、Macでは「Option+↓」のショートカットキーを活用すると上段で入力した履歴の候補が出てきます。マウスや矢印キーで選択してクリックして「ENTER」キーを押すと反映されます。
Excelを使いこなす一つの方法として、プルダウンリスト(ドロップダウンリスト)の作成はとても役立ちます。入力ミスや表記ゆれなどが解消されるだけでなく、さまざまな選択肢を設定できる応用力を習得できれば、業務における幅も広がります。
基本編とあわせて、プルダウンリストの使い方をマスターしてください。
白色申告とは、所得税や法人税の申告方法の1つです。フリーランスや個人事業主は、年に一度確定申告をする必要があります。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、必要書類・帳簿の記帳方法・受けられる控除の種類などが異なります。
白色申告の対象者は、青色申告書の承認を受けていない納税者です。
本記事では、フリーランス初心者に向けて白色申告の概要や申告方法を解説します。
白色申告と青色申告の違いを以下の表にまとめました。
白色申告 | 青色申告 (特別控除が10万円の場合) | 青色申告 (特別控除が55万円の場合) | 青色申告 (特別控除が65万円の場合) | |
---|---|---|---|---|
開業届提出の要否 | 必要(未提出でも申告可) | 必要 | ||
確定申告前の事前申請手続き | 不要 | 所得税の青色申告承認申請書の提出が必要 | ||
記帳方法 | 単式簿記 | 単式簿記 | 複式簿記 | |
作成書類 | 収支内訳書 | 損益計算書のみでも可 | 損益計算書・ 貸借対照表 | |
赤字所得の繰越 | 不可 | 可(3年) | ||
事業専従者への特例の適用 | 配偶者は最高 86 万円、15 歳以上のその他の親族は最高 50 万円まで所得控除できる(事業専従者控除) | 全額可:全額経費にできる(青色事業専従者給与) | ||
少額減価償却資産の特例の適用 | 適用不可 | 適用可(30万円未満の場合は、購入年に全額を経費にできる) | ||
電子申告または電子帳簿保存 | 不要 | 不要 | 必要 |
上記の表からおわかりいただける通り、青色申告は白色申告と比べて手続きや帳簿の記帳方法が複雑です。一方で、税制面では白色申告よりも優遇措置が取られています。
以下では、白色申告のメリットをご紹介します。
白色申告の帳簿の様式・種類については、明確なルールが定まっていません。そのため、帳簿への記帳もシンプルな方法で構いません。
また、国税庁のホームページでは、簡易な記帳方法(単式簿記での記帳)を推奨しています。
単式簿記とは簿記の手法の1つであり、主に収益や費用の発生を記録することが目的です。
身近なものでは、家計簿やお小遣い帳などが単式簿記に該当します。
単式簿記(収入項目) | 複式簿記 | ||||
---|---|---|---|---|---|
収入項目 | 金額 | 借方(左側) | 貸方(右側) | 金額 | |
売上 | 300,000 | 現金 | 売上 | 300,000 | |
光熱費 | 現金 | 20,000 | |||
水道代 | 現金 | 15,000 | |||
単式簿記(支出項目) | 保険代 | 現金 | 25,000 | ||
支出項目 | 金額 | 通信費 | 現金 | 10,000 | |
光熱費 | 20,000 | ||||
水道代 | 15,000 | ||||
保険代 | 25,000 | ||||
通信費 | 10,000 |
白色申告時は、開業届の提出や確定申告前の事前申請手続き(所得税の青色申告承認申請書の提出)が不要です。
そのため、青色申告制度をよく理解できていない方にとっても手続きのハードルが低いです。
以下では、白色申告のデメリットをご紹介します。
白色申告には特別控除がありませんので、青色申告よりも節税効果を感じにくいのが特徴です。ここでの控除とは、税負担を軽減するために所得から一定金額を差し引くことです。
一方、青色申告では、青色申告特別控除が適用できます。青色申告特別控除とは、所得金額から一定の金額を差し引ける制度です。控除額には65万円・55万円・10万円の3種類があり、適用される条件はそれぞれ異なります。また、青色申告では、青色事業専従者給与が全額経費にできます。
事業専従者控除は、白色申告でも一部適用されますが、配偶者は最高 86 万円、15 歳以上のその他の親族は最高 50 万円までしか控除できません。
白色申告では、純損失の繰越しや繰戻しが適用されません。
純損失の繰越しとは、本年の事業が赤字だったときに損失額を翌年から最長3年間繰り越せる(本年の赤字を翌年以降の黒字と相殺する)制度です。
一方、繰り戻しとは、本年の事業が赤字だったときに損失額を前年の黒字と相殺して税負担の軽減措置を施す(差額が返納される)制度です。そのため、事業が赤字の年は資金繰りが悪化する恐れもあります。
白色申告では、貸倒引当金の一部が計上できません。
貸倒引当金とは、何らかの理由で取引先から売上金を回収できなかった場合に備えて、積み立てておくお金です。
貸倒引当金には、個別貸倒引当金と一括貸倒引当金の2種類があります。
青色申告ではどちらの貸倒引当金も計上できますが、白色申告では一括貸倒引当金の計上ができません。
白色申告では、少額減価償却資産の特例が適用されません。
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の減価償却資産(経年劣化により価値が減る資産)を取得した際、その年に全額を必要経費として計上できる制度です。
白色申告ではこの特例を受けられないため青色申告者よりも税負担が大きくなります。
以下では、白色申告の手続きに必要な書類・作成方法・保管期間などをご紹介します。
白色申告に必要な書類は、直近の確定申告書(第一表・第二表)と、収支内訳書です。確定申告書の第一表と第二表は全ての申告者が提出する書類です。
確定申告書の第一表には、収入・所得・控除など事業主の基本情報(13項目)をまとめて、第二表には所得の内訳・保険料控除等に関する項目(13項目)を記入します。
以下では、白色申告者ととくに関係が深い収支内訳書について解説します。
※クリックで画像を拡大できます
氏名・住所・電話番号など、申告者の情報を記入する
日付を記入する
事業所得または雑所得を選択する(どちらかの「業」の文字を丸で囲む)
会計期間(自○月○日 至○月○日)には通常、年始から年末(1月1日から12月31日)を記入する。ただし、年の途中で開業した場合は開業日から12月31日とする
本年中の売上(収入)金額や家事消費などを記入して合計額を算出する
家事消費とは、家事のために消費・贈与した商品の通常販売価格のこと
期首・期末商品(製品)の棚卸高や仕入金額などを記入する。差引原価(⑦-⑧の合計額)を算出する。
差引金額には④-⑨の合計額を算出して記入する
必要経費の各科目を記入する
専従者控除の所得金額・専従者控除・所得金額をそれぞれ算出する
給与や賞与を支払っている従業員の氏名・所得合計・所得税の源泉徴収税額などを記入する
本年中に、税理士・弁護士・公認会計士などへ支払いが確定した報酬や料金を記入する
事業専従者とは、白色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族(15歳以上)のこと。
本年中、事業専従者が6か月を超えて事業に従事している場合は一部の金額を必要経費にできる。
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主な売上(仕入)先の会社名やその所在地、売上(仕入)金額を記入する
なお、登録番号を記入した売上(仕入)先については、会社名および所在地の記入を省略しても問題ない
(合計金額欄)を記入後に、消費税の軽減税率の対象金額を記入する(省略可)
前期までと異なる処理があった場合や事業が赤字になった場合など、特殊な事情があるときに記入する
平成19年(2007年)3月31日以前に取得した減価償却資産と、平成19年(2007年)4月1日以後に取得した減価償却資産では、定額法や定率法が異なる
金融機関以外からの借入金の利子がある場合に記入する
支払先の住所・氏名や貸借物件や貸借物件にかかる費用などを記入する
参考:国税庁|令和6年分 収支内訳書(一般用)の書き方
白色申告でも、青色申告と同様に記帳制度や記録保存制度が設けられています。
以下の表では、保管が必要なものと保管期間をまとめました。
保管が必要なもの | 保管期間 |
---|---|
法定帳簿(収入金額や必要経費などを記入した帳簿) | 7年 |
任意帳簿(業務に関して作成した法定帳簿以外の帳簿) | 5年 |
決算に関して作成した棚卸表・その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成(もしくは受領)した請求書・納品書・送り状・領収書などの書類 | 5年 |
以下では、白色申告で確定申告する際の提出期限をご紹介します。
原則として、確定申告は毎年2月16日から3月15日の期間中に提出しなければなりません。
ただし、初日や最終日が土曜日・日曜日・祝日などであれば、初日や最終日は翌営業日に繰り越されます。
また、確定申告の期限を過ぎてから申告した場合は、期限後申告扱いとなります。期限後申告では、無申告加算税や延滞税が課されることもあるため、注意しましょう。
オンラインから確定申告する場合でも、方法や選択肢はさまざまです。
オンライン経由での確定申告では、会計ソフトを使用して作成・提出できます。
会計ソフトは、民間企業が提供するものから国税庁が提供するものまでさまざまです。また、ほとんどのツールが、e-Taxと連携が可能です。
以下では、確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成後にe-Taxへ連携して送信する手順をご紹介します。
以下では、e-Taxソフト(Web版)から確定申告を行う方法・手順をご紹介します。
なお、e-Taxソフト(Web版)から確定申告できるのは、個人の利用者のみです。e-Taxを利用するにあたり、利用規約への同意が必要ですので、事前に必ず確認しましょう。
また、作成中は、データをこまめにダウンロードして保存しておくことが大切です。
スマートフォンから確定申告する場合は、マイナンバーカードを準備しましょう。パソコンから申請する場合は、マイナンバーカードに加えてICカードリーダライタとスマートフォンが必要です。
また、必要に応じて利用者識別番号を準備しましょう。
パソコンから国税庁の「確定申告書作成コーナー」を開く→申告書等を作成するから「作成開始」をクリックする→画面に従って作成する
※なお、保存データは「保存データを利用して作成」から再読み込みが可能
確定申告書は郵送でも提出できます。
宛先は、所轄の税務署や所轄の業務センターです。業務センターとは、複数の税務署の内部事務を集約処理する施設のことです。
税務上の申告書・申請書・届出書は信書に該当します。郵送時は、第一種郵便物・もしくは信書便物として送付しましょう。
確定申告書の郵送時に必要な書類は以下の通りです。
昨今では、DXの推進により国税書類においても電子化・ペーパーレス化が進められています。そのため、2025年1月より収受日付印の押印が廃止されました。
ただし、収受日付印の代わりとして、希望者には日付・税務署名を記入したリーフレットの配布を行っています。
税務署の窓口で確定申告書を直接提出する際は、以下の持ち物を用意しましょう。
2021年より税務関係書類の押印義務が廃止されました。そのため、近年では記入ミスを訂正する際の訂正印は不要とされています。
確定申告や帳簿への記帳方法などで不明点があるときは、以下の相談先・対処法をご参考になさってください。
確定申告の相談先
帳簿への記帳方法がわからないときの相談先・対処法
青色申告と比べて、白色申告は手続きや申請が簡単です。そのため、青色申告が不安な方や、事業の規模が小さい場合は白色申告でも問題ありません。
一方、白色申告は青色申告よりも受けられる控除の種類が少ないです。そのため、節税を意識したい方には青色申告の検討をオススメします。
また、確定申告や帳簿への記帳方法などがわからないときは、勝手に判断せずに国の機関や専門家へ相談しましょう。
]]>人間拡張という言葉は、まだ漠然としたイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この記事を通して、人間拡張に関する理解を深めていただければ幸いです。
人間拡張は、英語で「Human Augmentation(ヒューマン・オーグメンテーション)」と表記され、「人間」+「増強」を意味する言葉です。AIやIoTといった先進テクノロジーを駆使し、人間の身体能力や知覚などを拡張する技術を指します。人間拡張は、人間が持つ能力をさらに引き出し高めるだけでなく、失われた機能を回復させることも目指しています。人間拡張技術は、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
※クリックで画像を拡大できます
人間拡張の領域は幅広い分野にまたがっていますが、そのなかでも主要な4領域について解説します。
テクノロジーの力を用いて人間の身体的な運動能力・筋力・耐久性・器用さ・失われた身体機能などを向上・補完する取り組みのことを身体能力拡張(Physical Augmentation)といいます。たとえば以下のようなものがあります。
装着することで筋力を補助・強化
失われた手足の機能を補完・代替
神経系や筋肉と直接接続された人工部位の開発
アスリートや兵士のパフォーマンス向上を目的とした身体強化(着用型ブースター、疲労軽減ウェアなど)
人間の物理的な身体や空間、時間の制約を超え、異なる場所や時間での活動やコミュニケーションを可能にする取り組みのことを存在拡張(Existence Augmentation)といいます。
たとえば以下のようなものがあります。
VRによる遠隔接客や会議、手術支援ロボット(医師が遠隔で執刀)など
メタバース空間での活動、自分の行動パターンを再現するAIアバターなど
自分の知識・行動・判断などを将来の自分や他者のために残す(AIに自分の思考パターンを学習させ死後も会話が可能に)、自動スケジューリングや意思代行AIなど
人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)と、それに関連する知覚能力をテクノロジーの力で高めたり拡張したりする取り組みを知覚拡張(Perceptual Augmentation)といいます。たとえば以下のようなものがあります。
視覚拡張:赤外線カメラ、ARグラスなど
聴覚補助デバイス、超音波可聴化など
ハプティクスデバイス(振動や動きを通じて触覚的なフィードバックを提供する装置)など
ある感覚情報を別の感覚で提示 音→光への変換など
バイタル情報をリアルタイムで可視化 心拍→色表示など
人間が本来持っている思考・記憶・学習・理解・判断・創造性などの知的機能を、テクノロジーの力(AI・VR・AR など)で補完・強化・拡張する取り組みを認知能力の拡張(Cognitive Augmentation)といいます。たとえば以下のようなものがあります。
記憶の構造化・意味付け支援など
情報キュレーション・要約など
データ分析・パターン認識AIなど
多言語翻訳・通訳AIなど
人間拡張は幅広い業界に活かせる技術であるため、技術の開発・販売による収益が見込め、市場規模も大きく成長すると予測されています。ここでは、特に親和性の高い3つの分野について解説します。
医療・介護分野では、人間拡張を活用した多くの取り組みがおこなわれています。ここでは主な3つについて解説します。
パワードスーツ(歩行補助 など)・義手・義足など
介護用パワーアシストスーツ・AR / VRによる手術トレーニングなど
医療画像AI(X線 / CT / MRI)・ロボット手術など
製造業・農業分野では、人間拡張を活用した多くの取り組みがおこなわれています。単なる自動化や省力化だけではなく、人間の能力を最大限に引き出したり新たな価値創造をしたりする可能性があります。
身体拡張の活用で、これまで労働力として十分に活用されてこなかった層の参画を促すなど
AIによる最適化、ロボットによる精密作業、ARによる情報支援など
経験と勘をデジタル化し、次世代へ効率的に継承することで、産業の持続可能性の向上など
危険な作業をロボットやアシストスーツが代替したり、AIがリスクを事前に検知したりするなど
遠隔農業などの、これまでになかった働き方や社会参加の形が生まれる可能性
エンターテインメント分野においては、人間拡張の技術がユーザ体験を劇的に向上させます。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)デバイスと連携したり触覚フィードバックを持つグローブやスーツを装着したりすることで、これまでにない楽しみ方を提供することが可能となります。ゲームやシミュレーションの世界に入り込むことができる没入感に加えて、仮想空間のオブジェクトに対する触感・衝撃を感じることも実現できるのです。
人間拡張技術の導入によって、従来の単なる視覚・聴覚に頼ったエンターテインメントから、全身を使ってコンテンツを体験し楽しむことへとステップアップが可能となるでしょう。
人間拡張は、未来の社会を豊かにする可能性をもっていますが、その実現には多くの課題も抱えています。まず、私たちが考えるべき問いとして以下の3点が挙げられます。
拡張されることで「人間らしさ」の定義が揺らぎ、自身の存在意義やアイデンティティに混乱が生じる可能性
極めて個人的なデータが収集・利用されるため、その管理と保護の必要性
高価な技術は富裕層に限定され、また拡張者と非拡張者の間に不公平を生む可能性
人間拡張技術の急速な進展に対し、法整備は追いついていないのが現状です。個別の技術や用途に応じて既存の法規が適用されるケースが多いです。各国での法整備はまだ十分に整っていません。人間拡張が社会に与える影響の大きさを考えると、これらの技術がどのように利用されるべきかについて慎重な議論が求められています。
ここまで「人間拡張とは 主な4つの領域・将来性・課題など」というテーマで解説してきました。
人間拡張とは、AIやIoTといったテクノロジーによって、人間の身体能力・知覚などを拡張する技術を指します。
人間拡張の領域は4つの分野に分けることができます。
人間拡張は、技術の開発・販売による収益が見込め、市場規模も大きく成長すると予測されています。とくに向いているとされている業界は3つあります。
人間拡張の課題は大きく3つありました。
人間拡張の法整備は、技術の急速な進展に対し追いついていないのが現状です。この技術が社会に与える影響は非常に大きいので慎重な議論が求められています。
この記事を読んで人間拡張の基礎的な知識を習得する一助となれば幸いです。
]]>インボイス制度は2023年10月に導入が開始されました。インボイス制度は、適格請求書等保存方式とも呼ばれ、事業者が仕入税額控除を適用するためには、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。課税事業者のみが控除を受けることができ、発行した請求書には登録番号や税率ごとの消費税額が記載されています。以下では、インボイス制度について詳しく解説していますので、順に見ていきましょう。
消費税の公平な徴収と適正な申告を実現することが、インボイス制度の目的です。インボイス制度の導入前の従来の制度では、仕入れ先が免税事業者でも、買い手側が仕入税額控除を受けられる仕組みとなっており、税の不透明さや公平性に課題がありました。
そのためこの制度を導入することで、課税事業者のみが発行可能な「インボイス(適格請求書)」を取引の証明としています。
課税事業者とは、売り上げに対して消費税を上乗せして受け取り、その消費税を国に納める義務がある事業者のことです。年間売り上げが1,000万円を超える事業者や、自ら課税事業者として登録する事業者も対象になります。
仕入控除を受けるために、取引先がインボイスの発行を求めるケースが増えています。しかし、免税事業者のままだとインボイスを発行することができません。このため、影響を正しく理解し今後の対応を検討することが重要です。
免税事業者は消費税の納税義務がないため、インボイスを発行できません。インボイスがなければ、取引先は仕入税額控除を受けられず、支払った消費税を自社で負担することになります。
その結果、取引先にとって負担となり、取引を見直され終了されるリスクにつながります。こうした影響を避けるため、今後も安定して取引を続けたい事業者は、課税事業者に登録してインボイスを発行できる体制を整えるかどうか、事業の将来を見据えて検討することが重要です。
課税事業者になると、インボイスが発行可能になります。そのため取引先も仕入税額控除を受けられるようになり、双方とも安定した取引を続けられるようになります。
一方で、課税事業者になると以下のような負担も発生します。
これらの負担をあらかじめ理解し、準備できるかどうかも重要な判断材料となります。
課税事業者へ登録するか、しないかの判断のポイントは、以下の通りです。
自身の商品の売り方や、取引相手、全体の収支のバランス、経理の体制の4点を総合的に判断し、課税事業者になるのか判断しましょう。
課税事業者になるには、登録申請が必要です。登録には期限や条件があるため事前によく確認しておくことが重要です。ここでは、e-Tax・書面それぞれの流れと注意点を詳しく解説していきます。
課税事業者になると、売り上げに含まれる消費税を支払う必要があります。消費税は「年1回」を確定申告時に納めることになります。前々年の納付額が48万円を超える場合は、中間納付が年1~4回発生し、確定申告時の納付と合わせて年間計4回の納付が必要となります。
売り上げが増えてきたら納税回数が増える可能性があることも念頭に置いておきましょう。
インボイス制度の導入に伴って、事業者はこれまでの経理・取引方法を見直す必要があります。重要な以下の3つのポイントを整えることで、スムーズにインボイス制度にも対応できるでしょう。見直すべきポイントについて詳しく解説します。
適格請求書には、登録番号、税率ごとの税抜価格、消費税額などの記載が必須です。
旧来の様式では不十分なため、請求書のフォーマットを見直す必要があります。
インボイス発行・受領に対応した会計ソフトの導入が望まれます。登録番号の管理、消費税区分の自動計算、申告書の自動作成ができるかを確認しましょう。
免税事業者であることを理由に、取引先からインボイスの発行を求められるケースが増えています。
事業の方針を明確にして、取引先に説明できるようあらかじめ準備しておきましょう。
インボイス制度には経過措置が設けられており、段階的に縮小されるため、計画的な対応が重要です。以下では、そのポイントを紹介します。
経過措置とは、免税事業者等からの仕入れでも、買い手が仕入れ税額控除を一部できるようにする特例です。経過措置を適用できる期間は以下のとおりです。
制度開始~2026年9月 | 80%の控除が可能 |
---|---|
2026年10月~2029年9月 | 50%の控除が可能 |
制度開始~2026年9月 | 控除不可 |
経過措置を有効に活用するために、取引先がインボイス対応可能なのか、課税事業者になるかどうかの収支シミュレーションも行いましょう。そして、税務申告の準備や請求書フォーマットの更新、会計ソフトをインボイス対応なソフトにしておきましょう。これらをこの経過措置中に整えておくことで、完全移行後も安心です。
一般消費者向け(美容師や小売り、教室業など)は、顧客が仕入れ税額控除を行うことがないため、インボイスの有無が取引に影響しないケースが多くあります。そのため、インボイス発行事業者として登録しないという選択肢もあるでしょう。
一方、法人向け(ITやコンサル業など)は、インボイス発行ができないと取引が減るというリスクがあるため、登録を検討する価値があります。
インボイスへ登録しようか迷っている個人事業主の方のために、判断材料となるチェックリストを用意しました。チェックリストをもとに、自身の方向性を決めてみましょう。
以下のチェックリストに対して、当てはまっている数が多ければインボイスへの登録を積極的に検討してみてください。
インボイス制度への対応は、今後の取引先との関係や事業継続に関わってくる重要なポイントです。課税事業者へ登録する場合は、今後の事業の方向性に合わせてチェックリストを参考にして慎重に判断をしていきましょう。そして、請求書フォーマットの更新や会計ソフトの準備など、経過措置を有効活用しながら、少しずつ完全移行までに整えておくことをおすすめします。
]]>NotebookLM(ノートブック エルエム)はAIアシスタントですが、新しいモノなのであまりよく知らない人も多いのではないでしょうか。この記事を読んで基本的な学習してみるのもよいでしょう。
NotebookLM(ノートブック エルエム)とは、Googleが開発した、AIを搭載した情報整理ツールです。現在は無料で提供されています(ベータ版的な位置づけ)。
ユーザがアップロードした情報(ドキュメント、ノート、資料など)をもとに、AIが質問に答えたり要約や整理を手伝ってくれたりするツールで、Googleの大規模言語モデルGeminiが活用されています。ドキュメントベースのQ&A・要約に特化しており、文献をもとにした思考支援に強いのが特徴です。
NotebookLMはさまざまな形式の資料に対応しており、AIを活用して情報整理や分析を効率的におこなうことが可能です。利用できるファイル形式を、おおまかに以下へ記載します。
PDF (.pdf)、テキストファイル (.txt)、Google ドキュメント など Webコンテンツ:WebページのURL(一部制限あり)
YouTube動画のURL、音声ファイル(.mp3, .wav, .mp4, .m4a など一部制限あり)
JPEG (.jpg, .jpeg)、PNG (.png) など
ここではNotebookLMの主要3機能について解説していきます。3つの機能を組み合わせることで、学習・研究・ライティング・ビジネスなどさまざまなシーンを強力にサポートすることが可能です。
NotebookLM内のノートは、生成した要約・Q&Aの回答・メモなどを蓄積・編集できる情報の単位です。ノートを使ってできることを以下に4つ記載します。
アップロードしたPDF・Googleドキュメント・YouTube動画などの「ソース(情報源)」と密接に結びつくことが可能
AIが生成した要約、回答、学習ガイド、アイデアなどを、必要に応じてノートとして保存・管理することが可能
AI生成コンテンツだけでなく、ユーザ自身の考察や疑問点・追記したい情報などを自由に書き加えることが可能
複数のソースやAIとの対話から得られた情報を、特定のテーマやプロジェクトごとに「ノートブック」という単位で整理することが可能
NotebookLMには内容の要約機能があります。AIがユーザのアップロードした情報源(ソース)を読み込み、その主要ポイント・主題を簡潔にまとめる機能です。
これにより、知識のインプットとアウトプットのプロセスを大幅に加速させることが可能です。
また、NotebookLMには音声で概要を出力してくれる機能もあります。アップロードされた文書・動画・音声ファイルの内容をAIが分析し、主要ポイント・要約を音声形式で出力してくれるという内容です。
まるでポッドキャストやラジオ番組を聞くように、耳で情報をインプットできるため、作業中や移動中にも活用できます。
NotebookLMにアクセス、使用する方法について説明します。
NotebookLMには有料版の「NotebookLM in Pro」があり、無料版に比べて高度な機能・セキュリティなどが提供されています。ドキュメントの活用範囲が広がるため、より本格的な知識整理や分析を行いたいユーザに適しています。
NotebookLM | NotebookLM in Pro | |
---|---|---|
ノートブック数 | 100 | 500 |
ノートブックあたりのソース数 | 50 | 300 |
1日のチャットクエリ数 | 50 | 500 |
1日の音声生成数 | 3 | 20 |
参考:NotebookLMヘルプ(2025/07/28時点)
NotebookLMのAI要約・分析機能とナレッジマネジメント能力は、さまざまな分野で使用されています。ここでは事例を4つ解説していきます。
たとえば、NotebookLMは論文・参考文献の分析・比較で便利に使うことが可能です。
アップロードした文献や資料をもとに構造的な要約・対比・出典付きの質問応答を自動でおこなえる機能があります。ユーザは複数文献間の複雑な関係性をAIの力を借り効率的に解き明かし、より深い洞察を得ることが可能です。
たとえば、NotebookLMはビジネス戦略の立案で便利に使うことが可能です。ビジネス戦略立案には、網羅的かつ高品質な情報収集が不可欠になります。
NotebookLMは、会議資料・業界レポート・顧客や市場データなど、多様な形式の情報を一括でインポート・分析できるため、大量の資料を効率的に整理し、戦略立案に役立ちます。
たとえば、NotebookLMは音声・動画データの情報抽出作業で便利に使うことが可能です。ユーザは情報を消費するだけでなく能動的に分析し、知識として活用できるようになるのです。
アップロードされた音声ファイル・YouTube動画のURLなどを分析し、情報抽出をおこなう(文字起こし・自動要約・質問応答・ノートブックへの統合)
一般的な音声ファイルフォーマット(MP3、WAVなど)・YouTube動画のURLなど
教育やトレーニングの場で趣旨理解をサポートする機能があります。文書やウェブページの内容をAIが要約し、音声形式で解説してくれるため、学習効率と理解度を大幅に高めることが期待できます。
NotebookLMの安全性については皆さんも気になる所でしょう。
結論として、Googleの高水準なセキュリティに守られているので安全性は非常に高いです。アップロードしたデータ・プロンプト・回答結果は保護されます。
ただ注意して欲しいのは、企業機密や個人の極秘情報を扱う場合には慎重に行動する必要があるという点です。セキュリティポリシーをしっかりと確認・照らし合わせて利用すべきです。
NotebookLM | 安全性 評価 | |
---|---|---|
データの共有 | 他ユーザーと共有されない | ◎ |
モデルへの学習利用 | 使われない | ◎ |
通信と保存の暗号化 | されている(HTTPS, Googleセキュリティ) | ◎ |
プライバシー | Googleの標準的な保護 | 〇 |
利用者の責任範囲 | 機密情報のアップロードは自己責任 | △ |
ここまで「NotebookLMとは/主要機能と使用事例・安全性など」というテーマで解説してきました。
NotebookLM(ノートブック エルエム)とは、無料で提供されている(2025年7月現在)Googleが開発したAIを搭載した情報整理ツールです。多様な形式ファイルのインポートが可能となっており、ソースとして利用可能です。
この記事を読んで、個人から企業までのユーザに幅広く情報活用を支援する強力なツールとして注目されているNotebookLMについての基礎知識を身につけておくことをおすすめします。
]]>最近聞かれるようになったノマドワーカーとは、どのような働き方をするのでしょうか。自分にもできる働き方なのか?必要なスキルや向いている人の特徴はあるのか?などの疑問にお答えしながら、始めるまでのステップも紹介します。
ノマドは「遊牧民」を表す言葉で、そこから転じて、特定の場所に縛られず働く人のことをノマドワーカーと呼びます。要約すると、働く場所を限定しない働き方ということです。ノマドワーカーは、近年のデジタル技術の進歩による、ネット環境を活用することで実現した働き方ともいえます。このライフスタイルはノマドライフと呼ばれています。
フリーランスやテレワークの基本は以下の通りです。
企業に所属せず、自由な時間に自分のスキルや経験を活用して業務を行う働き方を指し、自営業者に含まれます。
企業に所属し、ネット環境の整った場所で決められた時間に働くスタイルです。勤務場所は自宅やサテライトオフィス等が一般的で、出社を伴わない会社員の働き方にあたります。
ノマドワーカーは、働く場所を限定しないフリーランスの働き方のひとつになります。
ノマドワーカーとして働く場合もメリット・デメリットがあります。メリット・デメリットを踏まえて自分に向いているのか判断しましょう。
メリットは、会社員のような拘束が少ない点があげられます。詳しく見ていきましょう。
最大のメリットは働く場所の自由度です。カフェやコワーキングスペースの利用、旅行先や海外でもネット環境さえあれば働けます。海外では「デジタルノマド」と呼ばれて認知が広がっています。たとえば、自然に囲まれた田舎暮らしをしながら働くという選択も可能です。
クライアントとの打ち合わせなど時間調整は必要ですが、業務時間は自分で決められます。昼夜を問わず自分の生活リズムに合わせて働くことができるため、業務に集中できる時間を自分で選ぶことが可能です。たとえば、子育てや介護をしながらでも活動できますし、海外との時差を活用した海外向けライブ配信など、時間も有効活用できる働き方といえます。
個人で活動できるうえ、一か所にとどまる必要がないため、煩わしい人間関係に悩まされることが減ります。個人で活動するためのコミュニケーションは必要になりますが、出社のたびにストレスを感じることはなくなるでしょう。
デメリットは、個人で活動するために生じるもろもろの手間や不安定さがあげられます。詳しく見ていきましょう。
働く場所も時間も自分で決められるということは、いつでもできると安易に構え、時間やタスク、約束事を厳守できなくなり信用を失う原因になります。仕事へのモチベーションを維持することも重要ですし、業務以外に個人事業主としての手続きや書類の整理・管理などやるべきことが多数生じるため、厳しめの自己管理を行う必要があります。
継続して案件が確保できないと収入は不安定になります。ノマドワーカーのようにフリーランスとして働く場合は、常に営業活動を行ったり、信用を得たりと継続するための努力をしなくてはなりません。
次に、どのような人がノマドワーカーに向いているのかを見ていきます。
コミュニケーションスキルが高いことはノマドワーカーに向いている人の重要な要素です。ノマドワーカーは自分の力で案件を確保し、クライアントが求める業務内容を正確に把握する必要があります。そのため、相手の話を聴きコミュニケーションをとれる人はノマドワーカーに向いているといえます。
拠点を定めずさまざまな場所で業務を行うノマドワーカーは、周囲の雑音や環境の変化にも左右されず、業務に集中できる適応力が必要です。一人で活動することがほとんどのため、孤独に強く、一人でもモチベーションを保てる人こそ、ノマドワーカーに向いています。
一人で仕事を行うため自分に甘いとノマドワーカーは成り立ちません。仕事とプライベートをわけてメリハリをつけたり、自分の中に決めごとを設定し守ることやオンとオフの切り替えができたりする人は、自己管理のできるノマドワーカーといえるでしょう。
完成度の高い業務を継続できる人はノマドワーカーに向いています。継続するためには、自分に求められていることを理解して、必要な知識やスキルを追い求める必要があります。成長が見え、クライアントにそれが伝わると信頼にもつながるでしょう。
ノマドワーカーに向いている職種にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
必要なスペックを満たしたパソコンと安全なネット環境が確保できれば、多くの職種でノマドワーカーとして活躍できます。以下に示す代表的な職種以外でも工夫次第でできる職種はあります。
たとえば、グラフィックデザイナーなどのデザイン関連は、成果物を提出することで収入を得られるため向いている職種といえます。成果物の完成度をあげることで収入増も見込めます。
自分のWebサイトからさまざまな内容を発信し、集客や購買行動につなげることで収入を得る職種もノマドワーカーに向いています。関わるメディアによって手段は異なりますが、魅力的な発信はフォロワー増につながり収入に結び付きやすいといえます。
WebサイトやSNSを活用した市場調査から商品やサービスの販売促進・集客をはかったり、ビッグデータの解析によりビジネスにおける課題解決に一役買ったりといったマーケティングにかかわる職種も向いています。専門的な知識や経験を求められますが、高収入を期待できる職種です。
海外で、日本語講師は人気の高い職種です。自分のスキルや資格を活用して、オンラインの会議形式や動画配信形式などで実施できる職種はノマドワーカーに向いています。時間調整以外はどこに居ても活動できますし、人気や信頼を得ることで継続も可能です。
自由で楽そうだからと安易にノマドワーカーを目指すことは避けましょう。個人で生活を支える収入を確保するのは簡単ではありません。ノマドワーカーを始めるにあたり準備すべきことを解説します。
まずは明確な目標を立てましょう。ノマドワーカーになって何をしたいのか、どのような自分になりたいのか、イメージを具現化して文字にしましょう。目標がはっきりするとやるべきことが見えてきます。
(国内や海外を旅行しながら仕事をしたい・家族のそばで仕事をしたい・・・など)
現在の仕事の延長なのか、得意なことや興味のあることを活かしたいのかを決める必要があります。どのような仕事でノマドワーカーになりたいのかを決めましょう。
(所持する資格を生かした仕事・Webサイトで発信する仕事・・・など)
現在の仕事の延長なら、これまでの経験や実績があります。しかし、新しいことを始める場合は必要なスキルや経験を積み、職種によっては資格取得も視野に入れる必要があります。独立するのなら少しでも高いレベルを目指したほうが有利となります。
フリーランスエージェントやクラウドソーシングなどの求人や職業紹介サイトを活用したり、友人知人などの伝手を頼ったりして仕事を探します。営業が苦手な場合や、契約にかかわる諸手続きに不安があるなら、エージェントやクラウドソーシングの活用が便利です。
ノマドワーカーになると決めて、仕事も見つかったからとすぐに独立するのはおすすめしません。ある程度、軌道に乗るまでは、副業としてはじめるほうが安心です。とくに新しい職種に挑戦する場合は、充分な準備期間を設けましょう。
ノマドワーカーとして働くために必要なスキルを紹介します。
ノマドワーカーにとっての意思伝達手段はWeb上でのメールやチャットなどが主になります。パソコンの画面超しでは、表情や声音といった雰囲気を読み取ることが難しい場合があり、文字から相手の意図を正確に読み取ることが重要です。
個人で案件を確保するためには、自分にできること、提供できる内容をわかりやすく伝える必要があります。自分のスキルや実績を効果的に伝えられるプレゼンテーション力が強みになります。そのためには、相手が望むことを正確に把握する傾聴力も重要です。
パソコンを使ってWeb上で業務を行う際、さまざまなトラブルに見舞われる可能性があります。ハード面、ソフト面それぞれの知識を習得しておくことも必要です。いざという時に自分で対応できるようにしましょう。さらに、セキュリティ対策も十分に備える必要があります。
ノマドワーカーは国内にとどまらず海外でも活躍できる可能性があります。得意な言語があるなら、海外発信に活かしたり海外移住に挑戦したりすることも可能です。言語力を向上させることで視野は大きく変わります。
ICTの普及により働き方のスタイルは大きく変わり、時間だけでなく働く場所も自由に選択できるノマドワーカーという働き方を紹介しました。自分らしさの先にノマドワーカーという選択が加わった方もあるでしょう。しかし、ノマドワーカーとして成功するためには、流行に乗るのではなく、地に足をつけた冷静さも必要です。この記事を参考にあなたに合った働き方をみつけてください。
]]>本稿では、青色申告への最初のステップである青色申告承認申請書の提出について、入手先や手続き方法、記入時のポイントや注意点などを解説します。以下の項目で掘り下げますので手続きの把握とともに、青色申告導入の参考にしてください。
青色申告承認申請書は、青色申告を希望する事業者が税務署に提出する書類です。
青色申告は事業者にとって節税効果が高い申告方式で、所得控除や専従者給与の特例、欠損金の繰越控除といったさまざまなメリットを享受できます。青色申告承認申請書の提出はフリーランスや個人事業主にとっても、青色申告による節税メリットを活用するために必須のステップです。
青色申告承認申請書は所轄の窓口でもらうか、国税庁のホームページからダウンロードできます。
青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日(休日にあたる場合はその翌開庁日)までです。但し、その年の1月16日以後に事業を開始する場合、事業開始日から2か月以内となります。この期限を過ぎると、その年の青色申告は適用されませんので注意が必要です。
青色申告承認申請書の提出先は、以下の方法から選択できます。
青色申告承認申請書には必要事項を正確に記入する必要があります。ここでは申請書の、それぞれの記入項目について記入すべき内容を解説します。
申請書は、納税地を管轄する税務署長あてに提出します。管轄税務署が不明な場合は国税庁のホームページで調べられますので、事前に調べておきましょう。提出日には申請書を提出する日付を記入しますが、日付のズレを防ぐため、提出時に記入するのがおすすめです。
個人情報の欄には、納税地(住所)・氏名・生年月日・職業・電話番号を正確に記入します。屋号がある場合は忘れず記入してください。開始年度の欄には、青色申告を適用したい年度を記入します。たとえば令和7年から適用したい場合は「令和7年」と記入します。
事業所や所得の基因となる資産の所在地を(資産の異なるごとに)記入します。自宅兼事務所の場合は自宅住所を記入してください。
該当する所得(事業所得、不動産所得、山林所得)にチェックを入れます。複数該当する場合は、そのすべてにチェックします。
今まで青色申告の取り消しや取りやめをしたことがある場合は有にチェックし、詳細を記入します。ない場合は無にチェックします。また、取りやめもしくは取消しとなった日から1年以内は、申請を却下されることがあります。
申請書を提出する年の1月16日以後に新規開業する場合は、ここに開業日を記入します。繰り返しの説明になりますが、申請書の提出期限は提出する年の3月15日(休日にあたる場合はその翌開庁日)までです。但し開業が1月16日以後の場合は事業開始日から2か月以内が提出期限となるため、この欄が確認の基準になります。
事業を承継した場合は有にチェックし、相続開始年月日と被相続人の氏名を記入します。該当しない場合は無にチェックします。
参考事項には簿記と帳簿および特記事項を記入します。
簿記の形式 | 複式簿記(最大55万円または最大65万円の特別控除)、または簡易簿記(最大10万円の特別控除)のどちらかを選択します。 |
帳簿について | 保管する帳簿名(仕訳帳、総勘定元帳など)を記入します。必要帳簿は青色申告の形式に応じて異なります。 |
特記事項 | 税務署に伝えたい事項があれば記入します。通常は空白で問題ありませんが、特別な事情がある場合に活用します。 |
青色申告に税理士が関与している場合は氏名や事務所名を記入します。税理士の関与がない場合は空欄で問題ありません。
青色申告承認申請書を提出する際には、以下の点に注意してください。
提出期限を過ぎると、その年の確定申告では青色申告ができず、白色申告のみとなります。期限を事前に確認し、忘れずに提出しましょう。
記入漏れがあると申請が受理されないため遅延の原因になります。提出期限にも影響しますので、すべての必要事項を正確に記入し、チェックミスがないように注意してください。
青色申告承認申請書は、記入内容に不備がなければ提出のみで受理されるため、税務署から承認の通知はありません。従来は申請書の写しを用意し、受領印をもらうことで正式な記録となりましたが、令和7年1月より国税庁による取り決めで、税務署では申告書等※の控えに収受日付印の押なつを行わない方針に変更されました。
※対象となる申告書等とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他、税務署に提出される全ての文書をいいます。
これにつき申告書等は、必要に応じて本人による控えの作成および保有、提出年月日の記録と管理が求められることとなったため、注意が必要です。
参考|国税庁 令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて
青色申告を行う個人事業主は原則として、帳簿・書類を7年間保管する義務があります。
青色申告で最大65万円の控除を得るには複式簿記による経理処理が必要です。これにより経理が複雑化するため、経理スキルの向上や経理システムの導入といった、経理処理能力の向上が求められます。
青色申告の最大のメリットは最大65万円の特別控除ですが、複式簿記による経理処理が難しく、単式簿記となる場合でも最大10万円の特別控除を目指せます。
青色申告承認申請書を提出していても、帳簿不備などで条件を満たせなければ白色申告になることもあります。この場合、青色申告特別控除や損失の繰り越し控除といった特典は受けられませんが、それ以外にペナルティが課されることはありません。
今回は青色申告承認申請書について、ポイントとともに解説しました。提出期限や記入方法を正確に理解し、注意点を押さえておけば、特別控除をはじめとした青色申告のメリットが得られます。また国税庁による取り決めで、申告書等は本人による控えの作成と管理が求められることになった点も、注意点として解説しました。
青色申告への最初のステップとして、青色申告承認申請書の提出は不可欠な手続きです。事業の成功と節税効果を高めるためにも、本稿が青色申告を導入する一助となれば幸いです。
]]>クラウドソーシングサービスとはどのようなサービスか、どういった業務や仕組みがあるのか、疑問に感じた人も多いのではないでしょうか。また、応募形態の違いやメリット・デメリットに興味がある人もいるでしょう。
この記事では、クラウドソーシングサービスの内容や仕組み、具体的な業務例やメリット・デメリットなどをご紹介します。
クラウドソーシングとは、アプリやWebサイトを介して業務の受注・発注ができる、アウトソーシング(外部委託)の一種です。クラウドソーシングのサービスに登録すれば誰でも利用可能で、自身のスキルに合った仕事の受注や、業務委託の発注が可能です。
クラウドソーシングでは登録したサービスのアプリ、またはWebサイトを通してやり取りを行い、業務を進めます。対して、一般的な業務委託では、企業と個人間で直接やり取りをする必要があり、業務委託契約を交わしてから業務を進めます。
従来の雇用方法では、変化しやすい現代のビジネス市場に対応しきれず、以下のような問題がありました。
問題の解決策として、企業が専門性の高い業務を外注する、アウトソーシングという考え方と仕組みが広がりました。この仕組みでは企業が情報を集めて外注する相手を決めるため、特定の人材のみに発注する流れになり、スキルのミスマッチが起こりやすいデメリットがありました。デメリットを解消する方法として登場したのが、クラウドソーシングです。
クラウドソーシングは、ネットワークを活用して業務委託先が公募できるため、業務内容や必要なスキルなどに見合った費用で、必要な人材が確保できるようになりました。この仕組みでは、地方在住でも都市部の仕事を受注することが可能であり、労働者のライフスタイルに合わせた働き方が実現できる、新しい業務形態として注目されています。
クラウドソーシングとは、インターネットを活用して企業や個人が仕事を依頼し、多くの人々(クラウド)とつながる仕組みを指します。従来の雇用形態と異なり、雇用契約を結ぶことなく、特定のプロジェクトやタスクに必要なスキルを持つ人材を柔軟に活用できます。
業務の進め方や募集・契約方法によっては、成果物を募る場合もありますが、多くは上記のような仕組みで進められます。クラウドソーシングの仕組みは、企業にとって重要なコスト削減や迅速な対応を可能にします。同時に、フリーランスや副業希望者にとっては、収入源やスキルを活用できるチャンスと言えるでしょう。
クラウドソーシングは、仕事の進め方や契約方式に応じていくつかの形態に分類されます。代表的な形態には「プロジェクト形式」「コンペ形式」「マイクロタスク形式」の3種類があります。
形態ごとの特徴を以下の表にまとめました。
応募方法 | 特徴 | |
---|---|---|
プロジェクト形式 | 提示された業務内容や条件から受けたい業務を選び、応募する。 | 企業が求める、特定のスキルを持つ個人またはチームが選ばれる。長期的なプロジェクトや専門的なスキル・知識が必要な業務に用いられる。 |
コンペ形式 | 条件に合わせた成果物を募り、その中から最適なものが選ばれる。 | デザインなど、アイディアや特定の技術力が必要なプロジェクトに用いられる。 |
マイクロタスク形式 | 提示された業務内容や条件から受けたい業務を選び、応募する。 | データ入力やアンケート回答などの単純作業を、複数人に分散して依頼する形式。大量のデータ収集を必要とする場合などに用いられる。 |
クラウドソーシングの大きな特徴は、多様な業務に対応できる柔軟性のあるシステムと言えるでしょう。
クラウドソーシングのサービス事業者は複数あり、どの事業者が利用しやすいか、自分に合った案件が多いのはどこか、判断に迷うこともあるでしょう。サービス事業者の特徴やどういった案件があるか、利用したことがない人にはわかりにくい可能性があります。
ここからは、代表的なサービス事業者を5選、ご紹介していきます。
クラウドワークスは、扱われている業務は200種以上と幅広く、初心者向けの案件数が多いことでも知られる、業界最大手のクラウドソーシングサービスです。スマートフォン用アプリもあるため、外出先でも案件がチェック可能といった利便性もあります。仕事の形態は3種類すべてが対応しており、初めてのクラウドソーシングでも、わかりやすく親切なプラットフォームが用意されています。
システムの手数料は5~20%とされており、仕事の形式や報酬額によって変動します。
ワーカーシステム利用料 |クラウドワークス
ランサーズはクラウドワークスと並んで業界最大手であり、日本初のクラウドソーシングサービスです。60万社以上の企業に利用された実績があり、あらゆる業種の仕事が請けられ、初心者向けの案件も数多く取り扱っています。特に、システム開発やアプリ開発、Webデザインなどのカテゴリが人気です。
システム手数料は契約金額の16.5%で、すべての形態で一律に設定されています。
システム手数料の詳細 |ランサーズ
ココナラは、自身のスキルや経験、得意なことをサービス商品として出品できる、スキルマーケットです。クライアントが掲載している案件に応募するのではなく、ワーカーが自身の強みを紹介し、買ってもらう形態です。出品されるものは740種類以上のカテゴリがあり、サービス内で簡単に比較検討できます。特に人気のあるカテゴリは、デザイン系やWeb系、マーケティングやビジネス代行などです。
システム手数料は基本的に販売時の22%と定められており、ビデオチャットを利用した場合は販売時の27.5%となります。
販売時の手数料について|ココナラ
クラウディアは、全国のプロワーカーに仕事が依頼できることを特徴としています。
仕事の依頼方法も、ワーカーに応募してもらう方法、ワーカーが出品しているスキルから選ぶ方法、ワーカーのプロフィールから選ぶ方法の3種類があります。データ入力やデザイン制作、ライティングなどが多く取り扱われているため、初心者でも取り組みやすいでしょう。
システム手数料は3~15%と定められており、報酬額によって変動があります。
クラウドソーシングのシステム手数料について|クラウディア
複業クラウドは、副業ワーカーやフリーランスが、企業と効率的にマッチングできるクラウドソーシングサービスです。隙間時間で働きたい人や自宅で働きたい人、地方在住の人などが働けるようなリモートワークの案件も多数取り扱っているのは大きな特徴です。
他に紹介したサービスと異なり、複業クラウドはシステム手数料が発生しません。登録料も無料で利用可能なため、金銭的問題の懸念もなく、スムーズに仕事に取り組めるでしょう。
クラウドソーシングで仕事を請ける働き方は、特定のオフィスや雇用契約に縛られないため、フリーランスや副業をする人にとって魅力的な働き方と言えるでしょう。しかし、この働き方にはメリットとデメリットが共存しており、それぞれを理解した上で活用する必要があります。
ここからは、クラウドソーシングで仕事を請けるメリットとデメリットについてご紹介します。
クラウドソーシングで仕事を請ける最大のメリットは、働き方の柔軟性です。受注者は自分のスケジュールに合わせて仕事を選べるため、納期に間に合う範囲で自由に進めることができます。例えば、育児や介護など家庭の事情に合わせて働きたい人や、フルタイムの仕事を持ちながら副業をしたい人にとって、クラウドソーシングは理想的な働き方と言えるでしょう。
その他、大きなメリットを以下にまとめました。
これらのメリットを活用できれば、収入を得ながら新しくスキルを習得することも可能であり、キャリアの幅を広げることができるでしょう。
クラウドソーシングの大きなデメリットとして、収入の不安定さが挙げられます。クラウドソーシングでは、仕事を請け負うごとに報酬が支払われるため、常に仕事があるとは限りません。繁忙期と閑散期の差が大きく、安定した収入を得ることが難しい場合があります。
人によっては大きなデメリットと感じるものもあります。
人気の案件には応募者が集まりやすく、実績やスキルが求められるようになる
労力に見合った報酬が得られない可能性がある
オンライン上のやり取りがスムーズにできず、クライアントとの関係に影響が出ることがある
どのようなデメリットがあるか把握し、適切な対策を講じることがクラウドソーシングを成功させるポイントと言えるでしょう。
クラウドソーシングで受注可能な業務例は多岐にわたります。それぞれの業務例と、具体的なタスク内容をご紹介します。
受注可能な業務例 | |
---|---|
モニター・ アンケート回答 | ・新商品やサービスを試用して感想などをフィードバックする ・アプリやWebサービスのユーザビリティテストを行う ・オンラインアンケートに回答する(市場調査や消費者意識調査など) ・商品レビューや評価をフィードバックする |
データ入力 | ・PDFや画像データからの情報をExcelやデータベースへ転記する ・名簿や顧客リストの作成・更新 ・商品情報や価格表の入力・更新 ・カテゴリ分けやタグ付けなどのデータ整理 |
資料作成 | ・PowerPointを用いてプレゼンテーション用資料を作成する ・Excelを用いて統計データの表やグラフを作成する ・調査結果や分析内容のレポートを作成する ・手順書やマニュアルを作成する |
文字起こし | ・会議や講演などの録音データをテキスト化する ・インタビュー音声をテキスト化する ・動画コンテンツの字幕用テキストを作成する ・セミナーや講義の内容を資料用にテキスト化する |
通訳・翻訳 | ・契約書やメールなどのビジネス文書を翻訳する ・Webサイトやアプリを多言語に翻訳する ・動画や音声コンテンツの字幕を翻訳する ・会議やイベントでリアルタイム通訳をする |
イラスト・漫画制作 |
・キャラクターデザインやオリジナルイラストを制作する ・漫画の作画(ストーリー付きのグラフィック制作)をする ・SNSや広告用のイラストを作成する ・書籍や雑誌の挿絵を制作する |
ロゴ作成 | ・企業やブランドのロゴをデザインする ・商品パッケージ用ロゴを制作する ・イベントやキャンペーン用のロゴを作成する ・既存ロゴのモダン化やデザインし直して作成する |
Webライティング |
・SEO対策を重視したブログ記事を執筆する ・商品やサービスのレビュー記事を作成する ・メールマガジンや広告文をライティングする ・ホワイトペーパーや専門分野のコンテンツを作成する |
マーケティング・PR |
・SNS運用(投稿、返信、フォロワー増加施策など)の代行をする ・広告キャンペーンの企画・運用を行う ・ブランド戦略の立案やプロモーション活動を行う ・市場調査や競合分析を行う |
音楽制作 |
・ゲームや動画用にBGMを制作する ・楽曲の編曲やリミックスをする ・ジングルや効果音を制作する ・作曲や作詞をする |
動画編集・制作 |
・動画の編集(カット、テロップ、エフェクト処理など)をする ・SNS広告用の短尺動画を制作する ・企業プロモーション動画を制作する ・動画のカラーグレーディングや音声調整をする |
Webデザイン |
・WebサイトのUI/UXをデザインする ・バナーや広告素材のデザインを制作する ・レスポンシブデザインに沿ったデザインを制作・提案する ・ブランドに沿ったデザインを制作・提案する |
Webサイト制作 (コーディング) |
・HTMLやCSSを使用したWebページを作成する ・JavaScriptやフレームワークを活用した機能などを追加する ・WordPressなどCMSを使用したサイトを構築する ・サイトのパフォーマンス改善やSEOに対応する |
システム開発 (プログラミング) |
・Webアプリケーションを開発する ・モバイル向けアプリを開発する ・AIや機械学習モデルを構築する ・データベースの設計・運用を行う |
システム管理・保守・運用 |
・サーバの監視・管理を行う ・AWS、GCPなどのクラウド環境を設定・運用する ・セキュリティ対策やバックアップ管理を行う ・システム障害時のトラブルシューティングに対応する |
ご紹介した業務の多くは、クラウドソーシング上で幅広く募集されています。スキルや経験に応じて、柔軟な働き方ができるでしょう。
クラウドソーシングを始めるには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここからは、多く利用される具体的なプロジェクト形式・タスク形式の流れを例に、6つのステップについてご紹介します。この流れが把握できていれば、初心者でもスムーズに活用できるでしょう。
まず必要なことは、クラウドソーシングサイトへの登録。複数のサイトに登録しておくと仕事の幅が広がる。
プロフィールには、自分のスキルや実績、得意分野を具体的に記載しておくと、クライアントからの信頼を得やすくなる。プロフィール写真の設定も重要。
サイト登録が完了したら、公募されている多様な業務内容の中から自身に合った案件を選ぶ。自分のスキルや経験に合った案件を選ぶことが大切。
案件を選ぶ際に重要なことは、仕事内容や報酬金額、納期などの条件をしっかり確認すること。初心者の場合は、比較的ハードルの低い案件から始めて、実績を積んでいこう。
自分に合った案件で仕事を請けるためには、クライアントから承認を受けることが必要。
応募時には、自分のスキルや過去の実績、業務に対する意欲を具体的に記載した提案文を作成して送ろう。クライアントの課題を解決できるスキルを持っていることを、アピールするのがポイント。
応募後、クライアントが提案内容を確認し、条件に合っていれば選定・承認される。承認を受けて初めて、正式な契約が成立する。
業務を進めて納品物が完成したら、クラウドソーシングサイトを通じてクライアントに提出する。納品物の提出前には、クライアントから指定された形式や条件が厳守できているか、しっかりと再確認することが重要。
クライアントから修正依頼があった場合は、迅速かつ丁寧に対応しよう。
修正内容に関する認識の違いを防ぐために、事前にクライアントと詳細を確認しておくと、スムーズに対応できる。
納品物がクライアントに検収され、承認を得られた後、クラウドソーシングサイト経由で報酬が支払われる。
クラウドソーシングサイトには、報酬がサイト内に保管される仕組み(仮払い制度)があるため、未払いのリスクが軽減できる。ただし、サイトによっては手数料が差し引かれる場合があり、金額の事前確認をしておくと安心。
報酬の受け取り方は、銀行振込や電子決済サービスが一般的。
最後に、発注者と受注者が相互に評価を行う。評価はクラウドソーシングサイト内で公開されるため、良い評価を受けるとクライアントからの信頼が向上し、次の案件を受注する際の重要な指標となる。
発注者を評価することも、他の受注者が信頼できるクライアントを選ぶ際の参考になる。相互評価は、クラウドソーシングの品質向上につながる仕組みのため、忘れずに行おう。
クラウドソーシングの仕組みは、自由度が高い働き方を実現できる一方で、利用する際にはいくつかの注意点があります。
ここからは、クラウドソーシングを利用する際に注意するべき項目についてご紹介します。
クラウドソーシングを副業として始める場合、最初に確認しておくべきことは本業の就業規則です。本業の就業規則で副業が禁止の場合、クラウドソーシングで仕事を得ることが問題になる可能性があります。特に、公務員など一部の職業では法律で副業が制限されているケースもあるため、注意が必要です。
また、就業規則に副業が許可されていても、副業が原因で本業に悪影響を与えた場合は懲戒処分の対象となる可能性がありますので、副業の方法については注意する必要があります。就業規則の確認や、上司への確認は忘れずに行いましょう。
クラウドソーシングは、案件ごとに仕事内容や報酬が提示されているので、応募する前にしっかりと案件の詳細を確認することが重要です。
主な項目は以下の6点です。
案件に応募した場合は、提示された条件すべてに同意したものと見なされます。提示条件は仕事内容だけでなく、報酬や支払い方法、守れる納期条件かなどを、細かく確認してから応募しましょう。コンペ形式に応募する場合にも、依頼者とのコミュニケーションを十分に行って条件を明確にしておくことで、契約内容や納品後のトラブルなどを防止できるでしょう。
クラウドソーシングで得た収入の所得が一定額を超えた場合、確定申告の義務が発生します。例えば、給与所得以外の副業所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。ただし、所得が20万円以下でも確定申告をすると控除が受けられる場合があるため、20万以下だから確定申告は関係ない、と考えるのは損かもしれません。
フリーランスで働いており、クラウドソーシングの所得が「事業所得」として認められる場合には、青色申告を選択することで税制上のメリットを受けられる可能性があります。一方、所得が「雑所得」として扱われる場合は、経費の計上が難しい場合があります。経費の計上は原則として可能ですが、用途不明なものは必要経費と判断されず、計上できない可能性があるのです。事前に税金についての知識を深めたり、確定申告に関する準備を進めたりしておくといいでしょう。
クラウドソーシングは、インターネットを介して業務を受発注するアウトソーシングの一種で、登録すれば誰でも利用可能です。従来の雇用形態では対応しづらかった短期的な専門スキルの需要や人手不足を解消し、多様な働き方が実現できます。主要なサービス事業者は、それぞれ初心者向けの案件やリモートワーク対応など、幅広い業務を取り扱っています。トラブルを防止するために、利用する前には就業規則の確認や案件内容の把握、確定申告の事前調査・準備などを済ませておくことで、スムーズに仕事に取り組めるでしょう。
]]>副業サイトとは、仕事を外注したい企業と副業したい人のマッチングを目的としたサービスです。副業の案件を得るために人脈を頼ったり、営業をかけたりして多大な労力を払ったりしなくても、Web上で比較的簡単に案件を探せるのが副業サイトの大きなメリットです。
一方で、報酬の未払い・詐欺まがいの案件など、注意すべき点もあります。
この記事では安全な副業サイトの探し方やオススメの副業サイト、副業を成功させるコツなどを解説します。
現在、副業サイトの種類は多くあります。クラウドソーシング型がとくに有名ですが、他にも副業サイトのスタイルは多岐に渡ります。
代表的な副業サイトの種類を解説します。
副業サイトの主な種類 | |
---|---|
クラウドソーシング型 | 仕事を外注したい企業と副業したい個人がWebサイトを介してマッチングするタイプ。副業サイトの中でもっとも一般的な形式で、多くの案件が集まりやすい。 |
スキルシェア型 | 自分のスキルや知識を商品として販売できるサービス。ハンドメイドの商品を売る場合もあれば、プログラミング講師として1講義を売る場合など売り方はさまざま。 |
タイムシェア型 | 個人の時間を切り抜いて販売するタイプ。個人のスキマ時間を商品にした形だ。たとえばプログラミングの知識を1時間単位で販売する、1時間相談に乗るなど。スキルシェア型とタイムシェア型は個人の発想次第で売り物を工夫できるのも大きな特徴といえる。 |
商品モニター型 | 企業が提供している新商品や新サービスを試してアンケートに答えることで報酬を得るタイプ。謝礼はポイント形式が多く、一定額に達すると換金可能になる。 |
アフィリエイト型 | 初期費用がほとんどかからない反面、安定収入までに時間がかかる点に注意。 |
地域密着型 | 地方企業のプロジェクトや業務とマッチングするタイプ。地域の活性化に貢献したい人、Uターン・Iターン副業に関心がある人に適している。 |
エージェント型 | エージェントが個人のスキルや希望に応じて案件を紹介してくれるタイプ。副業案件は少ない傾向にあるが、高単価の案件に出会える可能性もある。 |
以下では、それぞれのタイプの副業サイトを紹介します。
特徴:大手クラウドソーシング特化型、副業初心者にオススメ
クラウドワークスは。外注を求めている企業(または個人事業主)と副業したい個人をマッチングしてくれます。仮払い制度や優良クライアントの可視化に向けた取り組みなど、副業する個人にとって利用しやすいサービスが整っているため、案件・副業ワーカーともに登録者が大変多いのが特徴です。
参考:クラウドワークス
特徴:日本初のクラウドソーシング、案件の質に強みあり
2008年から副業マッチングをおこなっているのがランサーズです。ランサーズも口コミシステムや仮払いシステムといった、大変便利なサービスが充実しています。また、クラウドワークスにはない案件も多数掲載されているので、クラウドワークスとランサーズの両方に登録して案件を精査するのもよいでしょう。
参考:ランサーズ
特徴:自分のスキルを“商品化”して販売できる
ココナラは、クラウドソーシング型とは違い、副業したい個人がスキルを販売し、利用したい個人が購入する形の副業サイトです。スキルであれば(規約違反以外は)なんでも販売できる点が大きな特徴で、他の副業サイトにはない優れた魅力といえます。プログラマーやWebライターといった副業から、恋愛占いや就職の電話相談、イラストレーター、小説家、フォトグラファーのスキル販売など、やり取りされるスキルは幅広いものになっています。
参考:ココナラ
特徴:スキルを“時間単位”で販売、体験型に強み
タイムチケットは、個人のスキルを時間単位で販売するタイムシェア型の副業マッチングサイトです。たとえば、Excel VBAの講義を30分単位で販売する、セミプロの写真家によるプロフィール写真の撮影を30分単位で販売する、などといった形で販売内容と時間、金額をチケットとして提示し、顧客にチケットを買い取ってもらうことで副業が成立します。
参考:タイムチケット
特徴:履歴書不要、即日勤務OKの単発型副業サイト
タイムシェア型で人気があるのがタイミーです。短時間の人手が必要な企業が募集をかけ、そこに個人が応募する形の副業サイトです。単発バイトに近い感覚で仕事を探せるうえ、応募時に履歴書の提出が原則不要なことから、手軽に働ける点が人気を呼んでいます。
参考:タイミー
特徴:土日・夜間限定、副業希望のIT系人材向け
シューマツワーカーは、週末だけ副業したい人にオススメのクラウドソーシング型副業サイトです。エンジニア、Webライター、マーケターの案件が多く、夜間または週末の稼働が前提でやりとりができるのが大きな特徴です。
参考:シューマツワーカー
特徴:アンケートやモニター参加でコツコツ稼げる
マクロミルは老舗のアンケートモニター募集サイトです。企業がアンケートモニターを募集し、個人が応募する形の副業マッチングサイトです。アンケート案件は多数掲載されており、謝礼はポイントサイトのポイントで支払われます。Webサイトで答えるだけの簡単なアンケートや、実際の商品を一定期間使用して使った感想を求められるモニター案件など数多くのアンケートモニターの募集が掲載されています。
参考:マクロミル
特徴:主婦・主夫層向けの簡単作業が充実
シュフティは、主婦・主夫向けのクラウドソーシング型在宅ワークマッチングサイトです。主婦・主夫層ターゲットの案件に特化した副業サイトではありますが、短時間での仕事が多く掲載されているので、副業目的で登録してみてもよいでしょう。
参考:シュフティ
特徴:地方企業と副業で関われる、地方創生型サービス
地方貢献に特化した副業サイトがSkill Shiftです。週1~2日の副業やリモート案件が多く、地域貢献や社会的意義のある仕事をしたい人におすすめです。案件はマーケティング、IT支援、広報などが多い傾向にあります。
参考:Skill Shift
特徴:日本最大級のアフィリエイトASP、副業ブログ向き
副業でアフィリエイトをはじめるにあたり、広告主と商品を紹介したい個人の間を仲介してくれるのがASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)であり、A8.netは日本最大級の広告主数を誇るASPです(広告主累計数26,000社超)。A8.netでアフィリエイト副業をはじめるには無料の会員登録が必要ですが、あとはスマホまたはパソコンとネット回線、ブログやSNSアカウントがあれば商品紹介が可能です。とくにA8.netは初心者向けの情報が充実しており、その点でもオススメといえます。
参考:A8.net
特徴:高単価のフリーランス案件を紹介するエージェント
ITプロパートナーズは、本業としてフリーランスエンジニアの案件を獲得したい人のための案件紹介エージェントサービスです。クライアントと直接契約ができるため、高単価の案件を獲得可能です。高単価の副業を探している人はこちらに登録し、エージェントに相談するのもよいでしょう。
参考:ITプロパートナーズ
特徴:クラウドワークス運営、ITスキル特化の副業サイト
クラウドワークス テックは、クラウドワークスが運営するテック系のクラウドソーシング型副業マッチングサイトです。エンジニア・デザイナー向けの案件が豊富なので、これらのスキルで副業を考えているなら登録をオススメします。
参考:クラウドワークス テック
副業サイトは多く存在しますが、中には詐欺や、支払いがおこなわれないような悪質なサイトも存在します。
安全な副業サイトの選び方を解説します。
口コミサイトで副業マッチングサービスの評判を確認しましょう。
不明点や不満が多い副業サイトであれば、口コミサイトにもある程度情報が書かれているか、あるいは口コミの数が少なすぎるという状況になるので、怪しい副業サイトを避けるための指標になります。
副業サイトには運営企業名が記載されています。この運営企業情報をしっかりチェックしましょう。
運営年数が長く、安定して多くの案件が掲載されているのであれば、基本的に信頼できるサイトと考えてよいでしょう。しかし中には、詐欺目的で架空の企業名を掲載している悪質な副業サイトも存在します。運営企業の情報は事前に確認し、怪しい点があれば避けるのが賢明です。
副業サイトのマッチングサービス内容は、通常なら明確に解説されており、説明を読めば副業の流れはすぐに分かるはずです。
しかし、説明を読んでも副業の実態がよくわからなかったり、「短時間で高収入!」など具体性に欠ける表現で架空の副業に誘導したりする副業サイトも残念ながら存在します。
これを避けるためには、具体的にどのような副業を紹介しているのか、過去にどういった実績があるのかといった具体的な実績をチェックすることが肝要です。実績や副業内容が不明瞭だったり、怪しい言葉ばかりを使ったりしている副業サイトには登録しないよう注意しましょう。
副業サイトの選び方以外にも、副業を成功させるコツがいくつかあります。
以下で解説します。
本業と混同してしまわないためにも、事前に副業専用のメールアドレスを用意しましょう。
昨今は高性能や格安のレンタルサーバが豊富にあるため、ドメインを取得して新しいメールアドレスを取得するのも容易です。または、契約中のインターネットプロバイダで新しいメールアドレスを準備するのもよいでしょう。
副業で関する悩みで多いのが、副業の時間がとれない、あるいは副業に熱中しすぎて本業がおろそかになったというような時間配分の問題です。最悪の場合、本業も副業もうまく回らなくなってしまう事態もあり得ます。
これを回避するためには、自分がどれだけ副業のために時間を切り出せるか、といった基準や許容範囲を本業のスケジュールに基づいて事前に設定しておくことが重要です。そして実際の活動でもその時間配分を基本的に守ることが副業を成功させるコツといえます。
最近は企業側が副業を解禁することが増えましたが、じつは依然として副業禁止とする企業も少なくありません。しかしながら、原則禁止ではあるものの、事前申請すれば許可されるケースも存在します。トラブルを防ぐためにも、あらかじめ勤め先の副業に関する規定を確認しておきましょう。
副業サイトとは、仕事を外注したい企業と副業したい人のマッチングを目的としたサービスです。副業サイトには多くの形態があり、自分に合った副業が選べます。信頼できる副業サイトを選ぶには、運営企業の企業情報や口コミを事前に調べ、副業の内容をよく確認するようにしましょう。
そして、副業に関する悩みで多いのが、本業との時間配分の問題です。副業にどれくらい時間を割けるかをしっかり事前にイメージし、実際の活動でも基本的にその時間内で副業をするのが副業成功のコツといえます。
また、最近は企業側が副業を解禁することが増えましたが、以前から副業禁止、または原則禁止ではあるものの事前申請すれば副業可能であるといった企業もまだまだ多いです。トラブルを防ぐためにも、副業可能かどうか勤め先に確認しておくのが肝要です。
自分の仕事・生活パターンや能力に合った副業を見つけて、副業を成功へ導きましょう。
]]>青色申告とは、確定申告の方法のひとつです。確定申告は、1年の所得金額を確定し、そこから所得税を算出する手続きです。青色申告は個人事業主やフリーランス、法人が選択できる確定申告の方法であり、最大65万円の控除などの特典をうけることができます。
ただし、青色申告をするための事前申請が必要だったり、複式記帳をおこなう必要があったりと、手間も発生します。
この記事では青色申告のやり方やメリット・デメリットについてくわしく解説します。
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。それぞれの違いは以下の通りです。
白色申告は、帳簿の付け方が簡単だがあまり節税効果がない確定申告の方法だ。青色申告をしない場合、白色申告で確定申告をすることになる。
個人事業主や法人が選択できる確定申告の方法が青色申告だ。ただし、青色申告をする場合は事前の申請が必要である。青色申告をするためには、1年の収支記帳と決算を複式記帳という複雑な方法でおこなわなければいけないが、最大65万円の控除を受けられたり、その他にも特典があったり、節税効果が大きい確定申告の方法である。
青色申告は、前述の通り帳簿のつけ方が複雑になって白色申告よりも難易度があがります。帳簿ソフトを利用して記帳したり 、仕事に関わるレシートや領収書をすべて保管したりする必要がでてきます。収支が大きかったり複雑すぎたりするような場合は、税理士への依頼が必要になることもあり得るでしょう。しかし手間がかかる分、大きな節税効果があります。
青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある個人が対象です。たとえば、個人事業主・フリーランスで事業所得がある人や、所有している不動産によって所得がある人です。給与所得や雑所得のみでは青色申告対象者とならない(白色申告となる)ので注意しましょう。
青色申告に向いている人は以下の通りです。
それぞれ解説します。
フリーランス・個人事業主で今まで白色申告をしていた人は、青色申告にした方が大きく節税できるでしょう。
なお、これまで白色申告において記帳は必要なかったのですが、2014年1月より、白色申告でも簡易記帳の義務が生じました。したがって現状は、白色申告でも青色申告でも確定申告の手間は以前より減っている状況です。このため、似たような手間がかかるのであれば、青色申告をした方が節税できるのでオススメといえます。
青色申告で確定申告をおこなうためには、税務署に事前の届け出が必要になります。このため、税務署で開業届の提出をするとき、同時に青色申告の申請も済ませてしまうと大変便利です。
青色申告で確定申告をすると、決算時の赤字を3年間繰り越せるため、白色申告よりも節税効果があがります。とくに事業の開始直後は赤字になることが予想されるため、開業と同時に青色申告をはじめるのはやはりオススメといえます。
サラリーマンで副業をしている場合、確定申告は、副業分を雑所得として白色申告で申請するパターンがほとんどです。しかしながら、事業規模や事業金額によっては青色申告ができることもあるため、青色申告が可能かどうか迷ったときは、税務署で相談するとよいでしょう。
青色申告で確定申告をおこなう主なメリットは、以下の5つです。
それぞれ詳しく解説します。
青色申告では、一定の要件を満たしたときに、65万円、55万円、10万円の特別控除を受けることができます。
まず、最大の控除額である65万円の青色申告特別控除を受けるには、次の要件をすべて満たすことが必要です。
55万円の控除は、この要件のうち1~3までを満たすと受けられます。
65万円・55万円の要件を満たさなかったとき、または確定申告の期限までに提出が間に合わなかったときは、10万円の控除になります。
まとめると、次の通りです。
青色申告特別控除を受けるための要件 | |
---|---|
65万円控除 | 次の条件をすべて満たすことが必要である ・不動産所得または事業所得があること ・複式簿記で帳簿をつけていること ・帳簿をもとにした貸借対照表を確定申告書に添付する ・e-taxで青色申告をおこなうか、もしくは帳簿を電子保管する |
55万円控除 | 次の条件をすべて満たすことが必要である ・不動産所得または事業所得があること ・複式簿記で帳簿をつけていること ・帳簿をもとにした貸借対照表を確定申告書に添付する |
10万円控除 | 65万円・55万円の要件をみたしていないときや、確定申告の提出期限日に間に合わなかった場合、最大10万円の控除となる。 |
なお、実際の所得税の計算方法はルートテックでも詳細に解説しています。
青色申告では、配偶者や家族に支払った給料を経費扱いにすることが可能です。ただし経費扱いにするためには、事前に管轄の税務署に青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要です。なお、事前に届けた給与額より大きい額の給与は経費とすることができないので注意しましょう。
参考:国税庁|No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
青色申告では、3年間にわたって赤字の繰り越しができます。つまり、決算で赤字が出た翌年以降に黒字が出た場合、そこで赤字の清算ができるということです。
減価償却とは、固定資産の購入費用を使用期間にわたり分割して費用として計上する処理のことです。
青色申告では、通常分割して計上する減価償却を取得価格が30万円未満であれば一括して計上することが可能です。分割計上しなくてよくなるため、節税できる範囲が広がります。
青色申告では、貸倒引当金を計上できます。貸倒引当金とは、取引先の倒産などで売掛金が回収不可となるリスクを見越して、あらかじめ計上しておく勘定科目のことです。
つまり、貸倒引当金を計上することで、将来の貸し倒れリスクに備えつつ、所得の圧縮が可能です。
なお、金額の設定には上限があり、年末時点における売掛金などの債権残高の5.5%以下(金融業では3.3%以下)を貸倒引当金繰越として計上できます。
確定申告を青色申告でおこなうデメリットとしては、以下のものが挙げられます。
それぞれ解説します。
確定申告で青色申告をおこなうためには、事前に「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出する必要があります。なお、白色申告をおこなうための申請はとくにないため、比較してデメリットといえるでしょう。
なお、青色申告をしたくても、青色申告承認申請書の提出をしていなければ、白色申告しかできません。
青色申告をおこない65万円・55万円の控除をうけるためには、1年の収支について、複式記帳をおこなわなければなりません。複式記帳は二重で記帳する複雑な記帳方法であるため、かなり手間がかかります。これは青色申告でよくいわれるデメリットです。
対策としては、会計ソフトを利用して確定申告する、税理士に依頼するといった方法があります。
青色申告で65万円の控除を受けるには、e-Taxによる電子申請か、または、複式記帳の帳簿を電子保管する必要があります。デジタルが苦手な人やPCを所有していない人には、大きなデメリットといえるでしょう。
確定申告での青色申告は、以下の順番でおこないます。
なお、確定申告できる期間は決まっており、確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。ただし、初日や最終日が土日祝日の場合は、翌平日になります。青色申告の提出が最終日に間に合わない場合、ペナルティとして控除額が減る可能性があります。期間中に余裕をもって提出できるようにしましょう。
前項で解説した通り、青色申告をおこなうためには、事前に青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出する必要があります。申請期限は、青色申告をしようとする年の3月15日まで(ただしその年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをしたりした場合には、その事業開始等の日から2か月以内)です。提出を忘れた場合、その年は白色申告しかできません。
申請を終えて、確定申告の期日が近づいてきたら、青色申告に必要な書類を準備します。必要な書類は以下の通りです。
帳簿による決算書を作成し、付随する資料があれば添付します。これらをもとに、確定申告のための所定の用紙である「確定申告書」を記入することになります。
1年間の事業収支を表す重要な書類です。複式記帳による決算書を作成するには簿記の知識が必要ですが、近年では有料の会計ソフトに収支を入力するだけで自動的に複式記帳をしてくれるサービスが登場しています。個人事業主の方は、有料でもこちらを利用すると容易に青色申告できるのでオススメです。
青色申告決算書の収支を証明する資料を添付します。
例:レシートや領収書、生命保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの控除証明書・掛金払込証明書、ふるさと納税の受領証明書など
確定申告には専用の用紙があります。以前は白色申告と青色申告は別の用紙でしたが、今は同一の様式に統一されています。電子申請(e-Tax)の場合は紙の申告書は必要ありませんが、記入したものを郵送する場合は、紙の申告書で提出することになります。事前に税務署などで確定申告用の申告書用紙を入手するか、国税庁のサイトからテンプレートをダウンロードして印刷しておきましょう。
参考:国税庁|所得税の確定申告
決算書をもとに、確定申告書の作成をします。確定申告書の作成方法は複数あります。
e-Taxは、確定申告書作成コーナーというインターネットのWebページにアクセスして、オンラインで確定申告する方法です。
会計ソフトや確定申告ソフトは、複式記帳を自動でおこなってくれますし、e-Taxと連携してオンラインで確定申告がおこなえるものも多いので大変便利です。
手書きの場合は、確定申告用の用紙を使って記入します。
確定申告書が完成したら、確定申告をおこないましょう。申請方法は複数あります。
なお、郵送の場合は、消印の日付が提出日となります。
確定申告を青色申告でおこなう際に注意すべきポイントを解説します。
確定申告の際につけた帳簿やレシートなどの書類は、数年間の保管義務があります。白色申告と青色申告でそれぞれ保管期間が決められています。
青色申告の場合は次の通りです。
保管期間:7年
貸借対照表、損益計算書といった決算関係書類のこと。保管期間:7年
現金などのやり取りが記載されたレシート・領収書や生命保険の控除証明書など、通帳のコピーなどといった関連書類のこと。保管期間は原則7年だが、前々年分の事業所得・不動産所得が300万円以下のときは5年。
確定申告の遅延や不正は、追徴課税や青色申告承認の取り消しといったペナルティを受けることがあり得ます。
主な例は以下の通りです。
参考:国税庁|法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)
疑問点がある場合はそのままにせず、税務署や税理士による無料相談などの相談可能な窓口に相談しましょう。確定申告の内容が不正確な場合には追徴課税がかかることもあり、本来の金額より大きな金額が後から課される可能性もあるからです。
なお、相談窓口は複数あり、特に確定申告期間中は出張相談などが増えます。疑問点がある場合は積極的に利用を検討するとよいでしょう。
相談できる主な窓口や、参考になるWebサイトは以下の通りです。
個人事業主やフリーランスは毎年確定申告をおこない、所得税を確定させる必要があります。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、個人事業主やフリーランスは青色申告が可能です。
青色申告では、最大65万円の控除を受けられるほか、家族の給与を経費として計上できる、赤字の清算や減価償却の特例が利用できるなど、数多くのメリットがあります。ただし、青色申告にはデメリットもあり、手間がかかる複式記帳をおこなう必要があったり、青色申告をするための事前申請をしなければいけなかったりというデメリットもあります。
記帳が手間である場合は会計ソフトを利用する方法がオススメです。事業規模が大きかったり会計処理が複雑だったりという場合は、有料で税理士に依頼する方法もあります。
また、青色申告で不正や遅延をした場合はペナルティが課されます。そのため、疑問点は放置せず税務署窓口や税理士による無料相談会で相談したり、インターネットのQ&Aサイトを参考したりして正しく申告をおこなうようにしましょう。
フリーランスとして働きたいと考えたとき、フリーランスにはどのような仕事があり、自分にできるのだろうか?と不安に感じている方へ。この記事ではおススメの職業16選と、フリーランスという働き方の魅力や、向いている職種について詳しく解説します。
フリーランスは、企業に所属せずに自分のスキルや技術を生かして働く人々のことです。この働き方は、さまざまな業種や職種に広がっています。時間や環境の制約があっても、空き時間を利用したり、自分の技術を高く評価してくれる案件に参入したりすることで仕事が成り立ちます。
政府が副業や兼業、リモートワークを推奨し、働き方の多様化が進む中で、フリーランスへの注目が高まっています。
働き手は、自分の空き時間を活用できるメリットを享受し、企業は深刻な人材不足の中で人材確保にコストをかけるよりも、必要な業務に応じて契約できるフリーランスを活用することで、スキルや技術面でも頼れる人材を得られるようになりました。
参考:厚生労働省|副業・兼業
参考:厚生労働省|生涯における出来事と職業キャリア
参考:厚生労働省|フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
フリーランスは、自分の工夫次第で、どのような業種でも実現可能な働き方といえます。ここでは特にフリーランスに向いている職種と仕事内容を紹介します。
IT系の仕事はネット環境さえあればどこでも働けます。資格取得によるスキルやプロジェクト参加実績により経験値を示しやすい特徴があり、一旦企業に就職して一定以上の実績を積むことで、フリーランスとして独立しやすい職種といえます。
プログラマーは、プログラミング言語を用いて顧客の要望を実現するためのプログラムを作成する仕事です。いくつかのプログラミング言語を習得し、幅広いプロジェクト参加経験を通じて、フリーランスとして案件を獲得できる可能性が高いです。初心者でも参入しやすい職種ですが、常に新しい情報を収集し、スキルアップを心がけましょう。
エンジニアにはさまざまな専門分野があり、専門性を活かした働き方ができます。企業と契約し大きなプロジェクトに参加するほか、中小企業でもIT化が進んでいるため、エンジニアの需要は多く、幅広い働き方の選択肢があります。技術力に裏付けられた高収入も見込める仕事です。
Web制作は、ホームページなどのWebサイトを作成する仕事で、フロントエンド技術を習得する必要があります。初心者でも案件を獲得できる分野です。高度な技術力やデザイン分野へスキルを広げることで、収入アップも期待できます。
クリエイティブ系の仕事は、デザインや映像、画像などを成果物として納品します。個人で完結できる職種といえるため、フリーランスとして働く人材の多い分野となります。
クライアントが望む内容を提供するためには、傾聴力やコミュニケーション力は必要で、完成度の高い成果物の提供をすることで高収入が期待できる仕事です。
デザイナーはデザインを作成する仕事です。WebデザイナーはWebサイトに関連するデザインを作成しますが、グラフィックデザイナーやCGデザイナー、衣類や建築関連など、関わる媒体によって専門性があります。クライアントの要望をかなえることや、デザイン性や独自性の評価を得ることで収入につながります。
映像クリエイターは動画や映像制作にかかわる仕事です。テレビ・CM・映画・ネット・ゲーム・ミュージックビデオ・YouTubeなど、さまざまな業界で需要があります。映像制作の過程で仕事内容も細分化されており、得意分野で活躍できる仕事といえます。
カメラマンは撮りためた画像を販売したり、クライアントの要望する画像を撮影したりすることで収入を得ます。関わる業界も多く、得意な被写体によって専門性をアピールすることも可能です。人気のカメラマンになると高収入も望めます。
マーケティング系の仕事は、さまざまなデータを分析して商品の販売戦略や企業の経営戦略の一端を担います。分析力だけでなく、論理的思考力も求められます。
WebマーケターはWeb対策に特化したマーケターです。SEO対策の知識をもち、SNSやサイト運用時の戦略を立てる仕事です。昨今、需要が増えている分野といえます。企業やインフルエンサーなどと契約して報酬を得ます。
ブロガーやアフィリエイターは自分のブログやWebサイトで記事を掲載し、商品やサービスの魅力を伝えます。自分が書いた記事を通じて商品やサービスが売れた際に収入につながる仕事です。読者が何を求めているのかを正確に分析し、購買力を刺激する魅力を伝えるためのライティング力が必要です。
データサイエンティストは、ビッグデータを分析し、解析して課題を立案する仕事です。商品やサービスの開発、経営、ビジネス戦略においてもビッグデータの活用は重要であり、フリーランスへの需要も多い分野といえます。即戦力を求められる場合が多いため、知識と経験が必要です。
接客や営業といった集客に工夫の必要な職種も、スキルや資格を活かし工夫次第で、フリーランスとして活躍できます。
営業代行は、企業や営業の苦手なフリーランスなどの営業の一端を担い利益につなげます。企業は新人を育てるよりも、即戦力となるフリーランスの活用が増えています。営業が得意で培った経験を活かした営業代行は、安定した収入が見込める職種といえるでしょう。
理美容師は国家資格を持ち、フリーランスとしての活動の場が広い仕事です。店舗をもつ理美容院や病院、福祉施設などと契約し、自分の空き時間に赴いて技術提供することで収入を得られます。
トレーナーやカウンセラーは、相談者の要望の聞き取りからアドバイスをしたり、課題解決に向けたプログラムの提供をしたりする仕事です。スポーツトレーナーや心理カウンセラーなどがこれにあたります。幅広い知識や資格を担保に、Webサイトを活用しSNSなどで顧客を集めたり、店舗展開する事業主と契約したりと働き方はさまざまです。
士業は国家資格を持つ職業で、税理士や司法書士などがあります。事務所を構えて顧客を集めるという働き方が一般的ですが、SNSやWebサイトを活用して企業と契約したり、個人客からの依頼を受けたりすることで、フリーランスとして働くことも可能です。
インフルエンサーは企業やブランドから報酬を得て、商品やサービスのPR、レビュー、ライフスタイルの提案などを、SNSを通じて発信します。フォロワーの購買行動に強い影響力を与えるためのコンテンツ作成や、フォロワーとのコミュニケーションを通じてマーケティング活動を行う仕事です。
他にも自分の得意分野を活用した、こんな働き方もあります。
料理代行は忙しい主婦に代わって、お客様宅に行き朝食・昼食・夕食の調理や作り置きおかず・お弁当の下ごしらえ、ホームパーティー用の料理などを調理する仕事です。女性もフルタイムで働く現代では料理代行の需要は増えています。調理師免許があると信頼されやすくなり、保健所への届け出や食品衛生に関する知識を求められるケースもありますが、得意な料理を作ることで収入を得られる仕事です。
ペットシッターは家族の一員であるペットの世話を代行する仕事です。散歩や餌やり代行、1日預かりなど、好きな動物と触れ合いながら収入を得られます。
フリーランスにとって最も重要なことは案件の獲得です。継続して活動するために必須となる仕事の探し方を紹介します。
友人や知人、前職の関係者など自分を理解している人たちからの紹介です。人となりを理解している人からの紹介は、最初のハードルを下げてくれる効果があります。堅実な結果を残すことで、さらに紹介してもらえる可能性も高まるため、人とのつながりを大切にすることが近道といえます。
クラウドソーシングでは、企業が求める業務内容を提示し、フリーランスは自分のしたい業務に応募します。クラウドソーシングは、企業とフリーランスを結ぶ架け橋のような存在です。インターネット上で完結できるため、営業が苦手なフリーランスにとっても利用価値の高いサービスといえます。
情報発信手段の豊富な現代では、それを活用しない手はありません。SNSやブログ、X(旧Twitter)
などで、自分の仕事を知ってもらう工夫をしましょう。問い合わせや依頼が来る可能性もあります。
フリーランスとして仕事をはじめたら、できるだけ長く継続したいものです。そのための必要なことや注意点を紹介します。
フリーランスは働く時間や場所を自由に選択できますが、自由の意味を履き違えると、収入が先細りになる可能性があります。決められた時間や条件と約束事を守り、仕事の成果や仕上がりのレベルを確保する必要があるからです。自由とは、自分の好き勝手にできることではなく、正しい自己管理のうえに成り立つと認識しましょう。
フリーランスは全て自分で行うという覚悟が必要です。営業による案件獲得、確定申告に必要な書類や金銭管理、仕事の進捗を確認するためのタスク管理、さらに、自分が健康でないと継続できないので健康管理も重要となります。
フリーランスにとって、「ここまでは任せられるが、それ以上は難しい」とクライアントに思われた場合、案件の継続が難しくなり、先細りのリスクが生じます。常に新しい情報に触れ、スキルや経験をあげる努力を続ける必要があります。
フリーランスに向いている仕事を紹介してきましたが、どのような業界・職種でも工夫次第でフリーランスとして働くことは可能です。自分のしたい仕事でフリーランスとして活躍するために、何が必要かを考えるきっかけにしていただければ幸いです。
]]>近年のインターネット普及社会では、SNSやニュースサイト・動画配信などを介して膨大な量の情報が存在し、その中には偽情報もあるのです。偽情報は、企業や個人の判断を狂わせるリスクがあり大変危険なものですので、ここで偽情報のリスク・対策をしっかりと知っておきましょう。
偽情報(ぎじょうほう)とは、事実ではない、もしくは誤解を招くような情報のことを指します。単なる悪意のない間違った情報とは違い、世論操作・特定の目的達成のために故意に流布されるという点が大きく異なります。
たとえば、誰かが誤ったニュース記事を真実だと信じて広めてしまった場合、それは誤情報です。しかし特定目的のため意図的に虚偽のニュース記事を作成・拡散した場合は、偽情報あるいは悪意のある情報となります。
ここからは情報の種類について3つ解説します。それぞれについて混同しないようしっかりおぼえておきましょう。
ミスインフォメーション(日本語では誤情報と訳されることが一般的)とは、意図せず広められる不正確な情報のことで本人は正しいと思っていても実は間違っていることが多いという特徴があります。
悪意がない場合でも個人・企業の判断を誤らせたり社会に混乱を招いたりする可能性があります。
ディスインフォメーション(日本語では「偽情報(ぎじょうほう)」と訳されることが一般的)は意図的に作られ、誤解や混乱を引き起こす目的で広められた虚偽の情報のことです。
1で解説した誤情報が、単に間違った情報であるのに対して、偽情報は特定の目的をもって故意に流布されるという点が異なります。意図的に人をだますために作られた虚偽の情報で最初からウソとわかっていて、誰かを誤解させるために流される情報のことです。
マルインフォメーションは真実に基づいていながら悪意のある意図をもって公開または拡散される情報のことで、個人・組織・国家などに危害を与えることを目的としています。
ミスインフォメーションやディスインフォメーションとは違い、マルインフォメーションはウソやねつ造された情報ではありません。問題となるのは、情報の公開の仕方、タイミング、そしてその意図です。
近年インターネットの普及により、情報が瞬時に世界中に拡散されるようになりました。
その一方で意図的に作り出された虚偽の情報、いわゆるフェイクニュース、ディープフェイクの存在が社会問題化しています。
偽情報セキュリティでは 、デマやウソ情報を見抜くことだけではなく、偽情報が個人・企業・社会に与える深刻なリスクを防ぐための対策が必要です。
企業に対する偽情報の脅威を4つ解説します。企業に対する偽情報の脅威は、現代社会において無視できないリスクとなっていますが、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
偽情報によって、企業の信頼性・ブランドイメージが低下させられる可能性があります。
たとえば、企業に関する虚偽や誤解を招く情報が社会に広まり、それによって企業や製品・サービスに対する消費者や社会全体の信頼や好感度が損なわれるなど、が考えられます。
偽情報によって、顧客が離れてしまう可能性があります。
ブランドイメージの低下が潜在的な顧客や将来の顧客に影響を与えるのに対し、顧客離れは既に企業との関係性を築いていた既存顧客が離れていくという影響を企業に与えます。
偽情報によって、企業株価が暴落してしまう可能性があります。
企業に関する虚偽や誤解を招く情報が投資家や市場参加者に広まり、それが原因で企業の株価が急激に下落するリスクが存在します。株式市場は投資家の期待や信頼によって大きく左右されるため、ネガティブな偽情報はパニック売りを引き起こし、株価を大きく変動させてしまう力をもっています。
偽情報によって、企業が訴訟されてしまう可能性があります。
企業に関する事実に基づかない情報が広まることによって、企業が法的責任を問われ訴訟を起こされるリスクが存在します。
昨今の生成AIの急速な普及は、偽情報の増加・高度化に拍車をかけています。
偽情報はより巧妙かつ大量に生成・拡散されるようになり、企業・政府・一般社会に深刻な影響を及ぼしつつあるのです。以下は偽情報の作成に、生成AIがどう使われているかの例になります。
偽情報対策は、個人、企業、政府、プラットフォーム事業者など、社会全体で取り組むべき重要な課題です。偽情報の拡散を防ぎ、リスクを軽減するための対策を4つ解説します。
偽情報対策の1つ目はファクトチェック・クロスチェックの習慣をつけることです。信頼できる情報源を確認し、同じ情報が他ニュースソース・公式機関でも報じられているかを確認するということです。
ファクトチェックはもちろんのこと、ひとつの情報に頼らず、他の信頼できる情報源でも確認するクロスチェックをおこなうことが、 偽情報に惑わされないための強力な防波堤になります。
偽情報対策の2つ目はインターネットに対する情報リテラシー教育をおこなうことです。
情報リテラシーとは情報を適切に理解・評価・活用する能力のことです。ただ情報に詳しいというわけではなく、流されずに正誤を判断し、自分で考える力のことを指します。
企業が情報リテラシー教育をおこなうメリットを3つ挙げます。
偽情報(フェイクニュース、誤報、意図的なミスリードなど)は、個人の判断を誤らせるだけでなく社会全体の混乱や不信感の原因となります。これを防ぐには、情報を受け取る際に出所を確認し、信頼できる情報源を意識して選ぶことが欠かせません。以下に、信頼できる情報源の例を5つ挙げます。
社会に普及しつつあるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は情報発信の自由度が高い一方で、偽情報の拡散源となるリスクもあります。そのため、多くのSNSプラットフォームでは偽情報対策として「フィルタリング機能」「コンテンツ管理機能」を導入しています。必要に応じて設定・利用するといいでしょう。
ここまで「偽情報セキュリティとはなにか?/偽情報の脅威・対策など」というテーマで解説してきました。
そもそも偽情報とは、事実ではない、もしくは誤解を招くような情報のことです。
偽情報セキュリティとは偽情報(フェイクニュース・誤情報・操作された情報など)から個人や組織、社会を守るためのセキュリティ対策全般を指します。
近年、インターネットの普及にともない偽情報が社会問題化しており、早急の対策が必要です。
企業に対する偽情報リスクとして4つ解説しました。
また社会へ生成AIが普及しつつあり、偽情報の増加・高度化してきています。
偽情報への対策として4つを解説しました。
社会の変化に対応して、平時から偽情報の発生に備える必要性があります。
]]>フリーランスを始める際に、扶養内で働けるのか気になったことはありませんか? 近年、働き方改革の時代により、フリーランスとして働く人が増えました。中には配偶者の扶養内で働く人も少なくありません。しかし、年収の壁に対して、フリーランスが働く上でどのような基準や条件で見ればいいのか、不安や疑問を抱えたことはあると思います。本記事で扶養に入るための手続き方法と流れを理解し、年収基準や所得を超えないためのコツとともにポイントを見ていきましょう。
そもそも扶養内で働くとは、生計を立てていくのが難しい場合に、配偶者や親など身内からの経済的な援助を受けながら働くことです。扶養に入ることで社会保険料や税金などの負担を経済的に減らすといった目的があります。
扶養に入る上でのメリットやデメリットとは一体どのようなことなのでしょうか? 以下、それぞれについて説明します。
健康保険料や年金保険料を自分で負担しなくとも良いというメリットがあります。たとえば国民健康保険に加入した場合、毎月数万円の支払いを必要とします。しかし、配偶者の扶養に入れば、国民健康保険や国民年金に加入する必要がなくなり、毎月の保険料負担が大幅に軽減されます。仕事と収入が不安定なフリーランスにとって、税金や社会保険料を節約できるという点では大きなメリットでしょう。
逆に、扶養に入ることで年収に制限がかかるため「もっと働きたい」と思っていても、仕事量を扶養範囲内に収めるよう制限しなければならないことがあります。こうした収入制限が扶養内で働くフリーランスにとって、デメリットに感じる人も少なくありません。もし、順調に収入が増えて軌道に乗ってきた場合は、扶養から外れることも検討すると良いかも知れません。
フリーランスであっても扶養条件を満たせば、問題なく扶養に加入できます。扶養には大きく分けて社会保険上の扶養と税法上の扶養の2種類があります。
以下、それぞれに分けて見ていきましょう。
社会保険上の扶養は、健康保険や年金の負担を免除するための制度です。条件として配偶者(扶養者)が「厚生年金」に加入していることが必須とされています。また、配偶者が個人事業主またはフリーランスの場合は対象外となるため注意が必要です。年収制限として、フリーランスの年収が130万円未満であることが求められます。
一方で税法上の扶養は所得控除を受けられる制度で、所得金額が48万円以下であることが条件です。フリーランスの場合は売上から必要経費を差し引いた所得が対象になるのです。所得が48万円を超えると配偶者控除を受けられなくなるため、確定申告の段階できちんと調整する必要があります。両方の扶養で基準が異なるため、同時にクリアするには所得と収入のバランスに注意しなければなりません。
フリーランスが配偶者の扶養に入るための手続き方法について、見ていきましょう。
フリーランスが扶養に入るためには、まず配偶者の勤務先の人事担当部署、または健康組合を経由して年金事務所に提出します。
事前準備として、被扶養者は「健康保険被保険者(異動)届」に必要な事項を記入します。その後、申請に必要な添付書類の準備もしなければなりません。詳細は以下をご参考ください。
収入見込みを少なく見積もって申請してしまうと、扶養認定後に収入額が基準を超えた場合、過去に遡って保険料を徴収される可能性があります。申請の際は現実的な収入見通しを提示しておくことが重要ポイントです。また収入増加が予想される場合は、必ず、早めに配偶者の勤務先へ連絡するようにしましょう。
フリーランス活動を続けていく上で、扶養範囲内に収めるためのコツやポイントはどのようなことでしょうか? 以下、2つを見ていきましょう。
扶養条件を維持するには、年間収入を常に意識することが不可欠です。特に、年末に駆け込み受注をしがちなフリーランスは注意が必要です。ノートやExcelの表などを利用し、収入の記録をつけておくと収入の集計にも大変便利です。さらに、経費の管理もしやすくなり、収入と経費の差を定期的に見直せます。また、月次で収入管理を行うことで、繁忙期でも計画的にセーブできるでしょう。
高単価案件や長期契約案件を受けた場合、収入額をオーバーしてしまう恐れがあります。扶養内を意識するのであれば、単発案件中心に受注し、収入調整をしやすくしておくことがコツです。どのように案件を受注したいか、具体的に目標を決めておきましょう。案件のリサーチで内容や報酬、納期をきちんと確認して、自分の希望条件をリストにあげておくと無理のない契約・案件選びができるでしょう。
万が一、収入が扶養基準を超えて、扶養から外れてしまった場合、どのようにしたらよいでしょうか? いざという時のために困らないように、事前に手続きや保険料負担をシミュレーションしておくと良いでしょう。扶養から外されてしまった際のポイントは以下の通りです。
まず、配偶者が勤めている会社へ扶養を外したい旨を申告することから始めます。担当から必要な手続きなどを説明してもらえるので、指示に従って速やかに手続きをしましょう。健康保険と年金をセットで手続きをしますが、加入先によって手続きも異なりますので、受け取った書類をよく確認して手続きを進めることがポイントです。
一般的には扶養基準を超えて扶養を外されてしまった場合は、国民健康保険および国民年金への切り替えを考えるのが賢明です。国民健康保険料は収入額が多ければ多いほど保険料は高くなりますが、収入額が少ない場合は軽減措置があります。ただし、国民健康保険料の軽減や国民年金の免除は、基本的に世帯全体の所得が少ないことが条件です。もし、本人のみの収入が少なくても、世帯内に高所得者がいる場合は適用されないことがあります。また国民年金の保険料については定額ですが、収入が少ない場合は特例措置(免除申請)についてお住まいの市区町村の役場へ相談してみると良いでしょう。
フリーランスは時給で働く従業員とは違って、収入のコントロールが難しいのが特徴です。そのため、自分自身で1年間にどのくらい稼いだかを、確定申告する必要があります。確定申告することによって、どのくらいの税金を支払うのか決定します。
フリーランスが扶養内で働くための条件や手続き方法についてご理解いただけたでしょうか? 扶養内で働くメリットとして健康保険料や年金保険料の負担が軽減しますが、年収制限がかかるデメリットもあります。また年収と安定性のバランスが重要ポイントとなるため、社会保険上と税法上それぞれの条件に注意しなければなりません。フリーランスが扶養内で働くために年間収入を管理することを意識しながら、バランスよくコントロールしていきましょう。
]]>確定申告で何が経費として計上できるのか、必要なものや対応する勘定科目は何かから、計上できないものや、個人事業主ならではの判断に迷う経費について詳しく解説します。経費計上は節税対策につながりますが、計上しすぎるとリスクも伴います。どのように経費を計上すればよいか、上手な経費計上の方法をお伝えします。
個人事業主の経費とは、事業活動に伴って支払った費用のことを指します。個人事業主の場合、個人的な費用と混同されがちなので、しっかりと区別する必要があります。経費を正しく認識し管理することで、適切な節税効果を得られます。
計上できる経費に上限はありません。事業に関連する経費であれば、いくらでも計上することが可能です。しかし、収入と経費のバランスが悪いと税務署に不信感を抱かせる要因となります。たとえば、収入よりも多額の経費が続いたり、個人の費用を計上したりが疑われる場合です。経費は事業で生じたものであることを明確に示す必要があります。
確定申告で納税額算出の基本となる課税所得金額の求め方は以下の通りです。
課税所得金額の求め方
※課税所得金額とは、確定申告で納税額を求める基本となる金額
課税所得金額=収入-経費-所得控除額
この計算式からもわかるように、経費を漏れなく計上することで、節税効果が期待できます。
個人事業主の経費を認められるための判断基準は以下の3つです。
認められない例には、完全在宅のWebライターが通勤用として自家用車の使用している場合や、実際に利用していない自宅の一室を事務所として申告している場合があります。
経費率の目安は業種や事業規模によってさまざまで、一概に提示することは難しいのが実情です。しかし、以下のみなし仕入れ率を参考にすることは可能です。
参考:国税庁|No.6509 簡易課税制度の事業区分
個人事業主が経費にできる経費項目は、事業形態や事業内容に応じて異なる場合があります。以下の経費一覧は、主な勘定科目をまとめたものです。
地代家賃は、事業用の土地や建物を借りる際の費用を計上する項目です。事務所や店舗を借りている場合の家賃・管理費・共益費や、社用車の駐車場代、新規に借りる際の契約に関する費用等が計上できます。ただし、自宅用の駐車場代等には利用できません。
交際費は、取引先との打ち合わせやミーティング等にかかった食費や、ゴルフ等の接待にかかった経費を計上する項目です。家族や友人など個人的な会食には利用できません。
消耗品費は、法定耐用年数が1年未満で、固定資産にならない10万円未満の事務用品や電化製品等を計上する項目です。文房具やコピー用紙、名刺、パソコン周辺機器など少額物品も含まれるため、領収書を保管し経費計上することが重要です。
旅費交通費は、事業に必要な移動に係る電車・バス・タクシー等の交通費や、出張時の宿泊・交通費・日当、高速道路料金(ETC利用料)やガソリン代等を計上する項目です。出張時の食事代は基本的には含めませんが、食事付きの宿泊プランでの食費は経費に含められます。
水道光熱費は、店舗や事務所運営に必要な、電気・ガス・水道等の公共料金を計上する項目です。事務所兼自宅の場合は、事務所として利用している分を家事按分して計上します。家事按分については、以下で詳しく解説します。
通信費は、インターネットの回線使用料・電話代・切手代・ファックス代等の、事業で利用する通信費用を計上する項目です。こちらも事務所兼自宅の場合は、家事按分が必要です。
広告宣伝費は、事業や商品を宣伝する費用を計上する項目です。Webサイトやチラシ、看板の製作費や広告の原稿料等が含まれます。少額の来店記念品代も計上できます。
租税公課は、事業に関連する税金や公的な負担金を計上する項目です。個人事業税・印紙税・固定資産税・社用車の自動車税等が含まれます。個人に係る税金は計上できません。
支払保険料は、従業員や事業に関わる財産の保護を目的とした保険料を計上する項目です。事故や火災等の損害保険料・自動車保険料・自賠責保険料などがあげられます。個人事業主本人に関わる生命保険料や年金型保険料等は対象外です。
人件費は、従業員に支払う給与や手当、雇用する際にかかる費用を計上する項目です。生計を一にする家族を雇っている場合、基本的に経費計上できません。しかし、青色申告で専従者給与特別控除の申請をしている場合は経費計上できます。
福利厚生費は、従業員の健康診断費用や慶弔費、社員旅行や忘新年会の費用等、従業員の福利厚生のために支出した費用を計上する項目です。
法定福利費は、従業員を雇っている場合に係る健康保険料や厚生年金保険料等の、社会保険料の企業負担額を計上する項目です。
雑費は、勘定科目を設けるほど使用頻度のないものや、ほかの経費にあてはまらないものを計上する項目です。たとえば、支払手数料の勘定科目がないときの銀行の振込手数や、新聞図書購読費の勘定科目がないときの書籍代等の少額の経費をまとめて計上できます。
勘定科目は一度設定したら、毎年同じ項目に同じ経費を計上する必要があります。
商品や原材料の仕入れにかかった費用は、事業にかかった経費として計上することが可能です。ただし、経費とは別扱いで「仕入」や「商品」の勘定科目を使って処理します。確定申告でも仕入金額は「売上原価」として、経費とは別に記載します。
また、まだ販売していない仕入れにかかった費用は、その期の費用として計上せずに、在庫として資産に計上する必要があります。
個人事業主が経費にできないものは、事業とは関わりのない個人的なものや、株式会社では適用されても、個人事業主であるがゆえに適用されないものなどがあります。
事業と関わりのない費用は経費として認められません。たとえば、家族や友人との食事や飲み会、旅行などは私的に利用されたものになります。個人事業主の場合、明確に区別する必要があります。
福利厚生費は従業員の保険・医療・慰安等に適用される経費です。個人事業主は従業員ではなく事業主なので、本人の福利厚生費は経費には適用されません。
従業員の健康維持のため、定期的に健康診断を行う企業は多いです。従業員の健康診断費用は経費計上できますが、事業主本人は福利厚生費同様に適用されません。自己負担で実施しましょう。
事業運営に関わる税金や公的負担金は租税公課として計上可能です。しかし、個人事業主が自分で支払う所得税や住民税など、個人に課せられた税金は経費とは認められません。
10万円未満の物品は、消耗品費として一括で経費計上できます。しかし、10万円以上の物品は固定資産として扱われるため、減価償却が必要になります。減価償却資産については、後ほど詳しく解説します。
個人事業主が個人的に支払ったものや家族のために購入したものなどは、事業活動と関係ないものなので経費計上できません。たとえば、子供が塾に通うための交通費や個人的な友人におくった慶弔費、家族のための買い物などは、税務署に疑問を抱かせないためにも明確に分ける必要があります。
事務所兼自宅の場合、水道光熱費や通信費、事業として占有する面積分の家賃、自家用車を事業に利用する場合などは経費割合を定める必要があります。使用時間や使用面積、走行距離(車の場合)等の、合理的な基準に基づいて按分しなければ税務署に否認されるリスクもあります。
白色申告では「事業で利用する割合がおおむね50%超の家事関連費」が対象となっています。しかし、「所得税法 法令解釈通達45-2」では、50%以下でも必要性が明らかであれば経費算入できるとも記しています。明確な合理性の証明が必要ということです。
参考:国税庁|法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》関係
10万円以上30万円未満の減価償却資産は、一括で全額を経費計上することができません。各資産の法定耐用年数に応じて分割で経費計上します。
しかし、青色申告を行っている場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産で、年間の取得価額の合計額が300万円までの範囲内であれば、「少額減価償却資産の特例」を利用して一括で経費計上することも可能です。
参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
経費計上のやり方と注意点を解説します。
経費を証明する書類には、いつ・誰が・どこで・何を・いくらで購入したかが記載された領収書が一般的に利用されます。取引の都度、領収書を受け取り保管しましょう。領収書以外では、レシート・クレジットカードの明細書・出金伝票・電子データも利用できます。以下に注意点をまとめましたので、参考にしてください。
但し書きがあることで購入品目や購入目的が理解できる
裏面に購入者や購入目的などのメモを記載するとよい
事業専用のクレジットカードを利用するとよい。購入目的などメモするとさらによい
自動販売機の飲み物や電車・バスの乗車料金など領収書がないときに利用できる
電子領収書は電子データのまま保存する
参考:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました
青色申告では、正規簿記による書類の作成が必要になるため、青色申告決算書の損益計算書に勘定科目ごとに合計した金額を記入します。
青色申告は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるほか、青色専従者給与の経費計上、赤字の3年間繰越計上等の経費にできる項目が多く、節税効果を最大化できる可能性があります。
白色申告では簡易簿記で対応できるため、収支内訳書の経費の項目に、勘定科目ごとに合計した金額を記入し、確定申告書とともに提出します。青色申告に比べ簡易ですが、正確な計上が求められます。
多くの経費を計上することで、節税対策になるため適切な経費計上が必要です。しかし、多過ぎる場合は、以下のようなリスクもあります。
経費計上が多すぎると、税務署から脱税を疑われ、税務調査の対象となる可能性があります。とくに赤字が続く場合は注意が必要です。税務調査で脱税と判断された場合の罰則は大変厳しいものになります。適切な経費管理が求められます。
事業拡大のために銀行から融資を受ける場合、決算書や収支内訳書の提出が求められます。このとき、経費が多すぎて利益が極端に少ない、または赤字となっていると、融資が受けられない場合があります。
そればかりか、経営改善が優先だと苦言を受けるかもしれません。経費計上は慎重に行うことが重要です。
事業を行ううえで、節税効果のある経費は重要な要素です。漏れなく正確に計上する必要があり、多すぎても少なすぎてもよいことはありません。日々の業務においては、細かい金額でも領収書を受け取り保管しましょう。さらに、個人事業主は事業者と個人の区別を明確にすることが、節税への近道となります。
]]>近年、初任給を引き上げる企業が増えています。2025年もその動きは進み、多くの企業が初任給の大幅引き上げに踏み切りました。その背景には何があるのでしょうか。以下に見ていきます。
食料品や光熱費をはじめ、生活に関係するあらゆる品目の価格が上昇しています。一方で賃金の上昇率は鈍く、物価高に追いついていません。これでは生活が圧迫されてしまいます。実質賃金を上げるためには物価高を上回るだけの給与の引き上げが必要です。
日本では少子化に歯止めがかからず人手不足は深刻な問題となっています。採用競争が激化するなか、企業は初任給を引き上げることで優秀な人材を確保しようとしています。学生に自社を選んでもらうメリットとしてわかりやすいのが初任給の高さなのです。
政府は経済界、労働界に2025年春闘での賃上げ協力を求め、経団連、労働組合はともに人への投資を起点とする経済の好循環を力強く回していくとしています。30年続く不況からの脱却のために国や企業が一丸となって賃上げに取り組む必要があります。
どのような企業で初任給の引き上げが行われているか、業界別に見ていきます。
丸紅は2026年4月に入社する大卒新入社員の初任給を、月30万5,000円から33万円に引き上げます。院卒は36万5,000円となります。引き上げ幅は2万5,000円です。同社が初任給を引き上げるのは2年ぶりのことです。
伊藤忠商事は、2025年より大学卒の初任給を30万5,000円から32万5,000円に引き上げます。引き上げ幅は2万円となります。同社は2024年にも一律5万円引き上げています。
明治安田生命は、2025年度の大卒初任給を24万円から27万円に引き上げます。全国転勤のある総合職が対象で、固定残業代を含めると33万1,660円となります。初任給の引き上げにより、若手先輩社員の給与が新入社員より低くならないよう、入社5年以内の従業員について平均8%以上の賃上げも行います。
住友生命は2026年4月に入社する大卒新入社員の初任給を、26万円から29万円に引き上げることにしました。20時間相当の固定残業代を含めると、月額で33万5,000円となります。海外を含めた全国転勤のある総合キャリア職員が対象です。また、大卒営業職員の初任給も、現在の24万円から28万円に引き上げます。
住友生命の初任給引き上げは3年連続で行われています。先に入社した社員の給与よりも新入社員の給与のほうが高くならないように、入社2年目以降の従業員の給与も引き上げる方向です。
第一生命ホールディングスは、2025年4月から、営業職員も含めた国内従業員に対し一律1万円(平均7%)のベースアップを行います。固定残業代も含めると、大卒総合職の初任給は、32万1,410円から33万5,560円に引き上げとなります。同社の賃上げは3年連続で実施されており、初任給の高さは大手生命保険業界の中でもトップクラスです。
りそな銀行は、2026年4月入社の新卒社員より、10種類ある応募コースのうち、8つの専門コースの初任給を引き上げます。大卒初任給は25万5,000円から28万円となり、引き上げ幅は2万5,000円となります。専門コースでは、能力に応じてさらに高い初任給を適用されることもあり、特に優れた人材の場合、30万円を超えるケースも出てくる可能性があるそうです。
SBIホールディングスは、2025年4月より、新卒初任給を30万円から34万円に引き上げます。引き上げ幅は4万円です。
また、入社3年目までの従業員の給与を一律で10%引き上げるほか、人事評価が高い従業員の給与をすべての年次において平均10%程度引き上げます。
みずほフィナンシャルグループは、2024年の新卒初任給について、20万5,000円から26万円に引き上げます。引き上げ幅は5万5,000円となります。同社が初任給の引き上げを行うのは13年ぶりです。
また、新卒初任給の引き上げにより若手従業員の給与が逆転しないよう、若手を対象とした賃上げも実施します。
住信SBIネット銀行は、2025年4月に入社する新卒の初任給を3万円引き上げて33万円としました。平均的な時間外勤務手当も入れると40万円を超える見込みです。同社は2023年4月にも初任給を8万円引き上げており、この3年間でトータル11万円もの引き上げを実施しています。
大和ハウス工業は、2025年4月の総合職新卒社員の初任給について、一律で10万円引き上げました。
大卒は25万円が35万円に、院卒は26万2,000円から36万2,000円に、高専・専門学校卒も23万2,000円から33万2,000円に、それぞれ引き上げとなります。
10万円という大幅初任給引き上げは業界の内外から注目されています。
大成建設は、2025年4月入社の総合職大卒初任給について、28万円から30万円に引き上げました。引き上げ幅は2万円です。同社の初任給の引き上げは4年連続となります。
オープンハウスは2025年4月入社の新卒の総合職初任給を33万円から36万円に引き上げます。引き上げ幅は3万円です。初任給の引き上げは3年ぶりで、年収は初年度から500万円を超える見込みとなります。
大東建託は、2024年4月入社の新卒社員の初任給について一律2万円引き上げました。
大学卒は22万円から24万円に、大学院卒は23万円から25万円に、高専・専門学校卒は20万7,000円から22万7,000円となりました。
積水ハウスは、2025年4月に入社する大卒新入社員の初任給を24万円から約30万円に引き上げます。この引き上げ率は25%という大幅引き上げです。また、総合職の全社員の月給も平均約18%引き上げます。
清水建設は、2025年度の新卒初任給について一律2万円引き上げました。同社のグローバル職の初任給は、大学卒で30万円、修士了で32万円です。これで同社の初任給の引き上げは4年連続となりました。
ファーストリテイリングは、2025年3月以降に入社する新卒従業員の初任給を30万円から33万円に引き上げました。引き上げ幅は3万円で、年収は500万円を超える見込みです。
アシックスは、2025年の新卒初任給について27万5,000円から30万円に引き上げました。引き上げ幅は2万5,000円です。大学院修士修了も3万円引き上げ32万円とします。
同社では、2024年度にも初任給を5万円以上引き上げており、2年連続の大幅引き上げとなりました。
ノジマは、2025年度の新入社員について、初任給を1万円引き上げ、現場手当も支給します。これにより、家電量販業界の大学卒初任給としては、最高水準の30万円となります。大学院修了は31万3,000円です。
サントリーは、2025年4月入社の大卒新入社員の初任給を27万8,000円から29万円に引き上げました。引き上げ幅は1万2,000円です。また同時に、組合員についても一律月1万2,000円の賃上げを行います。
味の素は、2025年春入社のグローバル型の新卒社員の初任給について、学歴を問わず一律1万6,000円の引き上げを実施しました。これにより、大卒の場合初任給は27万5,000円となります。
モスフードサービスは、2025年4月分から新卒社員の初任給を24万7,500円としました。前年に比べ7,500円の引き上げとなります。また、同社の全社員の給与もベースアップを含めて約5%引き上げます。
東北電力は、2025年度の初任給を最大で約10%引き上げます。
大学卒で16,000円増の24万円、大学院修士修了で19,000円増の26万3,000円、博士了では9,000円増の27万3,000円となります。
初任給の引き上げはこれで2年連続です。
四国電力は、2025年度の初任給を、全学歴で一律1万2,000円引き上げます。これにより、大学院卒は25万8,000円、大学卒は23万6,000円、高校卒は18万8,000円となります。初任給の引き上げはこれで2年連続です。
JR東日本では、2025年4月から新入社員の初任給が全学歴一律1万2,000円引き上げられます。これにより総合職の博士卒は32万4,565円、院卒が28万2,315円、大卒が26万2,075円、高専卒が24万4,595円となります。
ソニーグループは、2025年4月から新卒正社員の初任給を引き上げます。引き上げ後の初任給は大卒で31万3,000円、大学院卒で34万3,000円です。引き上げ幅は大卒で14%と、大幅な増額となります。
三井化学は、2025年7月から、新卒総合職の初任給を一律2万4,000円引き上げると発表しました。同年4月入社の新入社員の給与は、7月から同水準に引き上げられます。これにより、学部卒の初任給は28万円、修士は30万2,000円、博士は35万2,000円となります。
オリエンタルランドは、2025年4月より大卒・大学院卒の初任給を一律27万2,000円としました。引き上げ幅は17,000円です。また、パート・アルバイトといった従業員に対しても平均約6%の賃上げを行います。
バンダイは、2025年4月から新入社員の初任給を29万円から30万5,000円に引き上げます。引き上げ幅は1万5,000円となります。
https://edenred.jp/article/hr-recruiting/251/#top
(2025年6月12日閲覧)
https://www.businessinsider.jp/article/299909/
(2025年6月12日閲覧)
近年続いてきた物価と賃金のアンバランスを埋めるように初任給の引き上げが相次いでいます。日本経済復調のためにはこの傾向が続くことが望まれます。また、現状ではこの初任給の引き上げは大企業中心となっています。人材の偏りを防ぐために、中小企業にまでこの流れが波及することが必要です。
]]>個人事業主が使用するメールアドレスは、普段使用しているメールアドレスでいいのか、仕事用に新しく作成するべきか、悩む人も多いのではないでしょうか。また、独自ドメインとフリーメールの違いがわからず、作成方法に悩むこともあるでしょう。
この記事では、メールアドレスの使い分け理由やメリット、独自ドメインとフリーメールの違い、メールアドレスの取得方法などについてご紹介します。
個人事業主が仕事をするためには、仕事用とプライベート用でメールアドレスを使い分けることが大切です。使い分けずにメールでのやり取りを行った場合、業務上で重要な連絡や情報などを見逃す可能性があります。開業当初など、仕事が少ないうちは使い分けなくても対応できるかもしれませんが、忙しくなってからの作成は難しいため、あらかじめ作成しておくことがおすすめです。
仕事用とプライベート用のメールアドレスを別に持つことで、さまざまなメリットが得られます。大きなメリットは、以下の4つです。
ビジネス用にドメインを取得することで、事業の成長や用途に応じて新しいアドレスを追加できるため、複数のメールアドレスを柔軟に使い分けて対応できる。メールアドレスを用途別に分けられ、業務中に集中力を維持しやすくなる。
プライベート用と業務用を使い分けることでメール内容の整理がしやすくなり、重要な情報の見逃し防止や、管理業務の効率化が図れる。業務メールの間にプライベートな内容のメールが挟まらず、作業がスムーズに進められる。
複数のメールアドレスを使い分けて管理することで、特定のメールアドレスが漏えいした場合でも、他のアドレスへの影響を最小限に抑えられる。メールアドレスごとに個別セキュリティ設定を適用することで、スパムやフィッシングメール対策のフィルタリングを強化できる。
独自ドメインのメールアドレスを使用することで、専門性を強調できるため、取引先にプロフェッショナルな印象を与えられる。ブランドイメージの向上にもつなげやすく、取引先との信頼関係の構築・強化ができる。
個人事業主にとって、メールアドレスはビジネスにおいて重要なコミュニケーションツールであり、事業の展開を左右する重要な要素の一つです。適切なメールアドレスを選ぶことは非常に大切で、顧客との関係構築やブランドイメージの向上に直結するため、どのように選べばいいか、迷う人もいるでしょう。
ここからは独自ドメインとフリーメールの違いや、個人事業主におすすめの選択肢についてご紹介します。
独自ドメインとフリーメールには、取引先からの信頼性やセキュリティ面、コスト面などに大きな違いがあります。大きな違いを以下の表にまとめました。
独自ドメイン | フリーメール | |
---|---|---|
取引先からの信頼性 | 信頼を得やすく、仕事も得やすくなる | 信頼性が下がりやすく、仕事が得にくくなる |
セキュリティ・サポート | セキュリティやサポートの充実性が高い | サポートが限定的で、セキュリティ面に不安がある |
ドメイン | “~@”以降のドメインを好きな文字列で設定できる | “~@gmail.com”など、 選択したフリーメールのドメインのみ利用できる |
利用コスト | 利用する機能やサポートに合わせて使用料を払う | 基本的に無料で使用できる |
機能面 | プラン内であれば、あらゆる機能が使用できる | 簡単に設定できるが機能は限定的で、広告が入る場合がある |
ブランディング | 事業の専門性やブランドイメージを強調できる | 事業内容などのイメージが伝えにくい |
複数のメールアドレス | 新しいメールアドレスが必要になった時、すぐに作成できる | 新しくアカウントを作る必要があり、アドレス管理が煩雑になりやすい |
ビジネス用のメールアドレスを独自ドメインにすることは、個人事業主としての専門性や信頼性を強調できるポイントです。フリーメールの利用が禁止されている訳ではありませんが、取引先によっては信頼性が低くなり、仕事が得にくくなる可能性があるため、選択する際には注意した方がいいでしょう。
個人事業主が事業用のメールアドレスを作成する時は、独自ドメインで作成することをおすすめします。仕事を得るためには、取引先との信頼性や事業イメージが重要です。独自ドメインであれば信頼性やイメージの向上に加え、情報漏えい対策のセキュリティや必要に応じたメールアドレスの作成・管理が行えます。また、ドメインに業種や事業名、屋号などを入れて作成できるため、取引先が判断しやすくなり好印象にもつながるでしょう。
GmailやYahoo!メールなどのフリーメールは、初期費用がかからず手軽に利用できるため、起業したばかりの時には魅力的に見えるでしょう。しかし、誰でも取得可能なフリーメールは、信頼性に欠けるとみなされることが多く、取引先との関係構築に悪影響となる可能性があります。また、フリーメールでは広告が表示されることもあるため、セキュリティ面の脆弱性(ぜいじゃくせい)に懸念が残ります。事業の安定や信頼獲得、セキュリティ強化を進めるのであれば、独自ドメインのメールアドレスを使用するといいでしょう。
個人事業主が事業のために独自ドメインのメールアドレスを作成することは、安定かつ長期的なビジネスのために非常に重要です。独自ドメインのメールアドレスは、事業への信頼性やプロフェッショナルな印象、ブランドイメージの向上に大きな影響があります。
ここからは、独自ドメインのメールアドレスを作成するためのステップをご紹介します。
まずは、ビジネスの内容に適したドメイン名を選び、独自ドメインを取得します。ドメイン名を決める際には、事業名や活動内容を簡潔に示せるものがおすすめです。職種やご自分の名前、屋号などを入れてみてもいいでしょう。
ドメイン取得する際は、信頼できるドメインレジストラ(ドメインを登録し、データベースを管理する業者のこと)を利用することが大切です。初心者でも簡単に取得手続きができ、サポートも充実している点では「Namecheap」や「GoDaddy」などのサービスをおすすめします。ドメインは年間契約が一般的となっており、長期間契約することで割引が受けられる場合もあります。ドメイン取得後は所有権をしっかりと確認し、必要に応じてプライバシー保護のオプションを検討するといいでしょう。
独自ドメインを取得したら、次はメールサーバの契約に進みます。メールサーバは、メールの送受信を管理するために必要なサービスです。さまざまなプロバイダから多様なサービスが提供されており、豊富な選択肢があります。契約する前にはプロバイダが提供しているサービスを確認し、信頼性とサポートの質が高いものを選びましょう。
選ぶ際のポイントは、ご自身のビジネスに必要な機能や容量を事前に確認しておき、ニーズに合ったプランを見つけることです。例を挙げると「Gmail for Business」や「Microsoft 365」は、信頼性が高くビジネス向け機能が充実しており、おすすめです。
メールサーバを決める方法はレンタルサーバやクラウドサービス、独自サーバの設置の三種類があります。それぞれの特徴をメリット・デメリットとともにご紹介します。
レンタルサーバは初期費用が低く、コスト効率は高く利用できる点は大きなメリット。多くのレンタルサーバは簡単に導入できるよう設計されており、導入や運用に関するサポートも受けられるため、初心者でも利用しやすい特徴がある。ただし、機能やセキュリティ面では制限がかかりやすいデメリットがある。
クラウドサービスは、ビジネスの成長に合わせて必要な容量や機能を増やせる柔軟性が大きな特徴。定期的な更新やパッチ運用を自動で行うため、セキュリティ対策が充実している点はメリットと言える。サービスの多くは従量制の料金体系が一般的で、使用量が増えると維持費などのコストも増える点に注意。
独自サーバはハードウェアやソフトウェアを自由にカスタマイズでき、自身のニーズに合わせて完全なカスタマイズ設定が可能。セキュリティ対策も独自強化できるため、機密情報保護のために高いセキュリティを構築できる。ただし、物理的なハードウェアに依存するため、容量や性能に制限がかかる場合がある。初期費用も高く、高度な専門知識がないと管理しにくいデメリットがある。
独自ドメインとメールサーバの紐付けを行うことを、DNS設定と呼びます。この設定はメールアドレスを正常に機能させるために必要不可欠です。DNS設定が完了すると、ビジネス用のメールアドレスとして利用可能になります。
DNS設定の手順は以下の2ステップです。
上記の手順を行うことで、メールの送受信ルートが適切に設定されます。通常、プロバイダからガイドが提供されるため、ガイドに従って設定を行うとスムーズに進められるでしょう。
独自ドメインとメールサーバの紐付けが完了したら、いよいよメールアドレスの発行です。メールサーバの管理画面から、新しいメールアドレスが作成できます。
発行する際は、ビジネス内容や役割など、用途に応じて設定すると業務の効率化が図れます。また、メールアドレスの発行と同時に、パスワードの設定やセキュリティ設定も行い、アカウントの安全性を確保するといいでしょう。
ビジネスにおいて、独自ドメインのメールアドレスは信頼性の構築に重要なツールです。個人事業主が取引先にプロフェッショナル、または専門的な印象を与えるためには、適切なメールアドレスの作成が必要です。ここからは、独自ドメインのメールアドレスを作成するために重要なポイントをご紹介します。
メールアドレスに職種・名前・屋号を入れることで、あなたが誰か、どのようなビジネスをしているかを瞬時に伝えられます。
組織内での役割を入れるのも、何を担当しているかを伝えられるため、おすすめです。分かりやすいメールアドレスは、顧客や取引先が誰に連絡を取るべきかが理解しやすく、コミュニケーション効率の向上につながるでしょう。
メールアドレスにサービス名を入れると、提供しているサービスや商品を明確に伝えることが可能です。複数のサービスを展開している場合、非常に便利です。
上記のような形式にすることで、メールの内容がどのサービスに関連しているのか一目で理解しやすく、受取人がメール内容を迅速に把握して対応できます。また、サービス名を含めることでブランド認知度を高め、ビジネスの専門性を強調することにもつながるでしょう。
メールアドレスは短く、わかりやすく、シンプルであることが重要です。長すぎるアドレスは入力ミスを招きやすく、覚えにくいため、受取人にとって不便と言えます。
上記のような短くシンプルなアドレスは覚えやすく、誤入力のリスクを減らすと同時に、プロフェッショナルな印象を与えます。また、アドレスに記号や数字を多用すると、スパムフィルタに引っかかる可能性があるため、避けた方がいいでしょう。
ビジネスの信頼性を高めるためには、簡潔かつ明瞭なメールアドレスが大切です。
メールアドレスを作成する際には、商標の事前チェックが重要です。特に、ビジネス名やサービス名を含める場合、他社の登録商標を侵害しないよう細心の注意が必要です。もし商標を侵害してしまうと法的な問題に発展し、ブランドイメージを損なう可能性があります。
商標侵害を避けるには、特許庁のホームページや商標データベースで検索することが重要です。また、法的リスク回避のためには専門家による確認を通じて、使用予定の名称が保護されていないか、類似の商標が存在していないかをチェックもしておくと安心です。
個人事業主はメールアドレスを仕事用とプライベート用で使い分けることで、重要な業務連絡を見逃すリスクを減らし、効率的な管理を可能にします。仕事用のメールアドレスに独自ドメインを使用すれば、取引先への信頼性を高めて専門性をアピールできます。フリーメールは信頼性やセキュリティ面で懸念があり、複数のメールアドレスを管理することも難しいため、独自ドメインの利用がおすすめと言えるでしょう。独自ドメインでメールアドレスを作成する際は、職種や名前を入れて短くシンプルにまとめるよう意識することがポイントです。
]]>近年、空間コンピューティング(Spatial Computing)は私たちの社会に大きな変革をもたらしています。すでにさまざまな業界で導入が始まっていますが、一般ユーザへの浸透や標準化はまだこれからという段階です。この機会に、基礎知識や将来・課題などについての知識を学んでおくのはいかがでしょうか。
空間コンピューティングは、現実空間とデジル空間を融合させ、まるでデジタル情報が現実世界に存在するかのように体験・操作を可能とする技術のことです。2003年にアメリカのサイモン・グリーンウォルド氏によって「機械が実際のオブジェクトや空間への参照を保持し、操作する機械との人間の相互作用」と定義されました(参考元:サイモン・グリーンウォルド「Spatial Computing」)。以下のようなテクノロジーを組み合わせています。
AR(拡張現実)は、現実の景色を見ながら、その上にデジタル情報を重ねて表示する技術です。一方、VR(仮想現実)は、現実の景色をすべて覆い隠し、まったく別の仮想空間だけを見せる技術です。
AR・VR | 空間コンピューティング | |
---|---|---|
役割 | 特定体験実現のための技術 | 包括的な概念・技術 |
範囲 | 一部(表示・体験など) | 全体(認識、操作、統合、インタラクション全般など) |
関係 | 空間コンピューティングの応用形態 | 包括的な技術体系 |
空間コンピューティングの特徴は大きく以下の4つになります。生活・仕事・学習などのさまざまな場面で活用される可能性があります。
現実空間やバーチャル空間全体をコンテンツの表示などに活用する
現より身体的で直感的なコンピュータ操作体験を実現させる
現デジタルオブジェクトを現実空間に重ねて表示、物理空間そのものをデジタルで補完・拡張する、などの要求に答える
現空間コンピューティング型デバイスを活用して、ユーザのデータを詳細に取得・分析し効率化をはかる
Appleの空間コンピューティング体験では、「ウィンドウ」「ボリューム」「スペース」といった概念が導入されており、主要な構成要素として位置づけられています。3つそれぞれについて解説します。
1つ目の構成要素は「ウィンドウ(Windows)」です。
見た目は従来のPCで使われていたウィンドウとほとんど同じ、平面的な表示領域です。
ユーザは表示サイズや配置を自由に調整できます。また、複数のウィンドウを同時に操作することも可能です。
2つ目の構成要素は「ボリューム(Volumes)」です。
立体的な体積を持った表示領域で、3Dオブジェクトや相互作用的なコンテンツを空間内に配置するための要素です。ユーザはこれらのボリュームを360度から観察・操作でき、より没入感のある体験を提供します。
3つ目の構成要素は「スペース(Spaces)」です。
スペースはユーザの視界全体を領域とし、「ウィンドウ」「ボリューム」も含まれます。現実世界とデジタルコンテンツをシームレスに融合させ、自由にカスタマイズされた作業環境を構築可能です。
空間コンピューティングは現実空間とデジタル情報をシームレスに融合させ、直感的な操作を可能にする技術です。現実世界を操作可能なデータ空間に変え、デバイスの画面に閉じ込められていたデジタル体験を空間全体へと拡張することが可能です。以下のようなことができるようになります。
現手のジェスチャー・視線・音声認識などを使い、デジタルオブジェクトを直感的に操作可能
現従来の小さな画面に縛られることなく、目の前の空間全体をディスプレイとして利用可能
現実の風景にデジタル情報を重ねて表示可能
現コンテンツなどの共有をした場合、複数人で同じ情報をリアルタイムで空間共有・共同作業をすることが可能
空間コンピューティングは、その汎用性の高さから非常に幅広い分野での活用が想定されています。4つの分野での利用について解説します。
教育現場での空間コンピューティング活用で「見て・触れて・動かして学ぶ」体験が可能になり、学習の理解度・定着率向上に貢献します。以下に利用例を挙げます。
ビジネスでの空間コンピューティング活用は、空間上での情報共有・製品表示・業務効率化を進め、新しい働き方・営業スタイルを可能とします。以下に利用例を挙げます。
医療現場での空間コンピューティング活用は、人体の内部構造や手術計画を空間上で可視化・共有することが可能で、安全性・精度を大幅に向上させます。以下に利用例を挙げます。
エンターテインメントでの空間コンピューティング活用は、空間全体を演出装置として使い従来にない没入体験を創出します。また、ユーザが自宅にいながら臨場感あふれる体験を楽しむ・現実の空間と連動した新しいタイプのゲーム体験も可能となります。以下に利用例を挙げます。
空間コンピューティングは、今後の社会・産業・日常生活を大きく変える次世代の基盤技術として注目されています。今後の展望としては、以下の点が挙げられます。
軽量化・小型化・性能向上・低価格化・汎用化
より直感的な操作・AIアシスタントとの融合
5G/6Gネットワークの普及・IoTデバイスなどの進化・現実世界をデジタル空間に再現するデジタルツイン技術の進化
キラーアプリの登場・対応したコンテンツやアプリケーションを開発するクリエイターの増加
空間コンピューティングは現実空間とデジタル空間を融合させ直感的で自然な操作などを可能にする画期的な技術ですが、その普及と発展にはいくつかの課題が存在します。以下に4つを挙げます。
初期導入コストの高さ・投資対効果証明の難しさ(導入に踏み切りにくい)など
空間コンピューティング専門人材の不足がスムーズな導入を妨げる可能性など
個人情報の漏洩リスク・データの適切な管理と活用など
高性能なインフラ環境の整備と継続的なメンテナンスが必要など
ここまで「空間コンピューティングとは?/基礎知識・将来・課題など」というテーマで解説してきました。
空間コンピューティングとは、現実空間とデジタル空間を融合させ、まるでデジタル情報が現実世界に存在するかのように体験・操作を可能とする技術のことです。
空間コンピューティングは次のコンピューティングパラダイムとして注目されており、今後数年間で私たちの生活やビジネスを劇的に変革すると予測され、その応用範囲は無限に広がっていくでしょう。
皆さんも、この記事を読んで空間コンピューティングについての知識を深めるきっかけにしてみてください。
20歳から65歳までの方なら職業問わず、誰でも加入できるiDeCo。個人事業主は将来受け取れる年金が少ないため、iDeCoの加入を考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、個人事業主がiDeCoを利用する際のメリット・デメリット、iDeCoの上限額や気になる節税対策についてもあわせて詳しく解説していきます。
iDeCoとは、自分でコツコツと掛け金を積み立て、60歳以降に老後資金として受け取ることができる私的年金制度です。公的年金だけでは将来の生活が不安な個人事業主にとって、iDeCoは有力な選択肢のひとつです。
個人事業主で公的年金だけでは将来が不安な方は、iDeCoについて詳しく知っておくと視野が広がることでしょう。以下で、iDeCoの特徴を押えておくと安心です。
iDeCoの特徴として節税効果が期待できます。掛け金を支払うと、所得税・住民税の負担が減りますし、運用益はすべて非課税です。そして受取時は、控除制度を利用でき所得税を軽減できるという特徴があります。以下では更に詳しくiDeCoのメリットやデメリットについて解説しています。
2025年5月時点で、個人事業主のiDeCoの掛け金額の上限は、月額68,000円と他の職種よりも高めに設定されています。しかし、国民年金基金や国民年金付加保険料と合算されているため、iDeCoの掛け金とあわせて月額68,000円を超えないように注意が必要になります。なお、年1回までなら現在の掛け金を変更することが可能です。無理のない範囲での運用を心がけましょう。
加入区分 | 掛金の月額上限 |
---|---|
第一号被保険者 自営業者 | 月額6.8万円 |
第二号被保険者 会社員・公務員 | |
会社に企業年金がないケース | 月額2.3万円 |
企業型確定拠出年金に加入しているケース | 月額2万円 |
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入しているケース | |
確定給付企業年金にのみ加入しているケース | |
公務員等 | |
第三号被保険 主婦・主夫 | 月額2.3万円 |
参考元:iDeCoの拠出限度額について
個人事業主は会社員と異なり、退職金や企業年金といった制度がないため、自分で老後の資金を積み立てて準備しておく必要性があります。更に個人事業主は他の職業と比べて上限額も高く設定されているため、より多くの資産形成が可能になるでしょう。
ここではiDeCoを利用開始するとどのようなメリットや節税効果があるのか解説しています。iDeCoの運用開始前にメリットをしっかりと把握しておくことをおすすめします。
メリットばかりにもみえるiDeCoですが、デメリットや注意点もあります。これらも事前に把握しておくと安心です。
iDeCoは長期的な老後の資金形成を目的とした制度であるため、原則60歳まで引き出しや解約ができません。iDeCo利用中に事業不振になり、実生活が厳しくなったとしても途中引き出しや途中解約はできませんので、あらかじめ注意しておきましょう。
ですので、iDeCoだけに頼らず、流動性の高い資産の形成もあわせて行うことが重要です。
iDeCoは、価格変動のある投資信託などの金融商品を用いて資産を運用します。タイミングにより運用益が増えたり減ったりし、積み立てた金額よりも少なくなる元本割れが起こることもあります。このように価格変動のリスクがあるので注意が必要です。元本確保型の商品も選べますが、利回りは低めです。
iDeCoには加入時手数料・毎月の口座管理料・信託報酬・給付手数料・還付手数料など手数料がかかります。iDeCoを長期間運用するほどコストが積み重なり、運用益を圧迫してしまうことがデメリットです。老後資金を貯蓄する制度ですが、利用するにあたり一定の手数料がかかることを、あらかじめ押さえておくと安心です。
iDeCoは毎月決まった額を積み立てていくため、事業の収入が不安定な時期には掛け金が負担に感じてしまうことがあるでしょう。それに加えて途中引き出しや、途中解約もできないため、事業の資金繰りが厳しいときに頼れないこともデメリットと言えます。しかし、毎月無理のない金額で運用できれば、将来心強い味方になってくれることでしょう。
iDeCoは、小規模企業共済と併用が可能で、どちらも掛け金が全額所得控除の対象となるため、節税効果も期待できます。今後、iDeCoと小規模企業共済を併用して運用をしようと考えている方はあらかじめポイントを押さえておきましょう。
iDeCoは投資で資産を増やすことができ、小規模企業共済は将来の退職金として受け取ることができます。併用して運用することで、節税しながらバランスよく将来の貯蓄を準備できます。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出しができず、小規模企業共済も原則として廃業や退職など一定の事由がない限り途中解約が難しいため、流動性には注意が必要です。 iDeCoと小規模企業共済は運用方法やリスクの性質が異なるため、併用することで資産全体のリスクを分散することができます。iDeCoでの運用成果が振るわない場合でも、小規模企業共済による安定的な貯蓄効果が期待できる点は、安心材料といえるでしょう。
iDeCoとは、自分で老後の資金を毎月積み立てていく制度です。iDeCoの掛け金は全額所得控除になり、運用益も非課税です。長期で運用した場合、この非課税のメリットは大きく、老後資金の形成に効果的です。しかし、途中引き出しや途中解約ができず、急な事業不振の資金繰りには当てられません。また、手数料もかかるため毎月の掛け金も無理のない範囲で決めておくことが重要です。ですが、iDeCoを無理なく運用していければ、節税をしながらもしっかりと自分の老後の資産形成ができる、心強い制度です。
]]>本稿ではフリーランスをはじめとした個人事業主が、事業を拡大するために法人を設立する法人化について、メリット・デメリット、手続きの流れや最適なタイミングについて詳しく解説します。
ここで述べる法人化とは、個人事業主から事業形態を法人に変更することを指します。法人とは個人と同様の独立した人格を持つ組織であり、例としては株式会社や合同会社、社団法人やNPO法人などがあります。
個人事業主の法人化では、事業は個人の所有から独立した法人に継承して運営され、法律上の権利と義務が法人に伴います。これにより事業の信用力が向上し、対外的なイメージの向上も期待できます。
法人には個人事業にはない、さまざまなメリットが存在します。以下の項目では、代表的な3つのメリットについて解説します。
法人は法律によって倒産時などの責任を、出資額を限度とした責任とする有限責任で守られるため、無限責任である個人事業主よりも信用力が高くなります。これは取引先や金融機関との関係構築において大きなメリットです。法人名義の契約を結ぶことで、ビジネスの信頼性や事業に対するイメージを高められます。
個人所得と法人所得では税率が異なるため、法人化によって所得税の負担を軽減できる可能性があります。法人の方が個人よりも所得税率が低くなる場合があるため、所得額によっては節税効果が期待できます。また、経費として認められる範囲も広がるため、経費計上の幅にも余裕ができます。
法人化により、資金調達の手段が増えます。株式や社債の発行による資金調達が可能となり、融資を受ける際の融通性も期待できるため、事業拡大に必要な資金を集めやすくなります。
法人化にはデメリットも存在します。以下の項目では、代表的な3つのデメリットについて解説します。
法人化には複雑な手続きが伴います。設立登記や定款作成など、初期段階での手続きが複雑で大きな負担が伴います。また法人としての管理業務も増えるため、事業の内容や形態によっては専門的な知識が要求されることもあります。
法人を維持するためには個人事業よりも多くの費用がかかります。例えば、法人税や社会保険料、会計監査費用など、事業の規模に比例して多くの支出が発生します。
法人化すると、経理業務がより複雑になります。毎月の給与管理業務をはじめ、出入金の管理も複雑化するため、事業規模によっては専門の担当者が必要です。また定期的な決算報告や税務申告が必要となるため、これらの作業には専門的な知識が求められます。
法人化の手続きでは、複数の役所に専門的な書類を提出するため、手続きの完了には2~3週間ほどかかります。表内の流れが手続きの手順です。
株式会社や合同会社など、適切な会社形態を選ぶ
会社の基本ルールを定めた定款を作成する
法務局で設立登記を行い、法人としての認定を受ける
法人としての税務手続きを税務署に届け出る
従業員を雇う場合は社会保険に加入する義務がある
これに伴い、個人事業として開業している場合には廃業の手続きが、法人に引き継ぐ資産がある場合には引き継ぎや名義変更の手続きが必要になります。複雑な手続きになりますので行政書士や司法書士、税理士との連携も視野に入れると、より確実です。
法人化の最適なタイミングは、事業の成長に応じて判断します。具体的には事業拡大を計画するタイミングや、所得税が高くなり始める頃が適していますが、消費税の課税に関するタイミングも目安になります。以下の項目で詳しく見ていきましょう。
事業が成長し、人材採用や設備投資が必要なタイミングは法人化の好機です。法人化することで、採用や事業に対する支援や助成が受けられるようになります。資金面でも社債や株式を使った資金調達ができますし、個人に比べて社会的信用も高まるため、銀行からの融資も受けやすくなります。
個人の所得税率は累進課税のため、課税所得695万円以上で23%、900万円以上で33%に上がりますが、法人の所得税率は800万円を境目に15~23.2%です。そのため事業所得が900万円を超える際は、法人化による節税が期待できます。
ほかにも法人であれば役員報酬による所得の分散や、生命保険・退職金といった経費の幅が広がることで、一層の節税対策が期待できます。そのため事業所得が900万円を超えるタイミングが法人化の好機と言えるでしょう。
参考:国税庁|タックスアンサー No.2260 所得税の税率
参考:国税庁|タックスアンサー No.5759 法人税の税率
個人事業で事業売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の納税義務が生じます。一方、新設法人で資本金1,000万円未満かつインボイス発行事業者でない場合は※、最長で2年間消費税が免除されるため、その直前の法人化は節税上有利なタイミングと言えます。
※但しインボイス発行事業者となる場合は、申請時点で消費税の課税事業者となり、免税期間がなくなるため注意が必要です。
法人化を検討する際は手続きやメリット・デメリットの理解のほかにも、注意すべきことがあります。以下で代表的なものを簡単にまとめました。
事業の内容や規模によっては、税理士や弁護士といった専門家との連携が必要になる
法人化後の資金調達や経営戦略といった、長期的な事業計画が必要となる
法人化後は企業の法的な義務を理解するとともに、適切な取り組みを継続する必要が伴う
法人から個人事業主に戻るには登記簿から法人格を消し、残った純資産を株主へ返金する手間がかかる
個人事業主の法人化には、信用力の向上や節税効果への期待といった多くのメリットがあります。一方で法人化には、手続きの負担や事業管理コストの増加といったデメリットも伴います。法人化を検討する際は、これらをよく比較して最適なタイミングを見極めましょう。
法人化の前後には事業規模の拡大とともに複雑な手続きが伴いますので、これを一人で行うことが難しければ、専門家との連携を視野に入れるとより確実です。本稿が後悔のない選択と法人化を成功させる一助となることを願っています。
]]>副業とは、主職以外の時間を活用して収入を得る働き方を指します。リモートワークでのライター業務や、深夜のバイト、スキルを活用した成果物の販売などが含まれます。
2018年に厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」により、副業を推奨する動きが広がりました。しかし、モデル就業規則第70条記載の理由に該当する場合、企業は副業を禁止および制限できるとしています。
参考:厚生労働省|「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定・令和4年7月改定)
副業をしていても確定申告をしてない人も多いようですが、所得によっては、確定申告を行い所得税の納付義務が生じます。
確定申告とは一年間に得た収入等に対して、所得税を自分で計算して申告・納税を行うことを指し、正しく実施するためには理解が必須です。いくらから確定申告が必要か詳しく解説します。
確定申告が必要な判断基準は、所得額が20万円を超えた場合です。副業で得た収入ではなく、収入から経費を引いた所得額なので区別しましょう。以下は会社員と個人事業主(副業収入によっては個人事業主の場合と同様に考える)の収入と所得の違いをまとめました。
収入と所得の違い
収入 | 所得 | |
---|---|---|
会社員の場合 | 1年間に受け取った給与・報酬・賞与など総額 | 収入から給与所得控除を引いた金額 |
個人事業主 | 1年間に受け取った現金や経済的価値のあるものの合計額 | 収入から経費を引いた金額 |
副業で確定申告をしなくていい金額は、副業所得が20万円以下の場合です。しかし、20万円以下だから確定申告不要と考えるのは損かもしれません。確定申告をすることで、所得控除を受けたり税金の還付を受けたりできる場合があるからです。以下に確定申告をした方がよい例をまとめました。
確定申告をすることで還付や減税を受けられる | |
---|---|
医療控除 | 1年間に支払った医療費が10万円を超えた |
雑損控除 | 災害や事故・泥棒などで資産に損害があった |
寄付金控除 | ふるさと納税等寄付をした |
住宅借入金等特別控除 | 住宅ローンを契約した初年度である |
退職所得控除 | 年の途中で退職した |
経常利益が赤字の事業主 | 青色申告では3年間の赤字繰越計上ができる |
確定申告ではどのような方法で収入を得たかに応じて所得区分が定められています。以下は10種類の所得区分の概要です。所得区分によって必要書類や申請が異なる場合があるので、詳しく見ていきましょう。
各所得区分の内容 | |
---|---|
所得区分 | 所得の内容 |
事業所得 | 商・工業や漁業、農業、自由職業などの自営業から生ずる所得 |
不動産所得 | 土地や建物、船舶や航空機などの貸付から生ずる所得 |
雑所得 | ・公的年金等の所得 ・原稿料、講演料やシェアリングエコノミーなどの副収入による業務所得 ・その他、他の所得に当てはまらない所得 |
給与所得 | 俸給や給料、賃金、賞与、歳費などの所得 |
配当所得 | 法人から受ける剰余金の配当や上場株式等に係る配当等の所得 |
利子所得 | 国外で支払われる預金等の利子や特定公社債の利子、預貯金の利子などの所得 |
山林所得 | 所有期間が5年を超える山林(立木)を伐採して譲渡したことなどによる所得 |
譲渡所得 | ゴルフ会員権や金地金、機械などの譲渡、土地や建物、借地権、株式等を譲渡したことによる所得 |
一時所得 | 生命保険の一時金、賞金や懸賞当せん金、一時払の養老保険や損害保険などによる所得 |
退職所得 | 退職所得 退職金、一時恩給、確定給付企業年金法および確定拠出年金法による一時払の老齢給付金などの所得 |
副業の収入源が事業所得に該当する場合は、事業所得として申告しますが、売り上げや経費などを帳票に残す必要があります。事業所得は青色申告の対象であり、帳簿の作成や帳票の保存により、節税対策に役立つ場合があります。
2022年の所得税基本通達の一部改正では、帳簿や書類を作成し保存していれば、本業・副業に関係なく、概ね事業所得として認められるとしています。
参考:国税庁|「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
雑所得とは、公的年金や副業による臨時的・単発的な収入など、他9つの所得区分に該当しない所得を指します。上記事業所得で記載したように、帳票の作成や保存等があれば、事業所得に区分される場合もあります。
また、法改訂により3年にわたる副業による雑所得が年間300万円を超える場合は、書類の保存が義務付けられましたので、帳票類の作成や保存を習慣づけることが必要です。
参考:国税庁|No.1300 所得の区分のあらまし
参考:国税庁|雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説
給与所得とは、会社や組織と雇用契約を結び、労働の対価として受け取る給与・賞与などの所得を指します。本業とアルバイト等副業の両方で年末調整した場合は、確定申告により再計算され、過払い分の税金の還付を受けられる場合があります。
参考:国税庁|No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収
不動産所得とは、土地や建物などの貸付等により得た収入を指します。本業以外でアパート経営等をしている場合は、本業の源泉徴収税額とあわせて不動産所得の申告が必要となります。
参考:国税庁|No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
確定申告には青色申告と白色申告があります。青色申告は事業所得・山林所得・不動産所得がある方が対象です。副業で青色申告を受ける場合の方法と青色申告のメリットを見ていきましょう。
青色申告を受けるには、事前に「青色申告承認申請書」を提出して承認を受ける必要があります。青色申告は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるほか、専従者給与の経費算入や赤字の3年間繰越計上など、節税効果が大きい申告方法といえます。ただし、正規の帳簿作成など条件があり、副業の場合でも帳票整理を習慣づける必要があるでしょう。
副業では雑所得に区分される場合も多いですが、雑所得ではなく事業所得と認められた場合は、青色申告という大きなメリットを受けることができます。
参考:国税庁|始めてみませんか?青色申告
ここからは、確定申告のやり方を手続きの流れにそって解説します。
副業の確定申告には、次のような書類が必要です。他にも、状況に応じて申請書や必要書類がありますので、確認しながら漏れのないように準備しましょう。
確定申告に必要な基本的な書類 | |
---|---|
書類 | 内容 |
確定申告書 | 所得金額・控除額・税額等を記載したもの |
本人確認書類 | マイナンバーカード、または、以下の①②から1点ずつ ①通知カード、個人番号が記載された住民票 ②運転免許証、健康保険証、パスポート 等 |
雑所得 | ・公的年金等の所得 ・原稿料、講演料やシェアリングエコノミーなどの副収入による業務所得 ・その他、他の所得に当てはまらない所得 |
源泉徴収票 | 本業で源泉徴収をした場合(提出は不要) |
所得税額がわかるもの | ・事業所得の内訳を記載した収支内訳書等 ・その他、収入を証明する書類 |
各種控除申請に必要な書類 | 各種控除ごとに必要な書類 (ただし、年末調整で申告済の書類は添付不要) |
銀行口座がわかるもの | 預金通帳やカード等(還付金受取りの窓口となる口座) |
次に確定申告書の作成方法を決めます。手書きやWeb上での作成などもあり、自分の得意な方法を選びましょう。
確定申告書を最寄りの税務署までもらいに行くか、国税庁のホームページからダウンロードして取得します。1年間の収入や経費等をまとめておき、各項目に記入します。本業の源泉徴収税額も忘れずに記入しましょう。
手書きの場合は、全体の収支状況が見やすいメリットもありますが、計算ミスや書き間違い等に気をつける必要があります。
国税庁が運営するサイトを活用する方法で、ガイドにそって入力することで、確定申告書の作成が可能です。マイナンバーカード等で個人を確定し、印刷したりそのままe-Taxで送信(申告)したりもできます。スマートフォンにも対応しているので、手軽に確定申告書の作成ができます。
参考:国税庁|確定申告書等作成コーナー
日々の会計状況を管理できるソフトを活用する方法です。ソフトによっては確定申告書の作成もでき、e-Taxに連動させ申告ができるものもあります。年末に計算してみたら、確定申告が必要な収入に達していたが、経費を証明できる書類がないなどと慌てることがないように、会計状況を把握することが重要です。
税理士に依頼すれば、複雑な税務処理や節税対策も含めて正確な申告が可能です。費用はかかりますが、会計が苦手な人や時間がない人にはおススメです。
最初に1年間の収入や経費、控除金額等を取りまとめて合計金額を出しておきます。確定申告書のそれぞれの欄に対応する金額を記載し、確定申告書内にある指示に従い計算します。詳しくは以下の記事をご覧ください。
参考:国税庁|給与所得者(年末調整済)の記載例
確定申告書の提出には、税務署に持参・郵送・e-Taxの利用などがあります。郵送では、特例として投函日が提出日扱いにできるので、期限がギリギリの際は便利です。しかし、書類不足や記載ミスがあると差し戻される場合もあり念入りな準備が必要です。
それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめましたので、自分にとってどの方法がよいか参考にしてください。
各提出方法のメリット・デメリット | ||
---|---|---|
方法 | メリット | デメリット |
税務署へ持参 | 不明点や記載ミスの確認ができる | 開庁時間内に持ち込まなければならない |
郵送 | 遠方の税務署へ行かずとも最寄りの郵便局から投函できる | 不明点や記載ミス、書類不足等があった場合、2度手間になる |
e-Tax | 24時間利用でき、効率よく申告できる | 操作に不慣れな人にとって初期設定に時間がかかる |
参考:国税庁|スマホで確定申告(副業編)
副業だから確定申告をしなくていいわけではありません。収入を得たならば、正しく申告し納税をしましょう。以下は確定申告や納税をしなかった場合のデメリットです。
確定申告をしないと、無申告加算税や延滞税、重加算税などのペナルティが科されます。これらの税率は非常に高く、青色申告特別控除の減額などもあり、よいことは一つもありません。以下はそれぞれの罰則の詳細です。
確定申告・納税をしない場合の罰則 | |
---|---|
無申告加算税 | 申告期限が過ぎても申告しなかった場合 原則、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%、300万円を超える場合は30%の割合を乗じて課される |
延滞税 | 所得税が定められた期限までに納付されない場合 無申告加算税に加え、延滞税もかかる |
重加算税 | 重加算税は税務署から調査を受けた際、悪質と判断された場合 無申告加算税等に代えて課される場合の重加算税の税率は40% |
副業には、所得税の確定申告以外にも、住民税や消費税が関わる場合があります。これらの疑問について解説します。また、納税することで本業企業にバレるのではないかという疑問にもお答えします。
副業所得が20万円以下の場合、特例として確定申告はしなくてもよいとされています。しかし、居住地域の市県民税にあたる住民税は、収入を得た場合、20万円以下でも申告しなければなりません。住民税の申告は、区役所や市役所など市区町村の役所で行います。ただし、確定申告を行っている場合は、そのデータをもとに市区町村が住民税を決定するため、住民税の申告は不要です。
適格請求書発行事業者は、消費税の納税が必要です。例えば、インボイス制度に対応している取引先と契約した場合や、自分が適格請求書発行事業者への登録申請を行っている場合、副業でも消費税を納める義務が生じます。確定申告をしなくていい所得金額でも、赤字でも、課税売上があれば消費税の納付が必要です。課税事業者である場合は、消費税分の余力を残す必要があるでしょう。
副業禁止の企業に勤めている場合、副業がバレる心配があるでしょう。その可能性があるのは、所得税の源泉徴収と住民税の月割税額が毎月の給与から差し引かれる際に、企業が支払う給与の税率よりも多い場合です。副業の住民税等を、別途自分で納税するように申請することで解消できます。確定申告や住民税の申告を正しく行い、バレる可能性を回避できる申請を講じれば安心です。
副業で得た収入についても確定申告が必要な場合があります。納税だけでなく、節税対策や還付金を受け取るためにも重要です。申告や納税を行うためには、確定申告への理解が必要ですので、この記事を参考にしていただけると幸いです。
]]>事業開始等申告書とは、個人事業主が新しく事業を始める際に地方自治体へ提出する書類です。
国や自治体が新しく始まる事業について正確に把握して、税金や法令を管理するためにこの手続きが必要となります。提出期限は事業所の所在地によって違うため、いつまでに提出しなければいけないのかきちんと調べておきましょう。
また、事業所得が290万円を超えると、個人事業税の納税義務が発生します。毎年、前年の所得について、3月15日までに各都道府県の税務署へ申告が必要です。
ただし、所得税の確定申告をする場合には、個人事業税のために別途申告をする必要はありません。「事業税に関する事項」の欄に必要事項を記入して、確定申告書を提出しましょう。
開業届と事業開始等申告書の主な違いは以下の通りです。
開業届 | 事業開始等申告書 | |
---|---|---|
税金の種類 | 国税 | 地方税 |
書類の提出先 | 税務署 | 各都道府県税事務所 |
提出期限 | 開業日から1か月以内 | 都道府県によって異なる |
開業届は国税である所得税に関する書類で税務署に提出するのに対し、事業開始等申告書は地方税である個人事業税に関する書類で、提出先は各都道府県税事務所です。
個人事業税は個人事業主が得た収入に対してかかる税金で、地域のインフラや公共サービスの維持に使われます。
開業届は所得税法第229条で、事業開始から一か月以内に提出しなければならないと定められています。もし開業届を出し忘れてしまった場合でも、古い日付に遡って提出が可能です。
ここでは東京都の事業開始等申告書を元に、書き方を解説します。
都道府県ごとに申告書のレイアウトは違いますが、基本的には事業所や事業主の情報、開始年月日などを記入します。各都道府県の税事務所ホームページにある申告書記載例も確認してみましょう。
※クリックで画像を拡大できます
出典:東京都主税局|事業を始めたとき・廃止したとき
事業を行う場所の住所と電話番号を記載します。市区町村や番地、建物名などは省略せずに正確に書きましょう。
事業を行う際に使用する名称および屋号を記載します。ない場合は空欄でも問題ありません。
事業の内容や業種を記載します。
たとえば飲食店の場合は「飲食店業」、生花店の場合は「花・植木小売業」となります。
事業を行う本人の住所と氏名を記載します。
自宅で事業を行う場合は、事業所の住所と同じになるので「同上」と書きます。
開業した日付を記載します。開業日は個人事業税の課税期間や納税額に関係してくるので、正確に書きましょう。
申告書を提出する理由に丸をつけます。開業する場合は「開始」を丸で囲みましょう。
提出日を記入し、署名と捺印をします。
提出日は申告書を持参する日、もしくは郵送する日です。
事業開始等申告書の提出先となる税事務所名を記入します。
事業開始等申告書の提出方法や期限について解説します。
事業開始等申告書の提出期限は、都道府県ごとに異なります。
たとえば東京都の場合は、個人事業を始めた日から原則15日以内が提出期限です。一方、大阪府では開業した日か事務所・事業所を設けた日から2か月以内の提出と決められています。
提出期限を知りたい場合は、自治体に問い合わせるか、各自治体のホームページを確認してみましょう。「事業開始等申告書 ○○県(都道府県名)」と検索すると情報が出てきます。
所轄の税事務所へ届け出ます。税事務所窓口で手続きするほか、郵送での受付や電子申請を行っている場合もあります。
事業開始等申告書には提出期限が定められているものの、期限を超過したり提出をしなかったりしても、特に罰則やペナルティはありません。
ただし、個人事業税の課税対象となった場合は、事業開始等申告書提出の有無に関係なく、都道府県から納税通知書が届くため、内容を確認し期限内に納付を行ってください。課税対象となるのは、地方税法で定められている法定業種70種に該当している事業で、事業所得や不動産所得など290万円を超える所得があった場合です。
開業時に提出を求められる書類は、事業開始等申告書のほかにも複数あります。事業規模や事業内容によって提出すべき書類が変わるので、事前に確認しておきましょう。
前述の通り、事業開始時に届け出が必要な書類のひとつです。開業届を提出すると事業者名義の銀行口座を開設したり、確定申告で青色申告を選べたりと、メリットも複数あります。
税金計算上で有利になる青色申告制度を利用したい場合、こちらの申請も忘れずに行いましょう。要件を満たすと最大65万円の控除を受けられ、節税になります。青色申告制度では、事業で発生した赤字を翌年以降の利益から差し引いて節税できる「損失の繰越控除」や、一定の条件を満たした家族への給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」など、さまざまなメリットがあります。
事業を手伝う配偶者や親族に支払う給与を経費に計上したい場合、青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要です。家族への給与が経費になることで節税になるほか、収支が明確になり財務管理をしやすくなるメリットがあります。ただし、青色事業専従者給与は扶養控除や配偶者控除と併用できない点に注意しましょう。
役員や従業員を雇用する際に必要な書類です。開業時に従業員がおらず、後から雇い入れることになった場合にも提出が求められます。提出期限は役員や従業員を雇用する日から一か月以内です。期限を過ぎてもペナルティはありませんが、忘れずに提出しておきたい書類のひとつです。
源泉所得税は、給与を受け取る際に天引きされる所得税です。企業や個人事業主が給与から事前に差し引いて、従業員本人に代わって納付をします。
原則毎月納付となりますが、従業員常時10人未満の場合には半年ごとにまとめての納付が特例として可能となります。この申請をすると納付回数が少なく済むため、事務負担を軽減できるのがメリットです。
インボイス制度は、複数税率があっても事業者が消費税を正確に納められるように、消費税の金額などを記載した請求書や領収書(インボイス)を基に計算する仕組みのことです。
適格請求書発行事業者の登録申請書を提出すると、仕入税額控除を受ける際に必要となるインボイスの交付が可能となります。多くの事業者がインボイスの発行を求めるため、登録することで取引の機会が増える可能性があります。
事業開始等申告書は、新たに事業を開始する際に必要な書類のひとつです。提出を忘れてしまっても特にペナルティは発生しませんが、税務処理を滞りなく進めるためにも、期限内に申告するのが望ましいです。期限や書類のレイアウトが都道府県ごとに異なるため、所轄の税事務所のホームページなどで確認しておきましょう。
]]>開業届とは、個人事業主として事業を開始するときに、税務署へ提出する書類のことです。開業届はオンラインから提出が可能です。
開業届をオンライン提出する際は、主に「国税庁のオンラインサービス」を利用します。
昨今では、開業届の作成・提出を支援するWebサービスの提供を無償で行っている企業も増えています。
以下では、開業届をオンライン提出するメリットについて解説します。
オンラインから開業届を提出するメリットは、他の手段と比べて時間や手間が省けることです。これは、開業届の作成から提出までが、すべてオンライン(パソコン・スマートフォン)のみで完結するためです。
一方、郵送で開業届を提出する場合は、書類の作成・封入作業のあとに、郵便局へ行ったりポストに投函したりしなければなりません。また、税務署の窓口で手続きを行う場合は、書類の作成・記入にかかる時間だけでなく、待ち時間も考慮しておく必要があります。
自分の都合がつく日時に開業届を作成・提出できるのが、オンラインのメリットです。時間や場所にとらわれず、いつでも開業届を提出できます。
郵送や税務署の窓口で手続きする場合、税務署や郵便局の開庁時間に自分の都合を合わせなければなりません。また、税務署や郵便局の窓口の受付時間は、基本的に平日の日中のみですので、限られた方しか来庁できないのがデメリットです。
オンラインで開業届を提出した場合、開業届の控えは発行されません。
ただし、オンラインでは、提出履歴が残るため、それを控えの代わりとして活用できます。
たとえば、e-Taxでは、開業届の提出後に受理したことを知らせるメッセージが届きます。メッセージには、開業届の受理日や提出書類の状況などが記載されているため、きちんと保存しておきましょう。
以下では、開業届のオンライン提出時に必要なものや準備について解説します。
オンラインから開業届を提出する際は、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードとは、マイナンバー(個人番号)が記載されている顔写真付きの身分証明書のことです。
また、マイナンバーカードにはICチップが内蔵されており、なかには個人情報が記録されています。オンラインから開業届を提出する際は、ICチップ内の個人情報をWebへ読み込む必要があります。
マイナンバーカードがない方は開業届のオンライン申請ができませんので、注意しましょう。
先述した通り、開業届のオンライン申請時にはマイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードの情報を読み込むには、ICカードリーダ・スマートフォンなどの専用機器や端末を準備しましょう。
ICカードリーダとは、ICカードに記録された電子情報を読み取る機器のことです。ICカードリーダは、パソコンへ接続して使用する機器のため、スマートフォンから手続きを行う方には必要ありません。
オンラインから開業届を提出する際は、国税庁のサービス(e-Tax)や無料のWebサービスを利用できます。
以下では、それぞれの方法について解説します。
e-Taxとは、国税庁の電子手続きシステムのことです。e-Taxから開業届を提出する際は、マイナンバーカードの用意や利用者識別番号・電子証明書の取得が必要です。
e-Taxから開業届を提出する前に、利用者識別番号や電子証明書の取得およびe-Taxソフトのインストールが必要です。すべて、パソコンやスマートフォンから取得・インストールができます。
利用者識別番号とは、e-Taxの申告時に使用する16桁の番号のことです。
利用者識別番号をすでに取得している方が再取得すると、以前の番号は使えなくなります。古い利用者識別番号に関する情報(メッセージボックスや通知書等一覧の内容など)は確認できなくなるため、注意しましょう。利用者識別番号の取得は以下のサイトから行えます。
参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|作成・送信する開始(変更等)届出書の選択
電子証明書とは、オンライン申請時に用いる身分証明書のことです。
取得にはマイナンバーカードが必要ですので、持っていない方は以下のサイトから申請しましょう。
参考:マイナンバーカード総合サイト|申請・受取方法/申請状況確認
パソコンから電子証明書を取得する場合はe-Taxソフトのインストールが必要です。また、ほかの民間認証局等が発行する電子証明書のなかにはe-Taxで利用できるものもあります。各認証局に関しては、以下のサイトをご参照ください。
※1:政府共用認証局が作成する電子証明書および、地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)の認証局が作成する電子証明書は、個人利用不可
※2:商業登記認証局が発行する電子証明書は個人事業主の利用不可。
参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|電子証明書の取得
スマートフォンから電子証明書を取得する場合は、マイナポータルアプリから手順に従って申請します。
※マイナポータルアプリから電子証明書を取得できるスマートフォンは、2025年4月現在Android機種のみ
参考:マイナポータル|スマホ用電子証明書に対応しているスマートフォンを教えてください。
e-Taxソフトは、国税庁のホームページからインストールできます。
※OSはMicrosoft Windowsのみ対応(Macは非対応)
参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|e-Taxソフトのダウンロードコーナー
e-Taxから開業届を提出する手順を解説します。
無料のWebサービスからも開業届の提出が可能です。
無料のWebサービスを利用する場合も利用者識別番号と電子証明書の取得は必要ですので、マイナンバーカードは忘れずに準備しておきましょう。
以下では、開業届をオンライン提出する際のポイントと注意点について解説します。
オンラインから開業届を提出する際は、ネット環境の整備やセキュリティ対策を講じる必要があります。
また、ネット環境次第では、ソフトのインストールや開業届の手続きなどが、スムーズに進まない可能性もあります。
不測の事態に対応できるよう、事前にバッファ(余裕時間)を設けておくと安心です。
オンラインで開業届を提出する際は、マイナンバーカードやスマートフォン・ICカードリーダなどが必要です。持っていない方は事前に準備しておきましょう。
とくに、マイナンバーカードの取得には時間を要することがあります。開業届の提出日が迫っている方は、早めに行動しましょう。
開業届は郵送や税務署の窓口でも提出できます。
以下では、オンライン以外で開業届を提出する方法について解説します。
開業届は、所轄の税務署(納税者の納税地を管轄する税務署)宛に郵送で提出できます。
国税庁のホームページからダウンロードが可能
日付や税務署名を記載したリーフレットの送付を希望できる。リーフレットの希望者のみ、切手を貼付した返信用封筒を同封する
「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」などのコピー
マイナンバーカード以外の身分証を提出する場合は、マイナンバーを確認できる書類が別途必要(マイナンバーカードの場合は、マイナンバーの確認と本人確認が同時に行えるため不要)
青色申告を希望する方のみ必要
郵送時には追跡や記録が残る配送方法をオススメします。
その際は「第一種郵便物」または「信書便物」として送付しましょう。宅配便では信書(差出人の意思や事実を受取人に伝える文書)が送れないため注意が必要です。
開業届は、所轄の税務署の窓口でも提出できます。
税務署にある用紙を使用可能
「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」など
マイナンバーカード以外の身分証を提出する場合は、マイナンバーを確認できる書類が別途必要(マイナンバーカードの場合は、マイナンバーの確認と本人確認が同時に行えるため不要)
訂正が必要な場合にあると便利
青色申告を希望する方のみ必要
開業届はオンラインから提出可能です。オンラインで提出する際は、国税庁や民間企業が提供しているサービスを利用できます。
オンラインのメリットは、自分の都合にあわせて開業届を提出できることです。そのため、近年ではオンラインから開業届を提出する人が増えています。
ただし、オンライン提出時は、マイナンバーカードやマイナンバーカードを読み取るための機器が必要です。
また、マイナンバーカードは取得に時間がかかります。準備や申請方法などに関しては、事前に調べておきましょう。
個人事業主は重要な契約を結ぶときや、銀行口座の開設などにおいて印鑑が必要になります。この記事では、個人事業主に印鑑はなぜ必要か、最低限持つべき印鑑はどれか、持っていると便利な印鑑などを解説します。
印鑑にはいくつか種類があります。
このセクションでは印鑑の種類と特徴や役割を解説します。
実印とは、住民登録をしている自治体で印鑑登録を行い、公的に証明される印鑑です。賃貸契約や不動産購入、車の購入といった正式な契約をかわすときには、実印の使用とともに印鑑登録証明書が必要になることがほとんどです。
なお、実印の作成には、チタンや牛角といった壊れにくい高級素材がよく使用されます。実印登録のあとに印鑑が欠けてしまって使えなくなると、再登録が必要になるため、破損しにくい丈夫な素材を選ぶとよいでしょう。
銀行印は、新規口座の開設や小切手・手形の手続きといった、銀行・金融機関の手続きに必要な印鑑のことです。
個人の銀行印は苗字またはフルネームで、認印よりやや大きめの丸印で作成するのが一般的です。個人事業主の場合は、名前に屋号を加えて作成する方も見受けられます。ただし、屋号入りの印鑑が個人事業主用の銀行口座の開設に使えるかどうかは、銀行によって違いがあるため、注意しましょう。
お金に関する重要な印鑑であるため、セキュリティの観点から、普段使う印鑑や実印とは別に銀行印を作るのが基本の考え方です。また、銀行印と口座の通帳は別々に保管することも非常に大切です。この2つが盗難にあうと、銀行窓口で預金を引き出されてしまうトラブルがあり得ます。
認印とは、簡易的な印鑑のことです。宅配便の受取や社内回覧の確認印などといった、日常での簡易的な手続きで頻繁に使用されるので、見たことがある人、普段使っている人が最も多い印鑑といえるでしょう。100円ショップやはんこ屋などで販売されている三文判やシヤチハタのようなスタンプタイプの印鑑が認印として使われることが多いです。
ただし、認印は実印や銀行印に比べて法的効力が低いため、重要な契約などには別途、実印や銀行印を用意することがほとんどです。
角印とは、社印のことです。法人で使われる角印は、印影が正方形の印鑑で、社名が彫られているのが大きな特徴です。見積書や納品書、請求書、領収書といったお金に関する書類によく使われます。
個人事業主にとって角印は必ずしも必要な印鑑ではありませんが、とくに屋号がある個人事業主は、公私混同を避けるために屋号で角印を作っておくとよいかもしれません。
丸印とは、法人では代表者印を指しますが、個人事業主の場合は実印のことです。
個人事業主の氏名や屋号、住所、電話番号をスタンプで押せるゴム印は、事業をするにあたって必須ではないものの、意外と重宝するシーンがあります。
たとえば複数の取引先に請求書を送るときや、大量のDMを送付するときに、郵送物の差出人住所の記入を省略できるため、事務作業にかかる時間が大幅に短縮されます。ゴム印注文時にメールアドレスやURLなどを入れることも可能です。ひとつもっていると便利な印鑑です。
電子書類やオンライン決済の普及によって、電子的に押印できる印鑑が登場しました。重要書類に使用する場合はオンライン上でのセキュリティ面に気を付けましょう。
個人事業主が法人と同じ印鑑をそろえなくてはいけない、ということはありません。では、最低限用意しておくべき印鑑はどれなのか、と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
このセクションでは、個人事業主が最低限用意すべき印鑑とその理由を解説します。
結論からいうと、個人事業主が持つべき最低限の印鑑は、実印・銀行印・認印の3つで問題ありません。個人事業主は日常的な書類や請求書などには認印を使ってもとくに問題はなく、実印、銀行印も個人名で作成したもので問題はありません。
税務署に提出する確定申告などの書類も、個人事業主については基本的に押印が不要になりました。税務署に提出する開業届にも押印は不要です。詳しくは国税庁のページをご覧ください。
個人事業主が印鑑を使うのは、次のような場面です。
これらの印鑑は個人のものと併用も可能ですが、セキュリティの観点から銀行印と実印は事業用に分けて、新しく作ることをオススメします。
前述のとおり、個人事業主には事業用の印鑑が必ずしも必要というわけではありません。
しかし、個人事業主でも角印を作って使用している方は少なくありません。
では、個人事業主が事業専用の印鑑を作るメリットはなにがあるのでしょうか。このセクションでは、個人事業主が印鑑を作る理由やメリットについて解説します。
顧客や取引先からみたとき、見積書や納品書に格式のある角印が押されているのと、三文判のような簡易な印鑑が押されているのでは信用度が大きく異なることがあります。格式のある印鑑が押されている書類は、確認をしたという事業者側からの意思表明になるため、書類の信用度を上げる効力をもちます。
そのため、個人事業主であっても、あえて事業専用の角印を作るのもよいでしょう。書類の格式を上げるほか、公私混同を避ける効果もあります。なお、個人事業主が角印を使用するにあたって、実務・法律面ともに問題はとくにありません。
漫画家やイラストレーターなどのクリエイター系職種では、ペンネームで活動している個人事業主も少なくありません。そのような場合は、ペンネームや屋号で印鑑を作っておけば、不必要に本名を知られるリスクを回避できます。
形式的なことではありますが、事業用のアイテムをきちんと用意しておくことで、事業に対するモチベーションがアップする効果が見込まれます。その一環として事業用の印鑑を用意しておくのもよいでしょう。
個人事業主の印鑑は、実印、銀行印、認印を最低限用意しておけば問題ありません。これらの印鑑は、個人用の印鑑と併用可能ではありますが、セキュリティの観点から実印と銀行印については、個人用と別に印鑑を作るのがよいでしょう。
最低限必要な印鑑は先ほど挙げた3種類ですが、請求書などの書類の信頼性を高めたい場合は、事業用の角印を作成して活用するのも効果的です。また、ペンネームや屋号で活動している場合は、それらの名称で印鑑を作成することで、本名が不用意に知られるリスクを回避できます。
個人事業主は、重要な契約を結ぶときや銀行口座開設、融資を受けるために、認印以外の印鑑を使う機会が増えます。印鑑の作成および管理には注意を払い、適切な場面で使用できるようにしておきましょう。
]]>原則として誰でも個人事業主になれますが、この働き方が自分に向いているかどうかの判断は、慎重に行う必要があります。
この記事では、個人事業主になれないケースや、向いている人・向いていない人の特徴などをご紹介します。個人事業主になることを検討する際に、ぜひご参考ください。
個人事業主とは法人を設立することなく個人で事業を営む個人のことです。個人事業主になるための要件は特にないため、税務署に開業届を提出することで、原則誰でも個人事業主になれます。従業員を雇用していたとしても、法人でなければ個人事業主と見なされます。
個人事業主は事業者であり労働者には基本的に該当しないため、労災保険と雇用保険へ加入できず、労働法による保護が受けられない点は、大きな特徴です。
前述したように、開業届を提出すれば誰でも法的に個人事業主になることが可能です。しかし、以下の条件に当てはまる場合、個人事業主になれないケースがあります。
特に、公務員は信用失墜行為の禁止・守秘義務・職務専念義務の三原則を守る必要があるため、副業は国家・地方公務員法で禁止されています。個人事業主になるということは、公務員でありながら事業を起こすことでもあるため、基本的に認められません。
個人事業主になれないケースでは、起業するためには一定の要件を満たす必要や、条件付きの許可を得る必要があります。どちらも満たすことなく起業した場合、法律違反となる可能性があるため、注意が必要です。
ここからは、理由別の注意点をご紹介します。
企業に勤めている場合、その企業の就業規則で副業が禁止されていることがあります。就業規則での副業禁止は、厳密に言えば法的な拘束力はありません。しかし、企業の機密情報を副業に利用したり情報漏えいの原因となったり、本業への悪影響があった場合は別です。企業内の処罰だけでなく、法律でも厳しく罰せられるでしょう。
どうしても本業と併せて副業を行いたい場合は、副業可の企業へ転職する方法もあります。ただし、副業が本業に悪影響を及ぼす場合には不可とされますので、注意しましょう。
国や自治体で定められた法律に該当する場合も、個人事業主になれないケースの一つです。ただし、絶対になれないわけではありません。それぞれのケースに該当する要件を満たすことが求められます。
対象者 | 内容・注意点 |
---|---|
18歳未満 | 未成年でも個人事業主になれるが、契約を締結する際には親や親族など、法定代理人による同意書が必要。協力が得られなければ開業できない。 親が法定代理人であることを証明するために、戸籍謄本の提出が求められる場合もある。 |
成年被後見人・被保佐人・被補助人 | 精神上の障害などによって判断能力が欠如しており、法律行為を適切に行うことが困難と見なされた場合、個人事業主になることを制限される可能性がある。 個人事業主になるには、法的な能力を補うために、適切な法定代理人が必要となる。 |
破産者 | 自己破産の経験がある人は信用情報機関に事故情報が登録されるため、金融機関から融資を受けることが難しく、資金調達が困難になる。一定の要件を満たせば事業の再開は可能だが、財務状況の改善策を講じることが求められる。 |
禁錮以上の刑に処された人 | 社会的な信用が低く起業も営業も困難になる可能性が高いが、一定の要件を満たせば個人事業主になれる。個人事業主を目指すのであれば、法的な制約内容を理解し、信用回復に努めることが重要。 |
上記にまとめた内容・注意点をおさえることで、個人事業主になれる可能性があるでしょう。ただし、要件を満たすためには本人の適性や能力だけではなく、家族や知人などの協力といった、社会的な状況も必要不可欠です。
前述したように、公務員は信用失墜行為の禁止・守秘義務・職務専念義務の三原則を守る必要があります。副業が国家・地方公務員法で禁止されていることから個人事業主にはなれません。
ただし、営利目的でなければ副業と見なされず、許可がもらえるケースもあるようです。以下の表に、副業例としてまとめました。
副業例 | 内容・注意点 |
---|---|
投資(株式・FX・仮想通貨など) | 株やFXなどの資産運用は副業に該当しないため、基本的には自由に行うことが可能だが、業務と重複した時間に投資を行うことはできない。三原則の範囲内で行うことが大前提。 ただし、業務で知り得た未公開情報をもとに株式売買を行って利益を得る行為は、インサイダー取引に当たり法律違反となるため、取引方法には要注意。 |
不動産 | 不動産は、売却目当ての投資は不可。あくまでも家賃収入を得る目的で、以下条件にあてはまる不動産賃貸業のみが認められる。 ・家屋の賃貸は、物件の数が5棟未満かつ10室未満であること ・土地の賃貸の場合は、10件未満であること ・賃貸する不動産が娯楽・遊戯目的または宿泊目的に使われていないこと(劇場・映画館・ゴルフ練習場・旅館・ホテルなど) ・駐車場の賃貸は、駐車台数が10台未満かつ平面で、機械設備を設けていないこと ・賃貸料収入の年収が500万円未満であること |
講演・執筆活動 | 講演や執筆活動は、単発で発生する講演や執筆の場合には許可が必要ないとされている。ただし、定期的または継続的に行う場合は、申請をした上で許可を得る必要がある。活動時間は、他の副業と同様に公務員としての業務時間と重複しないことが重要で、本業に支障がある場合は活動不可となる。 講演における謝礼金は、営利目的でない場合のみ受け取れる。 |
農業(小規模・家庭菜園) | 農業をはじめとした牧畜・酪農・果樹栽培などは、自給自足を目的とした小規模農業であれば兼業として認められる。一定の規模を超える場合は承認を得る必要があるため、自己判断せずに勤務先に確認することが重要。 農業が盛んな地域では、公務員と農業の兼業も珍しくないことから、規模が大きい農業でも承認が得られやすい傾向にある。 |
家業手伝い | 家業の手伝いは無報酬であれば可能。しかし、国家公務員は非営利団体で自営に該当する副業は基本的に制限されており、地方公務員も自治体の制度や家業の内容などによって可否が異なる。自己判断で進めずに、勤務先の承認を得る必要がある。 やはり、三原則の範囲内であることが大前提。 |
フリマアプリなどの処分売却 | 不用品を売るだけであれば問題ないが、転売・せどり目的であれば禁止行為に当たる。趣味のハンドメイド品を販売する場合も、作ったが使わない不用品であり、販売価格が原価程度であれば問題ないが、販売頻度が高い場合は禁止行為に当たる可能性がある。 本業に支障をきたさない範囲で行うこと。 |
一部の自治体では副業解禁に向けた動きがあります。本業に支障がなく社会貢献性があるなどの基準・条件がしっかりと定められた場合は、地方公務員の副業が可能となるかもしれません。
開業届を提出すれば個人事業主になれるとはいえ、どういった人が向いているのか、自分の向き不向きが気になる人もいるのではないでしょうか。
ここからは、個人事業主に向いている人の特徴を5つ、ご紹介します。
個人事業主は、事業に関わるすべての責任を負う必要があります。企業勤めの頃は上司や会社が責任を負っていたことにも、自分で対処し責任をとらなければならないため、相応の責任感や覚悟がなければ務まりません。事業の成功・失敗のすべてが自分次第です。困難な状況下であっても、積極的に改善しようと行動できる人は、個人事業主に向いていると言えます。
責任感をもって仕事に取り組むことで、顧客や取引先とのスムーズな信頼構築につながり、人脈によって事業の発展にもつなげられるでしょう。
個人事業主は、常に目まぐるしく変化する社会情勢や市場動向、顧客のニーズなどに臨機応変に対応する必要があります。そのためには新しいスキルや知識を積極的に学び続ける姿勢も重要となり、向上心やチャレンジ精神がある人には有利です。事業の競争力の維持や継続的な成長にもつなげられます。
さらに、新しいプロジェクトやアイデアに挑戦することで、事業の幅を広げることが可能です。失敗を恐れずに挑戦することで、成功への道を切り開くことができるでしょう。
自分で案件を獲得する個人事業主にとって、営業や交渉のスキルは必要不可欠です。
営業スキルが高い人は顧客のニーズを的確に把握して最適な提案ができ、交渉スキルがある人は取引条件を有利に進められます。営業・交渉スキルがある人は、顧客を獲得しつつ取引を成功へ導けるため、利益を最大化させることが可能です。スキルを磨きながら案件を受けることで、個人事業主としての信頼性が向上し、長期的な成功を収められるでしょう。
自分の裁量で業務を進めたいという意欲は、業務の進行を自分のペースで管理しつつ効率的に成果を上げられるため、個人事業主にとって重要な要素です。裁量権を持つことで、創造的なアイデアを自由に試みることができ、事業の継続性や革新につながります。また、自分の裁量で業務を進めることでストレスを軽減し、充実した仕事環境を築くことが可能となるでしょう。
個人事業主にとって、自己管理能力は欠かせない要素です。自己管理ができる人は、目標に向かって計画的に行動し、時間を有効に使うことが可能です。スケジュール管理やタスクの優先順位付けを行うことで、効率的な業務の遂行や、成果につなげられます。これにより、事業の安定性を維持し、継続的な成長を実現します。また、自己管理能力が高い人は健康管理やストレス対策もしっかりと行えるため、個人事業主としての事業運営を長期的にセルフサポートできるでしょう。
個人事業主には、さまざまな変化への迅速な対応や、自ら事業を切り開く力が求められます。必要とされるビジネススキルの有無以外に、個人事業主に向いていない人の特徴を4つ、ご紹介します。
個人事業主が円滑に事業を運営するには、迅速かつ的確な判断が求められます。主体性と決断力が欠けていると、問題の解決に手間取ったり、新しいビジネスチャンスへの対応が遅れたり、重要な場面での選択に迷って機会を逃してしまう可能性があります。
主体性を高めるためには、自らの考えを明確にして、積極的に意見を発信する練習が効果的です。日々の小さな決断を積み重ねて、自信や決断力を養っていくといいでしょう。
コミュニケーション能力が低い場合、個人事業主としての活動に大きな支障をきたします。コミュニケーションが取れないだけでも顧客や取引先などの関係構築が難しく、信頼を得にくくなります。その結果、ビジネスチャンスを逃したり、顧客満足度を低下させたりする可能性があるでしょう。
コミュニケーションが不得意な人は、まず基本的な会話スキルを向上させることが重要です。具体的なポイントは以下の3点です。
人と関わる機会を積極的に増やし、実践を通じてスキルを向上させると良いでしょう。
保守的で安定性を求める人は、挑戦に消極的な傾向にあるため、個人事業主に向いていると言えません。新しい市場やビジネスモデルに対するリスクを恐れて、現状維持を選んでいては競争の激しいビジネス環境での適応が難しく、成長の機会を逃す可能性があります。安定性を求めること自体は悪いことではありませんが、事業を拡大させるためにはある程度のリスクを取ることも必要です。
対策として、リスク管理のスキルを身につけ、小さなリスクから徐々に挑戦していくことでリスクへの耐性を高めるといいでしょう。情報収集も怠らず、市場の変化に対応するための柔軟性が持てると、挑戦にもつなげやすくなります。
自己管理ができない人は、個人事業主として成功するのが難しいです。スケジュール管理が甘いと納期を守れず、顧客の信頼を失う恐れがあります。業務の優先順位がつけられなければ、効率的な仕事ができず、結果として事業の成長が妨げられます。
自己管理能力を高めるためには、まず目標設定を明確にし、それに基づいた計画を立てることが重要です。時間管理ツールやアプリを活用して日々のタスクを可視化したり、定期的に自分の進捗を確認したり、必要に応じて計画を見直していくといいでしょう。
個人事業主は開業届を提出することで誰でもなれますが、副業禁止の企業に勤める人や法律に触れている人、公務員などは制約があります。特に公務員は副業が法律で禁止されており、個人事業主になることは基本的に認められません。個人事業主にも向き不向きがあり、責任への覚悟を持っていて、向上心やチャレンジ精神、営業・交渉スキルがある人には向いていると言えるでしょう。反対に、主体性や決断力の欠如、コミュニケーションが不得意で保守的な人には向いていないでしょう。
]]>フリーランスの事業では確定申告を通じて収入を申告し、税額を求めます。税額は収入(売上)と、そこから経費と各種控除を差し引いた課税所得から算出します。つまり経費と控除を増やすことが節税のポイントです。本稿ではフリーランスの税金と節税対策について、ポイントと合わせて解説します。
フリーランスが支払う税金には、所得税や住民税、さらには個人事業税や消費税などが挙げられます。以下の表では、確定申告後にフリーランスが支払う税金について、解説とともにまとめました。
所得税 | 収入から必要経費を差し引いた所得に課税される税金 |
---|---|
復興特別所得税 | 東日本大震災からの復興に必要な財源確保を目的として創設された税金 |
住民税 | 所得に応じて地方自治体から課税される税金 |
個人事業税 | 年間の事業所得が290万円を超えた事業者に課される地方税。業種によって税率が異なる |
消費税 | 前々年の売上が1000万円を超える事業者、また開業から2年以内でも前年1月1日~6月30日の売上が1000万円を超える事業者は、売上に対して消費税が課される |
固定資産税 | 家屋や土地などの固定資産に対する税金。所有する物件をオフィスとして使用する場合は、固定資産税を合理的な割合で按分できる |
経費と控除は確定申告時に収入や所得から差し引かれるため、これを確保し、活用することがフリーランスの節税につながります。そのためには、年度末になって慌てて対策を始めるのではなく、年間を通じて経費や控除を意識した、計画的な資金管理が重要になります。これらのポイントについて、以下の項目で詳しく解説します。
必要経費は確定申告時に収入から差し引かれ、その計算結果が所得となるため、経費の適切な計上こそ節税の基本といえます。フリーランスも他の事業者と同様に、事業に直接関連する出費を必要経費として申告できます。例えば、仕事用のパソコンやオフィスの家賃、通信費などがこれに該当します。注意すべきは、プライベートと事業の出費をきちんと区別することです。
正しく経費を計上するためには、具体的にどのような費用が必要経費として認められるかを知っておくことが重要です。代表的な経費としては交通費・交際費・消耗品費・研修費などがあり、これらの費用は事業を円滑に進めるために必要な経費として計上できます。普段から領収書やレシートを保管し、記録をつける習慣をつけましょう。
フリーランスは自身の税金を経費にすることはできません。例えば所得税や住民税などはいずれも経費対象外です。ただし、事業に関わる税金であれば経費として計上できます。例えば、個人事業税や事業で支払った印紙税は経費の対象になります。また、自宅兼事務所として使用している不動産の固定資産税や自動車税は、家事按分後の金額を経費に計上できます。他にも、個人事業税や税込経理方式における消費税などが租税公課として経費に計上できます。
確定申告で扱う控除には所得金額を差し引く所得控除と、算出後の所得税額から差し引く税額控除が存在します。いずれも税金を減額させる効果があるため、控除を理解し活用することは節税にも有効に働きます。
売上から経費を差し引いて算出した金額を、事業所得と言います。この事業所得からさらに所得控除を差し引いた金額が課税所得となります。この所得控除について、以下の表にまとめました。
所得控除の種類 | 概要 |
---|---|
基礎控除 | 合計所得金額が2,500万円以下の納税者が受けられる控除 |
社会保険料控除 | 社会保険料を支払った際に受けられる控除 |
配偶者控除 | 控除対象の配偶者がいる場合に、一定の条件を満たした納税者が受けられる控除 |
配偶者特別控除 | |
扶養控除 | 16歳以上の親族を扶養に入れている場合に受けられる控除 |
勤労学生控除 | 学生であり、一定以下の所得がある場合に受けられる控除 |
ひとり親控除 | ひとり親の場合に受けられる控除 |
寡婦・寡夫控除 | 寡婦・寡夫の場合に受けられる控除 |
障害者控除 | 納税者本人・配偶者・扶養親族などが障害者や特別障害者に該当する場合に受けられる控除 |
生命保険料控除 | 生命保険料を支払った際に受けられる控除 |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った際に受けられる控除 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済や個人型年金の掛金などがある場合に受けられる控除 |
医療費控除 | 納税者本人・配偶者・扶養親族などの医療費が一定額を超えた場合に受けられる控除 |
寄附金控除 | 国や地方公共団体への寄附やふるさと納税などを行った際に受けられる控除 |
雑損控除 | 災害・盗難・横領などによって損害を受けた際に受けられる控除 |
税額控除とは、確定申告で算出された所得税額から直接的に差し引ける控除です。そのため税額控除は直接的な節税効果があります。この税額控除について以下の表にまとめました。
税額控除の種類 | 控除を受けられる対象 |
---|---|
特定増改築等住宅借入金等特別控除 | 住宅の新築・取得・増改築などを行った際に受けられる控除 |
住宅特定改修特別税額控除 | 住宅の省エネ改修工事をした場合に受けられる控除 |
住宅耐震改修特別控除 | 住宅の耐震改修工事をした際に受けられる控除 |
配当控除 | 株の配当金や投資信託の分配金を受け取ったときに受けられる控除 |
外国税額控除 | 海外で課税された所得税を日本の所得税額から控除できる制度(二重課税を調整するための制度) |
社会保険料・生命保険料・地震保険料の各種保険料は確定申告時に所得から控除できます。また小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)も有効な節税手段です。これらは、老後の資金を準備しながら所得控除を受けられる制度です。掛け金は全額所得控除の対象となり、節税と資産形成の両方に役立ちます。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、手続きがより複雑な青色申告では、最大65万円の控除を受けられるため、フリーランスにも大きな節税効果をもたらします。以下で詳しく見ていきましょう。
青色申告の特別控除を受けるには、管轄税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、以下の条件を満たす必要があります。
※1~5を満たすと55万円控除、6も満たせば65万円の青色申告特別控除が受けられる
※65万円・55万円の控除要件を満たさない場合、控除は最大10万円となる
※10万円控除の場合は単式(簡易)簿記での帳簿作成が可能
青色申告はフリーランスの節税にも大きなメリットがあります。それらについて以下の表にまとめました。
青色申告特別控除 | 所得金額から最大65万円の控除を受けられる |
---|---|
赤字を繰り越せる | 赤字を翌年以降、個人事業主で最長3年、法人で最長10年※の所得から差し引ける ※平成30年4月1日より前に開始した事業年度の繰り越し期間は9年 |
青色事業専従者給与 | 事業主が生計を同じくする家族に支払う給与を経費にできる(申告する前年の3月15日までに届出が必要) |
貸倒引当金を経費にできる | 貸倒引当金とは、貸倒れの可能性がある債権(売掛金や貸付金など)に備えて、事前に計上する金額のことで、青色申告ではこれが、貸金の帳簿価額合計の5.5%以下であれば経費にできる |
少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の資産を取得した場合、一度に経費に計上できる |
今回はフリーランスの税金と節税のポイントについて解説しました。フリーランスとして事業を安定して継続するには、収入確保とともに節税も重要課題です。そのためには経費や控除について正しく理解し、青色申告の活用や計画的な資金管理を行うことが、税負担の軽減につながります。後になって慌てることがないよう、節税は日々の業務とともに積み重ねて対策しましょう。本稿が節税対策の一助となることを願っています。
]]>個人事業主が新たに事業を始めたとき、税務署に開業届を提出しなければなりません。どのような内容を記入するのか、必要書類は何か、さらに官庁への提出書類にありがちな独特の表現などに戸惑うことも多いでしょう。この記事では、開業届の書き方を、見本とともにわかりやすく解説します。
開業届とは、個人事業を開業した際、所轄する税務署に提出する届出書です。これにより納税や申告の意思を正式に示します。所得税法第229条において開業届の提出は義務付けられています。ただし、事業所得を得ていないフリーランスや副業の場合はこの限りではありません。
参考:国税庁|No.2090 新たに事業を始めたときの届出など
開業届の入手方法と、開業届の記入前に準備しておくものを解説します。この章では、基本的な準備について紹介しますが、記事後半の節税対策や従業員の有無など、開業届の記載内容によって他に提出する書類等もあります。最後までお読みいただくことで、開業に必要な手続をスムーズに進められるでしょう。
開業届の入手方法は、最寄りの税務署に直接もらいに行く、もしくは、国税庁のホームページからダウンロードして印刷できます。手書きのほかにネット申請できるe-Taxなどを利用してWeb上で作成することも可能です。
参考:国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書・控え
参考:国税庁|A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
開業届には、マイナンバーの記入が必要になるため、マイナンバーカードなど個人番号が確認できるものが必須です。また、住所の番地や丁目などを略さずに記入するためには、本人確認書類があると便利でしょう。さらに、事業所の住所や屋号、職業などの基本情報を整理しておくとスムーズに書き進められます。
開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい各項目に正確な情報を記入することが求められます。開業届の書き方を、以下の書き方例(見本)にそって解説します。
※クリックで画像を拡大できます
所轄する(納税地の税務署)税務署名と提出日を記入します。提出日は和暦・西暦どちらでも構いません。ただし、提出期限が開業から1か月以内なので開業日からの期限を守ることが重要です。
納税地の税務署は国税庁のホームページから確認できます。
参考:国税庁|国税局・税務署を調べる
納税地とは、個人事業主の場合、原則として自宅のある「住所地」となります。住民票に記載された住所ということです。ただし、納税地の特例として、店舗や事務所のある住所「事業所等」や「居所地」を納税地にすることも可能です。税務署からのお知らせは、この納税地の住所に届きますので正確に記入しましょう。
【住所地・居所地・事業所等の違い】
住所地 | 住民票に記載の住所 |
---|---|
居所地 | 一時的に居住している住所で、ここで生活が営まれている客観的な根拠が必要 |
事業所等 | 店舗や事務所等の事業所のある住所 |
参考:国税庁|No.2029 確定申告書の提出先(納税地)
上記以外とは、たとえば納税地に事業所等や居所地を選んだ場合、こちらには自宅の住所地を記入します。また、海外在住で日本国内に事務所等を開設して事業を開始する場合、納税地は日本国内の店舗あるいは事務所等の住所となり、こちらに自宅住所地を記入します。この項目は、事業運営の実態に合わせて正確に記入しましょう。
【納税地別の記入例】
例1:納税地を自宅にしたが、他に店舗がある | 2-1納税地:自宅住所(住所地) 2-2上記以外の住所地、事業所等:店舗のある住所 |
例2:納税地を事務所の住所にしたい | 2-1納税地:事業所等の住所 2-2上記以外の住所地、事業所等:自宅住所(住所地) |
例3:自宅と事務所を兼ねている | 2-1納税地:自宅住所(住所地) 2-2上記以外の住所地、事業所等:記載不要 |
例4:海外在住で、日本国内に事務所がある | 2-1納税地:事業所等の住所(日本国内の住所) 2-2上記以外の住所地、事業所等:自宅住所(住所地) |
事業を開始した本人の氏名と生年月日を記入します。氏名にはふりがなを忘れずに記入し、生年月日の和暦は、あてはまる箇所にチェックを入れましょう。
マイナンバーカードに記載された12桁の個人番号を記入します。この番号は、税務上の識別に使用されるため、正確な記入が必要です。間違いの無いように注意しましょう。
職業は誰が見てもわかるような職業名を記入します。記載にルールはありませんが、業種によっては個人事業税(地方税)の課税対象や、税率が変わる可能性もあるため注意が必要です。
個人事業税に関わる個人事業等の開始申告書は地方によって提出期限が異なりますので、お住まいの都道府県税事務所に確認しましょう。
屋号がある場合に記入します。屋号を設定することで、屋号つき銀行口座の開設が可能です。さらに、事業の内容やイメージを明確に伝えることができ、ブランディングにもつながります。商標登録されていないか確認し、屋号を決めるのもよいでしょう。
「開業」の項目にチェックを入れます。廃業の場合も同じ書式を使うので、記入漏れの無いように気を付けましょう。また、事業を引き継いで開業する場合は、元の事業者の住所、氏名を記入します。
所得の種類は、「不動産所得」「山林所得」「事業(農業)所得」のうち、該当する所得にチェックを入れます。副業の場合も、その副業で得る所得の種類にチェックを入れましょう。
【所得とその内容】
事業(農業)所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得 |
---|---|
不動産所得 | 土地や建物など不動産の貸付けや、借地権など不動産に関する権利の設定および貸付け、船舶や航空機の貸付けなどから生ずる所得 |
山林所得 | 山林を伐採して譲渡や、立木のままで譲渡することによって生ずる所得 |
開業日には特に決まったルールがないため、事務所の開設日や店舗のオープン日、または仕入れや広告制作などの準備を始めた日などを開業日として設定することがあります。ただし、この開業日から1か月以内に開業届の提出が必要なので計画的に準備をしましょう。
基本的に新規開業の場合は、記入する必要はありません。
開業に伴って、「青色申告承認申請書」や「消費税の課税事業者選択届出書」を提出する場合は、それぞれの段の「有」にチェックを入れます。
開業した年から、青色申告や課税事業者を希望する場合は、「青色申告承認申請書」や「課税事業者選択届出書」を一緒に提出できます。なお、インボイス制度に対応するため「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出しているなら、課税事業者選択届出書を提出しなくても課税事業者になることが可能なため、「無」にチェックを入れましょう。
【同時提出を検討したほうがよい書類】
青色申告では、専従者給与を経費計上できるため、専従者があり青色申告を受ける際には一緒に提出できます
給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設・移転・廃止した場合に提出する届出書です
開業時に事務所等を開設した場合は開業届と一緒に提出できます
参考:国税庁|D1-4 消費税課税事業者選択届出手続
職業欄に記載した事業の内容を詳しく記入します。たとえば、エンジニアなら、「システムの開発、設計、保守点検」など、飲食業なら、「ラーメン等の調理、販売」などのように、実際に行う業務内容を具体的に記入しましょう。
家族「専従者」や家族以外の従業員「使用人」を雇用する場合、それぞれの人数と給与の支払方法(例:日給・月給)および、源泉徴収の有無を記入します。給与の支払が生じる場合、基本的に源泉徴収を行う必要があるため「有」にチェックを入れます。
【給与等の支払状況記入時のポイント】
従業員数 | 専従者:生計を一にする家族の従業員 使用人:家族以外で雇用した従業員 それぞれの人数と合計人数を記入する |
給与の定め方 | 「時給」 「日給」 「月給」 「月給+ボーナス」などの給与の支払方法を記入する |
税額の有無 | 源泉徴収する場合は、「有」にチェック しない場合は「無」にチェック ※給与の支払が生ずる場合、基本的には源泉徴収を行うため「有」になります。 |
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期です。しかし、給与の支給人員が常時10人未満であれば、年2回にまとめて納める特例を申請できます。これを申請する場合は「有」にチェックをして、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書」も一緒に提出します。
参考:国税庁|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
給与の支払が生ずる場合に記入します。新たに給与支払いを始める場合はその予定年月日を、すでに支払っている場合は開始した年月日を記入しましょう。
ここで注意することは、支払開始から源泉所得税の納期の特例(⑭参照)を受けたい場合は、給与の支払開始日の前月末までに申請書を提出する必要があります。
すでに給与を支払っている場合は、申請書を提出した翌月から特例の適用となります。これ以前に支払った給与に関しては、通常の納期限までに源泉所得税を納付しなければなりません。
【給与の支払状況別、記入例と注意点】
給与の支払予定がある:支払い始める年月日を記入する |
すでに給与を支払っている:支払を開始した年月日を記入する |
※)開業当初から源泉所得税の納期の特例(⑭記載)を受けたい場合は、支払開始月の前月末までに、
開業届と共に申告書を提出する必要がある ※)すでに給与を支払っている場合は、申告書を提出した翌月からの適用になる |
開業届に限らず、官公庁への提出書類の文言は、難しい表現や誤解を生じやすい表現もあり、戸惑うことも多いでしょう。この記事では、開業届の記入における注意点と文言の意味についてわかりやすく解説しました。開業届の記入の際に、お役立ていただければ幸いです。
]]>「AIエージェントとは何か?」と聞かれた時、なんとなくのイメージしかもたず具体的にはあまり正確に答えられない方も多いのではないでしょうか。この機会に、この記事を読んでAIエージェントについての基礎知識をたくわえておくことをオススメします。
AIエージェントとは、AIを使用してユーザの目標達成に向けて自律的に業務を遂行するソフトウェアシステムのことです。大きくわけると、個人が使用する「パーソナルエージェント」、企業が使用する「企業エージェント」という2つに大別されます。
ユーザ個人のニーズに合わせてサポートしてくれるAI
企業内の業務プロセスを最適化し生産性の向上やコスト削減、企業価値の向上をおこなう
これらのエージェントはいずれも、以下の4つの基本タイプに分類されます。
AIエージェントは、その意思決定の仕組みによって以下の4タイプに分類されます。これらの分類は、パーソナルエージェント・企業エージェントのいずれにも共通です。それぞれについて解説します。
1つ目に解説するAIエージェントは「反射エージェント」です。
もっともシンプルな仕組みのAIエージェントで、単純反射エージェントとモデルベース反射エージェントの2種類に分かれています。
事前に定義された条件と行動のルールに従って動作します。たとえば、温度が一定値になったらエアコンをオンにするサーモスタット、人が近づくと自動的にドアを開くドア、壁にぶつかると方向を変えるシンプルな掃除ロボット など。
環境の内部モデルを保持し、現在の知覚と過去の経験に基づいて行動を決定します。単純反射エージェントとは異なり、環境が完全に観測可能でない場合でも、内部モデルを使って見えない部分の状態を推測します。たとえば、過去の運転経験に基づいて障害物を避けながら走行する初期の自動運転車、過去のユーザ行動履歴に基づいてオススメの動画を表示するレコメンデーションシステム など
2つ目に解説するAIエージェントは「目標ベースエージェント」です。
ただ目の前の状況に反応する反射エージェントとは異なり、どうすればゴールに近づけるかを判断し、その目標を達成するための一連の行動を推論し、選択するというものです。
ナビゲーションシステム(目的地を設定すると、現在の位置から目的地までの最適な経路を探索し、案内する)など
3つ目に解説するAIエージェントは「効用ベースエージェント」です。
目標ベースエージェントをさらに発展させたAIエージェントで、目標を達成することだけでなく、行動の結果として得られる効用を最大化するように行動を選択するところまで実行します。
医療診断支援システム(病気の診断に加えて、治療のリスクや効果・患者のQOLなどを考慮して最適な治療法を提案)など
4つ目に解説するAIエージェントは「学習エージェント」です。
経験から学習し、自身の知識や行動の改善能力をもつAIエージェントです。与えられたタスクを繰り返す中で、徐々に最適な行動戦略を身につけていく特徴があります。
ゲームAI(囲碁・将棋・ビデオゲームなどで人間以上のパフォーマンスを発揮する)など
生成AIとAIエージェントはよく混同されがちです。しかし、双方には明確な違いがありますのではっきりと区別できるようにしておきましょう。
生成AI | AIエージェント | |
---|---|---|
特徴 | ユーザからの指示で受動的にコンテンツを生成できる | ユーザとのやりとりを通じて能動的に業務を自動化できる |
用途 | テキスト、画像、音声、動画などの「あたらしいコンテンツ」を生成する | データ分析、意思決定の支援など多岐にわたる用途で活用される |
運用方法 | 入力(プロンプトや参考画像など)を元に成果物を生成する(反応型) | 目的を達成するために、状況を認識しながら自律的に行動する(自律型) |
活用例 | ChatGPT(文章生成)、 DALL·E(画像生成)、 Midjourney・Stable Diffusion(画像)、MusicLM(音楽) など | カスタマーサポート、自動運転、チャットボット、音声アシスタント など |
生成AIは生成することに特化しており、基本的に指示がなければ動きません。一方、AIエージェントは目標達成に向かって自律的に動くため、必要に応じてタスクを分解・遂行する特徴があります。
なぜ今、AIエージェントは社会に必要とされているのでしょうか。大きく3つの理由が挙げられますので、それぞれについて解説していきます。
AIエージェントは、複雑な業務内容・環境で価値を発揮します。
現在の社会は多様化しており、これに迅速・柔軟な対応をすることが求められています。AIエージェントは多くの情報源から得たデータを統合的に分析し、与えられた目標に対して最適な手段を自律的に選択し実行する能力を期待されているのです。
AIエージェントは、人材不足を解消する役割が期待されています。
熟練人材の高齢化や採用難により業務の自動化・効率化が急務となっており、また属人化した業務知識を形式化し組織内の知的資産として活用可能にする点でも、AIエージェントは必要とされています。
AIエージェントは、企業が働き方改革への対応をするために求められています。働き方改革が目標とする労働時間の短縮・生産性の向上・多様な働き方の実現・従業員の満足度向上、といった4項目について貢献をすることが期待されているのです。
AIエージェントに雑務・繰り返し・判断を任せれば、人間はより創造的な業務に集中できるようになります。また、リモートワークや時短勤務に対しても業務の継続性やカバーが24時間可能となり、頼れるデジタルパートナーとしてチームを支えることにもなるでしょう。
現在AIエージェントが抱えている5つの課題と対策について解説します。どのようなことが問題になっており、どういった対処方法があるのでしょうか。
AIエージェントは、業務や日常生活においてさまざまなデータを収集・分析・利用します。これらに含まれる機密情報や個人情報が適切に保護されなければ、深刻なリスクを引き起こす可能性があるのです。これの対策として以下の5つがあります。
AIエージェントが間違った判断をした時に、誰が責任を負うのかが明確になっていません。また、どのようにその意思決定をおこなったのかがブラックボックス化しており、その理由を人間が理解できないなどの問題もあります。対策として、以下に挙げる2つの対策をしっかりおこなってください。
AIエージェントの開発・利用に関する倫理的な原則やガイドラインを策定し、関係者間で共有する必要があります。
AIの意思決定プロセスを可視化し、人間が理解できるようにする技術開発が重要です。
現在、AIエージェント向け専門知識をもった人材が不足しています。
AIエージェントの開発、実装、運用には高度な専門知識とスキルをもつ人材が不可欠です。しかし、その確保は非常に難しいのが現状です。以下に対策を挙げておきます。
社員に対して育成プログラムの構築
共同研究やインターン受け入れなど
外部人材との協業
リモートワークやフレックスタイム制など
初期段階では外部のAIコンサル・SIer・AIベンダなどと連携し、 社内メンバーのシャドウイング(学びながら導入)を進める方法も有効。
AIエージェントにおいて、限られたコンピュートリソースは、その開発・訓練・実運用において非常に重要な制約であり課題となっています。とくに高度な自律性や複雑なタスク処理能力をもつAIエージェントほど、より多くの計算資源を必要とする傾向があるのです。この課題への対策としては以下のものがあります。
AIエージェントが、事実に基づかない、あるいは文脈と矛盾する情報を生成してしまうのは深刻な問題です。対策としては大きく以下の2つがあります。
外部知識ベースや検索エンジンと連携して、情報の正確性を検証する
高品質なデータに基づく学習によって、誤情報の生成を減らす
ここまで「AIエージェントとは?/種類・基礎知識・課題など」というテーマで解説してきました。
AIエージェントとは、AIを使用してユーザの目標達成に向けて自律的に業務を遂行するソフトウェアシステムのことです。あたらしく普及しつつあるAIエージェントについてはあまり知識のない方も多いのではないでしょうか。この記事を読んで、AIエージェントについて、生成AIとの違い、求められる理由、AIエージェントの課題についての知見を蓄えましょう。
領収書とは、金銭やその他の支払いが生じたことを証明する書類です。領収書を「領収証」と記載するケースもありますが、どちらも意味は同じです。
領収書の役割は、発行側と受領側で異なります。
発行側にとっては代金を受け取ったことの証明となり、受領側にとっては支払ったことの証明になりますので、二重請求や過払い防止の役割も果たします。従って、どちらの立場でも領収書の保管は必要です。
領収書は重要な書類ですので、きちんと管理をしておきましょう。
とくに、フリーランスの場合は、確定申告時に「経費として扱ったもの」を証明するのに役立ちます。
確定申告時に領収書の提出義務はありませんが、手元に領収書がないと経費として認められないこともあるため、注意が必要です。
また、納品書やレシートなども領収書と同様に扱われるため、捨てずに保管しておきましょう。
経費精算を効率化するには、領収書の保管方法や使用ツールも大切です。
アナログで管理する場合は、紙の領収書を定期的に整理しましょう。整理することで、現在必要な領収書が管理しやすくなります。
以下では、領収書のアナログ保管方法・ツールなどについてご紹介します。
アナログで領収書を保管する方法の1つに、ノートやスクラップブックへ領収書を貼る方法があります。
こちらの方法は手軽ですが、デメリットもあるため、あわせて覚えておきましょう。
たとえば、感熱紙(とくにレシート)は熱や湿気に弱いため、夏場や梅雨時期の保管には気を付けましょう。また、感熱紙はのりの溶剤成分との相性も悪く、化学反応を起こして変色することがあります。
ほかには、印字面にセロハンテープを貼ると文字が消えることもあるため、注意が必要です。
領収書のアナログ管理方法には、封筒にまとめる方法があります。とくに、領収書の数が少ない場合は、月や費目ごとに専用の封筒を用意して、その中に収納するのがオススメです。
反対に、事業規模が大きくなるにつれて、領収書の数は増えがちです。
その場合は「現金・振込等の支払い手段別」「勘定科目別」「取引先別」などに、分別してもよいでしょう。
クリアファイルに領収書をまとめても便利です。
最近では、領収書や小物などを整理しやすいクリアファイルも販売されているため、そちらを活用してもいいでしょう。ファイルに収納する際は、インデックスを付けると、より管理がしやすくなります。
また、クリアファイル以外では、12仕切(13ポケット)のドキュメントファイルの活用もオススメです。
ドキュメントファイルとは、資料を入れるための見開きフォルダのことです。12仕切以上のドキュメントファイルを活用することで、1年間の領収書を月単位で収納できます。
以下では、領収書のデジタル保管方法・ツールなどについてご紹介します。
領収書の保管には、クラウドサービスの活用がオススメです。クラウド型ソフトのメリットは、業務効率化や作業のシームレス化につながることです。
最近では「領収書」「見積書」「納品書」「請求書」などに対応した、クラウド型のソフトが普及しています。
なかには、別のクラウド型請求サービスと連携可能だったり、領収書の作成から電子送付まで同じアプリ内で完結したりするものも存在しますので、大変便利です。
また、2022年に「電子帳簿保存制度」が見直されたことを契機に、一定要件を満たした「国税関係帳簿」や「国税関係書類」は、電子上で保存できるようになりました。領収書も国税関係書類の一種ですので、デジタル保存が可能です。
なお、電子帳簿保存制度は3つに区分されています。
以下では、領収書のデジタル管理方法やツールについてご紹介します。
電子帳簿等保存制度では、紙で受け取った書類や紙で渡した書類の写しを、スマホやスキャナで読み取り、電子データとして保存できます。
この方法のメリットは、紙の領収書のファイリング作業や、物理的な保存スペースの確保が不要になることです。
スキャナ保存ができるものは、決算関係書類を除く国税関係書類です。国税関係書類は、「重要書類」と「一般書類」に大別されます。
重要書類と一般書類は、それぞれ以下の通りです。
重要書類と一般書類では、スキャナ保存を行う際のルールが一部異なります。
たとえば、領収書は重要書類に該当するため、帳簿との相互関連性の確保が必要です。
具体的には、スキャンした領収書のデータとそれに関連する帳簿との間で、相互に関連性を確認できるようにする必要があります。
また、紙の領収書をデータ化する際には、毎回帳簿や会計ソフトへ記帳・入力してから、保管するようにしましょう。
前回分の領収書を、どこまで入力したか確認する手間が省けたり、入力漏れを防げたりするのがメリットです。
電子帳簿等保存制度では、電子上(メールやチャットツールなど)で自身が作成した領収書を、パソコンやタブレット内に保管することが可能です。印刷する必要はありません。
ただし、保存時は指定の要件を満たす必要があります。
保存時の要件には、システム関係書類等を備え付けることや、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の条件から指定して検索できるようにするなどが挙げられます。システム関係書類等とは「システム概要書」「システム仕様書」「操作説明書」「事務処理マニュアル」などのことです。
なお、電子上で作成した領収書のデータ保管が任意であるのに対して、法人・個人事業者が電子上で送付・受領した領収書の保存(電子取引データ)は法律で義務付けられています。
これは、自社で作成した書類の控えとは異なり、外部と電子上で取引したデータは、改ざんリスクが高いためです。
以下の見出しでは、電子上で送付・受領した領収書の保管の重要性や保管方法について解説します。
2024年以降は、改ざん防止を目的として、電子上(メールやチャットツールなど)で送付・受領した領収書の保管が義務付けられました。
電子取引データをデータ保存する際は「可視性の確保」や「真実性の確保」を満たす必要があるためです。可視性とは「目に見える事実」を指し、真実性とは「真実と認められる事柄」を指します。従って、電子上で取引したデータは、誰が見ても正しい内容であることが重要です。
電子取引に関するルールには、一例として以下の項目が挙げられます。
また、2025年度の税制改正では 、電子取引データの保存要件が見直されました。
今回の改正で、帳簿類の隠匿・破棄などの不正行為や期限後申告などがあった電子取引に対しては、10%の重加算税が加重されることとなりました。
一方、2027年からは、特定電磁的記録(保存要件にしたがって保存される電子取引データのこと)でかつ、財務省が掲げる要件を満たしている場合は、上記の罰則(重加算税の加重措置)が適用されない予定です。
従って、今後デジタル保管を選択する場合は、より電子帳簿保存法に準拠したシステムの導入が必要だといえます。
アナログ保管かデジタル保管か迷った場合は、デジタル保管をオススメします。
理由は、デジタル保管の方が、ファイルの管理やセキュリティ対策がしやすいためです。
たとえば、ファイル名に宛名や日付を設定すると、検索時に指定のファイルを見つけやすくなります。また、ファイルにパスワードを設定することで、情報流出の防止にも役立ちます。
領収書の保管期間は、申告者の立場ごとに異なります。
以下では、「青色申告者」「白色申告者」の保管期間の違いや、両者が「適格請求書発行事業者」の場合の保管期間や、適格請求書を保管する重要性について解説します。
領収書の保管期間は、青色申告者と白色申告者で異なります。
青色申告者の領収書保管期間は、通常7年です。
青色申告者とは、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」が発生する業務を行う人で、かつ「青色申告承認申請書」を提出した方のことです。
ただし、以下の条件に該当する青色申告者は保管期間が5年間と定められています。
一方、白色申告者とは、青色申告以外の方法で確定申告する方を指します。
白色申告者の領収書の保管期間は通常5年です。
また、青色申告者・白色申告者を問わず、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)も兼ねている場合は、領収書の保管期間が7年と定められています。
以下では、インボイス発行事業者が領収書を保管することの重要性について解説します。
2023年10月より開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための仕組みです。
適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)が、仕入税額控除の適用を受けるには、帳簿および適格請求書(インボイス)等を保存しておく必要があります。「請求書」「納品書」「領収書」などがインボイスに該当します。
インボイス発行事業者(売手)が買手に交付したインボイスの写しや、インボイスに関連する電磁的記録(デジタルデータ)の保管期間は7年です。また、交付されたインボイスを買手側が保存する期間も同様に7年です。
なお、上記インボイスの写しは、記載事項が確認できれば正式な書類のコピー以外でも構いません。
たとえば、納品書やレジのジャーナル(顧客に出力するときの名称はレシート)など簡易なものでもOKです。
領収書は、金銭の授受を証明する重要な書類であり、発行側も受領側も保管が必要です。
確定申告時に慌てないためにも、フリーランスの方は、普段から領収書の保管方法を決めておきましょう。
管理方法には、アナログ保管やデジタル保管があります。
自分に合った方法で領収書を管理して、経費精算を効率化しましょう。
個人事業主として活動をしていくにあたり、開業届を提出する必要があります。けれども、初めて開業手続きをするという方は、提出に必要なものや状況に応じて必要な書類などがたくさんあり、どうすればいいのか分からないという方もいることでしょう。今回は、その必要な書類や状況に応じて必要な書類、開業届を提出するメリット・デメリットについても解説していきます。
開業届とは、個人事業主が開業したことを税務署に届け出るための書類です。個人事業主として事業を行うと売上や経費が発生し、それに基づいて所得税の確定申告を行う必要があります。税務署は開業届をもとに納税管理を行い、個々に必要な申告書類の送付がされますので、それらに従い確定申告を行いましょう。
原則、事業開始後1か月以内に開業届を提出する必要があります。しかし、開業届を提出しなくても特に罰則や罰金などはありません。確定申告を正しく行っていれば問題ないと言えます。
開業届を提出するにあたり必要なものがあります。提出時に忘れてしまうことがないように、あらかじめ用意しておきましょう。
開業届を提出する際に必要なものは、開業届とマイナンバーカードです。マイナンバーカードが無ければ、個人番号通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しと運転免許証またはパスポートなどの本人確認書類が別途必要になります。
また、税務署に持ち込みで開業届を提出する場合、印鑑を持っておくと修正にもすぐに対応できるため安心です。
開業届の他にも、自身の状況に応じて別途必要な書類もあります。今一度自身の現状を確かめて必要であれば準備をしておくと、スムーズに開業手続きが行えることでしょう。
青色申告承認申請書とは、開業から2か月以内に提出することが望ましい書類です。
また、開業してから2か月を過ぎてしまった場合には、青色申告をする年の3月15日までに提出すれば問題ありません。
青色事業専従者給与に関する届出書とは、青色申告を行っている個人事業主が、家族・親族に支払った給与を必要経費にできる届出書のことです。家族・親族への給与の支払いを必要経費とすれば、所得が分散され節税効果が期待できます。
給与支払事務所等の開設届出書とは、個人事業主が従業員を雇用する際に税務署へ提出する届出書のことです。個人事業主は従業員の給与から所得税を天引きして、従業員に代わって納税をする「源泉徴収」を行う義務があります。従業員を雇った日から1か月以内に届出書を出しましょう。
通常、従業員から天引きした源泉徴収税は、原則として翌月の10日までに納付しなければなりません。しかし、給与を支払う従業員が10人未満であれば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、源泉徴収税を年2回にまとめて納付できます。
適格請求書発行事業者の登録申請書とは、適格請求書(インボイス)を発行するために事業者が「適格請求書発行事業者」として税務署に登録するための書類です。事業者がインボイスに対応していないと、取引先は支払った消費税額の控除が受けられなくなります。
この登録申請書には期限はありませんが、登録日以降でなければインボイスの発行はできません。ただし、インボイス制度開始から2029年9月30日までは免税事業者との取引についても段階的に控除が認められる経過措置が設けられています。
事業開始等申告書とは、各都道府県の税事務所に開業を申告する書類です。各都道府県によって提出期限や提出先がさまざまのため、事前の確認が必要です。しかし事業開始等申告書を提出しなくても、罰則には当たりません。開業届とは目的・提出先も違うため、混同しないように注意しましょう。
開業届を提出すると主に以下のメリットが得られます。
開業届と青色申告承認申請書を同時に提出した場合、最大65万円の特別控除が受けられます。個人事業主としてスタートしたばかりのころは、初期費用がかさんでしまうため赤字になってしまうこともあるでしょう。青色申告を行うメリットである特別控除や赤字繰り越しなどを活用して節税対策をするのがおすすめです。
開業届を提出すると、自身の屋号名義で銀行の口座を開設できます。プライベートと事業のお金を区別でき、事業のお金の流れを把握することが可能です。また、開業届を提出することで、きちんと事業を行っているという証明書の代わりにもなり、顧客や取引先の方からの信用度もアップするでしょう。
一方で、開業届を提出するデメリット・注意点もあります。
現在、扶養に入っている方が開業届を提出するときは注意が必要です。開業届を提出することによって、たとえ収入が少なくても扶養から外されてしまうケースがあります。企業の健康保険組合の規定によりさまざまなので、一度健康保険組合のホームページを確認しておくと安心です。
一度、開業届を提出するとハローワークから「就職した」と判断され、失業保険の給付がストップする可能性があります。そのため、失業保険の受給を優先したい場合は、開業届を提出するタイミングに注意しましょう。
今回は開業届を提出するにあたり、必要な書類や状況に応じて必要な書類などについて解説してきました。開業届は、マイナンバーカードと開業届さえあればすぐに提出できますが、自身の状況により他にも提出が必要になる書類もあります。また、開業届を提出すると青色申告などの税制上のメリットが受けられるほか、屋号名義付き銀行口座が開設でき顧客や取引先の信頼度もアップするでしょう。しかし、一度開業届を提出してしまうと、扶養から外れてしまうケースや、失業保険が給付されないというケースもあります。自身の状況を今一度よく確認し、メリット・デメリットをよく把握した上で開業届を提出しましょう。
]]>フリーランスを始めた、もしくはこれから始めようと考えている方にとって、案件の確保はおおきな不安材料かもしれません。この記事では、フリーランスの営業方法から効果的なアイテム、営業効果をあげるスキルなど、フリーランスが継続して収入を安定させるためのポイントを紹介します。
フリーランスにとって最も重要な業務が営業だといっても過言ではありません。営業による案件獲得が収入に直結し、将来的に継続可能な事業体系を構築する基盤になるからです。
営業活動を通じて、クライアントとの信頼関係を築き、長期的な契約につなげることで、安定した収入と自由な働き方を実現できます。
以下のグラフは、他のフリーランスがどのような営業経路で案件を獲得しているかを表しています。多くのフリーランスが、知人を介して案件を獲得しており、人脈の重要性がわかります。また、SNSなどの発信や広告活動も有効です。自分にできる案件獲得方法の参考にしましょう。
参考:内閣官房新しい資本主義実現会議事務局・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁|令和4年度フリーランス実態調査結果
ここからは、フリーランスがどのような営業方法を活用しているか、具体例を紹介します。
案件獲得手段として最も多いのが、友人や知人からの紹介です。人柄を理解している人を介することで、信頼が担保され、スキルや技術をアピールするだけで案件が獲得しやすくなります。業界や業種にこだわらず、さまざまな人に相談してみましょう。思いもよらない縁が生まれる可能性があります。
取引先からの紹介も、技術力の担保があるため、案件を獲得しやすい方法です。取引先との関係を良好にし、満足してもらえる仕事を提供することで、「この人なら任せても大丈夫」と思ってもらえます。紹介案件は信頼度が高く、案件獲得にもつながりやすいため、積極的に活用しましょう。
不特定多数への情報発信も有効な営業方法といえます。FacebookやX(旧Twitter)、Instagramやブログなどを定期的に更新することで、興味をもった人からの依頼や問い合わせが期待できます。また、自社サイトの開設も、社会的信用度の向上につながるでしょう。
ターゲットとなる企業に直接営業する方法です。断られたりメールの返信がなかったりすることもありますが、挫けないことが大切です。相手のニーズを理解した提案内容を心がけましょう。
メール例文では、突然のメールへのおわびから始め、名のり、過去の実績例を紹介し、御社の○○分野で何ができるかを簡潔にアピールします。ホームページやSNSのアドレスも記載しましょう。
クラウドソーシングとは、業務を依頼したい人と受けたい人をつなぐオンラインのマッチングプラットフォームです。企業が業務内容を登録し、それを見た個人が自分のスキルや技術を活かせる業務に応募します。その後、業務委託契約を結ぶことで、案件を獲得できます。営業が不得手でも、案件獲得しやすいので活用しましょう。
フリーランスエージェントとは、営業や事務手続きを代行してくれるサービスです。営業の苦手なフリーランスにとって、企業の仲介と案件紹介、条件交渉や契約締結を手助けしてくれるため便利です。さらに、煩雑な事務手続きを代行してもらうことで、業務に集中できるメリットもあります。
フリーランスが営業する上で、人脈形成は非常に重要です。業界のセミナーや同業種のコミュニティに参加することで、情報収集ができるだけでなく、同じ分野の人々と交流することで人脈が広がり、新たなビジネスチャンスの可能性があります。
チラシは、企業だけでなく個人の目に留まり、興味をもってもらえる可能性があります。たとえば、「パソコン教室をやります」というチラシを、許可をとったカラオケボックスのフリースペースに置くことで、家族連れから高齢層までアピールでき、地域密着型の営業方法として有効です。どこに人の縁があるかはわからないため、広い視野をもつことが大切です。
実際に営業を行うまでに準備しておきたいアイテムを紹介します。知名度をあげたりトラブルを防止したりと、効率的に営業するために役立ちます。
ポートフォリオは、自分の実績を視覚的にまとめた資料のことです。成果や経験を集約し、実績やスキルをアピールする効果があります。営業時に見やすくまとめたポートフォリオを提示することで、技術力やスキル、経験値を理解してもらいやすく、相手に信頼感を与えることができます。作成して効率的な営業に活かしましょう。
ビジネスにおいて自分の顔となるのが名刺です。最初の接点となる重要なアイテムといえます。表面には住所、氏名、連絡先のほかに、SNSのアドレスを入れるのも効果的です。さらに裏面には、簡潔に自分のアピールポイントを表現しましょう。上手に裏面を活用することで、相手の記憶に残りやすくする効果があります。
自分の業務に応じて、時給や成果物の単価を事前に設定しておきましょう。案件によって報酬形態が異なるため、柔軟に対応できるよう準備しておくことが重要です。これは案件獲得時の重要な指針になるため、正しい自己評価が求められます。また、単価や支払期日、契約期間などの契約条件を明確にするための資料を作成することで、透明性を保つことができ、円滑な契約が可能になります。
営業効果をあげるために身につけておきたいスキルを紹介します。どれもビジネススキルの基本ですが、フリーランスとして各スキルをどのように活かせるかも解説します。
営業にとって必須のスキルがコミュニケーション力です。フリーランスは、多くの人々と関わることで職種を継続できるため、的確で効率的なコミュニケーションは欠かせません。相手の立場に立って信頼関係を築くことが重要となります。
プレゼンテーションは自己アピールと相手のニーズを満たす提案を効果的に伝えるスキルです。何ができるかを考え、自分のスキルや技術で活用できる内容を伝えます。論理的な資料作成や説得力のある話し方を習得して、的確に伝えることがポイントになります。
フリーランスは、相手が何を求めているのかを正しく理解する必要があります。自己アピールに注視するあまり、どれほど高いスキルや技術をもっていても、相手のニーズと合わなければ案件は獲得できません。相手の話に耳を傾け、質疑応答を繰り返しながらニーズを把握して、自分にできることを考えましょう。
営業効果をあげるためには、正しい自己分析が重要です。営業を繰り返す中で上手くいったこと、いかなかったことを把握し、自分の強みや弱みを理解することで、営業方法の課題や営業戦略の問題点を把握できます。改善策を検討し実行することで、より効果的な営業活動が可能になります。
フリーランスを継続するために営業は必須です。営業を行う際の注意点から対策までを紹介します。
人脈はフリーランスにとって最大の資産です。人との出会いや縁を大切にし、真摯に向き合っていくことが肝要です。積極的に交流の場に参加し、新たな人脈づくりを意識しましょう。
時間や約束を守り、質の高い仕事を提供することで信頼と実績を重ねていくことが重要です。この案件は任せて大丈夫と安心してもらえることで、再契約や紹介案件へとつながります。その結果、営業に係る労力が少なくて済むようになるでしょう。
どれほど自分のスキルや技術、できることをアピールしても案件獲得につながらない場合もあります。自分本位の営業は避け、相手の求めることと自分のできることの一致点を見極めましょう。相手の視点に立って考える姿勢が重要です。
初対面の印象がその後の関係性に大きな影響を与えます。フリーランスだから何でも自由というわけではありません。礼儀正しく、清潔感のある身だしなみや立ち振る舞いはビジネスの基本と認識しましょう。
営業手段はさまざまあり、自分にとって不得意なものや業種によって異なる場合もあるでしょう。しかし、複数の方法を同時に行うことで、多方面へのアクションが可能になり、案件獲得の確率をあげることができます。自分にあった方法を見つけましょう。
営業はすぐに効果が期待できない場合もあります。そこで諦めてしまっては、フリーランスとして継続できなくなってしまい、収入にも影響します。営業とは、失敗を恐れずに、さまざまな方法を試しながら、諦めずに挑み続けることで収入の安定につなげることです。
フリーランスにとって、最も苦労する業務は営業かもしれません。苦手な方は営業代行を活用するのも選択肢の一つですが、自分に合った営業方法を試行錯誤しながら見つけていくことが、継続的な仕事の獲得と収入の安定につながります。本記事がその参考になれば幸いです。
]]>開業するにあたっては多額の資金が必要となります。たとえば店舗を構える場合は家賃や改装費用、商品を扱う場合は仕入れや設備投資、IT系業種であればパソコンや制作環境の整備費などが発生します。さらに、開業後しばらくの運転資金も必要です。
日本政策金融公庫総合研究所の「2024年新規開業実態調査」によると、開業費用の平均は985万円、中央値は580万円です。
以下は、開業費用の平均と中央値の推移をグラフにしたものです。
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以前に比べて開業コストはやや低下傾向にあるといわれていますが、それでもある程度はまとまったお金が必要といえます。
開業したいと考えても、大きな金額をすぐに用意するのは難しい場合もあるでしょう。実は、開業のための資金を調達する方法は複数存在します。
このセクションでは、開業にあてる資金の調達方法をそれぞれ解説します。
融資とは、公的な機関や金融機関などからお金を借り受けることです。いわゆる借金・借入ですが、事業のための資金調達という性質上、単なる借入とは違い、開業のために低めの利子設定や審査基準を緩和してもらえるという点が融資の大きな特徴です。
国や自治体による融資制度、民間の金融機関など、開業のための融資をおこなっている団体は多くあります。代表的なものを紹介します。
日本政策金融公庫とは、中小企業や小規模事業者向けに融資をおこなう国の政策金融機関です。他の融資機関と大きく違うのが、原則、無担保・無保証人で利用でき、金利も比較的低めです。
融資限度額は7,200万円で、若者・女性・シニアや開業に再チャレンジする人などに向けて、有利な条件で融資が利用できる制度もあります。詳しくは日本政策金融公庫の新規開業者に向けた資金融資のページで確認しましょう。
参考:日本政策金融公庫 – 新規開業・スタートアップ支援資金
地方自治体でも、それぞれ独自で融資制度があります。自治体ごとに制度が違うので、まずは問い合わせをしましょう。
こちらは信用保証協会と連携し、低金利での融資が可能です。ただし、申請から融資までに時間がかかる点や、限度額が日本政策金融公庫より低い点は注意が必要です。
中小企業の開業や運営支援をする独立行政法人・中小企業基盤整備機構では、「J-Net21」というWebサイトで各自治体の開業における融資制度を紹介しています。こちらで制度を探すのもよいでしょう。
参考:J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト] – 創業者向け補助金・給付金(都道府県別)
民間金融機関でも開業融資を受けられますが、審査は厳しく金利も高めです。
通常、民間の機関が企業に融資するときは、これまでの売上や事業資本などが審査されるため、開業しようとする個人に対しては既存企業以上に審査が厳しくなると考えてよいでしょう。
しかし、融資が承認されれば、銀行の担当者から経営のアドバイスを受けられるなど、民間機関からの融資ならではのメリットもあります。
また、銀行・信用金庫には、使途自由のフリーローンという商品があり、これを開業資金にあてるという手もあります。この方法であれば、資金の用途目的に制限がないため非常に借りやすいです。半面、利子が割高になってしまうことが大きなデメリットです。
融資とは別に、国や自治体が新規開業する人や団体に補助金・助成金を提供する制度も存在します。融資や借入と違い、返済義務がない点が大きなメリットです。
ただし、申請から助成金・補助金がもらえるまでに相当時間がかかる場合が多いため、今すぐにでも開業資金が欲しいときに頼りにするのはあまり向いていません。
ルートテックでは個人事業主が活用できる補助金制度の解説もおこなっています。
個人投資家やベンチャーキャピタルに出資してもらうのも開業資金を集める方法の一つです。とくに、起業して間もないスタートアップを支援する個人投資家はエンジェル投資家と呼ばれ、ビジネスの将来性や成長可能性に着目して出資します。
また、最近はクラウドファンディングを通じて商品のアイデアを紹介し、開発費用を募るという方法も出てきています。どちらの方法もお金をもらう資金調達方法なので、返済義務はありません。
ただし、投資家は将来のもうけのために出資するので、大きな魅力のある事業計画を提示しないと出資してもらうのはかなり難しいでしょう。
クラウドファンディングもいくつか注意点があります。たとえば「All-or-Nothing方式」の場合、目標金額に達しなければ一切資金を受け取ることができません。加えて、クラウドファンディングの手数料は一般的に20%~30%程度かかるため、手取り額にも注意が必要です。
自分で貯めたお金を開業資金にあてる方法もあります。開業には大きな金額がかかるため全額自分で賄うことは難しいですが、できるだけ自己資本金を用意することが重要です。
また、金融機関から融資を受ける際には、自己資金の額が融資の限界額決定に影響するため、この点でもできるだけお金を貯めてから開業するのがオススメといえるでしょう。
開業の資金調達のため、親や親戚、知人からお金を借りるという方法も存在します。しかし、近しい間柄でのお金の貸し借りなので、他の方法と比較してトラブルにつながる可能性が高いといえます。
親戚・知人から開業資金を借りるのであれば、借入したという事実をきちんと書面に残す、つまり契約書を交わすようにしましょう。近しい間柄だからこそあえて正規の方法をとることが、トラブルを未然に防ぐ重要なポイントです。
公的機関や民間団体などが定期的にビジネスコンテストをおこなっている場合があり、これも資金調達の方法のひとつです。新規事業の内容でコンペに参加し、優秀者には出資されるというものです。ただし、必ず入賞できるわけではないので、資金を得られないこともあります。反面、コンテスト出場の過程で他の起業を目指す人々と交流が持てるところは資金調達以外の点で魅力的なポイントでもあります。
このセクションでは、開業のための資金調達を成功に導くコツを解説します。
融資を受けるためには、開業届を出しておくことが必要です。開業する場所の管轄の税務署に開業後1か月までを目安に開業届を提出しておきましょう。
開業資金と一言でいっても、事業形態で必要な資金の額は大きく変わります。たとえば、店舗経営なら、店舗の敷金や家賃、各種備品、商品の仕入れ、人員費など多額が必要になります。一方で、自分1人でスモールスタートが可能な事業であれば、必要なものは仕事道具と仕事の場所程度になり、開業資金の金額は店舗開店と比較するとかなり少なくすむことが多いです。
まずは事業に必要な費用を明確にし、どれだけの自己資本があるのか、外部からどの程度資金調達が必要なのかを洗い出すことが重要です。そのうえで、最適な資金調達の方法を検討するのが、開業の第一歩といえるでしょう。
前述したように、自己資金は可能な限り用意できるほうがよいでしょう。無利子なうえ、返済の必要もないからです。まず何より、今後の事業を続けていくに向けてある程度の元手がないと、もし収入がない時期が続けば、すぐに食べていけなくなってしまいます。
それに加え、銀行・信用金庫の融資額は自己資金の額によって決定されることも、自己資金を可能な限り用意するべき理由のひとつです。企業が財務状況によって銀行からの借入額が左右されるのと同じように、個人が開業しても財務状況や返済能力といった信用を元に、借入の是非が決定されます。
全額自分で賄うのは無理でも、開業のための自己資金は可能な限り用意するのがよいでしょう。
これまでの事業の実態がない以上、融資を受けるためには「これから何をするのか」「何のために融資が必要なのか」「どうしてこの金額が必要なのか」をしっかり説明できるようになっておく必要があります。そのためには事業計画書をしっかりと作りこみ、融資担当者に開業資金をどのように使うかを具体的に説明できるようになっておかなくてはなりません。
これまで個人でクレジットカードを使ったり、ローンでお金を借りたりした人も多いでしょう。これらお金に関する貸し借りや返済の延滞といった個人の借入履歴は、信用情報として信用機関に登録されています。このため、開業前には信用情報を確認し、延滞などがある場合は改善に努めるのが望ましいでしょう。過去の返済履歴が良好であれば、金融機関に対して返済能力のある人物としての信頼性を示す材料になります。
開業にかかる資金の平均値は985万円、中央値は580万円とされています。必要な金額は業種や事業規模によって変わってきますが、ある程度のまとまったお金が必要なのは確かです。
開業資金は自己資金で賄えることに越したことはありません。ですが、大きな金額のため、全額用意するのは難しいことが多いでしょう。
自己資金で賄う以外の資金調達方法は、融資、補助金・助成金、投資家などに出資してもらう、知人や親戚に借りる、クラウドファンディングに挑戦する、ビジネスコンテストに参加するなど、さまざまあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に適した方法を検討するとよいでしょう。ただし、親戚や知人に開業資金を借りる場合はトラブルになりやすいため、きちんと貸し借りを書面に残すよう注意しましょう。
どれだけ開業資金が必要かをきちんと把握し、何に使うか事業計画を具体的に話せるようになっておくのが資金調達をうまくするコツです。
]]>新しく事業をはじめたときは、開業届を提出する必要があります。届け出先は、納税地を管轄する税務署です。原則として、開業から1か月以内に、事業所が存在する場所の税務署へ開業届を提出します。
開業届では、職業欄および事業の概要欄について、どのように記入すればいいのかよくわからないという方が見受けられます。とくに記入方法の決まりはないものの、後述する個人事業税の税率に関わってくるため、何の事業をしているのかしっかり記入するのがポイントです。
この記事では、これらの記入方法や注意点などを解説します。
なお、開業届の用紙は税務署の窓口でもらえるほか、国税庁のホームページからもダウンロードが可能です。
参考:国税庁 – A1-5 個人事業の開業届け出・廃業届け出等手続
開業届の職業欄は「フリーランス」「個人事業主」というような書き方ではなく、具体的にどのような職業を営んでいるかわかるように記入しましょう。たとえば「システムエンジニア」「個人小売店店主」などです。
なお、職業欄の書き方に迷った場合は、総務省が公開している「日本標準産業分類」という分類表を参考にするのもよい方法です。
開業届における事業の概要欄は、職業欄の業務内容を詳しく記入する場所です。職業欄よりも詳しく、実際の仕事内容や事業内容を記入しましょう。
たとえばWebライターであれば「Webメディア記事の構成作成および記事執筆」、海外ブランド服のセレクトショップを営んでいるなら「インポート輸入服販売」のように記入します。
ここまで、開業届の職業欄、事業の概要欄の基本的な書き方を解説しました。しかし、書き方にルールはないといっても、「自分の職業の場合はどのように書けばよいか」と戸惑う人も多いでしょう。
このセクションでは、いくつかの職業を例に挙げて、書き方の例を紹介します。書き方に困ったときは参考にしてください。
開業届の職業欄・事業の概要欄について、職業ごとに書き方の例を挙げます。
職業:システムエンジニア
事業の概要:ソフトウェアの設計・開発・プログラミング、およびシステムの保守
職業:文房具店運営
事業の概要:学生向けの筆記用具を中心とした文房具の販売、社会人向けの万年筆の販売
職業:Webデザイナー
事業の概要:Webサイトのデザイン制作、LPのデザイン制作、コーディング
職業:飲食店
事業の内容:ラーメン店の経営、ラーメンやサイドメニューの提供、メニューの開発
職業:インターネット関連サービス業
事業の概要:YouTubeの企画・動画作成および編集、動画公開と管理、YouTubeコミュニティ管理
このセクションでは、開業届の作成や提出に関する注意点を解説します。
新しく事業をはじめるとき、最初から複数の事業を並行して開始する方も中にはいます。この場合、開業届の職業欄はどのように記載すればよいか迷うこともあるでしょう。
このような場合は、最も収入の多いものを代表として職業欄に記入すれば問題ありません。並行している事業は事業の概要欄に詳細を記載してください。
個人事業税に直接関係してくるのは、確定申告書の職業欄です。したがって、事業内容に変更があっても開業届の再提出は不要です。
しかし、これはつまり、確定申告ではしっかりと事実を記入する必要があるということです。とくに複数事業をおこなっている場合は、事実関係が複雑になりがちであるため、しっかりと確定申告書の職業欄で、実際にどのような事業をおこなったのかきちんと記入することが肝要です。
事業を新しくはじめたものの軌道に乗らず、別の事業をはじめてみると本業より売上伸びたパターンは珍しくありません。このように、開業届の提出時に記入した職業と現在の主な職業は異なる場合でも、開業届を再提出する必要はありません。
ただしその代わりに、確定申告で「職業の詳細」を記入するときは、現在の職業と所得などを正確に記入する必要があることに十分注意しましょう。
個人事業税とは、個人が営む事業に対してかかる地方税の一種で、地方税法によって定められています。個人事業税は、開業届に記入された職業欄の業種によってかかる税率が違うことに注意が必要です。このため、職業欄はきちんと記入するようにしましょう。
このセクションで詳細を解説します。
個人事業税とは、個人が営む事業のうち、地方税法などで定められた業種(法定業種)に対してかかる税金のことです。法定業種は70種類あり、ほとんどの事業が該当します。
個人事業税は5%であることが多いですが、事業の種類によっては3%または4%のものも存在します。
業種と税率は以下の通りです。
区分 | 税率 | 事業の種類 |
---|---|---|
第1種事業 (37業種) | 5% | 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業 |
第2種事業 (3業種) | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業 (30業種) | 5% | 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業 |
3% | あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業 |
前項で紹介した法定業種に当てはまらない職業の場合、個人事業税は非課税となります。
たとえば、以下のような業種です。
ただし、これらの職業であっても、業務の実態が「請負業」などの法定業種と判断されたら、個人事業税がかかるケースがあります。
たとえば、プログラマーや翻訳家などが、単なる作業の代行ではなく、成果物を納品する契約内容で報酬を受け取っている場合、「請負業」とみなされて課税対象になることがあります。ほかにも、イラストレーターなども同様のことが起こっているため、事業内容はきちんと記入することが肝心です。
また、事業所得290万円以下の方は個人事業税の対象外となり、非課税です。
開業届を出した当初と事業内容が変わっている方は、確定申告書の職業・事業内容の欄が税率の根拠となるため、きちんと記入して提出しましょう。
開業届は、新しく事業を開始してから1か月以内に管轄の税務署に届け出をしなければなりません。
開業届の職業欄と事業の概要欄の書き方にルールはとくにありませんが、具体的な内容でわかりやすいように記入する必要があります。職業欄は個人事業税の税率にかかわるので、きちんと記入しましょう。
また、複数の事業をおこなう場合は一番収入が高いものを職業欄に記入すれば問題ありません。
事業内容が変わった場合でも、開業届の再提出は不要です。ただし、個人事業税にかかわるため、確定申告書の職業欄は正確に記入する必要があります。
はじめての開業で戸惑うこともあるかもしれませんが、適切に届け出や申告をおこない、事業を成功に導きましょう。
]]>最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の向上を目的として企業がプラットフォーム・エンジニアリングを積極的に採用しつつあります。みなさんもこの機会に知見を深化させてみてはいかがでしょうか。
プラットフォーム・エンジニアリングとは、開発者がアプリケーションを効率的に開発・運用できるようにするための共通基盤(プラットフォーム)を設計・構築・運用するエンジニアリング手法のことです。そもそもITにおけるプラットフォームとは、アプリケーションやサービスを動作させる基盤のことで、4種類があります。
インターネット上で情報やサービスの共有をするプラットフォーム
ソフトウェアやアプリケーションの開発・提供を支援するプラットフォーム
ユーザに文章や動画、音楽などのコンテンツを提供するプラットフォーム
異なる環境やデバイス間でコンテンツやアプリケーションが共有・利用できるようにするプラットフォーム
プラットフォーム・エンジニアリングをおこなうために不可欠な原理原則が5つ提言されています。それぞれについて解説していきましょう。
「明確で一貫性のあるAPI(Application Programming Interface)」とは、設計が洗練され、一貫性のあるAPIのことです。
具体的には、利用者が容易に理解でき、期待通りに利用できるAPIです。これを利用する開発者は機能を効率的に活用し、より迅速にアプリケーションを開発することが可能になります。
現代のIT開発において明確で一貫性のあるAPIは、効率的で信頼性の高いシステム構築の基盤となっています。
ここでいう「セルフサービス・エクスペリエンス」とは、ユーザが自身のニーズや問題を自力で解決できる体験のことを指します。開発者は必要なリソース・ツールを迅速かつ効率的に利用できるということです。
プラットフォーム・エンジニアリング実現のためには、ユーザがより主体的かつ効率的に、サービスを利用可能なように設計された仕組みや環境が必要になります。
プラットフォーム・エンジニアリングにおける「モジュール型」とは、システム全体を一枚岩ではなく独立・再利用可能な機能単位(モジュール)に分割する設計アプローチのことを指し、以下に記載する特徴があります。
必要なリソースをすぐに利用可能
新機能を追加する際に、影響範囲を最小限に抑えられる
モジュールごとに更新・修正が可能
プラットフォーム・エンジニアリングにおける「組み込みの優れたプラクティス(Built-in Best Practices)」とは、開発者が特別な知識や設定をしなくても、デフォルトで推奨される一番よいやり方が適用される仕組みのことを指します。セキュリティ・パフォーマンス・信頼性・コンプライアンスなどにおいて、専門的な知識や細かな設定を必要とせずに最初から最適な状態を保てるようにするといった具合です。
より安全・高品質・効率的なアプリケーション開発をおこなえるようにする基盤となる重要な要素です。
プラットフォーム・エンジニアリングにおける「整合のとれたガイドライン(Consistent Guidelines)」とは、開発者が、統一されたルールのもとでインフラ・アプリケーションを設計・運用できるようにする指針を指します。
これらのガイドラインは、プラットフォームの設計・利用方法・セキュリティ・運用・開発プロセス全体にわたって適用され、プラットフォームの効率性・信頼性・セキュリティ・開発者体験を向上させます。
プラットフォーム・エンジニアリングにおいては、開発者の満足度を最優先することが最終的なビジネス全体の成功につながります。開発者がストレスなく効率的に作業できる環境を整えることで、開発スピード・品質・運用負担の軽減につながるためです。
プラットフォーム・エンジニアリングの実行に必要なスキル・知識を5つ解説します。エンジニアにはどのようなものが求められるのでしょうか。
プラットフォーム・エンジニアリングを担うエンジニアに求められるのは「ハイブリッド・テクノロジーへの適応知識・スキル」です。ハイブリッド・テクノロジーとは、複数の異なる技術やシステムを組み合わせてあたらしい機能や性能を実現する技術のことです。常に最新のハイブリッド技術動向を把握することで、組織のデジタルトランスフォーメーションを成功に導くための重要な役割を果たします。
オンプレミスとクラウドの両方を理解し、それらを効果的に融合させる能力は不可欠な能力といえるでしょう。
プラットフォーム・エンジニアリングを担うエンジニアは「クラウド連携のためのアーキテクチャ設定や構成スキル・知識」を求められます。
具体的には、オンプレミス環境とクラウド環境を効果的に統合し、組織のニーズに合わせたITインフラストラクチャを構築・運用するための専門的な能力のことです。多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド戦略(オンプレミスとクラウドを組み合わせてITインフラを最適化する戦略)を成功させ、クラウドの利点を最大限に活用するためには不可欠な要素です。
プラットフォーム・エンジニアリングでは、手動での管理を減らし、一貫性・再現性・スケーラビリティを確保するために、DevOps(システム開発手法の1つで、開発(Development)と運用(Operations)が協力して開発を進めること)の考え方を取り入れた自動化が不可欠です。また、DevOpsベースの自動化は単なるツールの導入などにとどまらず、組織文化・プロセスを変革してより効率的で革新的なソフトウェア開発・運用体制を構築するためにも重要な要素です。
プラットフォーム・エンジニアリングにおいてIaC(Infrastructure as Code)とそのバージョン管理は、インフラの構成と運用の効率化を実現します。IaCには以下の主な特徴があります。
インフラのセットアップをコードで記述し、自動構築
環境ごとの差異(設定ミス・手作業ミス)を排除
同じコードを適用すれば、どこでも同じ環境を作成可能
クラウド・オンプレミスを問わず大規模環境も管理
誰が・いつ・何を変更したかを追跡可能
また「なぜIaCのバージョン管理をおこなう必要があるのか」については以下の理由があります。
誰が・いつ・どのような変更を加えたかを管理できる
問題が発生した場合、以前の状態に戻せる
Gitを活用してブランチ管理ができる
同じコードを適用すれば同じ環境を作れる
プラットフォーム・エンジニアリングにおいて、インフラセキュリティは非常に重要です。システムの可用性やデータの機密・完全を確保するためには、適切なセキュリティ対策が求められます。
また、スキル・知識を習得後も常に最新のセキュリティ動向を把握することで、安全で信頼性の高いプラットフォームを構築・運用し、組織全体のセキュリティレベル向上に貢献します。
プラットフォーム・エンジニアリングにおいて、プラットフォームを円滑に運用し安定したサービスを提供するために必要なスキルと知識も重要です。以下に記載する分野についてのスキル・知識がとくに求められるのでしっかりと身につけておきましょう。
ここまで「プラットフォーム・エンジニアリングとは/基礎知識など」というテーマで解説してきました。
近年、企業のIT開発はインフラ管理やデプロイ(アプリケーションの機能やサービスをサーバ上に配置・展開し、利用可能な状態にする一連の作業のこと)の複雑さが増しており、こうした背景の中で注目されているのがプラットフォーム・エンジニアリングです。
開発者がアプリケーションなどを効率的に開発・運用できるようにするため共通基盤(プラットフォーム)を設計・構築・運用するエンジニアリング手法で、これにより開発チームの生産性を高め、運用負荷を軽減することが可能になります。
この記事を読んで、現在の開発環境の改善に役立つプラットフォーム・エンジニアリングについての理解を深めていきましょう。
働き方改革の一環で、フリーランス人口も増加しつつあります。フリーランスの中でも、今回はフリーランスエンジニアについて解説します。フリーランスエンジニアとはどのような職種・仕事内容なのでしょうか。また、案件の獲得方法や必須なスキルなども詳しく解説します。
フリーランスエンジニアとは、企業に属さず、自ら案件を受注して業務を行うITエンジニアのことです。
フリーランスエンジニアの主な職種は以下の5つです。それぞれの仕事内容を解説しますので、参考にしてみて下さい。
顧客の要望をもとにシステムの要件定義・設計、動作確認をすることが主な仕事です。ヒアリングした内容から汲み取り、開発を進めていきます。
インターネットやシステムのベースを支えるために、設計から運用保守までを行うことが仕事です。作業する領域は幅広く、設計から運用保守だけでなくサーバやネットワーク、クラウド、セキュリティに関するものなどさまざまな知識が必須です。
Webでユーザが画面越しに触れる部分の設計や構築を行うことが主な仕事です。コーディングやSEOに関する知識も求められます。
企業が持つ業務データ、Webなどから膨大なデータ分析をして企業の課題を解決する仕事です。統計学からデータ解析まで幅広い知識が求められます。
Webアプリやスマートフォンアプリの開発に携わる仕事です。業務向けや一般アプリ・Web系・組み込み系など種類は多岐にわたります。
フリーランスエンジニアは自ら顧客に営業をして案件を獲得し、スケジュールを調節して自分のペースで働くことができます。しかし、仕事内容以外のこともすべて自分で行わなければならないため、事業に関する豊富な知識が必要です。
会社員エンジニアは、企業の就業規則に定められた勤務時間や仕事内容、勤務場所・勤務ルールに従って働く必要があります。仕事内容では、自身の業務以外にもさまざまな雑務を行うこともあるでしょう。しかし、フリーランスエンジニアと違って、事業に必要な全業務を担う必要がないことが大きな違いです。
フリーランスエンジニアはどのような面できついと言われているのでしょうか。フリーランスエンジニアとして独立を考えている方は、以下のデメリットもあらかじめ頭にいれておくとよいでしょう。
フリーランスエンジニアは、案件により報酬額の変動が激しいため、収入が不安定になる恐れがあります。また、会社員エンジニアと違い固定給制ではなく、働いた分収入につながるので、常に新規の案件を獲得しなければなりません。
フリーランスエンジニアは労働時間を自分で決められるため、つい長時間作業をしていたということも珍しくありません。セルフブラックにならないためには、自分が受け持てる範囲内で仕事を受注し、納期まで余裕を持ったスケジュール調整が大切です。
フリーランスエンジニアのメリット・デメリットを解説します。会社員から独立を考えている方は、あらかじめ押さえておきましょう。
フリーランスエンジニアになるメリットは、働き方の自由度が高いことです。自分でスケジュールを管理でき、働く時間や場所を選べるため、自身のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。また、働いた分が直接収入につながるため努力次第で高収入も目指せるでしょう。
フリーランスエンジニアになるデメリットに、長期間休むと収入がゼロになるという収入面での不安定さが挙げられます。会社員のように、失業保険や産休・育休という制度がないからです。また、つい長時間作業してセルフブラック化することや、仕事上トラブルが発生しても一人で対応する必要があり、プレッシャーと孤独を感じてしまうこともあるでしょう。
フリーランスエンジニアとして働いていくためには、必ず身に付けておきたいスキルがあります。自身の現在のスキルレベルを確かめながら見ていきましょう。
フリーランスエンジニアとして働いていくためには、IT・プログラミングは必須スキルです。案件ごとに使用する言語も異なるため、複数の言語を扱えるようになると、その分より多くの案件にも対応できるようになり、業務の幅もさらに広がります。
自己管理能力は、フリーランスエンジニアには必須のスキルです。案件のスケジュール管理や自身の体調管理、納期までのスケジュール調整など多岐にわたります。自己管理不足で、納期を守れないと顧客からの信頼がなくなり、フリーランスエンジニアとして活動することが難しくなる恐れもあります。
フリーランスエンジニアは、自分で案件を獲得しなければなりません。業務では、顧客とコミュニケーションを取りながら進めていく必要があります。コミュニケーションがうまく取れていないと、食い違いが発生したり相手に不安を与えたり信頼を失ってしまう恐れがあります。
フリーランスエンジニアは顧客の要望を聞いて、それに対して顧客が納得できるような提案をするという営業力が求められます。営業力を磨くためには、さまざまな人と会い、実績を積むこと積むことが非常に重要です。営業を経験していくなかで案件を獲得できれば、自信にもつながっていきます。
フリーランスエンジニアとして、国内だけでなく海外で活躍するためには、英語力が不可欠です。英語が堪能であると、海外企業と直接取引できるチャンスも生まれます。また、海外の最新技術情報にも触れる機会ができ、自身のスキルアップにもつながります。一朝一夕で身につく力ではないため、日頃から英語力を磨いておくと更なる高みを目指せることでしょう。
フリーランスエンジニアとして活動を続けていくには、絶えず案件を獲得していくことが非常に大切です。案件を獲得するには、主に以下の3つの方法があります。
クラウドソーシングサービスとは、インターネットを通じて数ある案件の中から受けたい案件を選び応募する仕組みです。
毎日新しい案件が掲載されており、利用者は技術スキルを磨くことができます。これにより、自身の市場価値を高めることが可能になります。また、これまで挑戦したことのない案件を受けることで、自身の得意な分野を見つけることができるでしょう。
フリーランスエンジニア向けのフリーランスエージェントとは、企業とフリーランスエンジニアのマッチングを支援するサービスです。個々のスキルや経験に沿った案件紹介や、顧客との契約交渉の代行や、税務関係・保険の手続きのサポートまでも可能です。そのため、フリーランスエンジニアは自身の仕事に集中でき、安定的に仕事を受注することができるでしょう。
会社員時代のクライアントや、知人からの紹介でも案件獲得が可能です。知人からの紹介ですので、営業や交渉の手間もほとんどかからず、スムーズに案件を獲得できるでしょう。しかし、業務を進めていく中で問題が起きてしまった場合、今後の関係に亀裂が入る恐れがあります。そのため、自身のスキルや報酬の相場を事前にしっかりと把握しておくことが重要です。
フリーランスエンジニアは会社員エンジニアと違い、働き方が自由になる代わりに、自身で案件を獲得していかなければなりません。また、顧客と信頼関係を築いていくためにも、フリーランスエンジニアに必須なスキルを事前に身に付けておく必要があります。クラウドソーシングやフリーランスエージェントをうまく活用しながら、周囲にもフリーランスとして活動している旨をアピールしておくと、思いがけないところから案件が舞い込む可能性があるでしょう。
]]>個人で事業を営み、企業や団体などに所属せずに利益を上げる人は「個人事業主」「フリーランス」など、いくつかの呼称があります。自身で事業を起こすと考えた際、自分がどのスタイルに合っているのか、どれを選べばよいのか困惑した人も多いのではないでしょうか。
本記事では、複数ある呼称のうち「個人事業主」についてご紹介します。
個人事業主とは、法人を設立することなく個人で事業を営む人のことを指します。従業員を雇用していても、法人を設立していない場合は個人事業主と見なされます。原則として個人事業主になるための要件はなく、税務署に開業届を提出することで誰でも個人事業主になることが可能です。
フリーランスとは働き方の一つであり、自身の経験や知識、スキルなどを活用し、個人で収入を得ている人たちを指します。一方、個人事業主はフリーランスの働き方のうち、税務署に開業届を提出して収入を得ている人たちのことを指します。
フリーランスは働き方を示す呼称で、個人事業主は税法上の事業主を示す呼称です。しかし、多くの場合でフリーランスは個人事業主を指しているため、開業届を提出しているか否かが大きな違いと言えるでしょう。
個人事業主は法人を設立せず個人で事業を営む人のことを指すのに対し、法人は法人格(法律で個人と同様の権利・義務をもつ資格が与えられる)をもった組織や団体を指します。個人事業主と比べて、法人は信用を得やすく一定以上の利益に対する税率が低いというメリットがある反面、会計・事務処理などの細かな業務が多くなるデメリットもあります。
個人事業主から法人化することは可能ですが、事業内容や利益率によってはメリット・デメリットが異なるため、事前確認が重要です。
個人事業主になることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。大きなメリットを3点紹介します。
雇用契約を結ぶ正社員・契約社員などの働き方と比べると、雇用契約を結ばない個人事業主は働き方を自由に選択できます。勤務地・勤務時間はもちろん、業務の順番やペース配分など、すべて自身でコントロールが可能です。受ける仕事の取捨選択も判断できますし、店舗を運営する場合も営業時間や定休日の決定権があります。
事業を運営・維持するためにかかる費用は必要経費と呼ばれます。必要経費は、個人事業主として申告を行う際に計上することで支払う税金額が抑えられ、節税が可能になります。
青色申告時には、材料の仕入れや人件費、業務に必要な道具・機器代や打ち合わせ時の飲食代などを必要経費として計上可能です。また、自宅の一部で事業を営んでいる場合は、家事関連費用の一部も計上できます。
上記で軽く触れた「青色申告」を行うことで、個人事業主は青色申告特別控除を受けられます。申告するためには、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出することが必要です。税務署に必要書類を提出した後、貸借対照表および損益計算書をあわせて確定申告を行うことで、青色申告特別控除が受けられます。e-Tax(国税電子申告・納税システム)や電子帳簿保存による申告の場合は、最大65万の控除が受けられます。ただし、期限を過ぎてしまうと青色申告特別控除が受けられなくなるため、確定申告は期限内に済ませることが重要です。
参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁
個人事業主として事業を営むうえで、受けた仕事を投げ出すことなく完遂できる、責任感が求められます。未知の分野にもかかわる場合も考えられるため、向上心やチャレンジ精神、しっかりとした自己管理が行える人は、個人事業主に向いていると言えるでしょう。
また、個人事業主として仕事を請けるためには、自身で営業や交渉を担う必要もあります。営業・交渉スキルがあり、自分の裁量で業務を進めたいと考えている人にとって、個人事業主という働き方が向いている可能性もあるでしょう。
個人事業主になるには、何から始めたらいいのか疑問に思う人もいるでしょう。ここからは、個人事業主になるために必要な4つのステップをご紹介します。
個人事業主になるには、事業を始める必要があります。しかし、明確な開業理由や動機がないまま、無計画に事業を起こしていては大きな損害を出してしまう可能性があります。開業する前に、事業を起こす目的・理由・動機などを定め、どのように生計を立てていくかを決めることが重要です。
勤めていた企業を辞めて開業する場合、ワークライフバランスが大きく変化する可能性もあります。個人事業主になるメリットはさまざまにありますが、開業することで自身にどのような影響があるか、販路や資金の維持ができるか、といったことも想定しながら事業計画を立てましょう。
どの事業で開業するか定まったら、開業してから1ヵ月以内に、「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を税務署に提出します。開業届の提出がない場合、青色申告が行えなかったり、補助金や助成金の申請ができなかったりといったデメリットがあります。
併せて、居住地域の自治体に「事業開始等申告書」の提出も行うといいでしょう。これは都道府県に個人事業の開始を知らせる書類で、自治体によって「個人事業開業届出書」「事業開始届」など名称が異なる場合があります。提出先が自治体によって変わる場合もありますので、提出期限と共に各自治体のWebページで確認してから進めることをおすすめします。
開業届の提出に続いて「青色申告承認申請書」を税務署に提出することで、青色申告の承認が受けられ、最大65万円の特別控除を受けられるようになります。控除が受けられれば、事業の初期段階で財務面から準備が整えられるでしょう。
申請書の提出期限は、以下のように定められています。
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。 なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
引用元:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
期限を過ぎた場合は、青色申告できるのが翌年からになるため、提出期限に注意しましょう。
正社員から個人事業主に転身した場合は、国民健康保険・国民年金への切り替え手続きを行います。手続きは居住地域の役所で行います。切り替え手続きに必要な書類を準備し、窓口での手続きを迅速に進めることで、個人事業主としての活動に専念するための基盤が迅速に整えられるでしょう。
企業に雇用されていても、国民健康保険と国民年金に加入していた場合は、この手続きは不要です。
個人事業主として事業を起こすには、資金調達や事務作業など、相応の準備が必要です。滞りなく開業するために、押さえておくといいポイントをご紹介します。
個人事業主として活動する際には、プライベート用と別に、事業用の銀行口座を用意しておくことが重要です。事業用の口座があれば、個人の資金と事業の資金を明確に分けられるため、経理の透明性を確保できます。同時に収入と支出を一目で把握できるため、税務署や取引先に対して事業の信頼性を示す手段にできます。口座開設時には事業名義での開設を求められることもあるため、必要書類を準備しておくといいでしょう。
個人事業主としての活動するために、利用可能な補助金・助成金制度を確認しておくことが重要なポイントです。利用できる制度があれば、新規事業の立ち上げや事業拡大の際に、資金面のサポートが得られます。補助金・助成金制度は地方自治体や国から提供されており、事業の種類や地域によってサポート内容が異なります。積極的に情報収集を行い、自分の事業に合ったものを探すことと、申請時に求められることが多い事業計画書や財務計画書の準備を進めるといいでしょう。
個人事業主の経費に上限はありません。事業の継続や拡大などに必要不可欠なものであれば、原則として、どのような費用も経費として認められます。しかし、健全に事業を営むためには、個人事業主が経費として計上できるもの、できないものを正確に把握することが重要です。
経費の適正な管理は、税務調査の際に重要なポイントとなります。売上が少ないにもかかわらず多額の経費を計上した場合、税務署から確認が入り、経費とは認められずに赤字となる可能性もあります。常に売上とのバランスを意識して、領収書や請求書の保存・記帳と、経費の証拠をしっかり確保しておくことがポイントです。
個人事業主とは、法人を設立せず個人で事業を行う形態のことを指し、開業届の有無や法人格の有無で、フリーランス・法人との違いを分けています。個人事業主には、自由な働き方や必要経費の計上による節税効果、青色申告特別控除が利用可能など、さまざまなメリットがあります。開業には事業選択、開業届・青色申告承認申請書の提出、保険・年金の切り替え手続きが必要です。健全な事業運営のためには、事業用の銀行口座の開設や補助金・助成金制度の確認、しっかりとした経費管理が重要になるでしょう。
]]>開業直後はやることが多数あり、税務署に出向く時間の確保が難しいかもしれません。そのようなときに便利なのが開業届の郵送による提出です。この記事では、開業届の郵送方法から注意点、一緒に同封できる届出書を紹介します。
開業届とは、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人事業主やフリーランスが事業を開業または廃止した際に税務署に提出する必要がある書類です。
開業届は以下の方法で提出できます。
忙しい開業当初には、税務署へ行く時間がとれなかったり、慣れないe-Taxの設定に時間がかかったりすると、煩わしさを感じるかもしれません。そのようなとき、郵送は時間や労力を省ける便利な提出方法といえます。
開業届を郵送した方がよい場合は、次の通りです。
都市部以外では、税務署の管轄範囲が複数の市区町村にわたる場合があります。税務署まで数時間かかる場合もあり、移動時間が大きな負担と感じることもあるでしょう。郵送なら最寄りの郵便局から投かんするだけなので、時間を節約し、移動の手間を省けます。
税務署の開庁時間は、年末年始を除く平日の8時30分~17時です。開業当初の忙しいとき、この時間内に税務署に出向くことが難しい場合もあります。また、時間外収受箱に入れる方法もありますが、税務署が遠方にある場合、持参するのが困難になることもあるでしょう。
通常、税務署に提出する書類の収受日は、税務署に届出書を提出した日付となります。しかし、郵送の場合は例外的に、郵便局の預かり日(発送日)が収受日として扱われます。提出期限が迫っていて、税務署に行く時間もとれないときは、郵送することで提出期限に間に合わせることも可能です。
ここからは、開業届を郵送する手順にそって解説します。不備が出ないよう、入念に準備を行うことが大切です。
開業届「個人事業の開業・廃業等届出書」は税務署でもらうか、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。記載内容は、屋号、所在地、連絡先、代表者名のほか、所得の種類や給与支払状況などがあります。必要項目に記載漏れがないように注意しましょう。
開業届の提出期限は開業から1か月以内です。遅延による罰則はありませんが、青色申告の申請や銀行口座の開設など、諸手続きへの影響も生じるため速やかに行いましょう。
開業届の送付書類は以下の通りです。
マイナンバーの記載があるためマイナンバーのわかる写しと、運転免許証などの本人確認書類の写しが必要です。
また、返信用封筒は、開業届を収受した日付や税務署名が記載されたリーフレットを受け取る場合に必要になります。リーフレットは、開業届の控えではないので、返信用封筒を入れ忘れても問題ありません。
開業届を郵送する宛先は、 個人事業主の場合、原則自宅のある住所地を管轄する税務署になります。事業を行う事務所所在地と自宅が異なる場合は注意が必要です。
自宅住所地を管轄する税務署の住所は国税局のホームページから確認できます。
郵送時の封筒サイズに決まりはなく、折りたたんで封入しても問題ありません。
宛名の書き方は以下の図を参考に、税務署名の下には「御中」と記入します。税務署内で部署仕分けがしやすいように、左側に「個人事業の開業・廃業等届出書 在中」と記載しましょう。
裏面には、自分の住所、氏名、郵便番号を記入し送付者を明確にします。また、切手代不足などの場合、裏面住所に返送されることがあります。
【開業届送付用封筒の書き方】
【同封する返信用封筒の書き方】
返信用封筒の表面には、自分の住所、氏名、郵便番号をと記入します。氏名の下には、「様」ではなく「行」と記入することを、ビジネスマナーとして覚えておいてください。さらに郵便切手も忘れずに貼りましょう。
開業届を郵送する際は、書類に不備がなく、確実に税務署に届く方法を選ぶ必要があります。そのポイントを詳しく解説します。
開業届のような税務に関する書類には、個人情報の記載があるため、「郵便物」または「信書便物」として送付する必要があります。信書とは、特定の受取人に対し、差出人の意思や事実を通知する文書のことです。確実に税務署へ届けるため、追跡可能なレターパックなどの利用が安心です。また、宅急便での発送は、法律で禁止されているので注意しましょう。
これまでは、開業届を2部作成し提出することで、そのうちの1部に収受日付印と税務署名が押印されて開業届の控えとして返送されました。しかし、令和7年1月から押印がなくなり、申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したリーフレット(開業届の控え扱いが確立するまでの対処として)が返送されるようになりました。そのため、開業届のコピーを取っておき、リーフレットを受け取るための返信用封筒を同封します。
参考:国税庁|申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A
開業届の記載内容に不明点があったり、添付書類に不備があったりした場合、問い合わせや差し戻されることがあります。その度に確認や再提出するための、無駄な時間と労力が必要です。忙しいときだからこそ落ち着いて、必要項目の記載と必要書類を確認し不備のない準備が重要です。
開業すると所得税の確定申告が必要になります。付随する届出書や申告書を提出しなければならず、それぞれ提出期限が異なるため、その都度届け出るのは大変です。そこで、開業届と同時に提出できるその他の申請書類を紹介します。
青色申告を希望する場合、「青色申告承認申請書」を提出し承認を受ける必要があります。開業したその年から青色申告を受けるためには、開業日が1月1日~1月15日なら3月15日まで、1月16日以後の開業なら開業日から2か月以内に提出しなければいけません。開業届と同封することで、期限内に提出でき、一度の手間で完了できます。青色申告には大きな節税効果があるためぜひ活用しましょう。
青色申告では、家族が事業に参加し給与の支給を受ける場合、この専従者給与を経費として計上できます。提出期限は青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで、もしくは、1月16日以後に開業した場合や、新たに専従者がいることとなった場合は、その事実から2か月以内です。開業当初から専従者がいる場合は青色申告承認申請書と一緒に提出しましょう。
参考:国税庁|A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続
従業員を雇い、給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した場合、その旨を所轄税務署長に届け出る必要があります。提出期限は事務所等開設日から1か月以内です。こちらも開業届と一緒に提出できます。
参考:国税庁|A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっています。ただし、給与の支給人員が常時10人未満の場合は、半年分ずつ年2回にまとめて納付できる特例制度を受けられます。この制度を受けるための申請書も開業届と一緒に提出が可能です。開業当初の資金繰りの厳しい時期に、従業員を雇った場合には、活用したい制度といえます。
参考:国税庁|A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
開業届は、税制面や補助金の受け取り、社会的な信用度の向上など、新規に事業を始める方にとって多くのメリットがあります。提出期限を遅延しても罰則はありませんが、新規事業を開始する際には、早めに活用しましょう。開業当初の忙しい時期でも必要な手続きなので、時間と労力を抑えられる郵送での提出がオススメです。提出期限や郵送方法、注意点など、この記事を確認し、スムーズな開業準備にお役立てください。
]]>業務委託とは、個人あるいは企業が仕事を請け負う際の契約形態のひとつです。
個人事業主は個人が独立して事業をおこなう形態のひとつです。それぞれ解説します。
業務委託とは、企業や個人が、業務の一部またはすべてを外部委託することを指します。業務委託は契約形態の一呼称です。したがって、企業の業務を個人が請け負うこともあれば、企業間で業務委託を請け負うこともあります。また、個人の業務を別の個人が請け負うことも業務委託にあたります。
業務委託を個人が請け負う場合、会社員のような雇用契約ではなく、業務委託契約を締結します。業務委託契約はおもに2つの形態があります。
成果物に対して報酬が発生する形で委託者と受託者が結ぶ業務契約を指す。
業務の遂行を目的に、作業に対して報酬が発生する契約形態である。委任契約、または準委任契約と呼ばれる。
弁護士や税理士など法律に抵触する業務をおこなう者に業務を委託し、受託者が遂行する
法律に抵触しない業務を委託、受託者が遂行する。たとえば、ITの業務請負は準委任契約となる。
個人事業主とは、法人をつくらずに個人で事業を営む人のことです。税務署に開業届を提出することで個人事業主となります。
個人事業主の職業の例としては、飲食店や服飾店などの店舗経営、弁護士や税理士といった士業、開業医、独立して仕事を請け負うコンサル業やエンジニア、漫画家やイラストレーターといったクリエイターなどです。成果物や商品を納品して報酬を得るため、働き方については自分で自由に決められます。
この項では個人事業主と会社員との違いを詳しく解説します。
会社員は、企業と雇用契約を結んで業務に従事する働き方です。企業の業務指示に従って働き、賃金が定期的に支払われます。契約で決められた時間に働き、残業をする場合には労働基準法で決められた割増賃金が支払われます。
個人事業主は、企業に提供した成果に対して報酬を得ます。能力が高ければ、会社員と比較してかなりの高収入を得られる可能性があります。
個人事業主は、税金の面で会社員とは違いがあります。
個人事業主は、会社員と違って年末調整や所得税天引きの仕組みはない。したがって、個人事業主は毎年自ら確定申告をおこない、所得税を支払う必要がある。
社会保障の面においても、会社員と比較して個人事業主は大きな違いがあります。
社会保険とは、会社員に加入義務がある健康保険(および介護保険)・厚生年金・労働保険・雇用保険のこと。ただし、個人事業主として生計を立てている場合は一部の社会保険に加入できない。
日本では国民皆保険制度をとっており、国民はいずれかの健康保険に加入しなければならない。
会社員は、所属企業が運営する組合健保、または中小企業のために運営される協会けんぽという健康保険のどちらかに加入する。個人事業主は国民健康保険に加入する。
また、会社員と個人事業主では、健康保険の保険料にも違いがある。会社員の保険料は所属企業と本人との折半となるが、個人事業主は全額負担である。
年金制度は、いわゆる2階建てのつくりになっている。国民全員が加入する国民基礎年金と、会社員が国民基礎年金に加えて加入する厚生年金のふたつが運用されている。
つまり、個人事業主は国民基礎年金のみに加入するが、会社員は、国民基礎年金と厚生年金の両方に加入することになる。このため会社員は、納める年金の額は大きいが、その分将来のもらえる年金の金額も増える仕組みだ。
厚生年金に加入している会社員と比較して、国民基礎年金のみの個人事業主では将来もらえる金額がかなり少なくなるので注意しよう。
雇用保険は、労働者が失業し収入がなくなったときに、失業手当をもらえる国の制度だ。
会社員は、一定の基準を満たすと雇用保険への加入義務が生じる。加入期間が通算12か月以上あれば、失業時に失業手当がもらえる。しかし、個人事業主は、雇用保険に加入できないため、もし失業しても失業手当はもらえない。
労災保険は、労働者が通勤または業務中に怪我・病気などをした際に保険金が給付される制度で、会社員は加入必須である。一方、個人事業主は原則として労災保険に加入できないが、労働者と同様に保護されるべき立場として、一人親方など一部の個人事業主には、特別加入制度による任意加入が認められている。さらに、2024年11月からは「フリーランス新法」の施行により、特定のフリーランスも特別加入の対象に加わった。
参考:厚生労働省 – 令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました
個人事業主は労働基準法の適用外となる。なぜなら、労働基準法は会社員を守るための法律だからだ。つまり、個人事業主には最低賃金や残業の概念は適用されず、6時間以上の労働には休憩が義務付けられることもない。 また、なかには悪質な企業(委託者)も存在し、なかなか報酬が支払われないなどのトラブルも頻発している。しかし、こういったトラブルの解消を目的に2024年11月からフリーランス新法という法律が施行された。詳しくは厚生労働省のページを確認しよう。
参考:厚生労働省 – フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ
業務委託で仕事を請け負う際、注意すべきポイントを解説します。
準委任契約は、委託者と受託者の契約であるため、会社員のように上司の指示に従って動く必要はありません。
しかしながら、実際の現場では、委託者である企業から、仕事のやり方をまるで部下のように指示されるケースがあります。これはいわゆる偽装請負にあたり、違法行為となります。このような働き方をするのであれば、会社と雇用契約を結ばなければいけません。
法律では実際の業務形態を重視するため、契約書上は準委任契約となっていても実態が上司の指示に従うような働き方であれば法律違反とされます。
業務委託を請け負う場合、どこからどこまでが自分の業務範囲かは、契約書に記載されている内容に準じます。この点をあいまいにすると、自分の仕事の範囲がどこまでかがわからず、トラブルにもつながりかねません。
業務範囲はきちんと相談の上で決定し、契約書にも業務内容の範囲を明確に記入することが大変重要です。
2024年11月に施行されたフリーランス新法を確認しておきましょう。
参考:公正取引委員会 – 公正取引委員会フリーランス法特設サイト
著作権とは、その作品をつくった人が持つ権利です。著作権を持たない者は、その作品を勝手に使用したり、販売して報酬を得たりすることはできません。これらの行為をおこなうためには、著作権者の承諾が必要です。
業務請負は完成した成果物として納品し、対価に報酬をもらいますが、この成果物について著作権はどちらものものかという問題があります。
結論からいうと、業務請負の場合は、契約により、依頼した企業(委託者)に成果物の著作権が帰属することが多いようです。しかし、双方相談の上、制作者(受託者)に著作権が帰属する契約にすることも可能です。
とくにクリエイター系フリーランスの間では、著作権物の問題でよくトラブルになっています。著作権について認識があいまいな場合は、成果物の著作権が誰に帰属するのか、契約締結のときに契約内容をよく確認するようにしましょう。
個人事業主とは、法人をつくらずに個人で事業を営む人のことです。業務委託とは、企業や個人が、業務の一部またはすべてを外部委託することを指します。
つまり、個人事業主が業務を請け負うときの契約形態のひとつが業務委託です。
個人事業主は、会社員と比較して、報酬面、税金面、社会保障面でさまざまな違いがあります。会社員は毎月安定した収入を得られ、手厚い社会保障があります。対して個人事業主は、契約単位で報酬が発生するため月々の収入は不安定になりやすく、社会保障も薄いです。ただし、個人事業主の権利を保護する目的で、2024年11月にフリーランス新法という法律が施行されました。
個人事業主は、トラブルが起きても自分ですべて対応しなければならないため、契約書の内容をきちんと把握しておくことは非常に重要です。とくに業務委託契約では、偽装請負という違法な労働形態に陥る可能性があるので、契約書の業務内容はよく確認しておきましょう。
]]>フリーランスという働き方は、働く時間や場所が自由に選べる魅力があります。しかし収入面に関しては多くの人が不安を抱えているのも事実です。本稿では、フリーランスの年収事情について解説し、職種別の相場や収入を増やすためのコツを紹介します。
この項目では、本業フリーランス(フリーランスを本業とする人)と会社員の平均年収について解説します。
リクルートワークス研究所による調査結果「データで見る日本のフリーランス」では、本業フリーランスの平均年収は298.7万円です。この分布割合の高い3者を見ると、100~300万円未満が36.2%と最も多く、次いで300~500万円未満が27.1%、0~100万円未満は19.4%と続いています。
参考:リクルートワークス研究所|データで見る日本のフリーランス
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると給与所得者の平均給与年額は460万円です。収入の分布では、300万円超400万円以下が16.3%と最も多く、次いで400万円超500万円以下が15.4%となっています。
以下の表は、本業フリーランスと会社員の平均年収と分布割合の上位3者を比較したものです。計算年が異なるため会社員は複数年を掲載しています。
本業フリーランスの平均年収と収入分布
2019年(令和元年) | 平均298.7万円 | 0~100万円未満が19.4% 100~300万円未満が36.2% 300~500万円未満が27.1% |
会社員(給与所得者)の平均年収と収入分布
2019年(令和元年) | 平均438.4万円 | 200万円超~300万円以下 15.0% 300万円超~400万円以下 16.7% 400万円超~500万円以下 14.4% |
2020年(令和2年) | 平均435.1万円 | 200万円超~300万円以下 15.3% 300万円超~400万円以下 17.1% 400万円超~500万円以下 14.4% |
2021年(令和3年) | 平均445.7万円 | 200万円超~300万円以下 14.6% 300万円超~400万円以下 17.1% 400万円超~500万円以下 14.9% |
2022年(令和4年) | 平均457.6万円 | 200万円超~300万円以下 14.1% 300万円超~400万円以下 16.5% 400万円超~500万円以下 15.3% |
2023年(令和5年) | 平均459.5万円 | 200万円超~300万円以下 14.0% 300万円超~400万円以下 16.3% 400万円超~500万円以下 15.4% |
これにより年収の平均額は会社員の方が高い傾向にあることがわかりました。
フリーランスの年収は職種によって大きく異なりますが、専門職・技術職の年収は高い傾向にあります。以下の項目では業種別の平均年収一覧とともに、平均額の上位業種と年収額の分布について解説します。
下図は「データで見る日本のフリーランス」による、フリーランスの業種別・現在年収一覧です。以下の項目で順位別に解説します。
引用:リクルートワークス研究所|データで見る日本のフリーランス P37
ソフトウェア・インターネット関連技術者などのIT関連業種の平均年収額は370.7万円で、業種別の第1位です。IT関連業種のフリーランスは高い需要があるため比較的高収入を期待できます。特にAIやクラウド技術に精通しているエンジニアはさらに高い報酬を目指せるでしょう。
建築・土木・測量技術者など、建設関連業種の平均年収額は368.9万円で、業種別の第2位です。建設系のフリーランスには、いわゆる一人親方と呼ばれる職人系の技術者が含まれており、技術や危険な職務に対する手当などから高収入の傾向があります。事業の責任者としてスタッフを雇う場合は、収入にその人件費も含まれます。経験や専門性による契約の獲得が収入を安定させる鍵になるでしょう。
美術家・写真家・デザイナーなど、クリエイティブ関連業種の平均年収額は340.9万円で、業種別の第3位です。フリーランスのクリエイティブ系業種で活動する場合、年収は経験やスキルに応じて大きく変動します。専門的な経験やスキルがわかるポートフォリオを作ることで、さらに高収入の仕事に挑戦できるでしょう。
フリーランスとして年収を増やすには、いくつかのポイントがあります。以下の項目では代表的なものを中心に4点のコツを紹介します。
フリーランスの業務には自分を売り込む営業も含まれています。そのため仕事に関わる人脈の拡大が、新しい仕事の機会につながります。これを実現するためにも業界のイベントやオンラインフォーラムに参加し、積極的に人材交流を図りましょう。また、過去のクライアントとの関係を維持し、リピート案件を狙うことも重要です。
フリーランスとして収入を増やすには、スキルアップにつながる学習や訓練が不可欠です。
新しい技術やトレンドを察知して、それに合わせたスキルを磨くことで、より高単価の仕事に挑戦できます。そのためにもオンライン・オフラインを問わず、講習やセミナーに参加して、新たな知識や資格を獲得し、スキルを向上させましょう。
クライアントにアピールするためには、質の高いポートフォリオが不可欠です。過去の成果物やプロジェクトを整理し、WebやSNSを利用して積極的に実績を公開することで、フリーランスとしての信頼獲得が目指せます。
但し、契約によっては納品した成果物がクライアント企業の著作物(いわゆる職務著作)となるものや、守秘義務が伴う場合もありえます。そのような成果物は契約書の確認や、クライアントに許可を取らなければならない可能性があることも、覚えておきましょう。
料金設定の見直しも、フリーランスにとって収入を左右する重要な要素です。収入アップのためにも新しい技術や資格取得、大型プロジェクトの完了時といった節目ごとに市場調査を行い、業界の平均単価や経済状況の変化と比較して適正な料金設定に見直しましょう。スキルや経験に応じた適切な料金が設定されることも、クライアントの信頼を得る鍵となります。
フリーランスとして年収を減らさずに安定した収入を得るためには、事業に対する継続的な取り組みが必要です。以下の項目では代表的なポイントを3点紹介します。
フリーランスの収入を安定させるには、案件ごとや短期的なプロジェクトだけでなく、長期的な契約を獲得することが重要です。案件のリピートや、定期的な契約を獲得するためにも、クライアントと信頼関係を構築するために努力を継続しましょう。
フリーランスは技術革新や競争人口の増加などから起こる価格変動の影響を受けやすく、その変動は収入の増減に直結します。この影響を軽減するには収入源を多様化することが効果的です。例えば、本業以外に副業を持つ、オンラインコンテンツを販売するなど、収入源の複数化に努めるとよいでしょう。
フリーランスは給与所得者とは違い、収入に対する保証がありません。景気の動向などから収入が不規則になることも多いため、計画的な財務管理は常に事業上の課題となります。不測の事態を乗り切るためにも収入が多い時期に貯蓄をし、運転資金を確保しておくことが重要です。
今回はフリーランスの年収事情について会社員との比較と合わせて解説しました。フリーランスとして年収を増やすには、スキルの向上やポートフォリオの充実をはじめ、人脈作りや料金設定の見直しといった営業やマーケティングも必要です。これらのポイントを押さえながら、安定した収入を得るための戦略を立て、長期的な成功を目指してください。本稿が事業を継続する一助となれば幸いです。
]]>この記事を見つけたあなたはきっと、開業届をどのような手順で手続きをしたらいいのかわからず、悩んでいることと思います。本記事では、そうした悩みや疑問を解決するために、開業届の種類や提出期限、メリット・デメリットについて詳しく解説します。開業届に加え、青色申告や白色申告など別途書類についても併せて見ていきましょう。
開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)とは、個人事業を開業する際に税務署へ申告手続きをするための書類を指します。個人事業やフリーランスを始める上で発生する売上や経費など自身で所得税を計算して、確定申告を行う必要があります。そのことから個人事業主が税務署に申告・納税を行なっているか、正確に管理しなければなりません。
開業届には2つの種類があり、税務署に提出するものと都道府県税事務所に提出するものに分かれています。なお、提出する管轄税務署については国税庁ホームページで紹介されていますので、こちらよりご確認ください。
参考:国税庁|A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
税務署に提出する個人事業の開業・廃業等届出書は新たな事業所得、不動産所得あるいは山林所得を得る人が開始した事実が認められる日から数えて1ヶ月以内には提出するものです。
参考:国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書
都道府県税事務所に提出する個人事業税の事業開始等申告書は、個人事業を開始したことについて都道府県の管轄税事務所に申告するものです。「個人事業税の事業開始等申告書」は都道府県によって提出義務の有無が異なります。必ずしも提出が必要とは限らないため、都道府県ごとのルールを確認する必要があります。
参考:東京都主税局|個人事業税の事業開始等申告書
特例の業種の場合は、開業届を提出する際に許認可申請が必要です。これを取得せず、開業してしまうと業務違反により行政処分・法定責任を負う場合があります。
また、すでに取得した許認可に有効期限が切れていないか、更新時期をチェックする必要があります。ただし、社会保険の扶養に加入されている人に限り、開業後の事業収入が増えてしまうと扶養から外れる場合があります。
対象業種 | 許可の種類 | 申請先 |
---|---|---|
飲食店 | 飲食店営業許可 | 管轄保健所 |
美容室 | 美容所開設届 | 管轄保健所 |
不動産業 | 免許 | 都道府県庁 |
建設業 | 許可 | 都道府県庁 |
旅館業 | 許可 | 管轄保健所 |
開業届の提出方法と流れについて、以下を説明しますので見ていきましょう。
まず、開業届を入手しましょう。提出する開業届は国税庁のWebホームページから用紙をダウンロードあるいは、税務署窓口で入手できます。
参考:国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書
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入手した開業届の項目に必要事項を記入します。記入すべき項目は「納税地の住所」「生年月日」「職業」などです。屋号については作りたい場合に記入しておきましょう。
管轄の税務署へ提出または郵送、オンラインを用いたe-Taxでの提出、3通りの選択があるので、自分に合った方法で提出しましょう。それぞれの提出先と利用が可能な時間については、下記を参考にしてください。
提出方法 | 提出先 | 利用時間 |
---|---|---|
税務署窓口 | 管轄税務署 | 年末年始除く 平日8時30分~17時30分 |
オンライン | e-Tax (国税電子申告・納税システム) | 24時間 (ただし、月曜日と土日祝日は8時~0時) |
郵送 | 最寄りの郵便局 | 制限なし |
税務署の窓口で提出が完了すると、その場で開業届の控えを受け取れますが、郵送で提出した場合、控えを受け取るまでに1週間ほどかかります。また、e-Taxでオンライン提出した場合は開業届の控えはありません。提出した際のデータ・通信通知が開業届の控えになるため、かならず保存しておきましょう。
所得税法第229条により、事業を開始した日から1ヶ月以内を目安に提出しなければなりません。たとえば4月1日に開業したとすると、1ヶ月後の4月30日までに提出するという計算です。ただし、期限を過ぎての提出にペナルティはなく、税務署より提出の催促が来ることはないので、心配する必要はないでしょう。
(開業等の届出)
参考:e-GOV法令検索|所得税法
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。
青色申告を希望する場合は、開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出するのがおすすめです。事業所得が48万円を超えた場合に課税対象となるため、確定申告を青色申告で行えば所得から最大で55万または65万円が控除されるので、節税対策に有効です。また提出期間は3月半ばまでに所轄税務署へ提出する必要があるため、忘れないよう注意しましょう。
本来、青色申告・白色申告に関係なく、開業届の提出は必要ですが、提出しなかったとしても罰則されることはありません。確定申告の際に提出するための書類作成の手間が省けるほか、家計簿のような感覚で単式簿記をつけられるため、白色申告を選択する人もいるようです。
開業届を提出する上で、メリットについて説明します。
個人事業主として独立したことを公式的に示すためには開業届が必要不可欠です。また開業届を提出することで、法人向けクレジットカードの作成やサービスの申し込みなどの際に信用度が高まるメリットもあります。
万が一、個人事業主や小規模企業を経営する際に廃業した場合の備えとして、小規模企業共済といういわゆる退職金代わりになる積立金制度があります。加入するには、開業届の提出が必要です。また、小規模企業共済における掛け金は小規模企業共済等掛金控除で全額控除が可能になるため、将来の節税につながるメリットがあります。
開業届を提出する際には、屋号をもとに口座を開設することが可能です。そのためには開業届の控えが必要になるため、くれぐれも紛失には注意しましょう。また、屋号の入った口座があれば、社会的信用が向上するほか、個人と事業の入出金を別々に管理しやすくなるメリットがあるのでおすすめです。
開業届を提出する上でデメリットについて説明します。
開業前に開業届を提出するのは避けましょう。開業届はあくまでも事業を開始したことを申告するための書類です。開業届の提出日が開業した日よりも前の日にしてしまうと、青色申告の特別控除を受けられず、節税対策で不利になるなどのデメリットが発生します。そのことから、開業日の設定は提出日から遡って1ヶ月以内にしておきましょう。
開業し、事業収入が増えた場合、所得が一定の基準を超過すると扶養控除および配偶者控除が対象外になってしまいます。所得税に加えて、健康保険に関連することから、扶養の条件から外される可能性があるのです。このことから、自分で管轄の区役所または市役所へ健康保険の加入手続きをしなければなりません。
開業届を提出すると、原則として失業手当の受給はできなくなります。ただし、事業開始等による受給期間の特例が2022年7月1日に施行されてからは、要件を満たせば事業期間でも最長3年間、受給期間の特例を受けられます。退職した後は特例申請をしておきましょう。
参考:厚生労働省|事業開始等による受給期間の特例
開業届について理解していただけたでしょうか? 開業するには、さまざまな手順を踏んだ上で書類を提出しなければなりません。開業届のほかに許認可申請が業種によって提出先も異なるため、あらかじめ確認してから提出する必要があります。また、特定業種の人が行政機関へ許認可申請を取得せず、開業してしまうと業務違反により処罰されることもあるため注意しなければなりません。メリット・デメリットを理解し、正しい順序で開業届を提出しましょう。
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